第一部 【企業情報】

 

第1 【企業の概況】

 

1 【主要な経営指標等の推移】

(1) 連結経営指標等

回次

第27期

第28期

第29期

第30期

第31期

決算年月

2020年3月

2021年3月

2022年3月

2023年3月

2024年3月

売上高

(千円)

6,773,705

5,294,631

5,754,200

6,718,893

7,127,832

経常利益

(千円)

1,754,134

1,072,744

1,197,622

1,534,070

1,550,930

親会社株主に帰属する
当期純利益

(千円)

1,193,317

729,660

820,228

1,079,587

1,133,429

包括利益

(千円)

1,207,147

742,291

894,532

1,203,273

1,273,051

純資産額

(千円)

6,025,215

6,526,737

7,280,329

8,326,256

9,383,701

総資産額

(千円)

7,145,833

7,491,451

8,375,108

9,865,700

10,730,888

1株当たり純資産額

(円)

602.86

652.44

726.38

827.58

930.05

1株当たり当期純利益金額

(円)

115.20

73.59

82.67

108.69

113.99

潜在株式調整後
1株当たり当期純利益金額

(円)

自己資本比率

(%)

83.7

86.4

86.1

83.3

86.2

自己資本利益率

(%)

19.5

11.7

12.0

14.0

13.0

株価収益率

(倍)

6.61

16.29

13.22

7.72

8.12

営業活動による
キャッシュ・フロー

(千円)

1,156,067

981,103

1,257,271

620,256

376,961

投資活動による
キャッシュ・フロー

(千円)

583,217

9,770

317,448

259,760

845,826

財務活動による
キャッシュ・フロー

(千円)

1,499,529

243,565

154,539

173,016

244,453

現金及び現金同等物
の期末残高

(千円)

504,090

1,210,747

2,029,266

2,246,247

1,571,804

従業員数
(外、平均臨時雇用者数)

(名)

187

191

203

207

215

(23)

(20)

(21)

(23)

(23)

 

(注) 1 当社は、2021年12月21日付けで普通株式1株につき4株の株式分割を行っております。当該株式分割が第27期の期首に行われたと仮定し、1株当たり純資産額及び1株当たり当期純利益金額を算定しております。

2 潜在株式調整後1株当たり当期純利益金額については、潜在株式が存在しないため記載しておりません。

3 「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第30期の期首から適用しており、第30期以降に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。

 

 

(2) 提出会社の経営指標等

回次

第27期

第28期

第29期

第30期

第31期

決算年月

2020年3月

2021年3月

2022年3月

2023年3月

2024年3月

売上高

(千円)

6,473,172

4,873,508

5,189,449

5,988,956

6,215,936

経常利益

(千円)

1,717,766

993,060

996,320

1,297,317

1,199,413

当期純利益

(千円)

1,181,180

683,185

687,381

928,684

892,627

資本金

(千円)

557,000

557,000

557,000

557,000

557,000

発行済株式総数

(株)

2,942,000

2,942,000

11,768,000

11,768,000

11,768,000

純資産額

(千円)

5,632,173

6,089,779

6,634,023

7,394,706

8,105,160

総資産額

(千円)

6,704,340

6,950,994

7,680,906

8,825,138

9,337,809

1株当たり純資産額

(円)

567.99

614.16

668.36

744.23

814.77

1株当たり配当額
(内、1株当たり
中間配当額)

(円)

97

61

17

23

25

(―)

(―)

(―)

(―)

(―)

1株当たり当期純利益金額

(円)

114.02

68.90

69.28

93.50

89.77

潜在株式調整後
1株当たり当期純利益金額

(円)

自己資本比率

(%)

84.0

87.6

86.4

83.8

86.8

自己資本利益率

(%)

20.4

11.7

10.8

13.2

11.5

株価収益率

(倍)

6.68

17.40

15.78

8.97

10.32

配当性向

(%)

21.3

22.1

24.5

24.6

27.8

従業員数
(外、平均臨時雇用者数)

(名)

165

171

183

186

194

(23)

(20)

(21)

(23)

(23)

株主総利回り
(比較指標:東証第二部

株価指数及び東証スタンダード市場)

(%)

43.2

68.1

63.2

50.5

56.7

(70.0)

(110.4)

(104.4)

(14.9)

(18.6)

最高株価

(円)

7,580

5,240

6,840

※ 1,320

1,350

1,199

最低株価

(円)

3,000

2,951

4,270
※ 1,010

807

850

 

(注) 1 当社は、2021年12月21日付けで普通株式1株につき4株の株式分割を行っております。当該株式分割が第27期の期首に行われたと仮定し、1株当たり純資産額及び1株当たり当期純利益金額を算定しております。

2 当社は、2021年12月21日付けで普通株式1株につき4株の株式分割を行っており、第27期及び第28期の1株当たり配当額については、株式分割前の金額になっております。

3 潜在株式調整後1株当たり当期純利益金額については、潜在株式が存在しないため記載しておりません。

4 第29期まで、株主総利回りの比較指標に東証第二部株価指標を用いておりましたが、2022年4月4日の東京証券取引所の市場再編に伴い廃止されました。このため第30期から比較指標を東京証券取引所スタンダード市場に変更しております。

5 最高・最低株価は、2022年4月3日以前は東京証券取引所第二部におけるものであり、2022年4月4日以降は東京証券取引所スタンダードにおける株価を記載しております。

6 ※印は、株式分割(2021年12月21日、1株→4株)による権利落後の最高・最低価格を示しております。

7 「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第30期の期首から適用しており、第30期以降に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。

 

2 【沿革】

年  月

事        項

 

 

1993年8月

太陽鉄工株式会社(現 株式会社TAIYO)の事業部門であったナットランナ事業を分離独立させ、資本金30,000千円をもって大阪市東淀川区に株式会社エスティックを設立

1993年11月

本社及び工場を大阪府守口市橋波東之町二丁目5番9号へ移転

1994年11月

横浜市港北区に東京営業所を開設

1998年4月

愛知県岡崎市に中部営業所を開設

1998年5月

本社敷地内に新工場建設

1998年11月

ISO9002:1994 認証取得

2000年4月

ハンドナットランナ販売開始

2001年3月

米国CINETIC AUTOMATION CORPORATIONへナットランナの供給(OEM契約締結)

2001年10月

中国におけるネジ締付装置の生産拠点として上海市に現地法人SHANGHAI ESTIC CO.,LTD.を設立

2003年3月

品質マネジメントシステムISO9001:2000 認証取得

2003年8月

パルス制御技術に関する特許取得(ネジ締め装置の制御方法及び装置における特許取得)

2004年6月

パルス制御技術に関する米国特許取得(ネジ締め装置の制御方法及び装置における米国特許取得)

2006年1月

東京証券取引所マザーズへ株式上場

2008年4月

サーボプレス販売開始

2012年3月

タイ、インド及び東南アジアにおけるネジ締付装置の販売拠点としてバンコク市に現地法人ESTIC (THAILAND) CO.,LTD.を設立

2014年6月

北米及び中南米地域におけるネジ締付装置の販売拠点として米国ケンタッキー州に現地法人ESTIC AMERICA, INC.を設立

2016年2月

大阪府守口市に東郷事業所を建設

2016年8月

東京証券取引所市場第二部へ市場変更

2019年7月

東郷事業所敷地内に新社屋を建設し、本社を移転

2022年4月

東京証券取引所の市場区分見直しに伴い、東京証券取引所スタンダード市場に移行

2023年9月

大阪府守口市に技術開発センター(TDC)を開設

 

 

 

3 【事業の内容】

当社グループは、当社、連結子会社ESTIC (THAILAND) CO.,LTD.、ESTIC AMERICA, INC.及び関連会社SHANGHAI ESTIC CO.,LTD.の4社で構成されており、見込生産品であるナットランナ、ハンドナットランナ、サーボプレス、受注生産品であるネジ締付装置の製造・販売及び当社製品の修理・点検を主な事業とした単一セグメントで事業活動を行っております。したがって当社グループの事業内容を製品に関連付けて記載しております。

 

グループ各社の位置付けと事業内容

(1) 当社

当社は、ナットランナ、ハンドナットランナ、サーボプレス、ネジ締付装置の製造・販売及び当社製品の修理・点検を行っております。

(2) ESTIC (THAILAND) CO.,LTD.

ESTIC (THAILAND) CO.,LTD.は、当社製品(ナットランナ、ハンドナットランナ、サーボプレス)の販売及び据付、修理、その他付随業務を行っております。

(3) ESTIC AMERICA, INC.

ESTIC AMERICA, INC.は、当社製品(ナットランナ、ハンドナットランナ、サーボプレス)の販売及び据付、修理、その他付随業務を行っております。

(4) SHANGHAI ESTIC CO.,LTD.

SHANGHAI ESTIC CO.,LTD.は、当社製品(ナットランナ、ハンドナットランナ、サーボプレス)の中国国内向け販売、修理・点検及び、同ナットランナを組み込んだネジ締付装置の製造・販売を行っております。

 

(ナットランナ)

ナットランナはACサーボモーター(※①)、センサー、コントローラ(※②)で構成され、ACサーボモーターを駆動源とし、センサーからの情報をコンピュータにて解析しモーターを制御することにより、いわゆるボルト、ナット類のネジの締め付けを「ネジ締め付け理論」(※③)に基づいて最良の締め付け管理を行い、あらゆる使用環境でも緩まないネジ締め付けを実現する工具であります。

当製品は、機械装置に組み込んで使用しますので、主にセットメーカーに対して販売しております。

 

(ハンドナットランナ)

ハンドナットランナはナットランナをハンディタイプにしたもので、ナットランナが機械装置に組み込んで使用するのに対して、ハンドナットランナは作業者が直接手に持って締め付けを行う工具で、尚且つナットランナと同等の締め付け精度管理ができます。

従来、締め付けトルク(※④)が高くなるに従い締め付け時に発生する反力が強くなり人間が手で保持することが困難でしたが、パルス制御技術(※⑤)(日本、米国にて特許取得済み)により締め付け精度を確保したまま反力のみを軽減することにより実現した製品です。

 

(サーボプレス)

サーボプレスはナットランナの技術を応用したプレス機で、ACサーボモーター(※①)、センサー、コントローラ(※②)で構成され、ACサーボモーターを駆動源とし、モーターの回転力をボールネジ(※⑥)を介し直線運動に変えることにより対象物をプレスします。
 従来の油圧式、エアー式や機械式プレスに比べ、消費エネルギーの低減、静寂性、高精度制御、トレーサビリティーに優れた特徴を有します。主に、圧入、カシメ、打ち抜き等に使用されます。

 

(ネジ締付装置)

ネジ締付装置は、ユーザー仕様に基づき上記ナットランナを組み込み、全てオーダーメードで設計製作するネジ締め付け専用の自動機械または半自動機械であります。

自動車や自動車部品などの組立工程におけるネジ締め付けに使用され、特に量産ラインにおいて使用される場合が大半です。

受注の内容によっては、ネジ締め付け部分以外にボルトの自動供給装置やその他周辺機器を設計製作する場合もあります。

 

(修理・点検)

ナットランナ、ハンドナットランナ、サーボプレスの有償修理、ネジ締め付け精度の点検等を行っております。

 

 

これらのナットランナ、ハンドナットランナ及びネジ締付装置は、主に国内外の自動車メーカーや自動車部品メーカーを中心に組立工程におけるネジの締め付けに使用されております。

特に自動車等の可動製品においてはその振動によりネジが緩みやすい環境にあり、ネジの緩みは直接当該製品の品質、機能の低下や安全性の低下につながる問題に影響する可能性が高く、製品の品質管理上緩まないネジの締め付けは重要な要素となっております。

また、製造工程における締め付けデータを外部出力することができ、製品固有の組立工程履歴を残すことにより製造物責任法(PL法)にも対応可能であり、またインターフェースにより製造ライン全体のネットワーク管理にも対応しております。

 

 

 ※用語説明

① ACサーボモーター

交流電源により駆動するモーターで、微細な回転位置と回転速度の制御が可能なモーターです。

モーターの中では優れた制御性能を有します。

 

② コントローラ

コンピューターを内蔵し、センサーから受信した情報をコンピューターで解析して最適なネジ締め付けを行うためにモーターの回転を制御する信号を発信する、いわばシステム全体の頭脳に相当します。

 

③ ネジ締め付け理論

ネジには弾性域と塑性域があります。

弾性域とは、ネジをねじ込んでいく過程において、ネジ首は伸びていきますが、鉄の性質上弾性があるので伸びたものは縮もうとする力があり、その弾性がある状態を弾性域といいます。

弾性域で振動が加わりますと、ネジ首が伸び縮みをし、その瞬間に雌ネジと雄ネジのそれぞれのネジ山の間に隙間ができることによりネジが緩みます。

塑性域とは、弾性域をこえてネジを伸ばしていくとネジが伸びきり縮む力がなくなる領域をいいます。塑性域までネジを伸ばすと、弾性がないので振動を加えてもネジは伸び縮みせず、ネジ山に隙間ができることがないので緩みません。

なお、塑性域を超えてネジを伸ばしていくと最後には破断します。

弾性域から塑性域に変化する点を降伏点といい、緩まないネジ締めとはこの降伏点を越えた点(出来るだけ降伏点に近い塑性域)までネジを伸ばす締め付け管理により実現します。

 

 

④ 締め付けトルク

ネジを締め付ける際の力の強さをいいます。単位はNm(ニュートンメーター)で表示します。

 

⑤ パルス制御技術

コンピュータ制御によりモーター出力のON、OFFを繰返し発生させることにより、高い締め付けトルクでも保持している手にかかる反力を軽減する技術です。

 

⑥ ボールネジ

円柱状になったネジとナットで構成され、ナット部もしくはネジ部の一方を固定してネジ部を回転させるとネジ山のピッチ×回転数分の距離をナット部もしくはネジ部が直線方向へ移動します。主に回転運動を直線運動に変換する場合に使用されます。

 

 

事業の系統図は次のとおりであります。

 


 

 

 

4 【関係会社の状況】

名称

住所

資本金又は
出資金
(百万円)

主要な事業の内容

議決権の
所有割合(%)

関係内容

(連結子会社)
ESTIC (THAILAND)
CO.,LTD.

タイ
バンコク

12

製品の販売及び据付、修理、その他付随業務

49.8

当社製品の販売及び据付、修理、その他付随業務
役員の兼任1名

(連結子会社)
ESTIC AMERICA, INC.
(注)1,3

アメリカ
ケンタッキー州

50

製品の販売及び据付、修理、その他付随業務

100.0

当社製品の販売及び据付、修理、その他付随業務
役員の兼任1名

(持分法適用関連会社)
SHANGHAI ESTIC
CO.,LTD.
(注)2

中国
上海市

10百万
人民元

製品の販売、ネジ締付装置の製造・販売、及び修理・点検

50.0

当社製品の中国国内向け販売及び当社製品を組み込んだ製品の製造・販売
当社製品の外注加工
役員の兼任3名

 

(注) 1 特定子会社であります。

2 共同支配企業であります。

3 ESTIC AMERICA, INC.については、売上高(連結会社相互間の内部売上高を除く)の連結売上高に占める割合が10%を超えております。

主要な損益情報等

① 売上高

1,803,139千円

 

② 経常利益

388,045千円

 

③ 当期純利益

297,764千円

 

④ 純資産額

1,038,346千円

 

⑤ 総資産額

1,439,023千円

 

 

5 【従業員の状況】

(1) 連結会社の状況

2024年3月20日現在

 

従業員数(名)

合計

215

23

 

(注) 1 当社グループは、単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。

2 従業員数は就業人員であります。

3 従業員数欄の〔外書〕は、臨時従業員の年間平均雇用人員であります。

 

(2) 提出会社の状況

2024年3月20日現在

従業員数(名)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(千円)

194

23

40.1

8.10

5,883

 

(注) 1 当社は、単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。

2 従業員数は就業人員であります。

3 従業員数欄の〔外書〕は、臨時従業員の年間平均雇用人員であります。

4 平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

 

(3) 労働組合の状況

労働組合は結成されておりませんが、労使関係は円満に推移しております。

 

(4) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異

提出会社及び連結子会社は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)及び「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定による公表義務の対象でないため、記載を省略しております。