第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中における将来に関する事項の記載は、本書提出日(2026年6月23日)現在において当社グループが判断したものです。

(1)経営方針

 当社グループは、「我々は勇敢に技術革新を追求し 人格を養い能力を高め社会の発展に寄与する」という創業の精神(綱領)に基づきながら、時代時代で生まれてくるお客さまの製品と同様に、当社グループも常に、新しい技術への挑戦と革新を続けることで、時代の変化に対応してきました。また、新しい市場、お客さま、製品技術に関わることで、当社グループの成長につなげるとともに、世界中での仕事を通じて個人の見聞を広げ、個人の能力を高め、世界で競争できる能力を高めてまいりました。

 2022年度以降は、長期的な経営方針として、「人技幸献」というスローガンを掲げております。これは「Hirataに関わるすべての人を幸福にするとともに、社会に技術で貢献する」という意味であり、 Hirataは技術があってこそ、技術は人があってこそ、Hirataは働く社員の幸せがあってこそ存在するということを表現したものでもあります。当該方針のもと、その実現に向けた中期的な経営戦略として、お客さまの次世代製品に対応した設備革新をおこなうとともに、お客さまと当社グループ双方の利益の最大化を目指しております。

 今後もあらゆるステークホルダーの皆さまとのコミュニケーションを深めながら、企業の持続的な成長に向けて取組んでまいります。

 

(2)外部環境認識

 当社グループが成長市場と位置付ける分野における設備投資は、地域や製品分野ごとに変動はあるものの、全体としては拡大傾向にあります。

 自動車市場においては、2023年後半以降、BEV(電気自動車)向け投資に一部減速が見られる一方、ICE(内燃機関)およびHEV(ハイブリッド車)向けの設備投資は引き続き堅調に推移しております。半導体市場では、生成AIの急速な普及を背景に、データセンター向け投資需要が牽引し、市場の拡大が続くと見込まれます。これらの外部環境を踏まえ、自動化・省人化ソリューションに対する期待はさらに高まると認識しております。

 一方で、地政学リスクに起因するエネルギー価格の高騰、物価上昇、為替変動等は、調達コストや人件費の上昇を通じて当社グループの収益性に影響を及ぼしております。こうした外部環境を踏まえ、当社グループでは、提供価値に見合った適正価格の実現および公正・適正な取引関係の構築に取組んでおります。

 また、人材確保および人件費上昇への対応として、物価上昇を上回る賃金改定を実施するとともに、中長期的な事業戦略を支える人的資本への積極的な投資を継続しております。

 

(3)中期経営計画の取組み

①中期経営計画(2025-2027年度)の実績

 中期経営計画(2025-2027年度)においては、高利益体質の実現とビジネス領域の拡大を図り、持続的・安定的な利益創出を目的として、2028年3月期の営業利益100億円以上、ROE9.3%以上に加え、計画期間中において売上高年平均成長率(CAGR)6~8%の達成を目標として掲げております。本中期経営計画の数値目標に対して、当期は売上高949億6百万円、営業利益83億15百万円、営業利益率8.8%、ROE8.4%となりました。

 なお、加重平均資本コスト(WACC)9.4%に対して投下資本利益率(ROIC)は5.8%でした。WACCについては、前期6.0%に対して上昇しておりますが、売上債権の回収に伴う借入金の返済と市場評価に伴う株価の上昇による時価ベースでの株主資本比率の増加が主な要因であると認識しております。一方で、営業利益の増加および売上債権の減少により、ROICは改善傾向にあります。今後は、営業利益のさらなる拡大を図るとともに、成長投資および株主還元とのバランスを踏まえつつ、財務健全性の維持・規律を意識した資本政策を推進し、資本効率の向上と企業価値の持続的な拡大に努めてまいります。

 

中期経営計画目標に対する2025年度の実績は、次のとおりです。

 

2025年度実績

2027年度目標

(最終年度)

売上高CAGR

7.3%

6~8%

営業利益

83億円

100億円

ROE

8.4%

9.3%

 

 セグメントの状況については「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・

フローの状況の分析」に記載しております。

②中期経営計画の進捗

 中期経営計画の実現に向け、当社グループでは以下の5つの戦略の柱を軸に各種施策に取組んでおります。これらの戦略の推進にあたっては、重要テーマごとにワーキンググループを組成し、部門横断的な体制のもとで具体的な施策を検討・実行しております。また、取締役会においては、これらの取組み状況について定期的に進捗報告をおこない、課題の把握および対応方針の検討をおこなうとともに、PDCAサイクルを通じた継続的な改善により、実行体制の強化を図っております。

 さらに、高利益体質の実現のため、DX推進を通じたデジタルツインの活用やエンジニアリングおよび生産設備におけるAIの活用など、付加価値の創出と生産プロセスの効率化に取組んでおります。

 

1)半導体関連事業における事業規模の拡大

 中長期的な半導体需要の拡大によるお客さまの生産拠点のグローバル化に追従すべく、当社グループでの営業、生産、販売、サービス体制の強化と、半導体業界の技術革新を見据えた製品開発を推進し、さらなる事業規模の拡大を進めております。

 中国およびマレーシアにおける海外生産拠点の拡充やクリーンルーム増設により、コンポーネント製品およびEFEMの生産能力は着実に増加しております。2025年度の半導体セグメントにおける営業利益率は6.7%でしたが、生産管理体制の見直しや在庫水準の適正化、適正価格の実現等に取組み、利益率と資本効率の改善に努めてまいります。

 

2)受注生産ビジネスにおける収益性の強化

 培ってきた強みを活かし、地域や案件の選択と集中、エンジニアリングを重視したビジネスの展開、資本効率の改善によって、受注生産ビジネスにおける収益性の強化に取組んでおります。

 自動車関連事業では、売上規模の拡大よりも利益の確保を重視する方針へ転換し、営業利益率11.8%を達成しました。国内ではHV(ハイブリッド)やPHV(プラグインハイブリッド)を含めたパワートレイン系の設備投資が活発化する見込みであり、これらの需要を的確に取り込み、収益性のさらなる向上を目指してまいります。

 

3)収益基盤のさらなる強化

経営基盤強化:

 中期経営計画の達成に必要な経営情報の可視化を進め、KPI管理の高度化を通じて、経営層の意思決定の迅速化および質の向上を図っております。

 

コスト構造の最適化:

 間接費のコスト削減に加え、新基幹システムの導入などデジタル技術の活用による業務効率化および原価低減活動を推進し、収益構造の改善に取組んでおります。

 

財務基盤強化:

 営業キャッシュ・フローの改善を目的として、支払条件の見直し、在庫水準の適正化、非効率資産の売却検討等に継続的に取組んでおります。中期経営計画初年度における営業キャッシュ・フローは165億46百万円の収入、設備投資額は38億47百万円、R&D投資額は15億61百万円となりました。

 当期は、大型案件を中心に支払条件の見直しをおこない、工事進行に応じた前受金の受領を実現したことから、営業キャッシュ・フローは大幅に改善しました。今後も、受注段階からキャッシュ創出を重視した契約・プロジェクト管理を徹底し、運転資本の効率化および資本効率の向上に取組んでまいります。また、これらの施策を通じて、キャッシュ創出力の強化と成長投資の好循環を実現し、株主還元拡充を図ってまいります。

 

4)量産ビジネスの拡大

 当社グループの技術資産を活用し、幅広い産業分野における顧客ニーズに対応する量産製品の創出・販売を通じて、既存事業の高収益化および新規事業創出を目指しております。2025年度は部門横断プロジェクトを立ち上げ、量産ビジネスの基盤構築をおこないました。今後は、量産製品の拡充に向けた企画・開発を本格化してまいります。また、量産ビジネスの生産拡大を見据え、2025年度には新たに七城第二工場を取得し、2026年5月より一部稼働を開始しております。熊本県内における生産拠点を集約し、工場再編を通じた生産効率の向上を図ってまいります。

 

5)新規ビジネスの事業部化

 当社グループがこれまで培ってきた技術・ノウハウを活かし、新たな成長ドライバーとなるビジネスの創出を目指して、東京オフィスにビジネスディベロップメントセンターを新設しました。首都圏を起点としたお客さまとの接点強化を図るとともに、迅速な情報収集および潜在的な顧客ニーズの掘り起こし、マーケティング機能の高度化を推進しております。また、バッテリー事業、制御盤事業、電動化部品事業については、2027年度の事業部化を目標として、技術基盤の構築や組織体制構築に向けた取組みを進めております。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 

 当社グループは、自動化・省人化技術などの強みを通じて、社会課題の解決に貢献するとともに、持続的な企業価値向上を目指しております。サステナビリティへの取組みは単なる社会貢献活動にとどまるものではなく、当社の事業成長および企業価値の創出と一体となった経営の重要な基盤であると認識しております。この考えのもと、事業を通じて持続可能な社会の実現に寄与することを使命とし、すべてのステークホルダーに対する社会的責任を果たしながら、事業成長との両立を図るサステナビリティ基本方針を策定しております。 この方針の下に、「気候変動への対応」、「持続可能な社会の構築」、「人を活かす」、「経営基盤の強化」のテーマにおいて、マテリアリティを特定し、取組みを推進しております。

 

<サステナビリティ基本方針>

 Hirataグループは、当社に関わるすべての人を幸福にし、持続可能な社会の構築に貢献することを目指しています。そのために、私たちは、創業の精神「綱領」に基づく、人間尊重の精神と地球環境に配慮した製品・サービスの提供を通じ、経営の透明性と健全性を確保しながら、事業成長と社会課題解決の両立に取組みます。

 

 2023年度からサステナビリティに関する取組みを本格稼働し、各マテリアリティにおける2030年目標達成に向け取組んでおります。
 サステナビリティに関わる活動については、ESG全般の取組みについての外部評価機関「EcoVadis」や国際的な環境非営利団体(NGO)である「CDP」による定期的な評価を受けることで、進捗の客観的評価を確認しております。

なお、EcoVadisによる2025年サステナビリティ調査において、「ブロンズ」評価(総合得点:65点)を獲得しました。

 

(1)サステナビリティ

①ガバナンス

当社はサステナビリティ基本方針に基づき、気候変動を含むサステナビリティ経営を推進するために、サステナビリティ推進委員会を設置しております。代表取締役社長が委員長を務め、適宜社外取締役や外部有識者の意見も取り入れるとともに、委員会の下にワーキンググループ(以下、WG)を立ち上げ、当社グループのサステナビリティ活動の推進を図っております。事務局は経営企画部が担当し、原則、年に2回以上開催します。2025年度は第9回、第10回および第11回サステナビリティ推進委員会を開催しました。サステナビリティ推進委員会は当社のサステナビリティに関する目標・方針の策定および課題についての審議、活動に対する進捗状況の確認をおこなっております。マテリアリティの取組みは、取締役会重点テーマの一つとして位置づけられており、取締役会の監督のもとで推進しております。

役員報酬につきましても、業績連動型株式報酬を「ESG指標の達成度」に連動させることを2025年6月26日の株主総会において決議しました。

役員報酬の詳細につきましては、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (4)「役員の報酬等」に記載しております。

 

<サステナビリティ推進委員会体制>

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(注)2026年6月23日時点

 

<当社のサステナビリティに関する主な議論>

会議体

2025年度実績

議論回数

主な議論内容

取締役会

3回/13回(注)

・サステナビリティ推進委員会の決議・議論内容報告

・サステナビリティ推進委員会規程の改正決議

サステナビリティ推進委員会

3回/3回

・各マテリアリティの目標・KPIの見直し案決議

・各マテリアリティの目標・KPIに対する進捗状況報告

・中長期・単年度の活動計画の決議

・グループ展開に向けた対応の進捗状況報告

・当社におけるサステナビリティ活動の位置づけの再共有

・ESG外部評価機関の結果報告

・サステナビリティ推進委員会規程の改正審議

  (注)取締役会開催回数における、サステナビリティに関する議論を実施した回数

 

②戦略

 当社はこれまで、サステナビリティを経営の中核に据え、全社的なサステナビリティ活動推進の土台を構築するため、体制の整備、WGの立ち上げ、各マテリアリティに対する目標および計画の緻密化、ならびに各部門の活動計画への落とし込みをおこなってまいりました。

 このような経緯を踏まえ、中期経営計画(2025年度~2027年度)においては、「サステナビリティ戦略」を全社で推進する機能戦略の一つとして位置づけ、経営戦略と一体的に推進していきます。本戦略においては、2030年度にグループ全体へのESG活動の浸透および事業成長と社会課題解決の両立を達成し、2050年度にサプライチェーン全体を巻き込んだ形でのESG活動の牽引および当社に関わる全ての人の幸福と持続可能な社会構築への貢献を実現させることを見据えており、2027年度時点での目指す姿として、マテリアリティに対する2030年度KPI目標を達成するための活動が問題なく推進できていること、ならびに一部のグループ活動も含めた活動が実施できていることを掲げております。

2025年度は本戦略に基づき、グループ各社に対し、サステナビリティ活動に関する社会動向や重要性および当社の取組み状況についての説明会を実施し、環境データおよび人権、安全衛生、環境保全、コンプライアンス、BCP、情報セキュリティに関する取組み状況の調査をおこないました。

マテリアリティに対する2030年度KPI目標および2025年度実績については、「④指標及び目標」に記載しております。

今後も引き続き、4テーマ・10項目から成るマテリアリティに対して、サステナビリティ推進委員会が主導して目標および指標を設定し、進捗を確認してまいります。

 

<マテリアリティ>

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 2015年のパリ協定採択を機に気候変動問題に関する世界的な関心が急速に高まる中、綱領において「社会の発展に寄与すること」を使命とする当社は、2016年に環境方針を改定し、CO排出量削減や環境負荷低減に貢献する商品の普及を通じた社会の発展と、気候変動問題をはじめとする環境問題解決の両立を目指しています。

 2022年に「気候変動関連財務情報開示タスクフォース」(Task Force on Climate-related Financial Disclosures:TCFD提言)に賛同を表明しました。気候変動が経営にもたらす「リスク」「機会」について特定・分析・評価するとともに、株主・投資家をはじめとするステークホルダーの皆さまとのエンゲージメント(建設的な対話)に資する情報開示の充実に取組んでいます。

 当社グループでは、シナリオ分析を通じ、IEAなどの科学的な情報に基づく1.5℃/4℃シナリオにおける2030年、2050年での当社グループとお客さまの業界への変化を把握し、気候変動リスク・機会を分析しました。

 分析の結果、1.5℃上昇の将来社会像を踏まえ、当社グループでは省エネ製品の需要増加によるビジネス機会が大きくなる一方で、4℃では物理的リスクの影響が大きくなると認識しています。
 これらの分析結果を踏まえ、当社グループは認識したリスクに対処しながら機会を最大化するための取組みを実現性の高いものから順次検証し、経営戦略への反映・統合を推進していきます。

<機会>

機会

機会の詳細

影響度

主な進捗状況

大分類

中分類

1.5℃

4℃

省エネ製品などの開発

省エネ推進製品

省エネ政策や気温上昇に伴い、お客さまの工場で電動化と自動化が進み、工場・設備の生産性向上および省エネ性能を高める製品需要が増加

・環境に配慮した電動化製品の導入や、軽量化・長寿命化を考慮した製品の設計・開発を推進

省人化需要

気温上昇による労働生産性低下に伴い、生産現場の省人化や効率化が求められ需要が増加

・自動倉庫や無人搬送車向け製品の開発を推進

 

 

<移行リスク>

リスク

リスクの詳細

影響度

主な進捗状況

大分類

中分類

1.5℃

4℃

炭素価格

Scope1,2

各国の炭素税・排出量取引の導入や負担増加によりコストが増加

・2025年度カーボンニュートラル目標の設定済

・Scope構成の把握推進中

原材料コスト

希少資源

排出規制により、原材料および仕入れ購入品に制限がかかり調達コストが増加

・原材料価格や供給動向の把握を通じて、調達リスク管理の強化を推進

プラスチック

規制による利用制限や再プラの利用要請によりプラスチックを利用した材料コストが増加

・一部顧客との間で繰り返し使用可能な配送箱の活用を推進し、梱包資材におけるプラスチック使用量の削減推進

エネルギーコスト

電力コスト

自社工場・オフィスの脱炭素化や再生可能エネルギー普及により電力コストが増加

・LED照明の導入など省エネ推進

・自家発電設備(太陽光発電設備)の導入

空調コスト

気温上昇により工場などの空調稼働率が上昇し、空調コストが増加

・空調設備更新計画の策定

・省エネエアコンへの変更

物流コスト

大型車のEV(電気自動車)化による物流コストが増加

・輸送効率の向上や物流プロセスの見直しを通じて、物流コスト増加への対応を推進

 

<物理的リスク>

リスク

リスクの詳細

影響度

主な進捗状況

大分類

中分類

1.5℃

4℃

物理的コスト

復旧・操業コスト

異常気象の影響による設備の復旧費用などのコストが増加

・異常気象等の自然災害に備えた事業継続体制の整備を推進

気候変動への対応については、以下をご参照ください。

https://www.hirata.co.jp/sustainability/esg/climate

 

 1)当社の経営戦略とサステナビリティ課題の連動

 当社は、持続可能な社会の実現と企業価値の向上を重要な機会と捉え、主に以下3つのマテリアリティにおいて経営戦略と連動した取組みを推進しています。

 

製品・サービスを通じたカーボンニュートラルへの貢献

 お客さまをはじめとしたステークホルダーからの環境配慮に関するニーズも高く、カーボンニュートラル市場の拡大を機会と捉え、製品・サービスを通じたカーボンニュートラルや持続可能なものづくりに貢献します。具体的には、人と環境にやさしいHirataのオール電動搬送システム「エコ電動シリーズ」の既存のラインナップ強化に加え、成長分野向けの拡充やキーデバイスの応用に取組むことで事業成長と持続可能な社会への両立を目指します。

 

社会変化に伴う新たな顧客ニーズの創出

 EV・半導体市場の需要増や脱炭素等の社会変化に伴う顧客ニーズに対し、事業分野の伸長やカーボンニュートラルに寄与する製品の創出による競争力強化の向上のため、製品・サービスの開発に取組んでまいります。これにより、社会課題の解決と新市場の創出を両立し、持続的な成長を図ります。

 

デジタル化の進展への対応

 生成AIなどの先端技術を活用し、当社の業務効率化とお客さまの生産現場のデジタル化支援を推進してまいります。デジタル技術を活用した新たな市場トレンドの把握にも取組んでおり、変化の激しい市場環境において競争優位性を確保していきます。

 

 これらの取組みは、サステナビリティ課題への対応にとどまらず、当社の中長期的な競争力強化と企業価値の最大化に直結するものと考えています。

 

 2)CO排出量削減への対応

 当社は、2050年サプライチェーンも含めた事業全体でのカーボンニュートラルを目標としております。その目標を達成すべく、2023年1月にサステナビリティ推進委員会にてScope1,2についての目標を設定しました。目標につきましては、「④指標及び目標」に記載しております。

 また、サプライチェーンも含めたカーボンニュートラルを達成すべく、Scope3の現状把握にも注力しております。当社では15のカテゴリのうち大部分を占めるカテゴリ1(購入した製品サービス)、カテゴリ11(販売した製品の使用)を最優先(注)とし、WG活動の中で排出量の把握、削減目標策定などを検討してまいります。

(注)概算で算出したデータに基づく優先順位を設定しております。

<CO排出量>(注)1

単位:t-CO2

 

2021年度

2022年度

2023年度

2024年度

2025年度

Scope1

469

376

362

302

293

Scope2

7,423

5,932

7,197

6,855

7,093

合計

7,892

6,308

7,559

7,157

7,386

生産高比(注)2

0.1369

0.1026

0.1185

0.1022

0.1029

 (注)1.平田機工単体のデータです。

    2.CO₂排出量原単位(t-CO₂/百万円)

 2025年度の実績としましては、エネルギー使用量の削減を進めたものの、特定の契約電力会社における調整後排出計数が大幅に増加したことに伴い、実質生産高比ではCO₂排出量が2024年度に比べて0.7 %増加しました。また、CO₂排出量の削減施策として、2025年4月に熊本工場、同年11月に七城工場において太陽光発電の稼働を開始しました。加えて、CO₂フリー電力の導入を検討し、2026年度より熊本工場、熊本東工場、関東工場、楠野工場、七城工場での導入を決定しております。今後もサステナビリティ推進委員会において中長期の取組みを議論し、具体化した施策に取組んでまいります。

 

③リスク管理

 当社グループでは、サステナビリティ推進委員会が中長期の気候変動に関するリスク・機会の識別・評価、管理をおこないます。シナリオ分析において、関連するパラメータを抽出してリスク・機会を識別し、定期的に評価を実施します。また、各リスク・機会の財務的インパクトを定量的に評価することで、リスク・機会の管理をおこないます。なお、シナリオ分析の詳細につきましては、「②戦略」に記載しております。

 さらに、全社的なリスク管理体制を統括するリスク管理委員会では、社内外の要因により、当社グループの事業目標の達成または持続的な経営に影響する可能性がある事象に対処するため、サステナビリティ関連リスクを含む全社的なリスクについて包括的な評価をおこない、その対応計画を承認するとともに、定期的なモニタリングをおこなっております。

 なお、全社的なリスク管理の概要につきましては、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1)コーポレート・ガバナンスの概要」に記載しております。

 

④指標及び目標

 2023年1月のサステナビリティ推進委員会において、マテリアリティに対する指標及び目標を決議しております。

 

<マテリアリティ、目標・KPI>

 2025年度は、環境負荷低減やサプライチェーンマネジメント、品質、人材分野など各領域において、2030年度目標の達成に向けた取組みを推進し、概ね順調に進展いたしました。一方で、市場環境の変化に伴う受注進捗への影響や、一部目標の見直し等により、当初想定を下回る進捗となった取組みも存在しております。

テーマ

マテリアリティ(重要課題)

主な取組み

2030年目標・主なKPI(注)1

2025年度実績

気候変動への対応

①自社およびサプライチェーン上の環境負荷低減

・環境負荷の低減

・温室効果ガス排出量の削減

・資源循環社会の推進

・カーボンニュートラル達成(Scope1,2)

・水使用量を実質生産高比1%/年以上の削減

・CO₂排出量

 7382 t-CO(Scope1.2)

(契約電力会社の調整後計数増加により、前年度比0.7%増加)

・熊本東工場における漏水発生のため、水使用量の実質生産高比 前年度比18.3%増加

②製品・サービスによるカーボンニュートラルへの貢献

・カーボンニュートラル市場の拡大

・エコ電動シリーズにおける売上貢献額拡大

・エコ電動シリーズの売上貢献額 前年度比 46%増

持続可能な社会の構築

③社会変化に伴う新たな顧客ニーズの創出

・社会変化に伴う新たな顧客ニーズの探索や改良の取組み

・バッテリーおよび燃料電池関連での売上拡大

・半導体関連の売上拡大

・外部環境の変化およびEV市場の減速に伴うバッテリーおよび燃料電池関連での需要が低下し、売上縮小

・半導体関連の売上前年比 17%増

④デジタル化の進展への対応

・デジタル化の進展への対応

・スマート社会に向けた基盤の整備

・基幹システム入替による業務の効率化(30%削減)

・一人当たりの年間業務時間3%削減

・一人当たりの年間業務時間 前年度比26.2時間(1.3%)削減

 

 

テーマ

マテリアリティ(重要課題)

主な取組み

2030年目標・主なKPI(注)1

2025年度実績

人を活かす

⑤人材確保・育成

・人材確保・育成

・DE&I(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)

・エンゲージしている人の割合を製造業平均値と同等にする (注)2

・女性従業員に占める管理職比率を男性従業員に占める管理職比率と同等にする

・障がい者雇用率 法定雇用率+0.3%

・エンゲージしている人の割合14%

・女性従業員に占める管理職の割合と目標との差 13.5ポイント(前年度比0.1ポイント減少)

(注)3

・障がい者雇用率2.34%

⑥多様で安全安心な職場づくり

・ワークライフバランスの向上

・安心して働ける安全な職場づくり

・健康経営の取組み強化(ホワイト500の取得)

・労働災害度数率0.4以下

・労働災害度数率 0.32

経営基盤の強化

⑦製品安全・品質の向上

・製品安全・品質の向上

顧客満足度調査にて

・回答回収率90%以上

・調査結果の加重平均4.5点以上

・製品による重大事故発生0件の継続

・回答回収率 89%

・調査結果の加重平均4.02点

・製品による重大事故発生0件

⑧サプライチェーンマネジメント

・サプライチェーンマネジメント

・CSR調達アンケート3.7点未満のサプライヤー数ゼロ(取引額上位90%)

・CSR調査セルフ・アセスメント3.7点未満のサプライヤー数145社

⑨コーポレート・ガバナンスの強化

・ステークホルダーエンゲージメント

・コーポレート・ガバナンスの強化

・重大な法令違反件数ゼロ

・コンプライアンス重点項目に対する違反件数ゼロ

・重大な法令違反件数ゼロ

・コンプライアンス重点項目に対する違反件数3件(注)4

 

⑩リスクマネジメント

・公正な取引に向けたコンプライアンス遵守

・リスクマネジメント

・財務資本の健全性の維持

 

(注)1.本書提出日(2026年6月23日)時点では、平田機工単体を対象としております。今後は連結子会社も含めた目標・KPIの検討をおこなう予定です。

   2.GALLUP 日本製造業データベースに基づき、2025年度の製造業平均値は21%としております。

   3.女性従業員に占める管理職比率および男性従業員に占める管理職につきましては、「(2)人的資本 ②指標および目標」をご参照ください。

   4.2025年度のコンプライアンス重点項目は、資金洗浄、利益相反、不正・詐欺、汚職・贈収賄、ハラスメントを設定しており、ハラスメント項目での違反が3件発生いたしました。

 

(2)人的資本

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①戦略

<人材育成方針>

 当社では、会社が目指す姿として策定したスローガン「人技幸献」のもと、主体的に学び、一丸となって挑戦し続ける人材の育成を目指しています。

 具体的には、従業員一人ひとりが自身の専門性や個性を最大限に活かして挑戦できるよう、経験やスキルに応じた階層別研修や技術専門研修を実施しています。

 今後は、長期的な視点で当社の成長に必要な人材育成を目指し、多様な人材のキャリアを支援する研修プログラムや人事異動の活性化や適正な評価の推進などにより、高い技術力・専門性を持った人材に加え、グローバル人材、マネジメント人材の持続的な育成を推進してまいります。また、自己啓発支援制度の充実により、従業員一人ひとりが自己の夢や目標に向かって、自己の人格や能力を高め、自身の可能性へ挑戦し続ける環境・風土の醸成に、積極的に取組んでいきます。

 

<社内環境整備方針>

当社では、多様なキャリア・社会的背景(性別、年齢、国籍、障がいの有無、ライフスタイル等)を持つ従業員が、仕事を通じて成長を実感し、やりがいや誇りを持って働き、幸せを感じられるような環境づくりを目指しています。

 また、従業員の主体的なキャリア形成支援に向けた、ジョブローテーションの活性化推進、従業員が働きがいややりがいを実感できる評価・報酬制度の構築、健康経営を目指した取組みとして、時間外労働の削減等を通じたワークライフバランスの実現や、健康管理センターの体制強化など、多角的な環境づくりに取組んでまいります。

 

<従業員エンゲージメントの向上>

上記社内環境整備方針を実現するためには、現状や課題を把握する必要があり、客観的なデータを取得するため、「従業員エンゲージメント調査」を毎年実施しております。2025年度は、約1,300名の従業員を対象に調査を実施し、88%の従業員から回答を得ました。

 2023年度以降、調査結果のフィードバックを実施すると共に、部門毎に結果を踏まえた取組みを検討するなど、対応を強化しており、エンゲージしている人の割合は前年度調査結果の8%から14%に向上いたしました。今後も全社および各組織の課題を把握し改善していくことで、従業員一人ひとりが成長を実感し、やりがいや誇りを持って働ける風土や環境づくりを目指してまいります。

 

 

<ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン(DE&I)>

当社は、挑戦する一人ひとりが、「個性」を認められ、互いに尊重しあい、成長を実感し、人生が輝くような企業集団を目指し、DE&I推進の取り組みを強化しております。2030年に向けては、ジェンダーおよび障がいのある社員に関する目標を設定しております。

 2024年度以降、ジェンダーに関する施策として、役員向け研修の実施、女性従業員の交流の場づくり、女性従業員向けの外部研修派遣などを実施しており、2025年3月にえるぼし(3つ星)認定を取得しております。また、障がいのある社員に関する施策として、社内ジョブコーチの採用をはじめとする定着支援体制の強化、採用活動の強化、就労移行支援事業所との連携強化などを実施する事で、雇用率の上昇につなげており、2026年度も引き続き各種施策に取り組んでまいります。

 

②指標及び目標

 当社は上記「①戦略」において記載した、人材育成方針および環境整備方針について、次の指標を掲げており、目標・実績は以下のとおりです。

指標

目標(2030年)

実績(2025年)

エンゲージしている人の割合

(心理的に「当事者意識」を持ちパフォーマンスと革新を推進し、組織を前進させている人の割合。)

20

14

女性従業員に占める管理職の割合

男性従業員に占める管理職の割合と同等

女性 6.8

男性 20.3%

 

(参考:女性管理職比率 7.4%)

障がい者雇用率(注)2

法定雇用率+0.3%

2.34

(注)1.いずれも提出会社における目標および実績数値です。

2.障がい者雇用率の実績は、「障害者雇用状況報告書」の最新値(2026年6月1日現在)で示しております。

 

(3)人権尊重の取組

 当社グループは、自国および事業をおこなう国・地域に適用される法令を遵守し、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」のほか、人権尊重に関する国際規範等を支持、尊重します。

 

<人権方針>

1.強制労働の禁止

 私たちは、強制労働を行わず、労働者が雇用を自ら終了する権利を守ります。また、人身売買を含む、いかなる形態の現代奴隷も許容しません。

2.児童労働の禁止

 私たちは、最低就業年齢に満たない児童が働くことを認めません。また、18歳未満の若年労働者を健康や安全が損なわれる可能性のある危険業務に従事させません。

3.労働時間への配慮

 私たちは、従業員の働く国・地域での法令を遵守したうえで、国際的な基準を尊重し、労働時間・休日・休暇を適切に管理します。

4.適切な賃金と手当

 私たちは、各国・地域の最低賃金、時間外労働賃金、法定給付を含む従業員の報酬に関するすべての法令を遵守します。

5.非人道的な扱いの禁止

 私たちは、従業員の人権を尊重し、従業員に対する精神的・肉体的な虐待、ハラスメントなどの非人道的な扱いならびにそのような可能性のある行為の発生を防止し、発生した場合には迅速に適切な対応をとります。

6.差別の禁止

 私たちは、人種、肌の色、年齢、性別、性的指向、性自認、民族、国籍、障がいの有無、妊娠、宗教、政党・政治的見解、組合員であるかどうか、軍役経験の有無、保護された遺伝情報、結婚歴の有無、疾病の有無などにもとづく、あらゆる差別を禁止します。

7.結社の自由と団体交渉権

 私たちは、各国・地域の法令を遵守したうえで、労働環境や賃金水準などの労使間協議を実現する手段として、従業員の結社の自由と団体交渉権を尊重します。

8.労働安全衛生

 私たちは、従業員の働く国・地域での法令を遵守したうえで、国際的な基準を尊重し、従業員の業務に伴うケガや心身の病気を最小限に抑え、安全で衛生的な作業環境を整えます。

 

①ガバナンス

 2023年度より、人権尊重のための体制づくりとして、熊本(および東京オフィス)、関東、関西の3拠点にそれぞれ人権啓発推進責任者、人権啓発推進担当者を選任し人権啓発推進体制を構築しました。なお、2023年度設置した人権尊重WGはHirataグループ内の「人」に関する活動を総括する目的で、2025年2月より人を活かすWGのテーマの一つとして推進することをサステナビリティ推進委員会にて決議いたしました。引き続き当社グループおよびサプライチェーンでの取組強化に努めます。

 

<人権尊重推進体制>

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②戦略

 当社グループは、サステナビリティ基本方針に基づき、事業に関わるすべての人の基本的人権を尊重するために、2022年度にグローバルで実践する人権方針を制定しました。人権方針は、取締役会決議を経て定め、当社グループのすべての役員・従業員に適用します。また、人権方針に基づく人権尊重の取組みについては、JEITA「責任ある企業行動ガイドライン」などを参考に、人権尊重に向けた「人権方針」ガイドラインを制定し、サプライヤーさまを含むすべてのビジネスパートナーの皆さまにも賛同と実践をお願いしています。

 当社グループは、グローバルに事業を展開しており、国内外のステークホルダーの人権に配慮した事業活動が重要であると認識しており、人権デュー・ディリジェンスによる人権リスクの把握、予防・軽減をおこなってまいります。

 

③リスク管理

人権デュー・ディリジェンスの取組み

 当社では人権デュー・ディリジェンスの取組みの一環として、毎年人権教育を実施し、2025年度は海外関係会社および一部サプライヤーさまを対象とした「人権アセスメント」を実施しました。2026年度は国内関係会社および一部サプライヤーさまを対象に同様のアセスメントの実施を予定しております。当社では、人権尊重の実効性を高めるため、対象範囲ごとに計画的な人権デュー・ディリジェンスを実施しています。

 なお、当社の人権アセスメントは、強制労働の禁止、児童労働の禁止、労働時間への配慮、適切な賃金、非人道的な扱いの禁止、差別の禁止、従業員の団結権、安全・健康な労働環境をアセスメント項目としております。

 

人権相談窓口

 各拠点の人権啓発推進担当者は社内での人権相談窓口も兼ねており、すべての従業員が人権に関する相談を気軽におこなえる風土づくりに努めています。それぞれの通報窓口は「改正公益通報者保護法」に準拠した体制を整備し、通報情報者の守秘義務や通報を理由とする不利益な取扱いの禁止を定めています。

 

3【事業等のリスク】

[リスク管理の方針・概要]

 当社グループは、全てのステークホルダーのご期待に応えるため、また企業としての社会的責任に応えるため、事業活動に関わる種々のリスクを的確に把握し、適時かつ適切に対応することで経営への影響を低減することが肝要と考えております。

 なお、リスク管理の概要につきましては、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1)コーポレート・ガバナンスの概要 ③ 企業統治に関するその他の事項」に記載しております。

 

[主要なリスク]

 本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響をおよぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

 また、文中における将来に関する事項の記載は、本書提出日(2026年6月23日)現在において当社グループが判断したものです。

(1)情報管理に係るリスク

(リスクの内容)

 強力なマルウェア(コンピュータウィルス等)の侵入や外部からのサイバー攻撃等によって、情報漏洩・ランサムウェア等による情報セキュリティインシデントが起こる可能性を完全に排除することはできません。万が一、当該リスクが顕在化し、システムや工場設備に被害が生じた場合、企業イメージの悪化や生産の遅延等により、当社グループの業績および財務状態に影響をおよぼす可能性があります。

(体制・取組)

 当社は、高度化する情報セキュリティの脅威に対応するため、クラウド環境・ネットワークを含む社内情報システムへの不正アクセスを防止するシステムの導入、情報セキュリティ基本方針、社内規程や対応マニュアルの整備、当社グループの役員や従業員への教育、サイバー攻撃を想定した訓練、およびマルウェア感染対策の強化等を実施しています。万が一、マルウェア感染等の情報セキュリティインシデントが発生した場合においても、迅速かつ適切に対応できる体制を整備しています。

 また、当社では、情報セキュリティ統括責任者を委員長とする情報セキュリティ委員会にて情報セキュリティ管理を推進する体制を構築し、定期的なアセスメントを通して、情報セキュリティ管理レベルの維持・向上に努めています。

 

(2)製品の安全・品質に関するリスク

(リスクの内容)

 当社設備に欠陥が発生し、顧客に損害を与えた場合、損害賠償責任を追及される可能性があります。その結果、訴訟等を提起される可能性があり、多額の費用負担の発生および企業イメージの悪化により、当社グループの業績および財務状態に影響をおよぼす可能性があります。

(体制・取組)

 当社は、国際標準化機構(ISO)が定める品質管理基準に基づいて自動省力機器の生産をおこなっており、当該設備を使用する作業者の安全面についても、ハード・ソフトの両面における配慮に努めております。

 また、前記の取組みの他、製品の納入先の国や地域が定めるCEマーキング、UL508A等の安全関連の基準を満たす設備を納入するとともに、社員や顧客に対しても安全面にも十分配慮した操作やメンテナンス方法の説明をおこなうことで、事故の発生を未然に防止する取組みをおこなっております。

 なお、当社グループは企業総合賠償責任保険に加入しておりますが、事故の内容等によっては賠償額を十分に補填できない可能性があります。

 

(3)海外での事業活動に係るリスク

(リスクの内容)

 当社グループは、海外において事業展開を推進しております。そのため、現地国の政治動向の急激な変化、地政学的要因、予想しない法規制の変更、テロ・紛争、感染症等による社会的混乱等の影響を受ける可能性があり、その結果、当社グループの業績および財務状態に影響をおよぼす可能性があります。

(体制・取組)

 当社グループでは、定期的に、また必要に応じて当社と国内外の子会社との間で情報交換をおこない、周辺環境の変化等についても積極的に情報の共有を図り、問題の早期把握と対応に注力しております。

 

 

(4)市場環境等の変化に係るリスク

(リスクの内容)

 当社グループは、EV(電気自動車)をはじめとする自動車関連・半導体関連・その他自動省力機器等多分野にわたる製品の生産企業から生産システムを受注しております。そのため、国内外の経済動向の変化、顧客製品のライフサイクルが下降トレンドに入ること等によって、これら顧客の設備投資状況に変化が生じた場合、当社グループの業績および財務状態に影響をおよぼす可能性があります。

 また、原材料の供給不足による生産計画の遅延、資源価格や原材料価格の上昇、人材不足による労務コスト上昇等が発生した場合、当社グループの業績および財務状態に影響をおよぼす可能性があります。

 当社の技術力は顧客から高い信頼を得ておりますが、予想を超える急激な技術革新に適切に対応できないような事態が発生した場合、受注が確保できないおそれがあり当社グループの業績および財務状態に影響をおよぼす可能性があります。

(体制・取組)

 当社グループでは、これらのリスクへの対策として、あるひとつの事業分野が好調であっても、その事業のみに資本を集中させることを避け、複数の事業を並行して推進することによって、特定の事業分野における製品のライフサイクルの循環等による経営への影響を低減させております。

 また、当社グループでは、知財マインドを向上させ技術革新を図るための施策として、各種知財教育や各種報奨制度を設けております。各種報奨制度では、出願・登録時での報奨や優良発明に対する報奨、ライセンス収入時における報奨等によって技術者の発明に対するモチベーションを高め、顧客ニーズに見合った付加価値のある製品の開発をおこない、他社との競争に勝ち抜く体質の強化を進めております。

 

(5)災害等に係るリスク

(リスクの内容)

 それぞれの事業拠点において大規模な災害等が発生した場合には、工場設備や情報機器の損壊、電力・水道等インフラの停止、物流網の寸断等により事業活動の停止を余儀なくされる可能性があり、その場合、当社グループの業績および財務状態に影響をおよぼす可能性があります。

(体制・取組)

 当社では、予期せぬ災害や大規模な事故発生等の問題が事業の継続を危うくするような事態を避けるために、事前に想定されるリスクを抽出し、そのリスクの防止、防衛、低減を図るとともに、発生時における迅速な事業復旧を目的としたBCP(事業継続計画)を整備しております。

 BCP方針に基づき、平常時には、各種訓練や点検、教育等を定期的に実施することで各々の取組みの有効性を確認しており、状況に合わせて適時マニュアル等を改訂する体制を構築しております。

 

(6)人的資本リスク

(リスクの内容)

 採用環境の悪化や労働人口の減少等により、必要な人材の確保および育成が計画どおりに進まない場合、当社グループの技術力および競争力の維持、向上が困難となる可能性があります。その結果、当社グループの業績および財政状態に影響をおよぼす可能性があります。

(体制・取組)

 当社では、人材育成方針および社内環境整備方針に基づき、多様な人材の活躍と成長の促進ならびに従業員のウェルビーイングの向上を目指しています。具体的には、ダイバーシティの推進や女性活躍支援、インターンシップの実施等による採用強化に加え、階層別やテーマ別教育の充実化や、従業員エンゲージメント調査の結果を踏まえた改善施策の実施など、各種取組みを推進しています。

 

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 

(1)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 当連結会計年度における当社グループを取り巻く経済情勢は、地政学リスクの高まり、資源・エネルギー価格の高騰が継続する中、先行き不透明な状況が続きました。米国におきましては、旺盛なAI需要を受け、IT関連分野での設備投資が拡大しました。また、高所得層を中心に個人消費が底堅さを見せるなど、景気は総じて拡大基調で推移しました。欧州におきましては、緩やかな景気回復の中、雇用環境は概ね安定して推移しました。一方、エネルギー価格動向や地政学リスクの影響を受け、個人消費は力強さを欠く状況となりました。中国におきましては、景気は一定の成長を維持し、雇用環境も概ね安定して推移しましたが、不動産市場の停滞や内需の弱さを背景に個人消費は力強さを欠きました。わが国におきましては、雇用は改善傾向を維持し、個人消費も賃上げ期待の中で持ち直しの動きがみられました。一方で、輸入物価上昇や海外情勢の不確実性が先行きへの慎重姿勢につながる状況となりました。

 このような経営環境のもと、当社グループは設備投資動向の影響を受けやすい事業構造にあり、受注環境の変化が業績に影響を及ぼす可能性がありますが、中期経営計画においては、以下の5つを戦略の柱として掲げ、成長分野への展開と収益性の向上の両立を図っております。

「半導体関連事業における事業規模の拡大」においては、生産能力の約50%増強および海外における生産拠点の新設(2拠点)を推進しております。

「受注生産ビジネスにおける収益性の強化」においては、自動車関連事業における営業利益率10%以上の確保に加え、CCC(キャッシュ・コンバージョン・サイクル)の約20%短縮を目標としております。

「収益基盤のさらなる強化」においては、最適なキャッシュ・アロケーションの実施および自己資本比率45~50%の維持・向上を目指しております。

「量産ビジネスの拡大」においては、既存事業の高収益化を図るとともに、新規事業の創出を推進しております。

「新規ビジネスの事業部化」においては、各分野において売上高50億円以上の事業創出を目標としております。

これらの取り組みにより、今後も成長分野への投資を強化するとともに、収益基盤の一層の強化を図り、持続的な企業価値の向上に努めてまいります。

 当連結会計年度におきましては、電気自動車(EV)向けや内燃機関向けの生産設備、半導体関連のウェーハ搬送設備で売上高を伸ばし、前期から増収となりました。利益面では、半導体関連が価格転嫁の遅れなどから前期に対して減益となったものの、自動車関連では適正な価格設定や習熟度の向上などにより前期から増益となりました。この結果、当連結会計年度の売上高は949億6百万円(前期比7.3%増)、営業利益は83億15百万円(前期比20.5%増)、経常利益は83億75百万円(前期比21.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は60億77百万円(前期比27.2%増)となりました。

 当社グループの経営方針・経営戦略および経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標につきましては、「第2 事業の状況 1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております。

 

 セグメントの状況は以下のとおりであります。

①自動車関連
 エンジン組立設備や車載用電子部品組立設備の大型案件を受注し、エンジンおよびインバータ関連の売上高が増加しました。また、バッテリー充放電関連設備の売上高も前期から継続して底堅く推移しました。この結果、売上高は434億78百万円(前期比1.0%増)、営業利益は51億42百万円(前期比22.6%増)となりました。

②半導体関連
 生成AI関連の受注が継続したことにより、ウェーハ搬送設備を中心に売上高は堅調に推移しましたが、利益面では、購入品を中心としたコスト上昇に対する価格転嫁の遅れに加え、一部製品の保証費用の増加等により、前期から減益となりました。この結果、売上高は361億6百万円(前期比19.6%増)、営業利益は24億18百万円(前期比15.4%減)となりました。

③その他自動省力機器
 フラットパネルディスプレイ(FPD)関連設備の生産は堅調に推移しました。営業利益は、FPD関連設備の原価率改善により、前期から黒字に転じました。この結果、売上高は125億72百万円(前期比4.0%減)、営業利益は6億69百万円(前期は1億1百万円の営業損失)となりました。

 

 財政状態の概況は以下のとおりであります。

(資産)

 当社グループの当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べて9億98百万円増加し、1,312億76百万円となりました。その主な内訳は、顧客からの入金による売上債権等(受取手形、電子記録債権、売掛金、契約資産)の減少80億82百万円、棚卸資産の増加19億37百万円、七城第二工場の取得等による建設仮勘定の増加21億25百万円、退職給付に係る資産の増加43億34百万円であります。

(負債)

 負債につきましては、前連結会計年度末に比べて70億68百万円減少し、543億70百万円となりました。その主な内訳は、有利子負債(短期借入金、長期借入金)の減少112億73百万円、工事対価の前払いによる契約負債の増加21億94百万円であります。

(純資産)

 純資産につきましては、前連結会計年度末に比べて80億66百万円増加し、769億5百万円となりました。その主な内訳は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上60億77百万円および配当金の支払い12億30百万円により利益剰余金の増加48億46百万円、退職給付に係る調整累計額の増加20億24百万円であります。その結果、自己資本比率は前連結会計年度末の52.7%から58.4%となりました。

 

(2)キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物残高(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べて1億20百万円増加し、130億3百万円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動による資金は、165億46百万円の収入(前期は94億27百万円の収入)となりました。主な要因は、税金等調整前当期純利益83億51百万円、売上債権及び契約資産の減少76億43百万円、契約負債の増加20億7百万円等によります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動による資金は、有形固定資産の取得による支出35億10百万円等により、37億61百万円の支出(前期は20億23百万円の支出)となりました。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動による資金は、129億75百万円の支出(前期は55億91百万円の支出)となりました。主な要因は、長期借入金の返済による支出156億76百万円、長期借入れによる収入119億50百万円、短期借入金の減少75億55百万円等によります。

 

 当社グループの運転資金需要のうち主なものは、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、建物および機械装置等の設備投資によるものであります。

 当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。

 短期運転資金は自己資金および金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。

 当連結会計年度末における借入金の残高は228億93百万円、ならびに当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は130億3百万円となっております。

 

(3)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 文中における将来に関する事項の記載は、本書提出日(2026年6月23日)現在において当社グループが判断したものです。

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

(4)生産、受注及び販売の実績

①生産実績

 当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 セグメントの名称

 当連結会計年度

(自 2025年4月1日

  至 2026年3月31日)

 前期比(%)

自動車関連       (千円)

44,081,159

101.0

半導体関連       (千円)

36,613,001

111.2

その他自動省力機器   (千円)

12,800,421

99.5

その他         (千円)

2,703,965

126.7

合計(千円)

96,198,547

105.1

 (注)金額は販売価格および製造原価によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。

 

  ②受注実績

 当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(千円)

前期比(%)

受注残高(千円)

前期比(%)

自動車関連

42,341,859

124.1

29,065,597

96.2

半導体関連

34,762,395

116.9

17,670,308

92.9

その他自動省力機器

10,131,449

75.9

4,109,323

62.7

その他

3,034,340

130.8

951,517

142.6

合計

90,270,045

113.5

51,796,746

91.8

 (注)金額は販売価格によっております。

 

  ③販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 セグメントの名称

 当連結会計年度

(自 2025年4月1日

  至 2026年3月31日)

 前期比(%)

自動車関連       (千円)

43,478,578

101.0

半導体関連       (千円)

36,106,069

119.6

その他自動省力機器   (千円)

12,572,104

96.0

その他         (千円)

2,749,888

128.4

合計(千円)

94,906,641

107.3

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

前連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)

相手先

金額(千円)

割合(%)

General Motors LLC

12,937,078

14.6

 

当連結会計年度(自 2025年4月1日 至 2026年3月31日)

相手先

金額(千円)

割合(%)

General Motors LLC

16,582,637

17.5

 

 

5【重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

当社グループの研究開発活動は、中期経営計画における成長戦略を実現するための重要な活動として位置付けており、製品の標準化や量産製品の拡大に向けた研究開発を推進しております。主に、自動車関連、半導体関連、その他自動省力機器(医療・理化学機器、産業用ロボット、電動化製品等)における生産システムの開発および新規事業分野に向けた研究開発に関するものであります。

当連結会計年度における研究開発費は、総額1,561百万円であります。

 

自動車関連では、日本および北米の自動車メーカーからのさらなる受注獲得のため、競争優位性の向上を目指し製品開発に取組んでおります。バッテリー関連設備向けの開発・改良により、開発した設備をラインの一部に組込むことで、今後の引合い・受注の拡大を図っております。

半導体関連では、生成AI関連や車載用途への投資活発化に伴い、半導体製品の需要は増加傾向にあり、このような市場環境の変化を見据えた装置開発に取組んでおります。ロードポート、大気・真空対応のウェーハ搬送ロボット、それらを統合したEFEMやPLP関連装置などにおいて、お客さまごとのニーズや仕様、さらにはSEMI規格等にも対応した付加価値の高い製品の開発に注力しております。

医療・理化学機器では、既存のバイオ関連分析機器などの医療機器に加えて、新分野としてがん治療を目的とした医療機器の開発に取組んでおります。具体的には集束超音波を照射するデバイスを搭載したロボットを医師が操作しながら、がんを焼灼できるシステムを開発しました。現在は量産機の開発および生産体制の構築を進めております。

産業用ロボット分野では、CPU基板、AI機能の製品実装および協働ロボットの開発に取組んでおります。また、近年は半導体製造装置向けの産業用ロボット比率が高まっていることを背景に、顧客ニーズに応じた個別開発案件への対応を積極的に進めております。

電動化製品開発分野では、お客さま工場の環境負荷低減および低推力による高い安全性を実現する、人と環境に優しい「エコ電動シリーズ」の製品開発および製品ラインアップの拡充に取組んでおります。「エコ電動シリーズ」においては、独自に開発した小型・高効率のブラシレスDCモータ「HIRATA BLUE MOTOR」を組込んだコンベア等の搬送機器の開発に取組んでおります。

新規事業分野では、生物遺伝資源(主に植物遺伝資源)ビジネスに向けた研究開発を進めております。2026年2月には、海外の生きている生物(育種素材、小型無脊椎動物、細菌等)の適正利用を支援するサービス「HiABS+(ハイエイビイエスプラス)」、2026年3月には、奈良先端科学技術大学院大学が持つ天然化合物データベース「KNApSAcK Core(ナップサック コア)」と当社の精密質量分析(LC‑MS分析)データを統合した、化合物候補を網羅的に解析可能な「KNApSAcサーチ(ナップサック サーチ)」の提供を開始しました。パートナー国の権利を保護しつつ、資源提供によって得られた利益を公正かつ衡平に配分するというABS(Access and Benefit Sharing)の原則に基づいた取組みを通じて、パートナー国が抱える社会課題の解決や遺伝資源の持続可能な利用の実現を目指し、研究開発を継続してまいります。