文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社は、以下の経営理念のもと、経営を遂行しております。
① 個人の尊重
当社は、社員一人一人の権利を尊重し、個人が意義のある文化的な人生と、生き甲斐を追求できる企業でありたい。一人一人の向上心を信じ、自立的な活動を援助し、仕事を通して能力が最大限に発揮できる環境を作り、能力や業績に報う企業とする。
② 存在意義のある企業
当社は、存在意義のある、優れた企業として認められることを望む。独創性を発揮し、個性と特徴をもち、経営の基盤を、絶えることのない研究開発活動と品質優先に置く経営を貫く。全ての組織が全力を尽くすことに生き甲斐を感ずる企業とする。
③ 共存共栄
当社は、社員、顧客、株主、材料部品の購入先、協力会社、取引先などの多くの人々に支えられている。当社は、これら関係者の全てに満足してもらえるように魅力ある製品、サービス、報酬、環境、取引関係を作り上げるよう最善の努力を払う。
④ 社会への貢献
当社は、社会の良き一員として企業活動を通じ、広く社会や産業界に貢献して行く。我々が提供する製品やサービスが、直接的間接的に広く社会の向上に役立ち、属する地域社会の環境や質の向上に役立つ企業を目指す。
(2)当社グループの事業と製品
当社グループは、トータル・モーション・コントロールを提供する技術・技能集団として、技術者・技能者という人的資源を中核に、トータル・モーション・コントロールを構成するコア技術を高度に応用することによって、お客様が求める“動き”の実現に貢献できる製品を提供しております。
当社グループでは、ハーモニックドライブ®、アキュドライブ®、ハーモニックプラネタリ®といった高精度減速機に、モーター、センサーなどを組み合わせたアクチュエーター、さらにはその性能を引き出すドライバー、コントローラー、その他システム要素を組み合わせ、他社製品とは差別化された高付加価値製品を提供しております。
(3)当社グループの強みや特長
① 波動歯車装置に係る技術・技能の蓄積
当社グループは、波動歯車装置との運命的な出会いを契機に、創業以来50年以上にわたって無限に広がるこの減速装置の可能性を追求してきました。これまでに蓄積した開発技術、生産技術、加工・組立の技能、生産システムは、当社グループのかけがえのない財産であり、最大の強みと考えております。
② 小型・軽量・高精度を提供する製品群
当社グループが製造・販売するメカトロニクス製品と減速装置は、高度なモーション・コントロールや各種装置のコンパクト化・軽量化を求めるお客様にご採用いただいております。なかでも、小型、軽量、高精度を特長とするハーモニックドライブ®は、自動車、デジタル機器、半導体ウェハー、フラットパネルディスプレイなどの製造工程で使われる産業用ロボットの関節部に組み込まれ、世界市場で高いシェアを獲得しています。さらに、工作機械、計測試験装置、人工衛星、石油掘削装置、先進医療機器などの幅広い用途において、他の機構では実現の難しい差別化された付加価値を提供しています。
③ 「トータル・モーション・コントロール」の提供を可能とするコア技術
当社グループは、減速機のほか、モーター、センサー、ドライバー、コントローラー、その他システム要素に関する研究開発とものづくりを通じて、これらの技術・技能を蓄積してきました。このようにして培ったコア技術に係る有形・無形の技術と技能は、お客様が求める高度なモーション・コントロールを提供するために不可欠なものであり、当社グループの競争力の源泉と考えております。
④ 営業・製造・開発が一体となった事業運営
当社グループは、お客様のニーズをものづくりや製品開発に生かすため、営業部門、製造部門、技術・開発部門が密接な関係をもった事業運営を行っています。例えば、長野県の安曇野市にこれらの主要部門を集中させ、引合いから技術検討、試作、受注、製造、出荷までの業務プロセスを効率的に進める体制を構築しています。お客様のニーズや技術者の発想を素早くものづくりに反映し、新たなモーション・コントロールをタイムリーに提供できる体制も当社グループの強みのひとつと考えております。
⑤ 国際的な事業展開
当社グループは、日本、米国、ドイツ、韓国、中国、台湾に事業拠点を展開し、各地域の特性に合わせた事業戦略を推進するとともに、各拠点が相互に連携しながら世界的に広がるお客様に対し最適な製品・サービスの提供を進めております。
(4)中長期的な当社グループの経営戦略
2020年度に当社は創立50周年を迎え、更なる飛躍を目指すため、当社グループは「新たな50年に向けて~確かな成長ステージへ~」をキーワードに、中期経営計画(2021年度〜2023年度)を策定しました。前中期経営期間(2018年度~2020年度)は、米中貿易摩擦・新型コロナウイルス感染拡大などの影響により事業環境は激しい変動を余儀なくされましたが、当社グループが手掛けるメカトロニクス製品、精密減速装置の市場は、製造業の自動化、省力化ニーズに加え、感染症対策などの需要も見込まれることから、中長期にわたり高い成長が期待できると考えております。急速な成長と調整を挟みながらも、段階的に拡大する市場において環境の変化に対応し、技術技能を向上させ、お客様の期待値を超える製品とサービスを提供してまいります。このように、短期的な事業環境の変化に対応しつつ、下記の長期ビジョン、中期経営計画に掲げた方針に基づき攻めと守りのバランスを勘案した戦略を実行し、中長期的な企業価値向上を図ってまいります。
■当社グループのミッション
モーションコントロール技術で社会の技術革新に貢献する
■長期ビジョン
~トータル・モーション・コントロールの追求~
・環境の変化を捉えた新技術・技能への挑戦と創出
・お客様の期待値を超えるQCDSの実現
・企業活動を通じて持続可能な社会に貢献する
■中期経営計画(2021年度〜2023年度)
新たな50年に向けて~確かな成長ステージへ~
(基本方針と戦略)
① お客様の期待値を満足させるQCDSの実現
Q:シグマゼロ:不適合・クレームゼロ
C:生産性向上、VA+VEの一層の充実
D:顧客希望納期に対するコミット
S:ER活動の充実:スピードアップ
② 価値ある製品の開発とサービスの強化によるRD、AD、MT事業の拡大
RD:波動歯車装置
・次世代用途に適合していくための新技術・技能の創出と製品化
AD:精密遊星減速機
・事業再構築による地域・各種用途に即した製品提供の拡大
MT:メカトロニクス製品
・お客様の“やりたい”を実現し得る製品提供と課題解決力のさらなる向上
③ 時代の要求に適合した経営基盤の構築
・持続可能な経営の推進(SDGs)
・事業拡大をけん引できる人材の育成、多様性を高める人事制度や働き方の構築
・IT強化戦略・当社独自のIoT構想実践
・成長を支える財務基盤の確立と資金調達力の強化
④ 海外グループ会社・機関との連携強化とシナジーの最大化
・各拠点の経営資源の最大活用
・海外研究機関との積極的な研究活動の維持・促進
・グローバル生産体制の確立
⑤ 固定概念にとらわれず、次の50年の新常識を創造する
・新素材、新原理、新機構、新工法への積極的な挑戦
・知能メカトロニクスの実現に向けた布石
・社会の変化に敏感な感覚と非常識を受入れる風土の醸成
(5)経営環境と対処すべき課題
2021年度における当社グループの事業環境は、世界的な新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け停止していた自動化投資の回復、半導体の需要増加に伴う設備投資の増加等など、産業用ロボットや協働型ロボット、半導体製造装置用途を中心に高い水準で需要が推移していくものと予測しています。また、近年新たな市場として注力してまいりました先進医療(手術支援ロボット)用途の拡大、車載用製品の需要の拡大も見込まれており、総じて良好な環境で推移するものと見込んでおります。
新型コロナウイルスの終息が見通せず、経営環境の不透明さは依然継続するものと思われますが、当社グループは、「安全と安心」をキーワードに、お客様、お取引先様、社員及びその家族の感染防止を最優先し、各生産拠点の操業維持とサプライチェーンの連携強化に最注力してまいります。その上で、「お客様の期待値に応える価値の提供」を実現していくため、製品及びサービス品質の向上、生産改革によるコスト低減・リードタイム短縮、課題解決力の向上とさらなる迅速化に取り組み、更なる競争優位性の拡大に傾注してまいります。
当社グループの経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性のあるリスクには、以下のようなものがあります。
なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2021年6月24日)現在において、当社グループが判断したものです。
当社グループの製品は、産業用ロボット、半導体製造装置、フラットパネルディスプレイ製造装置をはじめとする産業用機械の部品として販売されるものが大半でありますので、設備投資動向が当社グループの業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。特に、産業用ロボット、半導体製造装置、フラットパネルディスプレイ製造装置業界向けについては、スマートフォンや半導体デバイス並びにパネル市場の市況好転や製造技術の革新などにより大きな成長を遂げることがある反面、需給調整などによる予期せぬ市場の縮小が起こった場合、当社グループの業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、モーション・コントロール分野における技術・技能集団として、研究開発部門への重点的な資源配分を実施することで、高付加価値で特長ある製品を開発し、市場投入していきます。しかしながら、研究開発への資源配分及び研究開発のための人材確保の努力を継続する一方、技術革新に追い付きお客様や市場の需要を満たす魅力的な新製品を開発できなかった場合または研究開発の成果である新製品の市場投入もしくは市場浸透が遅れた場合、当社グループの業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、お客様満足の向上と市場における優位性を高めるために、ISO9001の認証取得をはじめとして、品質保証体制の強化に努めております。しかしながら、予期せぬ製品の不具合が発生することなどにより、当社グループの業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、米国に連結子会社2社、中国に連結子会社1社、韓国に連結子会社1社、欧州に連結子会社9社を有し、事業における積極的な国際化を推進しております。従いまして、為替変動は当社グループの事業活動に悪影響を与えることがあります。また、為替変動は、当社グループの外貨建取引に伴う収益・費用及び資産・負債の円換算額に影響を与え、業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社及び一部の連結子会社では、確定給付型の退職年金制度または退職一時金制度を設けておりますが、退職給付債務及び退職給付費用の計算の基礎となる条件の見直しや、年金資産の運用環境悪化等が、当社グループの業績及び財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
なお、2016年12月1日より、確定給付企業年金制度の一部を確定拠出年金制度へ移行しております。
当社グループは、幅広いサプライヤーから原材料、部品及び生産設備を購入しておりますが、サプライヤーの供給不足、費用増加またはその他の理由により当社グループの利用量が制限される可能性があります。原材料、部品及び生産設備の価格上昇または利用制限があった場合、当社グループの業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑧ 人材の確保に関するリスク
当社グループの事業においては、事業及びノウハウに関する深い知識と高い技術を有する研究者その他の技術者を含む熟練した従業員並びに能力の高い役員を確保する必要があり、かかる従業員または役員を確保できなかった場合、当社グループの業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループの人材が競合他社に流出した場合、当該人材を通じて競合他社に当社グループの技術やノウハウが漏れ、当社グループの業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑨ 海外事業の展開に関するリスク
当社グループは、グローバルに事業を展開しているため、次のような海外事業展開に関するリスクがあります。
・各国の政治情勢及び経済状況の変化及び社会的混乱
・海外市場の関連産業における景気の減速または後退
・各国の予期しない法律や規制の変更(移転価格問題、当社の在外子会社及び関連会社による送金その他の
支払いにかかる源泉徴収その他の税金の賦課または増税等)
・各国における許認可の取得及び維持の困難性及び不確実性
・取引制限または関税の変更
・テロ、戦争、自然災害、悪天候、感染症その他の制御不能な要因
・当社グループが事業を行っている国もしくは地域と日本との間の、またはかかる国もしくは地域間の政治的、経済的関係の悪化
・各国の政府による投資制限及びその他の規制の実施または増加
・人件費の著しい増加及び賃金上昇
・労働紛争、争議行為、ゼネストまたは労働環境におけるその他の障害
・開発途上のインフラによりもたらされる予期せぬ事故(停電等)
・文化の違いやその他の要因による現地の人材及び事業の管理の困難性
・一部の国における限定的な知的財産権の保護
また、海外における事業の展開に際しては、投下資本の回収が当初の計画どおりに進まない場合があり、収益の増加よりも早く費用の増加が生じることがあります。これにより、当社グループの業績及び財政状態に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。
⑩ M&A及び事業提携等に関するリスク
当社グループは、ドイツ子会社ハーモニック・ドライブ・エスイーの買収をはじめ、様々な業務及び資本提携並びに合弁事業を行っており、適切な機会があれば、さらなる買収(M&A)や事業提携等を行う可能性があります。これらを行う際は、利益性及び投資利益率の見込みを慎重に検討しますが、実施時に見込んだ計画どおりに進捗しない可能性、シナジー効果を実現できない可能性、買収した事業を成功裏に経営できない可能性があります。これらの場合、買収や事業提携等にかかるのれんや無形固定資産の減損等を通じ、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、良好な財政基盤を維持しつつ生産能力を増強させることを含め、事業戦略を推進しております。しかしながら、事業戦略の実現や目標の達成は様々な要因(当社グループが事業を行う地域における一般的な経済環境及び市場環境、競争や需要の水準等)に左右されるため、当社グループの事業戦略の実施が意図したとおりの効果をもたらさない可能性、実際の数値が事業計画の前提と異なる可能性、設定した目標が達成されない可能性があります。また、かかる目標が将来的にさらに変更される可能性もあります。
当社グループは、減速装置及びメカトロニクス製品の市場において高い市場占有率を持つ製品を多数保有しております。新規参入者により競争が激化した場合、製品の利益率の悪化や販売の機会損失の発生により、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの事業活動において、予期せぬトラブル・問題が生じた場合、当社グループの責任の有無にかかわらずこれらに起因する損害賠償の請求や、訴訟等の提起を受ける可能性があります。かかる訴訟等は、とりわけ製品、環境責任及び特許権侵害の申立て等の知的財産に関する問題に関連して生じる可能性があります。これらの事象が発生した場合は、提訴内容や損害賠償額の状況及びその結果によっては当社グループの社会的信用が低下することに加え、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの事業活動は、貿易、反トラスト、知的財産、製造物責任、労働関連法令、コーポレート・ガバナンス、個人情報保護、環境法令、政府の許認可、課税、国家間の国家安全保障に関する法令及び国家安全保障のための輸出入の規制を含む、各国における規制の対象となっております。当社グループのリスク管理体制、コンプライアンス体制及び内部統制システムを維持する努力が効果的でないかまたは不十分である場合、当社グループは(従業員または第三者によって行われたかを問わず)不正行為または腐敗行為に関与する可能性があり、また法令を遵守していないとみなされる可能性があります。これらにより、当社グループに制裁または罰金が科せられる可能性があり、また当社グループの事業及びレピュテーションに悪影響を及ぼす可能性があります。さらに、今後、法規制が強化された場合や、事業活動を展開する地域が拡大した場合、法規制への対応に追加費用を要することとなり、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの事業は、特に製造プロセスにおいて、使用、貯蔵、排出及び廃棄に厳しい規制がかかっている化学物質等の使用を伴うため、当社グループが事業を展開している国々において幅広い環境法令及び規制の対象となっております。また、当社グループは、エネルギー及び資源保護、リサイクル、地球温暖化、汚染防止、並びに環境衛生及び安全性について、様々な法令及び工業規格の対象となっております。環境法令は、今後、規制が強化される可能性があります。その場合に当社グループの一部の生産及び一部の活動が制限もしくは禁止されてしまう可能性、または是正措置命令を受け、これの実行に伴う費用、適用された環境法令に準拠するために必要となる設備投資その他の費用が相当な金額になる可能性があります。これらによって、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑰ 新型コロナウイルス感染症に関するリスク
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、個人消費や製造業の設備投資意欲が低迷することにより、産業用ロボット、半導体製造装置、乗用車などの需要が減少し、これら装置の部品サプライヤーである当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループは、新型コロナウイルス感染拡大防止対策として、2020年2月3日に当社内に対策本部を設置し、社員、お客様、お取引先など、ステークホルダー各位の安全と安心を最優先に感染防止対策を行っています。しかし、新型コロナウイルス感染拡大による人的・物的被害の発生や資材調達の停滞及び物流網の寸断により、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑱ その他のリスク
当社グループだけでは避けることのできない、経済や政治環境の変化、テロ、戦争、自然災害、悪天候、感染症その他の制御不能な要因などの予期せぬ事象が発生した場合、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度における当社グループの事業環境は、年度の前半は新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、世界規模で設備投資に慎重な姿勢が見られたため、厳しい状況で推移しました。しかしながら、年度の後半に入り、新型コロナウイルス感染拡大をいち早く抑え込んだ中国の経済活動の回復により、日本を含むアジア市場を中心に事業環境は大幅に改善しました。
当社グループの受注環境は、アジア市場で自動化投資が活発化したことに加え、データ需要急増に伴う半導体大手の大規模投資の加速により急速に改善しました。また、前年度まで過剰となっていたお客様における当社製品の在庫調整が進展したことも、受注の底上げに寄与しました。これらにより、通期の連結受注高は前期比38.8%増加の416億75百万円となりました。
また、連結売上高につきましては、日本を含むアジア市場は受注回復の影響により売上高が増加したものの、欧米地域では新型コロナウイルス感染拡大による経済活動の回復の遅れから主要用途向けの売上高が総じて減少しました。その結果、前期比1.2%減少の370億34百万円となりました。
用途別の売上高の動向につきましては、産業用ロボット向けは、中国を中心とした自動化設備投資の回復に加え、EV向けのバッテリー生産工程でも産業用ロボットの導入が進んだことによる需要拡大が貢献し、売上高は増加しました。また、半導体製造装置向けは、第5世代通信(5G)の普及やIoTの進展などで設備投資意欲が旺盛だった影響から売上高は増加しました。一方、フラットパネルディスプレイ製造装置向けは、前年と同様に設備投資案件が乏しく売上高は低水準となりました。また、工作機械向け、車載用途等も、年の前半の受注低迷を受け、通期での売上高は減少しました。
損益面につきましては、お客様、お取引先、社員およびその家族の新型コロナウイルス感染防止対策を最優先しながら、厳しい事業環境下でも利益を出せるより筋肉質な体質の構築と、次に訪れる拡大期の備えに傾注してまいりました。その結果、売上高は減少したものの、営業利益は8億65百万円(前期は営業損失1億95百万円)となりました。また、営業利益の増加により、親会社株主に帰属する当期純利益は6億62百万円(前期は親会社株主に帰属する当期純損失10億95百万円)となりました。
なお、製品群別の売上高は、減速装置が293億19百万円(前期比4.6%増)、メカトロニクス製品が77億14百万円(前期比18.4%減)で、売上高比率はそれぞれ79.2%、20.8%となりました。
報告セグメントの業績は、以下のとおりであります。
(日本)
日本を含むアジア市場を中心に生産活動の正常化が進み、自動化・省人化を目的とした設備投資が回復したことにより、産業用ロボット向けをはじめ、半導体製造装置向けなどの需要が回復しました。これらにより、売上高は前期比18.8%増加の221億13百万円となりました。また、セグメント利益(経常利益)は、増収の影響により、前期比93.3%増加の48億9百万円となりました。
(北米)
新型コロナウイルス感染拡大によるロックダウンの影響により、主にアミューズメント機器向けの需要が減少したことに加え、経済活動の停滞により設備投資需要が総じて減少したことにより、売上高は前期比17.6%減少の51億44百万円となりました。また、セグメント利益(経常利益)は、前期比67.5%減少の3億10百万円となりました。
(欧州)
お客様における在庫調整の影響に加え、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、市場全般で需要が低調に推移したことにより、主に産業用ロボット向け、その他一般産業機械向けの需要などが減少し、売上高は前期比22.6%減少の97億75百万円となりました。また、減収による利益減少の影響に加え、ハーモニック・ドライブ・エスイーの株式取得時に計上した無形資産に係る償却費14億97百万円の負担により、9億20百万円のセグメント損失(経常損失)となりました。
当連結会計年度における財政状態は、以下のとおりです。
総資産は、前連結会計年度末と比較して、投資その他の資産合計が87億68百万円増加(前期比86.4%増)したことにより、81億79百万円増加(前期比6.2%増)し1,400億28百万円となりました。
負債は、前連結会計年度末と比較して、繰延税金負債が27億97百万円増加(前期比30.1%増)により、48億38百万円増加(前期比19.3%増)し299億68百万円となりました。
純資産は、前連結会計年度末と比較して、非支配株主持分が22億94百万減少(前期比24.2%減)したことに加え、期末及び中間配当を実施したことにより利益剰余金が12億62百万円減少(前期比2.3%減)した一方で、その他有価証券評価差額金が59億71百万円増加(前期比146.2%増)したことにより、33億41百万円増加(前期比3.1%増)し1,100億59百万円となりました。
この結果、自己資本比率は、前連結会計年度末の73.3%から73.5%になりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べて16億54百万円増加し199億96百万円となりました。
当連結会計年度に係る区分ごとのキャッシュ・フローの状況は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動による収入は95億55百万円となりました。(前連結会計年度は109億50百万円の収入)
これは、売上債権の増加を25億30百万円計上した一方で、減価償却費を64億64百万円計上したことに加え、法人税等の還付が22億6百万円あったたことが主な要因です。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動による支出は12億30百万円となりました。(前連結会計年度は125億37百万円の支出)
これは、有形固定資産の取得による支出が13億26百万円あったことが主な要因です。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動による支出は65億61百万円となりました。(前連結会計年度は23億62百万円の収入)
これは、連結の範囲の変更を伴わない子会社株式の取得による支出が29億50百万円、配当金の支払いが19億26百万円あったことが主な要因です。
当連結会計年度における生産実績は次のとおりであります。
(注) 1. セグメント間取引については、相殺消去しております。
2. 上記金額は販売価格により表示し、消費税等は含まれておりません。
3. 当社グループの報告セグメントは、所在地別(日本、北米、欧州)に区分しております。
4. 当社グループは、製品の種類、性質、製造方法、販売市場等の類似性から判断して、同種・同系列の精密減速機事業を専ら営んでおり、事業の種類別セグメントは単一でありますが、報告セグメントの製品別内訳を区分表示しております。
5. 磁気応用機器の開発、製造、販売を営んでいる株式会社ウィンベルの生産実績は、メカトロニクス製品に区分、集計し、表示しております
当連結会計年度における受注実績は次のとおりであります。
(注) 1. セグメント間取引については、相殺消去しております。
2. 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3. 当社グループの報告セグメントは、所在地別(日本、北米、欧州)に区分しております。
4. 当社グループは、製品の種類、性質、製造方法、販売市場等の類似性から判断して、同種・同系列の精密減速機事業を専ら営んでおり、事業の種類別セグメントは単一でありますが、報告セグメントの製品別内訳を区分表示しております。
5. 磁気応用機器の開発、製造、販売を営んでいる株式会社ウィンベルの受注実績は、メカトロニクス製品に区分、集計し、表示しております。
6. 受注残高は、当連結会計年度において日本セグメントを中心に発生した前連結会計年度以前の受注分に係る372,051千円の受注取り消し額を差し引いております。
当連結会計年度における販売実績は次のとおりであります。
(注) 1. セグメント間取引については、相殺消去しております。
2. 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
3. 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
4. 当社グループの報告セグメントは、所在地別(日本、北米、欧州)に区分しております。
5. 当社グループは、製品の種類、性質、製造方法、販売市場等の類似性から判断して、同種・同系列の精密減速機事業を専ら営んでおり、事業の種類別セグメントは単一でありますが、報告セグメントの製品別内訳を区分表示しております。
6. 磁気応用機器の開発、製造、販売を営んでいる株式会社ウィンベルの販売実績は、メカトロニクス製品に区分、集計し、表示しております。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2021年6月24日)現在において、当社グループが判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。 詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
また、新型コロナウイルス感染症の影響は不確実性が大きく今後の当社業績に与える影響を合理的に見通すことは困難でありますが、2021年3月期の連結財務諸表の作成にあたっては、期末時点で入手可能な情報を基に検証等を行っております。しかしながら、このような検証にもとづく見積りに対し、将来の当社グループ製品に係る需要変動や生産活動等に大きな影響が及ぶなどの差異が生じた場合には、翌連結会計年度以降の財政状態及び経営成績に重要な影響を与える可能性があります。
(繰延税金資産)
当社グループは、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得の発生時期及びその金額を合理的に見積もり、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、経営者が見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、翌連結会計年度以降の繰延税金資産が減額され税金費用が増加する可能性があります。
(固定資産の減損処理)
当社グループは、固定資産について減損の兆候の有無に係る判定を行い、認識及び測定のプロセスを経た上で、減損が必要と認められる固定資産については帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては、当該資産の耐用年数、将来の使用目処、将来キャッシュ・フロー、割引率の設定などにおいて、経営者の判断や見積もりを用いておりますが、今後の事業計画や市場環境の変化により、当該見積りや判断の前提条件や仮定に変更が生じた場合には減損処理が必要となることがあり、翌連結会計年度以降の財政状態及び経営成績に重要な影響を与える可能性があります。
a. 財政状態
(流動資産)
流動資産は、前連結会計年度末に比べて21億29百万円増加(前期比5.9%増)し381億17百万円となりました。これは、受取手形及び売掛金が25億45百万円増加(前期比35.1%増)したことが主な要因です。
(固定資産)
固定資産は、前連結会計年度末に比べて60億50百万円増加(前期比6.3%増)し1,019億10百万円となりました。これは、保有する投資有価証券の時価が上昇したことにより、投資その他の資産合計が87億68百万円増加(前期比86.4%増)したことが主な要因です。
この結果、総資産は前連結会計年度末に比べて81億79百万円増加(前期比6.2%増)し、1,400億28百万円となりました。
(流動負債)
流動負債は、前連結会計年度末に比べて28億26百万円増加(前期比55.1%増)し79億54百万円となりました。これは、支払手形及び買掛金が9億40百万円増加(前期比63.8%増)したことに加え、その他流動負債が8億91百万円増加(前期比64.6%増)したこと、未払法人税等が7億8百万円増加(前期比550.4%増)したことが主な要因です。
(固定負債)
固定負債は、前連結会計年度末に比べて20億12百万円増加(前期比10.1%増)し220億14百万円となりました。これは、繰延税金負債が27億97百万円増加(前期比30.1%増)したことが主な要因です。
この結果、負債合計は前連結会計年度末に比べて48億38百万円増加(前期比19.3%増)し299億68百万円となりました。
(純資産)
純資産合計は、前連結会計年度末に比べて33億41百万円増加(前期比3.1%増)し1,100億59百万円となりました。これは、非支配株主持分が22億94百万減少(前期比24.2%減)したことに加え、期末及び中間配当を実施したことにより利益剰余金が12億62百万円減少(前期比2.3%減)した一方で、その他有価証券評価差額金が59億71百万円増加(前期比146.2%増)したことが主な要因です。
この結果、自己資本比率は、前連結会計年度末の73.3%から73.5%になりました。
b. 流動性および資金の源泉
(キャッシュ・フロー)
キャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 3経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
(資金需要)
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、製品製造のための材料の購入や外注加工費の支払いのほか、製造費、販売費及び一般管理費などの営業費用に係るものです。また、当社グループの研究開発費は研究開発に携わる従業員の人件費が主要な部分を占めております。
設備投資、M&Aなどに係る投資資金需要に対しましては、自己資金の充当を優先した上で、不足する資金については直接金融、間接金融など多面的な調達方法を検討し実行いたします。なお、当連結会計年度における設備投資のうち主なものは、工作機械等の製造装置、各種検査装置、切削工具、治具の取得などでありますが、これらへの投資にあたっては、有形・無形固定資産の購入とする方法と、リース取引による方法とを併用しております。
また、当連結会計年度において、ハーモニック・ドライブ・エルエルシーの持分49%について、ナブテスコ株式会社の米国子会社(Nabtesco USA Inc.)から買い取りしていますが、自己資金を充当しております。
c. 経営成績
(売上高)
売上高は、前連結会計年度に比べて4億53百万円減少(前期比1.2%減)し、370億34百万円となりました。これは、日本を含むアジア市場では受注回復をした一方で、欧米地域では新型コロナウイルス感染拡大による経済活動の回復の遅れにより売上高が減少したことによるものです。
(営業利益)
営業利益は、前連結会計年度に比べて10億61百万円増加し、8億65百万円(前期は営業損失1億95百万円)となりました。これは、新型コロナウイルス感染防止対策を最優先としつつ、厳しい事業環境下でも利益を出せる体質の構築を進めたことによるものです。
(営業外損益)
営業外収益は、前連結会計年度に比べて1億77百万円増加(前期比21.9%増)し、9億88百万円となりました。これは、補助金収入が2億77百万円発生したことが主な要因です。
営業外費用は、前連結会計年度に比べて1億8百万円増加(前期比28.6%増)し、4億87百万円となりました。これは、たな卸資産評価損が1億84百万円発生したことが主な要因です。
これらの結果、経常利益は前連結会計年度に比べて11億30百万円増加(前期比478.2%増)し、13億66百万円となりました。
(特別損益)
特別利益は、前連結会計年度に比べて9百万円減少(前期比13.5%減)し、61百万円となりました。特別損失は、前連結会計年度に比べて35百万円減少(前期比8.0%減)し、4億8百万円となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
上記の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は6億62百万円(前期は親会社株主に帰属する当期純損失10億95百万円)となりました。
d. 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、目標とする経営指標を売上高営業利益率:20%以上、自己資本当期純利益率(ROE):10%以上としております。また、2021年度を初年度とする中期経営計画(2021-2023年度)において、2023年度における財務目標を連結売上高 700億円、売上高営業利益率 21.4%、ROE10%以上と掲げました。
連結売上高、連結営業利益、ROEの過去5年間の推移は以下のとおりです。
「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、中期経営計画(2018年度-2020年度)の最終年度である当連結会計年度の事業環境は厳しい状況で推移し、実績は目標に対して大幅な未達となりました。これは、2018年度から悪化した米中貿易摩擦、2019年度以降に深刻化した新型コロナウイルス感染拡大の影響により、中期経営計画(2018-2020年度)想定時よりも設備投資需要が大幅に調整されたことが主な要因です。なお、2021年度を初年度とする中期経営計画(2021-2023年度)はこれらの影響を考慮しております。
当社グループは、より高度なモーションコントロールを提供するため、基礎研究の推進による次世代製品の開発とお客様のニーズを製品に反映させる応用開発の両面を追求しております。減速装置分野においては、より小型・軽量・高精度・高トルク容量比となる機構を追求し、メカトロニクス製品分野においては、これら減速装置分野の成果と、独自のモーター、センサー、制御技術等を応用し、各種アクチュエーター及びコントローラーの研究開発に注力しております。当社グループの研究開発はグループ内の独自技術によって行うことを中心にしておりますが、必要に応じて大学等の研究機関または他企業との共同研究開発も行っております。
当社グループ内において、研究開発の主たる部分は当社が担っております。カタログ標準製品の開発やお客様の要求に基づく開発設計を行う「開発・技術本部」、新しい自由な発想に基づいて現有製品の枠組みを超える新しい原理や機構を追求する「新原理機構研究室」、ハーモニックドライブ®の基礎技術を深耕し、性能向上の可能性を見出す「ハーモニックドライブ研究所」の3本部体制を設けております。米国シリコンバレーには、調査・研究を目的としたオフィスを設け、世界最先端のIT技術やロボット技術が集積する同地における足掛かりを築いております。これにより、様々なお客様の要求に応じるのはもとより、将来を見据えた先行的な研究開発や全ての研究開発の基本となる基礎技術の追求、さらには将来的にお客様に革新的な価値を提供できるような新原理や新機構の研究にも積極的に取り組み、加速する時代の変化にも対応してまいります。また、穂高工場敷地内の研究棟において、超精密な製品を生産・測定するための生産技術及び技能の研究を行っております。
当連結会計年度は、更に高度化・多様化するお客様の期待値を満足させるため、提案力の強化を実施してまいりました。開発と営業の連携をさらに強化し、より迅速に対応できるサポート体制を整備しました。その成果として、先進医療(手術ロボット)、パワーアシスト、モビリティ、航空宇宙など新たな用途の製品開発が進んでおります。また、製品面においても、今後さらに加速していく各種装置の小型化・軽量化に求められる新製品の開発を進めてまいりました。小型・軽量に特化した商品ラインアップの拡充を始めております。加えて、新技術と要素研究の促進のため、外部研究機関との共同研究及び当社グループ内における研究資源の相互活用を実施してまいりました。今後も新たな価値を創出するため、高水準の研究開発を進めてまいります。
当連結会計年度に開発が完了し、市場投入した主な新製品には、超軽量・扁平減速機ユニットCSF-ULWシリーズがあります。各型番でこれまでにない軽量化・扁平化を追求し、実現しています。小型ロボットの先端軸への採用によるスペック向上、従来の機械やロボットの減速機からの置き換えによる装置軽量化・コンパクト化に貢献しております。
なお、当連結会計年度における研究開発要員は143名であり、研究開発費として2,444百万円を投下しております。