第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

(1) 業績

当連結会計年度(平成28年10月1日から平成29年9月30日まで)におけるわが国経済は、依然として海外経済の不確実性からくる影響に留意しつつも、好調な企業業績や雇用・所得環境の改善傾向を背景に、緩やかな回復基調の中で推移いたしました。

 

当社グループは、原子力・火力発電所用バルブの製造とメンテナンスを主な事業としておりますが、東日本大震災の津波による東京電力福島第一原子力発電所事故以降、主力事業である原子力発電所(以下、「原発」)定期検査工事案件が激減したことから非常に厳しい事業運営を余儀なくされております。

しかし、大阪高裁が本年3月、関西電力高浜原発の運転差し止めの仮処分決定を取り消したことで、5月には同原発4号機が、6月には同じく3号機がそれぞれ再稼働しました。この結果、現在稼働中の原発は、一昨年に再稼働した九州電力川内原発1・2号機と、昨年再稼働した四国電力伊方原発3号機を含め3か所5基となりました。

一時のことを思えば状況の改善は著しく、特に関西電力の原発が再稼働したことは、地元であると同時にPWR(加圧水型原子炉)向けに多くの製品・サービスを納入してきた当社グループにとって当連結会計年度最大の朗報でした。そして来年前半には関西電力大飯原発3・4号機、九州電力玄海原発3号機の再稼働が予定されていることから、更なる事業環境の改善が進むものと考えております。

 

このような状況下、当連結会計年度におきましては、九州電力川内原発の再稼働後最初の定期検査工事、関西電力高浜原発3・4号機向け定期検査工事及び再稼働前点検工事、九州電力玄海原発3・4号機向け再稼働準備工事(3号機は来春再稼働予定、4号機は再稼働時期未定)を中心とした原発案件に加え、火力発電所のバルブ保守・補修需要に由来する、取替用バルブ・部品の製造及びメンテナンス工事等のバルブ事業を中心に、製鋼事業、除染事業の更なる拡大を図ることで、当連結会計年度業績予想値と中期経営計画のマイルストーン達成に向け全力で取り組んでまいりました。

しかし、原発の再稼働が実現してきたことで、再稼働準備等の特需的な案件は徐々に減少し、火力発電所向けも、先進超々臨界圧火力発電の建設計画減速等々で大型案件が乏しくなると共に全体的な案件数も減少気味であったことなどから、当連結会計年度の売上高は81億2百万円(前年同期比4.9%減)に留まりました。

 

採算面においても、収益が伸び悩む中にあって、当連結会計年度及び今後の工場操業度維持等のための不採算案件受注で、新たな受注損失引当金を計上するなど非常に厳しい状況となりましたが、原発関連とメンテナンス関連の案件で相応に限界利益を確保できたことに加え、固定費の圧縮や工場操業が安定的に推移したことなどを要因に、営業利益2億43百万円(前年同期比1.6%減)、経常利益2億87百万円(同2.9%減)、親会社株主に帰属する当期純利益1億84百万円(同20.6%減)と、前年同期比4.9%の減収ながら、営業利益、経常利益共にほぼ前年並みとすることができました。

 

報告セグメント別の状況は、バルブ事業では、売上高は63億31百万円(前年同期比3.5%減)、セグメント利益は9億58百万円(同4.6%減)と減収減益となりましたが、前述のとおり、関西電力高浜原発3号機向け定期検査工事、同4号機向け再稼働前点検工事、九州電力川内原発1・2号機向け定期検査工事、北海道電力泊原発3号機中間点検工事、関西電力大飯原発の再稼働準備関連工事など、原発関連売上がバルブ事業の売上高の半分弱を占め、加えて原発定期検査を始めとしたバルブメンテナンス関連売上が中心となったことから、セグメント利益率は、ほぼ前年並みとなりました。

 

製鋼事業は、鋳鋼業界の状況が年々厳しさを増す中にあって、その影響が当連結会計年度業績にも顕れはじめており、需要減少と過当競争による市場価格下落で、売上高は11億48百万円(前年同期比18.9%減)で大幅な減収となり、採算面でも、セグメント利益は1億32百万円の赤字(前年同期は1億7百万円の赤字)で損失額は増加しました。

 

除染事業においては、被災地の避難指示区域が徐々に解除されていることに伴い大型案件が減少する状況にあり、地域除染に関連した案件は減少しましたが、地域除染により発生した廃棄物の減容化施設や中間貯蔵施設向け放射線管理等の復興関連の案件が増加したことから、売上高は6億32百万円(前年同期比15.7%増)、セグメント利益は70百万円(同37.9%増)と、増収増益となりました。

 

 

表:報告セグメント内の種類別売上高

  報告セグメント

種類別の売上高

前連結会計年度
(百万円)

当連結会計年度
(百万円)

前年同期比(%)

 バルブ事業

 バルブ(新製弁)

1,401

1,638

16.9

 バルブ用取替補修部品

1,136

967

△14.8

 原子力発電所定期検査工事

659

1,340

103.1

 その他メンテナンス等の役務提供

3,361

2,385

△29.0

 小計

6,558

6,331

△3.5

 製鋼事業

 鋳鋼製品

1,415

1,148

△18.9

 除染事業

 地域除染等

546

632

15.7

 消去又は全社

△9

 合計

8,520

8,102

△4.9

 

(2) キャッシュ・フロー

 当連結会計年度における現金及び現金同等物の期末残高は41億9百万円で、前連結会計年度末に比して4億56百万円増加しました。

 この内訳は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 減価償却を2億68百万円実施した上で税金等調整前当期純利益を2億69百万円計上したところに、売上債権の減少が7億37百万円あり、また、たな卸資産及び仕入債務の合計額が34百万円のキャッシュ・アウトとなったことから、13億55百万円のキャッシュ・イン(前連結会計年度は3百万円のキャッシュ・イン)となりました。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 工場空調既存設備の更新、基幹システムの高度化などの固定資産の取得を中心に2億78百万円のキャッシュ・アウト(前年同期は94百万円のキャッシュ・アウト)となりました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 銀行からの長期借入金の返済を中心に、前連結会計年度に係る期末配当、当連結会計年度の中間配当の実施などにより、6億29百万円のキャッシュ・アウト(前年同期は8億86百万円のキャッシュ・アウト)となりました。

2【生産、受注及び販売の状況】

(1) 生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

    (自 平成28年10月1日

     至 平成29年9月30日)

前年同期比(%)

バルブ事業(千円)

1,945,546

35.5

製鋼事業(千円)

1,203,619

△19.2

合計(千円)

3,149,165

7.6

 (注)1.金額は製造原価によっております。

2.金額には消費税等は含まれておりません。

3.バルブ事業のメンテナンス等及び除染事業については、事業の性格上生産実績の概念は馴染みませんので金額及び前年同期比を記載しておりません。

 

(2) 受注実績

 当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

バルブ事業

5,942,939

△10.5

3,509,104

△9.7

製鋼事業

918,203

△40.3

290,858

△44.2

除染事業

548,579

△25.9

116,938

△41.8

合計

7,409,723

△16.9

3,916,902

△15.0

 (注)1.金額は販売価格によっております。

2.金額には消費税等は含まれておりません。

 

(3) 販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

    (自 平成28年10月1日

     至 平成29年9月30日)

前年同期比(%)

バルブ事業(千円)

6,331,609

△3.5

製鋼事業(千円)

1,148,316

△18.9

除染事業(千円)

632,551

15.7

消去又は全社(千円)

△9,655

合計(千円)

8,102,822

△4.9

 (注)1.金額には消費税等は含まれておりません。

2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。

相手先別

前連結会計年度

    (自 平成27年10月1日

     至 平成28年9月30日)

当連結会計年度

    (自 平成28年10月1日

     至 平成29年9月30日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

三菱商事パワーシステムズ株式会社

2,337,968

27.4

2,075,822

25.6

三菱商事株式会社

1,235,733

14.5

1,397,898

17.3

西華産業株式会社

 646,228

 7.6

 909,795

11.2

 

3【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

 当社グループは、お客様のニーズに沿ったバルブの製造からメンテナンスまで、バルブのトータルライフにわたるさまざまなサービスをスピーディにご提供できる体制作りに弛まぬ努力を続けております。お客様に安心してご使用いただける高品質・高性能なバルブ製品、バルブの予防保全に絶大な力を発揮する診断機器、豊富な知識・経験を持つ技術者によるメンテナンスサービスなどで、全国の原子力発電所、火力発電所をはじめとする各種産業用プラントの安全で安定した運転のお手伝いを通じ、社会に貢献できる企業グループであり続けたいと考えております。当社グループでは、グループ会社共通の社是として、

  一 信頼される企業として社会の進歩に貢献する
  一 誠実と融和により健康で活気のある職場をつくる
  一 経営の刷新と技術の開発につとめる
を掲げ、全役職員のベクトルを同じ方向に揃えグループ力の結集を図ることで、顧客満足度を高め、社会・地域の健全な発展に貢献し、従業員とその家族の生活を守り、株主への適正な利益分配を行い、安定的持続可能な強固で粘りのある企業体質の構築を目指しております。
 また、当社グループの主な事業である、バルブ製品の製造、メンテナンスとも、高い技術を持つ地域の協力工場や、厳しい工期と過酷な環境下でのメンテナンス作業に従事される外注技術者など、数多くの関係取引先のご協力を頂戴することで成り立っており、常に感謝の心を忘れることなく、今後も関係取引先との相互発展を基本とした強い信頼・協力関係を構築してまいります。

 

(2)目標とする経営指標

 当社グループが製造いたしますバルブ製品、鋳鋼製品のほとんどは、お客様の個別仕様書によって受注・生産を行っており、汎用品はごく一部にすぎません。また、バルブメンテナンスサービスにつきましても、一般的な定期保守点検契約のようなものは存在せず、比較的安定的に売上が望まれる原子力発電所の定期検査工事を除いては、基本的にプラントの運転状況とそれに応じた当社の営業活動の成果によるものであります。

 よって各年度の売上高は必ずしも安定したものではないため、損益も同様に年度毎の山谷が非常に激しくなる可能性があり、特にバルブ事業は、売上の増減に加えその時々の工場操業度によっても損益に少なからず変動が発生し、目標とする経営指標として、例えば投下資本に対する利益率等を設定したとしても、以上のような理由から分子となる利益の変動が大きく、安定的且つ継続的な目標指標とすることは困難であると考えております。

 このため、年度計画及び中期収益計画の策定に際しては、各年度に予想される市場環境から受注想定案件を積み上げることにより、売上高、営業利益、経常利益を予算化することとしております。

 そして個々の案件の受注時には、厳密な貢献利益(限界利益)管理のもと、その時々の工場操業度と平準化効果、社員・外注作業者の最適要員配置、後年度における期待収益性などを重要な要素として受注判断を行うことで利益管理を実施しており、これにより機会損失を最小化し、獲得利益の最大化を計っております。

 

(3)会社の対処すべき課題

①基本課題

当社グループはこれまで国内原発の原型炉、実証炉、商用炉全てにバルブを納入してまいりました。原発黎明期においては主要なバルブは海外製品が導入されていましたが、現在では、特にPWR(加圧水型原子炉)の重要なバルブ・安全弁は当社製品をご採用いただいております。

このように当社グループは日本の原発の発展とともに歩んでまいりました。よって原発に対する企業責任、つまり原発用機器製造納入事業者としての責任と使命は今後も何があっても果たしていくことを基本的な会社方針としております。しかし昨今の原発を取り巻く状況は当社グループにとって非常に厳しいものとなっています。特に司法判断により原発が再稼働できない、或いは運転を停止する状況には強い危機感を抱かざるを得ません。

いわゆる3.11による東京電力福島第一原発事故以降、当社は売上高を20%以上減らしています。そして、見込み生産や定期保守契約などを伴わない個別受注型の事業形態は、その時々の受注の状況により生じるたな卸資産の増減に業績を左右され、労働集約的に行われるこれら生産・サービス提供では原価に占める固定費の割合が大きいことから収益増減による利益感応度が高く、なかなか業績の安定化を実現できない状況です。

当社グループは予てより特定の事業分野への過度の依存をリスクとして認識し開示してまいりましたが、全く想定外の事態によりこれが顕在化し、昨今の厳しい状況に陥ることとなりました。二度と同じ轍は踏まないことを肝に銘じながら、しかし原発関連企業として責任を全うするために何が必要か、何をすべきかを考え、昨年9月に中期経営計画を公表し、本年11月に見直しを実施し改定版を公表しております。

この中の主要政策立案に際しては、業績の改善にサプライズや奇策は必要無く、バルブ事業をさらに深化させることこそが王道であるとの認識のもと、株式会社キッツとの業務提携を含めた重層的な施策による海外市場展開の拡大、廃炉事業への参画、経営基盤の強化を主要施策と位置付けました。これを確実に実施、進めることで、中期経営計画を必達することが基本課題であると認識しております。

②バルブ事業部門

(新たなマーケットの開発)

旺盛な経済発展を続ける中国及び東南アジア諸国では数多くの火力発電所建設計画がありますが、当社グループが現在の業容を維持しさらに拡大を目指すのならば、この海外電力マーケットに対しどのようなアプローチを行っていくかが重大な鍵となることは言うまでもありません。

しかし昨年9月に、気候変動枠組条約締約国会議のいわゆる「パリ協定」を中国が批准する見込みとなったことから、同国における火力電力政策に変化が出てきており、当社グループの営業戦略も軌道修正を強いられている状況です。

どのような状況にせよ、海外市場の開拓を成功させるためには、当社グループが抱える基本的課題である、コストダウン、販売力強化、調達力強化など全てを解決する必要があり、まさにこれらの集大成として実現し得るものであると考えております。

そしてこれら多くの課題は、前年度に締結した株式会社キッツとの業務提携が解決の糸口となり得るものと考えており、これまでの営業政策を引き続き展開しながら、より早く・広く・着実に推進するための協調を行ってまいります。

 

(情報の活用)

ビッグデータやセンシング技術などが事業に取り込まれ、多方面で新たなマーケットの創出、ビジネスモデルの開発につながっています。さらにはコンピューターを離れ、何かをインターネットにつなぐことで新たなビジネスを広げるIoT技術も話題になってきました。

当社グループにおいても、長年の経験や知見、そして産業用バルブメーカーとしてのブランド力や市場シェアを活かし、「情報」や「ノウ・ハウ」を商品とした事業展開の可能性についてさらに深く掘り下げる必要があると考えています。

当社グループはこれまで、良くも悪くも愚直なまでに実直なメーカー精神により会社を支えてきましたが、「モノ」から離れることで何ができるのかを考え、実践していくことが今後の課題と考えております。

 

(技術の伝承)

当社グループがこれからも原発関連企業として責任を全うし、産業用バルブのトップメーカーであり続けるためには、技術の維持・発展は最優先課題であり、現在の業績低迷を理由になおざりにされるようなことがあってはならないと考えております。

技術は常に進歩し、知見も経験もそれに伴い更新され発展していきます。そのような中にあっては、従来のような職人育成型の技能伝承に固執するようなことがあってはならず、科学的で合理的で持続性をもった技能の伝承が重要であると考えています。

そしてその結果として、全役職員が高い使命感と明確な目標・目的意識をもって、全社一丸となって会社の持続性を確保していく決意であります。

 

(コストの低減)

当社グループのバルブは、一品一品をお客様の仕様に従い労働集約的に生産するため、性能・品質・耐久性で高い評価をいただいておりますが、コスト面ではまだまだ改善の余地を多く残すものと考えております。これまでの業績低迷期には、「作る物」より「作り方」に重点をおいてコストダウン施策を実施してまいりましたが、昨今の品質管理の厳格化は必ずしもコストダウン施策とは相容れないことも否定できず、原発向けの厳しい品質管理体制を維持しながら、世界で通じる競争力確保のためのコストダウンを実現していく必要があります。そのためには今一度原点に立ち返り、図面、材質など基本からの見直しを図ることで、コストダウンにつなげる活動を進めてまいります。

 

(既存事業の見直し)

当社グループの報告セグメントのひとつである製鋼事業の先行きが非常に不透明です。これまで縮小を続ける国内市場にあっても、生き残り戦略による相対的優位性の確立を目指してまいりましたが、順調に伸ばしてきた収益は当連結会計年度より反転し、中期的な見通しは激減と言えるレベルにまで落ち込むものと想定しております。

少々オーバーな表現ですが、製鋼事業は装置産業です。電気炉とその補修費、運転のための電力料金とその電力を受けるための受電設備、これらは収益規模から見れば十分に多額であり、特に設備老朽化の進む現状においては将来に対し大きな課題になっていくことは明確と認識しております。

 

(廃炉事業への取り組み)

平成27年以降、新たに5基の原発廃止が決定し、今後さらに廃止を決定するプラントが増加するものと見ています。

現在、福島地区で進めている除染事業、地域復興再生事業は今後ひと段落し、新たに東京電力福島第一原発の廃炉に向けた数多の業務が発生すると見込まれることから、ここに参入するとともに、関西電力が廃止決定した美浜1・2号機の今後の動きに対し、確実に一定のポジションを確保することで将来収益の拡大につなげていく必要があります。

 

4【事業等のリスク】

 当社グループの財政状態、経営成績に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には以下のようなものがあります。
 なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末において判断したものであります。

 

(1) 製品、メンテナンス上の瑕疵などに起因する事故等の発生による影響

 当社グループの製品は、原子力発電所をはじめとした、各種産業用プラントの重要部位で採用されているため、その製品の製造上の欠陥及び当社グループが行ったメンテナンスの不具合等により、動作不良が発生し本来の機能を果たせない場合、重大な事故につながる可能性があります。

そして万が一そのような事故が発生した場合、その対策等によって、当社グループの業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 災害・事故などによる工場操業停止の影響

 当社グループは、主要素材に鋳鋼を使用する鋳鋼バルブを主に製造しております。

 現在、この鋳鋼部品の生産を三重県伊賀市の伊賀工場ですべて行っており、万が一同工場が火災や天災及び不可抗力の事象により操業停止に至るような事態となった場合には、主要材料の調達に大きな影響が発生し、それによる機会損失の発生や納期遅延など当社グループの業績に重大な影響をもたらす可能性があります。

 またこれは、当社のバルブ製造を行う本社工場(兵庫県尼崎市)においても同様であり、本社工場の他には生産拠点を有していないため、火災などによる工場操業停止は当社グループの業績に重大な影響をもたらすものと考えられます。

 

(3) コンピューター設備の停止による影響

 基幹業務のほぼすべてが電算システムにより処理される状況下にあっては、何等かの事象によるシステムの停止は生産活動に重大な影響をもたらします。

 当社グループは、阪神大震災の貴重な教訓を生かし、サーバールームに高度な耐震講造を施工するとともに、特殊消火装置を設置するなど防災面で可能な限りの対応を実施しておりますが、例えば大幅な費用負担が必要なサーバーの多重化などには至ってはおらず、また、災害のみならずウィルスなどによるシステム停止など、有事に際しシステム復旧が遅れるような状態となった場合には当社グループの業績に重大な影響を与える可能性があります。

 

(4) 特定の分野に対する取引の依存

 当社グループのバルブ事業の売上は、原子力・火力発電所に代表される国内電力マーケット向けが重要な割合を占めており、中でも原発マーケットはその市場特性から業績の安定維持には欠かせないものと考えてきました。しかし福島第一原発事故以降その市場安定性は完全に喪失し、現在は不確実な中での事業運営が続いているところですが、電力自由化によって、さらに不確実性が増すのではと危惧する状況です。電力自由化の枠組みが最終的にどう決着するかはさておき、既存小売電力会社、新電力、ガス等他のエネルギー供給業者間の競争が激化し、当社グループもコスト競争に巻き込まれるのは必至であり、当社グループが主要マーケットであると考える国内電力市場がいつまでそうあり続けるのかさえも不確実な状況にあるのかもしれません。

 この確実にやってくる氷河期ともいえるような時代にどのように備え、取り組んでいくかによって、当社グループの業績が、大きく左右される可能性があります。

 

(5) 法的規制について

 当社グループの一部事業は、建設業法の規制を受けることから、建設業法に基づく、一般建設業、特定建設業の許可を得ております。

 これら許可を得るためにはいくつかの要件を充足する必要がありますが、今後、何等かの事由により、要件を充足できなくなった場合には、これら許可を継続することができず、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 また、今後、新たな法令等の制定、改廃などにより、当社グループの事業活動が影響を受け、業績に影響を与える可能性があります。

5【経営上の重要な契約等】

(1)業務提携受入契約

契約会社名

相手先

国名

契約品目

契約内容

契約期間

東亜バルブエンジニアリング㈱

アルカ・レーグラー社

ドイツ

コントロール弁

日本国内における販売・メンテナンス権の許諾、共同開発の締結

平成29年9月1日から

平成30年8月31日まで

東亜バルブエ

ンジニアリング㈱

㈲テクノプランツ

日本

液体圧装置

日本国内における製造・販売に関する特許実施権の許諾

平成23年2月25日から特許の存続期間まで

 

(2)業務提携援助契約

相手方の名称

国名

契約品目

契約締結日

契約内容

契約期間

HEハルビン・パワー・プラント・バルブ社

中国

抽気逆止弁

鍛造玉型弁

平成22年7月28日

技術的知識、情報及びノウハウの提供

平成22年7月28日から22年間若しくは「製品」の製造開始年月日から20年間のどちらか早く到達した日まで

 

HEハルビン・パワー・プラント・バルブ社

中国

湿分分離加熱器逃し弁

平成25年4月18日

技術的知識、情報及びノウハウの提供

平成25年4月18日から23年間若しくは「製品」の製造開始年月日から20年間のどちらか早く到達した日まで

HEハルビン・パワー・プラント・バルブ社

中国

原子力発電所用抽気逆止弁

平成25年4月18日

技術的知識、情報及びノウハウの提供

平成25年4月18日から22年間若しくは「製品」の製造開始年月日から20年間のどちらか早く到達した日まで

 

(3)資本業務提携契約

契約会社名

契約締結日

契約内容

株式会社キッツ

平成28年2月12日

①調達協力:相互の国内外調達先を活用し、材料の調達に協力する。

②技術協力:相互に技術情報を提供し、必要に応じて共同開発をする。

③生産協力:相互の販売品、もしくは共同開発品を、相互の生産拠点を活用し、最適な生産手段を構築する。

④販売協力:「石油及びガス分野」並びに「電力分野」において、相互の製品、もしくは共同開発品を、最適な手段により販売する。

⑤サービス協力:相互のメンテナンス機能を活用し、最適なサービス体制を構築する。

 

6【研究開発活動】

 当社グループの研究開発活動は、顧客との対面活動より顧客が求めている提案とは何かと視野拡大により深層追究することで、当社グループの目指すバルブ総合エンジニアリングサービスの高度化につなげていくものであると位置付けております。そのため、営業部門をはじめとした関連各部門との情報連携を高めることで、相乗効果を発揮させると同時に、顧客ニーズの発掘と把握に努めており、継続的な顧客ニーズの抽出と新商品アイデアに対する可能性評価の精度向上等を目的として「商品開発規程」を制定し、「商品開発推進会議」を発足し活動を開始しております。

 また、実際の研究活動に際しては、研究部門の各人が能動的な取組みを行うことで、物づくりへの広角発想を通じ、自らの手で未来を拓くという気概を持たせると同時に、研究プロセスでは、仲間と苦楽を共にすることで、力を合わせ想いを実現していくという企業文化の醸成に努めております。

 そして、問題点を相互の啓発によって解決すると同時に、そのプロセスから派生した技術を生かし、新たな研究開発テーマが生まれるという好循環による発展を目指しております。

 当社グループの研究開発体制は、主に二つに別れ、各部門での固有の問題点、例えば、生産効率の改善、新しいメンテナンス方法の開発等はそれぞれの部門内で実施し、課題や研究資源が新商品に対し直接繋がる様な活動については技術部開発課が主体となって実施しております。

 なお、これらによって得られた成果は、技術部開発課で一元的に管理され、必要に応じ関連各部門にフィードバックでき、開発や研究の効率が低下することのないようフォローできる体制としております。

 更に、研究開発がともすれば大きく現実の課題と乖離することがない様に、或いは、喫緊の課題に適切な優先順位をつけて確実に対応していくために、経営と開発活動の連携を常に意識し、経営から出された課題・問題点をすばやく、且つ確実に解決・具体化出来る様に選択と集中による資源の有効活用を意識しながら取組んでいきます。

 以上の結果、当連結会計年度における研究開発費の総額は、127,566千円であり、この中には受託研究等の費用2,570千円が含まれております。

 

 各セグメントにおける主な研究開発の内容は、次のとおりであります。

 

 (バルブ事業)

 1.A―USC(先進超々臨界圧発電技術)用の安全弁と一般弁の試作研究

 2.弁開閉表示装置の開発

 3.弁座交換装置の開発(弁座切削装置、溶接装置)

 4.膨張黒鉛ガスケットの適用範囲拡大に関する研究

 5.安全弁の吹出し係数向上の検討

 6.簡易電源装置の開発

 7.ドレッサー製の製造中止に伴う安全弁用吹出し圧力試験装置代替機の開発

  これらバルブ事業に係る研究開発費は、124,996千円であります。

 

 (製鋼事業)

   腐食対策材の鋳鋼品試作

  これら製鋼事業に係る研究開発費は、2,570千円であります。

 

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 財政状態

(資産の部)

 当連結会計年度末の資産の部の合計額は107億31百万円となり、前連結会計年度末に比べ0.6%の減少となりました。流動資産では、売上債権の減少などにより、前連結会計年度末に比して4.6%減少し、83億25百万円となりました。また、固定資産では工場空調機器の更新などにより建物及び構築物、その他株価の上昇に伴い投資有価証券などが増加したことにより、前連結会計年度末に比べ16.5%増加し、24億5百万円となりました。

(負債の部)

 当連結会計年度末の負債の部の合計額は33億67百万円となり、前連結会計年度末に比べ8.5%の減少となりました。流動負債では、主に1年内返済予定の長期借入金、支払手形及び買掛金などが減少したことによるもので、前連結会計年度末に比べ4.4%減少し、22億27百万円となりました。また、固定負債では、主に長期借入金の約定返済などにより、前連結会計年度末に比べ15.5%減少し、11億39百万円となりました。

(純資産の部)

 当連結会計年度末の純資産の部は、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益の計上とその他有価証券評価差額金などの増加により、前連結会計年度末と比べ3.5%増加し、73億63百万円となりました。

 

(2) 経営成績

(売上高)

 当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度と比べ4億17百万円減少し、81億2百万円(前年同期比4.9%減)となりました。この主な減収要因は、前連結会計年度と比べ原子力発電所の再稼働が実現したことで再稼働準備等の案件などが減少したことによるものであります。

(営業利益)

 当連結会計年度の営業利益は、前連結会計年度と比べ3百万円減少し、2億43百万円(前年同期比1.6%減)となりました。この主な要因は、売上高が減少したことなどによるものであります。

(親会社株主に帰属する当期純利益)

 当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、上記の営業利益に営業外損益の純額43百万円を加算し、これに特別損益の純額17百万円を減算し、次に法人税、住民税及び事業税と法人税等調整額及び非支配株主に帰属する当期純利益を差し引いた結果、1億84百万円(前年同期比20.6%減)となりました。

 

(3) 資本の財源及び資金の流動性についての分析

 資本の財源及び資金の流動性についての分析につきましては、「1 業績等の概要 (2)キャッシュ・フロー」を参照ください。