第2 【事業の状況】

 

1 【業績等の概要】

(1) 業績

当連結会計年度における世界経済は、平成28年11月の米国・トランプ政権誕生により、保護貿易主義の台頭が懸念されましたが、全体的には世界貿易は増加し、拡大基調にあるとみられております。

地域別に見ますと、我が国におきましては、雇用環境の改善に伴う消費拡大や生産性向上投資を牽引役として、緩やかながらも、いざなぎ景気を超える戦後2番目の景気回復が続いております。

米国におきましては、失業率の低下や平均賃金の上昇を背景に、個人消費が堅調に推移しており、底堅い成長が続いております。これを受け、製造業の景況感も非常に高い水準にあるとの報告がなされております。

年初は政治リスクが懸念された欧州におきましても、過度な政治リスクの後退とともに、欧州経済のファンダメンタルズは改善基調にあり、雇用者所得の増加を追い風に個人消費も強く、消費者と企業の景況感は高水準を維持しております。

一方、中国におきましては5年に1度の党大会が開催を控え、経済の安定成長を最優先する中、足元の景気は固定資産投資や自動車販売に減速が見られるものの、小売売上は底堅く推移しております。

このような経済環境の中、市場の拡大や変化へ対応するための能力増強投資を中心に、国内外で大型受注案件を獲得できたことから、当連結会計年度の受注高は558億1千3百万円前期比18.9%の増加)、売上高は495億1千9百万円前期比10.9%の増加)となりました。また、納期の関係から受注残高は267億7百万円前期比53.0%の増加)となりました。

利益面におきましては、増収効果及び当社グループが得意とする高付加価値製品・システムの販売による利益率改善などにより、営業利益は過去最高を更新し、50億4千5百万円前期比37.9%の増加)、経常利益も同様に52億1千9百万円前期比40.4%の増加)、親会社株主に帰属する当期純利益は35億7千2百万円前期比41.2%の増加)となりました。 

 

セグメントごとの業績は次のとおりであります。

 

<粉体関連事業>

当事業は、粉砕・分級装置、混合・乾燥装置及び日本市場においての大気汚染防止装置、製品捕集用集塵装置、精密空調制御装置等の製造販売、複合ナノ粒子を中心とした新素材開発とその商品化並びに微粉体受託加工サービスを提供するホソカワミクロングループの主力分野であります。

世界的に加速するEVシフトに対応を進める二次電池や磁性材料など自動車関連向けや新商品の投入を進める食品分野向け、重質炭酸カルシウム用などの鉱業向けを中心に大型案件の成約に至ったことから、受注高、受注残高、売上高ともに増加いたしました。

これらの結果、当連結会計年度の受注高は406億4百万円(前期比18.6%の増加)、受注残高は174億8千7百万円(前期比47.3%の増加)となり、売上高は369億4千7百万円(前期比11.1%の増加)となりました。セグメント利益は44億5千3百万円(前期比47.5%の増加)となりました。 

 

<プラスチック薄膜関連事業>

当事業は、単層から多層の各種プラスチック高機能フィルム製造装置の開発・製造・販売を行っております。

米国市場向けが引き続き高水準を維持していることに加え、旧東欧圏を含む欧州向けやアジア地域向けが伸張したことから、受注高、受注残高、売上高ともに増加いたしました。

これらの結果、当連結会計年度の受注高は152億9百万円(前期比19.4%の増加)、受注残高は92億2千万円(前期比65.1%の増加)となり、売上高は125億7千2百万円(前期比10.2%の増加)となりました。セグメント利益は17億1千3百万円(前期比1.3%の増加)となりました。 

 

 

(2) キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度に比べ、42億7千6百万円増加し、168億3千7百万円となりました。各キャッシュ・フローの概要は、次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは、72億5千7百万円の資金の増加(前連結会計年度比30億4千9百万円の増加)となりました。主に税金等調整前当期純利益及び仕入債務の増加によるものであります。 

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは、14億1千4百万円の資金の減少(前連結会計年度比20億7千3百万円の減少)となりました。主に定期預金の預入及び有形固定資産の取得によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは、27億3千9百万円の資金の減少(前連結会計年度比15億8千1百万円の減少)となりました。主に自己株式の取得及び長期借入金の返済によるものであります。

 

 

2 【生産、受注及び販売の状況】

(1) 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

生産高(百万円)

前年同期比(%)

粉体関連事業

23,081

6.1

プラスチック薄膜関連事業

8,886

36.3

合計

31,968

13.1

 

(注) 1 セグメント間の取引については、相殺消去しております。

2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2) 受注実績

当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高(百万円)

前年同期比(%)

粉体関連事業

40,604

18.6

17,487

47.3

プラスチック薄膜関連事業

15,209

19.4

9,220

65.1

合計

55,813

18.9

26,707

53.0

 

(注) 1 セグメント間の取引については、相殺消去しております。

2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(3) 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年同期比(%)

粉体関連事業

36,947

11.1

プラスチック薄膜関連事業

12,572

10.2

合計

49,519

10.9

 

(注) 1 セグメント間の取引については、相殺消去しております。

2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 

3 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1) 会社の経営の基本方針

当社グループは、グローバルな「粉体技術連峰」の形成により、「粉体技術」の分野において常に世界のナンバーワン企業であり続けることを志向しております。既存のプロセス機械装置及びシステムエンジニアリングに加え、新素材などのマテリアルビジネス関連事業を新たに展開し、先端的「粉体技術」の一層の進展を図ります。また、粉体技術関連事業のみならず、プラスチック薄膜技術の分野においても、強力なブランド力と卓越した技術開発力を背景に高付加価値製品を提供し続けることにより競争力の強化を図ってまいります。

 

(2) 目標とする経営指標

当社グループは、資産規模の適正化と収益力の向上をバランスよく推し進め、企業価値を高めていくことを目指しており、連結ROE(株主資本利益率)を主な経営指標としております。

 

(3) 経営環境及び対処すべき課題

足元の経営環境につきましては、「第2 事業の概況 1 業績等の概要 (1) 業績」をご参照ください。また、今後の世界経済は、総じて緩やかな拡大基調が継続するものと想定されておりますが、グローバルでの保護主義的な政策圧力の強まりや、北朝鮮・中東等における地政学上の緊張等を背景に、不透明感は一層増しております。このような状況のもと、当社グループは、平成29年10月1日から「グループ一体となったグローバルマーケティング推進によるブランド力と収益力の強化」を基本方針とし、新たな中期3ヶ年経営計画をスタ-トいたしました。当社グループはナノパーティクルテクノロジーを含む革新的な粉体技術を提供する世界トップ企業であり続け、常に新しい技術と新しい市場の創造に挑むとともに、新素材の開発、製造、販売などのマテリアルビジネスを実現することにより、超優良企業を目指します。

 

つきましては次のような施策を実施し、業績の向上に努めてまいります。

① グローバルマーケティングの強化による新興国や新分野等の成長期待市場への更なる事業拡大 
当社グループが一丸となって、製品、技術、アプリケーションの開発を推進し、市場競争力の強化と収益性向上を目指します。特に、アジア等の成長期待が大きい市場に対しては、当社グループ各社からのサポートを強化することによって現地販売子会社の技術力と商談力の向上を図ってまいります。

② アフターセールス、受託加工事業の拡大及び顧客満足の向上につながる総合サービス事業の展開
アフターセールス事業においてはIoTを活用した先進的な予防保全システム等の構築を、受託加工事業においては継続的な設備投資と事業拠点の戦略的展開によって、これら2事業の拡大を図ってまいります。さらに、機器リースやレンタル、ファイナンスを含めた総合サービス事業体制を整備することにより顧客満足の向上を図り、更なる収益基盤の強化を推進してまいります。

③ 営業、技術、生産、研究開発分野及び財務面におけるグループ戦略の構築と遂行
当社グループが有する経営資源を有効かつ効果的に活用し、当社グループの強みを最大限に発揮できる戦略を構築し、実践してまいります。

④ 新製品開発と製品改良による高付加価値化とコストダウンの推進
原料の各種加工において高性能を発揮する装置の開発・設計にモジュール化の思想を取り入れることで、市場が求める製品の高付加価値化加工及び設備投資やランニングコストの低減を実現する新製品・新技術の開発や既存製品の改良を推進してまいります。

⑤ 業務・製造プロセスの分析と見直しによるグループ事業運営の最適化と業務効率の向上
当社グループの日常業務や製造プロセスを棚卸し、当社グループ間で重複する業務の見直しや改善によって徹底的に無駄を排除して業務効率の向上とコストダウンを図り、事業運営の最適化を進めてまいります。

 

 

4 【事業等のリスク】

当社グループの事業その他のリスクについて、投資家の判断に重要な影響を与える可能性のある事項は下記のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

1 経済状況

当社グループの製品の需要は、製品を販売している国または地域の経済状況の影響を受けております。当社グループの主要市場である日本、アメリカ、欧州、アジアにおける景気及びこれに伴う需要変動で予測を超えた変動があるときは、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

2 為替変動のリスク

当社グループの業績は主として日本円、米ドル、ユーロならびに英国ポンド等の外国為替相場の変動による影響を受けております。当社グループの連結財務諸表は日本円で表示されているため換算リスクと取引リスクという形で為替変動の影響を受けます。為替相場の変動は外国通貨で販売する製品及び調達する材料の価格に影響を与える可能性があります。

 

3 国際的活動に関するリスク

当社グループの海外での生産及び販売活動は、米州、欧州、アジア、中近東、アフリカ等にて展開されています。これらの活動については下記のリスク要因を十分考慮していますが、予測しないリスクが発生したときは、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

・政治又は経済要因

・法律又は規則の変更

・潜在的に不利な税の影響

・労働争議

・テロ行為又は戦闘行為

 

4 製造物責任

当社グループでは、客先との合意に基づく最適な納入仕様の決定を行うとともに、各工場での厳格な品質管理の上、客先の検収をいただいております。製造物にかかる賠償責任につきましては製造物賠償保険に加入していますが、保険でカバーされない製造物責任リスクにより多額のコストが発生する等、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

5 研究開発活動

当社グループは、将来の客先のニーズを予測し、新技術の開発を継続的に実施してきましたが、予測を超えた社会環境の変化や客先のニーズの変化により、最終的に客先にその新技術が受け入れられない可能性があります。
 また、新技術の一部には許認可が必要なものもあるうえ、許認可申請をしても承認される保証はありません。

 

6 重要な訴訟等

現在、当社グループを相手とした訴訟については、妥当と思われる引当額を計上しておりますが、当社側の主張・予測と相違する結果、多額の賠償等コストが発生し、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

7 知的財産保護の限界

当社グループは、他社製品と差別化できる高度な技術及びノウハウを保持しており、またこれらの保護について最善の努力を傾注していますが、特定の地域では知的財産権による完全な保護が困難であるおそれがあり、そのため第三者が当社グループの知的財産を使用して類似した製品を製造することを防止できない可能性があります。一方、当社が使用する技術及びノウハウ等が不可避的に他社の知的財産権に抵触し係争に発展する可能性があります。

 

 

8 取引先の信用リスク

当社グループでは取引先の財務情報を参考に与信管理を行い、取引先の信用リスクに備えています。しかし、倒産のような予期せぬ事態により債権回収に支障が発生した場合は、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

9 減損会計

当社グループの固定資産の時価が著しく低下した場合や事業の収益性が悪化した場合には、固定資産減損会計の適用により固定資産について減損損失が発生し、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

10 敵対的企業買収

当社は、株式公開会社であるため、当社株式を公開買付(TOB)又は市場取引で大量に買い集める投資者が現れる可能性があります。このような投資者が当社株式を買い占めたときには当社の企業価値を毀損する可能性があり、あるいは上場を維持できなくなる可能性があります。

また、当該投資者と当社との間で法的係争に発展する可能性もあります。

 

11 個人情報の流出

当社グループは、事業遂行に関連して多数の個人情報を保有しております。

これらの個人情報の管理に当社グループでは万全を期しておりますが、予期せぬ事態により漏洩する可能性が皆無ではなく、このような事態が生じた場合、当社グループの社会的信用に影響を与え、その対応のための多額負担やブランド価値の低下が当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

12 事実と異なる風説が流布することにより信頼が失墜するリスク

インターネット等を通じて当社グループに対する悪評・誹謗・中傷等の風説が流布する可能性があります。これらは、たとえ事実と異なる内容であったとしても、当社グループへの信頼及び企業イメージを低下させ、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

13 退職給付債務

当社グループの従業員退職給付費用及び退職給付債務は割引率等数理計算上で設定される前提条件や年金資産の期待運用収益にもとづいて算出されています。実際の結果が前提条件と異なる場合、または前提条件が変更された場合、その影響は累積され、将来にわたって規則的に認識されるため、一般的には将来期間において認識される費用及び計上される債務に影響を及ぼし、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

14 災害

当社グループは、地震等の自然災害や感染症の世界的流行(パンデミック)等の各種災害に対して損害の発生及び発生時の損害の拡大を最小限におさえるべく、点検・訓練の実施、連絡体制の整備に努めておりますが、このような災害による物的・人的災害により当社グループの活動に影響を与える可能性があります。

 

5 【経営上の重要な契約等】

(1)技術導入契約

契約会社名

相手先の名称

国名

契約内容

契約期間

ホソカワミクロン
株式会社

Precision Air
Products Company

アメリカ

空気調和並びに換気用空気分布ユニット(吹出口、吸込口)の設計、製造に関する技術契約

平成27年9月1日 (※)
より10年
以後10年毎に自動的に更新される

ホソカワミクロン
株式会社

Gericke AG

スイス

粉粒体振動排出機の製造、販売、技術契約

平成29年8月8日 (※)
より2年
以後2年毎に自動的に更新される

粉粒体微量供給機の製造、販売、技術契約

平成28年6月19日 (※)
より2年
以後2年毎に自動的に更新される

粉砕機等の製造、販売、技術契約

平成28年8月8日 (※)
より2年
以後2年毎に自動的に更新される

 

(注) 1 上記については、ロイヤリティとして売上高の一定率を支払っております。

2 (※)は契約更新年月日を記載しております。

 

(2)技術供与契約

契約会社名

相手先の名称

国名

契約内容

契約期間

ホソカワミクロン
株式会社

ホソカワミクロン
ワグナー株式会社

日本

粉体塗装ガン用定量供給機の製造、販売

平成29年3月1日 (※)より1年
以後1年毎に自動的に更新される

 

(注) 1 上記については、ロイヤリティとして売上高の一定率を受取っております。

2 (※)は契約更新年月日を記載しております。

 

(3)業務提携契約

契約会社名

相手先の名称

国名

契約内容

契約期間

ホソカワミクロン
株式会社

株式会社栗本鐵工所

日本

ナノ技術領域を含む粉体技術に関する相互の技術供与
相互にそれぞれの粉体機器の非独占販売権の供与

平成29年2月21日 (※)より1年
以後1年毎に自動的に更新される

ホソカワミクロン
株式会社

日清エンジニア
リング株式会社

日本

日本国内におけるプラントエンジニアリング、機器販売、粉体受託加工

平成29年11月29日(※)より1年
以後1年毎に自動的に更新される

 

(注) (※)は契約更新年月日を記載しております。

 

(4)総販売代理店契約

契約会社名

相手先の名称

国名

契約内容

契約期間

ホソカワミクロン
株式会社

ホソカワミクロン
化粧品株式会社

日本

化粧品・育毛剤の販売

平成29年10月1日(※)より1年
以後1年毎に自動的に更新される

 

(注) (※)は契約更新年月日を記載しております。

 

(5)商品取引基本契約

契約会社名

相手先の名称

国名

契約内容

契約期間

ホソカワミクロン
株式会社

サントリーウエル
ネス株式会社

日本

育毛剤の販売契約

平成29年1月1日(※)より1年
以後1年毎に自動的に更新される

 

(注) (※)は契約更新年月日を記載しております。

 

 

6 【研究開発活動】

グループの中核企業である当社は、昭和33年に日本で初めて粉体分野の専門研究機関である「粉体工学研究所」を設立するとともに、世界の粉体技術分野のリーディングカンパニーとして、多様化する顧客ニーズに応えて、粉体技術の最前線分野に挑戦することで、新技術創成を目指しております。

当社グループは、グローバルに事業を展開していく中で、日米欧に研究開発拠点を配置して、各研究開発拠点の技術的な特長を生かしながら研究開発テーマを分担することで、グローバルかつ効率的な研究開発体制をしいております。具体的には、研究開発テーマは、各社の研究開発担当部門のリーダーで構成される国際研究開発会議において審議が行われ、分担及び調整が行われております。

研究開発の推進におきましては、特にニーズへの対応が重要であり、例えば、近年需要が急増し高品質化している二次電池や電子部品の材料、トナー、医薬品、機能性食品などの粉体処理、環境・エネルギー関連の各種材料処理、その他様々な粉体特性評価等に対するニーズへの対応のため、新しい粉体関連のシステムや装置あるいは新技術を生み出す努力を続けております。

また、本世紀初頭より重点的に取り組んでおりますナノパーティクルテクノロジー関連の研究開発につきましては、当社のマテリアル事業部 製薬・美容科学研究センターを中心として、生分解性ナノ粒子を用いたDDS(薬物送達システム)技術を中軸に据えて、ビジネス化を含めた製品開発や応用研究を推進しております。近年、化粧品や育毛料などへの技術応用が進み、日本での売上が伸びるとともに、新たに中国をはじめとするアジアへの事業展開が進みつつあります。

当連結会計年度における研究開発活動の主なものは以下のとおりであります。なお、当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費の総額は7億9千8百万円であります。

 

セグメントごとの研究開発活動を示すと次のとおりであります。

1 粉体関連事業

当事業に係わる研究開発費は6億2千9百万円であります。

当社グループの基幹事業である粉体関連事業においては、高機能材料を生み出す粉体処理機械ならびにシステムの開発やその効率化を目指した研究開発を推進すると共に、機能性ナノ粒子を使った化粧品や育毛剤などの新しい材料製品の開発にも力を入れております。 

 

○電子機器関連材料(二次電池材料、磁石、トナー等)

電子機器分野は、近年特に注力すべきマーケットであり、粉体形状物質である二次電池の電極材やその他材料の高付加価値化、ネオジウム高性能磁石やトナーなどの高性能化など、電子機器関連材料のファイン化(超微粒子化)が大きなテーマであります。このような分野では、粒子の被覆や精密分散、球形化、非晶質化等を行う粒子複合化装置が重要であり、新型粒子精密複合化装置(ノビルタ ベルコム)を開発し、現在、積極的に営業活動を実施しております。 

同機は、省スペースでの大容量処理を目的に開発され、最大有効容量は従来機の約5倍、同一動力で比較した原価低減率は30%以上、容積当たりの投入量は従来装置の約2倍と大きく、コンパクトな仕様になっております。 

 

○食品・医薬関係

食品・医薬分野は、粉砕・混合・造粒・乾燥等の個別の粉体プロセスの高付加価値化が重要となる分野であります。昨年に本格販売を開始したCPミキサは、中央に垂直なパドルを持った混合機で、従来機に比べて混合速度が大きく構造もシンプルであるため、特に食品、医薬品への展開を進めております。 

また、同様の構造をもったCP真空乾燥機は、これらの優れた混合機能を生かした真空乾燥機であり、食品・医薬品や化成品にも実績を挙げております。 

さらに、強力なせん断混合機能をもったサイクロミックスは、粉末吸入製剤の製造に有効で、既にいくつかの製薬企業の研究所に納入されております。

 

 

○PLGAナノ粒子関係

当社は、ナノパーティクルテクノロジーを用いた材料事業展開の一つとして、生体適合性ナノ粒子のPLGA(乳酸グリコール酸共重合体)に薬物を封入する医薬技術をベースにして、機能性化粧品ナノクリスフェアや育毛剤ナノインパクトなどの製品を開発して、主に日本で事業化を進めております。

当連結会計年度は、顧客ニーズに具体的に対応する形で、PLGAを応用したまつ毛美容液アイリッシュセラムを新たに開発して、販売活動を開始いたしました。

 

○ミネラル・無機材料関係

ミネラル・無機材料分野は、産業の基礎資材として、重要かつ広範な裾野が広がる分野であります。具体的には、タイヤや電極材に混ぜられるカーボン、鉄鋼生産に必要な石灰、プラスチックに充填されるタルクや亜鉛華、顔料など多種多様に分かれます。

この分野では、ファイン化(超微粒子化)をキーワードに、超微粉砕化、分級の高性能化、工場内リサイクルあるいは鉱物処理の省エネを目指した新型造粒機などの開発が進められており、その一例として、高性能分級装置CR型の開発と粉砕装置・分級装置への応用が進められております。また、摩耗性の強い原料への対応として、部品の耐摩耗化等の検討が進められております。

 

○測定装置関係

当社の測定装置は、粉体物性特性評価を中心にして、基本商品が構成されているのが大きな特徴であります。

当社のロングランヒット製品の一つである粉体特性評価装置(パウダテスタ)は、世界に3,000台の販売実績があり、トナー、製剤、カーボンブラックなどの分野では、標準機として評価されております。現在、使いやすさをさらに改善することを検討中であり、世界的により広く販売を展開していくことを目指しております。

また、Xoptix社(イギリス)から技術導入されたレーザ回折・散乱法によるオンライン粒子径分布測定装置オプティサイザの実用化を進めるとともに、IoT技術への展開としてシステムの遠隔モニタリング・制御への応用に取り組んでおります。

 

○集塵・精密空調設備関係

当社の粉砕装置や分級装置は、微粉化した製品を乾式フィルタで回収するシステムを多数採用しておりますので、集塵装置の性能向上は、大変重要であります。

当連結会計年度は、製品捕集専用に、新たにパルスジェットコレクタVCP(耐圧型)とVSP(標準型)の2機種を開発して、販売を開始いたしました。同機は、プリーツ型フィルタを採用することで、従来機と比べて、設置面積、設置容量とも大幅に削減することに成功いたしました。

 

○その他

Hosokawa Micron Ltd.(イギリス)では、納入した粉体システムの粉砕機や分級機等の主な機械に取り付けた動力計や温度計、振動計等の計測器からのデータを、インターネットの利用により遠隔地で記録、解析し、これらをシステムの適正な運転や、部品の交換時期の見極め等に活用する手法を構築し、その実用化を進めております。

 

2 プラスチック薄膜関連事業

当事業に係わる研究開発費は1億6千8百万円であります。

当社グループのプラスチック薄膜製造装置は、溶解された種類の異なるプラスチックをノズルから噴出して冷却し、最大11層までの円筒状の多層フィルムを連続的に製造する世界最高レベルを有しております。

また、本装置において重要な要素の一つに冷却リングがあります。これまでの冷却リングには空気の入口が4~8つありましたが、内部で良好な気流が得られるように設計し、ガラスファイバ複合体を利用することにより空気入口ソケットを1つにまとめることに成功し、これにより装置の設置や操作が一段としやすくなりました。

 

 

7 【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営成績の分析

当連結会計年度の業績の概要につきましては、「第2 事業の概況 1 業績等の概要 (1) 業績」に記載しておりますので、ご参照下さい。

 

(2) 財政状態の分析

① 資産の状況

当連結会計年度の資産は、前連結会計年度に比べ、89億5千9百万円増加し、568億4千万円となりました。これは、主に現金及び預金が48億4百万円増加したこと、有形固定資産が15億5千8百万円増加したことによるものであります。 

② 負債の状況

当連結会計年度の負債は、前連結会計年度に比べ、36億8千4百万円増加し、228億7千4百万円となりました。これは、主に支払手形及び買掛金が13億7千5百万円増加したこと、前受金が16億9千5百万円増加したことによるものであります。 

③ 純資産の状況

当連結会計年度の純資産は、前連結会計年度に比べ、52億7千5百万円増加し、339億6千5百万円となりました。これは、主に利益剰余金が28億4千万円増加したこと、為替換算調整勘定が29億4千7百万円増加したことによるものであります。 

 

(3) キャッシュ・フローの状況の分析

当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況の分析につきましては、「第2 事業の概況 1 業績等の概要 (2) キャッシュ・フローの状況」に記載いたしておりますので、ご参照下さい。