文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
THKグループは、機械の直線運動部分を“軽く”“正確に”動かすため、“すべり”を“ころがり”化する重要な機械要素部品を世界へ供給しています。「世にない新しいものを提案し、世に新しい風を吹き込み、豊かな社会作りに貢献する」という経営理念のもと、1971年の創業以来、創造開発型企業として「LMガイド(Linear Motion Guide:直線運動案内)」をはじめとする機械要素部品を供給し、工作機械、半導体製造装置など様々な機械装置の高精度化、高剛性化、高速化、省エネルギー化を実現し、必要不可欠な部品として産業の発展に貢献してまいりました。
当社グループは、LMガイドを開発して以降、世界のトップメーカーとして、お客様の多様なニーズにお応えする中で蓄積してきたノウハウによる高品質な製品や幅広い提案力により、お客様から高い信頼を獲得しています。近年では産業分野のみならず、自動車、医療機器、航空機、サービスロボットなど消費財に近い分野に加え、免震・制震装置、再生可能エネルギー関連など自然災害や気候変動のリスクを低減する分野へと当社グループの製品の採用が広がっています。このように、世界中で多くのお客様より供給が求められる中、エッセンシャルビジネスとして本業を通じた社会貢献を実現しながらも、気候変動など地球環境が変化する中で持続可能な社会の実現に向けた取り組みを進め、企業価値の増大を図ってまいります。
(2) 中長期的な会社の経営戦略
当社グループは、地理的な領域拡大を目指した「グローバル展開」と用途的な領域拡大を目指した「新規分野への展開」に加え、AI、IoT、ロボットをはじめとするテクノロジーを徹底活用する「ビジネススタイルの変革」を成長戦略の柱として掲げ、事業領域の拡大を図っております。
グローバル展開では、日本・米州・欧州・アジアの4極において、現地で生産して販売するという「需要地における製販一体体制」を構築しています。日本国内における当社グループのLMガイドをはじめとする直動製品の認知度は高く、市場シェアも高水準で推移する一方、海外では普及率が日本国内に比べて低いことから、まだ多くの潜在需要が存在すると考えております。近年は、とりわけ中長期的に需要の拡大が見込まれる中国やその他の新興国において、販売網の拡充ならびに生産体制の強化を図っています。加えて、先進国においてもユーザーの裾野が広がる中で着実に需要を取り込むべく販売網を拡充し、さらなる成長へと繋げています。
新規分野への展開では、LMガイドを中心とする製品群の現在の主な顧客は資本財メーカーですが、自動車、医療機器、航空機、サービスロボットなど消費財に近い分野に加え、免震・制震装置、再生可能エネルギー関連など自然災害や気候変動のリスクを低減する分野へと当社グループの製品の採用が広がっています。このように産業分野のみならず我々の身の回りにも膨大な需要が存在すると考えており、これらの需要を取り込むべく、これまで培ってきた直動システムのコア技術を応用した新製品を投入し、新規分野への展開を加速しています。
ビジネススタイルの変革では、デジタルテクノロジーが急速な進展を見せる中、AI、IoT、ロボットをはじめとする新たなテクノロジーを販売、生産、開発などのあらゆる面で徹底的に活用することにより、ビジネスの進め方や仕組みの変革を図っています。お客様向けコミュニケーションプラットフォーム「Omni THK」、製造業向けIoTサービス「OMNIedge」、そして「THK DX プロジェクト」の推進など、あらゆる取り組みにより新たな顧客体験価値を創造し、ビジネスのさらなる拡大を図っています。
今後もこれらの取り組みとともに、収益性の向上や財務体質の強化を強力に推進し、企業価値の増大を図ってまいります。
(3) 経営環境
当社グループの需要環境においては、デジタルテクノロジーの急速な進展や、地球環境保護機運の高まり、そして先進国における人手不足や長寿命化などのマクロ動態の変化がメガトレンドを形成する中、「5G」「AI・IoT」「CASE」「インダストリー4.0」「自動化・省人化・省エネ化」といった変化のキーワードが表れています。そして、これらのキーワードから、半導体製造装置・FA関連向け製品、サービスロボット関連製品、医療機器向け製品、電動アクチュエータ、次世代自動車部品、Omni THK、OMNIedgeなどの当社グループが提供する製品やサービスが求められており、その成長ポテンシャルは中長期かつ飛躍的なものになると考えられます。したがって、これらの需要を顕在化させるとともに着実に取り込むべく、成長戦略を推し進めてまいります。
(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
産業機器事業においては、既存顧客の深耕を図るともに、デジタルテクノロジーが急速に進展する中、ビジネススタイルの変革を推し進め、さらなる事業領域の拡大を図っています。お客様向けコミュニケーションプラット
フォーム「Omni THK」においては、THKの在庫品検索、短納期品の入手、選定・CADデータ・見積書取得とあらゆる工程をサポートすることに加え、標準品・セミオーダー品の短納期対応機能「Delivery」、お客様の製品管理情報とTHKの製品情報の紐付管理機能「Your Catalog」、お客様の需要予測とTHKの製造予定の照合による予実管理機能「Forecast」など、新たな顧客体験価値を提供しています。一方社内においては、「THK DXプロジェクト」を推進し、これらを成し遂げるべく、社内のシステムもお客様の発注から当社の出荷まで人を介さずに、一気通貫で自動で流れる仕組みの構築を目指し、飛躍的な生産性向上を図っています。このように顧客向けの「Omni THK」と社内改革の「THK DX プロジェクト」の両面からなる改革を連携しながら推し進め、新たな顧客体験価値の創出・提供により顧客満足度の向上を図っています。製造業向けIoTサービス「OMNIedge」は、「THK SENSING SYSTEM」で取得したデータを、エッジコンピューティングルータ、セキュアなデータ通信回線を通じて、機械要素部品の状態を数値化し解析することで、予兆の検知ができるシステムです。部品状態の見える化により、保全業務の効率化、在庫管理コストの削減、設備稼働率の向上を実現し、生産計画のスムーズな遂行をサポートします。今後も本サービスを通じて、製造現場の持続的な生産性向上に貢献してまいります。
輸送機器事業においては、半導体をはじめとする部材不足による自動車の減産や鋼材価格の値上がりなどにより営業損失が続いています。そのような中、グローバルにおける生産品目・生産ラインの見直しや、人員・組織再編、アウトソーシングに加え、生産性・工程改善を強化することによるコスト削減による収益性改善を図っています。一方、自動車業界における自動運転化や電動化をはじめとするCASEの潮流を追い風に、直動製品で培ったコア技術を活かした次世代自動車向けの新製品の開発・販売活動を加速しています。
(5) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、2026年度を最終年度とする経営目標として連結売上収益5,000億円、営業利益1,000億円、ROE(親会社所有者帰属持分当期利益率)17%、EPS(基本的1株当たり当期利益)590円を掲げ、成長戦略を展開し持続的な企業価値の増大を図っております。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 当社のリスク管理体制
当社は、当社グループの事業活動に関わるあらゆるリスクを的確に把握し、経営陣による適切なリスクテイクを支えるため、社長を委員長とするリスク管理委員会を設置し、リスク管理規程に基づく全社的なリスク管理体制を構築しています。リスク管理委員会では、当社グループの事業活動に関して抽出されたリスクとその対応策を策定するとともに、リスク管理体制が有効に機能しているかどうかの検証を行っております。
また、当社は、リスクを組織の収益や損失に影響を与える「不確実性」と捉え、マイナスの側面とプラスの側面の両面があると考えており、マイナス面のリスクに対して適切にリスクヘッジしつつ、プラス面のリスクに対して積極的なリスクテイクを行うことができれば、今後の持続的成長につながると考えています。
(2) リスクの特定方法
当社は、リスク管理規程に則り、当社グループ全体を対象にリスクアセスメントを毎年実施しています。国内外のグループ会社および当社の各部門から報告を受けたリスクアセスメントの結果を基に「発生可能性」、「影響度」の2つの評価軸でマッピングを行うことで、リスクの重要度を評価し、リスク対策の優先度を決定しています。リスクの発生頻度、影響度はそれぞれ5段階で評価し、数字が高いほど、またリスクとして抽出した会社・部門が多いほど、リスクが高くなります。
(3) 事業等のリスク
<特に重要なリスク>
① 災害・地政学的問題・テロ・感染症等について
当社グループは、日本国内はもとより、米州、欧州、アジア他に製造・販売拠点を有していますが、これらの事業拠点及び取引先の事業拠点において、地震・火災等の災害やテロ攻撃・戦争による政情不安または感染症蔓延等による被害を受けた場合には、生産活動をはじめとする企業活動全般に重大な影響を与える可能性があります。当社グループでは、事業継続計画(BCP)を策定し、危機発生時において被害を最小化するための事前対策や事業を継続、早期復旧するための対策を講じるとともに、地震や大雨等の自然災害発生時に、自社への影響を速やかに把握できる危機管理サービスを導入し、被害地域にある事業所及び取引先の把握と被害による部品供給状況を速やかに把握できる体制を整えておりますが、リスクを完全に回避することは困難であり、想定を超える被害が発生した場合には、結果として当社グループの経営成績及び財政状態が影響を受けるおそれがあります。
なお、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的な感染拡大は経済活動にも影響を及ぼしており、グローバルに事業展開する当社グループの事業活動に大きく影響しています。
当社グループでは、2020年2月より新型コロナウイルス対策会議を原則として毎日開催し、世界中に展開する当社グループ各社と連携し、各国・地域の政府や自治体の指導に基づいた対策をいち早く開始しました。新型コロナウイルス感染症の収束が見えないなか、製品やサービスの提供に支障が生じないよう、生産・物流を含めたサプライチェーン網の維持等にも最大限の努力を続けております。
また、感染拡大防止の施策として、従業員、顧客、取引先等のステークホルダーの安全の確保と事業継続を最優先に考え、在宅勤務や時差出勤等を実施するとともに、リモートワークツール等の積極的な活用により業務を継続できる環境を確保しています。
現時点では、新型コロナウイルス感染症の収束時期や世界経済に及ぼす影響の大きさについては予測が困難であり、今後事態が更に深刻化、長期化した場合、当社グループの経営成績及び財政状態が影響を受けるおそれがあります。
② 海外事業の拡張について
当社グループは、米州、欧州、アジア他に製造・販売拠点を有しておりますが、中国をはじめとする新興国製品の台頭により、特に価格面における競争環境はグローバル規模で厳しさを増しています。
当社グループでは、顧客の心で考え、行動し、検証する「顧客志向」の立場で日々営業活動を行うとともに、LMガイドの故障及び潤滑診断、予兆検知等のネットワーク機能を備えた「OMNIedge」、当社と顧客を繋ぐコミュニ
ケーションプラットフォームである「Omni THK」等、ITを活用して顧客や市場のニーズを的確に捉える仕組みを導入し、高性能で付加価値の高い製品の開発、提供を継続して進めていますが、顧客や市場のニーズを十分に予測できず、魅力ある新製品を開発できない場合や新製品の市場への投入が遅れた場合、他社が画期的な新製品を開発することによって、当社製品が機械要素部品及び輸送用機器要素部品に占める地位を失うに至った場合には、将来の成長と収益性を低下させるおそれがあります。
また、グローバルで政治・経済情勢や法規制、関税や安全保障貿易管理に基づく輸出規制等に関する最新の状況をモニタリングし、取引形態やサプライチェーンの見直し等の対策を講じ、事業への影響の低減を図っていますが、当社グループの製品を製造・販売している国や地域の政治情勢や経済状況の変動、あるいは予期せぬ法規制等の変更により、当社グループの経営成績及び財政状態が影響を受けるおそれがあります。
③ 人財について
当社グループは、競争力を維持するため、優秀な人財を国内外で継続的に採用し、“個力の強化”を目標に、従業員の成長支援に取り組んでいます。また、新卒のみならずキャリア採用を強化するとともに、女性・高齢者・障がい者の活躍支援、自己申告制度による従業員の希望の確認等、体制面や従業員エンゲージメントの向上に努めています。
しかしながら、少子高齢化を背景として各分野における人財の確保競争が激しさを増すなか、新型コロナウイルス感染症の拡大以降、特定分野のスキルを持った人財に対する世界的な需要の高まりが競争に拍車をかけており、当社グループが計画どおりに適切な人財を採用できなかった場合やその育成に齟齬が生じた場合、技術・技能の承継にも支障をきたし、当社グループの事業の遂行に制約が生じる可能性があります。
また、当社グループでは安定した労使関係の構築に努めていますが、海外においては労使慣行の相違が存在し、法制度や経済環境、社会環境の変化等予期せぬ事象を起因とする労使関係の悪化や労働争議の発生、また新興国を中心として従業員の賃金が急上昇した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態が影響を受けるおそれがあります。
④ 特定産業界における需要動向の変化による影響について
当社グループは、LMガイドやボールねじ等の機械要素部品と、リンクボールやサスペンションボールジョイント等の輸送用機器要素部品を製造・販売しており、工作機械や一般機械、半導体製造装置をはじめとする産業用機械メーカーと輸送用機器メーカーが主要顧客です。当社グループでは、「グローバル展開」、「新規分野への展開」及び「ビジネススタイルの変革」の三つの戦略軸によるビジネス領域の拡大を進め、特定の顧客・製品に依存しないようリスクの分散に努めていますが、現状においては、当社グループの業績は主要顧客である工作機械、一般機械、半導体製造装置、輸送用機器等の産業界における需要動向に影響を受けています。
従って、将来において特定の産業界における急激な需要動向の変化等により、当社グループの経営成績及び財政状態が影響を受けるおそれがあります。
⑤ 原材料や部品の調達について
当社グループは、製品の製造に使用する原材料及び部品を、国内に限らず広く世界中の複数の供給元から調達しています。これらの供給元を“共に成長するための重要なパートナー”と位置付け、新技術・新工法・新素材等の情報を出し合う場を設けるなど協調体制を組み、安定かつ継続的な供給の維持を図るとともに、徹底したコスト管理に努めています。さらに、紛争鉱物への対応や環境への配慮等、サプライチェーンを通じて、社会からESG観点での高度な対応が求められていることから、供給元の事業者に「CSR調達ガイドライン」を配布し、CSR調達の徹底を図っています。
しかしながら、供給元の生産能力不足や品質不良、倒産、コンプライアンス違反あるいは火災や地震等の自然災害等に加え、感染症の発生等を契機として供給元の所在する国や地域でロックダウン(都市封鎖)等が行われ、サプライチェーン寸断による原材料および部品の不足が生じた場合や原油高の影響、原材料供給国の社会情勢、新興国における需要の高まり等を背景として原材料価格が予期せぬ高騰を示した場合、当社グループの経営成績及び財政状態が影響を受けるおそれがあります。
<重要なリスク>
① 製品の品質問題について
当社グループの製品は、工作機械、産業用ロボット、半導体製造装置等の産業用機械から、自動車、免震・制震装置、医療機器、アミューズメント機器、航空機等の民生品分野にも採用が拡がっています。
そのような中、当社グループは、国内外の各生産拠点において品質マネジメントシステムであるISO9001を認証取得し、それに従った各種製品・サービスの開発や製造を行うことで、産業機器事業の品質保証体制の整備を図るとともに、自動車産業をはじめとする輸送機器事業、また航空宇宙産業等の新たな分野に適応する各種品質セク
ター規格を認証取得し、あらゆる市場に適合する高い品質保証体制の構築に努めています。
しかしながら、製品に欠陥が生じるリスクをゼロに低減することは不可能であり、万が一大規模なリコールや製造物賠償責任につながるような予期せぬ製品の不具合が発生した場合、多大な費用の発生や社会的信用の低下、取引停止等により、経営成績及び財政状態が影響を受けるおそれがあります。
また、当社グループはグローバルな製造物責任保険等に加入しておりますが、損害賠償等の損失についてその全てを担保するという保証はありません。
② 為替レートの変動について
当社グループは、輸出入等を中心とした外貨建取引について、為替予約等により為替リスクをヘッジしておりますが、為替レートに大幅な変動が生じた場合、当社グループの経営成績及び財政状態が影響を受けるおそれがあります。
また、連結財務諸表を作成するにあたって在外子会社の財務諸表を円換算しておりますが、現地における通貨金額が変わらない場合においても、換算時の為替レートにより円換算後の連結財務諸表上の金額が影響を受けるおそれがあります。
③ 情報セキュリティについて
当社グループは、事業活動を通して、個人情報を入手することがあり、また、営業上・技術上の機密情報を保有しています。
当社グループでは、社長を委員長とする「情報セキュリティ委員会」を設置・運用しており、当委員会には、外部の専門家もオブザーバーとして参加し、情報セキュリティに関する管理体制やルールの整備・強化を図るとともに、国内外の個人情報保護を始めとする法規制強化への都度対応、情報リテラシーを高めるための社員教育の実施等、情報の厳格な管理に努めています。
また、当社グループは、事業全般において様々なコンピューターシステム及びITネットワークを活用しており、これらシステムには十分な安全対策を施しています。
近年、サイバー攻撃の手口の高度化・巧妙化、クラウドサービスの利用の増加等、情報セキュリティに関するリスクが高まっていることから、適宜セキュリティの強化に努めていますが、サイバー攻撃、コンピューターウイルスの感染、不正アクセス、インフラ障害、情報システムの不具合等により情報が流出した場合や重要データの破壊、改ざん、システム停止等不測の事態が生じた場合には、当社グループに対する社会的信用の低下や事業活動の中断、対策費用の発生、多額の課徴金の支払い、取引の停止等により、当社グループの経営成績及び財政状態が影響を受けるおそれがあります。
④ 環境問題について
当社グループは、地球環境を健全な状態で次世代に引き継いでいくことは企業の社会的責務であるとの認識に立ち、THKグループ環境基本方針を制定し、省エネルギー製品の開発、環境負荷の継続的な低減と自然環境の維持・改善等に努めています。また、当社グループは、各生産拠点において環境マネジメントシステムの国際規格であるISO14001の認証を取得するとともに、国内外の環境関連法令の遵守はもちろんのこと、EUの有害物質規制法RoHS指令及びREACH規則や中国の電子情報製品生産汚染防止管理弁法に代表される様々な規制に対しても、国内・海外の生産拠点に対して「グリーン調達ガイドライン」を適用し対応しており、これまで重大な環境問題が発生したことはありません。
しかしながら、不測の事態により将来において環境問題が発生した場合には、損害賠償や対策費用の発生、罰金等の行政処分、社会的信用の低下、生産活動の停止等により、当社グループの経営成績及び財政状態が影響を受けるおそれがあります。
また、環境に関する規制がさらに厳格化し、追加の義務や費用負担が発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態が影響を受けるおそれがあります。
⑤ コンプライアンスについて
当社グループは、グローバルな事業展開を行っており、様々な国の法令・規則の適用を受けています。
当社グループでは、コンプライアンス意識の徹底と不正を許さない職場環境の醸成のため、社長を委員長とする「コンプライアンス委員会」を設置・運用しており、当委員会には、外部の専門家もオブザーバーとして参加し、法令・社内規範・倫理規範の遵守を目的とした体制を整備し、公正な企業活動に努めています。また、当社グループの役職員が共有・遵守すべき「THKグループ行動憲章」を制定し、当社グループの全役職員に周知するとともに、必要な社内教育を実施するなど、コンプライアンス意識の向上を図っています。
また、内部通報制度を整備し、担当部署、監査等委員会、顧問弁護士と社内外に3つの通報窓口を設け、法令や社内規範等に違反する行為、またはそのおそれのある行為について、通報を受け付け、コンプライアンスリスクの未然防止に努めています。
しかしながら、グローバルに事業を展開するなか、コンプライアンスリスクを完全に回避することは困難であり、法令違反等が生じた場合には、当社グループが刑事上、民事上、行政上の責任を負い、また社会的信用の低下等により、当社グループの経営成績及び財政状態が影響を受けるおそれがあります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及び
キャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 経営成績の状況
当連結会計年度においては、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大の影響が続き、世界経済の先行きに強い不透明感が残る中でも、いち早く経済活動を再開した中国の回復に加え、米国をはじめとする先進国においても持ち直しの動きが見られました。そのような中、各国におけるワクチン接種の進展などに伴い、全体の景況感は改善の方向に向かう兆しが見られました。
当社グループでは、「LMガイド(直線運動案内:Linear Motion Guide)」をはじめとする当社製品の市場を拡大すべく「グローバル展開」と「新規分野への展開」、「ビジネススタイルの変革」を成長戦略の柱として掲げています。グローバル展開では、中国やその他の新興国においてFA(Factory Automation)の進展などを背景としてマーケットは成長し、先進国でもユーザーの裾野が広がる中、これらの需要を取り込むべくグローバルで生産・販売体制の拡充に努めています。新規分野への展開では、自動車、医療機器、航空機、ロボットなど消費財に近い分野に加え、免震・制震装置、再生可能エネルギー関連など自然災害や気候変動のリスクを低減する分野においても当社グループ製品の採用が広がる中、従来品のみならず新規開発品の売上収益の拡大を図っています。さらに、これらの戦略を推し進めるべく、様々な面でAI、IoT、ロボットをはじめとするテクノロジーを徹底的に活用することで、ビジネススタイルの変革を図り、ビジネス領域のさらなる拡大を図っています。
そのような中、産業機器事業においては、世界に先んじて経済活動を再開した中国に続き、先進国を含む他の地域においても需要が急速に回復する中、これらの需要を着実に取り込み売上収益へと繋げました。一方、輸送機器事業においては、半導体などの部材不足による自動車の減産の影響を受けました。これらの結果、連結売上収益は前期に比べて991億8千9百万円(45.3%)増加し、3,181億8千8百万円となりました。
コスト面では、輸送機器事業において自動車の減産や鋼材価格の上昇などの影響を受けましたが、産業機器事業における売上収益の増加に加え、生産性向上に向けた各種改善活動を引き続き推進したことなどにより、売上原価率は前期に比べて3.9ポイント低下し、74.9%となりました。
販売費及び一般管理費は、売上収益の増加などにより前期に比べて61億5千4百万円(13.7%)増加し509億8千8百万円となりました。売上収益に対する比率は、売上収益の増加に加え、各種費用の抑制や業務の効率化に努めたことなどにより、前期に比べて4.5ポイント低下し16.0%となりました。
これらの結果、営業利益は前期に比べて387億6千8百万円増加し302億6千8百万円(前年同期は84億9千9百万円の営業損失)となりました。
金融収益は21億4千5百万円、金融費用は24億3千万円となりました。
これらの結果、税引前利益は397億9百万円増加し299億8千4百万円(前年同期は97億2千5百万円の税引前損失)、親会社の所有者に帰属する当期利益は329億9千9百万円増加し230億7百万円(前年同期は99億9千2百万円の親会社の所有者に帰属する当期損失)となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
(日本)
日本では、産業機器事業において、引き続き回復基調で推移しているエレクトロニクス関連をはじめ、全般的に需要に回復の動きが見られました。そのような中、これらの需要をこれまでの工場拡張や自動化、ロボット化による生産性向上に向けた取り組みなどにより、着実に売上収益へと繋げた結果、売上収益は前期に比べて329億9千4百万円(36.5%)増加し1,233億7千3百万円となりました。セグメント利益(営業利益)は売上収益の増加などにより、前期に比べて396億6千3百万円増加し、222億6千2百万円(前期は174億円の損失)となりました。
(米州)
米州では、産業機器事業において、エレクトロニクス関連を中心に全般的に需要に回復の動きが見られる中、これらの需要をこれまで推し進めてきた生産性向上に向けた取り組みなどにより着実に売上収益へと繋げました。これらの結果、売上収益は前期に比べて112億1百万円(24.3%)増加し、572億2千万円となりました。セグメント損益(営業損益)は、売上収益の増加などにより、前期に比べて21億5百万円改善しましたが、輸送機器事業における損失の影響により、11億3千4百万円の損失(前期は32億3千9百万円の損失)となりました。
(欧州)
欧州では、産業機器事業において、全般的に需要に回復の兆しが見られる中、これらの需要をこれまで推し進めてきた生産性向上に向けた取り組みなどにより、着実に売上収益へと繋げました。これらの結果、売上収益は前期に比べて109億7千3百万円(27.9%)増加し、502億4千7百万円となりました。セグメント損益(営業損益)は、売上収益の増加などにより、前期に比べて46億4千5百万円改善しましたが、輸送機器事業における損失の影響により、13億3千7百万円の損失(前期は59億8千3百万円の損失)となりました。
(中国)
中国では、世界に先んじて経済活動が再開され、全般的に需要の回復が続く中、これらの需要をこれまで推し進めてきた生産性向上に向けた取り組みなどにより、着実に売上収益へと繋げました。これらの結果、売上収益は前期に比べて339億8千7百万円(102.7%)増加し、670億7千2百万円となりました。セグメント利益(営業利益)は売上収益の増加などにより、前期に比べて57億2千9百万円(153.6%)増加し、94億5千9百万円となりました。
(その他)
その他では、インド・ASEANをはじめとして当社グループ製品への需要の裾野が着実に広がる中、当社グループにおいては販売網の拡充に加え、新規顧客を開拓すべく積極的な営業活動を展開しました。加えて、一部地域で中国における需要の回復の影響を受けたことなどにより、売上収益は前期に比べて100億3千3百万円(98.0%)増加し、202億7千4百万円となりました。セグメント利益(営業利益)は売上収益の増加などにより、前期に比べて16億3千1百万円(252.2%)増加し、22億7千8百万円となりました。
② 財政状態の状況
資産は、現金及び現金同等物が74億8百万円減少しましたが、営業債権及びその他の債権が267億8千8百万円、棚卸資産が171億4千1百万円、有形固定資産が122億1千3百万円、繰延税金資産が25億9千2百万円増加したことなどにより、前連結会計年度末に比べ559億1千2百万円増加の5,160億8千6百万円となりました。
負債は、社債及び借入金が8億1千1百万円減少しましたが、営業債務及びその他の債務が96億9千1百万円、未払法人所得税が69億6千2百万円増加したことなどにより、前連結会計年度末に比べ167億7千1百万円増加の2,017億9千6百万円となりました。
資本は、利益剰余金が138億9千4百万円、自己株式が27億6千8百万円、その他の資本の構成要素が214億円、非支配持分が10億7千6百万円増加したことなどにより、前連結会計年度末に比べ391億4千万円増加の3,142億8千9百万円となりました。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前利益299億8千4百万円、減価償却費及び償却費187億4千8百万円、営業債務及びその他の債務の増減額106億1百万円などのキャッシュ・インに対し、営業債権及びその他の債権の増減額248億9千8百万円、棚卸資産の増減額141億9千6百万円、法人所得税の支払額32億1千6百万円などの
キャッシュ・アウトが発生したことにより、156億4千3百万円のキャッシュ・イン(前連結会計年度は253億9千9百万円のキャッシュ・イン)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出192億4千8百万円などのキャッシュ・アウトにより、191億2千5百万円のキャッシュ・アウト(前連結会計年度は184億6百万円のキャッシュ・アウト)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の返済による支出21億8千5百万円、自己株式の取得による支出50億8千8百万円、配当金の支払額35億6千8百万円などのキャッシュ・アウトが発生したことにより、127億2千5百万円のキャッシュ・アウト(前連結会計年度は39億7千7百万円のキャッシュ・イン)となりました。
これらの結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べて、74億8百万円減少し、1,514億3千万円となりました。
④ 生産、受注及び販売の実績
当社グループの生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その容量、構造形式等は必ずしも一様ではなく、また受注生産形態をとらない製品も多く、連結ベースにおいてはセグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。
このため、生産、受注及び販売の状況については、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ① 経営成績の状況」に関連付けて記載しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
連結売上収益は3,181億8千8百万円、営業利益は302億6千8百万円、税引前利益は299億8千4百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益は230億7百万円となり、売上収益、各利益項目ともに前期に比べて増加しました。これに伴いROE(親会社所有者帰属持分当期利益率)は8.1%、EPS(基本的1株当たり当期利益)は181.97円となりました。
事業別の状況を見ると、産業機器事業においては国内外の各地域において需要が回復基調で推移する中で、これらの需要をこれまでの工場拡張や自動化、ロボット化による生産性向上に向けた取り組みなどにより着実に売上収益へと繋げました。輸送機器事業においては半導体などの部材不足による自動車の減産の影響を受けました。これらの結果、売上収益は前期に比べて増加しました。
地域別の状況を見ると日本では、産業機器事業において、引き続き回復基調で推移しているエレクトロニクス関連をはじめ、全般的に需要に回復の動きが見られた一方、輸送機器事業においては自動車の減産の影響を受けました。米州では産業機器事業におけるエレクトロニクス関連を中心に需要に回復の動きが見られた一方、 輸送機器事業においては、自動車の減産の影響を受けました。欧州では産業機器事業においては、全般的に需要の回復が見られた一方、輸送機器事業においては、自動車の減産の影響を受けました。中国では世界に先んじて経済活動が再開され、産業機器事業において全般的に需要の回復が続きました。アジア他地域ではインド・ASEANをはじめとして当社グループ製品への需要の裾野が着実に広がる中、一部地域で中国における需要の回復の影響を受けました。
コスト面では、輸送機器事業において自動車の減産や鋼材価格の上昇などの影響を受けましたが、産業機器事業における売上収益の増加に加え、生産性向上に向けた各種改善活動を引き続き推進したことなどにより、前期に比べて増益となりました。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a.財務戦略の基本的な考え方
当社グループは、企業価値向上に向けた資金を適切に調達、配分しております。加えて、パンデミック、自然災害、不測の事態の発生時においても事業を継続し、当社製品の供給責任を果たすべく、強固な財務基盤を堅持することを財務戦略の基本としております。財務基盤の堅持に関しては、安定的な資金調達を可能とするため、格付機関である格付投資情報センターおよび日本格付研究所からともに取得している「A+(シングルAプラス)」の維持向上を目指しております。主要な金融機関とは良好な取引関係を維持しており、加えて強固な財務基盤を有していることから、当社グループの事業の維持拡大、運営に必要な運転資金、投資資金は調達可能であると認識しております。
b.資金の調達と流動性
当社グループの資金の源泉は、主として営業活動からのキャッシュ・フローとコマーシャルペーパー、社債の発行及び金融機関からの借入などの財務活動による資金調達になります。当期の営業活動によるキャッ
シュ・フローは、156億4千3百万円であります。財務活動においては、主要な金融機関において、コミットメントライン300億円を設定しており、緊急時の資金調達手段を確保しております。
また、当社グループでは、日本国内、米州、欧州及び中国の各地域において、グループ各社が保有する資金をグループ内で効率的に活用するキャッシュ・マネジメントシステムを構築し運用しております。日本国内においては当社、米州及び欧州においては当社の金融子会社、中国においては持株統括会社が資金集中管理を行うことにより資金の偏在をならし、資金の効率化、流動性の確保を図っております。
c.資金需要
当社グループの主な資金需要は、製品製造のための原材料及び部品の購入費、製造経費、販売費および一般管理費等の運転資金に加え、生産効率及び品質向上、生産能力増強を目的とした設備投資や技術革新に対応した研究開発のための資金ならびに配当金支払いなどを見込んでおります。
当連結会計年度の設備投資額は、前連結会計年度の163億5千6百万円に比べ53億7千2百万円(32.8%)増加し、217億2千9百万円となりました。需要が回復基調で推移する中、工場拡張や自動化、ロボット化による生産性向上に向けた取り組みなどにより、設備投資額は前連結会計年度に比べ大きく増加しました。研究開発費は、前連結会計年度の53億4千9百万円に比べ2億1千1百万円(4.0%)増加し、55億6千万円となりました。配当金支払額は、35億6千8百万円となりました。
これらの設備投資、研究開発のための資金や、配当金の支払などの原資については、主に自己資金で賄っております。
d.経営資源の配分に関する考え方
当社グループは、将来の収益の獲得を目的とする設備投資や研究開発投資を実施すること、安定的な配当の継続を基本とするとともに業績に応じた積極的な利益配分を実施すること、そして内部留保を充実させて強固な財務基盤を堅持することが重要であると考えております。
利益配分につきましては、期間損益に対して連結配当性向30%を基本としておりますが、1株当たり配当金の下限を年間15円(中間・期末各7.5円)と設定しております。内部留保金につきましては、事業機会を的確に捉えるために必要となる水準を保持することを基本とし、当社グループの成長戦略の柱である「グローバル展開」、「新規分野への展開」、「ビジネススタイルの変革」の取り組みなどに有効活用してまいります。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(以下「連結財務諸表規則」という。)第93条の規定によりIFRSに準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成に当たって、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。
なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針、4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載しております。
また、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う会計上の見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 37.追加情報」に記載しております。
該当事項はありません。
当社グループは、本社およびテクノセンター(東京都)を研究開発拠点として、基幹のLMシステムをはじめ、精密XYステージやリニアモータアクチュエータなどのメカトロ機器、さらに自動車、免震・制震装置、医療機器、航空機、再生可能エネルギー、ロボットなどの消費財に近い分野において、LMシステムのコア技術とノウハウを活かした製品開発に努めております。
海外では、2010年に中国に海外初の研究開発拠点となるR&Dセンターを設置し、2012年に本格稼動を開始しました。さらに、2015年から新たに連結子会社となったTHK RHYTHM AUTOMOTIVEのドイツの研究開発部門を加え、世界各地のお客様のニーズにより的確にお応えできるよう、米州、欧州、アジアを視野に入れた最適地開発体制の構築を進めております。
産業機器関連事業では、ロバスト性を高めた総ローラーガイド「SRN-G形」を開発しました。工作機械の高性能化要求に貢献していきます。新しく市場投入したクロスローラーガイド「VRG形」は、THK独自のラック&ピニオン機構の採用によりケージずれの発生を防止し、軽く滑らかな動きと安定した動作を実現しました。半導体製造装置、電子部品の製造装置や、光学式の測定器などでの使用に最適です。また、非磁性材料の「THK-NM1」を開発し、電子線描画装置、電子顕微鏡などに使用可能な高機能非磁性対応のLMガイド、ボールスプラインを市場投入しました。リニアブッシュでは、「LMHB形」を開発しラインナップの拡充を図りました。リニアブッシュ本体をハウジングに圧入して組み付ける設計で、機械装置のコンパクト化、組付け工数削減に貢献します。ボールねじでは、ミニチュアボールねじ「MBF形」「MTF形」「小型BLK形」のラインナップを大幅に拡充しました。半導体製造装置、電子部品実装機、医療関連装置などの使用に最適です。アクチュエータでは、駆動部のボールねじ軸に左右ねじを採用したLMガイドアクチュエータ「KR-RL形」を市場投入しました。開閉の動作がモータ1つで実現可能で、把持、計測、位置決め等の用途で使用が可能です。免震・制震装置としては、サーバーラックの制震装置「TRMD形」を開発しました。サーバーラック頂部に制震装置を設置するため、サーバーが稼働した状態での設置が可能です。
ロボット関連では、SEED-R7シリーズとして等身大上体ヒューマノイド「SEED-Noid」、昇降ユニット「SEED-Lifter」、全方向移動台車「SEED-Mover」を市場投入しました。これらプラットフォームロボットは、サービスロボットに不可欠なメカ設計、電気・電子制御、基本ソフトを一体化した各種ユニットであるため、ロボット開発に伴う負担を軽減し、お客様のトータルコスト削減と開発スピードアップに貢献します。また、ワーク形状にならって吸着または把持し安定した搬送ができる、ならいハンドシリーズ「TNH形」を開発し、モノづくり日本会議/日刊工業新聞社主催の”超”モノづくり部品大賞「機械・ロボット部品賞」を受賞しました。「TNH形」が吸着、または把持できるワークは、小型部品、食料品、プラスチック製品、陶器などオールラウンドなため、ワークごとに専用ハンドを取り揃える必要がなくなり、またハンド交換も不要になるため、初期費用の削減と生産性向上によるコストダウンが可能となります。
IoT関連では製造業向けIoTサービス「OMNIedge」を2020年1月に本格的に市場投入し、LMガイド、ボールねじ、アクチュエータの部品状態を見える化し、予兆検知が可能になるサービス運用を実施しています。また2022年よりモータ、ファン、ポンプ等の回転部品の予兆検知をラインナップに追加しました。
輸送機器事業では、自動車の電動化に伴い、軽量化ニーズへの対応と拡販に向け、新工法を採用したアルミ製品の市場投入を開始するだけでなく、北米ではアルミ鍛造技術を内製化し、米国のお客様のみならず、現地調達化ニーズのある日系メーカーのお客様にもご採用いただいております。
また、L&S(リンケージ アンド サスペンション)事業だけでなく、第2の柱としてCASE関連の自動車用ボールねじ製品を開発、量産しております。新たに足回り関連部品にも採用が決定しており、更なる拡販に向け、シリーズ化を進めてまいります。
引き続きお客様がまだ気づかれていない、5年先、10年先のニーズを見据えた真のマーケットインを目指した次世代製品の開発を推進するとともに、現在のお客様のニーズにお応えした製品ラインナップの拡充に努めてまいります。
当連結会計年度における研究開発費の総額は