第2【事業の状況】

1【事業等のリスク】

当中間連結会計期間において、当半期報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項の発生又は前事業年度の有価証券報告書に記載した「事業等のリスク」についての重要な変更はありません。

 

(継続企業の前提に関する重要事象等)

当社は、前連結会計年度において重要な営業損失、経常損失及び親会社株主に帰属する当期純損失を計上しており、当中間連結会計期間においても重要な営業損失、経常損失及び親会社株主に帰属する中間純損失を計上している状態が継続していることから、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象または状況が存在しているものと認識しております。

当該事象または状況を解消するため、当社は、海外事業の抜本的見直しや撤退を含む事業ポートフォリオの検討、研究開発活動の凍結など、徹底したコストダウンを実行してまいります。また、既存事業の営業活動強化による売上高の伸長に加え、新たな海外ネットワーク構築により新規事業領域での収益基盤を確立し、収益力と企業価値の向上に努めてまいります。

なお、財務面においては、保有有価証券の売却、徹底した固定費の削減並びに金融機関からの運転資金の調達等により、当面の事業資金を確保できる見込みであることから、当中間連結会計期間末において資金繰りの重要な懸念はありません。

以上より、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないと判断し、中間連結財務諸表への注記は記載しておりません。

 

2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において判断したものであります。

 

(1)財政状態及び経営成績の状況

当中間連結会計期間における世界経済は底堅く推移しました。米国では雇用の増加を背景に個人消費が堅調に推移し、欧州では利下げ政策が景気を下支えしました。中国では政府の対策により内需が回復傾向にあります。日本経済は、緩やかな回復が続いたものの、物価高による実質賃金の低下から個人消費は横ばいとなりました。一方で、国内旅行の回復や企業の設備投資の増加、金融業・製造業を中心としてIT投資は堅調に推移しました。なお、米国の関税政策や中国経済の減速、地政学リスクなどにより、先行きには不透明感が残っています。

 

こうした経済環境の中、当社グループのビジョンであります「モノづくり現場の目視検査ゼロ」を実現するために、中期経営計画達成に向けた事業戦略を遂行してまいりましたが、当中間連結会計期間の当社グループの売上高は、前中間連結会計期間12億78百万円に対し23.9%減少の9億72百万円となりました。

 

国内画像検査事業においては、主力市場であるラベル印刷分野における設備投資の先送りが続いた影響から、印刷品質検査用ソフトウエア「AsmilVision」を搭載したラベル検査機の販売がさらに低調に推移しました。加えて、当社の最重要戦略製品であるグラビアシリンダー版検査機「GRACE」についても、販売活動の遅れを取り戻すために営業体制を再構築しましたが、その成果が出て参りますまでに時間を要しています。これらの主力製品の販売遅延が重なり、当中間連結会計期間の国内画像検査事業の売上は前年同期比で減少いたしました。

一方、多機能ソフトウエア「FlexVision」を搭載した検版機「S-Scan-LNC」および「AsmilVision」搭載の小型ロールラベル検査機「S-Lab Smart」や枚葉ラベル・シート検査機「S-Con Smart Pro」など、中小企業省力化投資補助金の対象製品として登録されたスマートシリーズの、受注が増大しており今後の売上向上への貢献が見込まれています。

 

このような厳しい状況の中、当連結会計年度に当該事業の営業損失を計上する見通しとなったことから、将来の収益性を慎重に見直しました。その結果、当社の保有する有形固定資産、無形固定資産等について帳簿価額の回収可能性が低下していると判断されたため、445百万円の減損損失を特別損失として計上することといたしました。今後も当社は、収益改善と経営資源の最適化に向けた取り組みを継続して実施してまいります。

 

当社画像検査事業をAI(人工知能)とDX(デジタルトランスフォーメーション)、クラウドサービスで支える株式会社UniARTSは、前連結会計年度においてソフトウエアの減損処理を実施するとともに、DX戦略の推進方法の見直しを行ってまいりました。ラベル印刷メーカーや紙器・パッケージ会社への導入が進行しており、特にAI印刷検査技術は多くの印刷工場現場で高く評価され、実稼働を始めております。

 

ウェブソフトウエアとクラウドサービスの企画・開発・運営を行う株式会社ウェブインパクトは、「WEB給(給与明細サービス)」、「Sync(スケジューラ同期サービス)」、「QUICK GATE(スキー場チケット販売サービス)」などのプロダクト販売や、受託開発、システム運用が引続き堅調に推移するとともに、申請審査システムの行政サービス向けの受注と売上が増加しました。

 

海外市場は、昨年に引続き中国経済悪化による不況の長期化の影響を受けております。

 

当社の中国グループ会社(シリウスビジョン上海)の画像検査事業は、中国経済の長期的な不振により、顧客が設備投資を控える動きが継続しており、これまで営業活動に注力してきたボトル・容器印刷検査機だけでなく、ラベル・銘板外観検査機の販売も不調のまま推移しています。

このような厳しい事業環境に対応するため、シリウスビジョン上海では、人員削減、オフィスの移転・縮小、その他固定費の圧縮といった構造改革をさらに進めてまいりました。今後は、当社画像検査ソフトウエアを採用している中国機械メーカーとの連携を強化し、最小のリソースで当社の画像検査技術の中国市場への浸透を図ってまいります。

なお、中国市場の動向や事業収益性を継続的に監視しつつ、今後の事業継続の是非を含めたあらゆる選択肢を排除せず、柔軟に方向性を見極めてまいります。

 

当中間連結会計期間におけるASEAN画像検査事業は、前連結会計年度までに実施した固定費削減策の効果が一部見られたものの、依然として事業環境は厳しく、業績への寄与は限定的な状況となっております。

当社は、引き続き日本・タイ・ベトナム間の営業・技術連携の強化、現地従業員への教育・管理体制の充実、ならびに効率的な営業活動を通じた新規案件の獲得に取り組んでおります。

その一方で、同地域における事業の持続可能性や収益性を総合的に勘案し、今後の事業展開については、規模の見直しや撤退を含めたあらゆる選択肢を視野に入れ、慎重に検討を進めてまいります。

 

以上の結果、当中間連結会計期間の当社グループの経営成績につきましては、売上高9億72百万円(前年同期比23.9%減少)となりました。また、利益面におきましては、営業損失77百万円(前年同期は11百万円の損失)、経常損失80百万円(前年同期は8百万円の利益)となり、親会社株主に帰属する中間純損失は5億66百万円(前年同期は16百万円の利益)となりました。

 

財政状態について、当中間連結会計期間末における総資産は、前連結会計年度末と比較して5億7百万円減少し、26億85百万円となりました。これは主として、受取手形及び売掛金が1億65百万円増加したものの、現金及び預金が2億26百万円減少し、また原材料及び貯蔵品が40百万円、有形固定資産が1億53百万円、無形固定資産が1億96百万円減少したことによるものであります。

負債は、前連結会計年度末と比較して97百万円増加し、7億43百万円となりました。これは主として短期借入金が2億円増加、支払手形及び買掛金が39百万円、賞与引当金が23百万円、その他の流動負債が16百万円減少したことによるものであります。

純資産は、前連結会計年度末と比較して6億5百万円減少し、19億42百万円となりました。これは主として、利益剰余金が6億15百万円減少したことによるものであります。

これらの結果、自己資本比率は、前連結会計年度末と比較して8.4ポイント減少し、69.0%となりました。

 

(2)キャッシュ・フローの状況

当中間連結会計期間末の現金及び現金同等物は、前連結会計年度末と比較して2億26百万円減少し7億88百万円となりました。

営業活動によるキャッシュ・フローでは、2億7百万円の支出(前年同期は21百万円の支出)となりました。これは主として減価償却費51百万円、減損損失4億45百万円などの調整に加え、棚卸資産の減少57百万円があるものの、賞与引当金の減少23百万円、売上債権の増加1億83百万円、仕入債務の減少25百万円、法人税等の支払28百万円によるものであります。

投資活動によるキャッシュ・フローでは、1億50百万円の支出(前年同期は1億78百万円の支出)となりました。これは主として有形固定資産の取得による支出14百万円、無形固定資産の取得による支出1億38百万円によるものであります。

財務活動によるキャッシュ・フローでは、1億42百万円の収入(前年同期は51百万円の収入)となりました。これは主として配当金の支払46百万円があるものの、短期借入れによる収入2億円によるものであります。

 

(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当中間連結会計期間において、当社グループの優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。

 

(4)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

前事業年度の有価証券報告書に記載した「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。

 

(5)研究開発活動

当中間連結会計期間の研究開発費の総額は41百万円であります。

なお、当中間連結会計期間において当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。

3【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。