文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社は、以下の経営理念のもと、経営を遂行しております。
① 個人の尊重
当社は、社員一人一人の権利を尊重し、個人が意義のある文化的な人生と、生き甲斐を追求できる企業でありたい。一人一人の向上心を信じ、自立的な活動を援助し、仕事を通して能力が最大限に発揮できる環境を作り、能力や業績に報う企業とする。
② 存在意義のある企業
当社は、存在意義のある、優れた企業として認められることを望む。独創性を発揮し、個性と特徴をもち、経営の基盤を、絶えることのない研究開発活動と品質優先に置く経営を貫く。全ての組織が全力を尽くすことに生き甲斐を感ずる企業とする。
③ 共存共栄
当社は、社員、顧客、株主、材料部品の購入先、協力会社、取引先などの多くの人々に支えられている。当社は、これら関係者の全てに満足してもらえるように魅力ある製品、サービス、報酬、環境、取引関係を作り上げるよう最善の努力を払う。
④ 社会への貢献
当社は、社会の良き一員として企業活動を通じ、広く社会や産業界に貢献して行く。我々が提供する製品やサービスが、直接的間接的に広く社会の向上に役立ち、属する地域社会の環境や質の向上に役立つ企業を目指す。
(2)当社グループの事業と製品
当社グループは、トータル・モーション・コントロールを提供する技術・技能集団として、技術者・技能者という人的資源を中核に、トータル・モーション・コントロールを構成するコア技術を高度に応用することによって、お客様が求める“動き”の実現に貢献できる製品を提供しております。
当社グループでは、ハーモニックドライブ®、アキュドライブ®、ハーモニックプラネタリ®といった高精度減速機に、モーター、センサーなどを組み合わせたアクチュエーター、さらにはその性能を引き出すドライバー、コントローラー、その他システム要素を組み合わせ、他社製品とは差別化された高付加価値製品を提供しております。
(3)当社グループの強みや特長
① 波動歯車装置に係る技術・技能の蓄積
当社グループは、波動歯車装置との運命的な出会いを契機に、創業以来50年以上にわたって無限に広がるこの減速装置の可能性を追求してきました。これまでに蓄積した開発技術、生産技術、加工・組立の技能、生産システムは、当社グループのかけがえのない財産であり、最大の強みと考えております。
② 小型・軽量・高精度を提供する製品群
当社グループが製造・販売するメカトロニクス製品と減速装置は、高度なモーション・コントロールや各種装置のコンパクト化・軽量化を求めるお客様にご採用いただいております。なかでも、小型、軽量、高精度を特長とするハーモニックドライブ®は、自動車、デジタル機器、半導体ウェハー、フラットパネルディスプレイなどの製造工程で使われる産業用ロボットの関節部に組み込まれ、世界市場で高いシェアを獲得しています。さらに、工作機械、計測試験装置、人工衛星、石油掘削装置、先進医療機器などの幅広い用途において、他の機構では実現の難しい差別化された付加価値を提供しています。
③ 「トータル・モーション・コントロール」の提供を可能とするコア技術
当社グループは、減速機のほか、モーター、センサー、ドライバー、コントローラー、その他システム要素に関する研究開発とものづくりを通じて、これらの技術・技能を蓄積してきました。このようにして培ったコア技術に係る有形・無形の技術と技能は、お客様が求める高度なモーション・コントロールを提供するために不可欠なものであり、当社グループの競争力の源泉と考えております。
④ 営業・製造・開発が一体となった事業運営
当社グループは、お客様のニーズをものづくりや製品開発に生かすため、営業部門、製造部門、技術・開発部門が密接な関係をもった事業運営を行っています。例えば、長野県の安曇野市にこれらの主要部門を集中させ、引合いから技術検討、試作、受注、製造、出荷までの業務プロセスを効率的に進める体制を構築しています。お客様のニーズや技術者の発想を素早くものづくりに反映し、新たなモーション・コントロールをタイムリーに提供できる体制も当社グループの強みのひとつと考えております。
⑤ 国際的な事業展開
当社グループは、日本、米国、ドイツ、韓国、中国、台湾に事業拠点を展開し、各地域の特性に合わせた事業戦略を推進するとともに、各拠点が相互に連携しながら世界的に広がるお客様に対し最適な製品・サービスの提供を進めております。
(4)中長期的な当社グループの経営戦略
当社グループは、現行中期経営計画(2021年度〜2023年度)に掲げた「モーションコントロール技術で社会の技術革新に貢献する」という不変のミッションを遂行すべく、邁進してまいります。当社グループが手掛けるメカトロニクス製品、精密減速装置の市場は、EV化、手術支援ロボットなど、新たな「社会の技術革新」に大きく貢献しており、今後もその需要は拡大していきます。また、世界的な人手不足が叫ばれる中、協働ロボットの需要増加により、中長期にわたり高い成長機会があると見込んでおります。当社では、2022年3月に策定した「サステナビリティ基本方針」に基づき、グループ一体となって持続可能な社会の実現に向け活動を推進してまいります。さらに、長期ビジョン、中期経営計画に掲げた方針に基づく戦略を実行し、攻めと守りのバランスを勘案した経営戦略の遂行で、中長期的な企業価値向上を図ってまいります。
■サステナビリティ基本方針
私たちは、「個人の尊重」「存在意義のある企業」「共存共栄」「社会への貢献」という4つの柱で構成された経営理念に基づき、トータル・モーション・コントロールを提供する技術・技能集団として、社会をより良くするための技術革新に貢献することで、持続可能な社会の実現と企業価値の向上を目指します。
■当社グループのミッション
モーションコントロール技術で社会の技術革新に貢献する
■長期ビジョン
~トータル・モーション・コントロールの追求~
・環境の変化を捉えた新技術・技能への挑戦と創出
・お客様の期待値を超えるQCDSの実現
・企業活動を通じて持続可能な社会に貢献する
■中期経営計画(2021年度〜2023年度)
新たな50年に向けて~確かな成長ステージへ~
(基本方針と戦略)
① お客様の期待値を満足させるQCDSの実現
Q:シグマゼロ:不適合・クレームゼロ
C:生産性向上、VA+VEの一層の充実
D:顧客希望納期に対するコミット
S:ER活動の充実:スピードアップ
② 価値ある製品の開発とサービスの強化によるRD、AD、MT事業の拡大
RD:波動歯車装置
・次世代用途に適合していくための新技術・技能の創出と製品化
AD:精密遊星減速機
・事業再構築による地域・各種用途に即した製品提供の拡大
MT:メカトロニクス製品
・お客様の“やりたい”を実現し得る製品提供と課題解決力のさらなる向上
③ 時代の要求に適合した経営基盤の構築
・持続可能な経営の推進(SDGs)
・事業拡大をけん引できる人材の育成、多様性を高める人事制度や働き方の構築
・IT強化戦略・当社独自のIoT構想実践
・成長を支える財務基盤の確立と資金調達力の強化
④ 海外グループ会社・機関との連携強化とシナジーの最大化
・各拠点の経営資源の最大活用
・海外研究機関との積極的な研究活動の維持・促進
・グローバル生産体制の確立
⑤ 固定概念にとらわれず、次の50年の新常識を創造する
・新素材、新原理、新機構、新工法への積極的な挑戦
・知能メカトロニクスの実現に向けた布石
・社会の変化に敏感な感覚と非常識を受入れる風土の醸成
(5)経営環境と対処すべき課題
新型コロナウイルスの変異株による感染拡大、ウクライナ問題に起因する資源価格の高騰など世界経済の先行き不透明な状況は継続すると思われます。一方、2022年度の当社グループの経営環境は、EV化の世界的な拡大による強い設備投資需要、旺盛な半導体需要に伴う設備投資の継続など、産業用ロボット、協働ロボット、半導体製造装置用途を中心に高い水準で需要が推移していくものと予測しております。また、近年新たな市場として注力してまいりました先進医療用途(手術支援ロボット関連)の拡大、車載用製品の需要の拡大も見込まれており、成長機会が増大していくものと見込んでおります。このような中、当社グループでは「お客様の期待値に応える価値の提供」をQCDSの基本方針として、生産面では当社製品の需要拡大に確実に応えるべく、自動化を中軸とした生産能力の増強、サプライチェーン体制強化、到達方針見直しによる安定した部材調達、また生産管理のデジタル化などの生産改革を確実に実施し、品質の向上、コスト低減、リードタイム短縮に取り組んでまいります。加えて、営業・開発技術一体によるお客様の課題解決力向上と迅速化を推し進め、さらなる競争優位性の拡大に傾注してまいります。
当社グループの経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性のあるリスクには、以下のようなものがあります。
なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2022年6月23日)現在において、当社グループが判断したものです。
当社グループの製品は、産業用ロボット、半導体製造装置、フラットパネルディスプレイ製造装置をはじめとする産業用機械の部品として販売されるものが大半でありますので、設備投資動向が当社グループの業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。特に、産業用ロボット、半導体製造装置、フラットパネルディスプレイ製造装置業界向けについては、スマートフォンや半導体デバイス並びにパネル市場の市況好転や製造技術の革新などにより大きな成長を遂げることがある反面、需給調整などによる予期せぬ市場の縮小が起こった場合、当社グループの業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、モーション・コントロール分野における技術・技能集団として、研究開発部門への重点的な資源配分を実施することで、高付加価値で特長ある製品を開発し、市場投入していきます。しかしながら、研究開発への資源配分及び研究開発のための人材確保の努力を継続する一方、技術革新に追い付きお客様や市場の需要を満たす魅力的な新製品を開発できなかった場合または研究開発の成果である新製品の市場投入もしくは市場浸透が遅れた場合、当社グループの業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、お客様満足の向上と市場における優位性を高めるために、ISO9001の認証取得をはじめとして、品質保証体制の強化に努めております。しかしながら、予期せぬ製品の不具合が発生することなどにより、当社グループの業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、米国に連結子会社2社、中国に連結子会社1社、韓国に連結子会社1社、欧州に連結子会社9社を有し、事業における積極的な国際化を推進しております。従いまして、為替変動は当社グループの事業活動に悪影響を与えることがあります。また、為替変動は、当社グループの外貨建取引に伴う収益・費用及び資産・負債の円換算額に影響を与え、業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社及び一部の連結子会社では、確定給付型の退職年金制度または退職一時金制度を設けておりますが、退職給付債務及び退職給付費用の計算の基礎となる条件の見直しや、年金資産の運用環境悪化等が、当社グループの業績及び財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
なお、2016年12月1日より、確定給付企業年金制度の一部を確定拠出年金制度へ移行しております。
当社グループは、幅広いサプライヤーから原材料、部品及び生産設備を購入しておりますが、サプライヤーの供給不足、費用増加またはその他の理由により当社グループの利用量が制限される可能性があります。原材料、部品及び生産設備の価格上昇または利用制限があった場合、当社グループの業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑧ 人材の確保に関するリスク
当社グループの事業においては、事業及びノウハウに関する深い知識と高い技術を有する研究者その他の技術者を含む熟練した従業員並びに能力の高い役員を確保する必要があり、かかる従業員または役員を確保できなかった場合、当社グループの業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループの人材が競合他社に流出した場合、当該人材を通じて競合他社に当社グループの技術やノウハウが漏れ、当社グループの業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑨ 海外事業の展開に関するリスク
当社グループは、グローバルに事業を展開しているため、次のような海外事業展開に関するリスクがあります。
・各国の政治情勢及び経済状況の変化及び社会的混乱
・海外市場の関連産業における景気の減速または後退
・各国の予期しない法律や規制の変更(移転価格問題、当社の在外子会社及び関連会社による送金その他の支払いにかかる源泉徴収その他の税金の賦課または増税等)
・各国における許認可の取得及び維持の困難性及び不確実性
・取引制限または関税の変更
・テロ、戦争、自然災害、悪天候、感染症その他の制御不能な要因
・当社グループが事業を行っている国もしくは地域と日本との間の、またはかかる国もしくは地域間の政治的、経済的関係の悪化
・各国の政府による投資制限及びその他の規制の実施または増加
・人件費の著しい増加及び賃金上昇
・労働紛争、争議行為、ゼネストまたは労働環境におけるその他の障害
・開発途上のインフラによりもたらされる予期せぬ事故(停電等)
・文化の違いやその他の要因による現地の人材及び事業の管理の困難性
・一部の国における限定的な知的財産権の保護
また、海外における事業の展開に際しては、投下資本の回収が当初の計画どおりに進まない場合があり、収益の増加よりも早く費用の増加が生じることがあります。これにより、当社グループの業績及び財政状態に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。
⑩ M&A及び事業提携等に関するリスク
当社グループは、ドイツ子会社ハーモニック・ドライブ・エスイーの買収をはじめ、様々な業務及び資本提携並びに合弁事業を行っており、適切な機会があれば、さらなる買収(M&A)や事業提携等を行う可能性があります。これらを行う際は、利益性及び投資利益率の見込みを慎重に検討しますが、実施時に見込んだ計画どおりに進捗しない可能性、シナジー効果を実現できない可能性、買収した事業を成功裏に経営できない可能性があります。これらの場合、買収や事業提携等にかかるのれんや無形固定資産の減損等を通じ、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、良好な財政基盤を維持しつつ生産能力を増強させることを含め、事業戦略を推進しております。しかしながら、事業戦略の実現や目標の達成は様々な要因(当社グループが事業を行う地域における一般的な経済環境及び市場環境、競争や需要の水準等)に左右されるため、当社グループの事業戦略の実施が意図したとおりの効果をもたらさない可能性、実際の数値が事業計画の前提と異なる可能性、設定した目標が達成されない可能性があります。また、かかる目標が将来的にさらに変更される可能性もあります。
当社グループは、減速装置及びメカトロニクス製品の市場において高い市場占有率を持つ製品を多数保有しております。新規参入者により競争が激化した場合、製品の利益率の悪化や販売の機会損失の発生により、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの事業活動において、予期せぬトラブル・問題が生じた場合、当社グループの責任の有無にかかわらずこれらに起因する損害賠償の請求や、訴訟等の提起を受ける可能性があります。かかる訴訟等は、とりわけ製品、環境責任及び特許権侵害の申立て等の知的財産に関する問題に関連して生じる可能性があります。これらの事象が発生した場合は、提訴内容や損害賠償額の状況及びその結果によっては当社グループの社会的信用が低下することに加え、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの事業活動は、貿易、反トラスト、知的財産、製造物責任、労働関連法令、コーポレート・ガバナンス、個人情報保護、環境法令、政府の許認可、課税、国家間の国家安全保障に関する法令及び国家安全保障のための輸出入の規制を含む、各国における規制の対象となっております。当社グループのリスク管理体制、コンプライアンス体制及び内部統制システムを維持する努力が効果的でないかまたは不十分である場合、当社グループは(従業員または第三者によって行われたかを問わず)不正行為または腐敗行為に関与する可能性があり、また法令を遵守していないとみなされる可能性があります。これらにより、当社グループに制裁または罰金が科せられる可能性があり、また当社グループの事業及びレピュテーションに悪影響を及ぼす可能性があります。さらに、今後、法規制が強化された場合や、事業活動を展開する地域が拡大した場合、法規制への対応に追加費用を要することとなり、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの事業は、特に製造プロセスにおいて、使用、貯蔵、排出及び廃棄に厳しい規制がかかっている化学物質等の使用を伴うため、当社グループが事業を展開している国々において幅広い環境法令及び規制の対象となっております。また、当社グループは、エネルギー及び資源保護、リサイクル、地球温暖化、汚染防止、並びに環境衛生及び安全性について、様々な法令及び工業規格の対象となっております。環境法令は、今後、規制が強化される可能性があります。その場合に当社グループの一部の生産及び一部の活動が制限もしくは禁止されてしまう可能性、または是正措置命令を受け、これの実行に伴う費用、適用された環境法令に準拠するために必要となる設備投資その他の費用が相当な金額になる可能性があります。これらによって、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑰ 新型コロナウイルス感染症に関するリスク
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、個人消費や製造業の設備投資意欲が低迷することにより、産業用ロボット、半導体製造装置、乗用車などの需要が減少し、これら装置の部品サプライヤーである当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループは、新型コロナウイルス感染拡大防止対策として、2020年2月3日に当社内に対策本部を設置し、社員、お客様、お取引先など、ステークホルダー各位の安全と安心を最優先に感染防止対策を行っています。しかし、新型コロナウイルス感染拡大による人的・物的被害の発生や資材調達の停滞及び物流網の寸断により、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑱ その他のリスク
当社グループだけでは避けることのできない、経済や政治環境の変化、テロ、戦争、自然災害、悪天候、感染症その他の制御不能な要因などの予期せぬ事象が発生した場合、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度は、世界経済は新型コロナウイルス感染拡大、世界的な半導体不足、年度終盤に勃発したウクライナ問題など、先行きに強い不透明感が残りました。一方、当社グループの事業環境は、昨年度(2020年度)後半からの中国を中心とした需要環境の回復に加え、国内、欧米地域においても設備投資需要が拡大し、総じて良好に推移しました。
当社グループの受注環境は、前述のように昨年度(2020年度)後半からの中国を中心とした需要の回復に加え、国内、欧米地域においても、産業用ロボットを中心とした自動化投資、旺盛な半導体需要を背景とした製造装置の大型設備投資が展開され、年度初めより高水準の受注が継続しました。年度後半から顕在化した半導体不足により、一部のお客様において生産調整などの影響がみられましたが、主力用途の需要拡大により、通期の連結受注高は前期比127.5%増加の948億23百万円となりました。
また、急激な需要拡大に対応するため、新型コロナウイルス感染拡大の影響を最小限に抑えながら、国内、ドイツ、米国の主要生産拠点の生産能力拡大を図りました。その結果、すべての地域において売上高が増加し、連結売上高は、前期比54.1%増加の570億87百万円となりました。
用途別の売上高の動向につきましては、産業用ロボット向けは、中国を中心としたEV関連の設備投資拡大に加え、慢性的な人手不足を補うための協働ロボットの需要拡大が進み、主に国内、欧州を中心に大幅に増加しました。半導体製造装置向けも、強い需要見通しにより、世界的に設備投資意欲が旺盛だった影響から売上高は大幅に増加しました。また、先進医療用途(手術用ロボット関連)は、米国を中心に需要が回復し、売上高が増加しました。一方、車載用途は、顕在化した半導体不足によるお客様の生産調整により、上期の売上高は増加したものの、下期は低迷しました。
損益面につきましては、生産能力増強投資を実施したことにより、減価償却費が増加したことに加え、製造部門の増員などにより製造費用が増加しました。また、輸出案件の運送費増加に加え、研究開発費などを積み増したことにより、販売費及び一般管理費も増加しました。このように費用は増加したものの、売上高の増加による増益効果が上回ったことにより、営業利益は前期比909.3%増の87億39百万円となりました。また、営業利益の増加により、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比902.9%増の66億43百万円となりました。
なお、製品群別の売上高は、減速装置が472億35百万円(前期比61.1%増)、メカトロニクス製品が98億52百万円(前期比27.7%増)で、売上高比率はそれぞれ82.7%、17.3%となりました。
報告セグメントの業績は、以下のとおりであります。
(日本)
中国市場を中心に自動化設備投資が積極的に行われたことにより、産業用ロボット向けの需要が増加したことに加え、半導体の設備投資需要が高水準で推移したことにより、半導体製造装置向けが増加し、売上高は前期比68.6%増加の372億73百万円となりました。また、セグメント利益(経常利益)は、増収の影響により、前期比147.2%増加の118億89百万円となりました。
(北米)
コロナ禍からの正常化が進み、先進医療用途(手術支援ロボット関連)向け及び半導体製造装置向けの需要が回復したことにより、売上高は、前期比29.1%増加の66億43百万円となりました。また、セグメント利益(経常利益)は、前期比126.3%増加の7億1百万円となりました。
(欧州)
北米セグメントと同様に経済活動の正常化に伴い、主に産業用ロボット向けの需要が増加し、売上高は、前期比34.7%増加の131億70百万円となりました。また、セグメント利益につきましては、ハーモニック・ドライブ・エスイー株式取得時に計上した無形資産に係る償却費15億80百万円の負担はあったものの、増収効果により、1億71百万円(前年同期はセグメント損失9億20百万円)となりました。
当連結会計年度における財政状態は、以下のとおりです。
総資産は、前連結会計年度末と比較して、保有する投資有価証券の時価が低下したことにより、投資その他の資産合計が59億1百万円減少(前期比31.2%減)した一方で、売上高の増加により、受取手形及び売掛金が57億93百万円増加(前期比59.2%増)したことにより、32億61百万円増加(前期比2.3%増)し1,432億89百万円となりました。
負債は、前連結会計年度末と比較して、連結子会社ハーモニック・ドライブ・エスイー(欧州セグメント)の完全子会社化にあたり、長期借入金を110億円調達したことにより、144億65百万円増加(前期比48.3%増)し444億33百万円となりました。
純資産は、前連結会計年度末と比較して、連結子会社ハーモニック・ドライブ・エスイー(欧州セグメント)を完全子会社したことに伴い、資本剰余金が73億17百万円減少(前期比24.3%減)したことに加え。非支配株主持分が71億70百万円減少(前期比100.0%減)したことにより、112億3百万円減少(前期比10.2%減)し988億56百万円となりました。
この結果、自己資本比率は、前連結会計年度末の73.5%から69.0%になりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べて12億29百万円減少し187億67百万円となりました。
当連結会計年度に係る区分ごとのキャッシュ・フローの状況は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動による収入は98億81百万円となりました。(前連結会計年度は95億55百万円の収入)
これは、税金等調整前当期純利益が90億11百万円、減価償却費を72億78百万円計上した一方で、売上債権が56億15百万円、棚卸資産が33億23百万円増加したことが主な要因です。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動による支出は194億90百万円となりました。(前連結会計年度は41億80百万円の支出)
これは、連結子会社ハーモニック・ドライブ・エスイー(欧州セグメント)の完全子会社化を企図した子会社出資金の取得による支出が147億87百万円、生産能力拡大のため有形固定資産の取得による支出が47億36百万円あったことが主な要因です。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動による収入は81億23百万円となりました。(前連結会計年度は36億11百万円の支出)
これは、主に連結子会社ハーモニック・ドライブ・エスイー(欧州セグメント)の完全子会社化にあたり調達した資金を含む借入による収入が105億57百万円あった一方で、配当金の支払いによる支出が19億27百万円あったことが主な要因です。
当連結会計年度における生産実績は次のとおりであります。
(注) 1. セグメント間取引については、相殺消去しております。
2. 当社グループの報告セグメントは、所在地別(日本、北米、欧州)に区分しております。
3. 当社グループは、製品の種類、性質、製造方法、販売市場等の類似性から判断して、同種・同系列の精密減速機事業を専ら営んでおり、事業の種類別セグメントは単一でありますが、報告セグメントの製品別内訳を区分表示しております。
4. 磁気応用機器の開発、製造、販売を営んでいる株式会社ウィンベルの生産実績は、メカトロニクス製品に区分、集計し、表示しております
当連結会計年度における受注実績は次のとおりであります。
(注) 1. セグメント間取引については、相殺消去しております。
2. 当社グループの報告セグメントは、所在地別(日本、北米、欧州)に区分しております。
3. 当社グループは、製品の種類、性質、製造方法、販売市場等の類似性から判断して、同種・同系列の精密減速機事業を専ら営んでおり、事業の種類別セグメントは単一でありますが、報告セグメントの製品別内訳を区分表示しております。
4. 磁気応用機器の開発、製造、販売を営んでいる株式会社ウィンベルの受注実績は、メカトロニクス製品に区分、集計し、表示しております。
5. 受注残高は、当連結会計年度において日本セグメントを中心に発生した前連結会計年度以前の受注分に係る1,974,869千円の受注取り消し額を差し引いております。
当連結会計年度における販売実績は次のとおりであります。
(注) 1. セグメント間取引については、相殺消去しております。
2. 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
3. 当社グループの報告セグメントは、所在地別(日本、北米、欧州)に区分しております。
4. 当社グループは、製品の種類、性質、製造方法、販売市場等の類似性から判断して、同種・同系列の精密減速機事業を専ら営んでおり、事業の種類別セグメントは単一でありますが、報告セグメントの製品別内訳を区分表示しております。
5. 磁気応用機器の開発、製造、販売を営んでいる株式会社ウィンベルの販売実績は、メカトロニクス製品に区分、集計し、表示しております。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2022年6月23日)現在において、当社グループが判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。 詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
また、新型コロナウイルス感染症の影響は不確実性が大きく今後の当社業績に与える影響を合理的に見通すことは困難でありますが、2022年3月期の連結財務諸表の作成にあたっては、期末時点で入手可能な情報を基に検証等を行っております。しかしながら、このような検証にもとづく見積りに対し、将来の当社グループ製品に係る需要変動や生産活動等に大きな影響が及ぶなどの差異が生じた場合には、翌連結会計年度以降の財政状態及び経営成績に重要な影響を与える可能性があります。
(繰延税金資産)
当社グループは、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得の発生時期及びその金額を合理的に見積もり、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、経営者が見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、翌連結会計年度以降の繰延税金資産が減額され税金費用が増加する可能性があります。
(固定資産の減損処理)
当社グループは、固定資産について減損の兆候の有無に係る判定を行い、認識及び測定のプロセスを経た上で、減損が必要と認められる固定資産については帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては、当該資産の耐用年数、将来の使用目処、将来キャッシュ・フロー、割引率の設定などにおいて、経営者の判断や見積もりを用いておりますが、今後の事業計画や市場環境の変化により、当該見積りや判断の前提条件や仮定に変更が生じた場合には減損処理が必要となることがあり、翌連結会計年度以降の財政状態及び経営成績に重要な影響を与える可能性があります。
a. 財政状態
(流動資産)
流動資産は、前連結会計年度末に比べて77億55百万円増加(前期比20.3%増)し458億72百万円となりました。これは、受取手形及び売掛金が57億93百万円増加(前期比59.2%増)したことが主な要因です。
(固定資産)
固定資産は、前連結会計年度末に比べて44億93百万円減少(前期比4.4%減)し974億17百万円となりました。これは、保有する投資有価証券の時価が減少したことにより、投資その他の資産合計59億1百万円減少(前期比31.2%減)したことが主な要因です。
この結果、総資産は前連結会計年度末に比べて32億61百万円増加(前期比2.3%増)し、1,432億89百万円となりました。
(流動負債)
流動負債は、前連結会計年度末に比べて61億73百万円増加(前期比77.6%増)し141億27百万円となりました。これは、未払法人税等が17億66百万円増加(前期比210.9%増)したことに加え、支払手形及び買掛金が14億44百万円増加(前期比59.8%増)したことが主な要因です。
(固定負債)
固定負債は、前連結会計年度末に比べて82億91百万円増加(前期比37.7%増)し303億6百万円となりました。これは、長期借入金が93億96百万円増加(前期比180.0%増)したことが主な要因です。
この結果、負債合計は前連結会計年度末に比べて144億65百万円増加(前期比48.3%増)し444億33百万円となりました。
(純資産)
純資産合計は、前連結会計年度末に比べて112億3百万円減少(前期比10.2%減)し988億56百万円となりました。これは、欧州子会社を完全子会社化したことにより、非支配株主持分が71億70百万円減少(前期比100.0%減)したことに加え、資本剰余金が73億17百万円減少(前期比24.3%減)したことが主な要因です。
この結果、自己資本比率は、前連結会計年度末の73.5%から69.0%になりました。
b. 流動性および資金の源泉
(キャッシュ・フロー)
キャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 3経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
(資金需要)
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、製品製造のための材料の購入や外注加工費の支払いのほか、製造費、販売費及び一般管理費などの営業費用に係るものです。また、当社グループの研究開発費は研究開発に携わる従業員の人件費が主要な部分を占めております。
設備投資、M&Aなどに係る投資資金需要に対しましては、自己資金の充当を優先した上で、不足する資金については直接金融、間接金融など多面的な調達方法を検討し実行いたします。なお、当連結会計年度における設備投資のうち主なものは、工作機械等の製造装置、各種検査装置、切削工具、治具の取得などでありますが、これらへの投資にあたっては、有形・無形固定資産の購入とする方法と、リース取引による方法とを併用しております。
c. 経営成績
(売上高)
売上高は、前連結会計年度に比べて200億53百万円増加(前期比54.1%増)し、570億87百万円となりました。これは、産業用ロボットを中心とした自動化投資、旺盛な半導体需要を背景とした製造装置の大型設備投資が展開されたことによる高水準の受注が継続されたこと及び生産能力の増強をしたことによるものです。
(営業利益)
営業利益は、前連結会計年度に比べて78億73百万円増加(前期比909.3%増)し、87億39百万円となりました。これは、生産能力増投資を実施したことにより、減価償却費が増加したことに加え、急増した需要に対応するために製造部門の人員を増員したことから製造費用や販売費及び一般管理費が増加しましたが、売上高の増加に伴う増益効果が上回ったことによるものです。
(営業外損益)
営業外収益は、前連結会計年度に比べて1億51百万円減少(前期比15.3%減)し、8億37百万円となりました。これは、受取配当金が2億64百万円発生したことが主な要因です。
営業外費用は、前連結会計年度に比べて18百万円減少(前期比3.8%減)し、4億68百万円となりました。これは、賃貸費用が1億67百万円発生したことが主な要因です。
これらの結果、経常利益は前連結会計年度に比べて77億41百万円増加(前期比566.4%増)し、91億8百万円となりました。
(特別損益)
特別利益は、前連結会計年度に比べて36百万円減少(前期比60.2%減)し、24百万円となりました。特別損失は、前連結会計年度に比べて2億87百万円減少(前期比70.4%減)し、1億21百万円となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
上記の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度に比べて59億81百万円増加(前期比902.9%増)し、66億43百万円となりました。
d. 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、目標とする経営指標を売上高営業利益率:20%以上、自己資本当期純利益率(ROE):10%以上としております。また、2021年度を初年度とする中期経営計画(2021-2023年度)において、2023年度における財務目標を連結売上高 700億円、売上高営業利益率 21.4%、ROE10%以上と掲げております。初年度にあたる当期連結会計年度の実績(連結売上高570億87百万円、売上高営業利益率15.3%)は、初年度の目標を上回っております。「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、世界経済の不透明感はございますが足元の事業環境は良好に推移していくものと予測しております。今後の成長拡大に向けて、2023年度を最終年度とした中期経営計画の達成に向けて取り組みを進めてまいります。
連結売上高、連結営業利益、ROEの過去5年間の推移は以下のとおりです。
該当事項はありません。
当社グループは、より高度なモーションコントロールを提供するため、基礎研究の推進による次世代製品の開発とお客様のニーズを製品に反映させる応用開発の両面を追求しております。減速装置分野においては、より小型・軽量・高精度・高トルク容量比となる機構を追求し、メカトロニクス製品分野においては、これら減速装置分野の成果と、独自のモーター、センサー、制御技術等を応用し、各種アクチュエーター及びコントローラーの研究開発に注力しております。当社グループの研究開発はグループ内の独自技術によって行うことを中心にしておりますが、外部研究機関との共同研究にも力を入れ、次世代のモーションコントロールに必要となり得る要素開発と製品化に取り組んでまいりました。
当社グループ内において、研究開発の主たる部分は当社が担っております。カタログ標準製品の開発やお客様の要求に基づく開発設計を行う「開発・技術本部」、新しい自由な発想に基づいて現有製品の枠組みを超える新しい原理や機構を追求する「新原理機構研究室」、ハーモニックドライブ®の基礎技術を深耕し、性能向上の可能性を見出す「ハーモニックドライブ研究所」の3本部体制を設けております。米国シリコンバレーには、調査・研究を目的としたオフィスを設け、世界最先端のIT技術やロボット技術が集積する同地における足掛かりを築いております。これにより、様々なお客様の要求に応じるのはもとより、将来を見据えた先行的な研究開発や全ての研究開発の基本となる基礎技術の追求、さらには将来的にお客様に革新的な価値を提供できるような新原理や新機構の研究にも積極的に取り組み、加速する時代の変化にも対応してまいります。また、穂高工場敷地内の研究棟において、超精密な製品を生産・測定するための生産技術及び技能の研究を行っております。
開発と営業の連携をさらに強化し、高度化・多様化するお客様の期待値を満足させるため、提案力の強化を実施してまいりました。その成果として、先進医療(手術ロボット)、パワーアシスト、モビリティ、航空宇宙など新たな用途の製品開発が進んでおります。また、製品面においても、今後さらに加速していく各種装置の小型化・軽量化に求められる新製品の開発を進めてまいりました。小型・軽量に特化した商品ラインアップの拡充を進めております。
当連結会計年度は超軽量・扁平減速機ユニットCSF-ULWシリーズのサイズバリエーションを拡充し、軽量化ニーズの高まりへの更なる対応を進めてまいりました。各型番でこれまでにない軽量化・扁平化を追求し、実現しています。小型ロボットの先端軸への採用によるスペック向上、従来の機械やロボットの減速機からの置き換えによる装置軽量化・コンパクト化に貢献しております。
なお、当連結会計年度における研究開発要員は139名であり、研究開発費として