文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において、当社が判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社の経営理念は、兼松エンジニアリング精神「私達は、自社製品の公共性を自覚し、技術を通じ、社会の繁栄に奉仕します。」、「私達は、社会のニーズに応ずるため、技術の練磨と研究開発に努力します。」、「私達は、お互ひに切瑳琢磨し、人間性の向上につとめ、常に前進を目指し、いつもなにかを考えます。」、基本理念「企業は、従業員を育てなければならない。」、「従業員は、企業を繁栄させなければならない。」、「企業と従業員は、社会に貢献せねばならない。」としております。また、エンジニアリング、技術主体の企業でありたいという思いから「技術の兼松」をスローガンに、技術中心の会社運営を行っております。
(2)目標とする経営指標
当社は事業の発展、株主に対する安定配当の継続等を重視した経営を目指しております。そのため、売上高経常利益率及び自己資本当期純利益率(ROE)の向上と配当性向35%を目標として努めてまいります。
(3)中長期的な会社の経営戦略
当社は創業以来、環境整備機器、特に産業廃棄物処理機器の開発・設計・製造・販売を行ってまいりました。
お客様の要望を徹底的に追求した製品作りの姿勢及びそれを可能にする技術力と個別受注生産体制によりお客様からの高い評価を頂いております。
しかしながら、企業を取り巻く環境は常に大きく変化しております。
当社を取り巻く業界や市場の動向は、社会インフラ整備という安定的な需要はあるものの、国内需要が中心であります。また、強力吸引作業車・高圧洗浄車は国内で既に高いシェアを占めており、今後の販売に大きな伸びが期待できないため、製品と市場の幅を更に拡げることが不可欠であるとともに、海外市場に注力する必要があることも認識しております。
当社製品は災害復旧や社会インフラの維持管理に欠かせないことから、環境整備機器メーカーとしての社会的(供給)責任を果たすための生産体制を構築する必要があることも認識しております。
(4)経営成績に重要な影響を与える要因
① 産業廃棄物に関する法規制の動向
既存製品の販売、新製品の開発方針に大きな影響を及ぼします。
② 原材料・資材の価格変動
原材料・資材の大幅な価格変動は、損益に大きな影響を及ぼします。
③ ディーゼル車の排出ガス規制
順次強化されていく全国的な排出ガス規制では、買替需要が期待されます。
④ 東南アジア諸国の環境施策とODA
各国の環境への関心の高まりとともに、環境整備機器への関心が高まればビジネスチャンスとなります。同時に、日本国のODAによる機器の供給が多くなれば同様であります。
(5)会社の対処すべき課題
2023年3月期から2025年3月期までの3年間にわたる中期経営計画では、スローガン「変革」のもと、技術力や対応力、お客様や様々な取引先との親密な関係性など、古くから大切にしてきた当社の良さを再認識した上で、新たに得られる生産基盤や技術・情報など時流に応じたものを取り入れて、新たな良さを加えつつ更に進化させていくため、以下の課題に取り組んでまいります。
[顧客志向]
お客様を知り、お客様の求めるものを正確に把握し、相互理解を深めて期待を超える成果を提供します。
[人材]
働き甲斐のある職場とワークライフバランスを実現します。
[品質]
自工程と次工程に責任を持ち、高品質を追求します。
[効率]
新生産体制確立と新基幹システム活用で生産性を高め、収益力を向上させます。
[企業価値]
SDGsへの取り組みにより、社会に貢献します。
当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
(1)サステナビリティに関する考え方
当社は、強力吸引作業車及び高圧洗浄車を主力とする環境整備機器メーカーであります。
当社のサステナビリティに対する考え方は、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (1) 会社の経営の基本方針」に記載のとおり「兼松エンジニアリング精神」及び「基本理念」として具体化されております。
この考え方に基づき事業を行っており、当社の持続的な成長が社会の持続的な発展に貢献するものと考えております。
(2)ガバナンス及びリスク管理
当社は、中期経営計画において「社会の変化に柔軟に対応し、新たな事業基盤を整備する事で、K&Eブランドと働き甲斐を高め企業価値の向上を図る。」を中期経営ビジョンに策定いたしました。
サステナビリティにかかる具体的内容としては、①環境面へ配慮したEV車両への架装など新技術への挑戦、②新人事制度導入による公正・透明性のある評価により成長に繋がる人材育成及び働き甲斐のある職場とワークライフバランスの実現が挙げられます。
新技術への挑戦に関しては執行役員がリーダーとなり、プロジェクト活動を推進しております。プロジェクト全体会において常勤取締役・監査役が参加し、意思決定に関しての意見を反映しております。
リスク管理につきましては、
(3)戦略、指標及び目標
①環境面へ配慮したEV車両への架装についての方針
自動車のパワートレインの方向性、特に商用車の脱炭素化はカーボンニュートラル実現を左右する、重要な鍵となっております。走行時だけでなく、大きな動力を要する作業車においては、バッテリーEV、燃料電池、水素電池など実用化されるパワートレインに対応していく必要があります。2023年度は、主力製品である強力吸引作業車のトップメーカーとして、日本初のEV吸引車を完成致しました。市販化には至らないコンセプトモデルではありますが、実用化に向けた研究開発や、代替動力に関する情報収集を継続し、カーボンニュートラルへ挑戦してまいります。
②人材の多様性確保を含む人材育成に関する方針及び社内環境の整備
(a)人材育成方針
当社の経営理念を実践するためには、人材の採用及び人材育成による技能の継承が、事業継続の最重要課題となっております。加えて、当社が本社を置く高知県は、全国の中でも人口減少及び高齢化が進んでいるため、人的資本への投資の重要性は更に高まっております。
人材戦略につきましては、常勤取締役及び執行役員をメンバーとして、人事部を事務局とする会議体で、基本方針等を策定するとともに、取締役会で具体的な課題や施策(重要な組織の新設・改編、主要ポジションの任免、人員・人件費に関する計画及び人事施策の新設・改廃等)に関する検討と決裁及び進捗状況の共有を行っております。
「人材」は、中期経営計画の重点実施事項のひとつとして掲げており、「働き甲斐のある職場づくりとワークライフバランスの実現」を目標としております。施策である社内環境の整備としては、1)新人事制度の構築、2)スキルマップの整備と社内ローテーション制度による人材育成及び3)ワークライフバランスを重視した働き方の実践に取り組んでおります。
(b)社内環境の整備
1)新人事制度の構築
2022年4月より、管理部門担当役員をトップとする人事制度改革事務局を立ち上げ、「従業員満足度調査」「社内ヒアリング」等により当社の課題を抽出し、「人事制度改革の方向性(社員育成を効果的に進めることで、“人財”の面での経営基盤の確立を目指す)」を決定し、2024年4月からの新人事制度運用開始を目途に制度設計を進めた結果、新人事制度の構築は、2023年9月に完了しました。その後、新人事制度社内説明会と考課者研修の実施、新人事システムの導入及び規程整備を進め、2024年4月1日より新人事制度がスタートする運びとなりました。
<新人事制度の概要>
〔主眼〕役割に応じた評価及び処遇を明らかにし、会社と従業員、双方の成長を促す制度
・等級制度
キャリアステップの段階に応じて必要な能力や担うべき職務、役割を明示
管理職の役職と等級を連動
・評価制度
等級に応じた評価基準を設定
評価プロセス(目標設定・評価・フィードバック)の徹底により人財育成を促進
・報酬制度
等級に応じた賃金テーブルを設計
個人の貢献度や成長を賞与や昇給にメリハリを持って反映
2)スキルマップの整備と社内ローテーション制度による人財育成
新人事制度では、各等級に求められる資格・研修を明示しており、それと紐づける形で教育体系(全社共通、部門別)の整備を進めております。各部門で求められるスキルについては、部門別の教育体系で習得させる仕組みとしております。
社内ローテーション制度は、部門間の交流と自部門の業務に関連する業務知識の習得による人財育成を目的として定められた制度であり、2024年度においては2名が利用予定であります。
3)ワークライフバランスを重視した働き方の実践
ワークライフバランスの実現は、従業員の満足度を高め、当社の業績向上に繋がるとの考えのもと、以下に取り組んでおります。
・有給休暇1回以上/月の取得
・従業員向けES(満足度)調査の継続実施による実態把握
・男性労働者の育児休業取得環境整備
・健康経営の推進(「健康経営優良法人2024(中小規模法人部門)」認定)
・アンコンシャスバイアスのセミナー開催
・女性職位者割合の引き上げ
上記施策により、多様な人財が各々の能力を発揮できる働き甲斐のある職場づくりとワークライフバランスを実現してまいります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
(1) 会社がとっている特有の生産体制
当社は、製品の生産に当たり受注生産を原則としております。従いまして、見込・大量生産品との競合では納期・価格面で不利になることがあります。また、原材料の大量発注ができないため、値上がり等への対応が困難であります。
(2) 会社がとっている特有の仕入形態
当社製品の短納期対応を図るため、シャシについては、販売先から注文書を入手する(受注)前に、当社の需要予測に基づき先行手配している車種があります。販売方法の多様化(短納期での納車を希望されるお客様向け)を図っておりますが、このシャシが受注に至らず未使用となった場合には、長期在庫となる可能性があります。
(3) 特定の仕入先からの仕入の集中
当社製品、強力吸引作業車に使用している吸引用ポンプは当社独自の仕様のポンプとするため、その大部分を特定のメーカーに発注しております。
(4) 特定の部品の供給体制
シャシや主要部品等の供給元企業が、災害等の事由により当社の必要とする数量の部品等を予定通り供給できない場合が想定されます。新規取引先の開拓を継続的に行っておりますが、生産遅延、販売機会損失等が発生し、当社の業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、災害以外にも、供給者側のシャシモデル変更等による一時的な供給体制の崩れが、前記同様の結果を惹起する可能性があります。
(5) 外注先の事業状況
当社では、製品の部品製作を高知県内の外注先に委託しております。しかし、外注先では従業員の高齢化、若者の就業減少が進んでおり、事業の継続に懸念を感じる所も現れております。
また、品質向上のための設備投資等も充分に進まず、県外発注を重視する生産体制への移行も考慮する必要があります。
(6) 自然災害のリスク
高知県では近い将来、土佐湾沖にて発生すると言われる南海トラフ地震が懸念されております。BCP(事業継続計画)の策定・運用を通じて、被害の低減等の方策をしておりますが、実際に発生した場合には、生産設備の被害による販売への影響、修復のための多額の損失が生ずる可能性があります。
高台にある高知中央産業団地内の工場「テクノベース」の稼働により、上記リスクの軽減を図っております。また、主要協力会社2社も高知中央産業団地内へ移転し、(4)特定の部品の供給体制のリスクについても軽減を図っております。
(7) 感染症のリスク
当社は、感染症発生に備え、早期復旧を図るために必要な対策・手順について計画を立て、危機管理の徹底に取り組んでおります。しかしながら、感染症の全てのリスクを回避することは困難で、当社の想定を超える規模での発生も考えられます。このような場合、事業活動が縮小されるなど、経営成績及び財務状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。
(8) 海外取引
当社での海外向け販売は、ODAによるものが主でありますが、直接取引の引き合いも増加しつつあります。為替の変動、外国企業への与信、製品の模倣(知的所有権の侵害)等海外取引でのリスクが大きくなります。
(9) 中国市場において、製品や技術が模倣されるリスク
中国市場における活動展開の過程で、「製品の模倣品出現」や「製品の使用技術が模倣される」リスクがあります。そのような権利侵害の事態に至った場合には、技術移転先である重慶耐徳山花特種車有限責任公司(中国)と協力し、必要な防御手段を講じてまいります。
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
当事業年度における我が国経済は、コロナ禍の収束の動きが強まり、個人消費や円安効果によるインバウンド需要の拡大や半導体関連の設備投資需要による生産の持ち直しの動きがみられましたが、物価高や能登半島地震の影響のほか、自動車メーカーの不正問題などが幅広い業種にマイナスの影響を及ぼしました。他方、都市開発などは景気を下支えしたほか、日経平均株価など金融市場の安定も好材料となり、景気は緩やかに回復しております。
かかる状況下、期初の見込み通りシャシの入庫が進んだことにより、大型機種の販売は増加となりました。一方、費用面では部材高騰の影響に加えて、前事業年度より利用開始した基幹システムの償却負担、同じく前事業年度に従業員に対して付与した譲渡制限付株式の費用化及び前事業年度には補助金収入が計上されていたこともあり、増収・減益の結果となりました。
また、足元の受注環境は引き続き好調であり、受注残高は、前事業年度を上回る高水準で推移しております。
経営成績につきましては、前事業年度に比べ受注高は1,733百万円増の14,393百万円(前期比13.7%増)、受注残高は1,989百万円増の10,158百万円(前期比24.4%増)となりました。
売上高は1,068百万円増の12,403百万円(前期比9.4%増)となりました。これは主として高圧洗浄車の売上高が前事業年度に比べ1,027百万円減の1,323百万円となりましたが、強力吸引作業車の売上高が前事業年度に比べ1,448百万円増の8,590百万円、粉粒体吸引・圧送車の売上高が前事業年度に比べ201百万円増の241百万円及びその他特殊製品等の売上高が前事業年度に比べ383百万円増の1,080百万円となったことによるものであります。
営業利益は99百万円増の808百万円(前期比14.0%増)となりました。売上総利益は147百万円増の2,828百万円(前期比5.5%増)となりましたが、人員増に伴う人件費の増加及び基幹システム稼働に伴う減価償却費の増加により、販売費及び一般管理費が47百万円増の2,019百万円(前期比2.4%増)となったことによるものであります。
経常利益は96百万円増の829百万円(前期比13.2%増)となりました。営業外収益は主に受取賃貸料17百万円によるものであり、営業外費用は主に支払利息4百万円によるものであります。
当期純利益は前事業年度に補助金収入を計上したこともあり、税引前当期純利益は837百万円(前期比23.1%減)となり、税効果会計適用後の法人税等負担額は218百万円(前期比34.6%減)となりました。この結果、当事業年度における当期純利益は135百万円減の618百万円(前期比18.0%減)となりました。
製品の品目別の業績については、次のとおりであります。なお、当社は、環境整備機器関連事業並びにこれらの付帯業務の単一事業であるため、セグメントごとに記載しておりません。
(ア)強力吸引作業車
大型機種の販売増加により、前事業年度を上回る売上高となりました。インフラ整備事業や都市再開発の建設事業、レンタル業などの更新・増車により安定した需要を維持しており、前事業年度を上回る受注高及び受注残高となりました。
業績につきましては、前事業年度に比べ受注高は1,859百万円増の10,473百万円(前期比21.6%増)、売上高は1,448百万円増の8,590百万円(前期比20.3%増)、受注残高は1,883百万円増の8,342百万円(前期比29.2%増)となりました。
(イ)高圧洗浄車
下水道関係のインフラ整備事業の更新・増車の需要は引き続き安定しており、前事業年度を上回る受注残高となりました。売上高及び受注高は前事業年度を下回る結果となりましたが、下水道関係のインフラ整備事業の需要は維持しております。
業績につきましては、前事業年度に比べ受注高は317百万円減の1,692百万円(前期比15.8%減)、売上高は1,027百万円減の1,323百万円(前期比43.7%減)、受注残高は368百万円増の1,267百万円(前期比41.0%増)となりました。
(ウ)粉粒体吸引・圧送車
前事業年度は1台、当事業年度は5台の売上となりました。工場関係向けの需要は、製品原料の輸送や作業環境維持といった目的で継続しております。
業績につきましては、前事業年度に比べ受注高は175百万円増の221百万円(前期比380.9%増)、売上高は201百万円増の241百万円(前期比508.3%増)、受注残高は20百万円減の176百万円(前期比10.3%減)となりました。
(エ)部品売上
部品は高水準で堅調に販売しており、受注高・売上高ともに前事業年度に比べ61百万円増の1,168百万円(前期比5.6%増)となりました。
(オ)その他
その他は上記に属さない製品、中古品の販売及び修理改造等であります。当事業年度は、「トンネル壁面清掃車」及び柑橘類果皮から精油抽出等の「マイクロ波抽出装置」等特殊製品の売上を計上しております。
業績につきましては、前事業年度に比べ受注高は45百万円減の838百万円(前期比5.1%減)、売上高は383百万円増の1,080百万円(前期比55.0%増)、受注残高は241百万円減の372百万円(前期比39.4%減)となりました。
財政状態につきましては、総資産は、前事業年度末に比べ371百万円減少し、13,383百万円となりました。これは主に、売上債権の増加502百万円及びシャシの入庫状況改善に伴う棚卸資産の増加489百万円はありましたが、現金及び預金の減少877百万円、有形固定資産の減少226百万円、補助金収入減少に伴う未収入金の減少201百万円、無形固定資産の減少52百万円及び前払費用の減少25百万円によるものであります。
負債は、前事業年度末に比べ725百万円減少し、6,741百万円となりました。これは主に、契約負債の増加238百万円はありましたが、借入金の減少349百万円、未払法人税等の減少293百万円、未払消費税等の減少241百万円及び引当金の減少67百万円によるものであります。
純資産は、前事業年度末に比べ353百万円増加し、6,641百万円となりました。これは主に、剰余金の配当268百万円はありましたが、当期純利益の計上618百万円によるものであります。
当事業年度における現金及び現金同等物は、前事業年度に比べ878百万円減少し、1,092百万円(前期比44.6%減)となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
当事業年度において営業活動の結果使用した資金は、111百万円(前事業年度は得られた資金2,284百万円)となりました。これは主に、税引前当期純利益の計上837百万円、減価償却費の計上427百万円、契約負債の増加238百万円及び補助金の受取額208百万円はありましたが、売上債権の増加502百万円、法人税等の支払額501百万円、棚卸資産の増加489百万円、未払消費税等の減少241百万円及び引当金の減少67百万円があったことによるものであります。
当事業年度において投資活動の結果使用した資金は、前事業年度に比べ184百万円減少し、150百万円(前期比55.0%減)となりました。これは主に、固定資産の取得による支出150百万円によるものであります。
当事業年度において財務活動の結果使用した資金は、前事業年度に比べ74百万円増加し、615百万円(前期比13.8%増)となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出349百万円及び配当金の支払額265百万円によるものであります。
当社は、環境整備機器関連事業並びにこれらの付帯業務の単一事業であるため、セグメントごとに記載しておりません。
当事業年度における生産実績、受注実績及び販売実績を製品の品目ごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 生産高は、販売価格によるとともに、消費税等は含まれておりません。
2 その他は、上記品目に属さない製品、デモ車の生産等が主なものであります。
(注) 1 受注高及び受注残高は、販売価格によるとともに、消費税等は含まれておりません。
2 その他は、上記品目に属さない製品、デモ車・中古車及び修理改造等の受注が主なものであります。
3 受注残高には、翌々事業年度の納入予定金額が含まれております。
(注) 1 販売高には、消費税等は含まれておりません。
2 その他は、上記品目に属さない製品、デモ車・中古車の販売及び修理改造等が主なものであります。
3 主な輸出先及び輸出高並びにその割合等は、輸出高が総販売実績の10%未満であるため、記載を省略しております。
4 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、いずれも総販売実績の10%未満であるため、記載を省略しております。
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社の当事業年度の財政状態及び経営成績の状況については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
当社の経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク (1)から(9)」に記載のとおりであります。
当社の主力製品である強力吸引作業車、高圧洗浄車の主なユーザー市場である、産業廃棄物処理・一般廃棄物処理業界は、その市場規模が今後大きく拡大することは考えづらく、一方で相当の市場シェアを持つ当社にとっては、新製品開発と新市場開拓による売上増を図るとともに更なる効率化の推進による安定利益の確保が経営の課題であります。
新分野としてマイクロ波抽出装置を利用した「バイオマス再資源化装置」の本格的な拡販に努めてまいります。マイクロ波抽出装置では、高機能化評価実験を経て、バイオマス全般分野等様々な用途に向けての市場開拓を進めてまいります。
海外市場においては、引き続き重慶耐徳山花特種車有限責任公司(中国)との強力吸引作業車・高圧洗浄車の技術移転を通じ、中国における新市場の開拓を継続してまいります。また、独立行政法人国際協力機構の委託事業に採択された、インドネシア共和国での下水道維持管理に向けた案件化調査を進めてまいります。
当事業年度においては、全国的なインフラ整備需要は底堅く、目標とする経営指標につきましては、売上高経常利益率は6.7%、自己資本当期純利益率(ROE)は9.6%、配当性向は34.7%となりました。
翌事業年度は、先行き不透明な状況の中、インフラの維持、災害復旧等環境を守る製品の供給を止めることなく、環境整備機器メーカーとしての社会的責任を果たすべく、社会の変化に柔軟に対応し、新たな事業基盤を整備することで、K&Eブランドと働き甲斐を高め企業価値の向上を図るため、顧客志向・人財・品質・効率・企業価値の視点から各種施策に取り組んでまいります。
また、工場「テクノベース」において、生産性の向上と品質の維持のための設備投資を推進するとともに、南海トラフ地震に備えてのBCPの実践を進めてまいります。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社の当事業年度のキャッシュ・フローの状況の分析については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社の主な資金需要は、生産活動に必要な運転資金、販売費及び一般管理費等の営業活動費であり、これらについては現在手許資金で賄える状況であります。
当社の資本の財源及び資金の流動性については、営業活動によるキャッシュ・フロー及び自己資本のほか、金融機関からの借入による資金調達にて対応していくこととしております。また、金融・資本市場の混乱や緊急で資金が必要となる場合に備え、複数の金融機関と当座借越契約を締結し、資金の流動性を確保しております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
財務諸表の作成に当たって用いた重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 (重要な会計方針)」に記載のとおりであります。
(注)契約期間を2022年11月25日から3年間延長しております。
当社における研究開発活動は、「社会のニーズに応ずるため、技術の錬磨と研究開発に努力します。」という当社の経営理念に基づき、環境整備機器業界に関する情報を幅広く収集・分析し、顧客ニーズに応じた製品の研究開発を行うことを基本方針としております。
当事業年度における研究開発費の総額は
当事業年度は、マイクロ波減圧乾燥装置の大量乾燥ニーズに応えるため、技術課題である焦げや乾燥ムラを抑制するマイクロ波照射技術の研究開発を実施いたしました。マイクロ波を加熱対象物へ均一に照射するための新たな機構を処理タンク内に設けることで、トマト・イチゴ・ミカン・酒粕など、さまざまな食品素材を減圧下で均一に低温乾燥させることに成功し、大容量化に欠かせない均一乾燥技術を確立いたしました。翌事業年度は、乾燥装置の大型化に向けた製品開発を進めてまいります。
なお、当事業年度に係る研究開発費は、35百万円であります。
当事業年度は、マイクロ波応用技術の新たな取り組みとして、未利用バイオマス資源の有効活用促進を目的としたマイクロ波炭化技術の研究開発を実施し、パイロット試作機を製作いたしました。本研究開発は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)助成事業に採択され、従来の化石燃料を使う炭化装置に対して低運転コスト・高効率、さらにCO2 排出削減効果や消費エネルギー削減効果が見込める新たな炭化技術として期待されております。翌事業年度も継続して、マイクロ波炭化技術の研究開発を進めてまいります。
なお、当事業年度に係る研究開発費は、54百万円であります。
当事業年度は、前事業年度と同様に、真空予冷装置(小型プロトタイプ)の実証試験を実施いたしました。お客様の協力のもと、袋詰め野菜やカット野菜の冷却性能試験及び日持ち効果試験を行い、お客様に満足していただける真空予冷効果を実証いたしました。これにより、真空予冷装置の研究開発は、当事業年度をもちまして完了いたしました。
なお、当事業年度に係る研究開発費は、4百万円であります。