第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経営方針

当社グループは、<企業理念>で『常にお客様の立場で物事を考え、個性豊かな人間と、独創的な技術で世界に役立つ』とお客様第一の立場を鮮明にし、また<タクミナの使命>として、あらゆる産業の流体を高精度・高効率に送るポンプを核とした課題解決を提案すること、水と環境の分野にポンプの応用技術で安全と安心を提供することなど、「事業領域」をより明確に打ち出しております。

この方針のもと、お客様の満足度の高い製品・サービスが提供できる企業を実現し、流体ソリューションのメーカーとしてサステナブルな(持続性のある)社会にとってなくてはならない企業として世界貢献を果たし、ステークホルダーとの共存共栄を続けられる企業を目指しております。

(2)経営戦略等

当社グループは、お客様にさらなるご満足を提供し続けるというユーザー本位の企業理念に基づき、ダイヤフラムポンプの技術革新及び、これを最大限に活用した新規提案の拡充により、市場開拓とサービスの質向上を目指してまいります。具体的には経営戦略として、以下の4項目に取り組んでまいります。

① 主柱事業の強化・拡大

当社グループは、お客様の生産性向上、製品の品質向上に貢献する「スムーズフローポンプ」を活用し、提案営業を強化してまいります。既にケミカル・素材市場では、EV化への需要拡大に伴う二次電池市場のほか、MLCC(積層セラミックコンデンサ)やフィルム業界のプロセスにおける性能・信頼性において高い評価をいただいております。

また、滅菌・殺菌等のインフラ関連市場においても、個々のお客様のニーズにお応えする商品開発・提案を行うことにより、ブランド認知も浸透してまいりました。今後も水処理用途への拡販は元より、多くの業種におけるプロセスへの提案により市場拡大を目指してまいります。

② 海外市場での販売強化

世界市場での水平分業定着により、研究開発用途や製造用途等多くの引き合いを海外からいただくようになりました。当社グループでは、子会社が所在する米国及び韓国をはじめとして、中国やその他のアジア地域において、さらなる営業力を強化すべく、人員増強及び代理店の拡大とサービスの質向上に取り組んでまいります。

また、海外市場で受け入れられる商品拡充を目指し、海外規格対応は元より、お客様のニーズに応じたカスタマイズ製品を積極的に開発し、他社との差別化による顧客満足のさらなる向上を目指してまいります。

③ 製品開発力の強化

多種多様にわたる流体を送る技術に加え、「流体ソリューションセンター〈朝来LAB〉」・「流体ソリューションセンター〈横浜LAB〉」を設置することによって、より高度な流体分析が可能となり、お困り事を持つ多くのお客様にご活用いただくことで、高い評価をいただいております。また、大学・企業や研究機関との連携を強化することにより、「スムーズフローポンプ」による流体に関する課題解決の提案を加速してまいります。

④ お客様に密着したサービス

当社グループにおける流体移送に関する豊富な知識と経験を活かし、営業部門と技術部門が一体となった体制を構築し、お客様に密着したサービスの提供を継続してまいります。また、お客様の抱える様々な問題を解決するために、サービスの幅を広げると共に、質の向上に取り組んでまいります。

(3)経営環境

今後の当社グループを取り巻く経営環境につきましては、国内経済は堅調なインバウンド需要などにより、引き続き緩やかな回復基調で推移することが期待される一方で、米国の政策動向による世界経済の下振れリスクや、金融資本市場の変動等による影響が懸念され、依然として先行き不透明な状況が続くものと判断しております。

このような状況の中、当社グループにおいては、お客様とともに難移送液の課題を解決する場として、「流体ソリューションセンター〈朝来LAB〉」に加えて、2025年2月に「流体ソリューションセンター〈横浜LAB〉」を新設し、実験施設と一体となった営業活動をさらに強く推進する体制を整えました。

また、長期ビジョンの達成に向けて、今後3年間の中期経営計画を新たにローリング方式にて策定し、「スムーズフローポンプ」による新市場・新用途開拓に向けた顧客創造体制の強化を図ってまいります。

当社グループといたしましては、お客様から一層の安心感、信頼感を持っていただけるよう、ユーザー本位の経営理念を基に顧客創造を追求し、持続的な企業価値の向上に努めてまいります。

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

ポンプのメーカーとして、お客様の立場に立った独創性のある製品を提供し続けるため、以下のことを主な課題と考えております。

① マーケティング機能の強化と「わかりやすい」情報発信

当社グループの活動に興味を持っていただき、当社グループ及び当社グループの技術・製品に、より一層関心を持っていただけるよう、お客様との接点を豊かにし、「お客様の立場に立って考える」という観点から全社を挙げてマーケティング体制を整備してまいります。具体的には、「流体ソリューションセンター〈朝来LAB〉」、また2025年2月に開設いたしました「流体ソリューションセンター〈横浜LAB〉」などを活用し、お客様と共同で課題解決に取り組むことでユーザーニーズの収集活動を強化してまいります。

また、「わかりやすい」情報発信(移動型研修施設「ポンプ道場」・ショールーム型研修施設「タクトスペース」・環境/社会/経済活動レポート・メールニュース・ホームページ・広告宣伝・展示会・動画を活用した製品/施設紹介など)に注力してまいります。

② ポンプ・ポンプ応用製品及び装置に関する商品化機能の拡充

ポンプ・ポンプ応用製品及び装置に関する商品化機能を拡充し、ケミカル・素材をはじめ食品・医薬品・化粧品など、あらゆる産業で求められている液体の精密充填・精密混合ニーズを的確に把握して、環境に配慮したエコデザインの高付加価値製品を開発・提供し、水処理・滅菌などの従来市場とともに新用途・新市場への展開を図ります。

③ コアコンピタンス(競争力のあるコア技術)の追求と認知度の向上

水の安全・安心を提供し、あらゆる産業で、高付加価値液体の理想的な移送システムを実現するため、滅菌殺菌テクノロジーの追求から生まれるユニークな製品・装置に加え、「スムーズフロー」ブランドに代表されるダイヤフラム(隔膜)駆動ポンプの利点(液漏れを起こさない構造・液質や液性を変化させない移送・高精度で安定的な移送・圧送など)について、認知度の向上を図り、その特長をさらに追求いたします。

④ 海外売上比率の向上

市場のグローバル化の進展に伴い、海外のお客様に対しても、様々な産業での理想的な液体移送の実現など、当社グループが貢献できるフィールドが増加しております。そのため、海外各地の情報収集、ユーザーニーズの把握や製品の認知度向上を図るとともに、各地域の販売店に対する支援活動の強化を行い、海外売上比率の向上に努めてまいります。

⑤ アフターサービスの強化

お客様のさらなる価値向上のためには、アフターサービスの強化が重要課題となっております。予防保全体制の拡充など、受動的な活動だけではなく能動的な活動に対しても積極的に取組み、アフターサービスの強化を図ってまいります。

⑥ サブスクリプションサービスの浸透

2024年4月より、「ポンプのサブスクリプション」を開始いたしました。既に多くのお客様にご利用いただいております「スムーズフローポンプQシリーズ」を手軽に必要な期間だけご利用いただけるサービスとなっております。当社グループは常に独創的なテクノロジーとサービスを追求し、本サービスを通じて、研究・開発における変革やものづくりイノベーションに貢献し、社会をより豊かなものにするために取り組んでまいります。

(5)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標としてROE(自己資本利益率)を活用しております。収益構造の改革、コストダウン、資産の効率的運用などによりその改善を図り、企業価値の一層の向上を目指してまいります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)サステナビリティ

当社グループは、精密ポンプのリーディングカンパニーとして、高度な技術と信頼性を基盤に、多様な産業分野と関わりを持っております。将来にわたり我々の企業活動が環境や社会に及ぼす影響を深く認識し、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。また、当社グループに関わる全てのステークホルダーに幸せと感動を与え、技術やサービスで持続的社会の発展を支える企業を目指し、サステナビリティ基本方針を策定しております。

当社グループは、社名に表現しているように、「技術と自然の調和」を最重要課題の一つとしており、「次世代に残そう、自然と資源」を環境スローガンとして掲げ、省資源・省エネルギーの推進等、当社環境方針の活動指針に沿った活動を行い、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。

また、安全で安心な製品の提供、地域社会への積極的な貢献活動、職場環境の整備による従業員満足度の向上及び当社グループに関わる全てのステークホルダーの人権尊重など、社会貢献を推進してまいります。

 

① ガバナンス

当社グループでは、取締役会の諮問機関として設置しております「経営企画委員会」において、気候変動を含むサステナビリティ活動における企画・立案・報告等を適宜、課題として取り上げることとしております。「経営企画委員会」で決議された事項は取締役会に対して報告・提案され、取締役会はその内容の管理・監督を行うガバナンス体制を構築しております。

 

② 戦略及びリスク管理

戦略及びリスク管理においては、必要に応じて「リスク管理委員会」を開催し、当社グループにおけるリスクを抽出し、適宜、取締役会・経営企画委員会及びコンプライアンス委員会と協議・連携することとしております。

全社より抽出したリスクについては、定期的に見直しを行っており、当社グループの経営方針、経営戦略に重大な影響を与える可能性のあるサステナビリティ関連のリスクは特定されませんでしたが、BCP(事業継続計画)については策定をしており、リスクの特定がなされた場合には戦略の立案及び適切な対応を検討してまいります。

 

③ 指標及び目標

指標及び目標について、今後サステナビリティに関する取組をさらに進めていくうえで、当社グループに重大な影響を与える事項が発生する可能性を常に想定して、様々な情報を管理・監視してまいります。

 

(2)人的資本

当社グループは「人」こそが財産であると考え、サステナビリティ関連の項目の中で、特に人的資本を重視しております。人的資本については、性別や国籍、新卒・中途社員の区別なく、本人の経験や能力、適性に基づいた処遇とすることを基本方針としており、多様な視点や価値観を有する社員を積極的に採用しております。

 

① 戦略

当社グループでは、人材の成長こそ事業の強化を支える原動力と考え、社員に成長の機会を提供し、社員と企業が共に成長していく環境づくりに注力しており、以下の取組を実施しております。

 

・新入社員から次世代リーダー・専門職・管理職を育成する階層別教育、部門別教育の実施、自己啓発の推奨

・eラーニング制度により、社員が教育を受ける機会の提供

・資格取得支援制度の導入(取得奨励金の支給及び受験費用の補助)

・1on1ミーティング:定期的な上司と部下の面談

・定期的な社員サーベイ(メンタル・フィジカル・エンゲージメント)の実施

 

また、女性が就業を継続し、活躍できる雇用環境の整備を行うため、以下の取組を実施しております。

 

・女性が活躍できる職場であることについての求職者に向けた積極的な広報活動(採用ホームページへの女性学生コンテンツ掲載、オープンカンパニーでの女性学生積極受入、女性学生向け自社イベント開催等)

・次世代育成支援に関する社内制度(産前産後休業、出産休暇、育児休業、介護休業、看護休業、各種慶弔金等)の充実と周知徹底及び制度利用の促進

・妊娠、出産、育児等に関するあらゆるハラスメントを防ぎ、育児休業を取得しやすい環境づくりを行うとともに、育児休業からの円滑な職場復帰の支援

・ハラスメントに対する基本方針の制定及び周知、相談窓口(社内・社外)の設置

・フレックスタイム制度、時差出勤制度、在宅勤務等による柔軟な働き方を実現できる環境づくり

 

 

② 指標及び目標

人的資本に関する方針の実現に向けて、次の指標を用いております。

当該指標に関する目標及び実績は、次のとおりであります。

指標

目標

実績(当連結会計年度)

採用応募者に占める女性割合

2030年3月まで30以上

17.6

男性の平均勤続年数に対する女性の

平均勤続年数比率

2030年3月まで80以上

83.0

男性の育児休業の取得率

2030年3月まで50以上

25.0

一般職一人当たりの各月平均残業時間

2030年3月まで10間以内

12.0時間

 

 

3【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能生があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

下記事項には、将来に関するものが含まれますが、当該事項は当連結会計年度末現在において判断したものであり、事業等のリスクはこれらに限られるものではありません。

なお、現時点においては、(1)から(11)のリスクが顕在化する可能性はいずれも低いと判断しておりますが、発生の回避及び発生した場合の対応に最大限努める所存であります。

(1)品質保証

当社では、品質マネジメントシステム国際規格であるISO9001の認証を取得し、日ごろから品質保証には細心の注意を払うとともに、業務効率の改善や顧客満足の向上に努めております。しかしながら、万が一製品に欠陥が発生した場合には、財政状態及び経営成績等並びに社会的評価等に悪影響を及ぼす可能性があります。

(2)原材料価格の変動

当社グループの製品は、鋼材や樹脂製品、電子部品などから構成されております。それら部品等の仕入価格は、市場価格の変動や需給動向の影響を受けるほか、多国間紛争や貿易摩擦といった国際情勢等の予期せぬ変化に起因する資源・エネルギー価格の高騰等により価格上昇が発生することもありますが、販売価格への転嫁が十分に進まない場合、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

(3)部品等の調達に関するリスク

当社グループの製造においては、多種多様の素材や部品を使用しており、それらは外部サプライヤーからの供給を受けております。サプライヤーの操業・生産の予期せぬ停止により部品等の供給が絶たれた場合や、パンデミック、戦争、テロなどに起因した物流の混乱により部品等の大幅な納入遅延が発生した場合には、財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。このようなリスクの発生に備えて、生産計画管理を徹底するとともに、先行手配及び適正在庫の確保のほか、代替調達先や代替品への切替により、影響が最小限に留まるよう努めております。

(4)大規模災害等

当社グループは、国内及び米国・韓国に営業拠点をもつほか、製品の生産拠点は第1、第2工場ともに兵庫県朝来市に所在しております。これらの事業拠点において、地震、水害、台風等の自然災害や火災等の事故もしくは感染症の流行といった大規模災害等が発生した場合には、各事業拠点における人的・物的損害を受けるのみならず、生産や販売活動のほか本社機能にも重大な影響を及ぼし、事業活動が中断する可能性があります。このようなリスクの発生に備えて、損害保険への加入や安否確認システムの導入のほか、リモートワークの体制整備、BCP(事業継続計画)の策定等の対策を講じており、リスクの低減に努めております。

(5)情報システムに関するリスク

当社グループは、企業活動の中で様々な情報システムを活用しておりますが、外部からのハッキングやウイルス等のサイバー攻撃により、サーバが使用できなくなるなど、情報システムに重大なトラブルが発生した場合には、企業活動が中断し、財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。このようなリスクの発生に備えて、「情報セキュリティ基本方針」を整備し、情報システム専任部門による厳格な管理及び運用を行っており、影響が最小限に留まるよう努めております。

(6)情報漏洩リスク

当社グループでは事業活動において、顧客情報や従業員の個人情報のほか、営業及び技術上のノウハウ等の機密情報を取扱っております。これらの機密情報等への不正アクセスや外部からのサイバー攻撃等により情報漏洩が発生した場合、対応費用のみならず、社会的な信用の低下など、財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。このようなリスクの発生に備えて、「情報セキュリティ基本方針」、「個人情報取扱いにかかる社内規程」を整備し社員教育の徹底を図るほか、システム制御による各種情報へのアクセス制限やファイアウォールの設置、ウイルス対策等の措置を講じることにより、リスクの低減に努めております。

(7)海外事業展開のリスク

当社グループは、営業拠点として米国及び韓国に現地子会社を有しておりますが、予期しない法令・税制の変更、政治変動、戦争・テロなど不可避のリスクを内在しております。当該リスクを最小限にするために、現地子会社と密に連携を取り情報共有を図るとともに、必要に応じて外部専門家を活用するなどの対策を講じてまいりますが、これらのリスクが発生した場合、事業の遂行に問題が生じ、財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)為替変動のリスク

当社は、円建て取引を主としておりますが、輸入及び一部の輸出取引については、外貨建てで決済しております。また、米国及び韓国それぞれに現地子会社を有しております。したがって、為替相場が想定以上に大きく変動した場合には、財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。このようなリスクの発生に備えて、必要に応じて為替予約によるヘッジ等を行い、リスクの低減に努めております。

(9)貸倒れリスク

取引先の信用不安により予期せぬ貸倒れリスクが顕在化し、追加的な損失や引当の計上が必要となる場合には、財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。このようなリスクの発生に備えて、回収状況を月次モニタリングするとともに、顧客の信用状況及び与信について定期的な見直しを行うことににより売上債権の管理を徹底するなど、影響が最小限に留まるよう努めております。

(10)退職給付債務

退職年金資産運用の結果が前提条件と異なる場合、その影響額(数理計算上の差異)はその発生の翌連結会計年度から10年間で均等償却することとしております。年金資産の運用利回りの悪化や超低金利の長期化による割引率の低下等が、翌連結会計年度以降の財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。また、退職給付制度の変更により過去勤務費用が発生する可能性があります。

(11)有価証券の時価変動リスク

当社グループは、市場価格等の変動を伴う有価証券を保有しております。市場価格等は金融市場や経済環境の動向に左右されるほか、有価証券発行体の企業価値が著しく毀損した場合には、保有有価証券に係る評価損が計上され、財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。このようなリスクの発生に備えて、定期的なモニタリングにより価値下落の可能性を早期に把握するとともに、必要に応じて売却等を行うなど、影響が最小限に留まるよう努めております。

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

① 経営成績の状況

当連結会計年度における我が国経済は、雇用・所得環境等の改善が進む中、緩やかな回復基調となりました。一方で、原材料価格やエネルギー価格の高騰による物価上昇が継続しているほか、米国の政策動向などによる経済環境への影響も懸念され、依然として先行き不透明な状況が続いております。

このような状況の中、当社グループにおいては、国内では、ケミカル業界の設備投資意欲が引き続き旺盛であることに加えて、水処理関連の引き合いも強く、好調に推移しました。一方、海外向けでは、二次電池市場における需要が鈍り、低調な結果となりました。

以上の結果、売上高は111億19百万円(前期比0.9%増)となり、前期に続き過去最高を更新しました。利益面につきましては、売上構成の変化に伴い限界利益率が上昇したことから、売上総利益は51億90百万円(同3.9%増)と増加しました。また、販売費及び一般管理費は、賃上げの実施や企業活動の活発化等により増加しましたが、売上総利益の増加により吸収することができたため、営業利益は16億3百万円(同1.3%増)、経常利益は16億45百万円(同2.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は12億17百万円(同1.8%増)となり、各利益についても過去最高を更新しました。

主な品目別販売実績は以下のとおりであります。

<高性能ソリューションポンプ>

国内市場では、当社主力製品の「スムーズフローポンプ」の主要市場となるケミカル業界において、二次電池関連や素材関連を中心に堅調な設備投資需要が継続しており、同製品群の販売は引き続き好調に推移しました。スムーズフローテクノロジーを駆使したソリューションの採用は、環境への負荷低減や自動化・効率化につながるシステム化のニーズ拡大に加えて、研究・開発分野における新用途に向けても広がりつつあり、順調に売上を伸ばしております。また、2025年2月には、東京ビッグサイトで開催された「スマートエネルギーウィーク2025」に出展し、電池及びその材料の製造工程に向けて、「スムーズフローポンプ」を中心とした流体ソリューションやスムーズフローテクノロジーを紹介するとともに、品質と生産性の向上や不良率とTCO(Total Cost of Ownership)削減への貢献を訴求しました。

海外市場では、韓国企業における二次電池関連に向けた「スムーズフローポンプ」の納入は継続しているものの、EV需要の減速に伴い投資計画に停滞が見られ、前期に比して低調に推移しました。一方、中国においては、ケミカル市場向けで「スムーズフローポンプ」の売上が増加し、業績に貢献しました。

以上の結果、高性能ソリューションポンプの売上高は、43億36百万円(前期比2.0%減)となりました。

<汎用型薬液注入ポンプ>

国内を中心とした堅調な設備投資を背景に、水処理関連で需要が増加しており、滅菌・殺菌業界の活発な動きが続いている中で、順調に推移しました。

以上の結果、汎用型薬液注入ポンプの売上高は、29億3百万円(前期比0.8%増)となりました。

<ケミカル移送ポンプ>

「ムンシュポンプ(高耐食ポンプ)」が、進行中の製鉄プラント向け案件で受注を継続していますが、前期に大型物件を受注していたこともあり、売上が微減となりました。

以上の結果、ケミカル移送ポンプの売上高は、7億42百万円(前期比1.8%減)となりました。

<計測機器・装置>

滅菌・殺菌業界向けに案件数が底上げされ、中でも「計測機器」及び「流体制御装置」の受注が増えたことにより、売上が増加しました。

以上の結果、計測機器・装置の売上高は、14億78百万円(前期比11.1%増)となりました。

<流体機器>

水処理関連向けを中心に順調に推移しましたが、前期に海外の二次電池関連向けで大型物件を複数受注していた反動により、売上が減少しました。

以上の結果、流体機器の売上高は、4億18百万円(前期比9.0%減)となりました。

 

<ケミカルタンク>

ケミカルタンクは、水処理プラント向けで大型タンクのスポット案件を受注し、順調に売上を伸ばしました。

以上の結果、ケミカルタンクの売上高は、8億11百万円(前期比12.6%増)となりました。

<その他>

その他には、立会調整費やメンテナンス等の売上高及びその他(レストラン、ホテル、フィットネス)の売上高が含まれております。

その他の売上高は、4億28百万円(前期比3.6%減)となりました。

② 財政状態の状況

当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べて1億77百万円減少し、147億30百万円となりました。

流動資産は7億15百万円減少し、95億95百万円となりました。主な増減内訳は、現金及び預金の減少7億69百万円、売上債権の増加3百万円、有価証券の減少99百万円、棚卸資産の増加1億96百万円、貸倒引当金の増加77百万円であります。

固定資産は5億37百万円増加し、51億35百万円となりました。主な増減内訳は、有形固定資産の増加1億32百万円、無形固定資産の減少50百万円、投資その他の資産の増加4億56百万円であります。

負債につきましては、前連結会計年度末に比べて4億52百万円減少し、44億32百万円となりました。

流動負債は43百万円減少し、36億71百万円となりました。主な増減内訳は、仕入債務の減少3億81百万円、1年内返済予定の長期借入金の増加3億50百万円、未払法人税等の増加4百万円、賞与引当金の増加36百万円であります。

固定負債は4億8百万円減少し、7億60百万円となりました。主な減少内訳は、長期借入金の減少3億50百万円、退職給付に係る負債の減少57百万円であります。

純資産につきましては、前連結会計年度末に比べて2億74百万円増加し、102億98百万円となりました。主な増減内訳は、親会社株主に帰属する当期純利益12億17百万円から配当金3億62百万円の支払いを差し引いた利益剰余金の増加8億54百万円、自己株式の増加6億7百万円、その他有価証券評価差額金の減少10百万円、為替換算調整勘定の減少9百万円、退職給付に係る調整累計額の増加32百万円であります。

以上の結果、自己資本比率は前連結会計年度末の67.2%から69.9%へと2.7ポイント上昇いたしました。

③ キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は前連結会計年度末に比べて7億81百万円減少し、31億15百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は、次のとおりであります。

営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べて1億36百万円減少し、9億98百万円の収入となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益16億46百万円、減価償却費2億81百万円、貸倒引当金の増加77百万円、賞与引当金の増加36百万円による資金の増加及び売上債権の増加3百万円、棚卸資産の増加1億97百万円、仕入債務の減少3億81百万円、法人税等の支払4億49百万円による資金の減少によるものであります。

投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べて3億31百万円支出が増加し7億97百万円の支出となりました。これは主に、投資有価証券の償還1億77百万円による資金の増加及び有形固定資産の取得3億95百万円、無形固定資産の取得78百万円、投資有価証券の取得5億13百万円による資金の減少によるものであります。

財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べて5億78百万円支出が増加し、9億85百万円の支出となりました。これは主に、自己株式の取得6億14百万円、配当金の支払3億62百万円によるものであります。

 

④ 生産、受注及び販売の実績

当社グループは、ポンプ事業の単一セグメントであるため、セグメント別の生産実績、受注実績、販売実績の記載はしておりません。なお、品目別の生産実績等は次のとおりであります。

 

a. 生産実績

品目

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

前期比(%)

高性能ソリューションポンプ(千円)

4,358,526

94.9

汎用型薬液注入ポンプ(千円)

2,931,592

101.0

ケミカル移送ポンプ(千円)

772,729

102.1

計測機器・装置 (千円)

1,504,496

112.7

流体機器(千円)

414,032

88.9

ケミカルタンク(千円)

807,814

111.3

合計(千円)

10,789,191

100.1

(注)金額は販売価額で表示しております。

 

b. 受注実績

品目

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

受注高(千円)

前期比(%)

受注残高(千円)

前期比(%)

高性能ソリューションポンプ

3,820,857

84.0

965,739

65.2

汎用型薬液注入ポンプ

2,903,925

99.1

236,917

91.6

ケミカル移送ポンプ

821,667

103.7

315,187

133.7

計測機器・装置

1,398,843

108.9

208,641

72.5

流体機器

422,153

75.9

233,025

101.5

ケミカルタンク

823,701

109.0

154,688

108.7

その他

406,655

94.4

80,625

78.4

合計

10,597,805

93.8

2,194,824

80.1

(注)金額は販売価額で表示しております。

 

c. 販売実績

品目

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

前期比(%)

高性能ソリューションポンプ(千円)

4,336,748

98.0

汎用型薬液注入ポンプ(千円)

2,903,534

100.8

ケミカル移送ポンプ(千円)

742,200

98.2

計測機器・装置(千円)

1,478,177

111.1

流体機器(千円)

418,622

91.0

ケミカルタンク(千円)

811,256

112.6

その他(千円)

428,856

96.4

合計(千円)

11,119,396

100.9

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

① 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、売上高については111億19百万円(前期比0.9%増)となり、前期に続き過去最高を更新しました。利益面につきましても、営業利益は16億3百万円(同1.3%増)、経常利益は16億45百万円(同2.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は12億17百万円(同1.8%増)と、前期に続きいずれも過去最高益となりました。

各品目別の販売状況につきましては、「第2[事業の状況] 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」をご参照下さい。

各段階利益の増減金額とその要因につきましては、以下のとおりであります。

売上総利益は、売上構成の変化に伴い限界利益率が上昇したことから、1億94百万円(同3.9%増)の増益となりました。

営業利益は、ベースアップ等の実施や企業活動の活発化等により、販売費及び一般管理費が1億73百万円増加(同5.1%増)しましたが、売上総利益の増加で吸収することができたため、20百万円(同1.3%増)の増益となりました。

経常利益は、受取利息及び配当金の増加や投資有価証券運用損益の好転等により、33百万円(同2.1%増)の増益、親会社株主に帰属する当期純利益は、21百万円(同1.8%増)の増益となりました。

以上の結果、1株当たり当期純利益は、前連結会計年度の165円22銭から5円1銭増加し、170円23銭となりました。

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社グループの当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況は、営業活動によるキャッシュ・フローは9億98百万円の収入、投資活動によるキャッシュ・フローは7億97百万円の支出、財務活動によるキャッシュ・フローは9億85百万円の支出となりました。以上の結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末から7億81百万円減少し、31億15百万円となりました。詳細につきましては、「第2[事業の状況] 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」をご参照下さい。

当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、事業運営において必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としており、運転資金需要のうち主なものは、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要のうち主なものは、設備投資によるものであります。

当連結会計年度末時点における重要な資本的支出の予定はありませんが、短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資に係る資金調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は3億88百万円となっております。

③ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、中長期的に資本コストを上回るROE(自己資本利益率)の向上を目指す価値創造企業でありたいと考えております。このため、ROEを重要な指標として位置付けております。

当連結会計年度におけるROEは12.0%(前期比0.6ポイント低下)となりましたが、引き続き当該指標の改善に邁進してまいります。

 

④ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されており、貸倒引当金、賞与引当金、退職給付債務、棚卸資産の評価、有価証券の評価、固定資産の減損、繰延税金資産の回収可能性などについて、会計上の見積り及び仮定を用いております。この連結財務諸表の作成に当たっての重要な会計方針については、「第5[経理の状況] 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。また、この連結財務諸表の作成に当たり、連結決算日における資産及び負債の数値並びに当連結会計年度における収益及び費用の数値に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いております。

なお、連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5[経理の状況] 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

5【重要な契約等】

当連結会計年度において、重要な契約等の決定または締結等はありません。

 

6【研究開発活動】

当社グループの研究開発活動は、開発センターを中心にコア技術の追求と確立を目指しております。開発センターは、当社グループのコア技術であるダイヤフラム及び様々な分野に関しての流体移送に関する基礎技術を追求するとともに、ポンプ及び計測制御機器の開発・製品化研究も担っております。

また、開発・製品化研究においては、生産本部(工場)、東京・大阪・名古屋・中四国・福岡の各拠点の技術部門と連携して、お客様からのご要望やマーケットにおける潜在的な需要に関する情報を取り入れることで、お客様から望まれる独創的な製品の開発を迅速に行うことを目指しております。

当連結会計年度における主な活動は次のとおりであります。

<高精度小型スムーズフローポンプ「Qシリーズ」のラインナップ追加>

お客様に研究段階から「スムーズフローポンプ」を使用していただけるように、研究所やラボ施設向けに開発した小型スムーズフローポンプ「Qシリーズ」のラインナップに、既存の最大吐出量100mL/min 以上の要望に応えられるラインナップを追加し、最大吐出量500mL/min の「Qシリーズ」を発売しました。

<電池業界向けポンプの開発>

カーボンニュートラルの実現に向け、世界的にEV化が加速し、電池需要が大きくなると予想されている中で、課題となる「電池のコストダウン」「電池の信頼性向上」をタクミナ製品の強みを生かして解決できる専用ポンプの開発を行いました。2025年3月開催の二次電池展に参考出展し、翌連結会計年度中の発売を予定しております。

<「流体ソリューションセンター〈横浜LAB〉」の活用>

お客様のお困り事を解決する場として2017年に竣工した「流体ソリューションセンター〈朝来LAB〉」ですが、当連結会計年度は関東方面のお客様の利便性向上や活用の拡大を目指し、「流体ソリューションセンター〈横浜LAB〉」を2025年2月に開所しました。今後は2拠点体制としてお客様に期待を上回る提案や感動を届けられるように活動してまいります。

<基礎技術・要素技術の研究>

「スムーズフローポンプ」のコア技術にはダイヤフラムや弁座などがあり、それらの素材・形状の研究をはじめとして、様々な用途を想定した解析やシミュレーション・評価試験を積み重ね、製品開発・品質向上のスピードアップにつながるノウハウの蓄積を行っております。

また、水処理、滅菌・殺菌市場向けに対しても、これまで培ってきた流体コントロールの技術に加えて、水質管理に必要不可欠となる計測技術の研究によって得られたノウハウを駆使して、お客様のニーズに合った高付加価値製品の開発や次世代技術の研究開発を推進しました。

なお、当連結会計年度における研究開発費の総額は383百万円です。