文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社企業グループが判断したものであります。
当社企業グループは、100年にわたる歴史のなかで培ってきた、工業用環縫いミシンの専業メーカーとしての確固たる技術力により、世界の「衣料文化」の発展に貢献することを目指しております。また、自動車の安全ベルトの部品製造を主な目的として2007年に立ち上げましたダイカスト部品事業は、自動車を利用される世界中の方々の生命の安全を守る事業として、最高の品質を提供することに努めております。
グローバルな事業展開により世界の人々との交流を深め、信頼される企業活動を展開することを経営理念としており、お客様に最高に満足いただける製品とサービス、品質の提供に努めてまいります。
当社企業グループは、収益性、効率性、健全性、企業価値及び債務返済能力の観点から各種の指標を意識した経営を行ってまいります。当社企業グループでは、売上高に対する営業利益の比率を中長期的に10%以上とすることならびに資本効率性の指標であるROEを8.0%以上とすることを目標とし、持続的な企業価値の向上に取り組んでまいります。また、利益還元に当たっては、配当性向30%を基本方針としております。
当社企業グループは、主力事業である工業用ミシン事業を中心として、自動車部品をはじめとするダイカスト部品事業へ参入することにより、事業の拡大発展に努めておりますが、当社企業グループの製造販売する製品、部品は全世界のユーザーを対象としていることから、世界経済の動向、多様な顧客のニーズへの対処などの様々な課題に対し、適切な対応を求められています。さらに、世界的に見ると新型コロナウイルス感染症の感染拡大は未だ収束時期の見通しが立っておらず、当社企業グループを取り巻く環境は、今後とも不透明な状況が予想されます。ただし、アパレル需要の回復とともに事業活動の再開が進んでおり、それに伴い設備投資の回復が見られるようになりました。また、ダイカスト部品事業におきましても、自動車の需要回復に伴い、当社企業グループもその需要に対応すべく生産活動を推進しております。このような経営環境のもと、当社企業グループは以下の課題に取り組み、効率的なグループ経営を実現するとともに、収益性の向上に取り組んでまいります。
工業用ミシン事業は、世界中において各国のメーカーと熾烈な競争を行っており、それに勝ち抜くため、製品、品質、サービスの3つの差別化を徹底的に推進しております。製品では、開発テーマの明確化及び新製品をタイムリーに開発することを目指し、品質では、ITを駆使した品質の見える化の推進及び測定機器の導入による品質向上に努め、サービスでは、長年培われた技術を縫製業者の問題解決に活かすソリューションをタイムリーに提供することに注力してまいります。
アパレル向け工業用ミシンの主力市場は、これまでの中国からバングラデシュやインド、ベトナムといった他のアジア各国に移動してきております。一方、アパレル製品に対する高付加価値化などの要求から、品質向上に貢献する高級機種や、効率化を可能にする自動化、省力化機器への需要も一段と高まっております。それらに対応すべく、地域ニーズに即応した戦略を立案し、販売網の強化や人材育成に注力してまいります。また、非アパレル市場向け工業用ミシンにより、自動車産業など新たな市場の創造に注力いたします。
当社企業グループは、成長戦略の第2の柱として自動車用部品を中心としたダイカスト部品事業に参入し、収益力の拡大を図ってまいりました。米大陸及び中国における顕著な自動車製造・販売の伸びに加え、新興国における富裕層・中間層の増加などにより、年々自動車生産・販売は増加しており、当事業への需要はさらに拡大していくとみております。それに対応すべく、中国、ベトナム及びメキシコに製造拠点を設けております。さらに2021年6月に、中国南通市に新たな拠点を設立しております。今後も顧客のニーズに合致した部品生産能力の増強ならびに高機能化への対応に併せ、自動車を構成する各部品及びAI部品にも範疇を広げ、地域におけるサプライチェーンを強化し、先進設備投入によるコストダウン・販路拡大を目指しながら、事業を拡大してまいります。
当社企業グループは、製造拠点によるカントリーリスクの回避を目的として、工業用ミシン事業は中国及びベトナムに、ダイカスト部品事業は中国、ベトナム及びメキシコに生産拠点を稼働させてまいりました。今後はそれぞれの地域特性を活かし、新たな技術を盛り込んだ生産体制を構築するとともに、サプライチェーンの一層の強化による部品・製品在庫の適正化及び原価低減を推進してまいります。
当社企業グループは、変化の激しい経営環境にあって企業としての基礎体力を向上させるため、財務体質の強化を行ってまいりました。今後もキャッシュ・フローに重点をおいた経営に注力し、財務体質の強化に努めてまいります。
当社企業グループは、新型コロナウィルス感染症による事業への影響を最小限に抑えるべく、在宅勤務の導入、時差出勤及び臨時休業の実施等の働き方の見直しならびに職場内のソーシャルディスタンスを守る各種対応を行ってまいりました。また、アフターコロナを見据え、縫製工場内のソーシャルディスタンス及び人手に頼らない生産ライン編成について需要の増加を見込み、効率化及び省人化機器への対応にも注力してまいります。
当社企業グループの事業等に関するリスクについて、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を記載しております。なお、当社はこれらのリスク発生の可能性を認識したうえで、発生の回避及び発生した場合の対応に努める所存であります。本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当連結会計年度末現在において、当社企業グループが判断したものであります。
当社製品は、工業用ミシンの中でも環縫いミシンと呼ばれるミシンに特化しており、ユーザーであるアパレル産業の景況によっては、当社企業グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
アパレル製品の生産はグローバル化が進んでおり、海外生産品の品質、価格、納期などの変化及びアパレル産業の生産方針の変更により、当社製品、技術がそのニーズを満たさない、あるいは市場から認められない場合には、当社の販売戦略及び事業展開に影響を及ぼす可能性があります。
また、新型コロナウイルス感染症の影響につきましては、2020年後半から各国で実施されていたロックダウンなどの規制措置が緩和され、当社の工業用ミシン事業も緩やかに回復傾向が見られましたが、世界的なワクチン接種の遅れならびにウイルスの変異等により、経済活動の制限等の影響がある場合には、当社の販売戦略及び事業展開に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、自動車安全シートベルトを構成するリトラクター(巻き取り装置)部品等の製造子会社を嶋本ダイカスト株式会社との共同出資により、2007年1月に中国・天津市、2013年4月にベトナムに拠点を設立いたしました。また当社単独出資により、2016年2月にメキシコのほか、2021年6月に中国・南通市に拠点を設立いたしました。
当社部品はその安全性や世界のサプライチェーンで確固たる地位を築いておりますが、その取引先の経営状況に変化が生じた場合は、当社企業グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
また、新型コロナウイルス感染症の影響につきましては、2020年後半から各国で実施されていたロックダウンなどの規制措置が緩和され、当社のダイカスト部品事業も緩やかに回復傾向が見られましたが、世界的なワクチン接種の遅れならびにウイルスの変異等により、経済活動の制限等の影響がある場合には、当社の販売戦略及び事業展開に影響を及ぼす可能性があります。
一方で、人との接触機会を抑えられる安全な移動手段として、電気自動車を含む乗用車の需要回復も期待できることから、今後の市場回復に備え、適切に準備を進めてまいります。
現在、当社企業グループは、販売の大半を海外市場に依存しておりますが、工業用ミシンを使用する縫製産業は、労働集約型産業の典型であることから、賃金水準の低い国、地域がその主要な生産地となっており、各国の縫製産業に対する政策の違いや物流面の条件などにより、生産拠点が特定の国、地域に集中する傾向も見られます。当社企業グループの販売先であるこのような国々の中には政治的、地政学的、経済的に不安定な国もあり、労働争議、テロ、戦争、内戦、通貨危機、地震等の自然災害などによっては、為替取引の凍結、債務不履行、投資資産の接収などにより、事業継続や海外拠点経営が困難になる可能性があります。
さらに、各国の繊維製品の輸出入に関する規制の強化、あるいは急激な規制緩和が実施されることにより、工業用ミシン市場の需給関係が崩れ、当社企業グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
また、移転価格税制等をはじめとする規制・税制等の変更のような、予測できない事態の発生により、当社企業グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
新型コロナウイルス感染症の影響につきましては、上記(1)工業用ミシン事業について、(2)ダイカスト部品事業についての項目をご参照ください。
工業用ミシン事業における製造拠点の中国集中によるリスク回避を目的として、ベトナムに製造子会社を設立したことにより、ミシン事業の製造拠点は、日本、中国、ベトナムの3カ国に分散されることになり、製造拠点の集中リスクは緩和されております。ダイカスト部品事業におきましても、ベトナムに製造子会社を設立しており、さらには、世界的な自動車部品サプライチェーンを担う生産体制の継続・強化も視野に入れ、メキシコに拠点を設立しております。
しかしながら、自動車用部品の製造を含め、依然として中国に主力となる製造拠点が存在しているため、中国及びベトナムにおけるカントリーリスクをカバーすべく、独立行政法人日本貿易保険の海外投資保険に加入しておりますが、政治的要因による法的規則や商習慣の違いから予測不可能な事態が生じた場合、当社企業グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
また、地震等の天変地異、電力事情の悪化、新型コロナウィルス等の感染症の拡大、その他の予測不可能な事象が発生すれば、同時に工場の操業を一時的に停止せざるを得ない事態が懸念され、併せて従業員の確保や従業員への教育が十分に行き届かなかった場合などは、当社企業グループの財政状態及び経営成績に多大な影響を及ぼす可能性があります。
当社企業グループは、グローバルな事業展開をしており、取引通貨の多くは円以外の通貨となっております。各地域における売上高、費用、資産等の現地通貨建ての項目は、連結財務諸表作成のため円換算しており、換算時の為替レートの変動が当社企業グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社は外貨建て取引について、為替変動に対処するため、為替予約、インパクトローンによってリスクを軽減させる措置を講じておりますが、為替水準の予測を超えた変動が、当社企業グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社企業グループは、他社製品と差別化できる技術の開発及び知識の蓄積に努めており、保有する独自技術については、商標権など他の知的財産権と併せ、権利取得による保護を積極的に図っております。しかしながら、出願が特許と認められない、あるいは権利保護のために講じる手段が成功しなかった場合、第三者の類似品との競合状態が発生し、当社企業グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
一方、当社企業グループでは、第三者の知的財産権を侵害しないように努めておりますが、当社企業グループの認識していない知的財産権に関し訴訟等を提起される可能性があります。このような訴訟等が発生した場合、損害賠償及びロイヤリティ支出が発生する、あるいは事業活動に制約が生じるなど、当社企業グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社企業グループは、独自の品質管理基準に従って各種の製品を製造しております。過去においても製品の欠陥による重大な事故は発生しておりませんが、今後すべての製品について欠陥がなく、将来リコールが発生しないという保証はなく、当社製品もしくはサービスに関連した欠陥及び問題に対して責任を負う可能性があります。製造物責任賠償については保険に加入しておりますが、この保険が最終的に負担する賠償額を充分にカバーできるという保証はありません。
さらに、経済合理性のある条件で当社企業グループがこのような保険を契約期間満了後も更新できるとは限らず、大規模なリコールや製造物責任賠償につながるような製品の欠陥が生じた場合は、当社企業グループの財政状態及び経営成績のほか、ブランドイメージに影響を及ぼす可能性があります。
工業用ミシンは、アパレルの生産地域の動向及びファッションの動向により、使用されるミシンの種類(本縫いミシン、環縫いミシン)に変化が生じる場合があり、環縫いミシンへの需要に変化を及ぼす場合には、当社企業グループの売上高に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社企業グループが製造している環縫いミシンにも多くの種類があり、製品ごとの単価ならびに収益率が異なるため、製品の販売構成比が変化した場合にも、当社企業グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
工業用ミシン事業におきましては、当社企業グループが製造及び販売する各製品の多くは、同業他社の類似製品と競合状態にあり、当社企業グループの製品の優位性が低下すれば、当社企業グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、新興国メーカーの普及価格帯製品の価格下落が進み、価格競争に巻き込まれた場合、当社企業グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
ダイカスト部品事業におきましては、自動車部品業界の材料価格の高騰及び調達先の変更、価格変動動向ならびに地理的・政治的影響を強く受けることがあるため、特定取引先への依存度低減、取引先分散ならびに原価低減などに取り組んでおります。しかしながら、企業努力を上回る価格抑制圧力を受けた場合もしくは取引先の経営状況によっては、当社企業グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(10)金融市場の変動について
当社企業グループは、有利子負債の金利変動リスクを軽減するために主に固定金利調達を行っておりますが、市場金利の上昇は、有利子負債のうち変動金利部分の支払利息を増加させ、当社企業グループの収益を減少させることがあります。また、事業の拡大や技術革新を目指し、新たな投資などによる資金が必要となった際、金融市場の大幅な変化等によっては、資金調達条件が悪化する可能性があります。さらに、当社企業グループの年金資産に関しては、市場性のある証券の公正価値や利子率等、金融市場における変動が、年金制度の積立不足金額や債務を増加させ、当社企業グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(11)人材の確保について
当社企業グループは、海外売上高比率ならびに生産に占める海外比率が高く、激しい競争の中で事業を継続的に発展させるためには、高い専門性をもった世界で活躍できる技術者や、グローバルな経営戦略や組織運営に優れた人材を確保し、育成していく必要があります。しかしながら、日本国内における少子高齢化や労働人口の減少により、人材の確保及び育成が難航した場合、長期的には当社企業グループの事業活動に影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度における当社企業グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」
という。)の状況の概要は次のとおりであります。
当連結会計年度における世界経済は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による経済活動の制限等の影響で著しく悪化しました。一方で、中国においては生産活動がいち早く再開され、設備投資は持ち直しの動きが見られます。しかしながら、全世界的に変異株による感染症の再拡大が見られ、経済を下振れさせるリスクが高まるなど、依然として先行き不透明な状況で推移いたしました。
このような環境のもとで、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は次のとおりであります。
当連結会計年度における資産合計は、前連結会計年度に比べ1億26百万円増加し298億46百万円となりました。負債合計は、前連結会計年度に比べ1億98百万円減少し77億84百万円となりました。純資産合計は、前連結会計年度に比べ3億24百万円増加し220億61百万円となりました。
当連結会計年度における売上高は124億22百万円(前連結会計年度比17.0%減)、営業利益は5億16百万円(前連結会計年度比3.5%増)、経常利益は6億81百万円(前連結会計年度比40.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は7億7百万円(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純損失2億6百万円)となりました。
なお、当連結会計年度における各セグメントの概況は、次のとおりであります。
工業用ミシン事業
新型コロナウイルス感染症の感染拡大が落ち着きを見せ始めた中国が先行して事業活動を再開し、続
いて東南アジアおよび欧米各国でも、経済活動の回復に向けた対応が進められたことにより、弱いなが
らも設備投資需要の回復が見られるようになりましたが、コロナ禍以前の設備投資水準までの回復には
至らず、売上高は96億22百万円(前年同期比21.5%減)、セグメント利益は13億99百万円(前年同期
比13.8%減)となりました。
ダイカスト部品事業
自動車生産は回復基調にあり、販路拡大に向けた販売活動を継続して行った結果、売上高は27億99百
万円(前年同期比3.5%増)、コスト削減などによりセグメント利益は1億33百万円(前年同期はセグメ
ント損失1百万円)となりました。
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は83億13百万円となり、前連結会計年度末に比べ26億65百万円の増加となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況と増減の要因は、次のとおりであります。
営業活動の結果得られた資金は、前連結会計年度に比べ16億54百万円増加し22億57百万円となりました。これは主として未払金の減少額1億41百万円に対し、税金等調整前当期純利益8億38百万円、減価償却費7億60百万円、たな卸資産の減少額7億10百万円、売上債権の減少額1億31百万円などによります。
投資活動の結果得られた資金は、前連結会計年度に比べ22億70百万円増加し6億43百万円となりました。これは主として有形固定資産の取得による支出4億56百万円の支出に対し、有形固定資産の売却による収入10億61百万円などによります。
財務活動の結果支出した資金は、前連結会計年度に比べ7億22百万円減少し1億45百万円となりました。これは主として長期借入による収入額8億47百万円に対し、長期借入金の返済による支出額6億60百万円、配当金の支払額1億73百万円などによります。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 上記の金額は、製造原価によっております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
当社企業グループは、受注生産形態をとらないため、該当事項はありません。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 売上高は、外部顧客に対する売上高であります。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3 総販売実績に対し10%以上に該当する販売先はありません。
経営者の視点による当社企業グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当社企業グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表の作成にあたっては、期末日における資産・負債の金額及び報告期間における収益・費用の金額に影響する見積り、判断および仮定の設定を行っております。当社企業グループにおいて重要性の高い会計上の見積りとして棚卸資産の評価及び繰延税金資産の回収可能性を認識しています。
なお、これらの会計上の見積りの内容に関する理解に資する情報については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
イ.財政状態の分析
(資産の部)
当連結会計年度における資産の額は、298億46百万円と前連結会計年度に比べ1億26百万円の増加となりました。流動資産につきましては、主として現金及び預金が26億60百万円増加したこと、商品及び製品が7億37百万円、原材料及び貯蔵品が3億4百万円、受取手形及び売掛金が2億36百万円それぞれ減少したことなどにより、前連結会計年度に比べ13億55百万円増加となりました。固定資産につきましては、主として有形固定資産が12億88百万円減少したことなどにより、前連結会計年度に比べ12億29百万円減少となりました。
(負債の部)
当連結会計年度の負債の額は、77億84百万円と前連結会計年度に比べ1億98百万円の減少となりました。流動負債につきましては、主として流動負債その他が1億51百万円、支払手形及び買掛金が1億27百万円それぞれ減少したことなどにより、前連結会計年度に比べ3億7百万円減少となりました。固定負債につきましては、主として長期借入金が2億49百万円増加し、長期リース債務が1億9百万円減少したことなどにより、前連結会計年度に比べ1億9百万円増加となりました。また、米ドル建のインパクトローンを活用し米ドル建債権の為替変動リスクに備えております。
(純資産の部)
当連結会計年度の純資産の額は、220億61百万円と前連結会計年度に比べ3億24百万円の増加となりました。親会社株主に帰属する当期純利益の計上による利益剰余金の増加、為替換算調整勘定の減少などによるものであります。また、自己資本比率71.6%について、変化の激しいグローバルマーケットでの競争に備え、一定水準の自己資本比率は必要との認識であります。成長のための投資に必要な内部留保を確保しつつ、業績に左右されない安定的な配当政策と健全な財務基盤の維持に取り組んでまいります。
ロ.経営成績の分析
(売上高)
当連結会計年度における売上高は124億22百万円となり、前連結会計年度に比べ25億46百万円の減収となりました。主な要因は、新型コロナウィルスの感染拡大による経済活動の制限等の影響を受けたことによるものであります。
(営業損益)
当連結会計年度における営業利益は5億16百万円となり、前連結会計年度と比べ17百万円の増益となりました。主な要因は、販売費及び一般管理費の削減による営業利益率の改善によります。なお、営業利益率は4.2%となり、指標とする10%を下回りました。
(経常損益)
当連結会計年度における経常利益は6億81百万円となり、前連結会計年度と比べ1億97百万円の増益となりました。主な要因は、営業外収益の助成金収入が1億85百万円増加したことなどによります。
(親会社株主に帰属する当期純損益)
当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は7億7百万円となり、前連結会計年度と比べ9億13百万円の増益となりました。主な要因は、特別利益に固定資産売却益4億37百万円を計上したことと、税金費用が5億40百万円減少したことなどによります。
セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。
(工業用ミシン事業)
新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響を受け、当社顧客であるアパレル縫製企業が世界各地で生産縮小及び工場の稼働停止を余儀なくされたことにより、当連結会計年度前半の業績は悪化いたしましたが、当連結会計年度後半より、中国及びその他のアジア地域を中心にアパレル縫製企業の生産活動の再開に伴って、当社企業グループの業績も緩やかな回復が見られるようになり、当連結会計年度後半には、全地域で前年同期を上回る水準で推移いたしました。しかしながら、上期の落ち込みはカバーできず、結果、売上高は前年同期比21.5%の減収、セグメント利益は同13.8%の減益となりました。
当社企業グループでは、かねてより製品・品質・サービスの3つの差別化で総合力を高め、顧客対応力の向上による顧客満足の最大化を目指し、企業価値の向上に取り組んでまいりました。この3つの差別化を念頭に置き、中級機種及びハイエンド機種の市場競争力強化のためのリバースエンジニアリングとして、細部に亘る既存機種のブラッシュアップによる縫製品質の向上、利便性の向上、製品ラインナップの拡充を前期同様進めてまいります。また、日本メーカーを猛追してきている中国メーカーへの対抗策としては、2021年4月26日に「ペガサスミシン製造株式会社とJUKI株式会社の事業提携基本契約締結のお知らせ」にて公表いたしました通り、工業用ミシン総合メーカーであるJUKI株式会社との強力な連携により、実効性あるものにしてまいります。
(ダイカスト部品事業)
事業環境につきましては工業用ミシン事業同様、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響により、当連結会計年度前半は低調に推移しましたが、いち早くウイルスの感染拡大を抑制した中国で当連結会計年度後半以降に米州での落ち込みを上回る自動車需要の回復が見られ、その他のアジアにおいても徐々に需要が持ち直したことで、ダイカスト部品事業の売上高は前年同期比3.5%の増収で過去最高を達成いたしました。またセグメント利益は1億33百万円(前年同期はセグメント損失1百万円)の増益となりました。
この数年、米国の通商政策の変革により業績は伸び悩んでおりましたが、自動車販売の回復による需要拡大を捉えるべく、2021年6月にダイカスト部品事業としては4拠点目となる南通ペガサス自動車部品製造有限公司を設立いたしました。また、今後も引き続き新規取引先の開拓ならびに需要拡大を見据えた供給能力強化のための設備投資等を積極的に行い、更なる事業拡大に努めてまいります。
ハ.資本の財源及び資金の流動性
当社企業グループにおける主な資金需要は、営業活動や生産活動に必要な運転資本、販売費、研究開発費等があります。投資活動においては、新規設備投資や更新投資があります。必要な資金は主に営業活動によるキャッシュ・フローで得られる自己資金により調達し、資金の流動性確保のために金融機関には十分な借入枠を有しております。
ニ.目標とする経営指標に関する分析
当連結会計年度はミシン事業が低迷したことにより、売上高営業利益率は中長期的目標である10%以上に対して4.2%となり、ROEは前連結会計年度の△1.0%に対して当連結会計年度は3.3%となりました。引き続き配当性向30%を目安に、業績の変動に左右されない安定的かつ継続的な配当の実現に取り組んでまいります。
特記すべき事項はありません。
工業用ミシン事業は、主にニット衣料等の縫製に使用される環縫いミシンの有力メーカーとして研究開発に注力し、当社独自の固有技術の創出をもって他社との差別化を図ってまいりました。アパレル業界は、デザインや素材の変化が著しく、アパレルの生産現場である縫製工場では日々新しい問題に直面しております。縫製工場が抱える問題に対して、ソリューションを迅速に提供することを研究開発の使命と位置付け、専門のスタッフを配置するとともに新製品の企画から市場投入までのリードタイム短縮に取り組んでおります。開発リードタイムの短縮に向け、当社は販売部門と研究開発部門を同一傘下の本部に組織し、販売部門から得た市場ニーズを同本部内の研究開発部門に繋げ、よりスピーディーな商品開発が可能な組織としております。
そのほか、差別化の一環といたしまして、基礎研究の充実化を図るために機構研究、電子制御、縫製分野を個別に分け、専門分野としてより深く研究を重ねております。さらに、ダイレクトモーター搭載の環縫いミシンの新機種発売にともない、ダイレクトモーター搭載機種専門のモーター事業課を設立し、製品の安定化に向けて取り組んでおります。
また、新機種開発及び新たなセールスポイントの研究も行っており、蓄積した技術を体系的に管理し、確立した技術につきましては随時、新製品に取り込んでおります。研究期間が長期に渡る将来的なテーマも取り上げ、基礎研究の継続と強化を図っております。
当連結会計年度における実績について、産業財産権(特許・実用新案・意匠)に関しては、日本国内外併せて新規出願が3件、登録が4件です。また、研究開発費の総額は、
当社の専門分野である環縫い技術を活かし、難素材を使用した製品に対する品質の向上及び作業用途に応じた偏平縫いミシンの改良を行いました。生産性、縫い目品質に高い評価を得ており、製品化へ向けて対応しております。
当社独自のセミドライ技術を従来の針棒、上ルーパーの各機構に加え、業界初となる上送り機構にも同技術を付加して油汚れ対策を施した上下送りミシンと、縫製品の品質及び生産性向上に貢献する各種付帯省力装置の開発を行い、量産を開始してユーザーから高い評価を得ております。
新型上下送りオーバーロック・安全縫いミシン及び各種省力装置にて培った技術を応用し、コストパフォーマンスに優れた価格帯に抑えた普及型の開発を行い、製品化へ向けて対応しております。
フラットシーマミシンによる縫製品質の向上及びオペレーターの脱技能化の両立が可能な業界初となる特殊生地送り機構の改良を行い、製品化へ向けて対応しております。
当社の専門分野である環縫い技術を応用し、ポスト型及びフラットベッド型の非アパレルミシンの開発を行いました。生産性、縫い目品質に高い評価を得ており、量産を開始してユーザーから高い評価を得ております。
自社で新しいモーターを開発し、操作性の向上、安全性及び省電力性を得ております。さらに、汎用性及び機能性について改良を行い、製品化へ向けて対応しております。
① 研究開発活動の方針及び体制
ダイカスト部品事業は、自動車用安全ベルト関連部品や自動車用ライト部品をはじめとする、競合工場が多いなかで高度技術に到達するのが難しいアルミダイカスト部品につきまして、高品質でコストパフォーマンスに優れた製品を提供するために研究開発を行い、グローバルな事業展開をしております。具体的な方針といたしましては、進化する合金材料への対応及び安全性部品に対する品質チェックなど、製品の効率的かつ安定的な生産に向けた研究開発活動を主として、生産工程における技術の向上に伴う先進設備導入及び金型・治具工具ならびに製品素材の研究に取り組んでおります。
アルミを始めとする各種合金に対するダイカスト製法は異なるため、それに対応する金型素材、抜き勾配ならびに粘着傾向への対策を行い、当社独自の技術力をさらに高めております。
完成後のダイカスト部品を3Dスキャナーで測定することで、取得した3Dデータとサプライヤー等から供給された3Dデータとの比較を瞬時に行い、従来の測定機器では測定できなかった部品内部の精度向上に活用しており、検査プログラム作成の工程削減や測定時間短縮等の品質検査の省力化を実現しております。
自動車用LEDライトに使用されているヒートシンクの機能を兼ねた回路保持部品について、平面度の精度を向上させるために「金型恒温保持装置」及び「金型極点冷却装置」等を用いた研究により、より精度の高い部品の製造を実現しております。
自動車用の配線ハーネスを結束するための部品の素材について、マグネシウムや亜鉛の配合研究やアルマイト処理の研究等を行うことで、素材の強度や軽量化を実現しております。