第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

 当社グループは、お客様のニーズに沿ったバルブの製造からメンテナンスまで、バルブのトータルライフにわたるさまざまなサービスをスピーディにご提供できる体制作りに弛まぬ努力を続けております。お客様に安心してご使用いただける高品質・高性能なバルブ製品、バルブの予防保全に絶大な力を発揮する診断機器、豊富な知識・経験を持つ技術者によるメンテナンスサービスなどで、全国の原子力発電所(以下、「原発」)、火力発電所をはじめとする各種産業用プラントの安全で安定した運転のお手伝いを通じ、社会に貢献できる企業グループであり続けたいと考えております。当社グループでは、グループ会社共通の社是として、

  一 信頼される企業として社会の進歩に貢献する
  一 誠実と融和により健康で活気のある職場をつくる
  一 経営の刷新と技術の開発につとめる
を掲げ、全役職員のベクトルを同じ方向に揃えグループ力の結集を図ることで、顧客満足度を高め、社会・地域の健全な発展に貢献し、従業員とその家族の生活を守り、株主への適正な利益分配を行い、安定的持続可能な強固で粘りのある企業体質の構築を目指しております。
 また、当社グループの主な事業である、バルブ製品の製造、メンテナンスとも、高い技術を持つ地域の協力工場や、厳しい工期と過酷な環境下でのメンテナンス作業に従事される外注技術者など、数多くの関係取引先のご協力を頂戴することで成り立っており、常に感謝の心を忘れることなく、今後も関係取引先との相互発展を基本とした強い信頼・協力関係を構築してまいります。

 

(2)目標とする経営指標

 当社グループが製造いたしますバルブ製品、鋳鋼製品のほとんどは、お客様の個別仕様書によって受注・生産を行っており、汎用品はごく一部にすぎません。また、バルブメンテナンスサービスにつきましても、一般的な定期保守点検契約のようなものは存在せず、比較的安定的に売上が望まれる原子力発電所の定期検査工事を除いては、基本的にプラントの運転状況とそれに応じた当社の営業活動の成果によるものであります。

 よって各年度の売上高は必ずしも安定したものではないため、損益も同様に年度毎の山谷が非常に激しくなる可能性があり、特にバルブ事業は、売上の増減に加えその時々の工場操業度によっても損益に少なからず変動が発生し、目標とする経営指標として、例えば投下資本に対する利益率等を設定したとしても、以上のような理由から分子となる利益の変動が大きく、安定的且つ継続的な目標指標とすることは困難であると考えております。

 このため、年度計画及び中期収益計画の策定に際しては、各年度に予想される市場環境から受注想定案件を積み上げることにより、売上高、営業利益、経常利益を予算化することとしております。

 そして個々の案件の受注時には、厳密な貢献利益(限界利益)管理のもと、その時々の工場操業度と平準化効果、社員・外注作業者の最適要員配置、後年度における期待収益性などを重要な要素として受注判断を行うことで利益管理を実施しており、これにより機会損失を最小化し、獲得利益の最大化を計っております。

 

(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

①基本課題

 当社グループはこれまで国内原発の原型炉、実証炉、商用炉全てにバルブを納入してまいりました。原発黎明期においては重要な役割を担うバルブは海外製品が導入されていましたが、現在ではPWRと呼ばれる加圧水型原子炉の重要なバルブ・安全弁は当社製品をご採用いただいております。

 当社グループは予てより特定の事業分野、つまり原発への過度の依存をリスクとして認識し、開示してまいりました。にもかかわらず全く想定外の事態、すなわち東日本大震災の津波による福島原発の事故でこれが顕在化し、現在の厳しい状況に陥るに至りました。

 このように当社グループは日本の原発の発展とともに歩んでまいりました。よって原発関連事業者としての責任と使命は今後も何があっても果たしていくことを基本的な会社方針としております。

 福島原発の事故から11年が経過し、これまでにPWR型の6原発10基で再稼働が実現しましたが、BWR型原発については依然、再稼働の見通しは立っておらず、十分な市場回復には程遠い状況が続いています。よって原発を中心とした事業の軸を堅持しつつも、それに比肩する強い収益の柱を加えることが、現在の最重要課題であることに変わりはありません。

 これら課題解決を目指し、『改定・中期経営計画2019』では、経営基盤の構造改革、既存3事業の深化、新領域への挑戦を主要戦略に掲げ取り組むことを表明しております。

 

 2021年10月に公表された国の第6次エネルギー基本計画では、原子力は長期的なエネルギー需給構造の安定性に寄与する重要なベースロード電源であって、20~22%を構成する重要電源と位置付けられ、今後の新たな展開も期待されるところですが、これまで以上に想像力とリスク感応度を高め、決して同じ轍は踏まないことを肝に銘じ事業に取り組んでまいります。

 また、統合報告書等を作成できるレベルにはまだまだ至りませんが、非財務情報の開示充実、ESGへの対応など、上場企業として責務を果たしてまいります。

 

②経営基盤の構造改革

(生産性の改善~TAMES Project~)

当社グループは今年創業100周年を迎えました。社会に求められつつ会社を長く継続するためには成長戦略とともに事業基盤の強化が不可欠です。これを具体化する施策として、全社的業務効率改善活動である通称『TAMES-Project』の全社展開を進めております。

活動は、生産現場の効率改善を目指す『TAMES-Factory』、販売管理部門の効率改善を目指す『TAMES-Office』、ITを活用し全社横断的な効率改善の基盤を整備する『TAMES-DX』、人へのアプローチで働き甲斐のある活力あふれる職場をつくる『TAMES-Active』、次の時代を担う事業の柱となる製品・サービスの開発を目指す『TAMES-RD』の5つで構成され、それぞれに活動メンバーを選定し推進しております。

完全受注生産型事業においては、効率化を単に生産量だけに求めることはできません。すべての営業循環の中において、時間・規格・技術・場所等々、多くの制約の中で機会損失と闘いながら業務効率向上を実現していく必要があり、これは決して簡単なことではありません。

この課題に全社的に取り組み、経営効率向上を目指すのが本プロジェクトの狙いです。その狙いはコスト低減に留まらず、SDGsの諸課題、働き方改革、ICTの推進、健康経営、新製品・サービスの創出など、内外の課題を取り込みながら包括的に企業基盤の強化・改善を進めてまいります。

 

③既存3事業の深化

バルブ事業、メンテナンス事業、製鋼事業の既存3事業の個別課題を攻めの事業戦略により解決し更なる成長を目指します。

バルブ事業とメンテナンス事業は、当社グループが世界に誇る高温高圧弁・安全弁の技術とそれを象徴するTOAのブランドを活かし、グローバルニッチトップ化戦略の中核に位置付けられます。

国内原発、火力発電設備の安全・安定運転と経済性に貢献する新たな提案で顧客満足度を高め、原発廃止措置支援装置の開発、IT技術による状態監視装置やサービスシステムの構築、新たな製品・メンテナンス機器の開発などで成長を目指してまいります。また同時にコスト面での課題を克服すべくTAMES-Project活動での効率化実現に取り組んでまいります。

製鋼事業は製品の高付加価値化を主要施策として進めてまいります。昨今の経済情勢下、材料高による採算性悪化に苦しんでおり、この対応はもとより、加工、検査、材質、納期、そして何よりも品質を高めた高付加価値製品の提供により収益性の改善を推進してまいります。

 

④新領域への挑戦

(グローバルニッチトップへの挑戦)

 既存事業の中核であるバルブ事業は、世間的には市場飽和状態にあって、決して魅力的なものとは映らないでしょう。だからこそ当社グループはグローバルニッチトップを目指すことを選択し、その中において新たな事業領域の開発は不可欠な戦略であります。

 発電所では非常に多くのバルブが使用されていますが、高温高圧弁・安全弁は数多あるバルブのごく一部に過ぎません。しかし調達価格で見たときその割合は決して小さなものではなく、ここに勝機があると考えております。

 また圧力容器の防護設備のひとつである安全弁は当社グループの看板商品です。原発という極めて高い安全性が求められるプラントの最重要ラインに当社安全弁は設置され、24時間365日、プラントの安全を見守っており、絶対に他社では代替できない技術で顧客の絶大な信頼を得ております。

 こういった、ニッチな分野での商品性やサービス力を徹底的に高めることで、ニッチな市場での競争優位を確立してまいります。

 

(次世代火力発電)

 発電分野においては、脱炭素が絶対的な命題となる中、火力発電所は今後確実に、脱化石燃料化へ向うものと考えられます。残念ながら当社グループのバルブは、風力発電、太陽光発電といった分野では出番がない以上、この火力発電の脱化石燃料化、すなわち水素やアンモニアへの燃料転換に対応するバルブ開発が重要な課題となります。

 水素やアンモニアの混焼火力発電は国内においても既に実証事業が進んでいますが、最終形である、専焼型商業発電プラントへのバルブ製品、或いは鋳鋼製品の供給に視点を据え、技術開発に取り組んでまいります。

 

(廃炉事業)

 長期的な事業拡大戦略の一翼を担うのが廃炉事業への進出と考えております。これはバルブ事業の集大成ともいえる事業で、バルブのトータルライフに亘りワン・ストップであらゆるサービスを提供するという、当社グループの目指す姿に通ずるものであります。

 具体的な事業のイメージは、廃止された発電所から回収したバルブをリサイクルして新しいバルブ等にして新しい発電所に戻すという非常にシンプルなものですが、そこに至る道程は困難の連続と想定しております。

 この実現のため設立した子会社で、資源エネルギー庁より「原子力産業基盤強化事業補助金」に係る間接補助事業者に採択され、活動を開始しております。実際に原発からリサイクル対象の金属が排出されるのはまだ先のことで、事業化・業績貢献には今しばらく時間を要しますが、早期の参入表明で先駆者としての優位性を築き、今後の事業本格化に備えてまいります。

 

(デジタル技術の活用)

 ビッグデータやセンシング技術などが事業に取り込まれ、多方面で新たなマーケットの創出、ビジネスモデルの開発につながっております。さらにはコンピューターを離れ、何かをインターネットにつなぐことで新たなビジネスを広げるIoT技術も既に当たり前になっております。

 当社グループにおいても、長年のバルブ製造やメンテナンスの過程で蓄積した、バルブの検査データや経験、知見、そして電力用高温高圧バルブメーカーとしてのブランド力や市場シェアを活かし、「情報」や「ノウハウ」を商品とした事業展開の可能性についてさらに深く掘り下げる必要があると考えております。

 例えばそのひとつとして、バルブや鋳物に関する技術情報の積極的な公開や、特殊設備の異業種での活用可能性を探るなど、新たな市場・顧客を求めデジタルマーケティングに取り組んでおります。また、これまでは狭い市場と決めつけることであまり縁のなかった、各種産業機器等の展示会に積極的に出展し、新たな分野への進出の足掛かりを探る活動を進めております。

 やれることは何でもやってみる、TAMES=「試す」の精神で取り組み、これをひとつのきっかけに新たなバルブソリューションを展開してまいります。

(新たな子会社事業とのシナジー創出)

 当連結会計年度に太陽電業株式会社を子会社に加えました。同社は東日本地区の原発で放射線管理業務や電気設備関連工事を行っており、同社との連携により市場と事業での拡大が期待できます。

 また、東日本大震災以降、同地域での収益は原発に限らず火力発電所でも低下しており、震災前のレベルを取り戻すためにも重要な拠点になり得るものと考えております。

 今後は早期のシナジー創出に向け人材の交流をはじめとした具体的な活動を進めてまいります。

 

 

2【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 事業環境の変化

当社グループのバルブ事業の売上は、原子力・火力発電所に代表される国内電力市場向けの製品・メンテナンスが重要な割合を占めています。また、当社グループはわが国の原子力発電黎明期より原発事業に関わってきました。その責任を全うするためには、今後も電力市場に強く依存した事業運営は不可避であり、どのような要因であれ、電力市場に大きな変化が生じることは、当社グループの業績に重大な影響が及ぶ可能性があります。

その要因は、自然災害、原発再稼働等に対する司法判断や国による規制、事故等による発電所の運転停止、発電技術革新、発電燃料の転換、電力自由化などの発電事業形態の変化、地球温暖化問題に由来する従来型火力発電市場縮小とそれに伴う市場の変化、電力業界を取り巻くサプライヤーの動向、再生可能エネルギーや局所発電など消費者側における発電設備転換など、実にさまざまなものが想定されます。

例えば、2011年に発生した東日本大震災による福島原発事故では、事故後国内すべての原発が停止し、その後、多くの原発で廃炉が決定され、市場は大きく縮小する事態となりました。今後は、全く再稼働に至っていない沸騰水型原発(BWR)の運転再開による一定の需要が見込まれますが、わが国の電力政策において原発はどう位置付けられていくのかはもちろん、小型原発(SMR)や次世代原発に対する国の取組はどうなっていくのかなど、まだまだ不透明な状況が続くことが想定されます。

火力発電所においても、温室効果ガス削減問題からその市場は極めて不透明な状況にあります。特に海外では、既に国内以上に厳しい状況に向かっており、世界的な投資の引き揚げ・停止などにより、新規事業の計画中止が相次いでいるとの認識です。

他方これらを背景に、電力プラントは大きく変化しつつあります。まずはゼロ・エミッション火力発電燃料である水素、アンモニアなどへの燃料転換、そしてAIやITを用いたプラント管理技術の変化が特に当社グループにとって重要なものと考えています。当社グループがこういった新しい技術等に対応したバルブ製品、メンテナンスを提供できない場合、これまで築いた高温高圧弁メーカーとしてのステータスは大きく揺らぎかねません。よって、積極的な研究と投資を継続し、しっかりと市場の変化に対応していく必要がありますが、高度な要求とその速度に対応できない場合には重大な業績への影響が生じる可能性があります。

 

(2) 大規模自然災害や事故などによる影響

当社グループの製造拠点は、バルブ製造を行う兵庫県尼崎市の本社工場とバルブの主要素材である鋳鋼部品の製造を行う三重県伊賀市の伊賀工場の国内2か所となっています。これらの生産拠点が、地震、台風、洪水、高潮などによる大規模自然災害や火災事故に見舞われた場合、業績等に重大な影響を受ける可能性があります。

本社工場の所在する兵庫県尼崎市は、南海トラフ巨大地震の被害想定地域であることに加え、工場の多くの建屋は1960年代の建築であるため、耐震性や耐火性に対しリスクを有しており危機感を一層強めています。伊賀工場は本社工場の前工程として機能していることから、設備面において一方の緊急時に他方がその機能・役割を代替する関係にはなく、一方が被災することはそのまま生産プロセスの途絶に直結し、機会損失の発生や納期遅延など当社グループの業績に重大な影響が生じる可能性があります。

実際、本社工場は1995年1月に発生した阪神大震災で被災しました。工場そのものは周辺地域の状況に比して小さな被害に留まりましたが、従業員の多くが被災し、また公共交通機関が長期に亘り途絶したため、工場稼働の支障期間も長期に及び、相応の業績影響が発生しました。

一般に、軽減と移転しかリスク対応策のないこの課題に対し、現実的にどれほどの具体的対策が可能か非常に難しいところではありますが、まずは確実な事業継続体制確立のための恒久対策として、そして、従業員の命を守り安心・安全に働くことができる職場の実現のため、工場建屋の耐震改修、或いは適地への移転などについて鋭意検討するとともに、非常時のBCP対応を着実に進めてまいります。

しかし、他方ではこれらの対策には非常に多額の資金が必要となります。そのため当社グループでは、ここ数期の好調な業績で増加した資金の集積に努めてまいりました。当社グループは完全受注生産型の事業形態であることから、業績は年度により大きく変動する傾向があり、そのような状況下においては、金融機関からの十分な資金調達が得られない可能性があるためです。このような政策は必ずしも、投資家の利害と一致しない可能性もありますが、事業の継続性をまず確実なものとするための不可欠なものと考えております。そして裏返せばこの対応が遅れ、危惧するリスクが顕在化した場合には、極めて重大な業績への影響を回避できない可能性が高いものになると考えております。

 

(3) 製品、メンテナンス上の瑕疵などに起因し生じる影響

当社グループの製品は、原発をはじめとした各種産業用プラントの重要部位で採用されているため、その製造上の欠陥や当社グループが行ったメンテナンスの不具合等により動作不良等が生じ、本来の機能を果たせない場合、重大な事故による被害の発生、或いはプラントの運転停止による経済的損害の発生などが賠償問題につながる可能性があり、それらは当社グループの業績に重大な影響を及ぼすリスクがあります。

製品やサービスに品質上の問題が生じる要因は実にさまざまです。最近では、少子高齢化による労働人口の減少で従業員の採用が思うように進まず、その結果として技術伝承が進まないリスク、協力会社の後継者不在による廃業リスク、IT活用の遅れなどにより属人的対応から脱しきれず業務に支障が生じるなどのリスクも潜在しています。

当社グループでは、まずは従業員の一人一人に品質意識の徹底を図ることで、基盤を作り上げたうえで組織的な品質マネジメントシステムを適切に機能させ、その確実な運用を担保するための内部統制システムを組み合わせることで、高い品質レベルを維持できるものと考えております。今後も更なる品質体制の強化により、リスクが顕在化することのないよう努めてまいります。
 

(4) コンピューターシステム停止による影響

当社グループは完全受注生産型のビジネスを行っていることから、ビジネスフローに最適化させた、オリジナルの基幹業務系情報処理システムを採用しています。ここでその現状やリスク対策について詳らかにすることは、逆に新たなリスクを招く可能性があるため差し控えますが、ネットワーク環境に由来するシステム運用上の支障や、悪意をもったウイルス攻撃などによるデータ喪失・破壊、或いはデータが利用不能に陥るなどのリスクは常に存在していると考えています。

これらのリスクに備えるため、当社グループでは、営業・技術情報の保全のため、物理的な情報流出対策を実施するとともに、次世代型ウイルス検知システム(NGAV)とエンドポイント対策(EDR)によるシステムの入口・出口の監視、データの多重化などを行うことで、被害の防止と軽減を図っております。そして同時に、システム利用者の意識改革教育の実施、システム運用における内部統制の確立で万全を期しています。

しかし、一般に言われるとおり、ウイルスをはじめとしたシステムに対する悪意をもった攻撃を完全に排除することは困難であると同時に、コストと便益の関係から決して無尽蔵のリソースを投入し対策を行うことが最善ではないとの認識でいます。よって、万一の場合においても被害の最小化と復旧の最速化を図ることで対応してまいりますが、想定以上の状況が生じた場合には重大な事業への影響が生じる可能性があります。

 

(5) 法的規制、各種許認可等を維持できない場合の影響

当社グループの一部事業は、建設業法に基づく一般建設業、特定建設業の許可を必要とするものです。そしてこの許可を維持するため、或いは許可に基づき具体的な工事を施行するためには、一定の人的要件を常に充足しておく必要がありますが、今後何らかの事由により、その要件を充足できなくなった場合には当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

また、当社グループは、原子力・火力発電所等を納入先とすることから、製品においては、数多くの規制・規格・許認可への適合が、メンテナンスの施工に際しては、一定の経験年数や技量認定・資格を取得した作業員の配置がそれぞれ求められます。

当社グループでは、これらの要件を欠くことのないよう計画的な人材育成とプロセス管理を実施していますが、さまざまな要因による能力的制約や人的制約等から、これらに適切に対応することができない場合には業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
 

(6) 新型コロナウイルス等の感染症による影響

2020年春以降、世界を大混乱に陥れた新型コロナウイルスはワクチン接種が進んだことで沈静化しつつあり、インフルエンザと同じ分類へ変更が検討されるなど、出口戦略へ向かいつつあります。当社グループにおいては、早期に感染拡大対策を実施し、テレワークが可能な領域においては積極的に人流を抑制することで、重大な事業運営上の影響を受けることなくここまできました。

しかし、今後もリスク環境は継続し、たとえ一旦は沈静化したとしても、変異型の登場や新種のウイルスなどで再度同様の事態となる可能性は否定できず、社内クラスターや大量の濃厚接触者発生、顧客や協力会社が同様の状況に陥ることによるサプライチェーンの途絶、予定した工事の中止・中断・延期など、事業運営に重大な影響が生じる可能性があります。

また、海外との取引においては、当該相手国での経済活動規制の影響もありましたが、日本政府による厳しい渡航規制が長く続いたことで、特に営業面で強く影響を受けることとなりました。具体的には海外の感染拡大地域における新規プラント建設プロジェクトの延期に伴う受注計画への影響、海外発電所へのメンテナンス技術者の派遣見送りによる受注機会の喪失などが挙げられます。

今回の新型コロナウイルスに限らず、インフルエンザ、ノロウイルス等、感染症拡大の恐れは常にあります。今後も状況に応じ、事業影響の最少化を図ってまいりますが、従業員の命や健康に関わる問題であり、慎重な対応が求められると同時に、防疫の限界、或いはそもそも当社グループの対応だけでリスクを回避できる種類のものではないことから、その状況によっては業績に重大な影響を与える可能性があります。
 

(7) 労働災害による影響

製造現場、メンテナンス現場では常に労働災害と背中合わせの状況にありますが、安全に優先する何物も存在しないとの意識を持って、「ご安全に」を日々の挨拶にして、全社グループを挙げ無災害に取り組んでいます。

しかし、無災害を長期に亘り継続することは非常に難しく、現にここ数年でいくつかの災害が発生しています。いずれも少しの不注意や作業上の不手際の問題であり、原因が単純・簡単であるが故になかなか根絶には至らないというのが現実です。

労働災害の発生は、大切な従業員の命を脅かし苦痛をもたらすことはもちろん、労働災害を引き起こす要因を有する職場そのものが高い生産性を実現できず、その結果として作業遅延が生じるなど多くの影響をもたらします。そして、労働災害が発生した場合には、その内容によっては、顧客から指名停止を受けるなど営業活動への支障が生じることもあり、そのような事態に陥った場合の業績影響は重要なものとなる可能性があります。

労働災害は仕事の仕組みと個人への教育とチームワークで防ぐ必要があります。個々の安全意識と集団の安全意識を徹底的に高め、精神論だけではなく、物理的な安全対策のためにリソースを投入することで災害が起きない仕組みをしっかりと構築し、安全第一の職場を作り上げることでリスクの顕在化を阻止してまいります。
 

(8) コンプライアンス違反による影響

当社グループは会社法、金融商品取引法、労働法、税法等の各種法令はもとより、製造するバルブに関する各種規格のほか、取引先との契約に基づく合意等も含め、非常に多くの規制への適合が求められるため、それら規則が遵守されているかを管理するための体制を構築しています。

具体的には監査等委員、会計監査人、内部監査室、品質保証統括室などによる組織的な監査に加え、各事業部門において業務手順を「見える化」することで、リスクの所在とその対策を明確にする内部統制システムの運用によりコンプライアンスを担保するとともに、万一コンプライアンスが損なわれるようなことがあった場合においても、適時に不適切な事象を発見する仕組みを構築することで、被害・影響の最少化に努めております。

しかし、コンプライアンスの概念は極めて多岐・広範に亘り、重要性基準もその時々により変化することから、会社の業績やブランドイメージに対し致命的な影響が生じる状況に至らないことを管理体制の基本としており、完全にリスクを排除することは困難であると考えられます。

当社グループは電力事業という極めて社会性の高い分野で、且つ原発向けという完全な品質を求められるバルブ製品・サービスの提供を生業とするため、コンプライアンス問題で、顧客・社会の信頼を損ねることは企業の存在そのものが否定される可能性にもつながりかねないことを強く認識し、日々コンプライアンス活動に取り組んでおります。
 

(9) 環境に対する課題意識の高まりによる影響

地球温暖化問題に由来する環境への課題意識の社会的な高まりは、当社グループの事業においても、営業面、コスト面に非常に大きな影響をもたらすものと考えています。特に営業面においては、当社グループの主要顧客である火力発電所が、二大温室効果ガスである二酸化炭素の最大排出源のひとつであることから、その影響は当然に不可避の状況にあるといえます。このリスクについては、社会と顧客の対応を注視し、その変化に迅速に対応していくことはもちろん、次の予想される展開に対し先手を打って対応していくことで軽減を図る以外はないものと考えております。

他方、コスト面におきましても重大な課題が存在します。当社グループのバルブ製造プロセスには、鋳鋼製造工程があり、非常に大きな電力を消費することから、電力料の生産コストに占める割合は非常に高いものとなっています。今後、この製造過程での電力使用に伴う温室効果ガス削減の対応が必要となりますが、例えば、設備改善や非化石証書等の購入などによるとしても、相応のコストが必要であり、その内容によっては業績に大きな影響を与える可能性があります。

 

(10) 材料費等原価高騰による影響

当社グループの製造するバルブの主な原材料は、鉄、ステンレスを中心とした金属材料で、クロム、ニッケル、タングステンなどのいわゆるレアメタルも使用しています。このような金属材料は、市況により調達価格や調達可能数量やロットが変動することから、これらの安定的調達のため、信頼のおける複数のサプライヤーとの取引を行うなどでリスクヘッジを図っておりますが、著しい価格の高騰や調達支障の発生のリスクは常にあります。

また、当社グループのバルブは、これら金属材料を電炉で溶かし、鋳型に流し込むことで製造する鋳鋼弁と呼ばれるものです。この鋳造工程では溶解時に非常に多くの電力を消費し、またその後工程である熱処理段階でも電気、或いは灯油などのエネルギーを使用します。

ロシアによるウクライナ侵攻、海外主要国との政策金利差による為替変動などが、原材料価格や燃料価格の上昇ほか多方面に、今までにないほどの大きな影響をもたらしていますが、こういった状況によって業績に対し大きな影響を与える可能性があります

 

(11) IT・DX化の対応遅れ・不首尾による影響

当社グループにおきましても、IT・DXを活用した製品・サービスの開発はもちろん、生産設備やメンテナンス機器への応用は重要課題と考えております。

例えばバルブのメンテナンスでは、従来の時間監視型の保全から状態監視型の保全に軸足が移る中、いかにプラントの運転中にバルブの異常事象を把握し、次回のメンテナンスにつなげていく必要があります。或いは、工場の老朽化に対し、今後大規模な設備投資が必要になると考えますが、この投資に際しても、いかに効率的な生産を実現していくかは重要な課題です。そしてこれらの実施に際しての最も必要な視点は、IT・DXの最大限の利用であると考えます。

当社グループでは、IT・DX人材の確保・育成に注力し、これらの実現に取り組んでまいりますが、仮に著しく時流に乗り遅れ、従来の枠を脱することができないなら、それは商品力でもコスト競争力でも他社の後塵を拝することになり、その結果として業績に大きな影響を与える可能性があります。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要
 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

 ① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルスの感染拡大があったものの、ワクチン接種が進んだことなどで規制緩和が進み、持ち直しの動きが見られましたが、ロシアによるウクライナ侵攻が長期化する中、消費者物価、原材料価格の上昇や円安進行もあって、先行きの不透明な状況が続いております。

 

当社グループは、原子力・火力発電所用バルブの製造・メンテナンスを主としたバルブ事業を中核に、鋳鋼製品の製造事業などを展開しており、当連結会計年度から主に東日本の原子力発電所(以下、「原発」)で放射線管理業務等を行う太陽電業株式会社をグループに加え、事業領域の拡大を図っております。

 

バルブ事業の主要顧客である原発向けビジネスは、東日本大震災の津波による東京電力福島第一原発事故以降、依然として厳しい状況にあります。加えて、温室効果ガスによる地球温暖化問題から、脱炭素社会へ向けた取り組みが一段と加速し、もう一方の主要納入先である石炭火力発電所の将来について不確実性が高まりつつあります。

しかし一方では、政府のグリーントランスフォーメーション(以下、「GX」)実行会議において、原発の再稼働や運転期間の延長、次世代革新炉の建設による原発の新設やリプレースの検討など、短期的には電力需給ひっ迫の解消、中長期的にはGX推進のため、原発推進の必要性が示され、当社グループにとって明るいニュースとなりました。

 

このような環境下、当連結会計年度におきましては、主力事業であるバルブ事業で、九州電力、関西電力の原発で定期検査工事が完了し売上を計上しましたが、前期に比べ、定期検査工事件数、再稼働前点検工事等の案件が減少したことに加え、火力発電案件についても大型案件がほとんどなく、売上高は85億14百万円(前年同期比18.5%減)に留まりました。

 

この結果、採算面においても、絶対的な売上不足により固定費の回収が十分に進まず、加えて特に製鋼事業において材料高騰の影響を著しく受け、当連結会計年度より新たに太陽電業株式会社を連結に加え挽回を図りましたが、営業損益は86百万円の赤字(前年同期は6億96百万円の黒字)、経常損益は27百万円の黒字(前年同期比96.4%減)、親会社株主に帰属する当期純損益は60百万円の赤字(前年同期は4億55百万円の黒字)となりました。

 

以上のように事業環境が急速に変化する中、「中期経営計画2019」の見直しとこれまでの振り返りを行い、2022年11月改定版として開示いたしました。現状の課題を再確認し、経営基盤の構造改革、既存3事業の深化、新領域への挑戦、という3つの戦略のもとに、企業価値向上を目指してまいります。

 

表:報告セグメント内の種類別売上高

  報告セグメント

種類別の売上高

前連結会計年度
(百万円)

当連結会計年度
(百万円)

前年同期比(%)

 バルブ事業

 バルブ(新製弁)

2,272

1,721

△24.3

 バルブ用取替補修部品

1,179

913

△22.6

 原子力発電所定期検査工事

1,724

795

△53.9

 その他メンテナンス等の役務提供

3,865

2,811

△27.3

 小計

9,041

6,241

△31.0

 製鋼事業

 鋳鋼製品

913

1,056

15.7

 電気設備関連事業

 電気設備関連工事

1,032

 その他

 地域復興事業

314

104

△66.7

 リファインメタル事業

333

160

△51.9

 消去又は全社

△152

△81

 合計

10,451

8,514

△18.5

報告セグメント別では、バルブ事業の売上高は、九州電力川内原発1号機・2号機、同玄海原発4号機、関西電力高浜原発3号機、同大飯原発4号機、同美浜原発3号機で定期検査工事が完了し売上計上しましたが、これら以外には火力発電所向けを含め大型案件が乏しく、売上高は62億41百万円(前年同期比31.0%減)、セグメント利益も10億97百万円(前年同期比38.6%減)となり、前年同期に比して大幅な減収減益となりました。

 

製鋼事業は、一部顧客からの受注が安定的に推移した結果、売上高は10億56百万円(前年同期比15.7%増)となりましたが、材料の仕入価格の高騰などの影響もあり、セグメント損益は3億41百万円の赤字(前年同期は2億31百万円の赤字)となり赤字幅は前期に比して拡大しました。

 

当連結会計年度から報告セグメントに追加した電気設備関連事業は、2022年1月より新たに子会社となった太陽電業株式会社における事業であり、原発における設備・放射線計測器類の保守や電気設備工事などを主に行っており、売上高は10億32百万円、セグメント利益は52百万円となりました。

 

なお、前連結会計年度まで報告セグメントとしておりました除染事業は、地域除染事業の規模縮小により、売上高、セグメント利益が少額となったことから、当連結会計年度の期首より、その他に含めて表示しております。

 

新型コロナウイルス感染症の感染拡大による業績影響については、主にメンテナンス工事の現場においてクラスターが発生するなどで工事日程に影響が生じ、売上計上に時期ズレなどが生じる可能性を危惧いたしましたが、当連結会計年度におきましては、そういった重大な事象は発生しておらず、格段の影響はありませんでした。

今後も同様のリスクは続きますが、事業の性質上、工事そのものが中止になるということはほぼありません。しかし工期変更や工事現場への入場規制による効率低下などが業績にマイナス影響が出る可能性について、状況に変化は無いものと考えております。

 

 ② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物の期末残高は41億26百万円となり、前連結会計年度末に比して9億29百万円減少しました。この内訳は次のとおりであります。

 

 (営業活動によるキャッシュ・フロー)

 減価償却を3億30百万円実施した上で税金等調整前当期純利益を16百万円計上したところに、売上債権の減少で3億30百万円の増加がありましたが、棚卸資産の増加で3億66百万円、未払消費税等の減少で4億50百万円の減少などキャッシュ・アウトの要因が上回ったことから3億82百万円のキャッシュ・アウト(前年同期は27億88百万円のキャッシュ・イン)となりました。

 

 (投資活動によるキャッシュ・フロー)

 連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出を中心に8億6百万円のキャッシュ・アウト(前年同期は5億36百万円のキャッシュ・アウト)となりました。

 

 (財務活動によるキャッシュ・フロー)

 前連結会計年度に係る期末配当及び当連結会計年度の中間配当の実施、短期借入金の増加などにより2億14百万円のキャッシュ・イン(前年同期は2億5百万円のキャッシュ・アウト)となりました。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

(1) 生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

    (自 2021年10月1日

     至 2022年9月30日)

前年同期比(%)

バルブ事業(千円)

1,737,136

△13.9

製鋼事業(千円)

1,364,972

27.9

合計(千円)

3,102,109

0.6

 (注)1.金額は製造原価によっております。

2.バルブ事業のメンテナンス等、電気設備関連事業及びその他については、事業の性格上生産実績の概念は馴染みませんので金額及び前年同期比を記載しておりません。

 

(2) 受注実績

 当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

バルブ事業

7,059,756

44.0

4,062,819

25.2

製鋼事業

1,006,357

6.1

368,455

△12.1

電気設備関連事業

1,123,855

91,797

その他

269,872

△28.5

40,460

13.3

消去又は全社

△82,009

合計

9,377,831

54.4

4,563,531

23.3

 (注)1.金額は販売価格によっております。

    2.当連結会計年度より太陽電業株式会社を連結の範囲に含んだことにより、「電気設備関連事業」の期首受注残高232,278千円を当期受注高に含んでおります。

 

(3) 販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

    (自 2021年10月1日

     至 2022年9月30日)

前年同期比(%)

バルブ事業(千円)

6,241,990

△31.0

製鋼事業(千円)

1,056,934

15.7

電気設備関連事業(千円)

1,032,058

その他(千円)

265,264

△59.1

消去又は全社(千円)

△81,955

合計(千円)

8,514,291

△18.5

 (注)主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。

相手先別

前連結会計年度

    (自 2020年10月1日

     至 2021年9月30日)

当連結会計年度

    (自 2021年10月1日

     至 2022年9月30日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

三菱商事パワーシステムズ株式会社

4,666,367

44.6

3,162,247

37.1

三菱重工業株式会社

1,642,614

15.7

858,991

10.1

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 財政状態の分析

(資産の部)

当連結会計年度末の資産残高は129億74百万円となり、前連結会計年度末に比して6億34百万円増加しました。その内訳は、流動資産が90億43百万円で同2億19百万円減少し、固定資産は39億30百万円で同8億53百万円の増加となっております。

流動資産では、有価証券が14億円減少し、現金及び預金が4億70百万円増加となっております。固定資産では、リース資産が27百万円減少しておりますが、建物及び構築物が3億66百万円増加となっております。

 

(負債の部)

負債残高は36億65百万円となり、前連結会計年度末に比して6億91百万円増加しました。主な要因は、短期借入金が4億50百万円、電子記録債務が94百万円、受注損失引当金が73百万円それぞれ増加したことなどによるものです。

 

(純資産の部)

純資産の残高は93億8百万円で、前連結会計年度に係る株主配当金の支出、当連結会計年度に係る株主中間配当金の支出、当連結会計年度での親会社株主に帰属する当期純損失を計上しましたが、その他有価証券評価差額金や為替換算調整勘定の増加、退職給付に係る調整累計額の減少などにより、前連結会計年度末に比して57百万円減少しました。

 

② 経営成績の分析

(売上高)

当連結会計年度の売上高は85億14百万円となり、前連結会計年度と比べ19億37百万円減少(前年同期比18.5%減)しました。

当連結会計年度では、新たに連結の範囲に含めた太陽電業株式会社による電気設備関連事業が10億32百万円及び製鋼事業において前連結会計年度に比べ鋳鋼製品が1億43百万円それぞれ増加しましたが、バルブ事業においてバルブ新製弁、取替補修部品、原子力発電所の定検工事及びその他メンテナンス等の役務を合わせて27億99百万円減少となり、前連結会計年度の売上高を大幅に下回ることとなりました。

 

(営業利益)

当連結会計年度の営業損益は86百万円の赤字(前年同期は6億96百万円の黒字)となりました。

当連結会計年度では、バルブ事業において前連結会計年度に比べ、原子力発電所の定期検査工事件数、再稼働前点検工事等の案件が減少したことに加え、火力発電案件についても大型案件が減少したこと等で、前連結会計年度を下回る営業利益となりました。

 

(親会社株主に帰属する当期純利益)

当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、上記の営業利益に営業外損益の純額1億14百万円を加算し、これに特別損益の純額10百万円を減算し、次に法人税、住民税及び事業税と法人税等調整額及び非支配株主に帰属する当期純損失を加減算した結果、60百万円の赤字(前年同期は4億55百万円の黒字)となりました。

 

③ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社グループの資本の財源は、自己資金及び金融機関からの借入によっており、金融機関からの借入金については適宜に長期・短期の借入金により資金調達を行うほか、取引金融機関と特定融資枠契約、コミットメントライン契約を締結することで必要な財源の確保を図っております。

資金の流動性は、営業活動によるキャッシュ・フローを確実に獲得することを基本に、適正な投資活動と財務活動を組み合わせることで十分な流動性の確保と財務体質の健全性を維持するよう努めております。

当社グループの事業は主に完全受注生産型であることから、売上時期の偏重や製品の仕掛期間長期化による影響が、営業活動によるキャッシュ・フローの変動につながる傾向にあることから、これら事象について、キャッシュ・フローへの影響を十分に考慮した業務運営を社内に指示・徹底しております。

またこれら事象へ対応する目的も含め、取引金融機関とコミットメントライン契約を締結し、機動的な資金調達体制を維持するとともに、運転資金の効率的な運用を図っております。

 

④ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。詳細については、「第5経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

なお、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による会計上の見積りへの影響については、「第5経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (追加情報)」に記載しております。

4【経営上の重要な契約等】

(1)業務提携受入契約

契約会社名

相手先

国名

契約品目

契約内容

契約期間

㈱TVE

㈲テクノプランツ

日本

液体圧装置

日本国内における製造・販売に関する特許実施権の許諾

2011年2月25日から特許の存続期間まで

 

(2)業務提携援助契約

相手方の名称

国名

契約品目

契約締結日

契約内容

契約期間

HEハルビン・パワー・プラント・バルブ社

中国

抽気逆止弁

鍛造玉型弁

2010年7月28日

技術的知識、情報及びノウハウの提供

2010年7月28日から22年間若しくは「製品」の製造開始年月日から20年間のどちらか早く到達した日まで

HEハルビン・パワー・プラント・バルブ社

中国

湿分分離加熱器逃し弁

2013年4月18日

技術的知識、情報及びノウハウの提供

2013年4月18日から23年間若しくは「製品」の製造開始年月日から20年間のどちらか早く到達した日まで

HEハルビン・パワー・プラント・バルブ社

中国

原子力発電所用抽気逆止弁

2013年4月18日

技術的知識、情報及びノウハウの提供

2013年4月18日から22年間若しくは「製品」の製造開始年月日から20年間のどちらか早く到達した日まで

 

 

(3)資本業務提携契約

契約会社名

契約締結日

契約内容

株式会社キッツ

2016年2月12日

①調達協力:相互の国内外調達先を活用し、材料の調達に協力する。

②技術協力:相互に技術情報を提供し、必要に応じて共同開発をする。

③生産協力:相互の販売品、もしくは共同開発品を、相互の生産拠点を活用し、最適な生産手段を構築する。

④販売協力:「石油及びガス分野」並びに「電力分野」において、相互の製品、もしくは共同開発品を、最適な手段により販売する。

⑤サービス協力:相互のメンテナンス機能を活用し、最適なサービス体制を構築する。

 

(4)コミットメントライン契約

契約会社名

契約締結日

契約内容

株式会社三菱UFJ銀行

2018年3月30日

総額5億円のコミットメントライン契約による借入枠の設定

 

(5)株式譲渡契約

 当社は、2021年11月29日開催の取締役会において、当社を完全親会社とし、太陽電業株式会社を完全子会社とする株式譲渡契約の決議を行い、2022年1月4日に、太陽電業株式会社の株式を取得する契約を締結しました。

 詳細は、第5 経理の状況 1 連結財務諸表 (1)連結財務諸表 注記事項(企業結合等関係)に記載のとおりであります。

 

5【研究開発活動】

当社グループの研究開発活動は、顧客との対面活動を含め多角的視野を持ち深層追究する事で、当社グループの目指すバルブ総合エンジニアリングサービスの高付加価値化に繋げていくことを目標にしています。各部門間の情報連携を高め、相乗効果を発揮させると同時に、顧客ニーズの発掘と把握に努め、継続的に顧客ニーズの抽出と新商品アイデアに対する可能性評価を行い、研究開発活動を進めています。

開発時に生じる問題点を研究開発者の相互啓発や関連部門との連携により解決すると同時に、そのプロセスから得た新たな技術を生かし、次の研究開発テーマが生まれるという好循環による発展を目指しています。

当社グループの研究開発体制は、大きくは二つに別れ、各部門で日常的に発生する固有の問題点、例えば、DX(デジタルトランスフォーメーション)による生産効率の改善やメンテナンス方法に関する開発等はそれぞれの部門主体で実施し、課題や研究資源が新商品や新事業に対し直接繋がる様な活動については技術部が主体となって実施しています。

なお、これらの成果は、主体となる部門から必要に応じ関連各部門にフィードバックし、研究開発の効率が低下しないようフォローできる体制としています。

更に、研究開発が大きく現実の課題と乖離することがない様に、また喫緊の課題に適切な優先順位をつけてタイムリーに確実に対応していくため、経営と研究開発活動の連携を常に意識し、経営から出された課題・問題点を迅速且つ確実に解決・具体化出来る様に選択と集中による資源の有効活用を意識しながら取組んでいます。

以上の結果、当連結会計年度における研究開発費の総額は、217,665千円となっております。

 

 各セグメントにおける主な研究開発の内容は、次のとおりであります。

 

 (バルブ事業)

 1.原子力新型炉用バルブの開発

 2.水素関連バルブの開発

 3.配管内研磨機の開発

 4.手動弁取付け用デジタル開度計の開発

 5.廃炉金属切断装置

 6.弁座交換装置の開発

  これらバルブ事業に係る研究開発費は、217,665千円であります。