第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断した内容であります。

(1) 会社の経営の基本方針

当社グループは、「我々は、もの創りを通して、自然と社会と人間に必要とされる企業を目指します。」という企業方針に則って経営しております。たゆまぬ技術革新の努力により創り出す製品を通じ、地球環境、地域社会等に貢献し、あらゆるステークホルダーに必要とされる企業へと成長することが当社グループの存在意義であると考えております。

 

(2) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、2023年8月期の売上高9,034百万円、営業利益342百万円、親会社株主に帰属する当期純利益283百万円を達成することを目標としております。

 

(3) 主要製品・サービスの内容と対象となる顧客

①装置関連事業

装置関連事業で当社が取り扱う主な製品・サービスは、太陽電池製造装置及びFA装置であります。

太陽電池製造装置は主に米国の太陽電池メーカーに対して、高性能かつ高効率な太陽光パネルを製造するためのハイエンドな装置を提供しております。また、電子部品業界、自動車業界、ディスプレイ業界等の様々な業界に対して、自動化・省力化のための各種FA装置を提供しております。

②環境関連事業

環境関連事業で当社が取り扱う主な製品・サービスは、太陽光発電所の検査サービス、太陽光パネルのリユース・リサイクル、パネル解体装置、植物工場ビジネスであります。

太陽光発電所の検査サービスは、太陽光発電事業者やEPC業者等に向けてサービスを展開しています。また、太陽光発電所から排出されたパネルを回収し、再利用可能なパネルを国内外の太陽光発電事業者や企業の自家発電向けにリユース販売しています。再利用ができないパネルは、自社の解体装置で中間処理を行い回収した金属やガラス等の有価物をリサイクル業者に販売するか、産業廃棄物処理業者に適正な廃棄処理を委託します。また、パネル解体装置は国内外の産業廃棄物処理業者等に販売しています。植物工場ビジネスでは、LEDを使用して栽培した野菜(フリルレタス、グリーンリーフ、サニーレタス)を主にスーパーや食品加工場等に販売しております。

 

(4) 経営環境及び事業を行う市場の状況

当連結会計年度における国内経済は、新型コロナウイルス感染症の影響による経済活動制限の段階的緩和により、景気は緩やかに持ち直しの動きが見られました。しかし、記録的な円安や、物価・エネルギー価格の上昇が経済全体に影響を及ぼしています。世界経済においては、半導体関連製品を発端とした様々な製品の不足や長納期化、原材料費の上昇が続いており、また、インフレリスクに対応した欧米諸国での政策金利の引き上げなど、先行きが不透明な状況となっています。

①装置関連事業

太陽電池製造装置が関連する米国太陽電池市場は、世界的に気候変動への危機感が高まっていることを背景に、州や企業が積極的に再生可能エネルギーを導入してきたことに加え、太陽光発電の更なる普及と関連サプライチェーンの自立化を目的とする国内製造支援施策を盛り込んだインフレ抑制法が成立したことにより、これまでの予想を大きく上回る長期的な市場の成長が予測されています。また、太陽電池製造装置以外のFA装置の市場に関しては、電子部品業界など、好調な業界では設備投資の継続が見込まれています。

②環境関連事業

国内の太陽光発電業界におきましては、当社検査サービスの対象となる固定価格買取制度(FIT)の認定済み太陽光発電所が順次設置されているほか、企業や自治体でも電力購入契約(PPA)等のスキームを利用した自家消費用の太陽光発電の導入が進んでいます。また、東京都などの自治体が太陽光パネルの設置を新築建物に義務付ける方針を打ち出し、設置量の増加に伴って排出される太陽光パネルの増加も予想されることから、リユースやリサイクルのしくみの整備が各地で検討されています。欧米、豪州等でも太陽光パネルのリサイクル事業に参入する事業者が増加しており、パネルリユース・リサイクルやパネル解体装置の需要は増加していくと見込んでいます。その他、気候変動が野菜の収穫に影響を及ぼしているため、安全な食物の安定供給に対する需要が今後高まっていくと予想しています。

 

(5) 競合他社との競争優位性

①装置関連事業

当社は太陽電池製造装置で25年以上の実績や経験があることから、高性能かつ高効率なパネルを製造するためのハイエンドな装置を提供することができます。そのため、当社はそのようなパネルを製造している米国の太陽電池メーカーをターゲットとしており、競合先は米国及び東南アジアの自動機メーカー、一部の中国企業等限定的な状況です。なお、大部分の中国の太陽電池製造装置メーカーは自国の太陽電池メーカーに汎用的な装置を提供しており、当社とはターゲットが異なるため、実質的に競合はしておりません。

太陽電池業界以外のFA装置では数多くの競合が存在しますが、当社には大型ラインを製造できる松山工場の生産能力や、太陽電池製造プロセスで培った様々な技術、開発から製造までの一貫体制、豊富な海外実績、オーダーメイド装置の実績と経験といった強みがあり、大手企業を中心に大型のラインや各種FA装置を受注しています。また、当社は米国に技術者の常駐する拠点を有しており、現地での技術対応が可能です。

②環境関連事業

太陽光発電所の検査サービスでは、法定検査(目視検査、抵抗検査等)を含めた検査サービス(ドローンIR、洗浄、除草作業等)を提供する企業は多数存在しています。しかしながら、当社は独自技術を用いたI-V検査やEL検査により太陽光パネルの品質そのものを検査した上で解析レポートを作成しており、同様のサービスを提供できる競合先は存在していません。

パネルのリユース・リサイクルにおいては、国内に数社競合先はいますが、当社には太陽光発電所の検査サービスで構築したネットワークがあり、排出されたパネルの回収と販売において大きな優位点となっております。パネルの解体装置では、当社とは異なる技術による解体装置の提供を行っている企業が存在しますが、当社の特許技術を活かした「ホットナイフ分離法」は、太陽光パネルのガラスと金属を分離できる点でリサイクル性が高く、処理能力も高いため、他社技術と比較しても技術的な優位性は高いものと考えております。

 

(6) 経営戦略及び会社の対処すべき課題

当社グループは、環境及び持続可能な社会の実現を意識しながら、既存の事業を強化・拡大すると同時に、新たな事業の柱を増やすことによって、安定した業績を維持し、成長することができる企業を目指しております。この方針の下、それぞれの事業において以下のとおり対処すべき課題を定めております。

①装置関連事業

太陽電池製造装置については、米国の太陽電池メーカーである主要顧客が計画している米国及びインドの新工場に対して、顧客の要望に応じた装置とサービスを提供し、更なる工場拡大に伴う受注につなげてまいります。また、同社の各工場へ既に納入した装置も含めて、納入後のサポートや改造に対応し、継続的なビジネスを積み上げてまいります。このほか、衛星用パネルなどの次世代型太陽電池を製造する太陽電池メーカーへ、当社が得意とするハイエンド装置の提供を行なってまいります。

太陽電池以外の業界へのFA装置については、国内電子部品業界を中心に継続的に装置を提供し、他業界も含めて安定顧客の獲得を強化してまいります。

生産面においては、装置需要の増加に対応するため、松山工場の生産体制の強化を図ってまいります。

②環境関連事業

検査サービスについては、パートナー企業のネットワークを更に増やし、市場のニーズに合った検査を提案してまいります。

太陽光パネルのリユース・リサイクルについては、日本では、使用済みパネルの大量排出が2030年頃から見込まれる中で、関連企業との連携により排出パネルの回収率を向上させ、パネルが確実にリユース・リサイクルされるよう取り組んでまいります。また、回収した資源の用途開発を図り、リサイクル性を向上させることで、パネルリサイクルの促進に努めてまいります。

パネル解体装置については、特にパネルの設置が早くから進んでいる米国や欧州においてパネルの排出量が既に増えており、リサイクル装置への関心が高まっております。日本国内でも新規事業としてパネルリサイクルを検討する企業が増えており、これらの国内外の企業に向けてパネル解体装置を提供してまいります。

植物工場ビジネスについては、付加価値の高い品種への移行やコストダウンを図ってサステナブルなビジネスとして継続してまいります。
 このほか、産業廃棄物処理業者向けのFA装置や鶏糞による肥料化ビジネスなど、新しい製品やサービスを投入し、新たな事業を育成してまいります。

 

 

 

2【事業等のリスク】

以下において、当社グループが事業を展開していく上で、特に重要と考えるリスクを記載しております。当社グループは、これらのリスクの発生可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針ですが、当社株式に対する投資判断は、本項及び本書中の本項以外の記載事項も併せて、慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。なお、本文中における将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものです。

 

(1)太陽電池市場の停滞又は減速

a.リスクの内容

当社グループの売上高は太陽電池業界向けの割合が高く、将来何かしらの理由により、太陽電池の普及が停滞あるいは減速した場合、減損損失の発生を含め、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

b.リスクへの対応策

太陽光パネルの新規設置に影響を受ける製品やサービス(太陽電池製造装置、太陽光発電所の竣工前検査等)以外にも、既に設置されたパネルに対する製品やサービス(太陽光発電所の検査機器や検査サービスの提供等)、排出パネルに対する製品やサービス(リユース販売、パネル解体装置、中間処理業等)のように、太陽電池の製造から廃棄まで幅広く事業を展開することで、当該リスクによる影響を低減させる取り組みをしています。また、太陽電池業界以外のFA装置や新規事業にも力を入れることで、太陽電池業界以外の売上高を増やしています。

c.リスクが顕在化する可能性の程度や時期

太陽電池の経済性の向上や環境意識の高まりを受け、太陽電池の設置は世界的に広がりを見せています。中長期的にも堅調に普及することが期待されており、当該リスク発生の可能性は低いと考えています。

 

(2)為替の変動

a.リスクの内容

当社グループは数多くの海外企業と取引しており、海外売上高比率は8割を超えています。そのため、為替が円高傾向となる場合には、為替差損が発生する可能性があることや、海外の競合メーカーと比較して価格競争力が低下し、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、円安傾向となると海外調達コストが上がり、原価への影響が出る可能性がありますが、現段階では海外調達比率が低いためにリスクレベルは低いと考えます。

b.リスクへの対応策

為替差による損益への影響を抑えるため、基本的に海外顧客との取引通貨は円建てとしています。また、例外的に外貨建て取引をする場合については、ある一定の規模を超える取引については為替予約を行っています。また、競争力の高い製品やサービスを提供するため、常に品質向上に努めるとともにコストダウンを図っています。円高傾向となった場合には海外調達比率を上げることがひとつの対策となります。

c.リスクが顕在化する可能性の程度や時期

為替の変動は様々な要因により発生するものであるため、当社が将来的な動向やリスク発生の可能性を予想することは困難であります。しかしながら当事業年度において、歴史的な円安により日本経済全体が影響を受けており、この状況が続く限り当社業績については、上述のとおり海外調達比率が低く国内調達が中心となっているため、影響は限定的です。

 

(3)売上計上時期や個別案件の利益率に伴う業績変動

a.リスクの内容

顧客の都合による設計変更や検収時期の変更等が発生する場合があり、当初予定していた売上計上時期が後ろ倒しになることで短期的な業績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループが提供する製品やサービスは案件毎の利益率が一定ではないため、個別案件の積み上がり状況によっては短期的に利益率が変動する可能性があります。更に、開発要素を含む案件を戦略的に受注した場合や、設計や製造工数の超過等により原価が想定以上となった場合、当初想定していなかった製品の不具合等が発生した場合は、通常見込まれる利益率が確保できない場合があります。

b.リスクへの対応策

基本的に品質マネージメントシステム(ISO9001)に則して、顧客との認識の齟齬によるリスクを発生させないため、ミーティングの際には議事録を作成し、顧客から当該議事録の確認を受けています。客先要求事項を精査したうえで担当部門が試算し、精度の高い見積りをしています。受注後は、複数回のミーティング(デザインレビュー)を実施することで、顧客の要望や当社が対応すべき事項を各部署の担当者が情報共有しています。製造段階においては、製作途中の大型案件について定例幹部会で工程の進捗状況をレビューすることで、費用の超過が発生していないか等を確認し、必要に応じて対策をしています。最終的な売上段階においては、仕様未達による検収遅れのリスクを低減するため、装置の出荷に先立って、松山工場で要求する仕様を満たしているかどうかを顧客立ち合いの下で確認しています。

c.リスクが顕在化する可能性の程度や時期

当該リスクは常に発生する可能性はありますが、当事業年度及び前事業年度の決算は概ね期初に発表した業績予想どおりとなり、年間を通じた場合には大きな業績変動は発生していません。なお、大型案件の場合には売上高が10億円を超えるものもあることから、仮に発生した場合には期初に発表した業績予想から大きく変動する可能性があります。

 

(4)大口顧客の事業環境の変動による影響について

a.リスクの内容

当社グループの売上高比率は、自ずと規模の大きい企業又は設備投資に積極的な企業に対する割合が高くなります。現在、特に米国の太陽電池メーカーであるFirst Solar, Inc.及びその子会社(以下「First Solar社」という)に対する当社グループの売上比率が高い状況でありますが、同社の事業環境が大幅に縮小した場合や、同社の信用力が低下した場合、当社との取引が減少した場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

b.リスクへの対応策

First Solar社に対しては今後も安定的な取引が継続できるよう、研究開発やコストダウンに力を入れ、より高品質で低コストな装置を提供することで関係の強化を図っています。また、米国へ工場を設置して同社へのサービスを充実させると同時にハイエンドな製造装置を必要とするFirst Solar社以外の太陽電池メーカーへの販売を強化し、米国での太陽電池業界以外の様々な業界へFA装置の提供をしてまいります。また、市場の拡大が見込まれている環境関連事業を引き続き伸ばしていくことで、業績が特定顧客のみに依存する状況の解消を図っています。

c.リスクが顕在化する可能性の程度や時期

First Solar社はNASDAQ上場企業であり、信用力が高く財務体質が安定しています。また、同社がメインターゲットとしている米国の太陽電池市場は非常に堅調であり、今後も継続した成長が期待されております。また、当社グループは同社と長年の取引実績があり、信頼関係も構築していることから、取引が急激に減少する可能性は低いと考えています。しかしながら、現時点における依存度は非常に高いことから、仮にリスクが顕在化した場合は当社の業績に大きな影響を与える可能性があります。

 

(5)部品の長納期化

a.リスクの内容

世界的な半導体不足の影響で、当社装置に使用する電装品をはじめとした部品が長納期化し、当社の装置製造に要する期間が通常より長くなっています。今後状況が更に悪化した場合、装置に必要な部品が確保できず、製品を出荷できなくなる、あるいは製品の長納期化により顧客の要望に応えられない、通常とは異なるルートからの調達によるコスト増により製造原価が増加する等の事態により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

b.リスクへの対応策

代替品の調達や、海外子会社を利用した海外調達によって製造に必要な部品を確保しています。また、顧客との納期の交渉によって十分な装置製造期間を確保しています。当社はオーダーメイド装置を製造しており、設計段階で部品を選定できるため、代替品の調達により生産に問題は生じていません。

c.リスクが顕在化する可能性の程度や時期

部品の長納期化は当社に限らず製造業全体で世界的に発生しているため、装置の製造期間が長くなってはおりますが、これが原因で当社の競争力が低下する事態にはなっておりません。翌事業年度の業績予想において、製造原価の増加による利益率の悪化が予想されています。

 

(6)部品・原材料の価格上昇

a.リスクの内容

世界的な半導体不足を発端として、部品全般について価格の上昇が発生しています。価格の上昇が継続する場合、製造原価が増加し利益を圧迫する等の事態により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

b.リスクへの対応策

仕入価格の抑制及び販売価格への部品価格転嫁のため、仕入先及び顧客との交渉を行っています。

c.リスクが顕在化する可能性の程度や時期

当社の製造原価における材料費の割合は約60%と高く、部品価格の上昇は当社の業績に大きく影響します。翌事業年度の業績予想において、原価の上昇による利益率の悪化が予想されています。翌事業年度以降は、部品の価格上昇を反映した販売価格による契約ができ、利益率が改善する見込みです。

 

(7)輸送コストの高騰

a.リスクの内容

当社グループの売上における海外案件の比率は、会計年度により異なりますが、6~8割と高く、海外への製品輸送及び海外からの部品調達には船便を使用しております。コロナ禍で世界的に船便の数が減少する一方で、経済活動の回復により需要は増加していることから、船便の輸送コストが高騰し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

b.リスクへの対応策

当社グループにおける海外顧客との一部の取引については、船積み時点で費用負担が移転する契約であり、輸送コストは顧客負担となるため、世界的な運輸コストの高騰の影響をほぼ受けておりません。

c.リスクが顕在化する可能性の程度や時期

輸送コストの高騰が継続、あるいは悪化した場合には、部品の海外調達におけるコストが増加する可能性があります。

 

(8)輸送期間の長期化

a.リスクの内容

海外への製品輸送には船便を使用しておりますが、コロナ禍で世界的に船便の数が減少する一方で、経済活動の回復により需要は増加していることから、船便の手配に時間を要する可能性があります。当社グループにおける海外顧客との一部の取引については、船便の手配に時間を要し、輸送期間が長期化した場合、売上計上時期および債権の回収が長期化し、短期的な業績に影響する可能性があります。

b.リスクへの対応策

顧客との契約において、輸送期間も含めて交渉のうえ、十分な納期を確保し、連結会計年度ごとの業績予想に反映させています。

c. リスクが顕在化する可能性の程度や時期

世界的な船便の不足が解消されない、あるいは悪化した場合、当該リスクは常に発生する可能性があります。

 

(9)自然災害の発生

a.リスクの内容

当社グループは、愛媛県松山市に工場を有しておりますが、同地域で想定を超える大規模な自然災害が発生し、工場の生産能力が減少もしくは無くなった場合には、当社グループの事業に影響を及ぼす可能性があります。

b.リスクへの対応策

松山工場での生産方法は製造設備を使用してライン生産するのではなく、セル方式で製造部員が装置を組み立てる方法であるため、工場が被災した場合でも人員とスペースが確保できれば事業を継続できる体制となっています。現在、生産体制の強化のため製造を協力会社へ一部委託する体制ができており、充分な人員とスペースが確保できない場合においても、協力会社での生産を増やすこと等で臨機応変に生産能力を確保できます。なお、装置図面等の事業上の重要情報や会計データについては、社内ネットワークでバックアップ体制を構築しており、速やかに復旧できる体制を構築しています。

c.リスクが顕在化する可能性の程度や時期

保険会社が評価している自然災害リスクの評点において、当社松山工場の所在地で今後30年以内に震度6強を超える地震が発生する確率は18.4%とされています。また、全国を13地域に区分する場合、松山工場は四国地域に該当しますが、台風接近数は13地域中8番目となっています。しかしながら、津波被害、洪水被害、土砂災害についてはリスクが低いとされており、一般的に他地域よりリスクが顕在化する可能性は低いと考えています。

 

(10)繰延税金資産に関するリスク

a.リスクの内容

当社グループは、将来減算一時差異に対して繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の計算は、将来の課税所得に関する予測・仮定に基づいており、その予測・仮定が変更された場合や、税率変更を含む税制改正、会計基準等の改正が行われた場合には、繰延税金資産の計算の見直しが必要になり、当社グループの当期純利益に影響を与える可能性があります。

b.リスクへの対応策

繰延税金資産の回収可能性の評価にあたり基準とした利益計画の実現可能性について慎重に検討を行い、合理的かつ保守的に見積った課税所得について繰延税金資産を計上することとしております。また、回収可能性を定期的に見直しております。

c.リスクが顕在化する可能性の程度や時期

当社グループの売上構成において多くを占める主要顧客の設備投資の有無により、事業年度ごとの利益計画が変動すること、また税制等の改正は予期せず行われることから、当該リスクは常に発生する可能性があります。

 

これらの重要なリスクに加え、訴訟リスク、知的財産を侵害される又は侵害するリスク、法的規制に伴うリスク、カントリーリスク、情報セキュリティリスク等、当社グループの経営成績及び財政状況に影響を及ぼす可能性のある様々なリスクが存在しています。

なお、新型コロナウイルス感染症による当社グループへの影響につきましては、現時点において業績に与える影響は軽微な状況であります。しかしながら、新型コロナウイルス感染症の収束時期は依然として不透明な状況であり、今後の感染状況の拡大や影響長期化等により、事業活動への制限や経済への影響等が発生する場合は、当社グループの経営成績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

なお、当連結会計年度より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しております。

詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」に記載のとおりであります。

①財政状態及び経営成績の状況

イ.経営成績

当連結会計年度における国内経済は、新型コロナウイルス感染症の影響による経済活動制限の段階的緩和により、景気は緩やかに持ち直しの動きが見られました。しかし、記録的な円安や、物価・エネルギー価格の上昇が経済全体に影響を及ぼしています。世界経済においては、半導体関連製品を発端とした様々な製品の不足や長納期化、原材料費の上昇が続いており、また、インフレリスクに対応した欧米諸国での政策金利の引き上げなど、先行きが不透明な状況となっています。

当社の装置関連事業が主な対象とする、米国太陽電池関連市場については、州や企業が積極的に再生可能エネルギーを導入してきたことに加え、太陽光発電の更なる普及と関連サプライチェーンの自立化を目的とする国内製造支援施策を盛り込んだインフレ抑制法が成立したことにより、これまでの予想を大きく上回る長期的な市場の成長が予測されています。太陽電池製造装置以外のFA装置に関しては、日本国内では電子部品業界など、好調な業界を中心に設備投資の継続が見込まれています。

当社の環境関連事業が属する太陽光発電業界におきましては、当社検査サービスの対象となる固定価格買取制度(FIT)の認定済み太陽光発電所が順次設置されているほか、企業や自治体でも電力購入契約(PPA)等のスキームを利用した自家消費用の太陽光発電の導入が進んでいます。また、東京都などの自治体が太陽光パネルの設置を新築建物に義務付ける方針を打ち出し、設置量の増加に伴って排出される太陽光パネルの増加も予想されることから、リユースやリサイクルのしくみの整備が各地で検討されています。欧米、豪州等でも太陽光パネルのリサイクル事業に参入する事業者が増加しています。

このような状況下、当連結会計年度の売上高は4,379百万円(前期比3,444百万円の減収)となり、やや予定を下回りました。利益面においては、部品の長納期化や値上がりの影響前の案件を主に売上計上したことに加え、製品保証引当金を取り崩したことで、結果的に利益率が高くなりました。また、販売管理費が減少したことにより、営業利益は620百万円(前期比551百万円の減益)、経常利益は617百万円(前期比533百万円の減益)となりました。植物工場ビジネスの生産設備を減損し、特別損失として82百万円を計上したことで、親会社株主に帰属する当期純利益は379百万円(前期比399百万円の減益)となりました。

 

セグメントの業績は、次のとおりです。

(装置関連事業)

装置関連事業におきましては、米国の太陽電池メーカーである主要顧客に対し装置の増設や改造を行ったほか、国内太陽電池メーカーに太陽電池製造装置を売上計上しました。また、安定的取引のある電子部品業界の国内主要顧客や、自動車業界等の顧客へFA装置を売上計上し、売上高は4,090百万円(前期比3,421百万円の減収)、製品保証引当金の取り崩しや販売管理費の減少等により営業利益は1,218百万円(前期比512百万円の減益)となり、予定を上回りました。

(環境関連事業)

環境関連事業におきましては、太陽光発電所の検査サービスを予定通り実施したほか、リユース・リサイクルやパネル解体装置による売上を計上しましたが、パネル解体装置の海外案件で船便の遅れに伴い現地検収時期が先になり、売上計上が来期(2023年8月期)となったことにより、売上高は288百万円(前期比23百万円の減収)、営業損失25百万円(前期は営業利益29百万円)となり、予定を下回りました。

ロ.財政状態

(資産)

当連結会計年度末における流動資産は8,702百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,747百万円の増加となりました。これは主として、仕掛品の増加2,862百万円、流動資産のその他の増加276百万円があった一方で、現金及び預金の減少241百万円、電子記録債権の減少100百万円があったことによるものであります。固定資産は3,594百万円となり、前連結会計年度末に比べ455百万円の減少となりました。これは主として、建物及び構築物の減少181百万円、繰延税金資産の減少152百万円があったことによるものであります。

この結果、総資産は、12,296百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,292百万円の増加となりました。

(負債)

当連結会計年度末における流動負債は5,127百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,153百万円の増加となりました。これは主として、買掛金の増加212百万円、電子記録債務の増加1,473百万円、前受金の増加761百万円があった一方で、製品保証引当金の減少207百万円があったことによるものであります。固定負債は58百万円となり、前連結会計年度末に比べ14百万円の増加となりました。これは、退職給付に係る負債の増加14百万円があったことによるものであります。

この結果、負債合計は、5,186百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,168百万円の増加となりました。

(純資産)

当連結会計年度末における純資産合計は7,110百万円となり、前連結会計年度末に比べ123百万円の増加となりました。これは主として、親会社株主に帰属する当期純利益379百万円の計上、為替換算調整勘定の増加80百万円があった一方で、利益剰余金の配当43百万円、自己株式の取得310百万円があったことによるものであります。

②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、税金等調整前当期純利益の計上535百万円、減価償却費の計上、売上債権の減少、仕入債務の増加、前受金の増加があった一方で、製品保証引当金の減少、棚卸資産の増加、有形及び無形固定資産の取得による支出、自己株式の取得による支出、配当金の支払額があったことにより、前連結会計年度末に比べ241百万円減少し、3,084百万円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果取得した資金は83百万円(前連結会計年度は1,629百万円の取得)となりました。これは主として、税金等調整前当期純利益の計上535百万円、減価償却費の計上225百万円、売上債権の減少205百万円、仕入債務の増加1,682百万円、前受金の増加749百万円があった一方で、製品保証引当金の減少207百万円、棚卸資産の増加2,874百万円があったことによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は4百万円(前連結会計年度は232百万円の支出)となりました。これは主として、有形及び無形固定資産の取得による支出67百万円があった一方で、有形固定資産の売却による収入31百万円、投資活動その他の増加31百万円によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は353百万円(前連結会計年度は126百万円の支出)となりました。これは、自己株式の取得による支出310百万円、配当金の支払額43百万円があったことによるものです。

 

③生産、受注及び販売の実績

イ.生産実績

 当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(千円)

前期比(%)

装置関連事業

8,339,745

246.7

環境関連事業

400,303

135.7

合計

8,740,049

237.8

(注)金額は販売価格によっております。

ロ.受注実績

 当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(千円)

前期比(%)

受注残高(千円)

前期比(%)

装置関連事業

6,241,300

116.4

7,943,708

137.1

環境関連事業

673,135

312.1

485,406

480.3

合計

6,914,435

123.9

8,429,115

143.0

ハ.販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(千円)

前期比(%)

装置関連事業

4,090,439

54.5

環境関連事業

288,795

92.6

合計

4,379,235

56.0

(注)最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2020年9月1日

至 2021年8月31日)

当連結会計年度

(自 2021年9月1日

至 2022年8月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

First Solar Vietnam Mfg Co., Ltd.

1,766,676

40.3

Tesla,Inc.

459,282

10.5

FIRST SOLAR,INC.

442,717

10.1

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

当連結会計年度における当社グループの経営成績については、売上高は4,379百万円(前期比3,444百万円の減収)となり、やや予定を下回りました。米国の太陽電池メーカーである主要顧客に対し装置の増設や改造を行ったほか、国内太陽電池メーカーに太陽電池製造装置を売上計上しました。FA装置については、国内電子部品業界の国内主要顧客や、自動車業界等の顧客へ売上計上しました。また、太陽光発電所の検査サービスを予定通り実施したほか、リユース・リサイクルやパネル解体装置を売上計上しましたが、パネル解体装置の海外案件で船便の遅れに伴い、現地検収時期が翌期になりました。

営業利益は620百万円(前期比551百万円の減益)となり、業績予想を上回りました。これは主に、製品保証引当金の取り崩しや販売費及び一般管理費等の減少になったことが要因であります。

なお、研究開発費の総額は52百万円となり、前連結会計年度よりも12百万円の減少となりました。当社顧客の需要動向や、太陽電池業界を中心とした様々な市場動向に合致したFA装置、太陽光発電所の検査サービス、太陽光パネルリサイクル等の研究開発活動、パネル解体装置、また、ペットボトルの自動選別装置や鶏糞による肥料製造等、新規事業の開発に取り組み、将来の成長に向けた投資を引き続き強化しております。

 

セグメントごとの経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

イ.装置関連事業

当連結会計年度における当セグメントの事業環境は、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。

売上高は、前期比45.5%減の4,090百万円となりました。太陽電池製造装置の主要顧客の新規ライン向け装置の売上が減少したため、前連結会計年度を下回りました。セグメント利益については、前期比29.6%減の1,218百万円となりましたが、製品保証引当金の取崩しにより売上総利益率では36.3%となり、前期比9.0ポイントの増加となりました。

ロ.環境関連事業

当連結会計年度における当セグメントの事業環境は、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。

売上高は、前期比7.4%減の288百万円となりました。検査サービスは予定通りとなりましたが、海外案件の太陽光パネル解体装置の船便の遅れに伴い、現地検収時期が翌期になり、前連結会計年度を下回りました。セグメント利益については、売上案件の利益率の低下及び販管費等の増加により、セグメント損失25百万円となり、売上総利益率では13.7%となり、前期比15.1ポイントの減少となりました。

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

イ.キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容

当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況は「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

ロ.資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社グループの資金需要の主なものは、原材料の仕入、外注費及び労務費などの製造費用のほか、人件費、研究開発費等を中心とする販売費及び一般管理費の支出によるものであります。これらの資金需要につきましては、自己資金にて対応することを基本としており、必要に応じて銀行借入を行うこととしております。そのために銀行2行と総額10億円の当座貸越契約を締結しており、柔軟に資金調達できる体制を構築しております。

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。連結財務諸表で採用する重要な会計方針及び見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

なお、新型コロナウイルス感染拡大の影響に関する会計上の見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載しております。

④経営成績に重要な影響を与える要因について

当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

4【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

5【研究開発活動】

当社グループにおける研究開発の基本姿勢は、「顧客ニーズ及び市場の動向を的確かつ迅速に捉え、当社製品に取り込んでいく」ことであります。そのため、当社顧客の需要動向や、太陽電池業界を中心とした様々な市場動向に合致したFA装置、太陽光発電所の検査サービス、太陽光パネルリサイクル等の研究開発活動に取り組んでおります。

当連結会計年度における研究開発費の総額は52百万円であり、主な研究開発の内容と成果は以下のとおりです。

 

(1) 装置関連事業

 ①太陽電池業界

現在、当社グループは米国の太陽電池メーカーを中心に事業を展開しており、彼らが開発した高効率パネルや次世代パネルに対応できるハイエンドの装置の研究開発に取り組みました。また、彼らの太陽光パネル生産ラインにおける新規装置の開発にも取り組みました。

 ②電子部品業界、自動車業界、ディスプレイ業界等

様々な業界に向けて、太陽電池業界で培った技術、および当社のコア技術である真空技術を応用した装置の開発に取り組みました。また、オーダーメイド装置の製造のため個別案件で生じた開発を行いました。

 

(2) 環境関連事業

 ①太陽光発電所等の検査サービス

国内では多数の太陽光発電システムの設置が進んでおり、設置後の太陽光パネルの保守メンテナンスサービスの需要が高まっています。そのような状況下、顧客の予算とニーズに合った保守メンテナンスサービスの提供を意図した評価・検証に取り組みました。また、風力発電システムや交流側検査を含む使用前自主検査の対象範囲拡大に向けた調査に取り組みました。

 ②太陽光パネル解体装置

太陽電池市場が健全に成長していくためには、太陽光パネルのリサイクルプロセスの確立が必要となります。当社が開発した太陽光パネルのリサイクルを可能とする「ホットナイフ分離法」の解体装置について、分離後のセルシートの銀含有率を高め、買取価格を向上させるためのバックシート除去装置の開発に取り組みました。

 

(3) その他

 サステナビリティに貢献する新事業に向けて、以下のような研究開発に取り組みました。

 ①ペットボトルの選別装置

廃棄物処理場において、ごみ分別は手作業で行われていることが多く、衛生面・安全面の問題や、高齢化、人手不足が課題となっています。当社は、この課題に対し、AIを活用した自動判定システムと、ロボットによる自動選別を行う装置を提供すべく、開発に取り組みました。

②鶏糞によるクリーンエネルギーを使用した肥料製造

鶏糞をメタン発酵させ、発電すると同時に、発酵残渣から肥料を製造するシステムの開発に取り組みました。