第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

 当社グループは、お客様のニーズに沿ったバルブの製造からメンテナンスまで、バルブのトータルライフにわたるさまざまなサービスをスピーディにご提供できる体制作りに弛まぬ努力を続けております。お客様に安心してご使用いただける高品質・高性能なバルブ製品、バルブの予防保全に絶大な力を発揮する診断機器、豊富な知識・経験を持つ技術者によるメンテナンスサービスなどで、全国の原子力発電所(以下、「原発」)、火力発電所をはじめとする各種産業用プラントの安全で安定した運転のお手伝いを通じ、社会に貢献できる企業グループであり続けたいと考えております。当社グループでは、グループ会社共通の社是として、

  一 信頼される企業として社会の進歩に貢献する
  一 誠実と融和により健康で活気のある職場をつくる
  一 経営の刷新と技術の開発につとめる
を掲げ、全役職員のベクトルを同じ方向に揃えグループ力の結集を図ることで、顧客満足度を高め、社会・地域の健全な発展に貢献し、従業員とその家族の生活を守り、株主への適正な利益分配を行い、安定的持続可能な強固で粘りのある企業体質の構築を目指しております。
 また、当社グループの主な事業である、バルブ製品の製造、メンテナンスとも、高い技術を持つ地域の協力工場や、厳しい工期と過酷な環境下でのメンテナンス作業に従事される外注技術者など、数多くの関係取引先のご協力を頂戴することで成り立っており、常に感謝の心を忘れることなく、今後も関係取引先との相互発展を基本とした強い信頼・協力関係を構築してまいります。

 

(2)目標とする経営指標

 当社グループが製造いたしますバルブ製品、鋳鋼製品のほとんどは、お客様の個別仕様書によって受注・生産を行っており、汎用品はごく一部にすぎません。また、バルブメンテナンスサービスにつきましても、一般的な定期保守点検契約のようなものは存在せず、比較的安定的に売上が望まれる原子力発電所の定期検査工事を除いては、基本的にプラントの運転状況とそれに応じた当社の営業活動の成果によるものであります。

 よって各年度の売上高は必ずしも安定したものではないため、損益も同様に年度毎の山谷が非常に激しくなる可能性があり、特にバルブ事業は、売上の増減に加えその時々の工場操業度によっても損益に少なからず変動が発生し、目標とする経営指標として、例えば投下資本に対する利益率等を設定したとしても、以上のような理由から分子となる利益の変動が大きく、安定的且つ継続的な目標指標とすることは困難であると考えております。

 このため、年度計画及び中期収益計画の策定に際しては、各年度に予想される市場環境から受注想定案件を積み上げることにより、売上高、営業利益、経常利益を予算化することとしております。

 そして個々の案件の受注時には、厳密な貢献利益(限界利益)管理のもと、その時々の工場操業度と平準化効果、社員・外注作業者の最適要員配置、後年度における期待収益性などを重要な要素として受注判断を行うことで利益管理を実施しており、これにより機会損失を最小化し、獲得利益の最大化を計っております。

 

(3)会社の対処すべき課題

①基本課題

当社グループはこれまで国内原発の原型炉、実証炉、商用炉全てにバルブを納入してまいりました。原発黎明期においては重要な役割を担うバルブは海外製品が導入されていましたが、現在ではPWRと呼ばれる加圧水型原子炉の重要なバルブ・安全弁は当社製品をご採用いただいております。

このように当社グループは日本の原発の発展とともに歩んでまいりました。よって原発関連事業者としての責任と使命は今後も何があっても果たしていくことを基本的な会社方針としております。

東日本大震災の津波による東京電力福島第一原発事故から8年が経過し、これまでに5原発9基で再稼働が実現いたしました。今後、これら原発の定期検査による収益が見込める状況ですが、それでも事故以前の水準には程遠く、より強い収益の柱を得ることが最重要課題であることに変わりはありません。

本年6月、原発関連企業として責任を全うし企業の継続性を維持するために何をすべきか、これらの基本課題と論点を改めて整理し新中期経営計画として策定・公表いたしました。

この新中期経営計画のテーマは「技術力と高品質で、一番必要とされるバルブメーカーに!」です。これを当社グループのチカラの源泉であるヒトと技術に焦点を当て、「人のチカラ」「つくるチカラ」「まもるチカラ」の結集で実現を目指してまいります。

まずは原発再稼働を追い風に、2022年3月に迎える創業100周年までに、従前のレベルまで業容を回復させることを目指します。そして新中期経営計画で目指す姿とした、『高品質弁と設備保全で、世界エネルギーインフラの安全安定運転に貢献するグローバルニッチトップへ!』に邁進してまいります。

 

 

②経営基盤の構造改革

(生産性の改善~TAMES-Project~)

創業100周年は次の100年に向けての通過点です。社会に求められつつ会社を長く継続するためには成長戦略とともに事業基盤の強化が不可欠です。これを具体化する施策として、全社的業務効率改善活動であるTAMES-Projectを開始いたしました。

受注生産型の当社グループの事業は効率化を生産量に求めることはできません。時間・規格・技術・場所等々、多くの制約の中で業務効率向上を実現していくことは決して簡単なことではありません。

この課題に全社的に取り組み、経営効率向上を目指すのが本プロジェクトの狙いです。コスト低減に留まらず、SDGsの諸課題、働き方改革、ICTの推進、従業員満足経営など、内外の課題を取り込みながら包括的に企業基盤の強化・改善を進めてまいります。

 

③既存3事業の深化

バルブ事業、メンテナンス事業、製鋼事業の既存3事業の個別課題を攻めの事業戦略により解決し更なる成長を目指します。

バルブ事業とメンテナンス事業は、当社グループが世界に誇る高温高圧弁・安全弁の技術とそれを象徴するTOAのブランドを活かし、グローバルニッチトップ化戦略の中核に位置付けられます。

国内原発、火力発電設備の安全・安定運転と経済性に貢献する新たな提案で顧客満足度を高め、原発廃止措置支援装置の開発、IT技術による状態監視装置やサービスシステムの構築、新たな製品・メンテナンス機器の開発などで成長を目指してまいります。また同時にコスト面での課題を克服すべくTAMES-Project活動での効率化実現に取り組んでまいります。

製鋼事業は製品の高付加価値化を主要施策として進めてまいります。加工、検査、材質、納期、そして何よりも品質を高めた高付加価値製品の提供により収益性の改善を推進してまいります。

 

④新領域への挑戦

(グローバルニッチトップへの挑戦)

既存事業の中核であるバルブ事業は、世間的には市場飽和状態にあって決して魅力的なものとは映らないでしょう。だからこそ当社はグローバルニッチトップを目指す選択になりますが、その中でも新たな事業領域の開発は不可欠な戦略です。

当社グループはプラントメーカーの建設する電力プラントを通じ、世界中、特に東南アジア圏に非常に多くのバルブを納入し高い評価を得てまいりました。この商品力とブランド力を活かしながら、資本業務提携を行っている株式会社キッツとの連携によりグローバル展開を目指してまいります。

発電所では非常に多くのバルブが使用されていますが、高温高圧弁・安全弁は数多くあるバルブのごく一部に過ぎません。しかし調達価格で見たときその割合は決して低くはありません。このことは逆に受注競争の結果をゼロ・サムに導く厳しい世界ではありますが、さらにニッチな分野での商品性やサービス力を徹底的に高めることで、ニッチな市場での競争優位を確立してまいります。

 

(廃炉事業)

長期的な事業拡大戦略の一翼を担うのが廃炉事業への進出と考えております。これはバルブ事業の集大成ともいえる事業で、バルブのトータルライフに亘りワン・ストップでサービスを提供するという、当社グループの目指す姿に通ずるものです。

具体的な事業のイメージは、廃止された発電所から回収したバルブをリサイクルして新しいバルブ等にして新しい発電所に戻すという非常にシンプルなものですが、そこに至る道程は困難の連続と想定しております。また、実際に原発からリサイクル対象の金属が排出されるのは数年先のことですが、早期の参入表明で先駆者としての優位性を築き、今後の事業本格化に備えてまいります。

 

(デジタル技術の活用)

ビッグデータやセンシング技術などが事業に取り込まれ、多方面で新たなマーケットの創出、ビジネスモデルの開発につながっています。さらにはコンピューターを離れ、何かをインターネットにつなぐことで新たなビジネスを広げるIoT技術も話題になってきました。

当社グループにおいても、長年の経験や知見、そして電力用バルブメーカーとしてのブランド力や市場シェアを活かし、「情報」や「ノウハウ」を商品とした事業展開の可能性についてさらに深く掘り下げる必要があると考えております。

その具体策として当連結会計年度よりデジタルマーケティングを開始いたしました。今後はこれをひとつの足掛かりに新たなバルブソリューションを展開してまいります。

 

2【事業等のリスク】

 当社グループの財政状態、経営成績に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には以下のようなものがあります。
 なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末において判断したものであります。

 

(1) 事業環境の変化による影響

当社グループのバルブ事業の売上は、原子力・火力発電所に代表される国内電力マーケット向けが重要な割合を占めています。

今後も電力市場に強く依存した事業運営は不可避であり、よって、どのような要因であれ、電力事業環境に大きな変化が生じることで、当社業績に大きな影響を及ぼす可能性が常にあるといえます。

その要因は、発電所事故のみならず、技術革新や電力自由化などによる発電事業形態そのものの変化、発電事業にIT等のデジタル技術や先進技術が導入された際の当社グループの対応遅れ、地球温暖化問題に由来する従来型発電市場の縮小、例えば、独・シーメンス社が原発事業から撤退したことに象徴されるような、当社グループ主要取引先の大きな方針転換といったサプライチェーンの劇的な変化、こういったものもリスク顕在化の要因になり得るものと考えております。

 

(2) 大規模自然災害や事故などによる生産設備等への影響

当社グループの製造拠点は、バルブの製造は兵庫県尼崎市の本社工場、バルブ用主要素材である鋳鋼部品の製造は三重県伊賀市の伊賀工場、以上の国内2か所となっております。

これら生産拠点において地震、台風、洪水、高潮、突風などの自然現象による被害、特に老朽化の進む本社工場については、南海トラフ大地震の被災想定範囲に含まれることも相俟って、これら自然災害の被害に対し危機感を強めているところです。

上述の国内製造2拠点は、一方の緊急時に他方が機能・役割を代替する関係にはなく、火災や天災及び不可抗力の事象により操業停止に至るような事態となった場合には機会損失の発生や納期遅延など当社グループの業績に重大な影響をもたらす可能性があります。

 

(3) 製品、メンテナンス上の瑕疵などに起因する事故等の品質保証問題発生による影響

当社グループの製品は、原子力発電所をはじめとした、各種産業用プラントの重要部位で採用されているため、その製品の製造上の欠陥及び当社グループが行ったメンテナンスの不具合等により、動作不良等が生じ本来の機能を果たせない場合、重大な事故につながる可能性があります。

そのような事故が発生した場合、当社グループの業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) コンピューター設備の停止による影響

当社は完全受注生産型のビジネスを行っていることから、基幹業務はオリジナルの情報処理システムを採用しており、何等かの事象によりこれら基幹システムが停止した場合、生産活動に重大な影響を与えることが懸念されますが、当社グループのシステムは被災した際にも迅速な復旧を可能な体制としております。また、業務系の共用データストレージは、高度な耐震講造と特殊消火装置を設置するなどしたマシンルームに設置することで、万一の際の被害を最少化できるよう備えております。

しかし、なんらかの要因による通信回線の遮断、システムのバグ、ウィルス感染などによりシステムが停止する可能性を完全に排除できるわけではなく、こういった有事に際しシステム復旧が遅れるような状態となった場合には当社グループの業績に重大な影響を与える可能性があります。

 

(5) 法的規制、各種規格・許認可等を維持できない場合の影響

当社グループの一部事業は、建設業法に基づく一般建設業、特定建設業の許可を得ております。そしてこの許可を維持するには人的要件を常に充足しておく必要があります。今後、何等かの事由により、その要件を充足できなくなった場合には当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

また、当社グループは、原子力・火力発電所等を納入先とすることから、数多くの規制・規格・許認可に適合した製品が常に求められております。これらは新規制定および改定・変更も適宜行われます。

しかし能力的制約や人的制約等から、これらに適切に対応することができない場合には、当社グループの業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) IT化対応の遅れによる影響

当社グループにおいては、未だ労働集約的なものづくりが主流であり、製造現場にデジタル技術の導入が十分に進んでいるとは言えない状況です。

これは、当社グループを取り巻く厳しい事業環境下で、先進投資に対する取組不足が大きく影響しているとの認識です。

現在は経営効率と労働生産性の改善を目指し、デジタル技術活用を積極的に進めるためのPJを推進中ですが、実現手段のひとつであるデジタル技術活用に遅れが生じることで受注機会の喪失により業績に影響を及ぼす可能性があります。

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要
 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

 ① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度(2018年10月1日から2019年9月30日まで)におけるわが国経済は、依然、中国経済の先行き、海外経済の動向と政策に関する不確実性に留意しつつも、好調な企業業績や雇用・所得環境の改善傾向を背景に、緩やかな回復基調の中で推移いたしました。しかし、米国と中国の貿易戦争や、相次ぐ国内自然災害が経済に与える影響を憂慮する状況が続いております。

 

当社グループは、原子力・火力発電所用バルブの製造とメンテナンスを主な事業としております。東日本大震災の津波による東京電力福島第一原子力発電所事故以降、原子力発電所(以下、「原発」)を取り巻く環境が大きく変化し大幅な減収を余儀なくされ、震災以前の売上高100億円回復を目指し尽力しておりますが、既に8事業年度を経過するも依然厳しい状況で今日に至っております。

また今春、原発へのテロ対策として実施される特定重大事故等対処施設(特重施設)の工事遅れにより、再稼働を果たした原発においても今後、一定期間運転を停止することもあり得ることが明らかになり、当社グループの今後の業績に対する影響を現在評価しているところです。

 

このような中、当連結会計年度には、関西電力高浜原発3号機、関西電力大飯原発3号機、九州電力玄海原発3号機で定期検査を完了し売上を計上したほか、原発向け再稼働準備や安全対策でバルブ製品の売上が大幅に増え、原発関係の収益が前連結会計年度に比して増加しました。しかし火力発電所向けは、製品、サービスとも前連結会計年度に比して減少し、バルブ事業全体としてはほぼ前連結会計年度並みの売上高となりました。

バルブ事業以外の事業では、製鋼事業は主要顧客が国内調達へ転換した影響で売上は増加しましたが、除染事業は大型工事がほぼ一巡した状況から前連結会計年度を下回る売上高となりました。

これらの結果、当連結会計年度の売上高は82億39百万円(前年同期比1.7%増)で前連結会計年度に比して若干の増収となり、報告セグメント別の売上高ではバルブ事業が67億2百万円(同0.3%増)、製鋼事業が10億52百万円(同23.1%増)、除染事業が4億91百万円(同14.7%減)となりました。

 

表:報告セグメント内の種類別売上高

  報告セグメント

種類別の売上高

前連結会計年度
(百万円)

当連結会計年度
(百万円)

前年同期比(%)

 バルブ事業

 バルブ(新製弁)

2,560

2,907

13.6

 バルブ用取替補修部品

855

1,020

19.4

 原子力発電所定期検査工事

1,332

894

△32.9

 その他メンテナンス等の役務提供

1,933

1,879

△2.8

 小計

6,681

6,702

0.3

 製鋼事業

 鋳鋼製品

854

1,052

23.1

 除染事業

 地域除染等

575

491

△14.7

 消去又は全社

△7

△7

 合計

8,105

8,239

1.7

 

採算面においては、当連結会計年度の売上高は前連結会計年度に対し微増ながら、バルブ事業で採算の良い原子力向けが堅調であったことから変動比率が低下し基礎的収益力は改善いたしました。

赤字案件の受注に伴い計上される受注損失引当金の残高は、前連結会計年度末から1億30百万円増加し採算を圧迫いたしました。しかし翌連結会計年度の第1四半期連結会計期間に納期の到来する案件が一定程度あったため、特に第4四半期連結会計期間の稼働率が高レベルに推移し、たな卸資産が大幅に増加し受注損失引当金の影響を一部減殺した結果、営業利益5億20百万円(前年同期比4.4%減)、経常利益5億76百万円(同0.8%減)と前連結会計年度に比して微減に留めることができました。

報告セグメント別の損益では、採算性の改善したバルブ事業は15億40百万円(前年同期比15.4%増)、製鋼事業は材料高など変動費の増加で増収効果を活かせず2億12百万円の赤字(前年同期は2億9百万円の赤字)、除染事業は案件の小口化と案件内容の変化により固定費が増加し49百万円の赤字(同43百万円の黒字)となりました。

また、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は7億14百万円(前年同期比48.8%増)となりました。当社グループはこれまで、東日本大震災以降の業績不安定化に伴い、繰延税金資産の全額に対し評価性引当額を引き当て、資産として計上しないこととしてまいりました。しかしようやく翌連結会計年度以降の課税所得の計上について一定の確実性を認めることができる状況となったため、当連結会計年度より繰延税金資産の一部である2億55百万円を計上したことから、当該利益の増加となったものです。

 

業績面以外では、2022年の創業100周年に向け、中期経営計画を全面改定いたしました。今回の「中期経営計画2019・創業100周年を超え「目指す将来像」の実現に向けて」では、目指す将来像を、『高品質弁と設備保全で、世界エネルギーインフラの安全安定運転に貢献するグローバルニッチトップへ!』に据え「人のチカラ」「つくるチカラ」「まもるチカラ」の結集で、技術力と高品質で一番必要とされるバルブメーカーを目指してまいります。

また、最大且つ積年の課題である原価低減のため、TAMES(ToA Management Evolving System)Projectを当連結会計年度より開始いたしました。このプロジェクトは、全社的経営効率向上のため全ての事業活動における生産性向上を目指し組織横断的に行われる活動で、マーケットイン発想への転換により、「納期」「コスト」「品質・サービス」で顧客に貢献できる企業へと変貌を目指すものです。名称のTAMES(タメス)には、「試す(Try)、Challenge」の意味を重ね合わせ、当社グループで働く全ての従業員が、「まずはやってみる」の精神で取り組むことにより、新しい視点・発想から経営効率の向上を実現し、会社業績の改善につなげていく目論見です。

このほか、BtoB型事業の既存概念を打破し、これまでのプル型からプッシュ型への顧客アプローチ転換を目指し、メールマガジンの発信を新たに開始しました。そしてその際の訴求情報として、当社ホームページに『バルブソリューション』、『鋳鋼技術ラボ』、『TEST LABO』を同時に開設いたしました。これらをさらにアピールすべく本年10月に大阪で開催された機械要素技術展へ出展いたしました。今後は東京で開催のこれらイベントへの出展を積極的に展開し、今後ますます攻めの営業へと転換を図ってまいります。

 

 ② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における現金及び現金同等物の期末残高は33億30百万円となり、前連結会計年度末に比して6億12百万円増加しました。

 この内訳は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 減価償却を2億92百万円実施した上で税金等調整前当期純利益を5億73百万円計上したところに、たな卸資産の増加が5億44百万円あったものの、売上債権の減少が7億23百万円、仕入債務の増加が2億27百万円などキャッシュ・インの要因が上回ったことから、11億69百万円のキャッシュ・イン(前年同期は6億72百万円のキャッシュ・アウト)となりました。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資有価証券、有形固定資産の取得を中心に5億60百万円のキャッシュ・アウト(前年同期は3億46百万円のキャッシュ・アウト)となりました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 長期借入金の純増額1億85百万円、および前連結会計年度に係る期末配当、当連結会計年度の中間配当の実施などにより16百万円のキャッシュ・イン(前年同期は3億72百万円のキャッシュ・アウト)となりました。

③ 生産、受注及び販売の実績

(1) 生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

    (自 2018年10月1日

     至 2019年9月30日)

前年同期比(%)

バルブ事業(千円)

2,497,540

4.6

製鋼事業(千円)

1,263,212

38.5

合計(千円)

3,760,752

14.0

 (注)1.金額は製造原価によっております。

2.金額には消費税等は含まれておりません。

3.バルブ事業のメンテナンス等及び除染事業については、事業の性格上生産実績の概念は馴染みませんので金額及び前年同期比を記載しておりません。

 

(2) 受注実績

 当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

バルブ事業

8,207,210

10.9

5,746,987

35.7

製鋼事業

1,091,242

3.6

527,539

7.9

除染事業

510,731

△5.1

98,082

24.3

合計

9,809,183

9.1

6,372,610

32.7

 (注)1.金額は販売価格によっております。

2.金額には消費税等は含まれておりません。

 

(3) 販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

    (自 2018年10月1日

     至 2019年9月30日)

前年同期比(%)

バルブ事業(千円)

6,702,115

0.3

製鋼事業(千円)

1,052,679

23.1

除染事業(千円)

491,574

△14.7

消去又は全社(千円)

△7,310

合計(千円)

8,239,059

1.7

 (注)1.金額には消費税等は含まれておりません。

2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。

相手先別

前連結会計年度

    (自 2017年10月1日

     至 2018年9月30日)

当連結会計年度

    (自 2018年10月1日

     至 2019年9月30日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

三菱商事パワーシステムズ株式会社

1,563,370

19.3

2,774,909

33.7

三菱商事株式会社

1,847,257

22.8

1,177,111

14.3

西華産業株式会社

1,201,983

14.8

781,895

9.5

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

   経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

   なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 財政状態の分析

(資産の部)

当連結会計年度末における総資産は117億2百万円となり、前連結会計年度末に比べ9億26百万円増加(前年同期比8.6%増)いたしました。

うち流動資産では、受取手形及び売掛金が6億52百万円減少となりましたが、一方で現金及び預金が6億12百万円、仕掛品が4億82百万円それぞれ増加したこと等により、前連結会計年度末に比べ4億49百万円増加(前年同期比5.4%増)となりました。

また、固定資産では投資有価証券が1億65百万円、繰延税金資産が2億53百万円それぞれ増加したこと等により、前連結会計年度末に比べ4億77百万円増加(前年同期比20.0%増)の28億61百万円となりました。

 

(負債の部)

当連結会計年度末の負債合計は34億8百万円となり、前連結会計年度末に比べ4億73百万円増加(前年同期比16.1%増)いたしました。

うち流動負債では、主に支払手形及び買掛金が2億9百万円、受注損失引当金が1億30百万円それぞれ増加したこと等により、前連結会計年度末に比べ4億41百万円増加(前年同期比23.1%増)となりました。

また、固定負債では繰延税金負債が1億34百万円減少しましたが、長期借入金、リース債務の増加もあり、前連結会計年度末に比べ32百万円増加(前年同期比3.2%増)となりました。

 

(純資産の部)

当連結会計年度末の純資産は82億93百万円となり、前連結会計年度末と比べ4億53百万円増加(前年同期比5.8%増)いたしました。

これは主にその他有価証券評価差額金が1億34百万円減少しましたが、利益剰余金が6億34百万円増加したこと等によるものであります。

 

② 経営成績の分析

(売上高)

当連結会計年度の売上高は82億39百万円となり、前連結会計年度と比べ1億33百万円増加(前年同期比1.7%増)いたしました。

当連結会計年度では、バルブ事業の原子力発電所定期検査工事が4億37百万円、その他メンテナンス等の役務提供で54百万円の減少と除染事業も84百万円減少となりましたが、一方で、バルブ(新製弁)が3億47百万円、バルブ用取替補修部品が1億65百万円それぞれ増加し、また、製鋼事業の鋳鋼製品も1億97百万円増加したことで、前連結会計年度の売上高を上回ることができました。

 

(営業利益)

当連結会計年度の営業利益は5億20百万円となり、前連結会計年度と比べ23百万円減少(前年同期比4.4%減)いたしました。

当連結会計年度では、バルブ事業での受注損失引当金の増加もありましたが、翌連結会計年度の第1四半期連結会計期間納期案件の対応等により当連結会計年度の第4四半期連結会計期間での稼働率が高く仕掛品が大幅に増加したこと等から前連結会計年度並みの営業利益を確保することができました。

 

(親会社株主に帰属する当期純利益)

当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、上記の営業利益に営業外損益の純額56百万円を加算し、これに特別損益の純額3百万円を減算し、次に法人税、住民税及び事業税と法人税等調整額及び非支配株主に帰属する当期純損失を加減算した結果、7億14百万円(前年同期比48.8%増)となりました。

 

③ 資本の財源及び資金の流動性についての分析

当社グループの資本の財源は、自己資金及び金融機関からの借入によっており、金融機関からの借入金については適宜に長期・短期の借入金により資金調達を行うほか、取引金融機関と特定融資枠契約、コミットメントライン契約を締結することで必要な財源の確保を図っております。

資金の流動性は、営業活動によるキャッシュ・フローを確実に獲得することを基本に、適正な投資活動と財務活動を組み合わせることで十分な流動性の確保と財務体質の健全性を維持するよう努めております。

当社グループの事業は主に完全受注生産型であることから、売上時期の偏重や製品の仕掛期間長期化による影響が、営業活動によるキャッシュ・フローの変動につながりがちであることから、これら事象について、キャッシュ・フローへの影響を十分に考慮した業務運営を社内に指示・徹底しております。

またこれら事象へ対応する目的も含め、取引金融機関とコミットメントライン契約を締結し、機動的な資金調達体制を維持するとともに、運転資金の効率的な運用を図っております。

 

4【経営上の重要な契約等】

(1)業務提携受入契約

契約会社名

相手先

国名

契約品目

契約内容

契約期間

東亜バルブエンジニアリング㈱

アルカ・レーグラー社

ドイツ

コントロール弁

日本国内における販売・メンテナンス権の許諾、共同開発の締結

2019年9月1日から

2020年8月31日まで

東亜バルブエ

ンジニアリング㈱

㈲テクノプランツ

日本

液体圧装置

日本国内における製造・販売に関する特許実施権の許諾

2011年2月25日から特許の存続期間まで

 

(2)業務提携援助契約

相手方の名称

国名

契約品目

契約締結日

契約内容

契約期間

HEハルビン・パワー・プラント・バルブ社

中国

抽気逆止弁

鍛造玉型弁

2010年7月28日

技術的知識、情報及びノウハウの提供

2010年7月28日から22年間若しくは「製品」の製造開始年月日から20年間のどちらか早く到達した日まで

 

HEハルビン・パワー・プラント・バルブ社

中国

湿分分離加熱器逃し弁

2013年4月18日

技術的知識、情報及びノウハウの提供

2013年4月18日から23年間若しくは「製品」の製造開始年月日から20年間のどちらか早く到達した日まで

HEハルビン・パワー・プラント・バルブ社

中国

原子力発電所用抽気逆止弁

2013年4月18日

技術的知識、情報及びノウハウの提供

2013年4月18日から22年間若しくは「製品」の製造開始年月日から20年間のどちらか早く到達した日まで

 

(3)資本業務提携契約

契約会社名

契約締結日

契約内容

株式会社キッツ

2016年2月12日

①調達協力:相互の国内外調達先を活用し、材料の調達に協力する。

②技術協力:相互に技術情報を提供し、必要に応じて共同開発をする。

③生産協力:相互の販売品、もしくは共同開発品を、相互の生産拠点を活用し、最適な生産手段を構築する。

④販売協力:「石油及びガス分野」並びに「電力分野」において、相互の製品、もしくは共同開発品を、最適な手段により販売する。

⑤サービス協力:相互のメンテナンス機能を活用し、最適なサービス体制を構築する。

 

(4)コミットメントライン契約

契約会社名

契約締結日

契約内容

株式会社三菱UFJ銀行

2018年3月30日

総額5億円のコミットメントライン契約による借入枠の設定

 

5【研究開発活動】

当社グループの研究開発活動は、顧客との対面活動を含め多角的視野を持ち深層追究する事で、当社グループの目指すバルブ総合エンジニアリングサービスの高度化に繋げていくことを目標にしております。各部門間の情報連携を高め、相乗効果を発揮させると同時に、顧客ニーズの発掘と把握に努め、継続的に顧客ニーズの抽出と新商品アイデアに対する可能性評価を目的とし研究開発活動を進めております。

開発時に生じる問題点を研究開発者の相互啓発により解決すると同時に、そのプロセスから派生した技術を生かし、新たな研究開発テーマが生まれるという好循環による発展を目指しております。

当社グループの研究開発体制は、大きくは二つに分かれ、各部門で日常的に発生する固有の問題点、例えば、生産効率の改善、新しいメンテナンス方法の開発等はそれぞれの部門主体で実施し、課題や研究資源が新商品や新事業に対し直接繋がる様な活動については技術部が主体となって実施しております。

なお、これらの成果は、技術部門で一元管理され、必要に応じ関連各部門にフィードバックし、研究開発の効率が低下しないようフォローできる体制としております。

更に、研究開発が大きく現実の課題と乖離することがない様に或いは喫緊の課題に適切な優先順位をつけてタイムリーに確実に対応していくため、経営と研究開発活動の連携を常に意識し、経営から出された課題・問題点を迅速且つ確実に解決・具体化出来る様に選択と集中による資源の有効活用を意識しながら取組んでおります。

以上の結果、当連結会計年度における研究開発費の総額は、143,250千円となっております。

 

 各セグメントにおける主な研究開発の内容は、次のとおりであります。

 

 (バルブ事業)

 1.株式会社キッツとのコラボレーションによるコストダウン弁の開発

 2.弁座交換装置の開発(弁座切削装置、溶接装置)

 3.電動弁駆動装置のトルクスイッチ角モニタ装置の開発

 4.安全弁作動試験用油圧ジャッキ(他社製)生産中止に伴う代替装置の開発

 5.配管内面プラズマ切断装置の開発

 6.発電所内での安全弁デジタルN2試験装置の開発

  これらバルブ事業に係る研究開発費は、143,250千円であります。