文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、年々重要度が高まる海洋石油・ガス開発の分野において、浮体式設備の設計・建造・据付、販売、リース、チャーター及びオペレーションを中核事業とし、海洋石油・ガス開発プロジェクトに関わるトータルサービスを世界各国の石油開発会社に提供しております。
事業の展開にあたっては以下の経営目標を掲げ、21世紀の資源エネルギーを支えるグローバル企業として、幅広く社会に貢献してまいります。
・ 浮体式設備の分野で、世界的に信頼される企業を目指します。
・ 浮体式設備の建造・販売、リース、チャーター及びオペレーション等の営業形態の多様化により、事業ポートフォリオの最適化を図り、当社グループの安定的発展を推進します。
・ 事業領域を拡大し、顧客に対してトータルソリューションを提供します。
・ 上記の企業活動を通じ、海洋開発事業の担い手として広く社会に貢献します。
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が続くなか、経済社会活動の正常化が進み、個人消費や企業収益などについて持ち直しの動きが見られたものの、急激な円安進行や諸物価の高騰等により、先行きは不透明な状況で推移しました。世界経済においても、各国で新型コロナウイルス感染症に対する規制緩和政策が取られ、総じて経済社会活動の正常化が進み回復基調となりましたが、ロシアによるウクライナ侵攻等の影響により、資源価格・原材料価格が高騰し、急激にインフレが進行致しました。
原油価格は、EUによるロシア産原油の禁輸措置の導入を発端に、供給不足が強まるとの見方などから、一時1バレル120米ドル台前半へ上昇したものの、その後中国経済の下振れや、主要先進国の金融引き締めによる景気後退への懸念から、エネルギー需要が減少するとの見方が強まった結果、2022年12月末は1バレル70米ドル台で取引を終えました。この様な状況から、脱炭素の流れと併存しつつ、安定したエネルギー供給を維持することは依然重要な課題であり、石油会社による深海油田開発は当面継続すると考えられます。また、浮体式海洋石油・ガス生産設備についても、特に当社グループが強みを持つ超大水深大型プロジェクト向けのFPSOについては、今後も安定した需要が見込まれます。
しかしながら、当社グループを取り巻く事業環境は、脱炭素化、再生可能エネルギーの更なる普及、デジタル技術の進化など大きく変化しております。こうした事業環境の変化を確実に捉え、既存事業で確実に収益を確保しつつ、浮体式洋上風力発電、環境に配慮したFPSOの開発、デジタルソリューション事業など、将来の新たな収益源の開拓を着実に進めてまいります。
当社は、サステナブルな社会の実現に貢献することを当社の長期ビジョンとして描いております。長期ビジョンの実現に向けて、「本業の収益力徹底強化」、「新規事業の研究開発・育成への投資」及び「環境・社会的要請への取組」という3つの中長期戦略のサイクルを回し続ける事で事業モデルの進化を目指します。
2021年からの3カ年の中期経営計画においては、重要テーマとして①アセット・インテグリティ(安定操業を実現する生産設備の設計・建造及び機能の維持)の改善、②デジタライゼーション戦略推進、③研究開発:FPSOに次ぐ将来の収益源の育成、④環境・社会的要請への取り組みの4つを設定いたしました。
・アセット・インテグリティの改善:
船齢が上昇している初期ブラジル船の集中メンテナンス及び継続的なアセット・マネジメントにより、安全に石油・ガスを生産し続ける為のトータルサービス提供に注力いたします。
・デジタライゼーション戦略推進:
「更なるFPSO操業の効率化」、「操業から上流工程へデジタル適用領域拡大」及び「デジタルソリューション事業の立ち上げ」をデジタル戦略の柱として事業モデルを進化させます。
・研究開発:
FPSOのゼロエミッション化を進めるとともに、FPSOに次ぐ将来の収益源の育成に向け、独自の浮体構造及び係留技術(TLP)を活用した浮体式洋上風力発電設備の事業化への取り組みを加速させます。
・環境・社会的要請への取り組み:
国連の持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals (SDGs))が掲げる17の目標のうち、当社が最も貢献できると考える5つの目標を選定し、達成に向けた重点的な取り組みを推進いたします。
目標5、「ジェンダー平等を実現しよう」
目標7、「エネルギーを皆に、そしてクリーンに」
目標8、「働きがいも経済成長も」
目標13、「気候変動に具体的対策を」
目標14、「海の豊かさを守ろう」
これらの活動の成果として、2023年に達成すべき数値目標は親会社株主に帰属する当期利益200百万米ドルを掲げていたものの、新型コロナウイルス感染症拡大の影響等により建造工事に遅延が生じ追加費用が発生したことや、アセット・インテグリティの改善に係る費用が想定以上に増加したこと等から2023年の通期業績予想における親会社の所有者に帰属する当期利益を45百万米ドルといたしました。
前連結会計年度末において、当社を借入人とする借入契約及び社債について財務制限条項に抵触している状態となっておりましたが、金融機関等との財務制限条項の改定の合意により、当連結会計年度末において、財務制限条項に抵触する状態は解消しております。
以上から、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況は存在しないと判断しております。
① アセット・インテグリティの改善
大水深大規模な海洋油田の開発が進み、FPSO等も大型化・複雑化する傾向にあります。当社グループは、2000年代前半より業界に先駆けて大水深大規模な海洋油田開発向けのFPSO等を受注してまいりました。しかしながら、初期の段階で受注したFPSO等につきましては、アセット・コンディション維持に関して近年のFPSOとは異なる課題に直面しており、安全性の確保を優先させたことから、稼働率の低下を余儀なくされておりました。
石油・ガスの安定かつ安全な生産は当社グループの最重要課題の一つであり、アセット・インテグリティの改善を中期経営計画の重要テーマに設定し、集中メンテナンス及び継続的なアセット・マネジメント等の対応を進めております。
② 大水深大規模プロジェクト同時遂行能力の強化
脱炭素化の流れは加速しておりますが、一方で温室効果ガス排出量の削減に取り組みつつ原油・天然ガスの安定的な確保に向けてFPSO等の潜在需要は底堅く、新規案件の開発も環境等に配慮しながら着実に進むものと予想されております。良好な市場環境が続く中、当社グループは、これまで積み上げてきた多くのプロジェクト遂行実績を基に、更なるコスト競争力の強化に努め受注機会の増加に向けた取り組みを進めております。
一方、FPSO等の建造工事の工期は一般的に3年から4年を要することから、受注機会が増加することにより複数の建造工事を同時に遂行する能力が必要となります。当社グループは、プロジェクト・マネジメント力の強化を進めプロジェクト・マネジャーをはじめとする人材育成を続けるとともに、実績のある企業との協業等を行うことで同時遂行能力の強化に努めてまいります。
③ 資金調達の多様化
FPSO等のプロジェクトの増加及び大型化に伴い当社グループの資金需要は拡大しており、当社では、資本市場からの調達や金融機関からの借り入れによる資金調達力の強化に努めております。チャータープロジェクトの遂行に際してプロジェクトファイナンスを活用すると共に、総合商社をはじめとするパートナーとの提携など、資金調達手法の多様化及び資金調達ソースの拡大に取り組んでおります。
当社グループの経営成績、株価及び財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。
<特に重要なリスク>
(1) 新たな進出地域におけるプロジェクト遂行に伴うリスク
そのため、特に新たな進出地域におけるプロジェクトの遂行にあたっては、現地の法律や会計コンサルタント等からの情報収集及び顧客や取引先との間で最適な責任分担を図ることにより、これらリスクの低減に努めております。
海洋油田の発見が探査の行われていなかった大水深海域に拡大していることを背景として、浮体式海洋石油・ガス生産設備の稼働数は増加してきました。また、当社グループがFPSO等の建造を行う場合の受注額は1件につき少なくとも2千億円を超える大規模なものとなっております。
しかしながら、原油価格が下落すると、石油開発会社は投資を縮小します。石油開発会社はまず探鉱活動に対する投資から縮小するものの、原油価格の低迷が長期化すると新規プロジェクトが遅延するため、当社グループもプロジェクトの受注が一時的に減少するといった影響を受ける可能性があります。
また、当社グループが石油開発会社に提供しているFPSO等のリース、チャーター及びオペレーションに関わるサービスは、契約期間が長期にわたり、安定した収入を期待できる事業ですが、操業を行っている海域における台風等の自然災害の発生や、鉱区を保有する国の政情などによってサービス提供が中断するリスクがあります。これらについては、客先である石油開発会社との契約において当社グループの免責を明文化することや保険付保といった手段によってリスク回避に努めておりますが、事前に予期することが困難な事態の発生によりプロジェクトが中断した場合には、当社グループの業績に一時的な影響を及ぼす可能性があります。
(3) 化石燃料需要の減少
気候変動や地球温暖化の原因とされる温室効果ガスの排出削減を目的とした取り組みが進み、化石燃料需要の減少により長期的には石油開発企業の化石燃料関連への投資抑制や事業内容の変更が予測されております。当社グループにおいても中期経営計画の中で、事業モデルの進化によりサステナブルな社会の実現に貢献することを長期ビジョンとして描き、FPSO等の低炭素化や独自の浮体式構造及び係留技術(TLP)を活用した浮体式洋上風力発電設備の事業化へむけた取り組みを推進しております。しかしながら、事業環境の変化に対し当社グループの対応が遅れた場合には、当社グループの事業及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
<その他の重要なリスク>
FPSO等の浮体式海洋石油・ガス生産設備の建造にあたっては多額の資金を要するほか、これを当社グループが保有して石油開発事業者にリース、チャーターを行う場合は、そのリース、チャーター期間が10年を超えるなど建造資金の回収に長期間を要することになります。
当社グループはこうした事業資金を主に社債及び借入金により調達しており、当連結会計年度末における社債及び借入金残高は393,378千米ドルとなり、負債及び資本合計に占める割合は12.5%となっております。
当社グループでは金利スワップを用いるなど借入に係る金利変動リスクの低減に努めておりますが、金利の変動によっては当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。
また、今後もFPSO等に係る新規プロジェクトを開始する場合には、新たに資金調達を行う必要があります。当社グループは、プロジェクトの推進にあたり総合商社をはじめとする事業パートナーとの連携によって資金負担の低減を図るほか、プロジェクトファイナンスの利用によるリスクの遮断も行う方針であります。
しかしながら、入札にあたって所要資金を十分に調達することが困難な場合や、金利等の資金調達条件が悪化した場合には、プロジェクトの受注及び収益性に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 大規模災害について
当社グループは、地震、風水害、感染症の世界的流行(パンデミック)など各種災害に対して発生時の損失を最小限に抑えるため、危機発生時の対応体制や対応指針をまとめたグループ危機管理ガイドラインを策定しております。しかしながら、このような災害による物的・人的被害の発生や物流機能の麻痺等により、FPSO等の建造工事、リース、チャーター及びオペレーションといった当社グループの事業活動に影響が生じる可能性があります。
なお、新型コロナウイルス感染症に関しては、各国で各種規制は緩和・撤廃されてきており、当社グループ事業に対する影響も軽微となって来ております。しかしながら新たな変異株の出現等により感染が再拡大した場合の備えを継続し、リスクの最小化を図ってまいります。
当社グループは、国内外での事業の遂行にあたり、それぞれの国での各種法令、行政による許認可や規制等を遵守しております。しかしながら、これら法令の改廃や新たな法的規制が設けられる等の場合には、その結果が当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(業績等の概要)
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が続くなか、経済社会活動の正常化が進み、個人消費や企業収益などについて持ち直しの動きが見られたものの、急激な円安進行や原材料価格の高騰等により、先行きは不透明な状況で推移しました。一方、世界経済については、ロシアによるウクライナへの軍事進攻の長期化や中国での新型コロナウイルス感染症拡大の影響等により、一部の国では持ち直しに鈍化がみられたものの、総じて経済正常化が進み回復基調となりました。
原油価格は、EUによるロシア産原油の禁輸措置の導入を発端に、供給不足が強まるとの見方などから、一時1バレル120米ドル台前半へ上昇したものの、その後中国経済の下振れや、主要先進国の金融引き締めによる景気後退への懸念から、エネルギー需要が減少するとの見方が強まった結果、1バレル70米ドル台まで下落しました。こうしたことから、脱炭素の流れと併存しながらも、安定したエネルギー供給を維持することは依然重要な課題であり、石油会社による深海油田開発プロジェクトは継続すると考えられます。また、当社グループの主要事業である浮体式海洋石油・ガス生産設備に関する事業についても、特に当社グループが強みを持つ超大水深大型プロジェクトにおいて、今後も安定した成長が期待されます。
こうした状況のもと、当連結会計年度の連結業績は、FPSO建造プロジェクトの設計変更等により、受注高は、1,462,207千米ドル(前年比49.6%減)となりました。売上収益は、FPSO建造工事の進捗により2,739,762千米ドル(前年比29.7%減)となりました。
利益面では、前期から続く新型コロナウイルス感染症の感染拡大による建造工事の収益率の低下による影響が当期にも及んでいることや、ブラジルで操業するFPSO等に対する追加的な修繕費用等の発生による利益の押し下げ要因があったものの、比較的収益率の高い建造工事の進捗及びチャーター事業の収益の積み上げなどにより、営業利益は、75,330千米ドル(前連結会計年度は営業損失317,552千米ドル)となりました。
対して、米ドル高による為替差損及びFPSOを保有する関連会社への追加融資に対する損失評価引当金を金融費用に計上したことなどにより、税引前利益は、54,835千米ドル(前連結会計年度は税引前損失344,300千米ドル)となりました。これらにより、親会社の所有者に帰属する当期利益は、37,377千米ドル(前連結会計年度は親会社の所有者に帰属する当期損失363,975千米ドル)となりました。なお、当期末において、2023年12月期の配当予想は、未定であります。
当社グループは、浮体式石油生産設備の建造及びこれに関連する各種サービスを提供する単一の事業を展開しているため、セグメント別の業績等の記載は省略しております。
(2) 財政状態について
当連結会計年度末の資産合計は、主に現金及び現金同等物及び契約資産の減少により、前連結会計年度末から289,328千米ドル減少し、3,136,213千米ドルとなりました。
負債合計は、主に営業債務及びその他の債務の減少により、前連結会計年度末から575,690千米ドル減少し、2,295,092千米ドルとなりました。
資本合計は、主にその他の資本の構成要素の増加により、前連結会計年度末から286,362千米ドル増加し、841,121千米ドルとなりました。
当連結会計年度における現金及び現金同等物は、営業活動によるキャッシュ・フロー及び財務活動によるキャッシュ・フロー支出が大きく増加したことにより、前連結会計年度末から317,505千米ドル減少し、492,625千米ドルとなりました。当連結会計年度のキャッシュ・フローの概況は、以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べて361,135千米ドル減少し、208,895千米ドルの支出となりました。これは主に、FPSO等の建造工事に係る売上債権の回収時期と買掛金の支払時期のバランスによる変動であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、主に持分法で会計処理されている投資の取得による支出96,383千米ドルや長期貸付けによる支出24,103千米ドルにより、56,846千米ドルの支出となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、主に長期借入金の返済による支出31,620千米ドルやリース負債の返済による支出21,463千米ドルにより、49,013千米ドルの支出となりました。
(生産、受注及び販売の状況)
当社グループは、浮体式石油生産設備の建造及びこれに関連する各種サービスを提供する単一の事業を展開しているため、セグメント別の記載は省略しており、以下の各項目は当社グループ全体の実績を記載しております。
(注)1 上記の金額は、FPSO、FSO及びTLPの設計・建造・据付並びにその他の工事に係る完成工事高であります。
2 金額は、販売価格によっております。
(注) 上記の他、持分法適用会社のリース及びチャーターに関する当社グループ持分相当の受注残高は、6,013,891千米ドルであります。
主な顧客の販売実績及び総販売実績に対する割合は、以下のとおりであります。
(注) 該当年度において売上収益の10%未満であるため、記載を省略しております。
(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)
文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営成績に重要な影響を与える要因
① 関係会社への出資比率
FPSO等のリース、チャーター事業推進にあたっては多額の資金を必要とします。当社グループは、各々のプロジェクトごとに総合商社などと合弁で事業会社を設立することにより、資金負担の軽減を図っております。これらの事業会社に対する当社の出資比率は、プロジェクトの規模やリスク許容度等を総合的に勘案した上で決定しており、プロジェクトによって異なります。
連結財務諸表の作成にあたっては、議決権などから支配権を有していると判断される関係会社を連結子会社とし、支配権を有しないと判断される関係会社を持分法適用会社としております。
連結子会社を事業会社としたプロジェクトでは、FPSO等の建造工事をグループ内取引と認識するため、建造工事が完工し、リース及びチャーターサービスの提供が開始されてから連結損益計算書において損益を認識します。また、連結財政状態計算書にはFPSO等の有形固定資産を計上します。
一方、持分法適用会社を事業会社としたプロジェクトでは、建造工事期間における損益を収益認識基準に基づくインプット法(発生した原価の見積総原価に占める割合で収益認識)によって連結損益計算書に反映させます。ただし、期間損益のうち、当社グループの出資比率に相当する金額はグループ内取引と判断されるため、連結調整によって未実現利益として消去します。建造工事が完工し、リース及びチャーターサービスの提供を開始すると、当該関連会社の損益のうち当社グループの出資比率に相当する金額を、連結損益計算書において持分法による投資損益として計上します。
以上のとおり、事業会社に対する当社グループの出資比率等により、連結財務諸表への影響は大きく異なっております。
② 未実現損益の消去
プロジェクトの規模が大型化するに従い、リース及びチャータープロジェクトのために設立する事業会社に対する当社グループの出資比率は概ね50%以下に止まるケースが多く、事業会社は持分法適用会社となっております。前述のとおり、こうしたプロジェクトの建造工事期間中は収益認識基準に基づくインプット法によって連結損益計算書に売上収益を計上する一方、期間損益のうち当社グループの出資比率に相当する金額を未実現損益として消去しております。
消去した未実現損益は、FPSO等を所有する持分法適用会社において、リース及びチャーター事業の会計処理にファイナンス・リースを適用する場合は、リース及びチャーターの開始時期に一括して実現させております。一方、オペレーティング・リースを適用する場合は、減価償却期間に応じ未実現利益を実現させております。
なお、連結損益計算書における営業損益に影響を与える未実現損益の消去額及び未実現損益の実現額、並びに未実現損益残高の推移は、以下のとおりであります。
(単位:千米ドル)
(2) 経営成績に関する分析
① 受注の状況
当連結会計年度は、ウッドサイド社セネガル沖合サンゴマール鉱区向けFPSOの建造及びオペレーションの新規受注及び既存プロジェクトの仕様変更並びにオペレーションサービス等により1,462,207千米ドルの受注高となりました。受注残高は、前連結会計年度末から1,078,274千米ドル減少し、10,934,356千米ドルとなりました。また、持分法適用会社のリース及びチャーターに関する当社グループ持分相当の受注残高は、6,013,891千米ドルとなりました。
② 売上収益の状況
売上収益は、主にFPSO等の建造工事の進捗とチャーター及びオペレーションサービスの提供により2,739,762千米ドルとなりました。
③ 営業損益の状況
営業損益は、主に新型コロナウイルス感染症の感染拡大によって、建造中のプロジェクトにおいて建造工事の中断や、機器の調達の遅れ、また建造工事現場への移動制限などからスケジュール全体の進捗に影響が発生し、多額の追加コストの増加を見込んだことにより75,330千米ドルの営業利益となりました。
④ 当期損益の状況
当期損益は、金融収益の増加により54,835千米ドルの税引前利益となりました。
⑤ 親会社の所有者に帰属する当期損益の状況
以上の結果、親会社の所有者に帰属する当期損益は、37,377千米ドルの利益となりました。
(3) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (業績等の概要)(3)キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
(4) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
① 資本の財源
当社グループの資金の源泉は、主に営業活動からのキャッシュ・フローと金融機関からの借入としておりますが、FPSO等の建造工事においては、工事代金の回収時期と工事費用の支払時期のずれにより当該建造工事に関わる債権債務が一時的に大きく変動し、営業キャッシュ・フローに大きな影響を与えます。当社グループではこれらの建造工事に関わる債権と債務のバランスを図ることで資金効率の向上に努めております。また、当社グループは、「CMS預貸制度(キャッシュ・マネジメント・システム)」によりグループ内で資金融通を行うことで資金効率を高めております。
② 建造工事期間における資金負担
FPSO等を客先に売り渡すプロジェクトの場合、建造工事に要する費用は工事の進行度合いに応じて前受金にて回収しているため、当社グループでは運転資金の調達を必要としません。一方、リース及びチャータープロジェクトの場合、当社グループと総合商社等が合弁で設立する事業会社が建造工事の発注者となるため、当社グループには事業会社に対する出資比率に相当する建造工事費用の負担が生じます。
当社グループは、建造工事期間における必要資金を、主に短期借り入れによって当社が調達して関係会社へ貸し付ける方法、ないしは当社の債務保証によって関係会社が借り入れる方法によって調達しております。
③ 総リスク額の管理
当社グループでは、大型プロジェクトにおける多額の資金負担と、それに伴うリスクを軽減するため、リース及びチャータープロジェクトのFPSO等への投資資金についてプロジェクトファイナンスによる調達を行っております。それによって当社の債務保証なしに関係会社が長期資金を調達することが可能となり、プロジェクト個々のリスクを当社から遮断する効果をもたらします。
当社グループでは、プロジェクトファイナンスを活用すると共に、総合商社などの事業パートナーをプロジェクトに招聘する等の方策により、総リスク額をコントロールして事業を展開する方針であります。
(5) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、IFRSに準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成にあたり、見積りが必要となる事項については、それぞれ合理的な方法により、会計上の見積りを行なっており、詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表」の「連結財務諸表注記」、「2. 作成の基礎 (4)判断及び見積りの使用」及び「3. 重要な会計方針」に記載しております。
当社グループの経営上の重要な契約は、以下のとおりであります。
当社グループでは、エネルギー資源を安全かつ安定的に供給することを基本としながら、気候変動や地球温暖化の原因とされる温室効果ガス(GHG)の排出削減を目指しFPSO等の低炭素化や浮体式洋上風力発電の事業化に向けた数々の技術開発を行っております。
FPSO等の低炭素化に関しては、プラントの緊急停止に伴う随伴ガスの燃焼/排出や機器からの漏洩によるGHG排出の削減を目指し、火気工事を伴わない補修や遠隔操作による監視技術等のアセット・インテグリティ向上につながる開発を進めるのと並行して、GHGの主要な発生源である発電機の排気ガスからCO2を抽出する技術を開発し、油田にCO2を廃棄/貯蔵するという既に実証済みである技術と組み合わせ、GHG排出量の大幅な削減に向けた研究開発も進めております。
一方で、再生可能エネルギーの普及に貢献すべく、当社グループの強みである浮体・係留技術を活かした洋上風力発電設備を開発し、発電事業への参画を目指しております。
当連結会計年度におけるこれらの研究開発に係る金額は
なお、当社グループは、浮体式石油生産設備の建造及びこれに関連する各種サービスを提供する単一の事業を展開しているため、セグメント別の記載は省略しております。