第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社企業グループが判断したものであります。

(1) 会社の経営の基本方針

当社企業グループは、100年を超える歴史のなかで培ってきた、工業用環縫いミシンの専業メーカーとしての確固たる技術力により、世界の「衣料文化」の発展に貢献することを目指しております。また、2007年に立ち上げましたオートモーティヴ事業は、自動車用安全ベルト及びエンジンルームの関連部品等の自動車部品を通して、世界中の方々の生命の安全を守る事業として、最高の品質を提供することに努めております。

グローバルな事業展開により世界の人々との交流を深め、信頼される企業活動の展開を経営理念としており、お客様に最高の満足を提供できる製品、サービス及び品質の提供に努めてまいります。

 

(2) 目標とする経営指標

当社企業グループは、収益性、効率性、健全性、企業価値及び債務返済能力の観点から各種の指標を意識した経営を行ってまいります。当社企業グループでは、売上高に対する営業利益の比率を中長期的に10%以上とすることならびに資本効率性の指標であるROEを8.0%以上とすることを目標とし、持続的な企業価値の向上に取り組んでまいります。また、利益還元にあたっては、配当性向30%以上を基本方針としております。

 

(3) 中長期的な会社の経営戦略及び会社の対処すべき課題

当社企業グループは、アパレルマシナリー事業及びオートモーティヴ事業の2事業を展開しております。当社企業グループが製造販売する製品及び部品は、全世界のユーザーを対象としていることから、世界経済の動向ならびに多様な顧客ニーズへの対処などの様々な課題に対して適切な対応を求められます。さらには、ロシア・ウクライナ情勢の長期化、中国経済の低迷、また第2次トランプ政権による外交・通商政策など、当社企業グループを取り巻く環境は、今後とも不透明な状況が予想されます。

このような経営環境のもと、当社企業グループは以下の課題に取り組み、効率的なグループ経営を実現するとともに、収益性の向上に加えて、当社「サステナビリティ方針」に基づくサステナビリティ委員会において特定したマテリアリティを踏まえながら、関連課題にも持続的に取り組んでまいります。

① 他メーカーとの差別化の徹底

アパレルマシナリー事業は、国内外の各メーカーと熾烈な競争を行っており、それに勝ち抜くための施策として、製品、サービス、品質の3つの要素に対して他メーカーとの差別化を徹底的に推進しております。製品では、開発テーマの明確化及び新製品をタイムリーに開発することを目指し、サービスでは、長年に亘り培われた技術を縫製業者の問題解決に活かすソリューションをタイムリーに提供することに注力し、品質では、ITを駆使した品質の見える化の推進及び最新鋭の測定機器の導入による品質向上に努めてまいります。

② 市場の創造及び拡大

アパレルマシナリー事業の主力市場は、これまでの中国からバングラデシュ、インド及びベトナムといった他のアジア各国に移動してきております。一方、アパレル製品はデザインや素材の多様化が進み高度な縫製技術が要求されており、品質安定ならびに脱技能化に向けた自動化及び省力化機器への需要も一段と高まっております。それらの環境変化に対応すべく、地域ニーズに即応した戦略を立案し、販売網の強化及び人材育成の注力に努めてまいります。

③ オートモーティヴ事業の拡大

当社企業グループは、成長戦略の第2の柱として自動車用部品を中心としたオートモーティヴ事業に参入し、収益力の拡大を図ってまいりました。そしてグローバルなマーケットに対応すべく、中国、ベトナム及びメキシコに製造拠点を設けております。今後も生産能力の増強ならびに高機能化への対応に併せ、自動車を構成するさらなる新規部品にも取り組み、セールスエンジニア投入による販路拡大に努めてまいります。

④ 生産体制の効率化

当社企業グループは、製造拠点によるカントリーリスクの回避を目的として、アパレルマシナリー事業は中国及びベトナムに、オートモーティヴ事業は中国、ベトナム及びメキシコに製造拠点を稼働させてまいりました。今後はそれぞれの地域特性を活かし、新たな技術を盛り込んだ生産体制を構築するとともに、サプライチェーンの一層の強化による部品・製品在庫の適正化及び原価低減の推進に努めてまいります。

 

⑤ 財務体質の強化

当社企業グループは、変化の激しい経営環境にあって企業としての基礎体力を向上させるため、財務体質の強化を行ってまいりました。今後もキャッシュ・フローに重点をおいた経営に注力し、財務体質の強化に努めてまいります。

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社企業グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社企業グループが判断したものであります。

 

(1)ガバナンス

当社は、取締役会で決議した「サステナビリティ方針」に基づき「サステナビリティ規程」を設け、この規程に従ってサステナビリティ推進に関する体制を整備しております。

社内体制につきましては、最高責任者を代表取締役社長、執行責任者を各事業分野における担当本部長、執行者を担当副本部長又は担当役員と定め、各種ポリシーや目標、施策の検討・立案を目的に「サステナビリティ委員会」を設置し、各部門と協力して体制整備や各種施策を実行してまいります。

 

【サステナビリティ推進体制図】


 

①サステナビリティ方針

PEGASUSが操業した1900年代の初頭、ミシン市場を席巻した海外製の輸入製品に対し、「この手でミシン国産化を果たしたい」との想いが、当社の出発点でした。

創業より110年を迎え、新たな100年とその先の未来に向けて、「人と技術を通じて、よりよい製品・サービス・品質の提供に取り組み、社会の発展に貢献すること」を企業理念に掲げ、社員一人ひとりの成長と活躍を支える環境を整えながら、様々な事業活動を通じて社会の発展に寄与することをPEGASUSは目指しています。

「PEGASUSは、いつだって人のそばにある」の想いを胸に、持続的な社会の発展に貢献し、当社の中長期的な企業価値向上を目指していきます。

 

②サステナビリティ委員会

当社では、代表取締役社長を委員長、本部長を委員とするサステナビリティ委員会を設置しております。

委員会は、委員長、運営リーダー、委員、事務局及び委員長が任命した者で構成しております。

委員会は、各部門と協力して、サステナビリティ方針に基づく運営に係る体制整備や各種施策を実行し、各種ポリシーや目標、各種施策等活動内容を、定期的に取締役会等で報告を行い、取締役会はそれらの活動に対し審議・監督ならびに提言を行うことでモニタリングが図られております。

 

③サステナビリティ委員会の活動状況

当事業年度において、サステナビリティ委員会は計3回開催しております。

主な内容は、マテリアリティの特定と具体的対応の検討及び価値創造プロセスの策定に関する審議となります。

なお、委員会での協議事項については、取締役会へ定期的に報告し、取締役会はサステナビリティ活動に対する監督・提言を行います。

年月

会議

主な協議事項・報告事項等

2024年7月~12月

サステナビリティ委員会

事務局打合せ

(全16回)

サステナビリティ委員会事務局を中心に延べ16回の打合せを経て「マテリアリティ」及び「価値創造プロセス」の原案を作成。

2024年12月

サステナビリティ委員会

「マテリアリティ」及び「価値創造プロセス」の原案について説明。選定された8つのマテリアリティ及び価値創造プロセス図について協議のうえで特定。

2024年12月

取締役会

サステナビリティ委員会にて特定された「マテリアリティ」及び「価値創造プロセス」について報告のうえで決議。併せて、「サステナビリティ方針」の改訂について審議を経て決議。

2025年1月

サステナビリティ委員会

事務局にて「マテリアリティ」の取組内容を選定し委員会にて協議のうえ、各本部に対し具体的な取組内容及びアクションプランの策定を指示。

2025年3月

サステナビリティ委員会

1月開催のサステナビリティ委員会を受けて、各本部にて策定した「マテリアリティ」の具体的な取組内容、数値目標及びアクションプランについての内容を検証。

⇒4月開催の取締役会にて、上記内容を報告。

 

 

(2)戦略

当社は、激しく変化する外部環境のなかで適切に事業活動を推進していくために、あらゆる社会環境の変化に伴うリスク・機会に対し、持続可能な社会発展に繋がる対応を検討してまいります。

こうした考えのもと、当社企業グループが持続的な企業価値の向上と持続可能な社会の実現に向けて、重要度の高い課題のなかから特に優先して取り組むべきものをマテリアリティとして特定しております。

 


 

なお、当連結会計年度末現在において、当社が掲げるマテリアリティのうち「働きがいのある職場環境の実現」及び「人的資本の拡充」に関する方針は次のとおりであります。

 

①働きがいのある職場環境の実現

 多様な社員が健康・安全・快適で働きやすい職場環境及び仕組みの整備ならびに意欲をもって活躍できる組織の構築について、積極的に取り組んでいく所存であります。特に女性活躍の推進に向け、女性社員が自身の強みを活かして活躍できる組織及びそれを支援しうる制度づくりに取り組んでおります。

 現時点において、当社は以下について取り組んでおります。

 

イ.育児短時間勤務期間の長期化

 現在の育児・介護休業法における育児短時間勤務期間は子が3歳に達するまでとなっておりますが、当社は子育て期間中の社員がより働きやすい職場環境の提供をすべく、子が小学4年生に進級する前日までの連続36ヶ月間としております。

 

ロ.男性社員の育児休業の取得啓蒙

 男性社員が育児休業を取得しやすいよう、職場における理解及び組織体制の構築に取り組んでおります。

 

ハ.若手社員定着率向上に向けたブラザー・シスター制度

 入社3年までの若手社員に対して、中堅クラスの先輩社員を充て、仕事及び職場での悩みなどを相談できるブラザー・シスター制度を設け、定着率向上の仕組みづくりに取り組んでおります。

 

②人的資本の拡充

 企業活動の持続性において「人材」は欠かせないものであり、性別・年齢・国籍・キャリア等にとらわれることのない積極的な採用活動のもと、人材の獲得に取り組んでおります。特に新卒を対象とした定期採用に加え、スキル及び経験を重視したキャリア採用も積極的に実施しております。また、女性活躍の推進にあわせ、文系・理系問わず、性別を問わない採用に取り組んでおります。

 また、育成については、職位ごとに求められる能力の習得を目的とした研修はもとより、若手社員を年代別に分け、それぞれの年代で早い段階からの自立的なキャリア構築に向けた研修に取り組み、さらに必要時には海外での研修も実施しております。

 なお、新卒として採用したプロパー社員とスキル及び経験を重視して採用したキャリア社員がうまく融合し、イノベーションを創出できる環境作りにも取り組んでおります。

 なお、人材確保に関するリスクの内容については、「3 事業等のリスク (11)人材の確保について」をご参照ください。

 

(3)リスク管理

当社において、全社的なリスク管理は、各部署にて検討した内容を管理本部にて取りまとめ、最終的には取締役会で決議をしたのちにその内容について、管理本部より管理・監督・モニタリングをしております。

サステナビリティに係るリスク及び機会についてはサステナビリティ委員会で討議を行い、マテリアリティ及び重要評価指標(KPI)の設定に活用し、持続的な企業価値向上につなげてまいります。

 

①マテリアリティの特定及び評価のプロセス

当社は、企業理念及びサステナビリティ方針の考え方に基づき、リスク及び機会を踏まえ、重点的に取り組むべきサステナビリティ領域をマテリアリティとして8項目を特定しました。


 

 

②リスク及び機会を管理するプロセス

サステナビリティ最高責任者である代表取締役社長は、優先順位の高いリスク及び機会を有するマテリアリティについては対応担当本部を指定し、その対応策の策定を指示しております。

指定された担当本部が策定する対応策は、サステナビリティ委員会及び取締役会等において審議されたうえで、各担当本部・担当部署にて実行されております。

サステナビリティ委員会は各本部から報告される情報などに基づき、マテリアリティ対応策の実行状況のモニタリングを定期的に行うほか、個別の問題解決に係る協議・施策の立案・進捗管理を行い、取締役会にて報告いたします。

 

(4)指標及び目標

上記「(2)戦略」において記載した「働きがいのある職場環境の実現」と「人的資本の拡充」について、当社においては、関連する指標のデータ管理とともに、具体的な取り組みが行われているものの、連結グループに属する全ての会社では行われてはいないため、連結グループにおける記載が困難であります。このため、次の指標に関する目標及び実績は、連結グループにおける主要な事業を営む提出会社のものを記載しております。当該指標に関する目標及び実績は、次のとおりであります。

 

①女性活躍関連

指標

目標

実績

前事業年度

当事業年度

女性管理職比率

2030年まで15

12

21%

女性マネジメント職比率(注)

2030年まで25

21

25%

女性社員比率

2030年まで35

29

29%

 

(注) マネジメント職は管理職に相当する職位及びその一つ手前の職位者の合計であります。

 

②男性社員の育児休業取得率

指標

目標

実績

前事業年度

当事業年度

男性社員の育児休業取得率

80以上を維持

50%

 

(注) 前事業年度については、対象者がいないため記載しておりません。

 

新入社員定着率

指標

目標

実績

前事業年度

当事業年度

新入社員定着率

90以上を維持

89.5

100%

 

 

3 【事業等のリスク】

当社企業グループの事業等に関するリスクについて、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を記載しております。なお、当社はこれらのリスク発生の可能性を認識したうえで、発生の回避及び発生した場合の対応に努める所存であります。本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当連結会計年度末現在において、当社企業グループが判断したものであります。

 

(1) アパレルマシナリー事業について

当社企業グループのアパレルマシナリー事業における製品は、工業用ミシンのなかでも環縫いミシンと呼ばれるミシンに特化しており、ユーザーであるアパレル産業の景況ならびに消費者動向による影響によっては、当社企業グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

アパレル製品の生産はグローバル化が進んでおり、海外生産品の品質、価格、納期などの変化ならびにアパレル産業の生産方針の変更により、当社製品もしくは技術がそのニーズを満たさない、あるいは市場から認められない場合には、当社企業グループの販売戦略及び事業展開に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) オートモーティヴ事業について

当社企業グループのオートモーティヴ事業における製品は、その安全性ならびに世界のサプライチェーンで確固たる地位を築いておりますが、その取引先の経営状況に変化が生じた場合は、当社企業グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 海外での事業活動について

当社企業グループの販売及び製造は、大半が海外に依存しております。また、アパレルマシナリー事業の製品を使用する縫製産業は労働集約型産業の典型であることから、賃金水準の低い国・地域がその主要な生産地となっており、各国の縫製産業に対する政策の違い及び物流面の条件などにより、生産拠点が特定の国・地域に集中する傾向も見られます。

当社企業グループの取引先であるこのような国々のなかには、政治的、地政学的、経済的に不安定な国もあり、労働争議、テロ、戦争、内戦、通貨危機などによる為替取引の凍結、債務不履行、投資資産の接収、もしくは地震などの自然災害によっては海外拠点経営が困難になる可能性があります。

さらに、アパレルマシナリー事業における各国繊維製品の輸出入に関する規制の急激な強化もしくは緩和が実施されることにより、市場の需給関係が崩れ、当社企業グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

また、移転価格税制を始めとする規制・税制などの変更による予測できない事態の発生により、当社企業グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 生産拠点の集中について

アパレルマシナリー事業において製造拠点の中国集中によるリスク回避を目的として、ベトナムに製造子会社を設立したことにより、アパレルマシナリー事業の製造拠点が、日本、中国及びベトナムの3カ国に分散され、製造拠点の集中リスクは緩和されております。同様にオートモーティヴ事業におきましても、中国以外の拠点としてベトナムに製造子会社を設立しており、さらには世界的な自動車部品サプライチェーンを担う生産体制の継続・強化も視野に入れ、メキシコにも拠点を設立しております。

しかしながら、両事業とも、主力となる製造拠点が中国及びベトナムに存在しているため、両国におけるカントリーリスクをカバーすべく、独立行政法人日本貿易保険の海外投資保険に加入しておりますが、政治的要因による法的規則及び商習慣の違いもしくは地震などの自然災害、電力事情の悪化及びその他の予測不可能な事態が発生した場合、工場の操業を同時に停止せざるを得ない事態が懸念されます。併せて、従業員の確保ならびに教育が十分に行き届かなかった場合などは、当社企業グループの財政状態及び経営成績に多大な影響を及ぼす可能性があります

 

(5) 為替の影響等について

当社企業グループは、グローバルな事業展開をしており、取引通貨の多くは円以外の通貨となっております。各地域における売上高、費用、資産などの現地通貨建ての項目は、連結財務諸表作成のため円換算しており、換算時の為替レートの変動が当社企業グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

そのため当社は外貨建て取引について、為替変動に対処するためにインパクトローンによってリスクを軽減させる措置を講じる場合があります。

 

(6) 知的財産権について

当社企業グループは、製品の開発にあたり商標権、特許権及び実用新案等を取得しております。当社企業グループでは、これら保有する知的財産権の保護を積極的に図っており、他社製品と差別化できる独自技術の開発及び知識の蓄積に努めております。

しかしながら、出願が特許と認められないあるいは権利保護のために講じる手段が成功しなかった場合、第三者の類似品との競合状態が発生し、当社企業グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

一方、当社企業グループでは、第三者の知的財産権を侵害しないように努めておりますが、当社企業グループの認識していない知的財産権に関し訴訟などを提起される可能性があります。このような訴訟等が発生した場合、損害賠償及びロイヤリティ支出の発生あるいは事業活動に制約が生じるなど、当社企業グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(7) 製品の欠陥について

当社企業グループは、独自の品質管理基準に従って各種の製品を製造しております。過去においても製品の欠陥による重大な事故は発生しておりませんが、今後全ての製品について欠陥がなく、将来リコールが発生しないという保証はなく、当社企業グループの製品もしくはサービスに関連した欠陥及び問題に対して責任を負う可能性があります。製造物責任賠償については保険に加入しておりますが、この保険が最終的に負担する賠償額を充分にカバーできるという保証はありません。

さらに、経済合理性のある条件で当社企業グループがこのような保険を契約期間満了後も更新できるとは限らず、大規模なリコールや製造物責任賠償に繋がるような製品の欠陥が生じた場合は、当社企業グループの財政状態及び経営成績のほか、ブランドイメージに影響を及ぼす可能性があります。

 

(8) 工業用ミシン製品の構成比の変化による収益力低下について

アパレルマシナリー事業における製品は、アパレルの生産地域の動向及びファッションの動向により、使用されるミシンの種類に変化が生じる場合があり、環縫いミシンへの需要に変化を及ぼす場合には、当社企業グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

また、当社企業グループが製造している環縫いミシンにも多くの種類があり、製品ごとの単価ならびに収益率が異なるため、製品の販売構成比が変化した場合にも、当社企業グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9) 競合等の影響について

アパレルマシナリー事業におきましては、当社企業グループが製造及び販売する各製品の多くは、同業他社の類似製品と競合状態にあり、当社企業グループの製品の優位性が低下すれば、当社企業グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、新興国メーカーの普及価格帯製品の価格下落が進み、価格競争に巻き込まれた場合、当社企業グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

オートモーティヴ事業におきましては、自動車部品業界の材料価格の高騰及び調達先の変更、価格変動動向ならびに地理的・政治的影響を強く受けることがあるため、特定取引先への依存度低減、取引先分散ならびに原価低減などに取り組んでおりますが、企業努力を上回る価格抑制圧力を受けた場合もしくは取引先の経営状況によっては、当社企業グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10)金融市場の変動について

当社企業グループは、緩和的な金融環境を踏まえ主に変動金利調達を行っているため、市場金利の上昇が、有利子負債のうち変動金利部分の支払利息を増加させ、当社企業グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

さらには、事業の拡大や技術革新を目指し、新たな投資などによる資金が必要となった場合、金融市場の大幅な変化などによっては、資金調達条件が悪化する可能性があり、また当社企業グループの年金資産に関しては、市場性のある証券の公正価値や利子率など、金融市場における変動が年金制度の積立不足金額や債務を増加させ、当社企業グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(11)人材の確保について

当社企業グループは、売上及び製造ともに海外比率が高く、激しい競争のなかで事業を継続的に発展させるためには、高い専門性をもった世界で活躍できる技術者ならびにグローバルな経営戦略や組織運営に優れた人材を確保し、育成していく必要がありますが、近年は少子高齢化等による労働人口の減少によって、人材の確保及び育成が難航した場合、長期的には当社企業グループの事業活動に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社企業グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

①財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度における世界経済は、ロシア・ウクライナ紛争の長期化、中東情勢の緊迫化による地政学的リスクの高まり等、先行きが不透明な状況が続いたものの、インフレの沈静化による実質所得の改善などを背景に、全体としては緩やかな回復基調となりました。
 このような環境のもとで、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は次のとおりとなりました。

 

イ.財政状態

当連結会計年度における資産合計は、前連結会計年度に比べ34億42百万円増加463億91百万円となりました。負債合計は、前連結会計年度に比べ4億8百万円増加127億54百万円となりました。純資産合計は、前連結会計年度に比べ30億33百万円増加336億37百万円となりました。

 

ロ.経営成績

当連結会計年度の売上高は220億40百万円(前年同期比25.6%増)、営業利益は15億73百万円(前年同期比15億34百万円増)、経常利益は15億55百万円(前年同期比10億43百万円増)、親会社株主に帰属する当期純利益は9億64百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失72百万円)となりました。

 

アパレルマシナリー事業

南アジア(バングラデシュ・インド等)を中心とした設備投資需要が引き続き回復基調であったことに加え、景気が減速している中国におきましても、着実に内需を獲得できたことなどにより、売上高は138億52百万円(前年同期比44.0%増)、セグメント利益は14億14百万円(前年同期はセグメント損失69百万円)となりました。

 

オートモーティヴ事業

中国の景気減速の影響を受けましたが、新規顧客の獲得、既存顧客との取引拡大、原価改善に努め、売上高は81億87百万円(前年同期比3.4%増)、セグメント利益は12億64百万円(前年同期比5.4%増)となりました。

 

 

②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は83億33百万円となり、前連結会計年度末に比べ3億円の減少となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況と増減の要因は、次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は、24億42百万円(前連結会計年度比219.0%増)となりました。これは主として税金等調整前当期純利益15億55百万円、減価償却費13億20百万円、仕入債務の増加額7億45百万円に対し、売上債権の増加額19億4百万円などによります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果支出した資金は、16億41百万円(前連結会計年度比50.3%減)となりました。これは主として定期預金の預入による支出13億19百万円、有形固定資産の取得による支出10億41百万円に対し、定期預金の払戻による収入6億40百万円などによります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果支出した資金は、15億19百万円(前連結会計年度は12億98百万円の収入)となりました。これは主としてリース債務の返済による支出8億35百万円長期借入金の返済による支出4億58百万円などによります。

 

③生産、受注及び販売の状況

イ. 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(千円)

前年同期比(%)

アパレルマシナリー事業

7,577,694

45.8

オートモーティヴ事業

6,077,417

5.9

合計

13,655,111

24.8

 

(注) 上記の金額は、製造原価によっております。

 

ロ. 受注実績

当社企業グループは、受注生産形態をとらないため、該当事項はありません。

 

ハ. 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(千円)

前年同期比(%)

アパレルマシナリー事業

13,852,874

44.0

オートモーティヴ事業

8,187,450

3.4

合計

22,040,325

25.6

 

(注) 1 売上高は、外部顧客に対する売上高であります。

2 総販売実績に対し10%以上に該当する販売先はありません。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社企業グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

①重要な会計方針及び見積り

当社企業グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表の作成にあたっては、期末日における資産・負債の金額及び報告期間における収益・費用の金額に影響する見積り、判断及び仮定の設定を行っております。当社企業グループにおいて重要性の高い会計上の見積りとして棚卸資産の評価を認識しています。

なお、これらの会計上の見積りの内容に関する理解に資する情報については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
イ.財政状態の分析

(資産の部)

流動資産は、前連結会計年度末に比べて29億95百万円増加し、310億74百万円となりました。これは、受取手形及び売掛金が25億5百万円現金及び預金4億29百万円、商品及び製品が31百万円それぞれ増加し、その他68百万円減少したことなどによります。

固定資産は、前連結会計年度末に比べて4億46百万円増加し、153億17百万円となりました。これは、有形固定資産が5億46百万円増加し、投資その他の資産が1億1百万円減少したことなどによります。

この結果、総資産は前連結会計年度末に比べて34億42百万円増加し、463億91百万円となりました。

(負債の部)

流動負債は、前連結会計年度末に比べて8億81百万円減少し、77億75百万円となりました。これは、支払手形及び買掛金12億39百万円その他61百万円それぞれ増加し、短期借入金が15億10百万円、リース債務が7億80百万円それぞれ減少したことなどによります。

固定負債は、前連結会計年度末に比べて12億89百万円増加し、49億79百万円となりました。これは、長期借入金が10億54百万円増加したことなどによります。

この結果、負債合計は前連結会計年度末に比べて4億8百万円増加し、127億54百万円となりました。

(純資産の部)

純資産は、前連結会計年度末に比べて30億33百万円増加し、336億37百万円となりました。これは、為替換算調整勘定が21億54百万円、利益剰余金が8億40百万円それぞれ増加したことなどによります。

 

ロ.経営成績の分析

(売上高)

当連結会計年度における売上高は220億40百万円となり、前連結会計年度に比べ44億97百万円の増収となりました。アパレルマシナリー事業におきましては、南アジアを中心とした設備投資需要が回復基調であったことに加え、中国におきましても着実な内需獲得により増収を実現しました。

オートモーティヴ事業におきましては、中国の景気減速の影響を受けるなか、新規顧客の獲得、既存顧客の取引拡大により売上を維持しました。

(営業損益)

当連結会計年度における営業利益は15億73百万円となり、前連結会計年度と比べ15億34百万円の増益となりました。売上増加、原価改善、為替変動などによるものであります。

(経常損益)

当連結会計年度における経常利益は15億55百万円となり、前連結会計年度と比べ10億43百万円の増益となりました。営業外収益が1億86百万円の一方、営業外費用が2億4百万円発生したことによるものです。

(親会社株主に帰属する当期純損益)

当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は9億64百万円となり、前連結会計年度と比べ10億37百万円の増益となりました。法人税等合計4億37百万円ならびにオートモーティヴ事業の堅調な業績から非支配株主に帰属する当期純利益1億52百万円計上したことが主な要因となります。

 

セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。

(アパレルマシナリー事業)

アパレルマシナリー事業につきましては、米州及び欧州地域では、米国大統領選挙を控えていたことや、政治不安などを背景に設備投資に対して慎重な姿勢が継続いたしました。一方、南アジア地域においては、バングラデシュの外貨事情の改善、インド政府による衣料品輸出業者への税制優遇措置の延長などが追い風となり、堅調に推移いたしました。中国においては、不動産市況の悪化などを背景とした景気停滞といった課題はあるものの、貿易摩擦を懸念した生産地移転の動きが後押しし、全体としては回復基調を維持いたしました。

この結果、通期の売上高は前連結会計年度と比べ44.0%増、セグメント利益は14億14百万円(前連結会計年度はセグメント損失69百万円)となりました。

今後につきましては、縫製工場における熟練工の確保が難しくなるなか、自動化や省力化の性能を有するミシンへの需要が高まっており、当社ではデジタル制御ミシンの開発を進めております。加えて、より幅広い顧客へのニーズに対応するため、主に低価格市場の開拓を目的とした価格競争力を有した機種の市場投入を進めております。それにより、当社の対象顧客の拡大を図り、あらゆる顧客層から信頼されるブランドを目指します。

 

(オートモーティヴ事業)

オートモーティヴ事業につきましては、通期を通じて中国の景気減速や米国の通商政策の動向など、不透明な外部環境が続いたものの、世界の自動車販売台数は前年比微増で推移するなか、当社としましてはグローバル供給体制の拡充とともに、新規顧客の開拓ならびに既存顧客からの要望に丁寧に対応することで、業績は堅調に推移いたしました。

この結果、通期の売上高は前連結会計年度と比べ3.4%増、セグメント利益は前連結会計年度と比べ5.4%増となりました。

今後につきましては、中国は市場落ち込みから来る値下げ要請、アジアは主要供給先であるタイ経済回復の不調、メキシコはアメリカの関税問題と、経営環境は厳しさを増しておりますが、世界3か国4拠点の生産体制の強みを活かし、新規顧客及び新規部品の獲得を継続し、持続的な成長と事業拡大に努めてまいります。

 

ハ.資本の財源及び資金の流動性

当社企業グループにおける主な資金需要は、営業活動や生産活動に必要な運転資金、販売費、研究開発費などがあります。投資活動においては、新規設備投資や更新投資があります。必要な資金は主に営業活動によるキャッシュ・フローで得られる資金を充当し、必要に応じて金融機関からの借入金による調達を実施しております。引き続き、事業計画に基づく資金需要、金融市場の調達環境、既存借入金の返済時期などを考慮のうえ、株式市場や金融機関からの調達を適宜判断してまいります。

なお、当連結会計年度末において、複数の金融機関との間で合計71億80百万円の当座貸越契約を締結し、資金需要に備えております(借入未実行残高48億30百万円)。併せて、設備投資などを目的として15億50百万円の長期借入金を実行いたしました。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は83億33百万円を有し、資金の流動性は十分に確保しているものと認識しております。

 

ニ.目標とする経営指標に関する分析

当社企業グループは2024年度を初年度とする中期経営計画のもと、2026年度には、売上高300億円、営業利益32億円、営業利益率10.5%、ROE8.6%、配当性向30%以上を目標として、中期的な企業価値の向上と持続的成長を目指しております。

そのなかで、当連結会計年度(2024年度)は、アパレルマシナリー事業の売上の回復、原価改善などにより、売上高220億40百万円、営業利益15億73百万円、売上高営業利益率7.1%、ROE3.1%、配当性向33.4%となりました。

 

5 【重要な契約等】

重要な契約等は次のとおりであります。

 

(財務上の特約が付された金銭消費貸借契約)

 

シンジケートローン

コミット型シンジケートローン

相手型の属性

都市銀行、信託銀行、地方銀行

都市銀行、信託銀行、地方銀行

契約締結日

2018年3月9日

2023年8月28日

最終返済日

2026年8月31日

2034年8月31日

債務の期末残高

386百万円

3,000百万円

資金使途

本社建設費用

当社子会社の設備投資資金

担保の内容

土地及び建物

財務制限条項

連結会計年度末における連結損益計算書上の経常損益を2期連続して損失としないこと

連結会計年度末における連結損益計算書上の営業損益を2期連続して損失としないこと

 

 

6 【研究開発活動】

(1) アパレルマシナリー事業

① 研究開発活動の方針及び体制

当社企業グループのアパレルマシナリー事業は、主にニット衣料などの縫製に使用される環縫いミシンの研究開発に注力し、当社独自の固有技術の創出をもって他社との差別化を図ってまいりました。一方アパレル業界は、デザインならびに素材の進化・多様化が著しく、アパレルの生産現場である縫製工場では日々新しい問題に直面しております。当社企業グループとしては、縫製工場が抱える問題に対して、ソリューションを迅速に提供することを研究開発の使命と位置付けております。その実現のため、当社研究開発部門、販売部門及び製造部門を同一傘下の本部とした新体制に加え、中国製造子会社研究開発部門及び製造部門との協業によるコンカレントエンジニアリング(設計・製造・販売の同時進行化)を継続して、開発リードタイムの短縮に取り組んでおります。

また、以下の施策を継続して研究開発活動に取り組んでおります。

・省力機器の開発(ユーザーフレンドリー対応)

・モーター一体型ミシンの開発

・次世代縫製機械(デジタル制御)の開発

・市場ニーズに即した縫製仕様への対応

・縫製・技術に関する基礎研究に注力

当連結会計年度における研究開発の実績について、産業財産権(特許・実用新案・意匠)に関しては、日本国内外併せて新規出願が12件です。また、研究開発費の総額は、609百万円であります。

 

② 主な研究開発の取組

偏平縫いミシン(WX600P)の開発

新型シリンダー型偏平縫いミシンの開発を行いました。シリンダー先端形状を工夫・改良したことにより、縫い目の品質向上ならびにミシン自体のメンテナンスを容易にするユーザーフレンドリーを意識した設計としました。量産を開始してユーザーから高い評価を得ております。

普及型のビルトインモーター一体型オーバーロックミシン(MXneo/D422・D442)の開発

オーバーロックミシン、安全縫いミシン及び各種省力装置の開発にて培った技術を活かし、モーターとその制御盤をミシン本体に搭載した普及型オーバーロックミシン及び安全縫いミシンにおいて、モーターとその制御盤をよりコンパクト化し、ミシン本体に埋め込んだビルトイン電装一体型ミシンの開発を行い、製品化へ向けて対応しております。

普及型の上下送り・シリンダーミシン(MXT/MX5100)の開発

縫製時において、縫い合わせる上下の布の縫いずれを防ぐ上下送りオーバーロックミシン、安全縫いミシン及び各種省力装置の開発にて培った技術を応用し、コストパフォーマンスに優れた普及型ミシンの開発を行いました。量産を開始してユーザーから高い評価を得ております。

フラッグシップ機のオーバロックミシン(EXTneo/EXT5100neo)の開発

オーバーロック上下送り、シリンダーミシン及び各種省力装置の開発にて培った技術を活かし、高機能、高性能及び高品質を備えたハイエンドモデル機の開発、製品化へ向けて対応しております。

・戦略機のビルトインモーター一体型オーバーロックミシン(M900neo/DP22)の開発

オーバーロックミシン、安全縫いミシン及び各種省力装置の開発にて培った技術を活かし、モーターとその制御盤をミシン本体に搭載した戦略機のオーバーロックミシン及び安全縫いミシンにおいて、モーターとその制御盤をよりコンパクト化し、ミシン本体に埋め込んだビルトイン電装一体型ミシンの開発を行い、製品化へ向けて対応しております。

 

(2) オートモーティヴ事業

① 研究開発活動の方針及び体制

当社企業グループのオートモーティヴ事業は、自動車用安全ベルト及びエンジンルームの関連部品等の車載用ダイカスト部品を高品質かつコストパフォーマンスに優れた製品を提供するための研究開発を行い、グローバルな事業展開をしております。

具体的な活動といたしましては、日々進化する合金材料への対応及び安全性部品に対する品質チェックなど、製品の効率的かつ安定的な生産に向けた研究開発活動を主として、生産工程における技術の向上に伴う先進設備導入及び金型・治具工具の研究に取り組んでおります。

 

② 主な研究開発の取組
・真空吸引鋳造

一般的なダイカスト製法では対応が困難であった部品へ幅広く対応するために、真空吸引鋳造を取り入れることで、不良品発生の原因となる鋳巣への対応を強化し、中物部品への拡充に取り組んでおります。

・スクイズダイカスト法

鋳巣のなかでも比較的大きな空洞であるひけ巣による鋳造欠陥のリスクを減らすべく、スクイズダイカスト法を研究・検討し、強度部品及び耐圧部品に対応できる部品づくりを目指します。

・金型研究

金型に使用される素材・表面処理の研究を行うことで、より精度が高く、耐久性のある金型の作製に取り組んでまいります。さらには、流動解析を用いたシミュレーション技術を通して的確な条件を導き出し、設計から完成までの一貫生産の実現に取り組んでまいります。