第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

(1)業績

当連結会計年度における当社グループを取り巻く環境は、前年度に引き続き、海岸堤防工事を中心とする東日本大震災からの復旧・復興工事や、国土強靭化施策に基づく海岸・河川堤防などの社会インフラに対する事前防災、長寿命化対策など、防災に関する公共事業が高水準で推移しました。

当社グループでは、圧入技術で杭を地盤に押し込み、地球と一体化した粘り強い構造物を構築する「インプラント工法」を早くから提唱、実践しており、「インプラント工法で世界の建設を変える」という経営方針のもと、国際圧入学会(IPA)や全国圧入協会(JPA)と協働し、科学に裏付けられた合理的で確かな建設技術として、その普及拡大に努めてきました。4月には、国土交通省が運用するNETIS(ネティス=新技術情報提供システム)に「硬質地盤クリア工法」が「活用促進技術」として指定されるなど、国内の公共事業におけるインプラント工法の位置付けは確実に高まっています。

こうした中、建設機械事業におきましては、新型圧入機「Fシリーズ」の販売が好調に推移しました。5月に市場投入を開始したU形鋼矢板400mm幅専用機「サイレントパイラーF111」をはじめとする「Fシリーズ」は、「モジュール化設計(構成部品の標準化)」に基づき、すべてのパーツを構造・形状・材料から見直し最適化を図り、広範な地盤条件と施工環境に応じて最適な圧入施工が行える汎用性の高いモデルで、国内外で好評を得ています。

圧入工事事業におきましては、東日本大震災の復興工事として大船渡市をはじめとする岩手県の沿岸地域、また南海トラフ巨大地震に備える高知県の高知海岸にて「インプラント堤防」をそれぞれ建設中です。

地下開発製品の受注も好調に推移しており、高知県と高知市が新設する新図書館等複合施設「オーテピア」に耐震地下駐車場「エコパーク」1基を、京都市市庁舎前と東京都港区新橋の桜田公園内に耐震地下駐輪場「エコサイクル」をそれぞれ2基建設中です。また、神奈川県藤沢市の「Fujisawaサスティナブル・スマートタウン(Fujisawa SST)」に可搬式自転車駐輪システム「モバイルエコサイクル」1基を設置、パナソニック株式会社と連携し、新しいシェアサイクルシステムの実証運用をスタートさせました。

設備投資におきましては、5月に販売製品の保守機能強化および部品供給の新拠点として、千葉県浦安市に約12,000㎡の土地および建物を取得しました(取得価額4,381百万円)。現在、早期稼働に向けて、建物の改修および天井クレーンをはじめとする必要設備の拡充を鋭意図っております。

この結果、当連結会計年度における売上高は18,824百万円(前期比26.6%増)となりました。利益面におきましては、営業利益3,233百万円(同49.7%増)、経常利益3,302百万円(同50.0%増)、当期純利益2,156百万円(同49.7%増)となりました。

セグメントの業績は、次のとおりであります。

①建設機械事業

建設機械事業におきましては、新型圧入機「Fシリーズ」の販売が好調に推移し、建設機械事業の売上高は12,654百万円(前期比22.2%増)、セグメント利益は3,813百万円(同36.2%増)となりました。

②圧入工事事業

圧入工事事業におきましては、高知海岸における堤防耐震改良工事「インプラント堤防」に加え、「エコパーク」、「エコサイクル」といった地下開発製品の受注が順調に推移し、圧入工事事業の売上高は6,170百万円(前期比36.6%増)、セグメント利益は590百万円(同136.0%増)となりました。

(2)キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ313百万円減少し、4,662百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況につきましては次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は、前年同期と比べ1,290百万円増加して3,734百万円となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益3,286百万円、仕入債務の増減額2,499百万円等によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は、8,282百万円(前年同期は175百万円の取得)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出7,776百万円等によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果得られた資金は、前年同期と比べ4,196百万円増加して4,218百万円となりました。これは主に、株式の発行による収入5,178百万円等によるものであります。

2【生産、受注及び販売の状況】

(1)生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(千円)

前年同期比(%)

建設機械事業

12,630,193

103.0

圧入工事事業

6,170,327

136.6

合計

18,800,520

112.0

 (注)1.金額は、実際販売価格で表示しております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

3.セグメント間の取引については相殺消去しております。

(2)受注状況

 当連結会計年度における圧入工事事業の受注状況を示すと、次のとおりであります。

 なお、建設機械事業の製品については見込み生産を行っております。

セグメントの名称

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

圧入工事事業

7,715,907

180.4

2,702,756

233.6

 (注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

(3)販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(千円)

前年同期比(%)

建設機械事業

12,654,368

122.2

圧入工事事業

6,170,327

136.6

合計

18,824,695

126.6

 (注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 2.セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

3【対処すべき課題】

 わが国では、震災からの復旧・復興に加え、加速的に増えている多くの自然災害に備える国土強靭化、さらには生活を豊かにする社会インフラの強化・再生が喫緊の課題となっております。当社グループは、このような課題の早期解決のために、開発のスピードを上げ、新製品・新工法をいち早く市場に投入すべく鋭意努力してまいります。

 また、インプラント工法の採用拡大に伴い当社製品の需要が増大しており、当社の供給力の向上が課題となっております。これに対しては、当社は本来、生産工場を持たないファブレスメーカーでありますので、引き続き生産委託先の新規開拓をグローバルに推し進めることで供給力の向上に努めて参ります。

 当社グループの潜在的な課題として、過去の実績やその採択数によって工法が採用される建設工事の古い「工法選定基準」の存在が挙げられます。この課題に対しては、前述の「建設の五大原則」に基づく工法選定基準へと転換するよう建設業界全体に強く働きかけております。

4【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

 なお、文中の将来に関する事項は、提出日現在において当社グループが判断したものであります。

(1)当社グループが属する市場環境について

 当社グループは、国民の視点から見た「建設工事のあるべき姿」を環境性、安全性、急速性、経済性、文化性の五つの要件に集約した「建設の五大原則」として定め、これに則って建設市場の状況に左右されにくい機械・工法の開発を目指しており、当社グループの機械・工法が建設業界を革新する大きな潮流となると確信しております。

 しかしながら、国内外の建設市場の状況、特に公共投資の動向は当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(2)海外事業について

 当社グループは、海外において欧州・アジア・米国にそれぞれ100%子会社を拠点として置き、積極的に事業展開を進めております。また、各国個別の建設市場状況に影響を受けにくい普遍的要素に則った事業展開を行うべく、構造物の企画・計画から、構造設計、構造部材・機械システムの開発、施工・施工管理、さらには出来上がった構造物の維持管理までをトータルパッケージで市場に提供する体制の準備を進めております。

 しかしながら、異文化の下での商慣行の違い、為替レートの変動、各国政府ごとの法制度や規制の変更等は、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(3)自然災害等について

 自然災害等に対しては当社グループの重要な事業課題として国土防災を実現する新工法提案を行うなど、積極的な開発、提案等を進めております。また、今後の大きな自然災害等に対しても、当社グループ内での危機管理規程に基づく緊急事態への備えを確立し、事業継続を長期的なビジョンで実現する新規プロジェクトの構築の準備を進めております。

 しかしながら、当社グループの機械・工法の開発拠点、機械装置の主たる製造拠点が高知県にあり、南海トラフ巨大地震等の発生をはじめとする重大な自然災害、感染症など深刻かつ広範な社会的な悪影響が発生した場合においては、当社グループおよびサプライチェーンや社会全体の混乱から、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(4)製造環境について

 当社は機械の製造については機械設計を自社で行い、製造自体は社外の協力提携企業への外注で対応しており、納期管理や品質管理方法に対する基準の徹底、製造コストや需要の変動に応じた外注先の拡大等で生産体制の維持を図っております。

 しかしながら、素材やエネルギーコストの変動、予期せぬ製品の不具合、調達先および外注先の納期・コスト・品質等の取引条件の変動が生じた場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(5)法的規制等について

 建設業界は、一般に建設業法、建築基準法、労働安全衛生法等の法令の適用を受けており、当社グループが進めている工法革命、建設の五大原則による工法選定等の建設工事のあるべき姿の実現には、これら法的規制や業界慣行等の規制緩和が不可欠となっております。東日本大震災でも明白となったとおり、自然災害から人命と財産を守り安全で豊かな社会を維持していくには、最先端の素材や技術が投入され、科学に裏付けられた確かな構造物が整備されなくてはなりません。そのため当社グループは、建設のあるべき姿を自らの提案するインプラント工法で社会へ示し実証することでその実現を進めておりますが、現行の法的規制等が変更されない場合や予期せぬ変更がされた場合には、当社グループの事業範囲の縮小など、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(6)情報、知財管理等について

 当社グループは開発型企業として圧入工法の開発を継続的に進め、新工法提案をしており、建設市場の基礎分野で存在価値の向上に努めております。新工法の開発、提案、実現の積み重ねは、発明を含む重要な技術情報や特殊な営業情報を保有することになります。それら知的財産や営業情報等の機密情報の管理については細心の注意を払い、関連情報の改ざん、漏洩、滅失、第三者の不正使用等の情報管理に関する事故が無いように適切な措置を講じております。

 しかしながら、想定外の情報管理に関する事故や、開発の範囲の拡大に伴う予期せぬ権利侵害が発生した場合は、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

5【経営上の重要な契約等】

契約会社名

相手方の名称

契約内容

契約期間

㈱技研製作所

(当社)

㈱垣内

当社製品の外注加工について、発注、原材料等の支給、納入条件、品質保持、支払条件、秘密保持等について基本契約を結び、相互に安定した取引の継続を図っております。

自 平成26年9月1日

至 平成27年8月31日

(1年毎の自動更新)

 

6【研究開発活動】

(建設機械事業)

当社グループは、建設工事の無公害化、地球温暖化防止をはじめとする各種環境負荷の低減、圧入原理の優位性を活かしたインプラント構造による建設の工法革命を基本理念として、油圧式杭圧入引抜機「サイレントパイラー」とその周辺機器の研究開発および、耐震地下駐車場「エコパーク」と耐震駐輪場「エコサイクル」を主体とする研究開発に取組んでおります。

当連結会計年度の開発につきましては、製品の信頼性向上、自動化、省力化、グローバル化を追及した開発に力を入れ、建設の五大原則を遵守した新奇性、発明性の高い機械・工法の開発を行いました。

まず油圧式杭圧入引抜機につきましては、グローバル展開を見据えたシリーズ化として400mm幅U形鋼矢板に対応した複合式圧入機「F111」、700mm幅Z形鋼矢板圧入機「F301-Z700」および1400㎜幅WZ形鋼矢板圧入機「F401-Z1400」の新規開発を完了しました。

周辺装置につきましては、最新の排ガス規制に適合したパワーユニット「EU200L4」、鋼管クランプクレーン「CB4-2」、クランプクレーン用鋼管クランプアタッチメント「AM155」、鋼管杭列用ユニットランナー「UR5」、ジャイロ単独自走アタッチメント「RA127」、地中障害物除去アタッチメント「R396」およびインプラント橋脚圧入装置「RA123」の新規開発を完了しました。

その他、インプラント構造の研究開発を行う試験設備「津波シミュレーター」を開発しテクニカルセンター内に設置しました。

当連結会計年度の研究開発費の総額は522百万円となっております。

当連結会計年度における研究開発の主な成果は次のとおりであります。

 

①圧入機

400㎜幅U形鋼矢板複合式圧入機    F111       圧入能力  1,000キロニュートン

700㎜幅Z形鋼矢板圧入機       F301-Z700  圧入能力  1,000キロニュートン

1400㎜幅Z形鋼矢板圧入機       F401-Z1400 圧入能力  1,500キロニュートン

 

②周辺装置・その他装置

パワーユニット           EU200L4

クランプクレーン          CB4-2

鋼管クランプアタッチメント     AM155

ユニットランナー          UR5

ジャイロ単独自走アタッチメント   RA127

地中障害物除去アタッチメント    R396

インプラント橋脚圧入装置      RA123

 

③その他研究開発

 津波シミュレーター

 

(圧入工事事業)

 研究開発活動は行っておりません。

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、提出日現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経営成績の分析

「1 業績等の概要 (1)業績」に記載のため省略しております。

(2)財政状態に関する分析

①資産、負債および純資産の状況

当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ10,466百万円増加して35,501百万円となりました。流動資産は前連結会計年度末に比べ2,585百万円増加して17,601百万円、固定資産は前連結会計年度末に比べ7,880百万円増加して17,900百万円となりました。

流動資産増加の主因は、受取手形及び売掛金が2,510百万円増加したことによるものであります。

固定資産増加の主因は、建設仮勘定が5,289百万円、機械及び装置及び運搬具が1,337百万円増加したことによるものであります。

当連結会計年度末の負債の合計は、前連結会計年度末に比べ3,524百万円増加して12,395百万円となりました。流動負債は前連結会計年度末に比べ3,531百万円増加して9,852百万円、固定負債は前連結会計年度末に比べ6百万円減少して2,543百万円となりました。

流動負債増加の主因は、支払手形及び買掛金が2,568百万円増加したことによるものであります。

固定負債減少の主因は、製品機能維持引当金が173百万円増加した一方で、長期借入金が246百万円減少したことによるものであります。

当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末に比べ6,941百万円増加して23,106百万円となりました。この主因は、資本金、資本剰余金が5,207百万円、利益剰余金が1,499百万円増加したことによるものであります。この結果、自己資本比率は、前連結会計年度末の64.4%から64.6%となりました。また、1株当たり純資産額は、前連結会計年度末の760円67銭から929円48銭となりました。

(3)キャッシュ・フローの状況の分析

キャッシュ・フローの状況の分析につきましては、「1 業績等の概要 (2)キャッシュ・フローの状況」のとおりでありますが、指標のトレンドを示しますと以下のとおりであります。

 

平成25年8月期

平成26年8月期

平成27年8月期

自己資本比率(%)

71.6

64.4

64.6

時価ベースの自己資本比率(%)

52.7

154.8

110.6

キャッシュ・フロー対有利子負債比率(%)

68.0

62.8

33.4

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

199.3

168.5

276.6

(注)自己資本比率:自己資本/総資産

時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い

1.各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。

2.株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。

3.営業キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。