(1) 業績
当連結会計年度の経営環境は、米国では堅調な景気拡大、日本や欧州では緩やかな回復基調で推移し、中国の減速感は足元でやや緩和した。また、為替については前連結会計年度に比べ円高で推移したが、11月の米国の大統領選挙以降は円安が進行した。
かかる中、三菱電機グループは、これまでの事業競争力強化・経営体質強化に加え、自らの強みに根ざした成長戦略の推進に、従来以上に軸足を置いて取り組んできた。
この結果、当連結会計年度の業績は、売上高は、重電システム部門、産業メカトロニクス部門、情報通信システム部門及び電子デバイス部門の減収により、前連結会計年度比1,556億円減の4兆2,386億円となった。
営業利益は、重電システム部門、産業メカトロニクス部門、情報通信システム部門及び電子デバイス部門の減益などにより、前連結会計年度比310億円減の2,701億円となった。また、税金等調整前当期純利益は、前連結会計年度比222億円減の2,962億円、当社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度比180億円減の2,104億円となった。
なお、当社単独の受注高は2兆7,066億円(前年度比102%)、売上高は2兆5,762億円(前年度比96%)となった。
事業の種類別セグメントの業績は、次のとおりである。
①重電システム
社会インフラ事業は、国内の交通事業や公共事業の増加などにより、受注は前連結会計年度を上回ったが、売上は国内外の電力事業の減少に加え、円高の影響もあり、前連結会計年度を下回った。
ビルシステム事業は、国内のリニューアル事業及び海外の昇降機新設事業等が堅調に推移したが、円高の影響などにより、受注・売上とも前連結会計年度を下回った。
この結果、部門全体では、売上高は前連結会計年度比3%減の1兆2,279億円、営業利益は、売上減少などにより、前連結会計年度比60億円減の443億円となった。
なお、当社単独の受注高は8,355億円(前年度比103%)、売上高は7,387億円(前年度比96%)となった。
②産業メカトロニクス
FAシステム事業は、中国でのスマートフォン関連及び電気自動車関連の設備投資に加え、韓国等での有機EL関連の設備投資の増加などにより、受注は前連結会計年度を上回ったが、円高の影響などにより、売上は前連結会計年度並みとなった。
自動車機器事業は、欧州等の新車販売市場が堅調に推移したが、国内の軽自動車販売市場の低迷に加え、円高の影響もあり、受注・売上ともに前連結会計年度を下回った。
この結果、部門全体では、売上高は前連結会計年度比1%減の1兆3,101億円、営業利益は、円高の影響などにより、前連結会計年度比190億円減の1,400億円となった。
なお、当社単独の受注高は1兆557億円(前年度比103%)、売上高は1兆230億円(前年度比98%)となった。
③情報通信システム
通信システム事業は、当連結会計年度初めの関係会社の譲渡や通信インフラ機器の需要減少などにより、受注・売上とも前連結会計年度を下回った。
情報システム・サービス事業は、システムインテグレーション事業等の減少により、売上は前連結会計年度を下回った。
電子システム事業は、受注は前連結会計年度並みとなったが、宇宙システム事業の大口案件の減少などにより、売上は前連結会計年度を下回った。
この結果、部門全体では、売上高は前連結会計年度比20%減の4,477億円、営業利益は、売上減少などにより、前連結会計年度比22億円減の127億円となった。
なお、当社単独の受注高は2,878億円(前年度比98%)、売上高は2,956億円(前年度比95%)となった。
④電子デバイス
電子デバイス事業は、通信用光デバイス等の需要増加により、受注は前連結会計年度を上回ったが、パワー半導体や液晶モジュールの減少に加え、円高の影響もあり、売上高は前連結会計年度比12%減の1,865億円、営業利益は、売上減少などにより、前連結会計年度比84億円減の83億円となった。
なお、当社単独の受注高は1,439億円(前年度比110%)、売上高は1,352億円(前年度比82%)となった。
⑤家庭電器
家庭電器事業は、円高の影響はあったが、欧州・中国・北米向け空調機器の増加や、国内向け家庭用・業務用空調機器の増加などにより、売上高は前連結会計年度比2%増の1兆44億円、営業利益は、売上増加などにより、前連結会計年度比58億円増の696億円となった。
なお、当社単独の受注高は3,836億円(前年度比99%)、売上高は3,836億円(前年度比99%)となった。
⑥その他
資材調達の関係会社での増加などにより、売上高は前連結会計年度比1%増の7,136億円、営業利益は、円高の影響などにより、前連結会計年度比4億円減の232億円となった。
所在地別セグメントの業績は、次のとおりである。
①日本
自動車機器事業、通信システム事業及び電子デバイス事業の減等により、売上高は前連結会計年度比5%減の3兆4,021億円、営業利益は、前連結会計年度比213億円減の1,520億円となった。
②北米
交通事業、電力事業及び自動車機器事業の減等により、売上高は前連結会計年度比6%減の4,215億円、営業利益は、前連結会計年度比4億円減の90億円となった。
③アジア
ビルシステム事業の減等により、売上高は前連結会計年度比1%減の1兆400億円となったが、営業利益は、売上案件の変動などにより前連結会計年度比23億円増の933億円となった。
④欧州
自動車機器事業及び空調機器の増等により、売上高は前連結会計年度比9%増の4,210億円となったが、営業利益は、売上案件の変動などにより前連結会計年度比19億円減の128億円となった。
⑤その他
その他所在地には豪州子会社等が含まれており、売上高は468億円、営業利益は24億円となった。
(2) キャッシュ・フロー
当連結会計年度は、営業活動により増加した純キャッシュが3,659億円となった一方、投資活動に投入した純キャッシュが1,486億円となったため、フリー・キャッシュ・フローは前連結会計年度比1,060億円増加の2,173億円の収入となった。これに対し、財務活動により減少した純キャッシュは1,234億円となったこと等から、現金及び預金等期末残高は、前連結会計年度末比882億円増加の6,624億円となった。
営業活動によるキャッシュ・フローは、支払手形及び買掛金の支払の減少等がある一方で、棚卸資産の増加等により、前連結会計年度比7億円の収入減少となった。
投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度にメルコ・ハイドロニクス&ITクーリング社株式の取得(取得時現金控除後)があったこと等の要因により、前連結会計年度比1,068億円の支出減少となった。
財務活動によるキャッシュ・フローは、借入による調達を上回る返済を実施したこと等により、前連結会計年度比413億円の支出増加となった。
(注)メルコ・ハイドロニクス&ITクーリング社は、社名変更し、当連結会計年度末現在において、メヒット・ホールディングス社となっている。
(1) 生産実績
当連結会計年度における生産実績を事業の種類別セグメントごとに示すと、次のとおりである。
|
事業の種類別セグメントの名称 |
生産高(百万円) |
前連結会計年度比(%) |
|
重電システム |
847,203 |
94 |
|
産業メカトロニクス |
1,230,280 |
101 |
|
情報通信システム |
377,706 |
97 |
|
電子デバイス |
152,159 |
90 |
|
家庭電器 |
731,007 |
104 |
|
その他 |
1,493 |
58 |
|
計 |
3,339,848 |
99 |
(注) 上記金額は、仕込製品については仕切予定価格、注文製品については受注価格で示している。
(2) 受注状況
当連結会計年度における受注状況は、「第2 事業の状況 1 業績等の概要 (1) 業績」に記載している。
(3) 販売実績
当連結会計年度における販売実績を事業の種類別セグメントごとに示すと、次のとおりである。
|
事業の種類別セグメントの名称 |
販売高(百万円) |
前連結会計年度比(%) |
|
重電システム |
1,227,906 |
97 |
|
産業メカトロニクス |
1,310,136 |
99 |
|
情報通信システム |
447,754 |
80 |
|
電子デバイス |
186,554 |
88 |
|
家庭電器 |
1,004,415 |
102 |
|
その他 |
713,603 |
101 |
|
消去 |
△651,702 |
- |
|
計 |
4,238,666 |
96 |
(注) 各種類別セグメントの金額には、セグメント間の内部売上高(振替高)を含めて表示している。
(1) 経営方針
三菱電機グループは、「企業理念*1」及び「7つの行動指針*2」に基づき、CSR(Corporate Social Responsibility:企業の社会的責任)を企業経営の基本と位置付け、「成長性」「収益性・効率性」「健全性」の3つの視点による「バランス経営」を継続し、強固な経営基盤の確立と持続的成長を追求していく。
また、コーポレートステートメント「Changes for the Better」に基づき、変革に挑戦し、常により良い明日への探求を続け、「社会」「顧客」「株主」「従業員」をはじめとするステークホルダーから信頼と満足を得られるよう取り組んでいく。
(2) 経営環境及び対処すべき課題
世界経済の先行きは、EU離脱に関する英国政府の対応や米国新政権の政策運営など不確実性はあるものの、中国の景気減速は緩やかなものにとどまることが見込まれ、米国の堅調な景気拡大、日本や欧州における回復基調の継続が期待されるなど、総じて緩やかな景気拡大が続くことを見込んでいる。
かかる中、三菱電機グループは、「企業理念」及び「7つの行動指針」に基づき、CSRを企業経営の基本として活動していく。環境問題や資源・エネルギー問題をはじめとする今日的な社会課題に対し、グローバルでの製品・システム・サービスの提供等により、持続可能性と安心・安全・快適性が両立する豊かな社会の実現に貢献する「グローバル環境先進企業」を目指して、グループ一丸となって取り組んでいく。
また、豊かな社会の実現に貢献する取り組みにおいては、「バランス経営」の3つの視点(「成長性」「収益性・効率性」「健全性」)に基づき持続的成長を追求し、もう一段高いレベルの成長を目指す。「強い事業をより強く」することに加え、強い技術資産の組み合せによる「技術シナジー」や多岐にわたる事業群の連携による「事業シナジー」の創出を通じ、遅くとも2020年度までに「連結売上高5兆円以上」「営業利益率8%以上」を達成すべく、更なる価値の創出に取り組んでいく。あわせて、継続的に達成すべき経営指標として、「ROE10%以上」「借入金比率15%以下」の達成にも努めていく。なお、2016年度の業績は、売上高は4兆2,386億円、営業利益率は6.4%、ROEは10.9%、借入金比率は8.4%となった。
持続的成長に向けては、成長牽引事業を中心とした事業競争力の強化と「新たな強い事業の継続的創出」に向けた開発投資や設備投資を強化するとともに、製品・技術の補完や新地域・新市場での販売網・サービス網の確保、新規顧客層の獲得を目的とした協業・M&Aなどに取り組んでいく。グローバル及びグループトータルでの最適な事業推進体制を構築・強化し、欧米や中国における事業競争力を強化するとともに、インド・東南アジア・中南米等の成長市場における需要獲得に注力することで、成果を実現していく。あわせて、事業の継続的な新陳代謝を通じた経営資源の最適な配分、「ものづくり力」の強化に資する開発・生産力の強化、開発設計段階からの品質作り込み、間接部門における業務効率化も含むJust In Time改善活動を通じた生産性向上、人材構造適正化及び最適配置、更なる財務体質の改善等に引き続き取り組むとともに、事業別資産効率指標として導入した三菱電機版ROIC*3を継続的に運用し、中長期視点で、総合的な事業効率性を向上させ、「質のよい」成長を実現していく。
かかる三菱電機グループの取り組みの中で、「環境」については、低炭素社会や循環型社会の形成等に貢献すべく、創立100周年の2021年を目標年とする「環境ビジョン2021」の下、製品使用時におけるCO2排出量の30%削減(2000年度比)と、グループ全体での製品生産時のCO2排出総量の30%削減(1990年度比*4)を目標としている。2016年度の実績は、製品使用時のCO2排出量は削減率35%、製品生産時のCO2排出総量の削減率は49%となった。引き続き、目標年での達成に向け取り組んでいく。「倫理・遵法」については、コンプライアンス方針の徹底、内部統制の強化、教育を核とした更なるコンプライアンス活動の強化に引き続きグループ全体で取り組んでいく。あわせて、コーポレートガバナンス・コードへの適切な対応を図るなど、「コーポレートガバナンス」の継続的な向上策に取り組み、社会・顧客・株主等とのより高い信頼関係の確立に一層努めていく。
三菱電機グループは、上記施策を着実に展開することにより、更なる企業価値の向上を目指していく。
*1 「企業理念」:三菱電機グループは、技術、サービス、創造力の向上を図り、活力とゆとりある社会の実現に貢献する。
*2 「7つの行動指針」:
・「信頼」:社会・顧客・株主・社員・取引先等との高い信頼関係を確立する。
・「品質」:最良の製品・サービス、最高の品質の提供を目指す。
・「技術」:研究開発・技術革新を推進し、新しいマーケットを開拓する。
・「貢献」:グローバル企業として、地域、社会の発展に貢献する。
・「遵法」:全ての企業行動において規範を遵守する。
・「環境」:自然を尊び、環境の保全と向上に努める。
・「発展」:適正な利益を確保し、企業発展の基盤を構築する。
*3 三菱電機版ROIC(投下資本利益率):各事業部門での把握・改善が容易となるように、「資本」「負債」ではなく、資産項目(固定資産・現預金等)に基づいて算出。
*4 削減目標の基準年度:当社単独1990年、国内関係会社2000年、海外関係会社2005年
三菱電機グループは、重電システム、産業メカトロニクス、情報通信システム、電子デバイス、家庭電器、その他の広範囲の分野にわたり開発、製造、販売等の事業を行っており、またそれぞれの事業は国内及び北米、欧州、アジア等の海外において展開されている。そのため、様々な要素が当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性がある。
具体的に当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性がある要因のうち、主なものは以下のとおりだが、新たな要因が発生する可能性もある。
(1) 世界の経済状況・社会情勢及び規制や税制等各種法規の動向
世界の経済状況・社会情勢及び規制や税制等各種法規の動向は、当社グループの経営全般に影響を及ぼす可能性がある。
(2) 為替相場
為替相場の変動は、主に当社における米ドル建てもしくはユーロ建て輸出売上や輸入部材購入、アジア地域の製造拠点における当該地国以外の通貨建て輸出売上や輸入部材購入について影響を及ぼす可能性がある。
(3) 株式相場
株式相場の下落は、当社が保有する市場性のある株式の評価減による損失の計上、年金資産公正価値の減少に伴う退職給付費用の増加をもたらす可能性がある。
(4) 製品需給状況及び部材調達環境
製品需給状況の変動による価格の下落や出荷数量の減少及び部材調達環境の悪化による原価の上昇は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性がある。
(5) 資金調達環境
特に円の金利上昇は、当社の支払利息の増加をもたらす。
(6) 重要な特許の成立及び実施許諾並びに特許関連の係争等
重要な特許の成立及び実施許諾並びに特許関連の係争等が起こった場合は、当該案件の関係する事業へ影響を及ぼす可能性がある。
(7) 環境に関連する規制や問題の発生
環境に関連する規制の動向や問題の発生は、損失の計上や規制に対応するための費用等の増加を伴う可能性がある。また、当社グループの生産活動をはじめとする企業活動全般に影響を及ぼす可能性がある。
(8) 製品やサービスの欠陥や瑕疵等
製品やサービスの欠陥や瑕疵等により、損失計上を伴う場合がある。また、当社グループの製品やサービスの品質に対する評価の低下は、経営全般に影響を及ぼす可能性がある。
(9) 訴訟その他の法的手続き
当社グループに対する訴訟その他の法的手続きは、当社グループの経営全般に影響を及ぼす可能性がある。
(10) 急激な技術変化や、新技術を用いた製品の開発、製造及び市場投入時期
急激な技術変化や、新技術を用いた製品の開発、製造及び市場投入時期は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性がある。
(11) 事業構造改革
事業構造改革の実行内容によっては、損失計上を伴う場合がある。
(12) 情報セキュリティー
当社グループの保有する個人情報や当社グループの技術・営業等の事業に関する機密情報等が、コンピューターウイルスの感染や不正アクセスその他不測の事態により、滅失もしくは社外に漏洩した場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性がある。
(13) 地震・台風・津波・火災等の大規模災害の発生
地震・台風・津波・火災等の大規模災害の発生は、当社グループの生産活動をはじめとする企業活動全般に影響を及ぼす可能性がある。
(14) テロ・戦争、新型インフルエンザ等の感染症の流行等による社会的・政治的混乱の発生
テロ・戦争、新型インフルエンザ等の感染症の流行等による社会的・政治的混乱の発生は、当社グループの経営全般に影響を及ぼす可能性がある。
なお、上記における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2017年6月29日)現在において当社が判断したものである。
(1) 技術供与契約
|
相手方の名称 |
契約の内容 |
契約締結日 |
期限 |
|
三菱電機コンシューマー・ プロダクツ(タイ)社 |
ルームエアコン・パッケージエアコン 製造技術使用許諾 |
1990. 6. 1 |
自動延長 |
|
上海三菱電機 上菱空調機電器有限公司 |
ルームエアコン・パッケージエアコン・換気扇製造技術使用許諾 |
2010. 6.25 |
2020. 6.25 |
|
三菱電機(広州)圧縮機有限公司 |
空調用圧縮機の製造技術使用許諾 |
2011.12.28 |
自動延長 |
|
三菱電機 エア・コンディショニング・ システムズ・ヨーロッパ社 |
空調機の製造技術使用許諾 |
2005.10. 1 |
自動延長 |
|
サイアム・コンプレッサー・ インダストリー社 |
空調用圧縮機の製造技術使用許諾 |
2002. 4. 1 |
自動延長 |
|
三菱エレベーター・アジア社 |
昇降機の製造技術使用許諾 |
1992. 6.15 |
自動延長 |
(注) 1 上記契約は、すべて当社を契約会社としている。
2 上記契約に基づく報償料は、売上に応じた金額を受領する。一部の契約については、所定金額を受領する。
三菱電機グループ(当社及び連結子会社)は、国内研究所、海外研究所(米・欧)および製作所・連結子会社の開発部門において、基礎研究から応用研究、製品化開発、更には生産技術開発に至る積極的な研究開発活動を推進している。また、国内外の大学・研究機関などと連携し、広範かつ先進的な研究開発活動をグローバルに展開している。
当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費の総額は2,013億円(製造費用へ計上した改良費等を含む)であり、事業セグメントごとの研究開発活動の目的・内容・成果および開発費は以下のとおりである。
(1) 重電システム
発電機・電動機などの回転機、開閉機器・変圧器などの送変電機器や受配電機器、交通システム、昇降機などの基幹製品の競争力強化に向けた開発を行うとともに、監視制御システム、電力情報システム、ビル管理システム、映像情報システムなどIT応用システムの開発を行っている。主な成果は、フルSiCパワーモジュール適用交流架線システム向け補助電源装置、駅舎補助電源装置「S-EIV」蓄電タイプ、「三菱低圧モータコントロールセンタD」、発電機用薄型点検ロボット、鉄道向け直流大電流の高速遮断技術、世界最高速*1となる分速1,230mの超高速エレベーター、海外低層住宅・オフィスビル向けエレベーター「NEXIEZ-S」、工事期間中でもエレベーターが利用できる「ハイブリッド制御盤」、入退室管理システム対応「ハンズフリー認証装置」などである。当該分野における研究開発費は355億円である。
(2) 産業メカトロニクス
FA制御システム機器、サーボモータなどの駆動機器、配電制御機器、メカトロ機器、産業用ロボット、電動パワーステアリングなどの自動車用電装品、カーマルチメディア機器、予防安全(自動運転)・運転支援系システムなどの競争力強化に向けた開発を行っている。主な成果は、MELSEC iQ-Rシリーズ二重化シーケンサ、SCADAソフトウェア「MC Works64」、エッジコンピューティング支援機能を搭載したC言語コントローラ、ワイヤ放電加工機「MV D-CUBESシリーズ」、MELSENSOR レーザ変位センサ、産業用ロボット「MELFA FRシリーズ」、車載用DIATONEスピーカー「DS-SA1000」、DCDCコンバータユニット内蔵の第2世代車載充電器、第5世代トランスミッションコントロールユニット「5G-TCU」、車線維持制御システムなどである。当該分野における研究開発費は664億円である。
(3) 情報通信システム
情報通信インフラやネットワークソリューション機器及び宇宙関連システムなどの開発を行っている。主な成果は、モービルマッピングシステム「MMS-G220」、高精度3次元地図向け自動図化技術および差分抽出技術、アクセスネットワーク向けXG-PON用光トランシーバ、CFP MSA準拠版100Gbpsデジタルコヒーレントトランシーバ、2.4GHz/5GHzデュアルバンド無線LAN対応HGW、インテリジェントHUB、HD・IP複合一体型カメラ「HM-7000」、プライベートクラウドサービス「Value Platform on Demand®*2」、SaaS型電子申請サービス「パッケージプラス®*3ジラフィ」などである。当該分野における研究開発費は182億円である。
(4) 電子デバイス
様々な事業分野を支える半導体デバイスなどの開発を行っている。主な成果は、第7世代IGBT搭載パワー半導体モジュール「IPM G1シリーズ」、パワー半導体モジュール「超小型フルSiC DIPIPM」、2.6GHz帯第4世代移動通信システム基地局用220W GaN HEMT、高速光ファイバー通信用受信モジュール「100Gbps小型集積APD ROSA」、車載・産業用高表示性能TFT液晶モジュールなどである。当該分野における研究開発費は100億円である。
(5) 家庭電器
空調機器、調理家電、家事家電、照明機器、デジタル映像機器、電材住設機器、太陽光発電システムなどの開発を行っている。主な成果は、ルームエアコン「霧ヶ峰FZ・Zシリーズ」における温冷感が違う大人と子どもを判断し快適性を向上させる機能、冷蔵庫「WX・JX・Bシリーズ」における野菜に含まれるビタミンCの量を増やし、鮮度も長持ちさせる「朝どれ野菜室」機能、コードレススティッククリーナー「iNSTICK」の布団掃除機能の強化などである。当該分野における研究開発費は411億円である。
(6) その他・共通(先端技術・共通基盤技術)
先端技術の開発を、IoT、スマートモビリティ、快適空間、安全・安心インフラの4つの未来社会カテゴリで推進している。主な成果は、ディープラーニングの自動設計および高速学習アルゴリズム、HEV用超小型SiCインバーター、3次元モデルARを用いた保守点検作業支援技術、高温超電導コイルを搭載した磁界強度3テスラでの撮像技術、リアルタイム混雑予測技術、次世代移動通信システム向け「超広帯域GaNドハティ増幅器」などである。共通基盤技術については、高精度・高速調芯技術、流体・伝熱・冷媒回路の統合設計手法、圧縮機用モータの絶縁フィルム組み込み工程自動化などである。当該分野における研究開発費は297億円である。
*1 2016年11月1日現在稼働しているエレベーターにおいて、当社調べ。
*2 Value Platform on Demand は三菱電機インフォメーションネットワーク㈱の登録商標である。
*3 パッケージプラスは㈱三菱電機ビジネスシステムの登録商標である。
三菱電機グループが当連結会計年度中にとった主な施策及び翌連結会計年度以降に向けての施策については、「1 業績等の概要 (1) 業績」及び「3 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであるが、これらの施策の実施状況を踏まえた当連結会計年度に関する財政状態及び経営成績の分析は以下のとおりである。
なお、当社の連結財務諸表は、米国において一般に公正妥当と認められた会計原則に基づいて作成している。当社は連結財務諸表を作成するために、種々の仮定と見積りを行っており、それらの仮定と見積りは資産、負債、収益、費用の計上金額並びに偶発資産及び債務の開示金額に影響を及ぼし、実際の結果がそれらの見積りと異なることもあり得る。主要な会計方針の要約は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 (2015年度及び2016年度連結財務諸表に対する注記)」に記載している。
事業の種類別セグメントの業績と所在地別セグメントの業績については「1 業績等の概要 (1) 業績」に、キャッシュ・フローについては「1 業績等の概要 (2) キャッシュ・フロー」に記載している。
(1) 資産及び負債・資本の状況分析
総資産残高は、前連結会計年度末比1,200億円増加の4兆1,800億円となった。現金及び預金等が882億円、株価上昇等を背景に投資有価証券及びその他が851億円増加した。
負債の部は、借入金及び社債残高が前連結会計年度末比519億円減少の3,521億円となり、借入金比率は8.4%(前連結会計年度末比△1.6ポイント)となった。また、支払手形及び買掛金が64億円増加した一方、退職給付引当金が株価上昇等に伴う年金資産の増加等により347億円減少したこと等から、負債残高は前連結会計年度末比831億円減少の2兆393億円となった。
資本の部は、配当金の支払い579億円による減少等はあったものの、当社株主に帰属する当期純利益2,104億円の計上による増加、株価上昇等を背景としたその他の包括利益累計額の増加486億円等により、株主資本は前連結会計年度末比2,008億円増加の2兆396億円となり、株主資本比率は48.8%(前連結会計年度末比+3.5ポイント)となった。
(2) 経営成績の分析
① 売上高
当連結会計年度の売上高は、4兆2,386億円と前連結会計年度比1,556億円の減収となった。これは、重電システム、産業メカトロニクス、情報通信システム及び電子デバイスのセグメントにおいて減収となったことによるものである。
② 売上原価及び費用並びに営業利益
売上原価は、前連結会計年度比1,207億円減少の2兆9,507億円となり、売上高に対する比率は0.3ポイント改善の69.6%となった。販売費及び一般管理費・研究開発費は、前連結会計年度比11億円増加の1兆143億円となり、売上高に対する比率は前連結会計年度比0.9ポイント悪化の23.9%となった。固定資産減損損失は、前連結会計年度比50億円減少の34億円となった。
この結果、営業利益は重電システム、産業メカトロニクス、情報通信システム及び電子デバイスのセグメントにおいて減益となったこと等により、前連結会計年度比310億円減少の2,701億円となった。
③ 営業外収益及び営業外費用
受取利息及び受取配当金と支払利息を合わせた金融費用は、前連結会計年度比6億円の収支悪化となり44億円の収入超過となった。
持分法による投資利益は、前連結会計年度比79億円減少の215億円の利益となった。
その他の収益は、前連結会計年度比92億円増加の318億円となった。その他の費用は、前連結会計年度比81億円減少の316億円となった。
④ 税金等調整前当期純利益
税金等調整前当期純利益は、前連結会計年度比222億円減少の2,962億円(売上高比7.0%)となった。これは、前述のとおり営業利益が310億円減少したこと等によるものである。
⑤ 当社株主に帰属する当期純利益
当社株主に帰属する当期純利益は、税金等調整前当期純利益の減少等により、前連結会計年度比180億円減少の2,104億円(売上高比5.0%)となった。
(注) 「第2 事業の状況」の各記載金額には消費税等を含んでいない。