第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

本文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1) 会社の経営の基本方針

当社グループは、事業ターゲットを世界におき、ニーズの把握、シーズの提供に全力を注ぎ、お客様満足度100%を目指すことをスローガンとして、メーカーとしての基本である新製品開発及び既存製品のバージョンアップ開発に注力するとともに、販売面においては海外での販売拡大を図り、世界市場をマーケットとしたグローバル企業を目指してまいります。

 

(2) 目標とする経営指標

当社グループは、特に海外市場における事業成長とともに確実な利益確保を重視しており、「売上高」「売上高経常利益率」「海外売上比率」を意識した経営を行っております。

 

(3) 中長期的な会社の経営戦略

当社グループは、①世界市場での販売拡大のためのサービス拠点の充実、②新製品開発および事業提携や買収も視野にいれた事業領域の拡大、③株主価値の向上を経営戦略目標として中期経営計画を策定しております。

 

(4) 会社の対処すべき課題

当社製品は自動車産業の設備投資に密接な影響をうけており、世界規模での自動車産業の設備投資に対応できる販売体制、サービスメンテナンス体制及び生産体制の確立が不可欠であると考えております。

したがって、利益の確保と海外販売拠点、サービス拠点、生産拠点への投資のバランスを計りつつも積極的な海外投資を行っていかなければならないと考えております。

また、直接投資のみならず海外代理店の整備、拡充、教育も重要な戦略に位置付けながら海外市場開拓に注力してまいります。

さらに、健全かつ効率的経営のために、法令遵守の徹底、コーポレート・ガバナンスの強化、リスク管理体制の強化及び内部統制システムの整備を図ってまいります。

しかしながら、物価高騰による仕入部材価格の高騰や人件費の高騰の影響については留意していく必要があります。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループは、以下のとおり、サステナビリティ基本方針を制定し、サステナビリティにおける課題に取り組んでおります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。サステナビリティに関連する具体的な取り組み等の詳細は、株式会社エスティックホームページ(「トップ」-「サステナビリティ」)をご覧ください。(https://www.estic.co.jp/sustainability/)

 

 

サステナビリティ基本方針

 

経営方針に基づき、ステークホルダーとの対話を尊重し、事業を通じて環境問題をはじめとした社会課題の解決に取り組んでいきます。

 

1.安心で、環境に優しい製品を開発・製造し、CO排出量削減や廃棄物の抑制、生物多様性の保全に取り組んでいきます。

 

2.人権・労働問題に積極的に取り組み、安全・快適で働きがいのある職場環境の整備に努めます。

 

3.公正かつ透明性の高い企業経営を行い、すべてのステークホルダーと強固な信頼関係を構築するとともに、法令及び社会の規範を含む企業倫理を遵守していきます。

 

 

 

○ガバナンス

当社は、企業の社会的責任を果たすと同時に、株主、消費者、取引先、従業員などのすべてのステークホルダーの信頼と期待に応えるため、経営環境の変化に迅速かつ的確に対応し、経営の透明性・公正性を確保することを重要な課題とし、コーポレート・ガバナンスの充実・強化に努めております。当社のコーポレート・ガバナンス体制については、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等」をご参照ください。

また、代表取締役を委員長とする総合リスク対策委員会を設置し、サステナビリティ関連課題への対応方針を協議しております。協議結果は、取締役会に報告され適切に管理・監督される体制となっております。

 

 

○戦略

当社は、競争力の源泉である「人」を最も重要な経営資源と考え、人権や多様性を尊重し、従業員一人一人が個の力を高め、イキイキと働けるよう、中長期の人材育成やダイバーシティの推進、労働環境の整備等、働きがいと誇りを持てる環境づくりに取り組んでおります。

 

人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略

 

①人材育成

当社は、多様な人材がチャレンジできる組織風土を醸成できるよう、教育研修や目標管理制度を通じて、従業員一人一人を尊重し自己実現のサポートに努めております。

 

イ)教育研修

人材育成の一環として、階層別研修、新任管理職研修、管理職研修を実施しております。近年では、管理職向けのハラスメント研修を実施し、ハラスメント防止強化に努めています。

 

ロ)目標管理制度

人材育成の一環として、目標管理制度を導入しております。期首に上司と部下で組織の方針を確認したうえで目標を設定し、上司が伴走しながら達成を目指します。期末に目標の達成度を確認し評価に反映します。期中の振り返りだけでなく、日頃の1on1ミーティングにより、目標達成の精度を上げ、会社全体の成長に繋げております。

 

②社内環境整備

当社は、育児や介護など従業員それぞれの状況に応じた働き方を提供し、ワーク・ライフ・バランスを充実させるため、育児・介護関連制度の推進、フレックスタイム制度や時差出勤制度の導入、有給休暇取得促進活動の実施により、働きやすい労働環境の整備に取り組んでおります。

 

③健康経営

当社は、「人と組織が健康でイキイキと働ける環境を創出する」という目標を掲げ、従業員一人一人が心も体も健康で、働き甲斐とやりがいをもって能力・個性を発揮できる環境を創出するため、代表取締役を健康経営責任者とする健康経営推進体制の下、産業医や産業保健師、健康保険協会と連携を取り、健康経営の推進に取り組んでおります。

 

○リスク管理

当社は、サステナビリティ経営の実践にあたり、各種リスクの算出、予測などを用いて、リスクをマネジメントし、リスクを単なる損失や脅威と捉えるだけではなく、同時に機会である事を認識し、事業継続に必要なリスクに適切に対応し、安定した事業運営を行っております。

具体的には、「リスク管理規程」に基づき、業務遂行における事業リスクの把握・分析・評価を実施し、リスクが発生した場合は迅速かつ的確に対応することにより被害を最小限にくい止める防止策を講じております。リスクマネジメント推進組織として「総合リスク対策委員会」が、当社グループのリスクマネジメントの基本方針、リスクマネジメントに関する計画、施策の進捗状況の報告・審議を行い、事業展開に伴って発生するリスクに適切かつ迅速に対応するリスク管理を行っております。

 

 

○指標及び目標

上記「戦略」において記載した、人材の育成及び社内環境整備に関する方針について、以下のとおり指標と目標を設定しております。なお、これらの指標に関する目標及び実績は、データ管理の制約から提出会社での開示としております。

 

人材の育成及び社内環境整備に関する方針に関する指標の内容並びに当該指標を用いた目標及び実績

 

・男性育児休業取得率

2024年度目標

2023年度実績

35%

33%

 

 

・年次有給休暇取得率

項目

2024年度目標

2023年度実績

一般

78%

75%

管理職

55%

45%

合計

70%

68%

 

 

・長時間労働是正

項目

2024年度目標

2023年度実績

年間総労働時間/人

2,086

2,196

月平均時間外労働/人

15

16

 

 

・健康経営KPI

項目

2024年目標

2023年実績

健康診断受診率

100%

100%

ストレスチェック受検率

100%

100%

高ストレス者率

10%以下

14.1%

喫煙率

12%以下

29.5%

 

 

 

3 【事業等のリスク】

以下に当社グループの事業展開上のリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。

なお、本文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 自動車産業への依存について

当社製品は、主として自動車工場等の生産ラインにおいて、エンジンやミッションをはじめとした自動車組立工程のうち、ネジ・ボルト締付工程にて使用されています。当社製品は、あらゆる使用環境でも緩まないネジ締め付けが品質に大きく影響する自動車産業において特に需要が多く、当社製品の売上は日本国内においては約90%、海外においてはほぼ100%が自動車産業向けとなっております。

世界規模で見た自動車産業は、中国、アメリカ、インド等の新興市場で拡大する可能性が期待できることから、当社グループは、引続き自動車産業への拡販を行い、自動車産業における当社製品のシェア向上に努めていく計画であります。しかしながら、今後、国内外の経済環境の変化や、景気後退による自動車の購買が減少することにより、自動車産業の設備投資額が減少した場合には、当社グループの業績は影響を受ける可能性があります。

当社グループとしては、今後も自動車関連産業に対する販売を強化してまいりますが、あわせて他業種への販路拡大を図ってまいります。

 

(2) 海外販売施策について

当社グループの売上高に占める海外売上高の割合は、自動車産業の生産拠点を海外に移転する動きが活発なことを背景に徐々に高まってきております。

特に中国市場は、今後も大きく成長すると期待されており、また当社は上海に合弁会社を設立し事業展開を行っていることから、中国市場に対する依存度は徐々に高まっていくと想定しております。現在は、当社合弁会社や中国市場への取組みは順調に推移しております。また、米国市場は、積極的な設備投資が継続している中、当社は米国販売子会社を設立し事業展開を行っていることから、今後も順調に推移すると想定しております。しかしながら、今後、政治や経済の変化により当社製品の販売が困難な状況となった場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

海外販売については、仕向け地の増加拡大により、地域リスクの低減・平準化を目指してまいります。

 

(3) 為替変動による影響について

当社グループは、海外市場での拡販に注力していく方針であり、海外向け売上の増加により、外貨建て債権が増加することが予想されます。

外貨建て債権としては特に米ドル建てが中心となることが予想されますので、対米ドル相場が急激な円高となった場合には、大幅な為替差損が発生して予定の利益が確保できない場合があり、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

当社グループは、海外商流の適正化を図り、為替レートの影響を極力低減するとともに、必要に応じて為替予約取引を利用することで、将来の為替変動リスクを回避するよう努めてまいります。

 

(4) 主要部品の特定仕入先への依存について

当社製品の主要部品の一部は、特定仕入先に依存しております。特定仕入先とは良好な関係を維持しており、安定的な製品供給を受けております。

しかしながら、今後業界環境の変化や特定仕入先の製造、販売施策の変更等により安定的な仕入れが確保できなくなった場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

当社グループは、複数仕入先との取引によるリスク分散及び良好な取引関係維持を図ってまいります。

 

(5) 自然災害について

地震や津波、台風等の自然災害が発生し、電力・ガス・水道・交通網の遮断、取引先の被災等により正常な事業活動が阻害された場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

当社グループでは、各種災害に対して損害の発生及び発生時の損害の拡大を最小限に抑えるため、被災状況の把握を行い、顧客、取引先、従業員等の人命尊重を最優先とした上で、営業の継続又は早期の営業再開に向けて対応してまいります。また、損害保険等の付保内容を毎年見直しております。

 

(6) 海外事業活動におけるカントリーリスクの影響について

当社グループは、アジア、米国等グローバルな販売活動を行っております。当該地域における予期しない法律・規制・税制の変更や政治経済情勢の悪化、テロ・戦争等による社会的混乱等、状況によっては当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

当社グループは、海外市場の動向を慎重に見極め、リスクコントロールを徹底することにより、当該リスクの低減に努めてまいります。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

① 財政状態及び経営成績の状況
イ 財政状態
資産の部

当連結会計年度末の資産は、10,730百万円と前連結会計年度末比865百万円の増加となりました。増加の主な内訳は、売掛金が165百万円、仕掛品が420百万円、建物及び構築物が653百万円、投資不動産が134百万円増加した一方、現金及び預金が674百万円減少したためであります。

負債の部

当連結会計年度末の負債は、1,347百万円と前連結会計年度末比192百万円の減少となりました。減少の主な内訳は、受注損失引当金が72百万円、長期未払金が122百万円増加した一方、未払金が58百万円、未払法人税等が201百万円、退職給付に係る負債が145百万円減少したためであります。

純資産の部

当連結会計年度末の純資産は、9,383百万円と前連結会計年度末比1,057百万円の増加となりました。増加の主な内訳は、利益剰余金が904百万円増加したためであります。

 

ロ 経営成績
売上高

当連結会計年度における売上高は7,127百万円と前年同期比408百万円(6.1%)の増収となりました。

主な製品別の売上高につきましては、ハンドナットランナの売上高は4,483百万円と前年同期比253百万円(6.0%)の増収、ナットランナの売上高は1,317百万円と前年同期比56百万円(4.5%)の増収となりました。

営業利益

売上高の増収により売上総利益が3,291百万円と前年同期比123百万円(3.9%)の増益となり、販売費及び一般管理費については、1,800百万円と前年同期比117百万円(7.0%)の増加となった結果、営業利益は、1,490百万円と前年同期比5百万円(0.4%)の増益となりました。

経常利益

持分法による投資利益56百万円などにより、経常利益は1,550百万円と前年同期比16百万円(1.1%)の増益となりました。

親会社株主に帰属する当期純利益

法人税等の計上が402百万円あり、親会社株主に帰属する当期純利益は1,133百万円と前年同期比53百万円(5.0%)の増益となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は1,571百万円となり、前連結会計年度末に比べて674百万円の減少となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フロー別の状況は次のとおりであります。

営業活動によるキャッシュ・フロー

当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは376百万円の収入(前連結会計年度は620百万円の収入)となりました。

これは主に、税金等調整前当期純利益1,555百万円、減価償却費150百万円、長期未払金の増加額122百万円などの増加要因があった一方、退職給付に係る負債の減少額145百万円、売上債権の増加額101百万円、棚卸資産の増加額511百万円、法人税等の支払額598百万円などの減少要因があったことによるものです。

 

 

投資活動によるキャッシュ・フロー

当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは845百万円の支出(前連結会計年度は259百万円の支出)となりました。

これは主に、有形固定資産の取得による支出695百万円、投資不動産の取得による支出134百万円などの減少要因があったことによるものです。

財務活動によるキャッシュ・フロー

当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは244百万円の支出(前連結会計年度は173百万円の支出)となりました。

これは主に、配当金の支払額228百万円などの減少要因があったことによるものです。

 

③ 生産、受注及び販売の状況

イ 生産実績

当連結会計年度における生産実績を製品別に示すと、次のとおりであります。

製品別

 

生産高(千円)

 

前年同期比(%)

ナットランナ

1,144,504

5.5

ハンドナットランナ

3,740,255

1.9

サーボプレス

80,259

△3.2

ネジ締付装置

857,747

5.9

修理・点検・その他

241,052

3.0

合 計

6,063,817

3.1

 

(注) 1 当社グループは、単一セグメントであるため製品別で記載しております。

2 金額は、販売価格によっております。

 

ロ 受注実績

当連結会計年度における受注実績を製品別に示すと、次のとおりであります。

製品別

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

ネジ締付装置

1,283,101

50.5

718,013

145.6

合計

1,283,101

50.5

718,013

145.6

 

(注) 1 当社グループは、単一セグメントであるため製品別で記載しております。

2 見込生産品については、表示しておりません。

 

 

ハ 販売実績

当連結会計年度における販売実績を製品別に示すと、次のとおりであります。

製品別

販売高(千円)

前年同期比(%)

 ナットランナ

1,317,803

4.5

 ハンドナットランナ

4,483,653

6.0

 サーボプレス

80,881

△4.8

 ネジ締付装置

832,680

5.0

 修理・点検・その他

412,813

18.1

合計

7,127,832

6.1

 

(注) 1 当社グループは、単一セグメントであるため製品別で記載しております。

2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、当該割合が100分の10以上に該当する相手先がないため記載を省略しております。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、見積りが必要な事項につきましては、一定の会計基準の範囲内にて合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っております。

当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載したとおりであります。

連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載したとおりであります。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

当連結会計年度における当社を取巻く世界情勢は、コロナの終息による国際ビジネス交流の復活、世界的半導体不足の解消、為替におけるドル高円安など、逆風から追い風に転じてきた1年であったといえます。

しかし一方では、長引く国際紛争や中国経済の低迷など不安定要素も出口の見えない状況で推移してまいりました。

そのような世界情勢のなか、当社の主な販売地域別の状況は以下のとおりです。

 

イ 国内市場

当社主力販売先である自動車産業においては、中国市場でのEVシフト拡大を要因とした日系自動車メーカーの中国市場への投資見直しの影響や、国内メーカーによる認証試験不正問題の影響を受けた設備計画の延期などもあり、期初において見込んでいたコロナ禍で低迷した大型設備投資の回復が芳しくなく、ナットランナ及びハンドナットランナ単体は微増収となったものの、ハンドナットランナを組み込んだ設備及びネジ締付装置においては予算及び前年同期比ともに減収となりました。

ロ 米国市場

米国経済は、堅調な個人消費、失業率の低下、企業景況感の改善などをうけ、実質GDPも当初予想を上回る状況で推移し、自動車産業においても新車販売台数が前年比10%以上も増加し、生産台数も特に日系メーカーが堅調で、全体では前年比2%強の増加となりました。

このような好調な経済環境の中、主力販売先からの堅調な受注に加え、販売先社数を増加すべく、リアルやWEBでの展示会出展や、自社ホームページなどの環境強化により幅広いユーザーへのリーチを高めた結果、着実に新規販売先数の増加とその売上比率の拡大をはかることができました。その結果、ハンドナットランナを中心に販売高が前年比10%を超える増収となりました。

ハ 中国市場

中国経済は、年初の景気持ち直しは一時的で不動産バブル崩壊の影響が大きく、個人消費や貿易が落ち込み、回復の兆しが見えず経済は低迷下で推移してまいりました。

自動車産業においては、輸出台数が前年比50%を超える増加など世界最大の自動車輸出国となりましたが、一方で一部日系自動車メーカーの撤退や投資抑制、現地系新興自動車メーカーの倒産拡大や自動車業界全体での利益率の低下などもあり、設備投資環境は芳しくありませんでした。一部大型の受注があったものの、当社製品販売高においてはハンドナットランナを中心に全体で前年比18%減の減収となりました。

ニ その他の市場

その他市場の品種別販売状況については、インドで日系自動車メーカーの設備投資が堅調でハンドナットランナを中心に前年比300%を超える成長を示し、韓国、スペインなどもハンドナットランナが大きく増加しました。

 

その結果、当連結会計年度の売上状況は、上記の市場環境によりサーボプレス以外の品種で前年比増収となり売上高7,127百万円(前期比6.1%増)となりました。

利益状況は、人件費等の固定費が増加になりましたが、ハンドナットランナ、ナットランナの売上が堅調に推移したことを受け売上高が増加した結果、営業利益1,490百万円(前期比0.4%増)、売上高営業利益率20.9%(前期は22.1%)、経常利益1,550百万円(前期比1.1%増)、売上高経常利益率21.8%(前期は22.8%)、親会社株主に帰属する当期純利益1,133百万円(前期比5.0%増)となりました。

地域別売上においては、国内市場の回復がやや遅く、海外市場でハンドナットランナやナットランナが堅調に推移したこともあり海外売上比率が上昇し、海外売上高4,783百万円(前期比14.1%増)、国内売上高2,344百万円(前期比7.2%減)、売上全体に占める海外売上比率は67.1%(前期は62.4%)、国内売上比率は32.9%(前期は37.6%)となりました。

なお、当社製品は、ネジ締付装置、同部品及びネジ締付工具でありますので、単一セグメントとして市場環境を判断しております。

 

 

③ 経営成績に重要な影響を与える要因について

当社の製品は、生産設備の一部を構成しておりますので、設備投資の動向の影響は少なからず受けます。このため、自動車生産設備以外に売上を分散すること及び海外売上の拡大により設備投資の動向の影響を出来るだけ少なくするよう対応に努めております。

 

④ 資本の財源及び資金の流動性についての分析

当社グループの主な資金需要は、今後予想される経営環境の変化に対応するべく、事業展開への備え、研究開発費用及び設備投資によるものであります。
 これらは、主として営業活動によるキャッシュ・フローを財源としております。
 なお、今後の設備投資の計画については、「第3 設備の状況 3設備の新設、除却等の計画 (1)重要な設備の新設等」をご参照ください。

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

当連結会計年度の研究開発活動は、既存製品であるナットランナ、ハンドナットランナ及びサーボプレスの技術更新開発を課題として取り組んでおり、研究開発費の金額は385百万円となっております。
 技術更新開発については、日本国内の各ユーザーはもとより世界各国のユーザーニーズに対応すべく、ナットランナの次期モデル、ハンドナットランナの小型軽量化、サーボプレスの大能力化などのバリエーションの拡大や各製品の周辺機器の開発に取り組んでおります。
 なお、当社グループは、単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。