文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)会社経営の基本方針
当社グループは、以下のとおり経営理念および経営方針を定め、実践しております。
①経営理念
当社は、設立以来、下記を経営理念としております。
『経営理念』
一. 我社は世の中の役に立つ独創的な「物」「方法」を創造し世の中に貢献する。
一. 我社は顧客の立場に立って「物」「方法」を創造し、より価値の高い物を、お客様に与え続ける。
一. 我社は正しい倫理の上に立ち、真面目な事業運営で永久繁栄を計る。
一. 我社に対し力を貸してくださっている方々に少しでも多くの利益をもたらし、共存共栄を計る。
一. 我社の社員は一丸となって努力し如何なる時代が来ようとも絶対につぶれる事のない強靭な体質を作り、事業の永久繁栄を計る。
一. 我社の社員はもっともっと人間性を高め社会的地位の向上を計ると共に財産の増強を計る。
②経営方針
当社は、国民の視点に立った建設工事のあるべき姿として、「建設の五大原則」を掲げ、これを遵守する新しい建設業界への転換を図る「工法革命」を提唱し、実践しております。
その中核をなす技術が「インプラント工法」であり、その普及・拡大により、世界の建設を変えることを経営方針として掲げております。
『経営方針』 インプラント工法で世界の建設を変える
「建設の五大原則」
≪いかなる工事も環境性、安全性、急速性、経済性、文化性の五つの要件を調和のとれた正五角形で実現しなくてはならない≫
環境性: 工事は環境に優しく、無公害であること
安全性: 工事は安全かつ快適で、工法自体が安全の原理に適合していること
急速性: 工事は最短の時間で完了すること
経済性: 工事は合理的で新奇性・発明性に富み、工費は安価であること
文化性: 工事は高い文化性を有し、完成物は文化的で芸術性に溢れていること
(2)中期的な会社の経営戦略
当社グループは「中期経営計画(2022年8月期-2024年8月期)」を策定しております。当該期間は、10年後1,000億円を目標として飛躍的な発展を目指すための基盤づくりの期間と位置付けております。
【長期ビジョン】
『インプラント工法のパッケージ化によるグローバル展開』
・建設をグランドデザインするグローバル・エンジニアリング企業になる。(海外売上比率を7割とする)
・高収益企業(賢い企業)体質を確立する。
【基本戦略】
①『インプラント工法の技術提案に特化したグローバル展開』
・防災主体からすべてのインフラ整備に適用範囲を拡大させる。
・「圧入原理の優位性」を発揮する案件を軸に世界へ技術提案を実施する。
・見て理解できる施設により、インプラント工法の普及拡大につなげる。
・ビジョンと技術力に共感し、互いに発展を遂げるためのパートナーを発掘する。
②『付加価値の高い工法・製品を開発し社会にソリューションを提供』
・ICT施工の実現による進化した圧入工法を実施する。
・計測器によるモニタリングで構造物の健全性を可視化する。
・開発型企業として新しい発明をすることで社会課題を解決する。
・スマートファクトリーによりデジタル技術でリソースを最適化し、最短で高付加価値の製品を提供する。
【サステナブルな社会への貢献】
「公害対処企業」としての設立時から、環境問題への対処は当社グループの原点であります。常に将来を見据えたソリューションを社会に提供し続け、持続可能な社会の実現と、永続的な企業価値の向上を目指しています。
SDGsへの取り組み
・災害に強い強靭なインフラ構築
地震や津波、洪水にも粘り強く耐え、急速構築できるインプラント構造物の提案、普及を通じて強靭で持続可能なまちづくりに貢献する。
・仮設レス施工
従来工法では必要な仮設工事(仮設材製造・運搬・設置撤去)が不要なため、大幅なCO2排出量の削減が可能。
・機能構造物の提供
社会の変化に柔軟に対応する機能の見直し、部材の再利用を前提とした構造物を提供する。
・圧入システムの自動化・電動化
圧入機とシステム機器の自動化により労働力不足を解消し生産性を向上させる。また、電動化により脱化石燃料を図る。
・生産体制の変更
必要なものを必要な分だけ生産する受注生産体制に移行し、資源利用を最小限に抑制する。
・賢い企業活動を徹底
GIKENのニューノーマルを徹底し、働き方の多様化を推進。生産性・働きがいの向上につなげ、効率的な経営を実現する。
2024年8月期連結
売上高 35,000百万円 営業利益 5,500百万円
国内売上高 25,000百万円
海外売上高 10,000百万円
(3)経営環境および対処すべき課題
①新生建設業界への転換
人命や財産を守り社会生活を維持・向上するためのインフラは、社会において極めて重要な位置付けにあり、本来、その目的の重要さから最適・最新の技術を導入する必要性があります。しかしながら、現実には建設業界は他の産業と比べ技術的、制度的な革新が遅れております。その要因は、過去の実績で工法が採用されるという「前例主義」で工法選定が硬直化していることや、時代や社会の変化を前提とする建設のグランドデザインが無いことが挙げられます。こうした状況下、当社グループは、建設をあるべき姿(新生建設業界)へ転換することを社会における使命と位置付け、その課題解決を図っております。
前例主義の業界の中で、今後の当社グループが新工法提案を実現するプロセスでは、現状の建設の技術等の課題を浮き彫りにすると同時に、建設の制度的改革へのアプローチ等が必要になります。こうした関連において対処すべき課題が以下の内容となります。
1)「建設の五大原則」に基づく工法選定への転換
これまで工法選定が前例主義であったため技術革新が進まず、例えば有事の際に備えた構造物でも有事の際に目的や責任を十分に果たすことができないといったリスクを社会が負わされてきました。
当社グループでは、今後、時代の中で最新かつ最適な工法選定がなされるよう前述の「建設の五大原則」に基づく「工法選定基準」へと転換すべく、発注者やコンサルタント等、業界の上流に向けた普及活動の推進を行っております。
2)実証科学に基づく構造物の科学的な裏付け
当社グループでは、科学的に証明された、確実に目的や責任を果たす構造物とその構築方法を確立するため、学術組織である国際圧入学会と連携し、理論と実践を融合させた学術探究により実証科学で圧入杭と地盤のメカニズムを解明する取組みを推進しております。
さらには、社会においては、構造物の構築時のみならず長期間にわたる機能確保こそが必要であり、それを実証可能とするために、杭や地盤内にセンサーを配備することで構造物に「神経」を通し、構造物から得られた情報を活用する「神経構造物」の実現への取組みも行っております。
このように、インプラント構造物を「圧入原理の優位性」に基づき実証科学で証明し、性能と健全性の立証に取り組んでおります。
3)持続的発展に応じた社会インフラへのグランドデザインの反映
科学技術や文化の進歩が著しい現代において、構造物は目的・構造・設置場所を時代や社会の変化に応じて柔軟に対応できるよう「機能」を基調にしたものであるべきです。しかしながら社会の変化を前提としたグランドデザインがなされていないことから、スクラップ&ビルドが当たり前となっており、社会変遷の中で、コスト面だけでなく環境面など社会全体に対して大きな負担を強いております。
当社グループでは、社会の変化を前提としない「永久構造物」から、循環型で持続可能な社会を実現する機能重視の「機能構造物」へと転換する社会システムの提案を推進し、その実現を図っております。
②グローバル化の推進
当社グループは中長期的に海外売上比率を全体の7割とすることを目標に掲げております。世界的な気候変動に伴う自然災害への対策、老朽化した社会インフラの再生・強化が、日本国内のみならず世界的に喫緊の課題となっているためであります。そのため、建設をグランドデザインする『グローバル・エンジニアリング企業になる』を目下の目標として、更なる海外展開のためのプラットフォームづくりを行っております。
具体的な内容として、「インプラント工法のパッケージ化」によるビジネス展開、海外事業パートナーへの技術提供、各国官公庁等への工法普及活動を推進しております。
③工法・機械の省力化・自動化
わが国では生産年齢人口の減少が予想されている中、建設分野においても、生産性向上は避けられない課題となっております。当社グループでは早くから圧入機製品「サイレントパイラー」の高度化による施工効率の向上、「GRBシステム」をはじめとする工法のシステム化・プレハブ化による生産性の向上に取り組んできました。今後はファブレス化の推進などにより開発スピードの向上に努めるとともに、自動運転などの技術に「AI」、「IoT」を積極的に活用することで、機械と工法の一層の省力化・自動化を図り、人手不足の解消、施工精度や安全性、施工効率のさらなる向上を進めていきます。
④気候変動問題への対応
気候変動への対策が世界的な課題となっている中、当社グループにとっても、自然災害の激甚化、平均気温の上昇、導入が検討されている炭素税などが事業活動や業績に影響を及ぼす可能性があります。「公害対処企業」として創業した当社にとって気候変動対策の推進は使命でもあります。
当社グループは2022年10月、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言への賛同を表明し、気候変動に関連するリスク・収益機会を特定した上で、シナリオ分析を行いました。併せてグループの活動に伴うCO2排出量の削減目標を定め、分析の結果を踏まえた対応策を進めています。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)当社グループが属する市場環境について
当社グループは、国民の視点から見た「建設工事のあるべき姿」を環境性、安全性、急速性、経済性、文化性の五つの要件に集約した「建設の五大原則」として定め、これに則って建設市場の状況に左右されにくい機械・工法の開発を目指しており、当社グループの機械・工法が建設業界を革新する大きな潮流となると確信しております。
しかしながら、国内外の建設市場の状況、特に公共投資の動向は当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(2)海外事業について
当社グループは、海外において欧州・アジア・米国・豪州それぞれに拠点として子会社を置き、積極的に事業展開を進めております。また、各国個別の建設市場状況に影響を受けにくい普遍的要素に則った事業展開を行うべく、構造物の企画・計画から、構造設計、構造部材・機械システムの開発、施工・施工管理、さらには完成した構造物の維持管理までをトータルパッケージで市場に提供する体制の準備を進めております。
しかしながら、異文化の下での商慣行の違い、為替レートの変動、各国政府ごとの法制度や規制の変更さらには地政学的なリスク等は、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(3)自然災害・感染症等について
自然災害等に対しては当社グループの重要な事業課題として国土防災を実現する新工法提案を行うなど、積極的な開発、提案等を進めております。また、今後の大きな自然災害等に対しても、当社グループ内での危機管理規程に基づく緊急事態への備えを確立し、事業継続を長期的なビジョンで実現する新規プロジェクト構築を進めております。
しかしながら、当社グループの機械・工法の開発拠点、機械装置の主たる製造拠点が高知県にあり、南海トラフ巨大地震等の発生をはじめとする重大な自然災害、感染症など深刻かつ広範囲にわたる社会的な悪影響が発生した場合においては、当社グループおよびサプライチェーンや社会全体の混乱から、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
なお、新型コロナウイルス感染症拡大を契機とし、テレワークやスライドワークの導入、提案や販売活動のオンライン化で生産性の向上を図るとともにコスト削減を図り、新しい時代に向けた企業体質の強化を進めております。今後も新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大に伴う事業環境の変化が当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があり、引き続き注視してまいります。
(4)製造環境について
当社は機械の製造については機械設計を自社で行い、製造は社外の協力提携企業への外注で対応しており、納期管理や品質管理方法に対する基準の徹底、製造コストや需要の変動に応じた外注先の拡大等で生産体制の維持を図っております。
しかしながら、素材やエネルギーコストの変動、調達先および外注先の納期・コスト・品質等の取引条件の変動が生じた場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(5)法的規制等について
当社グループの事業においては、建設業法などの法的規制を受けております。その主要な許認可等は下記のとおりです。当社グループでは現時点において、許認可等の取消または更新欠落の事由に該当する事実はありません。
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株式会社技研製作所 |
株式会社技研施工 |
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取得年月 |
2021年6月 |
2019年7月 |
2022年1月 |
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許認可等の名称 |
特定建設業許可 |
一級建築士事務所 |
特定建設業許可 |
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所管官庁等 |
国土交通大臣 |
高知県 |
国土交通大臣 |
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許認可等の内容 |
国土交通大臣許可 (特-3) 第19752号 |
高知県知事登録 (第1309号) |
国土交通大臣許可 (特-3) 第14570号 |
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有効期限 |
2026年7月3日 (5年ごとの更新) |
2024年7月17日 (5年ごとの更新) |
2027年1月9日 (5年ごとの更新) |
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法令違反の要件および 主な許認可取消事由 |
不正な手段による許可の取得や役員等の欠格条項違反に該当した場合等 (建設業法第29条) |
建築士事務所の開設者がその建築士事務所の業務に関し不正な行為をしたとき等 (建築士法第26条第2号) |
不正な手段による許可の取得や役員等の欠格条項違反に該当した場合等 (建設業法第29条) |
(6)環境規制について
当社グループの製品は環境に配慮した設計で排出ガス規制と騒音規制に適合しております。これらの規制に関する当社グループの届出の内容は下記のとおりです。
当社グループでは、最新の排出ガス規制への適合に加えて、低騒音建設機械の指定、生分解性作動油の使用など、建設機械の環境対策に関して先駆的に取り組んでおります。今後も積極的に環境に配慮した製品開発を進めていきます。
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届出の名称 |
届出先 |
法律名 |
取消事由 |
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低騒音建設機械の指定 (※) |
国土交通省 |
低騒音型・低振動型建設機械の指定に関する規程 |
・不正の手段により型式指定を受けた場合 ・指定機械が左記規程第2条第1項の騒音基準値又は第2項の振動基準値に適合しなくなった場合 ・製造の中止、商号、機械名称の変更の届出を怠った場合 |
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特定特殊自動車型式届出(※) |
環境省 |
特定特殊自動車排出ガスの規制等に関する法律 |
・基準に適合しなくなった場合 (当該特定特殊自動車の排気管から大気中に排出される排出ガスの光吸収係数が0.50m-1を超えないもの) |
(※)いずれも株式会社技研製作所が届出を行っております。なお、いずれも有効期限は規定されていません。
(7)情報、知財管理等について
当社グループは開発型企業として機械や工法の開発を継続的に進め、新工法の提案を行っており、建設市場の基礎分野で存在価値の向上に努めております。機械や工法の開発、提案、実現の積み重ねは、発明やノウハウ等の知的財産を含む重要な技術情報や特殊な営業情報を保有することになります。それら技術情報や営業情報等の機密情報の管理については細心の注意を払い、関連情報の改ざん、漏洩、滅失、第三者の不正使用等の情報管理に関する事故が無いように適切な措置を講じております。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社および連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態および経営成績の状況
1)財政状態
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ3,027百万円増加して54,694百万円となりました。流動資産は前連結会計年度末に比べ3,210百万円増加して30,117百万円、固定資産は前連結会計年度末に比べ182百万円減少して24,576百万円となりました。
流動資産増加の主因は、製品が502百万円減少した一方で、現金及び預金が2,229百万円増加したことによるものであります。
固定資産減少の主因は、投資その他の資産が267百万円増加した一方で、機械装置及び運搬具等の有形固定資産が407百万円減少したことによるものであります。
当連結会計年度末の負債の合計は、前連結会計年度末に比べ1,315百万円増加して13,438百万円となりました。流動負債は前連結会計年度末に比べ1,575百万円増加して12,103百万円、固定負債は前連結会計年度末に比べ260百万円減少して1,334百万円となりました。
流動負債増加の主因は、契約負債(前連結会計年度は前受金及び未成工事受入金)が664百万円、支払手形及び買掛金が343百万円増加したことによるものであります。
固定負債減少の主因は、長期借入金が145百万円減少したことによるものであります。
当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末に比べ1,711百万円増加して41,256百万円となりました。この主因は、株主資本が1,443百万円増加したことによるものであります。自己資本比率は、総資産の増加に伴い前連結会計年度末の75.7%から74.5%となりました。また、1株当たり純資産額は、前連結会計年度末の1,426円10銭から1,481円41銭となりました。
2)経営成績
当社グループは、事業の飛躍的発展を目指し、中期経営計画(2022年8月期-2024年8月期)の長期事業展望として「2031年8月期の売上高1,000億円」を掲げました。中計の初年度に当たる当期は、達成に向けた戦略や数値目標を盛り込んだ「長期ロードマップ・GIKEN GOALS 2031」の作成を進め、各部門において具体的な取り組みがスタートしました。
当期における当社グループを取り巻く事業環境は、国内における公共投資は底堅さを維持したうえ、民間建設投資は持ち直しの動きが継続し、顧客の設備投資意欲は堅調に推移しました。しかしながら、ウクライナ情勢等を背景とした原材料やエネルギーコスト高騰等による経済の先行きは不透明な状況が続いています。こうした中、当社は6月受注分より原材料等の価格上昇を吸収するため、製品価格を5~10%上げて価格転嫁しました。
国内における工法提案活動では、技術提案のさらなる推進を図るため組織体制を強化し、引き続き災害復旧・復興事業や防災・減災対策、インフラ長寿命化対策等の国土強靭化関係を中心にインプラント工法※1の普及拡大に取り組みました。その成果として、熊本県を中心に大きな被害をもたらした令和2年7月豪雨の被災地では、被災道路や橋梁の復旧および再度災害防止工事において工法採用が進みました。また、河川の氾濫により崩落した国道219号(熊本県球磨村)および210号(大分県日田市)では、グループ会社の株式会社技研施工が再度災害を防ぐ粘り強いインプラント構造の道路擁壁を構築しました。このほか、地震・津波・高潮対策としての防潮堤や水害対策としての河川護岸改修、高速道路整備、港湾施設の改良等のインフラ整備に加え、民間で事前防災対策として工場を水害から守る遮水壁が採用される等、工法の適用範囲が広がり、採用は順調に増加しました。
※1 一本一本が高い剛性と品質を有した杭材(許容構造部材)を地中深く圧入し、地震や津波、洪水などの外力に粘り強く耐える「インプラント構造物」を構築する工法。
海外売上比率7割を目指す海外展開では、オランダ・アムステルダム市の「世界遺産の運河護岸改修にかかる新技術開発プロジェクト」において、2021年4月に設立した合弁会社「G-Kracht B.V.」が2022年6月、発注者である同市と実証施工(パイロット施工)契約を結びました。カーボンニュートラルに貢献する電動ジャイロパイラー、およびGRBシステム※2を駆使した圧入施工は11月にスタートする予定です。
タイでは、主要河川・パサック川の護岸整備事業にインプラント工法が採用され、サイレントパイラーF301-900を納入した現地企業が、6月からハット形鋼矢板による二重連続壁の河川護岸の構築をスタートさせました。本事業で予定されている整備区間は約52㎞におよぶことから今後も継続的な工法採用が望め、機械販売等の売上促進につながることを期待しています。さらに本件の実績である無振動・無騒音、インプラント構造物の粘り強さなどの優位性をアピールすることで、豪雨災害が頻発する東南アジア各国をはじめとする世界中の治水対策に波及効果が生まれることを期待しています。アジア地域ではこのほか、インドで巨大市場参入の起点となるユーザーを獲得し、サイレントパイラーF301-700を1月に納入する等、工法普及の活動を本格化させました。
ブラジルの鉱滓ダム防災対策工事では、当社グループの技術指導を受けた現地企業が、ジャイロパイラーを用いて昨年9月から今年3月にかけて実証施工(パイロット施工)区間の工事を行い、完了しました。オーストラリアでは、グループ会社の J Steel Group Pty Limited が昨年10月、シドニーのフィッシュマーケット再開発プロジェクトで受注した仮締切工に着手し、今秋の完工に向けて工事を進めました。
※2 完全電動化により施工時のCO2排出ゼロを可能とする次世代の圧入システム。
地下開発製品の展開では、東京都葛飾区で初となる機械式駐輪場「エコサイクル」2基(地下型・計408台収容)の施工を進め、9月にオープンしました。また、来春オープンを目指す東急新横浜線・新綱島駅前(横浜市港北区)においてもエコサイクルの整備が決まり、技研施工が6月に工事を受注しました。横浜市での設置は初めてで、観光地としても居住地としても注目度の高い同市での整備は提案力の強化につながります。これでエコサイクルの採用実績は全国26箇所、63基となり、継続的に増加しています。
当社は当期から受注生産体制を本格化させました。現段階では順調に効率的な受注生産、販売が進んでいます。さらにこの受注生産を確実にするために、建設機械レンタル大手・株式会社アクティオとレンタル業務提携契約を結びました。アクティオが国内外に有する広域営業網を活かして新規ユーザーの開拓を加速させる狙いで、協業拡大に向けて同社スタッフへの保守・現場技術、提案営業のノウハウ提供を進めました。また建設機械レンタル大手・西尾レントオール株式会社で、当社とグループ会社のシーアイテック株式会社が共同開発した杭精度管理システム「インプラント NAVI」をレンタル提供できる体制を整えました。本製品により工事の省人化、生産性、信頼性の向上を実現し、圧入技術、インプラント工法の採用拡大につなげていきます。さらにこのインプラントNAVIの技術は国土交通省による「ICT施工の基準類作成」の取り組みで基準化が実現し、インプラント工法の普及拡大に弾みがつきました。
未来に向けた技術開発では、月面での建設活動、地上における建設技術の革新を見据え、国が進める「月面等での建設活動に資する無人建設革新技術開発推進プロジェクト」に参加し、F/S(実行可能性調査)ステージから技術研究開発(R&D)ステージに進むことが決まり、国土交通省と新たに契約を結びました。今後4年間での具体的な技術開発に目途をつけたものであり、圧入技術の宇宙空間への広がりで、「月への夢」は新たなフェーズに進むことになりました。
このような状況のもと、当連結会計年度における売上高は、30,378百万円(前期比10.0%増)、営業利益は4,613百万円(同15.4%増)、経常利益は4,832百万円(同16.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は3,234百万円(同5.2%増)となりました。
セグメントの経営成績は、次のとおりであります。
a. 建設機械事業
国内において国土強靭化対策工事等の防災関連事業等が進捗するとともに、民間建設投資の回復基調が続く中、土木構造物の本体施工で使われ始めた900㎜幅ハット形鋼矢板用のサイレントパイラーF301-900の販売が堅調に推移しました。また、汎用機の入れ替え需要も堅調に推移しました。
その結果、売上高は20,851百万円(前期比9.0%増)、セグメント利益は6,068百万円(同27.1%増)となりました。
b. 圧入工事事業
災害復旧・復興工事や防災・減災関連工事等において工法採用が堅調に推移する中、首都直下地震、津波・高潮対策としての護岸、防潮堤工事、水門の耐震補強(東京都)や地すべり対策(長野県)、ジャンクションの道路擁壁(北海道)、民間の石油貯蔵基地における側方流動対策(香川県)等において工事が順調に進捗しました。
このような状況のもと、圧入工事事業の売上高は9,526百万円(前期比12.3%増)となりました。一方、天候不順等を受けた大型案件の工期延長によるコスト増が利益を減少させ、セグメント利益は948百万円(同23.7%減)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ68百万円減少し、5,598百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況につきましては次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、前期と比べ1,845百万円減少して5,923百万円となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益4,832百万円、棚卸資産の減少額1,128百万円等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、前期と比べ1,120百万円減少して4,216百万円となりました。これは主に、定期預金の預入による支出14,020百万円、定期預金の払戻による収入11,722百万円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、前期と比べ256百万円減少して1,940百万円となりました。これは主に、配当金の支払額1,918百万円等によるものであります。
③生産、受注および販売の実績
1)生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前年同期比(%) |
|
建設機械事業 |
20,221 |
143.2 |
|
圧入工事事業 |
9,526 |
112.3 |
|
合計 |
29,748 |
131.6 |
(注)1.金額は、実際販売価格で表示しております。
2.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2)受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
受注高(百万円) |
前年同期比(%) |
受注残高(百万円) |
前年同期比(%) |
|
建設機械事業 |
14,856 |
94.4 |
5,146 |
115.8 |
|
圧入工事事業 |
7,230 |
64.6 |
3,172 |
58.0 |
(注)セグメント間の取引については相殺消去しております。
3)販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前年同期比(%) |
|
建設機械事業 |
20,851 |
109.0 |
|
圧入工事事業 |
9,526 |
112.3 |
|
合計 |
30,378 |
110.0 |
(注)セグメント間の取引については相殺消去しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、提出日現在において当社グループが判断したものであります。
①重要な会計方針および見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、採用している重要な会計基準は「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容
1)経営成績等
a. 財政状態
当該事項につきましては、「第2 事業の状況 3.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態および経営成績の状況 1)財政状態」に記載のとおりであります。
b. 経営成績
当該事項につきましては、「第2 事業の状況 3.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態および経営成績の状況 2)経営成績」に記載のとおりであります。
c. キャッシュ・フロー
当該事項につきましては、「第2 事業の状況 3.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりでありますが、指標のトレンドを示しますと以下のとおりであります。
|
|
2020年8月期 |
2021年8月期 |
2022年8月期 |
|
自己資本比率(%) |
75.5 |
75.7 |
74.5 |
|
時価ベースの自己資本比率(%) |
209.2 |
251.3 |
163.7 |
|
キャッシュ・フロー対有利子負債比率(%) |
54.5 |
18.5 |
24.3 |
|
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍) |
230.3 |
720.8 |
407.2 |
(注)自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
1.各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
2.株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。
3.営業キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
2)資本の財源および資金の流動性
当社グループにおける主な資金需要は、圧入の原理に基づいた新工法および圧入機製品の開発投資に必要な研究開発投資(材料費・労務費等)、ならびに圧入機製品の製造に係る費用(材料費・外注費・労務費等)であります。
これらの資金需要に対する資金調達については、中長期的な事業戦略、当社グループの事業に対するリスクを勘案し、最適な方法での実施を検討いたします。
3)経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは「中期経営計画(2022年8月期-2024年8月期)」において、当該期間を10年後1,000億円を目標として飛躍的な発展を目指すための基盤づくりの期間と位置付けたうえで、売上高と営業利益についてそれぞれ数値目標を定め、その達成に向けて取り組んでおり、同計画において掲げている課題を達成していくことが、経営上の目標達成状況を判断するための指標と考えております。なお、「中期経営計画(2022年8月期-2024年8月期)」に関しては、「第2 事業の状況1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
4)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。重要な会計方針及び見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」及び「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 重要な会計上の見積り」に記載のとおりであります。
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契約会社名 |
相手方の名称 |
契約内容 |
契約期間 |
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㈱技研製作所 (当社) |
㈱垣内 |
当社製品の外注加工について、発注、原材料等の支給、納入条件、品質保持、支払条件、秘密保持等について基本契約を結び、相互に安定した取引の継続を図っております。 |
自 2022年8月1日 至 2023年7月31日 (1年毎の自動更新) |
当社グループは「インプラント工法で世界の建設を変える」という経営方針を基に、圧入原理の優位性を核とした自流独創の発明力で建設工事における様々な制約を克服し、建設の五大原則を遵守して工事の目的を達成させ、インプラント工法のパッケージ化によるグローバル展開を推進するため、油圧式杭圧入引抜機「サイレントパイラー」とその周辺機器の研究開発および、耐震地下駐車場・駐輪場を主体とする地下関連の開発を行っております。
当連結会計年度につきましては、機械・装置の高効率化、好条件化、無人化、省力化、電動化およびグローバル化を目的とした研究開発を重点的に行っており、研究開発費の総額は
研究開発活動は、主に建設機械事業で行っており、内容は次のとおりであります。
①油圧式杭圧入引抜機
上部障害クリア工法 超低空頭専用 ジャイロパイラーΦ1000 圧入能力 1,500キロニュートン
②パワーユニット・周辺装置・アタッチメント
上部障害クリア工法 超低空頭専用 杭投入装置
打下装置
保持チャック
小口径チャック
液晶型多機能モニタ
③機械式駐車場・駐輪場
地下機械式駐輪場エコサイクル 2基 葛飾区
2基 港区
2基 横浜市
超小型EV専用機械式駐車場 1基 高知本社
④新たな開発課題の達成
圧入原理の優位性を生かした自動運転システムや硬質地盤施工システム、GRBシステムといった独自システムの更なる開発に取り組んでおります。また、機械装置の高効率化、好条件化、無人化、省力化、電動化を行っております。
⑤海外売上比率を全体の7割とするためのグローバル展開
圧入工事事業と建設機械事業とを融合させ、工法提案から構造物の材料供給、施工までをトータルパッケージで提供する為の新たな機械装置、工法の開発も行っております。