第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。

(1) 経営方針

当社グループは、年々重要度が高まる海洋石油・ガス開発の分野において、浮体式設備の設計・建造・据付、販売、リース及びオペレーションを中核事業とし、海洋石油・ガス開発プロジェクトに関わるトータルサービスを世界各国の石油開発会社に提供しております。

事業の展開にあたっては次の経営目標を掲げ、21世紀の資源エネルギーを支えるグローバル企業として、幅広く社会に貢献してまいります。

・ 浮体式設備の分野で、世界的に信頼される企業を目指します。

・ 浮体式設備の建造・販売、リース、オペレーション等の営業形態の多様化により、事業ポートフォリオの最適化を図り、当社グループの安定的発展を推進します。

・ 事業領域を拡大し、顧客に対してトータルソリューションを提供します。

・ 上記の企業活動を通じ、海洋開発事業の担い手として広く社会に貢献します。

 

(2) 経営環境等

当連結会計年度におけるわが国経済は、輸出や生産活動が弱含んでいるものの、企業収益の伸長により雇用・所得環境が引続き改善するなど緩やかに回復しました。世界経済は、米中間の通商問題や英国のEU離脱問題等の政治及び経済に対する懸念から先行きに対する不透明感が強まりました。

原油価格については、景気減速による需要の後退が意識される一方で、中東での地政学的リスクの高まりによる供給不安や米中摩擦への懸念が薄らいだこと等によりWTIは年末にかけて上昇し、1バレル60米ドル台で取引を終えました。エネルギー資源の持続的な供給の観点から、石油会社による深海域を中心とした開発は継続的に行われると考えられ、当社グループの主要事業である浮体式海洋石油・ガス生産設備に関する事業は安定的な成長が見込まれています。

 

(3) 経営戦略等

2018年からの3カ年の新たな中期経営計画においては、主要事業であるFPSO/FSOの設計・建造から20年にも及ぶ運転・保守サービスの全期間を通じて、当社グループが社会、顧客、パートナー、当社株主等のステークホルダーに提供する価値(ライフサイクルバリュー)の最大化を図るため「アセットインテグリティ(安定操業を実現する生産設備の設計・建造及び機能の維持)の進化」、「デジタル技術の利用推進」を主要な戦略とし、また、将来に向けた新領域を開発し中長期的な事業ポートフォリオの最適化を図るため「ガスマーケットへの本格参入」、「研究開発投資の継続」を進め、更なる企業価値の向上を目指します。

・アセットインテグリティの進化:
 前中計期間に推進してきた活動を進化させ、マネジメントシステムの変革や、各種データ活用の高度化及び人材開発プログラムの強化等を基盤として、ライフサイクルバリューを志向したKPIマネジメントを行うことによって、さらに高いレベルのアセットインテグリティを実現し、ライフサイクルバリューの最大化を目指します。

・デジタル技術の利用推進:
 累積200年を超える当社グループの運転及び保守サービスで得たノウハウ及びFPSO操業から得るデータ等を高度に活用し、修理・メンテナンスコストの削減と、より安定した生産サービスの提供を追求します。

・ガスマーケットへの本格参入:
 中長期的なエネルギー需要の展望から、今後の天然ガスの需要増加が当社グループにとって大きなビジネスチャンスであると考え、ガスマーケットへの本格参入を進めます。中計期間中にFLNG(Floating LNG Production Unit:浮体式液化天然ガス生産設備)、FSRWP®(Floating Storage, Regasification, Water and Power:浮体式LNG貯蔵再ガス化発電淡水化設備)の事業化を実現し、LNGサプライチェーンへの参入を果たします。

・研究開発投資の継続:
 これまでの活動を継続して進め、当社グループの新たな柱となる事業の開発を目指します。

 

 

(4) 対処すべき課題

①プロジェクト・マネジメントの強化と人材の育成

浮体式海洋石油・ガス生産設備を大規模な海洋油田の開発に利用するプロジェクトは増加しており、FPSO等も大型化する傾向にあります。当社グループは、従来以上の数のプロジェクト獲得を推進し、事業の発展と拡大を図ってまいります。
 FPSO等の設計・建造・据付に関する事業では、設置されるフィールドの多様な海気象条件や受注先である石油開発会社のニーズに応じて、多岐にわたる要素技術を組み合わせて最適化を図ると共に、サブコントラクターといわれる多数の外注先に対して品質、予算、工程及び納期を管理するなど、総合的なマネジメントを徹底することが重要であります。このため、当社グループではプロジェクト・マネジメント力の強化に努めており、特にプロジェクト・マネジャーをはじめとする人材の育成を図ってまいります。

②資金調達の多様化

FPSO等のチャータープロジェクトの増加及び大型化に伴って当社グループの資金需要は拡大しており、当社では、増資や金融機関からの借り入れによる資金調達力の強化に努めております。チャータープロジェクトの遂行に際してプロジェクトファイナンスを活用すると共に、総合商社をはじめとするパートナーとの提携など、資金調達手法についても多様化を進めていく方針であります。

 

 

2 【事業等のリスク】

当社グループの経営成績、株価及び財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 業績の変動要因について

① プロジェクト1件当たりの受注高が多額であること

海洋油田の規模や石油生産量に対応して、浮体式海洋石油・ガス生産設備は大型化する傾向にあります。当社がFPSO等の建造を行う場合の受注額は、最近におきましては1件につき1千億円を超える大規模なものとなっております。
 FPSO等の建造には2年から3年を要しますが、工事進行基準にて計上する売上高は、特定の事業年度に集中することが多くなります。従って、受注または進行中のプロジェクトの販売形態、数、受注規模及びFPSOを保有する事業会社への出資比率によって、当社グループの業績は大きく変動する可能性があります。

② 石油開発会社の開発動向

海洋油田の発見が探査の行われていなかった大水深海域に拡大していることを背景として、浮体式海洋石油・ガス生産設備の稼働数及び発注数は増加してきました。

しかしながら、原油価格が下落すると、石油開発会社は投資を縮小します。石油開発会社はまず探鉱活動に対する投資から縮小するものの、原油価格の低迷が長期化すると新規プロジェクトが遅延するため、当社グループもプロジェクトの受注が一時的に減少するといった影響を受ける可能性があります。

③ 進行中のプロジェクトの中断等によるリスクについて

当社グループが石油開発会社に提供しているFPSO等のリース、チャーター及びオペレーションに関わるサービスは、契約期間も長期にわたっており、安定した収入を期待できる事業であります。
操業を行っている海域における台風等の自然災害や、鉱区を保有する国の政情などによってサービスの提供が中断するリスクについては、客先である石油開発会社との契約において当社グループの免責を明文化することや保険の付保といった手段によって当社グループに損害が及ばないように努めております。
 しかしながら、事前に予期することが困難な事態の発生によってプロジェクトが中断した場合には、当社グループの業績に一時的な影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 為替変動の影響について

当社グループは海外での事業を中心としており、連結売上高に占める海外売上高の割合は2019年12月期においてほぼ100%となっています。

販売先やFPSO等の建造工事に係る仕入先及び外注先など取引先の多くは海外の企業であるため、事業上の取引及び資金収支の大半は米ドルを中心とした外貨によっております。従って、取引やその決済収支において為替変動による影響を直接受けることはありません。

しかしながら、決算上は外貨建ての資産・負債、収益・費用を円貨に換算する割合が大きいため、決算日における為替相場の変動は連結決算上の円貨換算額に影響を与える可能性があります。

 

(2) 財務内容について

FPSO等の浮体式海洋石油・ガス生産設備の建造にあたっては多額の資金を要するほか、これを当社グループが保有して石油開発事業者にリース、チャーターを行う場合は、そのリース、チャーター期間が10年を超えるなど建造資金の回収に長期間を要することになります。
 当社グループはこうした事業資金を主に借入金によって調達しているため、2019年12月末における連結ベースの借入金残高は24,759百万円で、負債純資産合計に占める割合は6.5%となっております。
 当社グループでは金利スワップを用いるなど金利変動リスクの低減に努めておりますが、金利の変動によって当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。
 また、今後もFPSO等に係る新規プロジェクトを開始する場合には、新たに資金調達を行う必要があります。当社グループは、プロジェクトの推進にあたり総合商社をはじめとする事業パートナーとの連携によって資金負担の低減を図るほか、プロジェクトファイナンスの利用によるリスクの遮断も行う方針であります。
 しかしながら、入札にあたって所要資金を十分に調達することが困難であったり、金利等の資金調達条件が悪化した場合には、プロジェクトの受注及び収益性に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) PETROBRAS社による訴訟の提起について

当社グループは、PETROBRAS社より、1997年3月にブラジルのMARITIMA PETROLEOE ENGENHARIA LTDA(MARITIMA社)が受注し、当社が共同受注者として参画したFPSO建造プロジェクトに関する訴訟の提起を2002年12月に受けております。
  訴状によればPETROBRAS社は、MARITIMA社が本プロジェクトに関して外部業者への支払不履行を起こした際、プロジェクトの遅延を懸念してこれらの費用を立て替えて支払ったが、MARITIMA社が費用の返還請求に応じなかったため、同社、同社の子会社であるMARITIMA OVERSEAS,INC.及び共同受注者であった当社に対する返還請求訴訟を提起した、としております。
 2016年3月、リオデジャネイロの民事裁判所は、PETROBRAS社に対し、同社の返還請求を認めないとする判決を言い渡しました。これに対しPETROBRAS社は、同年5月、それを不服として同裁判所に控訴しました。審理は現在も継続中です。
  当社グループは訴訟の対象となっているプロジェクトにおいて所掌業務を問題なく完了しており、問題とされている取引に関与していないこと、また受注に際してMARITIMA社と締結した契約において所掌業務以外の事項に関する当社の免責を確認していること等により、当該訴訟について敗訴の可能性は低く、当社グループには支払義務がないものと認識しております。
  なお、PETROBRAS社による返還請求金額は42,465千米ドル及び資金返還日までの金利相当額であります。

 

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(業績等の概要)

(1) 業績

当連結会計年度の連結業績は、大型チャータープロジェクトの新規受注及び既存プロジェクトの仕様変更並びにオペレーションサービス等により、受注高は635,832百万円(前年比150.7%増)となりました。売上高はFPSO建造工事の進捗により332,644百万円(前年比49.9%増)となりました。

利益面では、メキシコ向けFPSOの建造工事について当初の見積もりを上回った費用に対する引当金を計上したことなどにより、営業損失は4,841百万円(前連結会計年度は営業利益14,928百万円)となりました。利息収入や持分法投資利益を含めた経常利益は294百万円(前年比99.0%減)となりました。また、ブラジルの沖合でチャーターサービスを提供していたFPSOの修繕に要する見積費用を特別損失として計上したことにより、親会社株主に帰属する当期純損失は18,227百万円(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純利益21,891百万円)となりました。

なお、当社グループは、浮体式石油生産設備の建造及びこれに関連する各種サービスを提供する単一の事業を展開しているため、セグメント別の業績等の記載は省略しております。

 

(2) 財政状態について

当連結会計年度末の資産の状況は、主に売掛金の増加により、前連結会計年度末比39,960百万円増加して383,189百万円となりました。

負債は、主に買掛金の増加により、前連結会計年度末比79,408百万円増加して257,823百万円となりました。

純資産は、主に利益剰余金の減少により、前連結会計年度末比39,447百万円減少して125,366百万円となりました。

 

(3) キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物は、投資活動によるキャッシュ・フローが大きく増加したことから、前連結会計年度に比べて1,369百万円増加し、52,142百万円となりました。当連結会計年度のキャッシュ・フローの概況は次のとおりです。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは前連結会計年度に比べて48,441百万円減少し、3,248百万円の支出となりました。これは主に、FPSO等の建造工事にかかる売上債権の回収時期と買掛金の支払時期のバランスによる変動であります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは、主に関係会社への短期貸付金の減少34,658百万円及び長期貸付金の回収による収入2,796百万円により、26,259百万円の収入となりました。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは、主に連結の範囲の変更を伴わない子会社株式の取得による支出により、20,751百万円の支出となりました。

 

 

(生産、受注及び販売の状況)

当社グループは、浮体式石油生産設備の建造及びこれに関連する各種サービスを提供する単一の事業を展開しているため、セグメント別の記載は省略しており、以下の各項目は当社グループ全体の実績を記載しております。

(1) 生産実績

 

 

当連結会計年度
(自 2019年1月1日
 至 2019年12月31日)

金額(百万円)

前年比(%)

当社グループ

237,529

195.7

 

 (注)1 上記の金額は、FPSO、FSO及びTLPの設計・建造・据付並びにその他の工事にかかる完成工事高であります。

2 金額は、販売価格によっております。

3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2) 受注実績

 

 

当連結会計年度
(自 2019年1月1日
 至 2019年12月31日)

受注高(百万円)

前年比(%)

受注残高(百万円)

前年比(%)

当社グループ

635,832

250.7

1,387,053

127.5

 

 (注)1 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

2  上記の他に、持分法適用関連会社の「リース、チャーター及びオペレーション」に関する当社持分相当の受注残高は817,668百万円であります。

 

(3) 販売実績

 

 

当連結会計年度
(自 2019年1月1日
 至 2019年12月31日)

金額(百万円)

前年比(%)

当社グループ

332,644

149.9

 

 (注)1 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

2 最近2連結会計年度における主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

 

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

LIBRA MV31 B.V. 

37,044

16.7

67,681

20.4

SEPIA MV30 B.V. 

46,411

20.9

67,480

20.3

AREA1 MEXICO MV34 B.V.

     -

(注)

(注)

46,010

13.8

TULLOW GHANA LTD.

25,222

11.4

(注)

(注)

 

     (注) 該当年度において売上高の10%未満であるため、記載を省略しております。

 

 

 

(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)

文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)  経営成績に重要な影響を与える要因

① 関係会社への出資比率

FPSO等のリース、チャーター事業推進にあたっては多額の資金を必要とします。当社グループは、各々のプロジェクトごとに総合商社などと合弁で事業会社を設立することにより、資金負担の軽減を図っております。これらの事業会社に対する当社の出資比率は、プロジェクトの規模やリスク許容度等を総合的に勘案した上で決定しており、プロジェクトによって異なります。
 連結財務諸表の作成にあたっては、出資比率などから支配権を有していると判断される関係会社を連結子会社とし、支配権を有しないと判断される関係会社を持分法適用関連会社としております。

事業会社を連結子会社としたプロジェクトでは、FPSO等の建造工事をグループ内取引と認識するため、建造工事が完工し、リース及びチャーターサービスの提供が開始されてから連結損益計算書において損益を認識します。また、連結貸借対照表にはFPSO等の固定資産が計上されます。
 一方、事業会社を持分法適用関連会社としたプロジェクトでは、建造工事期間における損益を工事進行基準によって連結損益計算書に反映させます。ただし、期間損益のうち、当社グループの出資比率に相当する金額はグループ内取引と判断されるため、連結調整によって未実現利益として消去します。建造工事が完工し、リース及びチャーターサービスの提供を開始すると、当該関連会社の損益のうち当社グループの出資比率に相当する金額を、連結損益計算書において持分法による投資損益として計上します。
 以上のとおり、事業会社に対する当社グループの出資比率等により、連結財務諸表への影響は大きく異なっております。

② 未実現損益の消去

プロジェクトの規模が大型化するに従い、リース及びチャータープロジェクトのために設立する事業会社に対する当社グループの出資比率は50%以下に止まり、事業会社は持分法適用関連会社となっております。前述のとおり、こうしたプロジェクトの建造工事期間中は工事進行基準によって連結損益計算書に売上高を計上する一方、期間損益のうち当社グループの出資比率に相当する金額を未実現損益として消去しております。
 消去した未実現損益は、当該関連会社が所有するFPSO等の減価償却期間に応じて実現させ、連結損益計算書に計上しております。
 なお、過去3年間の連結損益計算書において、営業損益に影響を与える未実現損益の消去額、未実現損益の実現額並びに未実現損益残高の推移を示すと下記のとおりです。

(単位:百万円)

 

2017年12月期

2018年12月期

2019年12月期

未実現損益の消去額

3,016

2,706

1,684

未実現損益の実現額

9,304

8,050

477

差引影響額

6,288

5,344

△1,206

未実現損益の残高

11,169

5,824

7,031

 

 

 

(2)  経営成績に関する分析

① 受注の状況

当連結会計年度は、大型チャータープロジェクトの新規受注及び既存プロジェクトの仕様変更並びにオペレーションサービス等により635,832百万円の受注高となりました。受注残高は前年比299,397百万円増加し、1,387,053百万円となりました。また、持分法適用関連会社の「リース、チャーター及びオペレーション」に関する当社持分相当の受注残高は817,668百万円となりました。

 

② 売上高の状況

売上高は、主にFPSO等の建造工事の進捗とチャーター及びオペレーションサービスの提供により332,644百万円となりました。

 

③ 営業損益の状況

営業損益は、FPSO建造工事の引当金が増加したことにより4,841百万円の営業損失となりました。

 

④ 経常損益の状況

経常損益は、持分法による投資利益の計上等により294百万円の経常利益となりました。

 

⑤ 特別損益の状況

特別損益は、固定資産の売却益327百万円と関係会社清算益509百万円の特別利益があったものの、特別修繕費16,690百万円の特別損失がありました。

 

⑥ 親会社株主に帰属する当期純損益の状況

以上の結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純損益は18,227百万円の損失となりました。

 

(3)  キャッシュ・フローの状況

当社グループの資金の源泉は主に営業活動からのキャッシュ・フローと金融機関からの借入としておりますが、FPSO等の建造工事においては、工事代金の回収時期と工事費用の支払時期のずれにより当該建造工事に関わる債権債務が一時的に大きく変動し、営業キャッシュ・フローに大きな影響を与えます。当社グループではこれらの建造工事に関わる債権と債務のバランスを図ることで資金効率の向上に努めております。また、当社と一部の連結子会社は「CMS預貸制度(キャッシュ・マネジメント・システム)」により資金融通を行うことで資金効率を高めております。

 

(4)  財政状態に重要な影響を与える要因

① 建造工事期間における資金負担

FPSO等を客先に売り渡すプロジェクトの場合、建造工事に要する費用は工事の進行度合いに応じて前受金にて回収しているため、当社グループでは運転資金の調達を必要としません。しかしながら、リース及びチャータープロジェクトの場合、当社グループと総合商社等が合弁で設立する事業会社が建造工事の発注者となるため、当社グループには出資比率に相当する建造工事費用の負担が生じます。
 当社グループは、建造工事期間における必要資金(以下、建中資金)を、主に短期借り入れによって当社が調達して関係会社へ貸し付ける方法、ないしは当社の債務保証によって関係会社が借り入れる方法によって調達しております。

② 総リスク額の管理

当社グループでは、大型プロジェクトにおける多額の資金負担と、それに伴うリスクとを軽減するため、リース及びチャータープロジェクトのFPSO等への投資資金についてプロジェクトファイナンスによる調達を行っております。それによって当社の債務保証なしに関係会社が長期資金を調達することが可能となり、プロジェクト個々のリスクを当社から遮断する効果をもたらします。
 当社グループでは、プロジェクトファイナンスを活用すると共に、総合商社などの事業パートナーをプロジェクトに招聘する等の方策により、総リスク額をコントロールして事業を展開する方針であります。

 

 

4 【経営上の重要な契約等】

当社グループの経営上の重要な契約は以下のとおりであります。

契約会社名

相手方の名称

契約期間等

契約内容

当社

三井物産(株)(日本)

① 締結年月日

  2010年2月26日

② 契約期間

  2010年2月26日から
終了合意日まで

戦略的パートナーとして、経営資源、ノウハウ、ブランド、顧客基盤等を相互に活用することによる、FPSO等に関する事業の共同推進

 

 

 

5 【研究開発活動】

当社グループでは、研究開発活動として新規事業分野での既存技術活用による開発、及びFPSO運用上の課題を解決するための開発を行っております。
 新規事業分野としては、洋上風力発電事業を当社の新たな事業分野とするべく、当社の浮体設備や係留技術の強みを生かした当社独自の浮体・係留システムの開発を進めております。この他、当社グループがこれまでに蓄積した技術を、レアアースやメタンハイドレートといった海洋鉱物資源及びエネルギー資源の開発に応用するための研究を推進しております。
 FPSO運用上の課題解決としては、経年劣化した船体構造に対し、炭素繊維の適用により、火気工事を伴わず少人数・短期間で安全に施工可能な新しい補修法の開発を進めております。
 当連結会計年度におけるこれらの研究開発に係る金額は232百万円であります。

なお、当社グループは、浮体式石油生産設備の建造及びこれに関連する各種サービスを提供する単一の事業を展開しているため、セグメント別の記載は省略しております。