文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、年々重要度が高まる海洋石油・ガス開発の分野において、浮体式設備の設計・建造・据付、販売、リース及びオペレーションを中核事業とし、海洋石油・ガス開発プロジェクトに関わるトータルサービスを世界各国の石油開発会社に提供しております。
事業の展開にあたっては次の経営目標を掲げ、21世紀の資源エネルギーを支えるグローバル企業として、幅広く社会に貢献してまいります。
・ 浮体式設備の分野で、世界的に信頼される企業を目指します。
・ 浮体式設備の建造・販売、リース、オペレーション等の営業形態の多様化により、事業ポートフォリオの最適化を図り、当社グループの安定的発展を推進します。
・ 事業領域を拡大し、顧客に対してトータルソリューションを提供します。
・ 上記の企業活動を通じ、海洋開発事業の担い手として広く社会に貢献します。
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響による経済活動の停滞により、企業業績の悪化や個人消費の落ち込みなど、厳しい経済環境となりましたが、年後半には、新型コロナウイルス感染症による厳しい状況が徐々に緩和される中で持ち直しの動きが見られました。世界経済も同様に、新型コロナウイルス感染症の全世界的蔓延の影響により経済活動の停滞が継続し、厳しい状況で推移したものの、年後半には総じて持ち直しの動きが見られました。
原油価格は、その時々の情勢により上下することはあったものの、新型コロナウイルス感染症ワクチン接種の進展により経済活動が徐々に正常化に向かい、需要回復期待が強まったことや、OPECプラスによる協調減産などの影響もあり、1バレル50米ドルから80米ドル前後で推移しました。こうした環境下、世の中の脱炭素の流れは避けられないものの、安定したエネルギー供給を維持する観点から、石油会社による一定の深海油田開発プロジェクトは継続すると見られ、当社グループの主要事業である浮体式海洋石油・ガス生産設備に関する事業は、当社グループが強みを持つ超大水深大型プロジェクトにおいて、今後も安定した成長が期待されます。
しかしながら、当社グループを取り巻く事業環境は、脱炭素化、再生可能エネルギーの更なる普及、デジタル技術の進化など大きく変化しています。当社グループではこうした事業環境の変化を確実に捉え、既存事業で確実に収益を確保しつつ、浮体式洋上風力発電、海底資源開発、デジタルソリューション事業など、将来の収益源の育成を着実に進めてまいります。
当社は、サステナブルな社会の実現に貢献することを当社の長期ビジョンとして描くとともに、「本業の収益力徹底強化」、「新規事業の研究開発・育成への投資」及び「環境・社会的要請への取組」という3つの中長期戦略の実現を目指します。
2021年からの3カ年の新たな中期経営計画においては、重要テーマとして①アセット・インテグリティ(安定操業を実現する生産設備の設計・建造及び機能の維持)の改善、②デジタライゼーション戦略推進、③研究開発:FPSOに次ぐ将来の収益源の育成、④環境・社会的要請への取り組みの4つを設定いたしました。
・アセット・インテグリティの改善:
船齢が上昇している初期ブラジル船の集中メンテナンス及び継続的なアセット・マネジメントにより、安全に石油・ガスを生産し続ける為のトータルサービス提供に注力いたします。
・デジタライゼーション戦略推進:
「更なるFPSO操業の効率化」、「操業から上流工程へデジタル適用領域拡大」及び「デジタルソリューション事業の立ち上げ」をデジタル戦略の柱として事業モデルを進化させます。
・研究開発:
FPSOに次ぐ将来の収益源の育成に向け、独自の浮体構造及び係留技術(TLP)を活用した浮体式洋上風力発電設備の事業化への取り組みを加速させ、環境配慮型のFPSOの開発を推進し、また次世代のエネルギーとして期待される海底資源(メタンハイドレート)の回収技術開発を進めます。
・環境・社会的要請への取り組み:
国連の持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals (SDGs))が掲げる17の目標のうち、当社が最も貢献できると考える5つの目標を選定し、達成に向けた重点的な取り組みを推進いたします。
目標5、「ジェンダー平等を実現しよう」
目標7、「エネルギーを皆に、そしてクリーンに」
目標8、「働きがいも経済成長も」
目標13、「気候変動に具体的対策を」
目標14、「海の豊かさを守ろう」
これらの活動の成果として、2023年に達成すべき数値目標は親会社の所有者に帰属する当期利益200百万米ドル、ROE 12.0%を掲げております。
当社グループは、当期末において363,975千米ドル(41,860百万円)の親会社の所有者に帰属する当期損失を計上しており、これによる利益剰余金の減少から、借入金及び社債等に付されている財務制限条項に抵触しており、このことから継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在していると認識しております。しかしながら、当社グループは当該状況を解消するため、主要金融機関に対して当社グループの状況を説明し、当期末において財務制限条項に抵触する借入金または社債等について、期限の利益喪失の請求権を行使しないことについての合意を得ており、以上から、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないと判断しております。
① アセット・インテグリティの改善
大水深大規模な海洋油田の開発が進み、FPSO等も大型化・複雑化する傾向にあります。当社グループは、2000年代前半より業界に先駆けて大水深大規模な海洋油田開発向けのFPSO等を受注してまいりました。しかしながら、初期の段階で受注したFPSO等につきましては、現在もなお様々な技術的課題に直面しており、安全性の確保が最重要であることから生産を中断せざるをえない例が起こっております。
石油・ガスの安定かつ安全な生産は当社グループの最重要課題の一つであり、アセット・インテグリティの改善を中期経営計画の重要テーマに設定し、集中メンテナンス及び継続的なアセット・マネジメント等の対応を進めてまいります。
② 大水深大規模プロジェクト同時遂行能力の強化
原油・天然ガスの確保に向けてFPSO等の潜在需要は底堅く、新規案件の開発も着実に進むものと予想されております。良好な市場環境が続く中、当社グループは、これまで積み上げてきた多くのプロジェクト遂行実績を基に、更なるコスト競争力の強化に努め受注機会の増加に向けた取り組みを進めております。
一方で、FPSO等の建造工事の工期は一般的には3年から4年ほどかかるため、受注機会が増加することにより複数の建造工事を同時に遂行する能力が必要となります。当社グループは、プロジェクト・マネジメント力の強化を進めプロジェクト・マネジャーをはじめとする人材育成を続けるとともに、実績のある企業との協業等を行うことで同時遂行能力の強化に努めてまいります。
③ 資金調達の多様化
FPSO等のチャータープロジェクトの増加及び大型化に伴って当社グループの資金需要は拡大しており、当社では、資本市場からの調達や金融機関からの借り入れによる資金調達力の強化に努めております。チャータープロジェクトの遂行に際してプロジェクトファイナンスを活用すると共に、総合商社をはじめとするパートナーとの提携など、資金調達手法の多様化及び資金調達ソースの拡大に取り組んでおります。
当社グループの経営成績、株価及び財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
<特に重要なリスク>
(1) 新型コロナウイルス感染症の影響
新型コロナウイルス感染症の拡大は当社業績に引続き大きな影響を及ぼしております。建造工事においては工事従事者の移動制限や機器調達の遅れ等によりプロジェクトの進捗が遅れ、一部の工事の採算性が悪化しております。船齢の高いFPSO等に対して行われている大規模修繕においては感染者の発生により乗船人員数が制限されたため遅れが生じ、工期及びそれに伴う操業停止期間が大幅に延長する例が見られております。操業停止中は、収入が計上されないことから、チャーター及びオペレーションサービスに関する損益が悪化しております。
今後の新型コロナウイルス感染症の収束時期が不透明な中、感染拡大の長期化がさらに当社グループの収益確保及び財政状態に影響を及ぼす可能性がある状況下、建造工事に関してはプロジェクトスケジュールの延長を含む工程の見直しを進めており、それにより見込まれる将来追加費用については、会計上の費用計上を行っております。また、オペレーションに関しては乗組員に対する自主隔離・検疫実施、乗船前の検査実施といった措置を行う等感染拡大に伴うリスクの最小化を図っております。
なお、世界的なパンデミックが宣言されていることから新型コロナウイルス感染症による納期遅延は契約及び法令に照らして不可抗力事由に相当すると考えており、ペナルティの発生は会計上の見積りを行うにあたり見込んではおりませんが、客先との交渉結果によっては、ペナルティの負担が生じる可能性があります。
そのため、特に新たな進出地域におけるプロジェクトの遂行にあたっては、現地の法律や会計コンサルタント等からの情報収集及び顧客や取引先との間で最適な責任分担を図ることにより、これらリスクの低減に努めております。
海洋油田の発見が探査の行われていなかった大水深海域に拡大していることを背景として、浮体式海洋石油・ガス生産設備の稼働数は増加してきました。また、当社グループがFPSO等の建造を行う場合の受注額は1件につき1千億円を超える大規模なものとなっております。
しかしながら、原油価格が下落すると、石油開発会社は投資を縮小します。石油開発会社はまず探鉱活動に対する投資から縮小するものの、原油価格の低迷が長期化すると新規プロジェクトが遅延するため、当社グループもプロジェクトの受注が一時的に減少するといった影響を受ける可能性があります。
また、当社グループが石油開発会社に提供しているFPSO等のリース、チャーター及びオペレーションに関わるサービスは、契約期間が長期にわたり、安定した収入を期待できる事業ですが、操業を行っている海域における台風等の自然災害の発生や、鉱区を保有する国の政情などによってサービス提供が中断するリスクがあります。これらについては、客先である石油開発会社との契約において当社グループの免責を明文化することや保険付保といった手段によってリスク回避に努めておりますが、事前に予期することが困難な事態の発生によりプロジェクトが中断した場合には、当社グループの業績に一時的な影響を及ぼす可能性があります。
(4) 化石燃料需要の減少
気候変動や地球温暖化の原因とされる温室効果ガスの排出削減を目的とした取り組みが進み、化石燃料需要の減少により長期的には石油開発企業の化石燃料関連への投資抑制や事業内容の変更が予測されております。当社グループにおいても新中期経営計画の中で、事業モデルの進化によりサステナブルな社会の実現に貢献することを長期ビジョンとして描き、FPSO等の低炭素化や独自の浮体式構造及び係留技術(TLP)を活用した浮体式洋上風力発電設備の事業化へむけた取り組みを推進しております。しかしながら、事業環境の変化に対し当社の対応が遅れた場合には、当社グループの事業及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
<その他の重要なリスク>
FPSO等の浮体式海洋石油・ガス生産設備の建造にあたっては多額の資金を要するほか、これを当社グループが保有して石油開発事業者にリース、チャーターを行う場合は、そのリース、チャーター期間が10年を超えるなど建造資金の回収に長期間を要することになります。
当社グループはこうした事業資金を主に社債及び借入金によって調達しているため、2021年12月末における連結ベースの社債及び借入金残高は426,922千米ドルで、負債及び資本合計に占める割合は12.5%となっております。
当社グループでは金利スワップを用いるなど金利変動リスクの低減に努めておりますが、金利の変動によって当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。
また、今後もFPSO等に係る新規プロジェクトを開始する場合には、新たに資金調達を行う必要があります。当社グループは、プロジェクトの推進にあたり総合商社をはじめとする事業パートナーとの連携によって資金負担の低減を図るほか、プロジェクトファイナンスの利用によるリスクの遮断も行う方針であります。
しかしながら、入札にあたって所要資金を十分に調達することが困難な場合や、金利等の資金調達条件が悪化した場合には、プロジェクトの受注及び収益性に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、国内外での事業の遂行にあたり、それぞれの国での各種法令、行政による許認可や規制等を遵守しております。しかしながら、これら法令の改廃や新たな法的規制が設けられる等の場合には、その結果が当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、地震、風水害、感染症の世界的流行(パンデミック)など各種災害に対して発生時の損失を最小限に抑えるため、危機発生時の対応体制や対応指針をまとめたグループ危機管理ガイドラインを策定しております。しかしながら、このような災害による物的・人的被害の発生や物流機能の麻痺等により、FPSO等の建造工事、リース、チャーター及びオペレーションといった当社グループの事業活動に影響が生じる可能性があります。
※当社グループは当連結会計年度(2021年1月1日から2021年12月31日まで)より、従来の日本基準に替えてIFRSを適用しており、前連結会計年度の数値をIFRSに組み替えて比較分析を行っております。
(業績等の概要)
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響による経済活動の停滞により、企業業績の悪化や個人消費の落ち込みなど、厳しい経済環境となりましたが、年後半には、新型コロナウイルス感染症による厳しい状況が徐々に緩和される中で持ち直しの動きが見られました。世界経済も同様に、新型コロナウイルス感染症の全世界的蔓延の影響により経済活動の停滞が継続し、厳しい状況で推移したものの、年後半には総じて持ち直しの動きが見られました。
原油価格は、その時々の情勢により上下することはあったものの、新型コロナウイルス感染症ワクチン接種の進展により経済活動が徐々に正常化に向かい、需要回復期待が強まったことや、OPECプラスによる協調減産などの影響もあり、1バレル50米ドルから80米ドル前後で推移しました。こうした環境下、世の中の脱炭素の流れは避けられないものの、安定したエネルギー供給を維持する観点から、石油会社による一定の深海油田開発プロジェクトは継続すると見られ、当社グループの主要事業である浮体式海洋石油・ガス生産設備に関する事業は、当社グループが強みを持つ超大水深大型プロジェクトにおいて、今後も安定した成長が期待されます。
しかしながら、当社グループを取り巻く事業環境は、脱炭素化、再生可能エネルギーの更なる普及、デジタル技術の進化など大きく変化しております。当社グループではこうした事業環境の変化を確実に捉え、既存事業で確実に収益を確保しつつ、浮体式洋上風力発電、海底資源開発、デジタルソリューション事業など、将来の収益源の育成を着実に進めてまいります。
こうした状況のもと、当連結会計年度の連結業績は、FPSO建造プロジェクトの新規受注等により、受注高は2,902,771千米ドル(前年比7.8%減)となりました。売上収益はFPSO建造工事の進捗により3,899,748千米ドル(前年比42.5%増)となりました。
利益面では、大型建造工事の収益認識開始に伴う利益の増加要因があった一方、前年度から続く新型コロナウイルス感染症の感染拡大による建造工事の収益率の低下や、進捗の遅れ等によりプロジェクト実施計画の変更を余儀なくされ、それに伴い追加費用が生じたことで、工事採算が悪化しました。また、ブラジルにてチャーターサービスを提供するFPSOにおいて、機器の不具合等による操業停止及び追加的な修繕費用が発生したこと、また採算悪化影響から不利な契約に係る引当金を計上したことから、営業損失は317,552千米ドル(前連結会計年度は営業損失138,321千米ドル)となりました。
以上から、採算悪化影響を受けたFPSOを保有する持分法適用会社向けの貸付金に対しても損失評価引当金を計上することとなり、親会社の所有者に帰属する当期損失は363,975千米ドル(前連結会計年度は親会社の所有者に帰属する当期損失131,907千米ドル)となりました。
なお、当社グループは、浮体式石油生産設備の建造及びこれに関連する各種サービスを提供する単一の事業を展開しているため、セグメント別の業績等の記載は省略しております。
(2) 財政状態について
当連結会計年度末の資産合計は、主に現金及び現金同等物の増加により、前連結会計年度末比248,613千米ドル増加して3,425,542千米ドルとなりました。
負債合計は、主に営業債務及びその他の債務の増加により、前連結会計年度末比561,703千米ドル増加して2,870,782千米ドルとなりました。
資本合計は、主に利益剰余金の減少により、前連結会計年度末比313,089千米ドル減少して554,759千米ドルとなりました。
当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物は、投資活動によるキャッシュ・フロー収入が大きく減少したものの、財務活動におけるキャッシュ・フロー収入がそれ以上に増加したことから、前連結会計年度に比べて192,981千米ドル増加し、810,131千米ドルとなりました。当連結会計年度のキャッシュ・フローの概況は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは前連結会計年度に比べて149,955千米ドル減少し、152,239千米ドルの収入となりました。これは主に、FPSO等の建造工事にかかる売上債権の回収時期と買掛金の支払時期のバランスによる変動であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、主に長期貸付による支出105,306千米ドルや関係会社株式の取得による支出76,573千米ドルにより、220,544千米ドルの支出となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、主に社債発行による収入225,000千米ドルや長期借入による収入160,000千米ドルにより、265,965千米ドルの収入となりました。
(生産、受注及び販売の状況)
当社グループは、浮体式石油生産設備の建造及びこれに関連する各種サービスを提供する単一の事業を展開しているため、セグメント別の記載は省略しており、以下の各項目は当社グループ全体の実績を記載しております。
(注)1 上記の金額は、FPSO、FSO及びTLPの設計・建造・据付並びにその他の工事にかかる完成工事高であります。
2 金額は、販売価格によっております。
3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(注)1 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2 上記の他に、持分法適用会社の「リース及びチャーター」に関する当社持分相当の受注残高は7,289,142千米ドルであります。
(注)1 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2 最近2連結会計年度における主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、以下のとおりであります。
(注) 該当年度において売上収益の10%未満であるため、記載を省略しております。
(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)
文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営成績に重要な影響を与える要因
① 関係会社への出資比率
FPSO等のリース、チャーター事業推進にあたっては多額の資金を必要とします。当社グループは、各々のプロジェクトごとに総合商社などと合弁で事業会社を設立することにより、資金負担の軽減を図っております。これらの事業会社に対する当社の出資比率は、プロジェクトの規模やリスク許容度等を総合的に勘案した上で決定しており、プロジェクトによって異なります。
連結財務諸表の作成にあたっては、議決権などから支配権を有していると判断される関係会社を連結子会社とし、支配権を有しないと判断される関係会社を持分法適用会社としております。
事業会社を連結子会社としたプロジェクトでは、FPSO等の建造工事をグループ内取引と認識するため、建造工事が完工し、リース及びチャーターサービスの提供が開始されてから連結損益計算書において損益を認識します。また、連結財政状態計算書にはFPSO等の有形固定資産が計上されます。
一方、事業会社を持分法適用会社としたプロジェクトでは、建造工事期間における損益を収益基準に基づくインプット法(発生した原価の見積総原価に占める割合で収益認識)によって連結損益計算書に反映させます。ただし、期間損益のうち、当社グループの出資比率に相当する金額はグループ内取引と判断されるため、連結調整によって未実現利益として消去します。建造工事が完工し、リース及びチャーターサービスの提供を開始すると、当該関連会社の損益のうち当社グループの出資比率に相当する金額を、連結損益計算書において持分法による投資損益として計上します。
以上のとおり、事業会社に対する当社グループの出資比率等により、連結財務諸表への影響は大きく異なっております。
② 未実現損益の消去
プロジェクトの規模が大型化するに従い、リース及びチャータープロジェクトのために設立する事業会社に対する当社グループの出資比率は概ね50%以下に止まるケースが多く、事業会社は持分法適用会社となっております。前述のとおり、こうしたプロジェクトの建造工事期間中は収益基準に基づくインプット法によって連結損益計算書に売上収益を計上する一方、期間損益のうち当社グループの出資比率に相当する金額を未実現損益として消去しております。
消去した未実現損益は、FPSO等を所有する持分法適用会社において、リース及びチャーター事業の会計処理にファイナンス・リースが採用される場合は、リース及びチャーターの開始時期に一括して実現させております。一方、オペレーティング・リースが採用される場合は、減価償却期間に応じ未実現利益を実現させております。
なお、過去2年間の連結損益計算書において、営業損益に影響を与える未実現損益の消去額、未実現損益の実現額並びに未実現損益残高の推移を示すと以下のとおりであります。
(単位:千米ドル)
(2) 経営成績に関する分析
① 受注の状況
当連結会計年度は、ウッドサイド社セネガル沖合サンゴマール鉱区向けFPSOの建造及びオペレーションの新規受注及び既存プロジェクトの仕様変更並びにオペレーションサービス等により2,902,771千米ドルの受注高となりました。受注残高は前年比1,078,274千米ドル減少し、11,671,468千米ドルとなりました。また、持分法適用会社の「リース及びチャーター」に関する当社持分相当の受注残高は7,289,142千米ドルとなりました。
② 売上収益の状況
売上収益は、主にFPSO等の建造工事の進捗とチャーター及びオペレーションサービスの提供により3,899,748千米ドルとなりました。
③ 営業損益の状況
営業損益は、主に新型コロナウイルス感染症の感染拡大によって、建造中のプロジェクトにおいて建造工事の中断や、機器の調達の遅れ、また建造工事現場への移動制限などからスケジュール全体の進捗に影響が発生し、多額の追加コストの増加を見込んだことにより317,552千米ドルの営業損失となりました。
④ 当期損益の状況
当期損益は、金融費用の増加により344,300千米ドルの税引前損失となりました。
⑤ 親会社の所有者に帰属する当期損益の状況
以上の結果、親会社の所有者に帰属する当期損益は、363,975千米ドルの損失となりました。
(3) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (業績等の概要)(3)キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
(4) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
① 資本の財源
当社グループの資金の源泉は主に営業活動からのキャッシュ・フローと金融機関からの借入としておりますが、FPSO等の建造工事においては、工事代金の回収時期と工事費用の支払時期のずれにより当該建造工事に関わる債権債務が一時的に大きく変動し、営業キャッシュ・フローに大きな影響を与えます。当社グループではこれらの建造工事に関わる債権と債務のバランスを図ることで資金効率の向上に努めております。また、当社と一部の連結子会社は「CMS預貸制度(キャッシュ・マネジメント・システム)」により資金融通を行うことで資金効率を高めております。
② 建造工事期間における資金負担
FPSO等を客先に売り渡すプロジェクトの場合、建造工事に要する費用は工事の進行度合いに応じて前受金にて回収しているため、当社グループでは運転資金の調達を必要としません。しかしながら、リース及びチャータープロジェクトの場合、当社グループと総合商社等が合弁で設立する事業会社が建造工事の発注者となるため、当社グループには出資比率に相当する建造工事費用の負担が生じます。
当社グループは、建造工事期間における必要資金(以下、建中資金)を、主に短期借り入れによって当社が調達して関係会社へ貸し付ける方法、ないしは当社の債務保証によって関係会社が借り入れる方法によって調達しております。
③ 総リスク額の管理
当社グループでは、大型プロジェクトにおける多額の資金負担と、それに伴うリスクとを軽減するため、リース及びチャータープロジェクトのFPSO等への投資資金についてプロジェクトファイナンスによる調達を行っております。それによって当社の債務保証なしに関係会社が長期資金を調達することが可能となり、プロジェクト個々のリスクを当社から遮断する効果をもたらします。
当社グループでは、プロジェクトファイナンスを活用すると共に、総合商社などの事業パートナーをプロジェクトに招聘する等の方策により、総リスク額をコントロールして事業を展開する方針であります。
(5) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、IFRSに準拠して作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、見積りが必要となる事項については、それぞれ合理的な方法により、会計上の見積りをおこなっており、詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表」の「連結財務諸表注記」、「2. 作成の基礎 (4)判断及び見積りの使用」及び「3. 重要な会計方針」に記載しております。
(並行開示情報)
連結財務諸表規則(第7章及び第8章を除く。以下「日本基準」という。)により作成した要約連結財務諸表、要約連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項の変更及びIFRSにより作成した連結財務諸表における主要な項目と日本基準により作成した場合の連結財務諸表におけるこれらに相当する項目との差異に関する事項は、以下のとおりであります。
なお、日本基準により作成した要約連結財務諸表については、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査を受けておりません。
前連結会計年度(自 2020年1月1日 至 2020年12月31日)
当連結会計年度(自 2021年1月1日 至 2021年12月31日)
前連結会計年度(自 2020年1月1日 至 2020年12月31日)
(連結の範囲に関する事項)
(増加) 2社 SOFEC FZE 他1社(重要性が増したこと及び会社分割による増加)
(減少) 0社
当連結会計年度(自 2021年1月1日 至 2021年12月31日)
(連結の範囲に関する事項)
(増加) 2社 MODEC UK LTD. 他1社(重要性が増したことによる増加)
(減少) 1社 MODEC VENTURE 28 B.V.(清算による減少)
⑥ IFRSにより作成した連結財務諸表における主要な項目と日本基準により作成した場合の連結財務諸表におけるこれらに相当する項目との差異に関する事項
前連結会計年度(自 2020年1月1日 至 2020年12月31日)
「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 38.初度適用」をご参照下さい。
当連結会計年度(自 2021年1月1日 至 2021年12月31日)
(表示通貨)
日本基準では、連結財務諸表等を日本円で表示しておりましたが、IFRSでは、連結財務諸表等を当社の機能通貨である米ドルで表示しております。
(連結範囲)
日本基準において、連結していた一部の子会社について、IFRSを適用するにあたり、連結範囲を見直し持分法適用会社としております。
(ヘッジ会計)
日本基準では、一部の金利スワップ取引を特例処理しておりましたが、IFRSでは、原則的処理方法である時価評価処理しております。加えて、日本基準では、金利通貨スワップ取引をヘッジ会計が適用されていない取引として会計処理しておりましたが、IFRSでは、ヘッジ会計が適用される取引として時価評価処理しております。
(退職後給付)
日本基準では、数理計算上の差異について、発生時にその他の包括利益として認識し、一定期間にわたって償却することにより損益へ振り替えておりましたが、IFRSでは発生時にその他の包括利益として認識し、即時にすべて利益剰余金へ振り替えております。
(リース)
日本基準では、借手のリースのうち所有権移転外ファイナンス・リース取引にあたる取引をリース資産として計上し減価償却しておりましたが、IFRSでは、短期リース及び少額リースを除く全ての借手のリースを使用権資産として計上し減価償却しております。
(未実現利益の税効果)
日本基準では、売り手の税率で未実現利益の税効果を計上しておりましたが、IFRSでは、買い手の税率で計上しております。
(表示組替)
日本基準において、「営業外収益」、「営業外費用」、「特別利益」、「特別損失」として表示していた項目を、IFRSでは財務関連損益については「金融収益」及び「金融費用」として表示し、それ以外の項目については、「その他の収益」、「その他の費用」として表示しております。
当社グループの経営上の重要な契約は以下のとおりであります。
当社グループでは、研究開発活動として新規事業分野での既存技術活用による開発、及びFPSO運用上の課題を解決するための開発を行っております。
新規事業分野としては、洋上風力発電事業を当社の新たな事業分野とするべく、当社の浮体設備や係留技術の強みを生かした当社独自の浮体・係留システムの開発を進めております。この他、当社グループがこれまでに蓄積した技術を応用し、日本近海の海底海洋鉱物資源であるメタンハイドレートの回収に関する研究開発を推進しております。
FPSO運用上の課題解決としては、経年劣化した船体構造に対し、炭素繊維の適用により、火気工事を伴わず少人数・短期間で安全に施工可能な新しい補修法を開発しABS船級協会の認証を得て、実用化の段階に進んでおります。
当連結会計年度におけるこれらの研究開発に係る金額は
なお、当社グループは、浮体式石油生産設備の建造及びこれに関連する各種サービスを提供する単一の事業を展開しているため、セグメント別の記載は省略しております。