(1) 経営方針
三菱電機は創立100周年を契機に改定した企業理念体系を、経営の基本方針として活動しています。「たゆまぬ技術革新と限りない創造力により、活力とゆとりある社会の実現に貢献する」という三菱電機グループの企業理念は、社会における私たちの存在意義そのものです。この企業理念の下、三菱電機グループは「成長性」「収益性・効率性」「健全性」の3つの視点によるバランス経営に加えて、「事業を通じた社会課題の解決」という原点に立ち、サステナビリティの実現を経営の根幹に位置づけています。これにより、企業価値の持続的向上を図り、社会・顧客・株主・従業員をはじめとしたステークホルダーへの責任を果たしてまいります。
(2) 経営環境及び対処すべき課題
世界経済の先行きは、引き続き回復基調を見込んでいるものの、新型コロナウイルス感染症の変異株の拡大等の不確実性が継続する中、ウクライナをめぐる国際情勢を受けた供給制約や資源価格の高騰の加速に伴う各国でのインフレ率の上昇等を背景とした景気減速もあり、成長の鈍化が見込まれます。
かかる中、三菱電機グループは、グループ内外の知見の融合と共創により、進化した統合ソリューションを提供する「循環型 デジタル・エンジニアリング企業」へ変革し、多様化する社会課題の解決に貢献してまいります。持続的成長に向けては、当社の事業を特性別に分類し、強弱をつけて経営資源を投入していく事業ポートフォリオ戦略の強化による収益力向上を図るべく、重点成長事業と位置付ける「FA制御システム」「空調冷熱システム」「ビルシステム」「電動化/ADAS*1」「パワーデバイス」の5つの事業に対し経営資源を戦略的に投入し、収益力や成長性の高い事業へのリソースシフトを進めています。あわせて、社会構造や顧客価値の変化に対応したオープンイノベーションの推進、新分野・新技術の取り込み、シナジーの追求等による新事業の創出や「データ連携・活用型」を主体としたソリューション事業の拡大を推進してまいります。これらの実現に向けて、中長期視点での事業戦略を構築・推進するビジネスエリア(BA)オーナーを配置する新たな経営体制を構築いたしました。これにより、全社的視点から傘下の事業本部におけるM&Aや事業再編などの加速を促すとともに、新たな事業創出や技術・事業分野の強化、戦略的リソースシフトを推進してまいります。これまで以上に事業を通じた社会課題解決を加速・推進しながら、企業価値を最大化してまいります。かかる中、三菱電機グループは、多様化する社会課題に対し、ライフ、インダストリー、インフラ、モビリティの4つの領域において、当社の強いコアコンポーネントに、豊富なフィールドナレッジ、先進的デジタル技術を掛け合わせ、当社ならではの統合ソリューションを提供していくことで、「持続可能な地球環境と安心・安全・快適な社会の実現」をはじめとする価値創出をより一層推進してまいります。
また、日本・欧米・中国における事業競争力を強化するとともに、インド等の成長市場における需要獲得に注力すべく、製品・技術等の補完や新地域・新市場での販売網・サービス網の確保などにも取り組んでまいります。あわせて、資本コストを意識した経営を進めていく中で、事業の継続的な新陳代謝を通じた開発投資や設備投資などを含む経営資源の最適な配分、「ものづくり力」の強化に資する開発・生産力の強化、開発設計段階からの品質作り込み、データとデジタル技術を活用した、経営管理の高度化及び間接部門における業務効率化も含む生産性の向上、人材構造適正化及び最適配置、更なる財務体質の改善等に引き続き取り組むとともに、事業別資産効率指標として導入した三菱電機版ROIC*2の更なる浸透を図り、中長期視点で、総合的な事業効率性と資本効率の向上を目指してまいります。
さらには、足元での素材・物流費の高騰、半導体・電子部品の調達難による部材調達環境の悪化に加え、脱炭素化や自動運転等の新たな市場ニーズの高まり等、事業環境が大きく変化している中、特に車両電動化関連製品をはじめとする自動車機器事業においては、継続的に営業損失を計上しており、引き続き不確実性の高い事業環境が見込まれることから、これら変化に耐えうる強固な収益基盤を構築してまいります。
これら施策を通じ、中期経営計画における2025年度財務目標の「連結売上高5兆円」「営業利益率10%」「ROE10%」「キャッシュ・ジェネレーション3.4兆円/5年」を達成すべく、更なる価値の創出に取り組んでまいります。創出したキャッシュ(3.4兆円/5年)については、成長投資を最優先として重点成長事業を中心に2.8兆円を振り向けつつ、利益成長を通じた株主還元についても更に強化して0.6兆円を目標とするキャピタル・アロケーション方針としています。
なお、セグメント別の営業利益率は次のとおりです。報告セグメントの区分はBAオーナーを配置する新たな経営体制への移行に伴い、2022年4月1日より変更しています。当連結会計年度の従来のセグメントと新たなセグメントに組み替えた双方の営業利益率を示しています。
<営業利益率のセグメント別内訳>
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従来のセグメント |
2021年度 実績 |
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2022年度以降の 新たなセグメント |
2021年度 実績 (セグメント 組み替え後) |
中期経営計画 2025年度目標 |
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重電システム |
5.0% |
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インフラ |
4.4% |
7% |
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産業メカトロニクス |
6.6% |
|
インダストリー・ モビリティ |
6.5% |
11% |
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情報通信システム |
4.2% |
|
ライフ |
5.5% |
11% |
|
電子デバイス |
7.0% |
|
ビジネス プラットフォーム |
6.9% |
10% |
|
家庭電器 |
6.2% |
|
|
|
|
*2022年度におけるビジネスエリアと事業本部の関係は以下のとおりです。
かかる三菱電機グループの取り組みの中で、「環境」については、「脱炭素社会」の実現を重要な経営課題と位置づけ、環境経営ビジョンを策定しています。創立100周年の2021年を目標年として2007年に策定した「環境ビジョン2021」においては、製品使用時におけるCO2排出量の30%削減(2000年度比)と、グループ全体での製品生産時のCO2排出総量の30%削減(1990年度比*3)という目標を達成しました。2021年度からは、「環境ビジョン2050」に基づき、バリューチェーン全体での温室効果ガス排出量の2050年実質ゼロを目指し、三菱電機グループの工場・オフィスからの温室効果ガス排出量の2030年度50%以上削減(2013年度比)を中間目標に設定して取り組みを一層強化するとともに、社会全体の脱炭素化に貢献する事業を育成し、「脱炭素社会」の実現に貢献してまいります。また、TCFD*4の提言に基づいた気候変動に係るリスクと機会の開示に向けた取り組みを継続してまいります。
「倫理・遵法」については、経営の最優先課題として近年発生した製品・サービス品質、労務、情報セキュリティーの問題を厳粛に受け止め、再発防止に向けた各種取り組みを進めています。三菱電機グループのコンプライアンス・モットーである“Always Act With Integrity”(いかなるときも「誠実さ」を貫く)に基づき、コンプライアンス方針の再徹底、内部統制の強化、教育を核としたコンプライアンス活動による一層の意識浸透にグループ全体で真摯に取り組んでまいります。
特に一連の品質不適切行為に関しては、2021年7月に社外弁護士を委員長として設置した調査委員会に調査を委嘱し、当社国内全従業員に対するアンケート調査等で得られた内容について客観的データ等の突合による整合性確認、当該拠点関係者や役員に対するフォレンジック調査及び関係者へのヒアリング調査を継続しています。当社としても、全製作所等の早期調査完了に向け、引き続き調査委員会の調査に最大限の協力をしてまいります。また、これらの調査を通じて、一連の品質不適切行為の直接の原因4項目(①「手続き」による品質保証概念の欠如、②品質部門の脆弱性、③ミドルマネジメント層の疲弊、④本社と現場の距離)とその背景となる組織風土上の問題3項目(⑤拠点単位の内向きな組織風土、⑥独立性の高い事業本部制、⑦経営陣の本気度)については複数の製作所で課題となっていることが具体的な事例をもって示されています。これら課題に対処するため、再発防止を含む信頼回復に向けた3つの改革(品質風土、組織風土、ガバナンス)を深化・発展させながら、個々の現場に即した対策を推進してまいります。品質風土改革においては、①牽制機能の再構築、②技術力・リソース課題への対策、③品質コンプライアンス意識の再醸成に向け、2022年4月に外部から招聘したCQO(Chief Quality Officer)の下、品質改革推進本部を中心に当社全拠点・全グループ会社を通じて、共通施策を実行しています。組織風土改革においては、2022年3月に全社変革プロジェクト「チーム創生」が策定した「骨太の方針」を実行フェーズに移し、活動を進展・進化させていくとともに、「人事制度の刷新」に向け各種施策を実行していくことで、2025年度を目安に、新しい文化が定着し、繋がりあい、自走する組織への変革の定着を図ってまいります。ガバナンス改革においては、2021年10月に設置した、外部専門家で構成されるガバナンスレビュー委員会による提言も踏まえ、経営監督機能の強化、内部統制システムの検証やリスクマネジメント体制の強化に向けた取り組み等を進めてまいります。
労務問題に対しては、3つの改革(品質風土、組織風土、ガバナンス)とあわせて、外部専門家による第三者検証を踏まえた「三菱電機 職場風土改革プログラム」を推進することで、全従業員が心身の健康を維持し、安心していきいきと働ける職場環境の実現にグループを挙げて、引き続き取り組んでまいります。
セキュリティー対策については、過去に発生した不正アクセス事案を踏まえ、情報セキュリティー基盤強化に向けた活動を推進し、高度化・巧妙化する最新の攻撃パターンへの対策を強化してまいります。
あわせて、コーポレートガバナンス・コードへの適切な対応を図るなど、「コーポレート・ガバナンス」の継続的な向上に取り組むとともに、適時適切な情報開示に努め、社会・顧客・株主・取引先、及び共に働く従業員とのより高い信頼関係の確立に一層努めてまいります。
三菱電機グループは、上記施策を着実に展開することにより、更なる企業価値の向上を目指します。
*1 ADAS:Advanced Driver Assistance System/先進運転支援システム
*2 三菱電機版ROIC(投下資本利益率):各事業部門での把握・改善が容易となるように、「資本」「負債」ではなく、資産項目(固定資産・運転資本等)に基づいて算出。
*3 削減目標の基準年度:当社単独1990年、国内関係会社2000年、海外関係会社2005年
*4 TCFD(Task Force on Climate-related Financial Disclosures):G20の財務大臣・中央銀行総裁からの要請により設置された、民間主導による気候関連財務情報の開示に関するタスクフォース
(1) 三菱電機グループのリスクマネジメント体制
三菱電機グループは、各部門及び国内外の関係会社が主体的にリスクマネジメントを遂行することに加えて、CRO*1およびリスクマネジメント統括室*2を設置してグループ全体を統括するとともに、迅速な判断が可能な体制を構築しています。大規模災害や社会的リスクなどの従来型リスクへの対応にとどまらず、経済安全保障、人権、地球環境など新たなリスクに対する探索と備えについても機動的かつ戦略的に推進します。
特に経営の監督と執行にかかわる重要事項については、取締役会、執行役会議において審議・決定します。
*1 Chief Risk Management Officer(2022年1月設置) *2 2022年1月設置
(2) 事業等のリスク
三菱電機グループは、ビジネスエリアオーナーを設置し、「インフラ」「インダストリー・モビリティ」「ライフ」「ビジネスプラットフォーム」の4つのビジネスエリアにおいて開発、製造、販売等の事業を行っており、またそれぞれの事業は国内及び北米、欧州、アジア等の海外において展開されています。そのため、様々な要素が三菱電機グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
具体的に三菱電機グループの財政状態及び経営成績や、投資家の判断に影響を及ぼす可能性がある要因のうち、主なものは以下のとおりです。
①品質不適切行為による業績への影響について
当社の長崎製作所が製造する鉄道車両用空調装置等の一部において、購入仕様書の記載とは異なる検査の実施や検査の不実施、検査成績書への不適切な記載等を行っていた事実が判明したことを受け、全社レベルでの品質不適切行為の有無の点検、事実調査・真因究明、これを踏まえた再発防止策の策定等を目的に、調査委員会(調査委員会委員長:西村あさひ法律事務所 木目田 裕、2021年7月2日公表)を設置しました。
調査委員会は、当社国内全従業員に対するアンケート調査等で得られた内容について客観的データ等の突合による整合性確認、当該拠点関係者や役員に対するフォレンジック調査及び関係者へのヒアリング等を実施しており、調査は現在も継続しています。
当社は、これらの調査の中で、2021年10月1日、2021年12月23日、及び2022年5月25日に調査委員会よりそれぞれの時点における調査報告書を受領しています。
調査報告書の中で、一部の拠点において新たな品質不適切行為が判明しており、当社は、顧客に対し状況を報告し対応について協議するとともに、品質不適切行為の全容解明に向け、引き続き調査活動に最大限の協力をしていきます。
品質不適切行為の影響については、追加点検費用や品質管理体制の強化に要する費用などを一定の前提に基づき織り込んでいますが、今後の顧客との協議や調査などの進捗次第では、前提を上回る損失や新たな品質不適切行為の判明に伴う損失の発生等により、三菱電機グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
これまで明らかになった当社の課題に対処するため、調査委員会の提言も踏まえ、再発防止を含む信頼回復に向けた3つの改革(品質風土、組織風土、ガバナンス)を深化・発展させながら、個々の現場に即した対策を推進していきます。
②地政学的リスクの高まりによる社会・経済・政治的混乱の影響について
ウクライナをめぐる国際情勢は、欧州を中心とした地政学的リスクレベルを一変させ、社会情勢を不安定化させるとともに、世界経済の回復に対しても減速をもたらしています。あわせて、近年の米・中の緊張関係は、相互に矛盾する政策や方針・規制などにより、企業の情報管理とサプライチェーンに大きな影響を及ぼしており、国際社会のブロック化に伴い、企業にとって予見困難なリスク顕在化の可能性が増すとともに、経済合理性だけでは判断できない事象も生じています。
三菱電機グループは、重電システムから家庭電器まで広範な領域で事業を展開し、売上高の約5割が、海外向けとなっています。また、日本国内向けの売上には国内で利用される製品だけでなく、顧客の製品に組み込まれて海外に輸出される製品も含まれています。
したがって、ウクライナ情勢の長期化に伴う欧州の経済減速、中国のゼロコロナ政策等による景気減速、世界的なインフレーションの進展等を背景に、世界各国・地域の経済成長が想定以上に減速し、当社製品の需要や、当社製品を組み込んだ顧客の製品の販売動向が変化した場合には、三菱電機グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
こうした各国の経済安全保障政策の急激な変化に対応すべく、社長直轄組織である「経済安全保障統括室」において、政策動向や法制度の調査・分析、全社における機微技術管理、情報セキュリティー、投資、開発、サプライチェーン等に関わる経済安全保障の観点から見た統合的なリスク制御を行っています。
③製品需給状況およびサプライチェーン(部材調達)環境の変化について
新型コロナウイルス感染症対策として普及したリモートワーク等の新たな生活様式は、ニューノーマルとして定着し、全世界的にデータセンターや5G通信需要等を拡大させています。また、カーボンニュートラルに向けた取り組みとして再生可能エネルギーや電気自動車の普及も加速しています。
各国の経済対策等を背景とした世界的な需要拡大に加え、対ロシア制裁によるエネルギー価格の高騰等により半導体や一部の電子部品、材料、物流費の価格上昇や調達困難な状況が顕在化しています。
これらもふまえて、引き続き三菱電機グループは競争力のある製品を市場に供給するために、安定調達に向けた調達品の確保と、価格高騰の抑制に注力します。
また、米・中の緊張関係、あるいは人権や環境に関連した欧米の規制により、サプライチェーンの変更等も想定されますが、多様な調達リスクの軽減と環境の変化に対応した持続可能な調達体制を構築し、生産活動の継続を可能とするBCP対策を強化していきます。
④情報セキュリティーを取り巻く環境について
三菱電機グループの営業情報や技術情報、知的財産等の企業機密や顧客・ステークホルダーの皆様からお預かりした情報等が、コンピューターウイルスの感染や不正アクセスその他不測の事態により、滅失もしくは社外に漏洩した場合、または工場の生産に影響を与えるようなサイバー攻撃事案が発生した場合は、三菱電機グループの事業活動及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
加えてソフトウェア又はハードウェアの大規模障害、三菱電機グループ及び三菱電機グループ管理外のシステムに未知の脆弱性があった場合や外部事業者が提供する情報通信サービスの停止、大規模災害等により、情報システムが機能不全に陥る場合は、三菱電機グループの事業が影響を受ける可能性があります。かかるリスクへの対応として、情報セキュリティー基盤強化活動を推進し、高度化・巧妙化する最新のサイバー攻撃パターンへの対策強化及びレジリエントな情報システムの維持・強化を進めていきます。
⑤技術革新の加速と競争の激化について
三菱電機グループは、高度な技術で様々な社会課題を解決し「持続可能な社会」の実現に貢献すべく、既存事業の強化と変革、新たな価値創出に向け、研究開発をバランスよく推進しています。また、大学など社外研究機関とのオープンイノベーションも積極的に活用し、開発加速と新たな価値創出を追求しています。
なお「持続可能な社会」を実現するための重要課題のうち、気候関連(脱炭素化等)、人権等については、国際的な法制面の整備、規制への取組みも加速しており、これまでの価値観と社会構造を変化させ、急激な技術革新(ゲームチェンジ)をもたらすことも考えられます。
急激な技術革新の加速は競争の激化を招き、リスク側面として三菱電機グループの業績に影響を及ぼす可能性があり、不確実性の高い事業環境が見込まれることから、これら変化に耐えうる強固な収益基盤を構築していきます。
⑥人権に関する法規・規制および社会的要請等の高まりについて
三菱電機グループは、人権に関して以下のリスクを認識しています。
・各国で制定が進む企業に人権の取組みを求める法令に適時適切に対処しなければ法令違反となるリスク
・人権侵害に加担した企業とみなされた場合に企業に課される経済制裁リスク
・人権侵害に関わる企業への信頼の低下などのレピュテーションリスク
かかるリスクに対し、三菱電機グループとして国連「ビジネスと人権に関する指導原則」など国際規範に基づく取組みを強化しています。
また、三菱電機は、グローバルサプライチェーンにおいて社会的責任を推進する企業同盟であるRBA(Responsible Business Alliance)に加盟し、自社およびサプライチェーンの人権課題に積極的に取組んでいきます。
⑦持続可能な地球環境の実現に関する法規・規制および社会的要請の高まりについて
三菱電機グループは、地球環境リスクのうち気候関連リスクを最優先に対応しています。気候関連リスクは、脱炭素社会への移行に関連するリスク(移行リスク)と、温暖化が進展した場合の物理的影響に関連するリスク(物理リスク)に大別されます。
これらのリスクは、費用の増加(生産・社内管理・資金調達コストなど)、収益の減少、株価の低下などを招くおそれがあります。
かかるリスクに対し、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言に沿って、気候関連課題に対する「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標と目標」について検討を行い、取組みを強化していきます。
⑧感染症(新型コロナウイルス)等の影響について
三菱電機グループは、新型コロナウイルス感染症の影響が出ている各国・地域の拠点においても事業を遂行しています。今後も、感染拡大防止策を十分に講じながら事業を継続してまいりますが、感染が更に拡大・長期化した場合、需要減少などにより三菱電機グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
新型コロナウイルス感染症に対しては、ワクチンのブースター接種や、新生活様式の定着に伴い、一定の事業継続が確保されつつありますが、今後予期せぬウイルス株等が出現した場合、収束時期は不透明になり現段階で想定している以上に業績が変化する可能性があります。
⑨大規模災害(地震、津波、台風、水害、火山噴火、火災)等の影響について
日本は過去より多くの自然災害(地震、津波、台風、水害、火山噴火、火災)等の被害を受けてきました。近年は国内外を問わず全地球規模の気候変動リスクの増大に伴い、気象関連災害は頻発・大規模化し深刻度を増しています。
三菱電機グループは、製造・販売拠点、研究開発拠点、及び本社を含む主要施設を日本国内外に多数有しており、こうした大規模災害により、三菱電機グループの拠点が直接被害を受けることで事業活動が中断する可能性があります。また、三菱電機グループの施設が直接の影響を受けない場合であっても、サプライチェーンの混乱に伴い各種調達に支障が生じ生産活動に影響が出たり、出荷・物流・納品に影響が生じることで、多額の損失が発生する可能性があります。
これらに対し、三菱電機グループは大規模災害等の際は、全社緊急対策室を設置し、全社の情報を一元管理するとともに、各事業拠点単位での安全確保と事業活動の復旧・継続(BCP)に取組みます。
また、大規模災害リスクにも対応可能な柔軟かつ、持続性のあるサプライチェーンを構築し、生産活動の継続が可能となる安定調達に向けたBCP対策を強化していきます。
⑩金融市場(為替相場、株式相場)リスクの影響について
上記①~⑨項で示した複雑化する各個別リスク、あるいはそれらの複合リスクにより、為替相場、株式相場が影響を受ける場合、三菱電機グループは、以下の影響を受ける可能性があります。
<為替相場>
三菱電機グループの売上は北米、欧州、中国がおよそ10%ずつを占めていることに加え、当社における米ドル建てやユーロ建てでの輸入部材購入、アジア地域の製造拠点における当該地国以外の通貨建て輸出売上や輸入部材購入があります。
為替予約等により為替の変動の影響を回避するようにしていますが、為替レートの急変により、当社の想定している為替レートから大きく変動すると、三菱電機グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
<株式相場>
三菱電機グループは、取引先との関係の維持・強化等を勘案し、事業運営上、必要性が認められると判断した株式を保有することとしていますが、株式相場の下落は、三菱電機グループが保有する市場性のある株式の価値の減少や、年金資産の減少をもたらす可能性があります。
かかるリスクへの対応として、保有株式については、採算性、事業性、保有リスク等の観点から総合的に保有意義の有無を判断し、毎年、執行役会議及び取締役会にて検証・確認を行っています。保有意義が希薄と判断した株式は、当該企業の状況等を勘案した上で売却を進めるなど縮減を図ることとしています。
なお、上記における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2022年6月29日)現在において当社が判断したものです。
三菱電機グループが当連結会計年度中にとった主な施策及び翌連結会計年度以降に向けての施策については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」などに記載のとおりですが、これらの施策の実施状況を踏まえた当連結会計年度に関する財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの分析は以下のとおりです。
(1) 業績概要
当連結会計年度の景気は、企業部門は米国、欧州、日本などにおいて総じて持ち直しが継続しました。個人消費は米国、欧州などでの持ち直しが継続しましたが、日本では、経済活動正常化に伴う持ち直しの動きはあったものの、新型コロナウイルス感染症の影響による下押しがみられました。中国では、輸出や生産は回復傾向が継続しましたが、個人消費を中心に持ち直しは緩やかになりました。また、素材価格・物流費の上昇や部材の需給逼迫の長期化などの動きがみられました。
かかる中、三菱電機グループは、これまでの事業競争力強化・経営体質強化に加え、持続的成長に向けた事業ポートフォリオ戦略の強化による収益力向上に、従来以上に軸足を置いて取り組んでまいりました。
この結果、当連結会計年度の業績は、以下のとおりとなりました。
<連結決算概要>
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前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
前連結会計年度比 |
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売上高 |
41,914億円 |
44,767億円 |
2,853億円増 |
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営業利益 |
2,301億円 |
2,520億円 |
218億円増 |
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税引前当期純利益 |
2,587億円 |
2,796億円 |
209億円増 |
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親会社株主に帰属 する当期純利益 |
1,931億円 |
2,034億円 |
103億円増 |
①売上高
売上高は、重電システム部門や情報通信システム部門で減収となりましたが、産業メカトロニクス部門、家庭電器部門、電子デバイス部門などの増収により、前連結会計年度比2,853億円増加の4兆4,767億円となりました。産業メカトロニクス部門では、FAシステム事業はデジタル関連や脱炭素関連の設備投資を中心とした国内外での需要拡大を背景に増加し、自動車機器事業は電動車を中心とした市場の拡大に伴い増加しました。家庭電器部門では、国内向け空調機器は半導体部品の需給逼迫などにより減少しましたが、欧米を中心に空調機器の需要が堅調に推移し増加しました。電子デバイス部門では、パワー半導体の需要回復などにより増加しました。
<売上高における為替影響額>
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前連結会計年度 期中平均レート |
当連結会計年度 期中平均レート |
当連結会計年度 売上高への影響額 |
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連結合計 |
- |
- |
約1,350億円増 |
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内、米ドル |
106円 |
113円 |
約340億円増 |
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内、ユーロ |
124円 |
131円 |
約200億円増 |
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内、人民元 |
15.7円 |
17.7円 |
約500億円増 |
②営業利益
営業利益は、重電システム部門や家庭電器部門などの減益はありましたが、産業メカトロニクス部門や電子デバイス部門などの増益により、前連結会計年度比218億円増加の2,520億円となりました。営業利益率は、売上高の増加などにより、前連結会計年度比0.1ポイント改善の5.6%となりました。
売上原価率は、為替円安影響に加え、売上高の増加に伴う操業度上昇などによる産業メカトロニクス部門の改善などはありましたが、素材価格上昇の影響などにより、前連結会計年度比0.2ポイントの改善に留まりました。販売費及び一般管理費は、前連結会計年度比600億円増加しましたが、売上高比率は前連結会計年度比0.2ポイント改善しました。その他の損益は、土地売却益の減少などにより前連結会計年度比82億円減少し、売上高比率は前連結会計年度比0.3ポイント悪化しました。
③税引前当期純利益
税引前当期純利益は、営業利益の増加などにより、前連結会計年度比209億円増加の2,796億円、売上高比率は6.2%となりました。
④親会社株主に帰属する当期純利益
親会社株主に帰属する当期純利益は、税引前当期純利益の増加などにより、前連結会計年度比103億円増加の2,034億円、売上高比率は4.5%となりました。
なお、ROEは前連結会計年度比0.4ポイント悪化の7.1%となりました。
事業の種類別セグメントの業績は、次のとおりです。
① 重電システム
社会インフラ事業の事業環境は、国内の公共事業における投資が堅調に推移しましたが、国内の発電関連の需要減少や、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた国内の鉄道各社の設備投資計画の見直しの動きがみられました。このような状況の中、同事業は、国内の電力・交通事業の減少がありましたが、国内の公共事業の増加などにより受注高は前連結会計年度並みとなりました。売上高は、国内の電力・交通事業の減少などにより前連結会計年度を下回りました。
ビルシステム事業の事業環境は、アジアの一部地域などで新型コロナウイルス感染症の影響による市況低迷からの回復の遅れがありましたが、中国などでは回復がみられました。このような状況の中、同事業は中国などを中心に増加し、受注高・売上高ともに前連結会計年度を上回りました。
この結果、部門全体では、売上高は前連結会計年度比97%の1兆2,381億円となりました。
営業利益は、売上高の減少や売上案件の変動などにより、前連結会計年度比467億円減少の621億円となりました。
② 産業メカトロニクス
FAシステム事業の事業環境は、半導体・電子部品・スマートフォンなどのデジタル関連分野やリチウムイオンバッテリーなどの脱炭素関連分野での設備投資を中心に、国内外で需要が拡大しました。このような状況の中、同事業は受注高・売上高ともに前連結会計年度を上回りました。
自動車機器事業の事業環境は、半導体部品の需給逼迫などの影響により国内、中国や欧米などでは新車販売台数が前連結会計年度を下回りましたが、電動車を中心とした市場の拡大に伴い電動化関連製品などの需要が増加しました。このような状況の中、同事業はモーター・インバーターなどの車両電動化関連製品や自動車用電装品の増加などにより、受注高・売上高ともに前連結会計年度を上回りました。
この結果、部門全体では、売上高は前連結会計年度比117%の1兆4,603億円となりました。
営業利益は、自動車機器事業は素材価格・物流費の上昇などにより減少しましたが、FAシステム事業は売上高の増加や円安の影響などにより増加しました。部門全体では前連結会計年度比562億円増加の968億円となりました。
③ 情報通信システム
情報システム・サービス事業の事業環境は、製造業向けを中心に延期されていたシステム開発案件の再開などがありましたが、ITインフラサービス事業などで大口案件の減少がありました。このような状況の中、同事業は、受注高は前連結会計年度を上回りましたが、売上高は前連結会計年度を下回りました。
電子システム事業は、受注高は防衛システム事業の大口案件の増加などにより前連結会計年度を上回りましたが、売上高は防衛システム事業の大口案件の減少などにより前連結会計年度を下回りました。
この結果、部門全体では、売上高は前連結会計年度比93%の3,541億円となりました。
営業利益は、売上高の減少などにより、前連結会計年度比17億円減少の147億円となりました。
④ 電子デバイス
電子デバイス事業の事業環境は、民生・産業・自動車向けのパワー半導体の需要が回復しました。このような状況の中、同事業は民生・産業・自動車向けのパワー半導体の増加などにより、受注高は前連結会計年度を上回り、売上高は前連結会計年度比118%の2,414億円となりました。
営業利益は、売上高の増加などにより、前連結会計年度比105億円増加の168億円となりました。
⑤ 家庭電器
家庭電器事業の事業環境は、半導体部品の需給逼迫の影響はありましたが、欧米を中心に、テレワークの定着などにより家庭用空調機器の需要が増加し、また、新型コロナウイルス感染症の影響を受けていた設備投資が回復し始めたことで業務用空調機器の緩やかな需要回復がありました。このような状況の中、同事業は、半導体部品の需給逼迫などにより国内向け空調機器は減少しましたが、欧米を中心とした空調機器の増加や円安の影響などにより、売上高は前連結会計年度比110%の1兆1,447億円となりました。
営業利益は、売上高の増加や円安の影響はありましたが、素材価格・物流費の上昇などにより、前連結会計年度比48億円減少の709億円となりました。
⑥ その他
売上高は、資材調達・物流の関係会社の増加などにより、前連結会計年度比112%の6,762億円となりました。
営業利益は、売上高の増加などにより、前連結会計年度比83億円増加の219億円となりました。
顧客の所在地別の売上高の状況は、次のとおりです。
① 日本
FAシステム事業などの増加はありましたが、家庭電器事業、社会インフラ事業などの減少により、前連結会計年度比96%の2兆3,324億円となりました。
② 北米
家庭電器事業などの増加により、前連結会計年度比122%の4,619億円となりました。
③ アジア
FAシステム事業、家庭電器事業などの増加により、前連結会計年度比120%の1兆1,149億円となりました。
アジアのうち中国については、FAシステム事業、家庭電器事業などの増加により、前連結会計年度比122%の5,888億円となりました。
④ 欧州
家庭電器事業などの増加により、前連結会計年度比126%の4,953億円となりました。
⑤ その他
その他の地域にはオセアニアなどが含まれており、前連結会計年度比114%の721億円となりました。
(2) 生産、受注及び販売の実績
① 生産実績
当連結会計年度における生産実績を事業の種類別セグメントごとに示すと、次のとおりです。
|
事業の種類別セグメントの名称 |
生産高(百万円) |
前連結会計年度比(%) |
|
重電システム |
853,140 |
96 |
|
産業メカトロニクス |
1,322,942 |
116 |
|
情報通信システム |
268,202 |
92 |
|
電子デバイス |
206,910 |
125 |
|
家庭電器 |
839,658 |
110 |
|
その他 |
1,996 |
146 |
|
計 |
3,492,848 |
107 |
(注) 上記金額は、仕込製品については仕切予定価格、注文製品については受注価格で示しています。
② 受注実績
当連結会計年度における受注実績を事業の種類別セグメントごとに示すと、次のとおりです。
|
事業の種類別セグメントの名称 |
受注高(百万円) |
前連結会計年度比(%) |
|
重電システム |
1,217,980 |
104 |
|
産業メカトロニクス |
1,666,328 |
127 |
|
情報通信システム |
398,578 |
105 |
|
電子デバイス |
347,004 |
154 |
(注) 1 「電子デバイス」の受注状況は、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 業績概要 ④電子デバイス」に記載のとおり、民生・産業・自動車向けのパワー半導体の増加に伴い、前連結会計年度比154%の3,470億円となりました。
2 「家庭電器」「その他」については受注生産形態をとらない製品が多いため、受注規模を金額で示していません。
③ 販売実績
当連結会計年度における販売実績を事業の種類別セグメントごとに示すと、次のとおりです。
|
事業の種類別セグメントの名称 |
販売高(百万円) |
前連結会計年度比(%) |
|
重電システム |
1,238,111 |
97 |
|
産業メカトロニクス |
1,460,368 |
117 |
|
情報通信システム |
354,128 |
93 |
|
電子デバイス |
241,405 |
118 |
|
家庭電器 |
1,144,788 |
110 |
|
その他 |
676,257 |
112 |
|
消去 |
△638,299 |
- |
|
計 |
4,476,758 |
107 |
(注) 各種類別セグメントの金額には、セグメント間の内部売上高(振替高)を含めて表示しています。
(3) 資産及び負債・資本の状況分析
総資産残高は、前連結会計年度末比3,100億円増加の5兆1,079億円となりました。棚卸資産が2,158億円、その他の非流動資産が1,004億円増加したことがその主な要因です。
棚卸資産の増加は、産業メカトロニクス部門や家庭電器部門での需要回復や半導体・電子部品の部材逼迫の影響などによるものです。その他の非流動資産の増加は株価上昇等に伴う退職給付に係る資産の増加などによるものです。
負債の部は、買入債務が598億円、未払費用が242億円それぞれ増加したことなどから、負債残高は前連結会計年度末比832億円増加の2兆105億円となりました。なお、リース負債を除く借入金・社債残高は前連結会計年度末比317億円減少の2,171億円、借入金比率は4.3%(前連結会計年度末比△0.9ポイント)となりました。
資本の部は、配当金の支払い857億円による減少等はありましたが、親会社株主に帰属する当期純利益2,034億円の計上及び為替円安等を背景としたその他の包括利益累計額727億円の増加等により、親会社株主に帰属する持分は前連結会計年度末比2,216億円増加の2兆9,759億円、親会社株主帰属持分比率は58.3%(前連結会計年度末比+0.9ポイント)となりました。
<財政状態計算書関連指標>
|
|
前連結会計年度末 |
当連結会計年度末 |
前連結会計年度末比 |
|
売掛債権回転率 |
3.55回転 |
3.63回転 |
0.08回転増 |
|
棚卸資産回転率 |
5.64回転 |
4.66回転 |
0.98回転減 |
|
借入金比率 |
5.2% |
4.3% |
0.9ポイント減 |
|
親会社株主帰属持分比率 |
57.4% |
58.3% |
0.9ポイント増 |
(注) 1 売掛債権回転率は、売上債権と契約資産の合計より算出しています。
2 借入金比率は、リース負債を除く借入金・社債残高より算出しています。
(4) 資本の財源及び資金の流動性
①財務戦略に関する基本的な考え方
三菱電機グループは、健全な財務体質を維持するため、業績向上による資金収支の改善に加え、棚卸資産の縮減活動、売掛債権の回収促進といった資産の効率化、グループ内資金の更なる有効活用による資金の効率化に引き続き取り組んでまいります。
また、2025年度に向けた中期経営計画におけるキャピタル・アロケーション方針のもと、成長投資を最優先としつつ、利益成長を通じた株主還元強化を踏まえた資本政策の実行により、更なる資本効率の向上を図ってまいります。
なお、成長戦略を進めて行く中で、必要となります設備投資、研究開発、M&A等の資金につきましては、重点成長事業を中心とした営業活動において創出されたキャッシュ・フローを源泉に、自己資金の活用を図りつつ、必要に応じて金融機関等から機動的に資金調達を行ってまいります。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度は、営業活動によるキャッシュ・フローが2,823億円の収入となった一方、投資活動によるキャッシュ・フローが1,148億円の支出となったため、フリー・キャッシュ・フローは1,675億円の収入となりました。これに対し、財務活動によるキャッシュ・フローは2,413億円の支出となったことなどから、現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末比402億円減少の7,271億円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、当期純利益の増加はありましたが、棚卸資産の増加等により、前連結会計年度比2,597億円の収入減少となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、有価証券等の売却収入の増加や、前連結会計年度に設備投資を一部抑制したことに伴う当連結会計年度の有形固定資産の取得の減少等により、前連結会計年度比616億円の支出減少となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、自己株式の取得の増加や短期借入金の調達の減少等により、前連結会計年度比839億円の支出増加となりました。
③財源及び流動性
運転資金需要のうち主なものは、生産に必要な材料購入費の他、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であり、投資を目的とした資金需要は、設備投資、M&A等によるものです。
短期運転資金は、自己資金と金融機関からの短期借入等により、設備投資や長期運転資金は、自己資金の活用を図りつつ金融機関からの長期借入及び社債により調達を行っています。
なお、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は7,271億円、社債、借入金及びリース負債残高は3,294億円です。社債、借入金及びリース負債の内訳は、短期借入金が749億円、社債及び長期借入金が1,422億円、リース負債が1,122億円です。
三菱電機グループは、上記施策を着実に展開することにより、更なる企業価値の向上を目指します。
(5) 重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断
当社の連結財務諸表はIFRSに基づいて作成しています。これらの連結財務諸表の作成にあたって、経営者は、資産、負債、収益及び費用の金額に影響を及ぼす判断、見積り及び仮定を使用する必要があります。実際の業績は、これらの見積りとは異なる場合があります。当社の連結財務諸表の金額に重要な影響を与える可能性のある主要な会計上の見積り及び仮定は以下のとおりです。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響に関しては、依然として不確実性は残るものの、長期的に重要な影響はないと仮定し、「有形固定資産、のれん及び無形資産の回収可能価額」等の会計上の見積りを行っています。当社は、上記の仮定は期末日時点における最善の見積りであると判断していますが、想定以上に新型コロナウイルス感染症の影響が拡大した場合は連結財務諸表の金額に重要な影響を与える可能性があります。
①一定の期間にわたり履行義務を充足する契約における見積総費用
重電システム部門及び情報通信システム部門における一定の要件を満たす特定の工事請負契約については、当該工事請負契約の当期末時点の進捗度に応じて収益を計上しています。進捗度は、当連結会計年度までの発生費用を工事完了までの見積総費用と比較することにより測定しています。
見積総費用は、契約ごとに当該工事請負契約の契約内容、要求仕様、技術面における新規開発要素の有無、過去の類似契約における発生原価実績などのさまざまな情報に基づいて算定しています。
工事請負契約は、契約仕様や作業内容が顧客の要求に基づき定められており契約内容の個別性が強く、また比較的長期にわたる契約が多いことから、作業工程の遅れ等による当初見積りに対する原価の増加や、新規開発技術を利用した工事遂行における当初想定していない事象の発生による原価の変動など、工事の進行途中の環境の変化によって、見積総費用が変動することがあります。
経営者は、四半期ごとに当四半期までの発生費用と事前の見積りとの比較や、その時点での工事の進捗状況等を踏まえた最新の情報に基づいて見直した工事請負契約の見積総費用を妥当なものと考えていますが、将来の状況の変化によって見積りと実績が乖離した場合は、三菱電機グループが認識する収益の金額に影響を与える可能性があります。
②引当金の認識及び測定
受注工事損失引当金は、重電システム部門及び情報通信システム部門における工事請負契約において、当該工事の見積総費用が請負受注金額を超える可能性が高く、かつ予想される損失額を合理的に見積もることができる場合に、将来の損失見込額を引当金として計上しています。当連結会計年度末における受注工事損失引当金の残高は、47,267百万円です。
見積総費用は、契約ごとに当該工事請負契約の契約内容、要求仕様、技術面における新規開発要素の有無、過去の類似契約における発生原価実績などのさまざまな情報に基づいて算定しています。
工事請負契約は、契約仕様や作業内容が顧客の要求に基づき定められており契約内容の個別性が強く、また比較的長期にわたる契約が多いことから、作業工程の遅れ等による当初見積りに対する原価の増加や、新規開発技術を利用した工事遂行における当初想定していない事象の発生による原価の変動など、工事の進行途中の環境の変化によって、見積総費用が変動することがあります。
経営者は、四半期ごとに当四半期までの発生費用と事前の見積りとの比較や、その時点での工事の進捗状況等を踏まえた最新の情報に基づいて見直した将来工事損失見込額を妥当なものと考えていますが、将来の状況の変化によって見積りと実績が乖離した場合は、三菱電機グループの損益に影響を与える可能性があります。
製造上やその他の不具合に対し、製品の種類や販売地域及びその他の要因ごとに定められた期間又は一定の使用条件に応じて製品保証を行っており、期末日現在において将来の費用発生の可能性が高く、その金額を合理的に見積もることができる場合に、製品保証引当金を計上しています。将来の発生費用は、主に過去の無償工事実績及び補修費用に関する現状に基づいて見積っています。当連結会計年度末における製品保証引当金の残高は、52,736百万円です。
経営者は、発生費用の見積り額を妥当なものと考えていますが、将来の状況の変化によって見積りと実績が乖離した場合は、三菱電機グループの損益に影響を与える可能性があります。
③有形固定資産の回収可能価額
有形固定資産は、減損の兆候の有無を判断しており、減損の兆候が存在する場合は、減損テストを実施しています。
資産又は資金生成単位の見積回収可能価額は、使用価値と売却費用控除後の公正価値のうちいずれか大きい方の金額としています。使用価値の算定における見積将来キャッシュ・フローは、貨幣の時間的価値及び当該資産に固有のリスクを反映した税引前割引率を用いて現在価値に割り引いています。資産又は資金生成単位の帳簿価額が見積回収可能価額を超過する場合には、当期の純損益において減損損失を認識しています。
経営者は、使用価値の算定における見積将来キャッシュ・フロー及び売却費用控除後の公正価値の見積りはいずれも妥当なものと考えていますが、三菱電機グループのビジネスや前提条件の変化等によって見積りが変更となることにより資産又は資金生成単位の見積回収可能価額が変動し、結果として、将来において有形固定資産の減損損失の認識に影響を与える可能性があります。
また、当連結会計年度において、産業メカトロニクス部門に含まれる自動車機器事業における一部の国内製造拠点に関して、車両電動化関連製品の受注拡大に向けた先行投資負担、素材・物流費の高騰、半導体部品の需給逼迫による販売及び生産面での影響等により、継続的に営業損失を計上していることから、減損の兆候が認められており、減損損失の認識の要否の判断を行っています。当該製造拠点は有形固定資産50,241百万円及び無形資産等1,733百万円を有していますが、見積将来キャッシュ・フローの割引現在価値として算定した使用価値により測定した回収可能価額が資産の帳簿価額を上回ったことから、減損損失を認識していません。将来キャッシュ・フローは経営者が作成した事業計画を基礎として作成しています。事業計画は、脱炭素化等の潮流を受けた車両電動化市場の拡大を見込んだ当社の車両電動化関連製品の受注拡大や、部材調達の最適化等に関する仮定に基づいています。
これらの前提条件を用いた見積りは、合理的であると判断していますが、翌連結会計年度において、経済環境の変化等により、見直しが必要となった場合、減損損失の計上が必要となる可能性があります。
④のれん及び無形資産の回収可能価額
耐用年数を確定できる無形資産は、減損の兆候の有無を判断しており、減損の兆候が存在する場合は、減損テストを実施しています。のれん及び耐用年数を確定できない無形資産については少なくとも1年に一度、同時期に減損テストを実施しています。
重要なのれんは家庭電器部門に配分されたのれんであり、減損テストの回収可能価額は、主として経営者が承認した今後5年度分の事業計画及び成長率を基礎としたキャッシュ・フローの見積り額を現在価値に割り引いた使用価値で算定しています。割引率は、税引前の加重平均資本コストを基に算定しており、当連結会計年度における割引率は、9.2%です。成長率は、のれんが配分されている資金生成単位グループが属する市場の長期期待成長率を参考に算定しており、当連結会計年度における成長率は0.8%です。
経営者は、事業計画や成長率を基礎としたキャッシュ・フローの見積り額や割引率は妥当なものと考えていますが、三菱電機グループのビジネスや前提条件の変化等によってキャッシュ・フローの見積り額や割引率が変更となることにより使用価値が変動し、結果として、将来においてのれん及び無形資産の減損損失の認識に影響を与える可能性があります。
⑤繰延税金資産の回収可能性
繰延税金資産は、将来減算一時差異、未使用の税務上の繰越欠損金及び繰越税額控除のうち、将来課税所得に対して利用できる可能性が高いものに限り認識しています。繰延税金資産は期末日に見直し、税務便益が実現する可能性が高くない場合は、繰延税金資産の計上額を減額しています。
三菱電機グループは繰延税金資産の実現可能性の評価にあたり、繰延税金資産の一部又は全部が実現する可能性が実現しない可能性より高いかどうかを考慮しています。繰延税金資産の実現は、最終的には将来減算一時差異、未使用の税務上の繰越欠損金及び繰越税額控除が減算可能な期間における将来課税所得によって決定されます。その評価にあたり、予定される繰延税金負債の戻入、予測される将来課税所得及び税務戦略を考慮しています。
経営者は、当連結会計年度末の認識可能と判断された繰延税金資産が実現する蓋然性は高いと考えていますが、繰延期間における将来の見積課税所得が減少した場合には、実現する可能性が高いと考えられる繰延税金資産は減少することとなります。
⑥確定給付制度債務の測定
三菱電機グループは、従業員を対象とする従業員非拠出制及び拠出制の確定給付型退職給付制度を採用しています。従業員の確定給付制度債務は、割引率、退職率、一時金選択率や死亡率など年金数理計算上の基礎率に基づき算定しています。確定給付制度債務の現在価値及び制度資産の公正価値の再測定による変動は、発生した期においてその他の包括利益として一括認識し、直ちに利益剰余金に振り替えています。
割引率は、将来の毎年度の給付支払見込日までの期間を基に割引期間を設定し、割引期間に対応した期末日時点の優良社債の市場利回りに基づき算定しており、当連結会計年度末の割引率は0.7%です。
経営者は、年金数理計算上の基礎率の算定は妥当なものと考えていますが、実績との差異又は基礎率自体の変更により、確定給付制度債務の金額に影響を与える可能性があります。
⑦金融商品の公正価値
三菱電機グループは、主に取引関係維持・強化を目的として保有している資本性金融商品をその他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産に指定しています。このうち非上場株式の公正価値については、投資先の純資産等に関する定量的な情報及び投資先の将来キャッシュ・フローに関する予想等を総合的に勘案して算定しています。
経営者は、公正価値の見積りは妥当なものと考えていますが、投資先の業績や将来キャッシュ・フロー等の見積りの前提条件が変動した場合は、三菱電機グループのその他の包括利益の金額に影響を与える可能性があります。
(1) 技術供与契約
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相手方の名称 |
契約の内容 |
契約締結日 |
期限 |
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三菱電機コンシューマー・ プロダクツ(タイ)社 |
ルームエアコン・パッケージエアコン 製造技術使用許諾 |
1990. 6. 1 |
自動延長 |
|
上海三菱電機・ 上菱空調機電器有限公司 |
ルームエアコン・パッケージエアコン・換気扇の製造技術使用許諾 |
2010. 6.25 |
2025.12.27 |
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三菱電機 エア・コンディショニング・ システムズ・ヨーロッパ社 |
空調機の製造技術使用許諾 |
2005.10. 1 |
自動延長 |
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サイアム・コンプレッサー・ インダストリー社 |
空調用圧縮機の製造技術使用許諾 |
2002. 4. 1 |
自動延長 |
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PIMS, S.A. de C.V. |
パッケージエアコン製造技術使用許諾 |
2013.10. 1 |
自動延長 |
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三菱電機自動化機器製造(常熟) 有限公司 |
サーボモーター製造技術使用許諾 |
2013. 1. 1 |
2022.12.31 |
|
三菱電機自動化機器製造(常熟) 有限公司 |
サーボアンプ製造技術使用許諾 |
2013. 1. 1 |
2022.12.31 |
(注) 1 上記契約は、すべて当社を契約会社としています。
2 上記契約に基づく報償料は、売上に応じた金額を受領します。一部の契約については所定金額を受領します。
(2) 吸収分割
当社は、2021年10月18日にグローバルでのさらなる事業競争力の強化と経営の効率化に向けて、昇降機新設を主軸とするビルシステム事業を当社連結子会社で主に昇降機保守・リニューアル事業等を担当する三菱電機ビルテクノサービス株式会社に無対価で吸収分割の方式により承継し、経営統合を図ることを決定し、2022年2月17日付で吸収分割契約書を締結、2022年4月1日付で本会社分割を実施しています(「第5 経理の状況 2 財務諸表等 (1) 財務諸表 (重要な後発事象)」参照)。
当社は、高度な技術で様々な社会課題を解決し、持続可能な社会の実現に貢献するべく、既存事業の強化と変革、新たな価値創出に向けた研究開発をバランスよく推進してまいります。収益向上の原動力となるコア技術を強化するとともにAI等の基盤技術の継続的深化を図り、脱炭素社会等の実現に向けた新技術の探索・創出を推進してまいります。また、大学など社外研究機関とのオープンイノベーションを積極的に活用し、開発加速と価値創出に取り組んでまいります。
当連結会計年度における三菱電機グループ全体の研究開発費の総額は
(1) 重電システム
発電機・電動機などの回転機、開閉機器・変圧器などの送変電機器や受配電機器、交通システム、ネットワークソリューション機器、昇降機などの基幹製品の競争力強化に向けた開発を行うとともに、監視制御システム、電力情報システム、ビル管理システム、映像情報システムなどIT応用システムの開発を行っています。当該分野における研究開発費は
① マルチリージョン型デジタル電力最適化技術
カーボンニュートラルを目指す企業向けに、自己託送制度*1を活用した複数拠点間での再生可能エネルギー由来の電力の融通と、各拠点の分散型電源・蓄電池の運用及び環境価値証書*2の購入に関する計画を自動で最適化する「マルチリージョン型デジタル電力最適化技術」を開発しました。これにより、電力及び環境価値の調達コストを最小化するとともに、拠点ごとの脱炭素化目標の達成に貢献します。
② 三菱ネットワークカメラ・システム「MELOOK 4」
ネットワークカメラ・システムの新製品として「MELOOK 4(メルックフォー)」を開発し、動画圧縮規格H.265の採用による映像記録の長時間化、ONVIF®*3対応カメラ収容による接続可能なカメラ種別の拡大などを実現しました。安心・安全に対する社会的関心の高まりとともに多様化するネットワークカメラ・システムへのニーズに対応し、セキュリティーの強化や作業性の向上などに貢献します。
③ 水面状況監視サービス「みなモニター」
準天頂衛星システム「みちびき」の補正信号を活用して3cm(RMS*4)以内の精度で水位(水面の標高)を計測するブイ型水面センサーをため池に浮かべて、スマートフォンやタブレットでため池の水位や水温、雨量などの各種情報を確認できる水面状況監視サービス「みなモニター」を開発しました。農業水利施設の維持管理業務を効率化し、防災・減災に貢献します。
④ 海外向け機械室レス・エレベーター「NEXIEZ-MRL Version2」
スムーズな戸開閉を実現するドアシステム、かご内のウイルス等を抑制する「ヘルスエアー」機能搭載の循環ファン、サービスロボットや多様なメーカーのビルマネジメントシステムとの連携機能を開発しました。運行効率向上やウイルス対策ソリューションを提供し、建物の価値向上及び利用者の安心・安全、快適性、利便性向上に貢献します。
(2) 産業メカトロニクス
FA制御システム機器、サーボモーターなどの駆動機器、配電制御機器、メカトロ機器、産業用ロボット、電動パワーステアリングなどの自動車用電装品、カーマルチメディア機器、予防安全(自動運転)システム、ADAS*5などの競争力強化に向けた開発を行っています。当該分野における研究開発費は
① CFRP*6 用炭酸ガス三次元レーザー加工機
自動車などに使用される軽量・高強度の CFRP 用レーザー加工機として、CFRP 用炭酸ガス三次元レーザー加工機を開発しました。世界で初めて*7発振器と増幅器を同一筐体に統合した炭酸ガスレーザー発振器と独自の加工ヘッドを搭載し、CFRP 製品の高速かつ高品位の加工を実現することで、これまでの工法では困難だった CFRP 製品の量産化に貢献します。
② CLAS*8対応車載向け高精度ロケータ
事故を起こさないADASと自動運転の実現に向けて、高精度地図データと準天頂衛星によるCLASを用いて、自車位置を50cm精度(95%値)で測位可能なCLAS対応車載向け高精度ロケータを開発しました。高精度・高信頼性・リアルタイム性を廉価な車載用CPUで実現し、安心・安全な車社会に貢献します。
(3) 情報通信システム
情報通信インフラや宇宙関連システムなどの開発を行っています。当該分野における研究開発費は
① 準天頂衛星「みちびき」初号機後継機
準天頂衛星「みちびき」初号機後継機を開発し、軌道上での初期機能確認を完了しました。その後、準天頂衛星システムサービス株式会社による試験・検証等を経て、内閣府によるサービスを開始しました。後継機は初号機に比べ耐久性が向上したことで、より安定した測位サービスを実現し、打ち上げ済の2号機、3号機、4号機とともに、衛星測位サービスや高精度測位補強サービス等の提供に貢献します。
② 骨格情報から人の行動を検知するルールベース行動解析技術
映像から抽出可能な人の骨格情報の位置・角度・速度などを組み合わせて定義した検知ルールを基に、行動を解析する技術を開発しました。学習データの準備が困難な複雑動作や複数人行動を検知する際の学習量を削減し、行動検知システムの導入コスト削減及び短期導入に貢献します。
(4) 電子デバイス
様々な事業分野を支える半導体デバイスなどの開発を行っています。当該分野における研究開発費は
① 高性能パワー半導体モジュール
再生可能エネルギー電源用DC1500V電力変換機器に適応した、「産業用2.0kV IGBT*9モジュールTシリーズ」を開発しました。独自の最適化を施したSi半導体チップにより高電圧動作対応と低電力損失を両立し、業界初*10の耐電圧2.0kVを実現しました。複雑で部品点数が多い回路構成を不要とした機器設計が可能となり、太陽光発電や風力発電などの電力変換機器の小型化・低消費電力化に貢献します。
② 次世代高速光ファイバー通信用デバイス
光トランシーバー*11用の半導体レーザーダイオードチップとして、「広動作温度範囲CWDM*12 100Gbps(53Gbaud*13 PAM4*14) EML*15 チップ」を開発しました。EMLチップの高性能化と独自の構造により、4チップでデータセンターの400Gbpsの通信速度を実現しながら、5℃から85℃の広い温度帯対応によりチップ冷却機構が不要となり、光トランシーバーの低消費電力化と低コスト化に貢献します。
(5) 家庭電器
空調機器、調理家電、家事家電、照明機器、電材住設機器などの開発を行っています。当該分野における研究開発費は
① ルームエアコン「霧ヶ峰FZ・Zシリーズ」と連携する「ロスナイセントラル換気システム<スマートe-FloTMシステム対応>」
当社のIoTライフソリューションプラットフォーム「Linova(リノバ)」を用いることで、業界で初めて*16ルームエアコンと連携*17する住宅用全熱交換型換気機器「ロスナイセントラル換気システム<スマートe-FloTMシステム対応>」を開発しました。室内の快適性をさらに向上(CO2濃度を最大約23%低減*18、霜取り運転*19時の室温低下抑制)させて効率的な省エネ換気(消費電力量を最大約24%削減*18)を実現し、カーボンニュートラルな社会の実現に貢献します。
② 「ヘルスエアー」技術で浮遊する新型コロナウイルスの低減効果を確認
当社独自*20の「ヘルスエアー」技術を開発し、実空間を模擬した1立方メートルの空間に浮遊する新型コロナウイルスの残存率を5分間で99%以上低減しました。ウイルス・菌抑制などの空気清浄技術を向上し、「ヘルスエアー」技術を搭載した製品群により室内空気質の改善に貢献します。
(6) その他・共通(新技術・基盤技術)
社会課題解決による顧客価値の創出を目的として、新技術・基盤技術の研究開発を推進しています。当該分野における研究開発費は
① ZEB*21 関連技術実証棟「SUSTIE」が運用段階において『ZEB』*22を達成
ビル設備とオフィスの状態をシミュレーションする技術とAI技術「Maisart*23」を組み合わせて事前計画型のZEB運用技術を開発し、「SUSTIE」を1年間運用した結果、創エネルギー量が消費エネルギー量を上回る『ZEB』を達成しました。今後の『ZEB』 普及を促進し、カーボンニュートラルに貢献します。
② 「MelCare(メルケア)見まもりサービス」
高齢者施設を対象に、入居者の転倒検知から普段の睡眠状況まで複数の見守り項目をまとめて把握できる「MelCare見まもりサービス」を開発しました。居室内の状況をAI技術「Maisart」を組み込んだ AI スマートセンサーで把握し、クラウドとの連携で異常があった場合には素早く介護従事者に通知することで、業務負担を軽減させ、高齢者に寄り添った質の高い介護サービスの提供を実現します。
③ ロボット導入を容易にする「ティーチングレスロボットシステム技術」
業界初*24となる音声による作業指示や簡単な項目選択により専門知識がなくても容易にロボット動作プログラムを自動生成でき、人と同等の作業速度を実現する「ティーチングレスロボットシステム技術」を開発しました。メニューが頻繁に切り替わる食品工場での盛り付けや物流センターでの仕分けなど、これまでロボット導入が難しかった作業工程の自動化促進に貢献します。
④ 「制御の根拠を明示できるAI技術」
AIが制御を行った際に、その制御の根拠や将来の状態を明示し、ブラックボックスを解消するAI技術を国立研究開発法人理化学研究所と共同で開発しました。AIによる制御の根拠を人が理解できるほか、早い段階でのメンテナンスや素早い復旧を可能とし、より安心してAIを利用できる社会の実現に貢献します。
⑤ ASIC*25のコンパレータ低消費電力設計技術
ワンショット型コンパレータを内蔵した業界トップ*26の低消費電力化ASICを開発しました。瞬間的に大電流を流す電流制御回路と待機電力なしで結果を保持するラッチ回路を持ち、IoT機器の低消費電力化に貢献します。
⑥ 電動パワーステアリング用モーターの構造共通化
標準機種とともに回路を二重化した機種をラインアップに加え、ADASの機能安全規格に対応した中大型車のパワーステアリング向けインバーター一体型モーターを開発しました。インバーターの基本構造を共通化し実装する部品の組合せで機能を切り替えることで設備の共用化と開発期間の短縮を実現し、安心・安全な車社会に貢献します。
*1 電力会社が保有する送配電ネットワークを利用して、自社発電所で発電した電力を自社内の別の需要地点に送電する仕組み
*2 再エネの発電によって発生する「環境価値」や温室効果ガスの排出削減効果を、承認機関の認証を通じて「証書」の形にしたもの。現在国内では、非化石証書、Jクレジット、グリーン電力証書などがある
*3 Open Network Video Interface Forumの略:ネットワークカメラ製品のインターフェース規格標準化フォーラム。なお「ONVIF」はONVIF,Inc.の登録商標です
*4 Root Mean Squareの略:二乗平均平方根。地点の測定値の精度を表現するために使われる
*5 Advanced Driver Assistance Systemの略:先進運転支援システム
*6 Carbon Fiber Reinforced Plasticsの略:炭素繊維強化プラスチック
*7 2021年10月14日現在(当社調べ)
*8 Centimeter Level Augmentation Serviceの略:センチメータ級測位補強サービス
*9 Insulated Gate Bipolar Transistorの略:絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ
*10 2021年6月9日現在、DC1500V電力変換機器用IGBT モジュールにおいて(当社調べ)。
*11 電気信号と光信号を相互に変換する電子部品
*12 Coarse Wavelength Division Multiplexingの略:光通信における波長多重化通信技術の一つで、20nm 間隔の複数波長の信号を1本の光ファイバーで伝送する方式。今回は1271,1291,1311,1331nm の4 波長を採用
*13 baud:1 秒間の変調回数を表す単位。53Gbaud の場合1 秒間に530 億回変調する
*14 4-level pulse-amplitude modulationの略:4値パルス振幅変調。従来の「0」と「1」から成る2値のビット列でなく、4値のパルス信号として伝送する方式
*15 Electro-absorption Modulator integrated Laser diodeの略:電界吸収型光変調器を集積した半導体レーザーダイオード
*16 2021年10月13日現在、家庭用ルームエアコンと住宅用全熱交換型換気機器において(当社調べ)。
*17 ルームエアコン「霧ヶ峰」(2022年度モデルの一部機種)に対応
*18 ルームエアコンとロスナイセントラル換気システム<スマートe-FloTMシステム対応>の連携制御有りの場合と無しの場合の比較
*19 ルームエアコン暖房時に室外機に霜が付くと暖房運転を停止して霜を溶かす運転機能
*20 2021年8月5日現在、放電電極をリボン形状にした空気清浄デバイスにおいて(当社調べ)。
*21 net Zero Energy Buildingの略
*22 年間の一次エネルギー収支がゼロまたはマイナスの建築物。ZEBの定義における最高ランクの評価
*23 Mitsubishi Electric's AI creates the State-of-the-ART in technologyの略:全ての機器をより賢くすることを目指した当社のAI技術ブランド
*24 2022年2月28日現在、産業用ロボットメーカーの提供する作業指示手法において(当社調べ)。
*25 Application Specific Integrated Circuitの略:特定用途向け集積回路
*26 2021年1月21日現在(当社調べ)