当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、真空技術をキーテクノロジーとして電子部品用薄膜形成装置を開発・製造し、電子部品・光学部品メーカに販売しております。
当社グループを取り巻く経営環境を見ると、短期的には、世界経済の回復の遅れなどによりスマートフォンをはじめとするデジタル製品の出荷が低調に推移し、電子部品メーカの設備投資は慎重な姿勢が続くと予想されます。一方で、中長期的には、高度情報化社会の実現に向けた5G普及、自動車等の自動運転技術向上、IoT社会進展、AI技術進化などに欠かせない無線通信やセンサー等に係るデバイス需要の増加が見込まれます。これらを背景に、電子部品メーカによる次世代製品開発の動きは継続し、このような新しい技術や価値を創造する流れは、当社グループのキーテクノロジーである真空技術の応用範囲拡大につながるものであります。
こうした中、依頼実験やサンプル成膜依頼への対応力を強化し、また、顧客との共創を通じた新技術の開発を進めることなどにより、経営方針である「成長するニッチ市場にフォーカス」、「技術力による差別化と独自性の発揮」を実現し、水晶デバイス市場及び光学部品市場での競争力を高めるとともに、両市場に続く新しい市場の開拓を進めることで業績安定を目指してまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は以下のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
<サステナビリティ基本方針>
当社グループは、社会と共に持続可能な発展を遂げるため、経営理念の一つである、「我々の存在が世の中を豊かにするためにお役に立つこと」を実践し、キーテクノロジーである「真空技術」を通じて社会に貢献し、社会から必要とされ続ける企業であることを目指してまいります。
<当社グループが重要課題(マテリアリティ)として掲げる取組>
(1) ガバナンス
当社は、執行役員及び社長が指名する役職員で構成される経営会議において、気候関連を含めた当社グループのリスクと機会を特定し、当該特定結果などを基に策定した事業戦略について、取締役会の承認を得て実施しております。
当該事業戦略の進捗状況は、経営会議メンバー及び部署長で構成される部長会において定期的に報告され、経営に関わる重要事項は、経営会議(原則月2回開催)及び取締役会(原則月1回開催)で審議し、経営判断を行っております。
(2) 戦略
① 気候変動
「技術力による社会貢献」をサステナビリティの重要課題の一つとし、「独自技術に基づく製品・サービスの創造」を取組テーマとして、環境・社会の課題解決及び豊かな未来の実現に必要不可欠な電子部品を製造するための真空装置とサービスを提供しております。
環境負荷低減に寄与する製品へのニーズの高まりを新たなビジネスの機会と捉え、当社グループにおいては、生産性の高い装置や低消費電力の装置開発を強化しております。
なお、気候変動に関するリスクと機会及び当社の対応方針は以下のとおりです。
② 人材の多様性の確保を含む人材の育成方針及び社内環境整備に関する方針
当社グループにおける、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針は以下のとおりであります。
a.人材育成方針
当社グループは、真空技術をキーテクノロジーとした電子部品用薄膜装置メーカであり、成長するニッチ市場へフォーカスし、技術力による差別化と独自性を発揮することを経営方針としており、OJTによる技術力及びノウハウの伝承を重視してまいります。また、真空技術に関する基礎知識を修得や真空技術者資格認定のための外部研修受講や役職などに応じて階層別研修を設けるなどOFF-JTも合わせて、社員の自律的なキャリア形成、スキルアップ等のための成長の機会を提供してまいります。
b.社内環境整備方針
多様性を認め、従業員各々の人権と個性を尊重するとともに、従業員一人ひとりが仕事に本気で取り組み、自発的にチャレンジし、人間的成長を実感できるような働きやすい職場環境の創出や、多様な働き方を支援する制度創設などを通じて、多様な人材による魅力ある職場の実現を推進し、自由闊達な組織の維持向上に努めてまいります。
(3) リスク管理
当社グループでは、気候関連を含めた内外に存在するリスクを、経営リスク、財務・信用リスク、情報・システムリスク、コンプライアンス・リスク、オペレーション・リスク、災害リスクに大別して定義し、代表取締役執行役員社長を委員長、各本部内各部署長をメンバーとして、年2回(その他必要に応じて随時)開催される、リスク・コンプライアンス委員会リスク対策部会において、企業集団として管理すべきリスクの識別・評価、回避・軽減策の具体化、リスクの変化に対応した全社レベルのリスク管理体制の検討と提言などを行っております。
また、リスクの識別・評価結果を踏まえた事業戦略を実施することで、リスク発生の防止或いは軽減に努めるとともに、発生後の損失の最小化を図っております。
<リスク管理プロセス>

(4) 指標と目標
① 気候変動
当社グループでは、温室効果ガス(以下、「GHG」)排出量削減目標の設定であるSBT(Science Based Targets)の削減レベルを考慮し、Scope1、2について「2030年に2020年比40%削減」、「2050年に実質ゼロ」の目標を設定いたしました。
当社グループ全体のGHG排出量の80%以上を本社相模原工場が占めており、本社相模原工場のGHG排出量の99%はScope2であるため、本社相模原工場で使用する電力を再生可能エネルギーに切替えるなどの取組を行ってまいります。
(単位:t-CO2)

※CO2換算係数は、2023年3月時点で電力などの契約先または国の機関が公表している数値を使用。
② 人材の多様性の確保を含む人材の育成方針及び社内環境整備
当社グループでは、上記「(2) 戦略」において記載した、人材の多様性の確保を含む人材育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、次の指標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は、以下のとおりであります。
なお、当社においては、以下の指標について、関連する指標のデータ管理とともに、具体的な取組が行われているものの、連結グループに属する全ての会社では行われていないため、連結グループにおける記載が困難であります。このため、目標及び実績は提出会社のものを記載しております。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると認識している主要なリスクは以下のとおりであります。ただし、以下に記載された項目以外のリスクが生じた場合においても、当社グループの業績及び財務状況に重要な影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、これらのリスク発生可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の迅速な対応に努めることで、発生後の損失を最小化することを基本方針としております。
なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在入手し得る情報に基づいて当社グループが判断したものであります。
(1) デバイスメーカの設備投資動向等によるリスク
当社グループが製造販売する真空技術応用装置は、水晶デバイス、光学デバイス及び電子部品等を加工するための生産設備であるため、当社グループの業績はこれらデバイスメーカの設備投資動向に影響を受ける傾向にあります。また、デバイスメーカの設備投資は、スマートフォンなどの情報通信機器、デジタル家電等の需要に影響を受ける形となります。近年は最終製品のライフサイクルの短期化傾向が強まっているため、デバイスメーカの設備投資の動向も短期で変動する可能性があります。当社の想定よりも急激な変動が起きた場合、急激な需要増に対応できず受注機会を逸したり、急激な需要減により受注が困難になったり、受注キャンセルが生じる可能性があり、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループとしては、電子部品市場の動向を注視し、デバイスメーカとの良好な関係から得られた情報等に基づき、人員の手配や稼働日数等の調整により需要の変動に合わせた生産能力となるよう機動的な対策を講じております。
(2) 顧客ニーズの高度化、製品の開発に関わるリスク
当社グループの主要な取引先であるデバイスメーカでは、革新的な新製品の開発を適切なタイミングで実施することが重要となっており、技術革新のスピードが加速し、製品のライフサイクルが短期化しています。そのため、デバイスメーカの当社グループ開発装置に対するニーズが高機能化・高精度化・多様化しており、受注案件によっては技術的に相当程度困難を伴う場合があります。市場・製品動向の変化や当社グループの技術を代替し得る技術革新が想定を超えて発生した場合、予期せぬ新技術への対応や開発期間の長期化、開発費用の増大を招き、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、継続して新製品を開発するために、必要な研究開発投資を継続して行っております。顧客の開発活動を強力に支援するため、2019年度には相模原工場内に新たに研究開発棟を建設しました。受注に際しては、技術的な対応可能性及び収益性を勘案し、開発テーマについては、将来の市場、製品及び技術動向や顧客からの要望などに基づき選定し、その実効性と効率性の向上に努めております。
(3) 販売価格の低下によるリスク
電子部品の価格は、厳しい値下げ要請や同業者間の熾烈な競争により、恒常的に低下する傾向にあります。最近ではアジア地域の電子部品メーカの台頭により価格競争はさらに激しさを増しております。そのため、電子部品の開発や生産設備である当社グループの装置に対しても、取引先であるデバイスメーカから装置販売価格の引下げ要求が恒常化しているうえ、競合する他社メーカとの販売競争が激しさを増しています。価格競争の一層の激化により、販売価格の下落を補うコストダウンや売上の拡大が必ずしも実現できず、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
これに対して当社グループは、継続的かつ積極的なコストダウンを推進し、売上の拡大や収益性の向上に努めております。
(4) 資材の調達に関わるリスク
当社グループは、生産財を全て社外から調達しているため、原材料の価格上昇に伴う仕入価格の上昇や需給逼迫、自然災害等に起因する生産財の調達難による生産への影響があります。また、装置の品質への影響としては、加工業者の加工能力が挙げられます。想定を超える急激な原材料価格の高騰や生産財の供給悪化が発生した場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
これに対して当社グループは、仕入先との情報共有、重要資材について政策的な在庫確保、仕入先の分散化などを実施することで安定的な供給確保に努めております。また、品質の維持向上のために必要と判断した場合には、仕入先に対する指導を実施しております。
(5) 個別受注・個別仕様によるリスク
近年、スマートフォンをはじめとする情報通信機器やデジタル家電等の最終消費財のライフサイクルが短くなり、セットメーカは在庫圧縮傾向にあります。そのため、当社グループの主要取引先であるデバイスメーカは、セットメーカからの納入リードタイムの短縮要請が強まっており、当社グループに対しても、以前より厳しい納期での引合いとなる傾向が強まってきております。したがって当社グループは、受注金額、製品仕様等の調整・折衝を行っている段階で、受注確度が高いと判断した場合には、材料等の先行手配や見込生産をすることもありますが、最終的には受注に至らない場合もあり、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
これに対して当社グループは、見込生産の判断については、経営会議で慎重な審議をするとともに可能な限りデバイスメーカの意思表示を確認するよう努めております。また、相対的に他の装置へ転用可能性が高い部材から先行手配をするなどリスク軽減に努めております。
(6) 海外事業展開によるリスク
海外での事業展開においては、当該国・地域の政情、為替、税制等の法制度、金融・輸出入に関する諸規制、社会資本の整備状況、その他地域的特殊性及びこれら諸要因の急激な変化の影響を受ける傾向にあります。当社グループは、中国(上海)に子会社が2社あり、主に中国・台湾を中心としたアジアで事業を展開するデバイスメーカに対して装置納入及びアフターサービスを展開しております。近年の中国を中心とした新興国市場が拡大しており、新興国における政治・経済・紛争など急激な変化が起きた場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
これに対して当社グループは、毎月の経営会議で海外子会社の経営状況を把握するとともに、コンサルティング会社からの継続的な情報収集等により、中国の法規制等の動向を注視し必要な対策を講じております。現時点で新たな海外展開の具体的な計画はありませんが、海外展開にあたり、拠点はインフラの整備状況やサプライチェーンをはじめ生産コストや採算性等を総合的に判断して配置することとしております。特に新興国への進出ではそのリスクを慎重に検討した上で判断することとしております。
(7) 知的財産権によるリスク
当社グループは、真空技術を応用した薄膜形成装置の製造に関する特許を保有し、積極的に新規権利獲得に努めています。特に技術革新の著しい電子部品業界向けの生産設備であるため知的財産権は重要な経営資源の一つであり、知的財産権の保護、知的財産権にからむ紛争の回避は重要な経営課題であります。しかし、当社グループの知的財産権が第三者により無効とされる可能性、特定の地域で十分な保護が得られない可能性や知的財産権の対象が模倣される可能性もあります。このような場合、当社グループの事業活動に重大な影響を及ぼす可能性があります。
また、結果として第三者の特許を侵害するに至った場合やその他知的財産権に係る紛争が発生した場合には、当社グループの製品の生産・販売が制約を受けたり、損害賠償等の支払が発生することで当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
これに対して当社グループは、製品等の開発、製造、販売その他事業活動によって、第三者の知的財産権を侵害しないよう予め調査を行うとともに、継続的に他社特許出願・許諾状況をモニタリングし、リスクの回避に努めております。
(8) 外国為替変動によるリスク
当社グループの海外売上比率は約70%と比較的高く、海外にも子会社を有していることから、生産・販売活動が為替変動の影響を受けます。為替変動は、当社グループの外貨建取引から発生する収益・費用及び資産・負債の円換算額を変動させ、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、為替変動リスクを軽減させるため、原則として円建取引をしております。例外的に外貨建取引を行う場合には、為替変動を販売価格に反映させるよう努めております。
(9)災害・感染症等によるリスク
当社グループは、事業所所在地における災害の発生や感染症の流行等により、操業を停止する可能性があります。製造業の基本である安全と工場災害防止に注力していますが、想定を超える事態が発生した場合には、建物や設備の倒壊・破損による損害や感染症等による生産の中断等が発生した場合、顧客への納品が遅延すること等により、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、災害対策規程を整備して事態発生に備えるとともに、従業員の安全確保を第一にしつつ、災害や感染症の未然防止、早期復旧、取引先との良好な関係の構築に努め、リスク分散に取り組んでおります。
なお、2020年年初より顕在化した新型コロナウイルスの感染拡大における当社グループへの具体的な影響としては、海外渡航制限や日本を含む各国の入国制限などが実施されたことで、物流の停滞による資材調達の遅延発生や顧客の海外工場へ出張ができないことで装置の立ち上げ作業ができないことなどにより、生産計画の遅れという形で表れましたが、衛生管理の徹底や、時差出勤・在宅勤務等の実施による感染防止、中国子会社社員による日本からのリモート支援による装置立ち上げなどの取り組みにより、影響軽減に努めております。
(10)情報セキュリティに関するリスク
当社グループは、事業活動を通じて、生産技術、研究開発、調達、販売等に関する個人情報を含む機密情報を入手・保有しており、これらを情報システム上で管理しております。災害やサイバー攻撃等外的要因や人為的要因等により、障害等が生じると、重要な業務やサービスの停止、機密情報・データや個人情報の盗取や漏洩等のインシデントを引き起こし、事業活動の継続に支障をきたす等、当社グループ業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
これに対して当社グループは、情報システムのハード面・ソフト面を含めた適切なセキュリティ対策を講じるとともに、社員の情報リテラシー向上のための教育・啓発を継続的に行っております。
(11)環境規制・気候変動に関するリスク
地球環境保全や気候変動対策は世界的な社会課題の一つであり、環境関連法令・規則や規制が将来さらに厳しくなる可能性や適用の範囲が拡大される可能性があります。これに対応するため当社グループに追加的な義務やコストが発生する可能性があります。また、対応不足や遅れにより、想定外の急速な脱炭素社会への移行に対応できないことで企業ブランドの低下を招くなど、当社グループ業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
これに対して当社グループは、ISO14001の国際規格に基づいた環境マネジメントシステムの運用等を通じて法令・規則や規制等を遵守するとともに、環境負荷の少ない製品開発、製造工程における省エネルギー・省資源に取り組んでおります。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態の状況
当連結会計年度における総資産は、前連結会計年度末に比べ19億30百万円減少し、154億67百万円となりました。
(資産)
流動資産は、前連結会計年度末に比べ18億12百万円減少し、115億76百万円になりました。これは主に原材料及び貯蔵品が2億69百万円増加したものの、売掛金が11億62百万円、仕掛品が6億84百万円、現金及び預金が2億60百万円減少したことによるものです。
固定資産は、前連結会計年度末に比べ1億17百万円減少し、38億91百万円になりました。これは主に建設仮勘定が49百万円、繰延税金資産が42百万円減少したことによるものです。
(負債)
流動負債は、前連結会計年度末に比べ24億42百万円減少し、29億34百万円になりました。これは主に前受金が8億90百万円、支払手形及び買掛金が6億36百万円、電子記録債務が5億71百万円、未払法人税等が2億78百万円、賞与引当金が1億9百万円減少したことによるものです。
固定負債は前連結会計年度末に比べ49百万円増加し、10億14百万円になりました。これは主に退職給付に係る負債が35百万円増加したことによるものです。
(純資産)
純資産は、前連結会計年度末に比べ4億62百万円増加し、115億19百万円になりました。これは主に利益剰余金が4億6百万円増加したことによるものです。
② 経営成績の状況
当連結会計年度における世界経済は、ロシアによるウクライナ侵攻に起因する資源・原材料価格高騰、半導体等の資機材供給面での制約、各国のインフレ抑制に向けた金融引き締め、過度なゼロコロナ政策による中国経済の成長鈍化などにより、各国で景気後退リスクが上昇しました。
わが国経済は、新型コロナウイルス感染症(以下、「感染症」という。)の影響が縮小傾向となり、ウィズコロナの下で各種政策効果もあり、景気は持ち直しの動きが継続しましたが、資源・原材料価格高騰や急激な円安などの影響を受けた物価上昇など、先行き不透明な状況で推移しました。
当社グループを取り巻く経営環境を見ると、ビッグデータ活用やAI技術進化などによる高度情報化社会の実現に向けた様々なソリューションの創造や技術革新を背景に、電子部品業界の次世代製品開発への取り組みは継続しましたが、世界のスマートフォン出荷台数が前年比減少していることなどを受け、主要取引先電子部品メーカの設備投資は低調に推移しました。
こうした環境の中、当社グループは、主要取引先電子部品メーカなどとの共創による次世代戦略装置開発を継続するとともに、多品種個別受注生産方式である事業特性を活かした新規先電子部品メーカなどへの拡販活動を強化しました。また、生産性やメンテナンス性を向上させた光学用装置やコンポーネントを市場投入するなど、省エネ性能や省資源性能が高い製品開発にも注力しました。
生産面では、受注予定案件を見据えた生産体制を整えるなど効率的な生産に努めましたが、資機材供給制約継続の影響などによる当社製品納期の長期化、顧客事情による納品スケジュールの後倒しが年度を通じて発生しました。
損益面では、案件ごとの利益率向上を意識した営業や生産活動、装置標準化(仕様共通化、製造工程標準化)や品質管理体制強化による初期不良抑制、継続的な経費削減に取り組み、利益確保に努めました。
この結果、当連結会計年度の業績は、受注高は79億78百万円(前年同期比35.4%減)、売上高は101億27百万円(同15.3%減)となりました。
損益につきましては、経常利益10億77百万円(前年同期比36.6%減)、親会社株主に帰属する当期純利益7億79百万円(同37.1%減)となりました。
セグメント別の状況は次のとおりであります。
①真空技術応用装置事業
真空技術応用装置事業の受注高は56億99百万円(前年同期比45.2%減)、売上高は78億48百万円(同21.7%減)、セグメント利益は14億75百万円(同39.8%減)となりました。
業界別の状況は以下のとおりです。
(水晶デバイス装置)
水晶デバイス業界では、世界のスマートフォン出荷台数減少などによりデバイスメーカの設備稼働率が低下、移動体通信向けなどの増産設備投資は年度を通じて低調に推移しました。売上に関しては、顧客の工場建設遅延、設備導入計画変更などにより納品スケジュールが後倒しとなる案件がありました。
水晶デバイス装置の受注高は14億69百万円(前年同期比71.5%減)、売上高は25億37百万円(同56.8%減)となりました。
(光学装置)
光学業界では、最終製品の出荷が低調に推移している中、スマートフォンのカメラ性能向上やメタバース市場拡大などを見越した投資ニーズ及び車載関連光学分野などに対する営業活動を積極的に行いました。
光学装置の受注高は24億61百万円(前年同期比30.0%減)、売上高は35億50百万円(同23.3%増)となりました。
(電子部品装置・その他装置)
電子部品業界では、新規市場開拓を積極的に行うとともに、次世代デバイス開発などを含めたサンプル成膜依頼や共同開発に取り組むことで、医療をはじめ様々な分野に係る装置の受注を獲得しました。
電子部品装置・その他装置の受注高は17億68百万円(前年同期比1.9%増)、売上高は17億60百万円(同38.9%増)となりました。
②サービス事業
サービス事業につきましては、ユーザーに対する定期的な稼働状況確認による潜在ニーズの掘り起こしや顧客への生産性向上提案推進により、装置の改造・修理や消耗品の販売に努めましたが、デバイスメーカの設備稼働率低下により消耗品需要が低迷しました。一方で、光学デバイスメーカの生産用途変更及び生産性向上ニーズへの対応に係る大口改造工事を売上計上しました。
サービス事業の売上高は22億79百万円(前年同期比17.5%増)、セグメント利益は6億19百万円(同56.9%増)となりました。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ2億63百万円減少し、47億48百万円になりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動による資金獲得は2億11百万円(前年同期86.5%増)となりました。これは主に仕入債務の減少額12億30百万円、前受金の減少額8億90百万円、法人税等の支払額5億30百万円、賞与引当金の減少額1億9百万円などによる使用があったものの、売上債権の減少額10億86百万円、税金等調整前当期純利益10億83百万円、棚卸資産の減少額4億18百万円、減価償却費2億82百万円などによる獲得があったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動による資金支出は1億69百万円(前年同期比15.8%減)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出1億68百万円などがあったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動による資金支出は3億82百万円(前年同期比10.1%増)となりました。これは主に、配当金の支払額3億72百万円などの支出があったことによるものです。
④ 生産、受注及び販売の実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 上記の金額は販売価格によっております。
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる可能性があります。
当社グループが連結財務諸表作成に際して採用している重要な会計方針及び重要な会計上の見積りは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)及び(重要な会計上の見積り)」をご参照ください。
a.経営成績等
「(1) 経営成績等の状況の概要 ② 経営成績の状況」をご参照ください。
b.キャッシュ・フローの状況の分析
「(1) 経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
c.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」をご参照下さい。
d.資本の財源及び資金の流動性
当社グループの事業活動における資金需要は、運転資金需要と設備資金需要があります。運転資金需要は、原材料等の仕入、販売費及び一般管理費等の営業費用等があります。設備投資資金需要は、機械装置等の取得等であります。これらの運転資金及び設備資金につきましては、内部資金、金融機関からの借入及び社債発行により調達を行っております。
(1) 当社が技術援助等を与えている契約
(注) 対価として一定料率のロイヤリティーを受け取っております。
(2) その他
(注) 1.契約期間:1999年4月1日から2004年3月31日まで以後5年毎に自動継続
2.契約期間:1999年4月1日から2004年3月31日まで以後5年毎に自動継続
3.当社は商標使用料として売上総額(株式会社アルバック及びそのグループからの仕入高相当額を除く)の一定率を支払っております。
当社グループは真空技術をベースに、メカトロニクス・薄膜形成技術等の先端技術により、特に情報通信分野に適合した新製品の開発に注力するとともに、真空技術を要するマーケット動向を踏まえた要素技術、プロセス及び装置の開発を強化しております。また、お客様からの問い合わせに基づく依頼実験を多数、かつ迅速に行うため、研究開発用装置を新たに導入いたしました。これらの設備と蓄積してきた技術力を活かし、多くのお客様と共同開発に取り組み、着実に成果をあげております。
2018年より、大学と共同研究開発に取り組んでまいりましたホール加速型イオンソースが完成し、2022年度から販売を開始いたしました。本イオンソースは、従来型に比べてコンパクトで高出力、かつグリッドレスにより低コストを実現するとともに、使用時の廃棄物削減にも寄与する製品となっております。また、光学薄膜形成装置Sapioシリーズにおいては、従来比約60%の電力使用量で同数のデバイス生産が可能となる装置の販売を開始するなど、環境に配慮した製品開発にも取り組みました。
当連結会計年度における研究開発活動は次のとおりであります。
水晶デバイス装置
5G、IoT、DXといったデジタル化の波に伴い水晶デバイスの需要は依然として高まり、更なる極小化と高周波化そして個々のデバイスに対するトレーサビリティが求められています。これらに対応するため、従来とは異なるプロセス開発に取り組むとともに、新市場にも対応しております。
また、AI技術を取り入れた制御技術開発にも継続して取り組んでおります。
光学装置
メタバースに代表される仮想空間サービスの進展に伴い、スマートフォンやVR/AR機器に搭載されるオプトデバイスは高機能・高性能化が要求されています。お客様のニーズにマッチした高性能な光学薄膜形成装置を開発するため、新たな要素技術開発を行っております。
また、ホール加速型イオンソースを用いた、新たなプロセス開発にも取り組んでおります。
電子部品・その他装置
タブレット・スマートフォン等の移動体通信機器に用いられるSAW・BAWフィルター生産ラインの効率化を目指した電極形成用蒸着装置、アッシング装置、トリミング装置の開発を継続しております。
また、電子部品の更なる高性能化・高精度化などに伴う装置開発ニーズを、依頼実験などを通じて取り込み、量産用装置の開発販売につなげております。
当連結会計年度における研究開発費の総額は、