第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社企業グループが判断したものであります。

(1) 会社の経営の基本方針

当社企業グループは、100年にわたる歴史のなかで培ってきた、工業用環縫いミシンの専業メーカーとしての確固たる技術力により、世界の「衣料文化」の発展に貢献することを目指しております。また、自動車の安全ベルトの部品製造を主な目的として2007年に立ち上げましたオートモーティヴ事業は、自動車を利用される世界中の方々の生命の安全を守る事業として、最高の品質を提供することに努めております。

グローバルな事業展開により世界の人々との交流を深め、信頼される企業活動を展開することを経営理念としており、お客様に最高に満足いただける製品とサービス、品質の提供に努めてまいります。

 

(2) 目標とする経営指標

当社企業グループは、収益性、効率性、健全性、企業価値及び債務返済能力の観点から各種の指標を意識した経営を行ってまいります。当社企業グループでは、売上高に対する営業利益の比率を中長期的に10%以上とすることならびに資本効率性の指標であるROEを8.0%以上とすることを目標とし、持続的な企業価値の向上に取り組んでまいります。また、利益還元に当たっては、配当性向30%を基本方針としております。

 

(3) 中長期的な会社の経営戦略及び会社の対処すべき課題

当社企業グループは、工業用ミシン事業を主力としておりますが、事業の拡大ならびに発展のため、自動車部品を始めとするオートモーティヴ事業へ参入しております。当社企業グループが製造販売する製品及び部品は、全世界のユーザーを対象としていることから、世界経済の動向ならびに多様な顧客のニーズへの対処などの様々な課題に対して適切な対応を求められます。さらに、新型コロナウイルス感染症の拡大がいまだ一進一退の状況であることなどを含め、当社企業グループを取り巻く環境は、今後とも不透明な状況が予想されます。このような経営環境のもと、当社企業グループは以下の課題に取り組み、効率的なグループ経営を実現するとともに、収益性の向上に取り組んでまいります。

① 他メーカーとの差別化の徹底

工業用ミシン事業は、国内外の各メーカーと熾烈な競争を行っており、それに勝ち抜くための施策として、製品、品質、サービスの3つの要素に対して他メーカーとの差別化を徹底的に推進しております。製品では、開発テーマの明確化及び新製品をタイムリーに開発することを目指し、品質では、ITを駆使した品質の見える化の推進及び最新鋭の測定機器の導入による品質向上に努め、サービスでは、長年に亘り培われた技術を縫製業者の問題解決に活かすソリューションをタイムリーに提供することの注力に努めてまいります。

② 市場の創造及び拡大

工業用ミシン事業の主力市場は、これまでの中国からバングラデシュ、インド及びベトナムといった他のアジア各国に移動してきております。一方、アパレル製品に対する高機能化などの要求から、品質向上に貢献する高級機種、効率化を可能にする自動化及び省力化機器への需要も一段と高まっております。それらに対応すべく、地域ニーズに即応した戦略を立案し、販売網の強化及び人材育成の注力に努めてまいります。

③ オートモーティヴ事業の拡大

当社企業グループは、成長戦略の第2の柱として自動車用部品を中心としたオートモーティヴ事業に参入し、収益力の拡大を図ってまいりました。そしてグローバルなマーケットに対応すべく、中国、ベトナム及びメキシコに製造拠点を設けております。今後も生産能力の増強ならびに高機能化への対応に併せ、自動車を構成するさらなる新規部品にも取り組み、セールスエンジニア投入による販路拡大に努めてまいります。

④ 生産体制の効率化

当社企業グループは、製造拠点によるカントリーリスクの回避を目的として、工業用ミシン事業は中国及びベトナムに、オートモーティヴ事業は中国、ベトナム及びメキシコに生産拠点を稼働させてまいりました。今後はそれぞれの地域特性を活かし、新たな技術を盛り込んだ生産体制を構築するとともに、サプライチェーンの一層の強化による部品・製品在庫の適正化及び原価低減の推進に努めてまいります。

 

⑤ 財務体質の強化

当社企業グループは、変化の激しい経営環境にあって企業としての基礎体力を向上させるため、財務体質の強化を行ってまいりました。今後もキャッシュ・フローに重点をおいた経営に注力し、財務体質の強化に努めてまいります。

⑥ 新型コロナウイルス感染症等の対応

当社企業グループは、新型コロナウィルス感染症による事業への影響を最小限に抑えるべく、社内的には在宅勤務の導入、時差出勤及び臨時休業の実施などの働き方の見直しを行ってまいりました。さらには、職場内感染を抑えるべく、消毒及びソーシャルディスタンスの徹底ならびに会議室及び食堂にアクリル板を設置するなど各種対応を行ってまいりました。また、お客様に対してはアフターコロナを見据え、縫製工場内のソーシャルディスタンス及び人手に頼らない生産ライン編成について需要の増加を見込み、効率化及び省人化機器への対応の注力に努めてまいります。

 

2 【事業等のリスク】

当社企業グループの事業等に関するリスクについて、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を記載しております。なお、当社はこれらのリスク発生の可能性を認識したうえで、発生の回避及び発生した場合の対応に努める所存であります。本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当連結会計年度末現在において、当社企業グループが判断したものであります。

 

(1) 工業用ミシン事業について

当社企業グループの製品は、工業用ミシンのなかでも環縫いミシンと呼ばれるミシンに特化しており、ユーザーであるアパレル産業の景況によっては、当社企業グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。アパレル製品の生産はグローバル化が進んでおり、海外生産品の品質、価格、納期などの変化ならびにアパレル産業の生産方針の変更により、当社の製品もしくは技術がそのニーズを満たさない、あるいは市場から認められない場合には、当社企業グループの販売戦略及び事業展開に影響を及ぼす可能性があります。また、新型コロナウイルス感染症の影響につきましては、2020年後半から各国で実施されていたロックダウンなどの規制措置が緩和され、当社企業グループの工業用ミシン事業も緩やかに回復傾向が見られましたが、世界的なワクチン接種の遅れならびにウイルスの変異などにより、経済活動の制限などの影響がある場合には、当社企業グループの販売戦略及び事業展開に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) オートモーティヴ事業について

当社は、自動車安全シートベルトを構成するリトラクター(巻き取り装置)部品などの製造子会社を嶋本ダイカスト株式会社との共同出資により、2007年に中国・天津市、2013年にベトナムに拠点を設立いたしました。また当社単独出資により、2016年にメキシコ、2021年に中国・南通市に拠点を設立いたしました。

当社企業グループの部品は、その安全性ならびに世界のサプライチェーンで確固たる地位を築いておりますが、その取引先の経営状況に変化が生じた場合は、当社企業グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

また、新型コロナウイルス感染症の影響につきましては、2020年後半から各国で実施されていたロックダウンなどの規制措置が緩和され、当社企業グループのオートモーティヴ事業も緩やかに回復傾向が見られましたが、世界的なワクチン接種の遅れならびにウイルスの変異などにより、経済活動の制限などの影響がある場合には、当社企業グループの販売戦略及び事業展開に影響を及ぼす可能性があります。一方で、人との接触機会を抑えられる安全な移動手段として、電気自動車を含む乗用車の需要回復も期待できることから、今後の市場回復に備え、適切に準備を進めてまいります。

 

(3) 海外での事業活動について

当社企業グループは、販売の大半を海外市場に依存しており、工業用ミシンを使用する縫製産業は労働集約型産業の典型であることから、賃金水準の低い国・地域がその主要な生産地となっております。各国の縫製産業に対する政策の違い及び物流面の条件などにより、生産拠点が特定の国・地域に集中する傾向も見られます。当社企業グループの販売先であるこのような国々のなかには政治的、地政学的、経済的に不安定な国もあり、労働争議、テロ、戦争、内戦、通貨危機などによる為替取引の凍結、債務不履行、投資資産の接収、もしくは地震などの自然災害によっては海外拠点経営が困難になる可能性があります。

さらに、各国の繊維製品の輸出入に関する規制の強化、あるいは急激な規制緩和が実施されることにより、工業用ミシン市場の需給関係が崩れ、当社企業グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

また、移転価格税制を始めとする規制・税制などの変更による予測できない事態の発生により、当社企業グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

新型コロナウイルス感染症の影響につきましては、上記(1)工業用ミシン事業について、(2)オートモーティヴ事業についての項目をご参照ください。

 

(4) 生産拠点の集中について

工業用ミシン事業において製造拠点の中国集中によるリスク回避を目的として、ベトナムに製造子会社を設立したことにより、工業用ミシン事業の製造拠点が、日本、中国及びベトナムの3カ国に分散されることにより、製造拠点の集中リスクは緩和されております。同様にオートモーティヴ事業におきましても、中国以外の拠点としてベトナムに製造子会社を設立しており、さらには、世界的な自動車部品サプライチェーンを担う生産体制の継続・強化も視野に入れ、メキシコにも拠点を設立しております。

しかしながら、両事業とも、主力となる製造拠点が中国及びベトナムに存在しているため、両国におけるカントリーリスクをカバーすべく、独立行政法人日本貿易保険の海外投資保険に加入しておりますが、政治的要因による法的規則及び商習慣の違いもしくは地震などの天変地異、電力事情の悪化及びその他の予測できない事態が発生した場合、工場の操業を同時に停止せざるを得ない事態が懸念されます。併せて、従業員の確保ならびに教育が十分に行き届かなかった場合などは、当社企業グループの財政状態及び経営成績に多大な影響を及ぼす可能性があります。

新型コロナウイルス感染症の影響につきましては、上記(1)工業用ミシン事業について、(2)オートモーティヴ事業についての項目をご参照ください。

 

(5) 為替の影響等について

当社企業グループは、グローバルな事業展開をしており、取引通貨の多くは円以外の通貨となっております。各地域における売上高、費用、資産などの現地通貨建ての項目は、連結財務諸表作成のため円換算しており、換算時の為替レートの変動が当社企業グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社は外貨建て取引について、為替変動に対処するために、為替予約、インパクトローンによってリスクを軽減させる措置を講じておりますが、為替水準の予測を超えた変動が発生した場合、当社企業グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) 知的財産権について

当社企業グループは、他社製品と差別化できる技術の開発及び知識の蓄積に努めており、保有する独自技術については、商標権などを含めたほかの知的財産権と併せ、権利取得による保護を積極的に図っております。しかしながら、出願が特許と認められない、あるいは権利保護のために講じる手段が成功しなかった場合、第三者の類似品との競合状態が発生し、当社企業グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

一方、当社企業グループでは、第三者の知的財産権を侵害しないように努めておりますが、当社企業グループの認識していない知的財産権に関し訴訟などを提起される可能性があります。このような訴訟などが発生した場合、損害賠償及びロイヤリティ支出の発生、あるいは事業活動に制約が生じるなど、当社企業グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(7) 製品の欠陥について

当社企業グループは、独自の品質管理基準にしたがって各種の製品を製造しております。過去においても製品の欠陥による重大な事故は発生しておりませんが、今後すべての製品について欠陥がなく、将来リコールが発生しないという保証はなく、当社製品もしくはサービスに関連した欠陥及び問題に対して責任を負う可能性があります。製造物責任賠償については保険に加入しておりますが、この保険が最終的に負担する賠償額を充分にカバーできるという保証はありません。

さらに、経済合理性のある条件で当社企業グループがこのような保険を契約期間満了後も更新できるとは限らず、大規模なリコールや製造物責任賠償に繋がるような製品の欠陥が生じた場合は、当社企業グループの財政状態及び経営成績のほか、ブランドイメージに影響を及ぼす可能性があります。

 

(8) 工業用ミシン製品の構成比の変化による収益力低下について

工業用ミシンは、アパレルの生産地域の動向及びファッションの動向により、使用されるミシンの種類(本縫いミシン、環縫いミシン)に変化が生じる場合があり、環縫いミシンへの需要に変化を及ぼす場合には、当社企業グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

また、当社企業グループが製造している環縫いミシンにも多くの種類があり、製品ごとの単価ならびに収益率が異なるため、製品の販売構成比が変化した場合にも当社企業グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9) 競合等の影響について

工業用ミシン事業におきましては、当社企業グループが製造及び販売する各製品の多くは、同業他社の類似製品と競合状態にあり、当社企業グループの製品の優位性が低下すれば、当社企業グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、新興国メーカーの普及価格帯製品の価格下落が進み、価格競争に巻き込まれた場合、当社企業グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

オートモーティヴ事業におきましては、自動車部品業界の材料価格の高騰及び調達先の変更、価格変動動向ならびに地理的・政治的影響を強く受けることがあるため、特定取引先への依存度低減、取引先分散ならびに原価低減などに取り組んでおりますが、企業努力を上回る価格抑制圧力を受けた場合もしくは取引先の経営状況によっては、当社企業グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10)金融市場の変動について

当社企業グループは、緩和的な金融環境を踏まえ変動金利調達も行っているため、市場金利の上昇が、有利子負債のうち変動金利部分の支払利息を増加させ、当社企業グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。さらには、事業の拡大や技術革新を目指し、新たな投資などによる資金が必要となった場合、金融市場の大幅な変化などによっては、資金調達条件が悪化する可能性があり、また当社企業グループの年金資産に関しては、市場性のある証券の公正価値や利子率など、金融市場における変動が年金制度の積立不足金額や債務を増加させ、当社企業グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(11)人材の確保について

売上及び製造ともに海外比率が高い当社企業グループにとって、激しい競争のなかで事業を継続的に発展させるためには、高い専門性をもった世界で活躍できる技術者ならびにグローバルな経営戦略や組織運営に優れた人材を確保し、育成していく必要がありますが、日本国内における少子高齢化及び労働人口の減少によって、人材の確保及び育成が難航した場合、長期的には当社企業グループの事業活動に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社企業グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

①財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度における世界経済は、新型コロナウイルス感染症の再拡大が見られるなか、先進国を中心としたワクチン接種の進展とともに経済活動も再開し、全般的に景気の持ち直しが見られました。一方で、中国ゼロコロナ政策による経済減速、海上輸送コストの高騰及び輸送遅延、半導体を始めとする部材供給不足に加えて、足元ではロシアによるウクライナ侵攻の長期化ならびにエネルギー価格の高騰など、依然として予断を許さない状況が続いております。

このような環境のもとで、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は次のとおりとなりました。
 

イ.財政状態

当連結会計年度における資産合計は、前連結会計年度に比べ52億87百万円増加し351億33百万円となりました。負債合計は、前連結会計年度に比べ19億82百万円増加し97億66百万円となりました。純資産合計は、前連結会計年度に比べ33億5百万円増加し253億66百万円となりました。

 

ロ.経営成績

当連結会計年度における売上高は204億98百万円(前連結会計年度比65.0%増)、営業利益は18億47百万円(前連結会計年度比257.4%増)、経常利益は19億41百万円(前連結会計年度比184.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は15億72百万円(前連結会計年度比122.3%増)となりました。

 

当連結会計年度における各セグメントの概況は、次のとおりであります。なお、当連結会計年度より、報告セグメントの名称を変更しております。当社企業グループ事業名称の詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項」に掲げる「セグメント情報等」のとおりであります。

 

工業用ミシン事業

 世界的なアパレル需要の回復により、縫製産業の設備投資が活発化し、工業用ミシン事業グループ

の総力をもって製品供給に応えたことから、売上高は164億82百万円(前年同期比71.3%増)、セグ

メント利益は27億23百万円(前年同期比94.7%増)となりました。
 

オートモーティヴ事業

 半導体の不足などにより、自動車生産の停止もしくは遅延の影響を受けましたが、新規立ち上げ部

品に対する投資効果により、売上高は40億15百万円(前年同期比43.4%増)、セグメント利益は

1億74百万円(前年同期比30.9%増)となりました。
 

 

②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は97億33百万円となり、前連結会計年度末に比べ14億19百万円の増加となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況と増減の要因は、次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は、前連結会計年度に比べ3億76百万円減少し18億80百万円となりました。これは主として税金等調整前当期純利益19億30百万円、仕入債務の増加額10億10百万円、減価償却費8億32百万円に対し、売上債権の増加額15億82百万円、法人税等の支払額2億93百万円、棚卸資産の増加額1億24百万円などによります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果支出した資金は、前連結会計年度に比べ10億75百万円増加し4億32百万円となりました。これは主として有形固定資産の取得による支出7億55百万円に対し、定期預金の払戻による収入4億78百万円などによります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果支出した資金は、前連結会計年度に比べ5億27百万円増加し6億73百万円となりました。これは主として長期借入金の返済による支出4億52百万円、配当金の支払額3億47百万円、リース債務の返済による支出1億3百万円に対し、短期借入金の純増加額3億円などによります。

 

③生産、受注及び販売の状況

イ. 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(千円)

前年同期比(%)

工業用ミシン事業

8,008,469

66.7

オートモーティヴ事業

3,571,864

70.1

合計

11,580,334

67.7

 

(注) 上記の金額は、製造原価によっております。

 

ロ. 受注実績

当社企業グループは、受注生産形態をとらないため、該当事項はありません。

 

ハ. 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(千円)

前年同期比(%)

工業用ミシン事業

16,482,534

71.3

オートモーティヴ事業

4,015,833

43.4

合計

20,498,367

65.0

 

(注) 1 売上高は、外部顧客に対する売上高であります。

2 総販売実績に対し10%以上に該当する販売先はありません。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社企業グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

①重要な会計方針及び見積り

当社企業グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表の作成にあたっては、期末日における資産・負債の金額及び報告期間における収益・費用の金額に影響する見積り、判断及び仮定の設定を行っております。当社企業グループにおいて重要性の高い会計上の見積りとして棚卸資産の評価及び繰延税金資産の回収可能性を認識しています。

なお、これらの会計上の見積りの内容に関する理解に資する情報については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

イ.財政状態の分析

(資産の部)

当連結会計年度における資産の額は、351億33百万円と前連結会計年度に比べ52億87百万円の増加となりました。流動資産につきましては、主として受取手形及び売掛金が20億56百万円、現金及び預金が11億14百万円、原材料及び貯蔵品が3億34百万円それぞれ増加したことなどにより、前連結会計年度に比べ42億14百万円増加となりました。固定資産につきましては、主として有形固定資産が8億93百万円、投資その他の資産1億48百万円増加したことなどにより、前連結会計年度に比べ10億72百万円増加となりました。

(負債の部)

当連結会計年度の負債の額は、97億66百万円と前連結会計年度に比べ19億82百万円の増加となりました。流動負債につきましては、主として支払手形及び買掛金が12億80百万円、短期借入金が5億17百万円、未払法人税等が1億53百万円それぞれ増加したことなどにより、前連結会計年度に比べ21億84百万円増加となりました。固定負債につきましては、主として長期借入金が3億31百万円減少したことなどにより、前連結会計年度に比べ2億1百万円減少となりました。また、米ドル建のインパクトローンを活用し米ドル建債権の為替変動リスクに備えております。

(純資産の部)

当連結会計年度の純資産の額は、253億66百万円と前連結会計年度に比べ33億5百万円の増加となりました。親会社株主に帰属する当期純利益の計上による利益剰余金の増加、為替換算調整勘定の増加などによるものであります。また、自己資本比率70.0%について、変化の激しいグローバルマーケットでの競争に備え、一定水準の自己資本比率は必要との認識であります。成長のための投資に必要な内部留保を確保しつつ、業績に左右されない安定的な配当政策と健全な財務基盤の維持に取り組んでまいります。

 

ロ.経営成績の分析

(売上高)

当連結会計年度における売上高は204億98百万円となり、前連結会計年度に比べ80億75百万円の増収となりました。主な要因は、新型コロナウイルス感染症が再拡大しつつも先進国を中心にしたワクチン接種進展にともない経済活動が再開し全体として景気の持ち直しが見られたことによるものであります。

(営業損益)

当連結会計年度における営業利益は18億47百万円となり、前連結会計年度と比べ13億30百万円の増益となりました。材料費や輸送コスト高騰に伴う原価悪化及び経費負担の増加によりマイナスの影響を受けましたが、売上高の大幅な回復により前連結会計年度対比で257.4%増となりました。なお、営業利益率は9.01%と指標とする10%を下回りました。

(経常損益)

当連結会計年度における経常利益は19億41百万円となり、前連結会計年度と比べ12億59百万円の増益となりました。

(親会社株主に帰属する当期純損益)

当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は15億72百万円となり、前連結会計年度と比べ8億65百万円の増益となりました。法人税、住民税及び事業税が所得の増加により前連結会計年度比3億33百万円増加しております。

 

セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。

(工業用ミシン事業)

工業用ミシン事業は、先進国を中心とした地域での新型コロナウイルス感染症ワクチン接種の普及にともない、世界的にアパレル需要が回復し販売拡大へと繋がりました。また、依然として続く海上輸送の混乱や輸送費の高騰等を背景に消費地近隣諸国からの発注が増加するとともに、昨年締結いたしましたJUKI株式会社との事業提携に関しましても、実績を残すことができました。

この結果、通期の売上高は前連結会計年度と比べ71.3%増、セグメント利益は前連結会計年度と比べ94.7%増となり、コロナ禍以前の水準を上回る過去最高水準の売上げを達成することができました。

今後につきましては、コロナ禍でのライフスタイルの変化により伸縮素材への需要が年々増加しており、それに伴う素材の多様化や、それらを組み合わせたより縫製難易度の高いウェアの登場が予想されます。こうしたニーズに対応するためにも、製品・品質・サービスの3つの差別化をベースとした、縫製品質の向上・利便性の向上・製品ラインナップの拡充に、引き続き取り組んでまいります。

 

(オートモーティヴ事業)

オートモーティヴ事業は、半導体を始めとした部品調達遅延などによる自動車の減産や、材料費高騰の影響を受けたものの、かねての投資効果により新規立ち上げ部品が引き続き好調でした。

この結果、通期の売上高は前連結会計年度と比べ43.4%増、セグメント利益は前連結会計年度と比べ30.9%増となり、過去最高の売上高を達成することができました。

今後につきましては、地理的優位性(中国・ベトナム・メキシコ)を活かした新規取引先の開拓を進めてまいります。また、国際輸送の混乱や輸送費の高騰を受け、消費地近隣諸国での調達需要が高まってきております。こうしたニーズを取りこぼすことがないよう生産能力の増強やセールスエンジニアの投入に努めてまいります。

 

 

ハ.資本の財源及び資金の流動性

当社企業グループにおける主な資金需要は、営業活動や生産活動に必要な運転資金、販売費、研究開発費などがあります。投資活動においては、新規設備投資や更新投資があります。必要な資金は主に営業活動によるキャッシュ・フローで得られる資金を充当し、必要に応じて金融機関からの借入金による調達を実施しております。引き続き、事業計画に基づく資金需要、金融市場の調達環境、既存借入金の返済時期などを考慮のうえ、株式市場や金融機関からの調達を適宜判断してまいります。

なお、当連結会計年度末において、複数の金融機関との間で合計36億80百万円の当座貸越契約を締結し、資金需要に備えております(借入未実行残高24億5百万円)。

また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は97億33百万円を有し、資金の流動性は十分に確保しているものと認識しております。

 

ニ.目標とする経営指標に関する分析

当連結会計年度は工業用ミシン事業の回復により、売上高営業利益率は中長期的目標である10%以上に対して前連結会計年度の4.2%から当連結会計年度は9.0%となり、ROEは3.3%から6.8%となりました。引き続き配当性向30%を目安に、業績の変動に左右されない安定的かつ継続的な配当の実現に取り組んでまいります。

 

4 【経営上の重要な契約等】

特記すべき事項はありません。

 

5 【研究開発活動】

(1) 工業用ミシン事業

① 研究開発活動の方針及び体制

工業用ミシン事業は、主にニット衣料などの縫製に使用される環縫いミシンの研究開発に注力し、当社独自の固有技術の創出をもって他社との差別化を図ってまいりました。アパレル業界は、デザインならびに素材の変化が著しく、アパレルの生産現場である縫製工場では日々新しい問題に直面しております。縫製工場が抱える問題に対して、ソリューションを迅速に提供することを研究開発の使命と位置付け、専門スタッフを配置するとともに新製品の企画から市場投入までのリードタイム短縮に取り組んでおります。開発リードタイムの短縮に向け、当社は販売部門と研究開発部門を同一傘下の本部に組織し、販売部門から得た市場ニーズを同本部内の研究開発部門に繋げ、よりスピーディーな商品開発が可能な組織としております。

そのほか、差別化の一環といたしまして、基礎研究の充実化を図るために機構研究、電子制御、縫製分野を各々の組織に分け、それぞれ特化した研究を重ねております。さらに、ダイレクトモーターを搭載している環縫いミシンの需要拡大に対応するため、モーターに特化した組織を設け、製品の研究開発及び安定化に向けて取り組んでおります。

また、新機種開発のみならず既存機種のブラッシュアップも行っており、新たに確立した技術を既存機種に取り込み、さらなる品質の向上及びコストダウンを図っております。研究期間が長期に渡る将来的なテーマも取り上げ、基礎研究の継続及び強化を図っております。

当連結会計年度における研究開発の実績について、産業財産権(特許・実用新案・意匠)に関しては、日本国内外併せて新規出願が4件、登録が1件です。また、研究開発費の総額は、408百万円であります。

 

 

② 主な研究開発の成果

・偏平縫いミシンの改良

当社の専門分野である環縫い技術を活かし、難素材を使用した製品に対する品質の向上及び作業用途に応じた偏平縫いミシンの改良を行いました。生産性、縫い目品質に高い評価を得ており、製品化へ向けて対応しております。

・新型上下送りオーバーロック・安全縫いミシン及び各種省力装置の開発

当社独自のセミドライ技術を従来の針棒、上ルーパーの各機構に加え、業界初となる上送り機構にも同技術を付加して油汚れ対策を施した上下送りミシンと、縫製品の品質及び生産性向上に貢献する各種付帯省力装置の開発を行い、量産を開始してユーザーから高い評価を得ております。

普及型の上下送り・シリンダーミシンの開発

新型上下送りオーバーロック・安全縫いミシン及び各種省力装置にて培った技術を応用し、コストパフォーマンスに優れた価格帯に抑えた普及型の開発を行い、製品化へ向けて対応しております。

フラットシーマ偏平縫いミシンの改良

スポーツ用途のコンプレッションタイツなどの難素材にも対応し、縫い目をフラットに縫製する事で快適な肌触りを実現し、4本針縫製などにより、耐久性にも優れた縫製を実現しております。また、従来、オペレーターの高い熟練度が求められる縫製工程に対し、脱技能化を図り、かつ、難素材への縫製品質の向上も実現した業界初となる特殊生地送り機構の改良を行い、ユーザーから高い評価を得ております。

・非アパレル用二重環縫いミシンの開発

当社の専門分野である環縫い技術を応用し、ポスト型及びフラットベッド型の非アパレルミシンの開発を行いました。生産性、縫い目品質に高い評価を得ており、量産を開始してユーザーから高い評価を得ております。

・小型ダイレクトドライブモーターの改良

従来モーターと同等の性能を実現した業界でトップクラスの回転数の自社製モーターを開発し、改良を重ねております。また、小型ダイレクトドライブモーターと制御盤をミシン本体に搭載した普及型オーバーロック・安全縫いミシン及び偏平縫いミシンの開発を行いました。各省力装置との組み合わせが可能で、操作性の向上、安全性及び省電力性を備えており、ユーザーから高い評価を得ております。

 

(2) オートモーティヴ事業

① 研究開発活動の方針及び体制

オートモーティヴ事業は、自動車用安全ベルト関連部品及び自動車用照明部品を始めとした、ダイカスト部品を、高品質かつコストパフォーマンスに優れた製品を提供するために研究開発を行い、グローバルな事業展開をしております。具体的な活動といたしましては、進化する合金材料への対応及び安全性部品に対する品質チェックなど、製品の効率的かつ安定的な生産に向けた研究開発活動を主として、生産工程における技術の向上に伴う先進設備導入及び金型・治具工具ならびに製品素材の研究に取り組んでおります。

 

② 主な研究開発の成果
・製造技術の研究

アルミを始めとする各種合金に対するダイカスト製法は異なるため、それに対応する金型素材、抜き勾配ならびに粘着傾向への対策を行い、当社独自の技術力をさらに高めております。

・品質検査の省力化及び精度の向上

完成後のダイカスト部品を3Dスキャナーで測定することで、取得した3Dデータ及びサプライヤーなどから供給された3Dデータとの比較を瞬時に行い、従来の測定機器では測定できなかった部品内部の測定精度向上に繋がるため、検査プログラム作成の工程削減や測定時間短縮などの品質検査の省力化を実現しております。

・高精度な自動車用LEDヘッドライト部品の開発

自動車用LEDヘッドライトに使用されているヒートシンクの機能を兼ねた回路保持部品について、平面度の精度を向上させるために「金型恒温保持装置」及び「金型極点冷却装置」などを用いた研究により、より精度の高い部品の製造を実現しております。

・素材や表面処理の研究

自動車用の配線ハーネスを結束するための部品の素材について、マグネシウム及び亜鉛の配合研究ならびにアルマイト処理の研究などを行うことで、素材の強度や軽量化を実現しております。