(1) 経営方針
三菱電機グループの「たゆまぬ技術革新と限りない創造力により、活力とゆとりある社会の実現に貢献する」という企業理念は、社会における私たちの存在意義そのものです。この企業理念の下、三菱電機グループは「成長性」「収益性・効率性」「健全性」の3つの視点によるバランス経営に加えて、「事業を通じた社会課題の解決」という原点に立ち、サステナビリティの実現を経営の根幹に位置づけています。これにより、企業価値の持続的向上を図り、社会・顧客・株主・従業員をはじめとしたステークホルダーへの責任を果たしてまいります。また、グループ内外の知見の融合と共創により、強化されたコンポーネント・システム及びデータを核としたソリューションを提供する「循環型 デジタル・エンジニアリング企業」へ変革し、多様化する社会課題の解決に貢献してまいります。
(2) 経営環境及び対処すべき課題
①経営環境
世界経済の先行きは、行動制限の緩和により消費は緩やかな拡大が継続するものの、インフレーションの抑制を目的とした各国の金融引き締めなどにより、欧州・米国を中心に世界的な景気減速が見込まれます。さらに、ウクライナ情勢の長期化や米中対立など地政学的リスクの高まりに伴い、想定を超えた経営環境の変化も懸念されます。
②対処すべき課題
信頼回復に向けた3つの改革(品質風土、組織風土、ガバナンス)の深化・発展と確実な浸透
当社は、これまで明らかになった品質不適切行為の全容及び調査委員会・ガバナンスレビュー委員会からの指摘、提言を真摯に受け止め、二度と同じような問題を繰り返さないようグループを挙げて再発防止にあたるとともに、信頼回復に向けた3つの改革(品質風土、組織風土、ガバナンス)を経営上の最重点課題と位置付け、これらを深化・発展させながら、新しい三菱電機の創生に向けた変革に全力で取り組んでいます。
品質風土改革(エンジニアリングプロセスの変革)については、モノ造りマネジメントの正常化、設計のフロントローディング推進やデータに基づく品質管理と手続きの実行等、顧客に対して技術的に正しい説明を尽くす組織能力を再構築するとともに、経営層自ら顧客と対話・交渉することで現場の負担を軽減し、「そもそも現場が品質不適切行為を起こす必要のない仕組み」の構築を進めています。
組織風土改革(双方向コミュニケーションの確立)については、“上にモノが言える”、“課題解決に向けて皆で知恵を出し合える”風土の醸成を図っています。
ガバナンス改革(予防重視のコンプライアンスシステムの構築)については、「外部の視点を入れながら、不正が起こらない・起こさないガバナンス/内部統制の仕組み」の構築を進めています。
また、2023年4月14日に公表した「当社関係会社における品質不適切行為に関する調査結果について」に記載のとおり、今回の調査で判明した当社関係会社における品質不適切行為はいずれも契約違反であり、当社製作所における品質不適切行為と同様、主に現場に生じさせてしまった問題と考えています。このため、現在当社が推進する品質風土改革・牽制機能の強化策を関係会社にも展開し、浸透させてまいります。
新たなビジネスエリア経営体制でのポートフォリオ戦略・事業変革の加速
当社は、社会変化に対応したビジネスモデル変革をスピーディに実行するためのビジネスエリア(BA)経営体制をさらに進化・発展させてまいります。各BAを統括するBAオーナーが、BA内を俯瞰した資源の再配分による資産効率の最大化、技術・ノウハウの融合などを通じ、事業本部の壁を越えたシナジー発揮による社会課題の解決、ポートフォリオの見直し、BA内各事業の特性に応じた最適な組織・体制の整備などを加速するとともに、BAを跨る人・技術のダイナミックな連携やソリューション事業の提供を推進してまいります。
また、社会課題の解決に貢献する「循環型 デジタル・エンジニアリング企業」への変革加速を図るため、2023年4月に「DXイノベーションセンター」を新設しました。様々なデジタルソリューション事業を創出・推進するために、当センターが各BAにおいて蓄積されていく広範囲なデータを有機的に結びつけるためのデジタル基盤・空間を構築し、これを活用したデータの解析・利活用の推進、デジタル人財の確保と育成、及び顧客やパートナーとの共創などを加速・推進してまいります。
経営体質の強化
中期経営計画の中間年にあたる2023年度は、これまでの進捗を振り返り、中期経営計画の達成に向けて、M&Aを含む事業再編を加速・推進するなど、重点成長事業の各種施策を実行に移してまいります。あわせて、素材価格・物流費の高止まり等を踏まえた価格転嫁の上積みや、課題事業・不採算機種の見極めによるリソースシフトの加速等具体的なアクションの実行、事業別資産効率指標であるROIC*を考慮した投資などにより収益力と資本効率の向上を図ってまいります。また、サプライチェーンにおける地政学的リスクを見据え、最適なグローバル生産に向けた調達体制を追求してまいります。
加えて、データとデジタル技術を活用した経営管理の高度化・生産性向上を目指し業務DXを着実に推進してまいります。
「倫理・遵法」については、近年発生した製品・サービス品質、労務、情報セキュリティの問題を厳粛に受け止め、再発防止に向けた各種取組みを進めています。三菱電機グループのコンプライアンス・モットーである“Always Act with Integrity”(いかなるときも「誠実さ」を貫く)に基づき、本社コーポレート部門の全社横ぐし機能の強化、リスクの見える化・不正のできない仕組みの拡大などによる予兆予防重視の内部統制システムの構築、コンプライアンス・プログラムの策定・運用に真摯に取り組んでまいります。
あわせて、コーポレートガバナンス・コードを踏まえたガイドラインを策定し、適切に対応することを通じて「コーポレート・ガバナンス」の継続的な向上を図るとともに、適時適切な情報開示に努め、社会・顧客・株主・取引先、及び共に働く従業員とのより高い信頼関係の確立に一層努めてまいります。当社は、あらゆる事業運営のベースは人財であると考えています。新たな発想で協働し、チームで仕事を拓く双方向コミュニケーション、変化に対応できる人財の育成、働きやすい職場作りなど、多様な人財が自らの能力を最大限発揮できる環境を構築してまいります。それにより、三菱電機グループで働きたい、働き続けたいと思う人が増えるような会社を目指します。また、事業を行う各国・地域において、広く人や社会との関わりを持っていることを認識し、すべての人々の人権を尊重するとともに、多様な人財が活躍できるようダイバーシティの推進を継続してまいります。
* ROIC(投下資本利益率):各事業部門での把握・改善が容易となるように、「資本」「負債」ではなく、資産項目(固定資産・運転資本等)に基づいて算出する三菱電機版ROIC。
中期経営計画 2025年度目標
これら施策を通じ、中期経営計画における2025年度財務目標の「連結売上高5兆円+」「営業利益率10%」「ROE10%」「キャッシュ・ジェネレーション3.4兆円/5年」を達成すべく、更なる価値の創出に取り組んでまいります。創出したキャッシュ(3.4兆円/5年)については、成長投資を最優先として重点成長事業を中心に2.8兆円を振り向けつつ、利益成長を通じた株主還元についても更に強化して0.6兆円を目標とするキャピタル・アロケーション方針としています。
なお、セグメント別の営業利益率は次のとおりです。報告セグメントの区分は2023年4月1日より、経営体制の再編に伴い、「ビジネスプラットフォーム」を「ビジネス・プラットフォーム」と「セミコンダクター・デバイス」へ変更しています。また、組織再編に伴い、従来「ビジネスプラットフォーム」の情報システム・サービス事業に含まれていた一部の事業について、報告セグメントの区分を「その他」へ変更しています。当連結会計年度については、従来のセグメントと新たなセグメントに組み替えた双方の営業利益率を示しています。
<営業利益率のセグメント別内訳>
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従来のセグメント |
2022年度 実績 |
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2023年度以降の 新たなセグメント |
2022年度 実績 (セグメント 組み替え後) |
中期経営計画 2025年度目標 |
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インフラ |
2.8% |
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インフラ |
2.8% |
7% |
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インダストリー・ モビリティ |
5.8% |
|
インダストリー・ モビリティ |
5.8% |
14% |
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ライフ |
5.2% |
|
ライフ |
5.2% |
11% |
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ビジネス プラットフォーム |
9.3% |
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ビジネス・ プラットフォーム |
6.5% |
9% |
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セミコンダクター・ デバイス |
10.4% |
12% |
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三菱電機グループは、上記施策を着実に展開することにより、更なる企業価値の向上を目指します。
なお、上記における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2023年6月29日)現在において当社が判断したものです。
(1)サステナビリティ全般
①ガバナンス
ア.サステナビリティの考え方
三菱電機グループは、「企業理念」「私たちの価値観」「コミットメント」に則り、全ての活動においてサステナビリティを志向した取組みを行います。また、「『事業を通じた社会課題の解決』という原点に立ち、サステナビリティの実現を経営の根幹に位置づける。これにより、企業価値の持続的向上を図り、社会・顧客・株主・従業員をはじめとしたステークホルダーへの責任を果たす」ことを経営方針に掲げています。社会からの期待や要請・意見を活動に反映させ、社会や環境に与えるネガティブな影響を最小化し、持続可能な社会の実現に向けた取組みを推進します。
イ.サステナビリティの実現に向けた推進事項
サステナビリティの実現に向け、以下の4点を推進事項としています。
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持続可能な社会に 事業で貢献 |
事業を通じて社会課題や環境課題を解決し、「活力とゆとりある社会の実現」に貢献すること。 |
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持続可能な社会への責任 |
社会課題や環境課題を引き起こさない・拡大させないよう、責任ある企業活動を行うこと。 |
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長期の社会変化、 環境変化に対応する リスク管理 |
短期的・中期的のみならず、長期的な社会変化・環境変化に適応すること。事業機会を創出して企業を持続的に発展させること。リスクを予測し、企業経営に与える影響を抑制・最小化すること。 |
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ステークホルダーとの コミュニケーション |
透明性の高い情報開示を通じて、社会・顧客・株主・従業員をはじめとしたステークホルダーとコミュニケーションを取り、社会からの期待や要請・意見を企業経営に反映させること。 |
ウ.サステナビリティ推進体制
三菱電機グループのサステナビリティの取組みは、三菱電機の執行役会議から委嘱を受け、経営企画及びサステナビリティを担当する執行役(CSO:Chief Strategy Officer)が委員長を務めるサステナビリティ委員会で方針・計画を決定しています。サステナビリティ委員会は三菱電機のコーポレート部門長や事業戦略担当部門長(経営企画室や人事部などの環境、社会、ガバナンス、事業戦略担当の34名[2023年4月1日時点])で構成されており、マテリアリティ(重要課題)に基づく活動実績の把握や活動計画の決定、法改正への対応など、三菱電機グループの横断的な視点から議論を行い、取組みを推進しています。また、倫理・遵法、品質の確保・向上、環境保全活動、社会貢献活動、ステークホルダーの皆様とのコミュニケーションなどの具体的な取組みについては、担当部門が責任を持って推進しています。
サステナビリティ委員会の事務局はサステナビリティ推進部が担当しています。三菱電機グループのサステナビリティの取組みを更に推進するため、2023年度から、サステナビリティ推進部を社長直轄組織としました。
サステナビリティ委員会は原則として年に3回以上開催しており、議論の内容については、執行役会議にて経営層へ報告されています。2021年度からは議論の内容について、取締役会にも報告しています。取締役会では、サステナビリティへの取組みを三菱電機グループの「重要議題」(2022年7月から2023年6月においては、中長期経営戦略、組織風土改革、サステナビリティへの取組み、人材戦略)として取り上げ、リスク管理及び収益機会としての観点から、独立社外取締役からも多様なご意見をいただきながら十分な議論を行うとともに、執行役の取組み状況についても監督を行っています。
サステナビリティの取組み推進については、執行役の報酬指標の一つになっており、サステナビリティ・ESG関連領域等非財務事項での業績指標達成度はインセンティブ報酬へ反映されています。
複数部門に関わるサステナビリティ課題に対して部門横断的に対応するため、サステナビリティ委員会の傘下に恒常的な会議体として「部会」、有期限の会議体として「プロジェクト」を設けています。「カーボンニュートラル部会」と「人権部会」の二つの部会については、法や社会からの要請に応え、取組みを推進しています。また、「統合報告書・法定開示対応検討プロジェクト」と「TCFD対応検討プロジェクト」を設け、活動項目の明確化、参画部門の役割の明確化、規範に則った情報開示等について検討しています。部会やプロジェクトは責任部門を中心に取組みを推進し、サステナビリティ委員会開催の都度、進捗を確認することとしています。
また、サステナビリティ委員会で定めた方針・計画を共有・実行するため、社内各部門・国内外関係会社との連携を目的とした「サステナビリティ連絡会」を設置しています。
サステナビリティ推進体制
②戦略
三菱電機グループは「事業を通じた社会課題の解決」という原点に立ち、サステナビリティの実現を経営の根幹に位置づけています。経営レベルでサステナビリティに取り組み、長期的に推進していくため、「事業を通じた社会課題解決」「持続的成長を支える経営基盤強化」の2つの面から5つのマテリアリティを特定しています。マテリアリティの取組みを通じて、SDGsへの貢献をはじめとした社会課題の解決に貢献し、経済的価値と社会的価値を創出します。マテリアリティに関する取組みについては、中長期の目標や目標/取組み指標(KPI)を設定し、PDCAサイクルによる継続的な改善活動を実施しています。目標/取組み指標(KPI)は、様々な取組みの中から、2023年度にサステナビリティに関する全社目標として特に重要な17項目*を設定しており、達成に向けてサステナビリティ委員会にて進捗の確認・推進をすることで企業価値向上を図っています。
SDGsについては、社会課題の解決に貢献するという企業理念と合致していると考えており、すべての企業活動を通じてSDGsの17の目標の達成に貢献します。
* 17項目の目標/取組み指標(KPI)については、「(1)④指標及び目標」を参照ください。
三菱電機グループのマテリアリティ(重要課題)
マテリアリティを重要とした理由
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マテリアリティ |
重要とした理由 |
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持続可能な地球環境の実現 |
気候変動をはじめとする環境問題、資源・エネルギー問題は、世界的な課題です。三菱電機グループは、持続可能な地球環境の実現を目指し、これらの解決に貢献します。 |
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安心・安全・快適な社会の実現 |
三菱電機グループは、多様化する社会課題の解決に向け、「インフラ」「インダストリー・モビリティ」「ライフ」「ビジネス・プラットフォーム」「セミコンダクター・デバイス」のビジネスエリア及びセグメントにおいてグループ内外の力を結集した統合ソリューションを提供し、安心・安全・快適な社会の実現に貢献していきます。 |
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あらゆる人の尊重 |
人権は世界的な課題であり、あらゆる人を個人として尊重する必要があります。三菱電機グループはすべての活動において、人権を尊重します。また、すべての従業員がいきいきと働ける職場環境を実現します。 |
|
コーポレート・ガバナンスと コンプライアンスの持続的強化 |
コーポレート・ガバナンスとコンプライアンスは、会社が存続するための基本です。三菱電機グループは、これらを持続的に強化します。 |
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サステナビリティを志向する 企業風土づくり |
三菱電機グループは、すべての活動を通じてサステナビリティの実現へ貢献します。そのために、ステークホルダーと積極的にコミュニケーションを行い、中長期視点で取組みを推進する風土を醸成します。 |
③リスク管理
三菱電機グループは、海外向け売上高比率が5割超を占め、幅広い事業分野で「循環型 デジタル・エンジニアリング企業」への変革を目指しています。また、顕在化した各種コンプライアンス事象を真摯に受け止め、内部統制システムの改善等に取り組んでいます。三菱電機グループは、社会、顧客、株主、従業員を始めとするステークホルダーへの責任を果たしサステナビリティを実現するために、予防重視の内部統制システムの強化を図りながら、事業遂行に伴うリスクを適切に管理しています。具体的には、リスク管理を事業遂行に組み込み、事業の規模・特性等に応じてリスクを管理するとともに、グループ全体に共通する重要なリスクについてはグループ全体の経営に与える影響度に応じた重点付けを行いながら管理しています。
また、人権や脱炭素の要請、地政学的リスクや将来のゲームチェンジなど、新たなリスクへの対応についても、組織横断的で柔軟なチーム行動により効果的に取り組んでいきます。
リスク対応体制や認識している具体的なリスクについては「
④指標及び目標
マテリアリティに関する取組みについては、目標/取組み指標(KPI)を設定し、PDCAサイクルによる継続的な改善活動を実施しています。
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マテリアリティ |
項目 |
長期目標 |
目標/取組み指標(KPI) |
範囲 |
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持続可能な地球環境の実現 |
カーボン ニュートラル |
[Scope 1、2、3]2050年度 バリューチェーン全体での温室効果ガス排出量実質ゼロを目指す |
三菱電機 グループ |
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[Scope 1、2]2030年度 工場・オフィスからの温室効果ガス排出量実質ゼロを目指す |
三菱電機 グループ |
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|
イノベーションと統合ソリューションによる「脱炭素社会」の実現 |
「カーボンニュートラル」へ貢献できる製品やサービス、ソリューションの提供 |
三菱電機 グループ |
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サーキュラー エコノミー |
サーキュラーエコノミー 実現への貢献 |
2023年度 廃プラスチック有効利用率90%以上(国内) |
三菱電機 グループ (国内) |
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安心・安全・快適な社会の実現 |
安心・安全、 インクルージョン、ウェルビーイング |
事業を通じた安心・安全、インクルージョン、ウェルビーイングの実現 |
「安心・安全」へ貢献できる製品やサービス、ソリューションの提供 |
三菱電機 グループ |
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「インクルージョン」、「ウェルビーイング」へ貢献できる製品やサービス、ソリューションの提供 |
三菱電機 グループ |
|||
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マテリアリティ |
項目 |
長期目標 |
目標/取組み指標(KPI) |
範囲 |
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あらゆる人の 尊重 |
人権 |
国際規範に基づく 人権の取組み定着と 責任あるサプライチェーン の実現 |
2023年度 国連ビジネスと人権に関する指導原則に基づく 人権インパクトアセスメントの全事業本部への実施 |
三菱電機 グループ |
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2024年度 RBA*1プロセスに基づくサプライチェーンにおける 人権尊重の仕組みの構築 |
三菱電機 グループ |
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人財 |
多様・多才な人財が集い、 活躍する環境の実現 |
2025年度 従業員エンゲージメントスコア*2 70%以上(当社)、60%以上(国内関係会社の一部) |
三菱電機 グループ (国内) |
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2030年度 経営層*3に占める女性&外国人比率 30%以上 |
当社 |
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2030年度 女性管理職比率 12%以上 |
当社 |
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コーポレート・ ガバナンスと コンプライアンスの持続的強化 |
ガバナンス |
取締役会の実効性の向上 |
三菱電機の社外取締役 50%超の継続 |
当社 |
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品質 |
品質不適切行為の再発防止 |
3つの改革(品質風土改革、組織風土改革、ガバナンス改革)の推進、取締役会による3つの改革のモニタリング及び適切な情報開示 |
三菱電機 グループ |
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コンプライアンス |
“Always Act with Integrity”の真の理解と浸透 |
コンプライアンス研修の継続的実施 |
三菱電機 グループ |
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情報セキュリティ |
サイバーセキュリティ成熟度 の向上 |
2028年度 サイバーセキュリティ成熟度モデルのレベル2以上*4をグループで達成 |
三菱電機 グループ |
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サステナビリティを志向する企業風土づくり |
サステナビリティの理解と実践 |
従業員によるサステナビリティ の理解と実践 |
2025年度 従業員意識サーベイの「企業理念・目標に沿った業務の実施」良好回答率 75%以上 |
当社 |
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コミュニケーション |
社内外のステークホルダーとの コミュニケーションの推進 |
2023年度 サステナビリティレポート及び統合報告書の発行、有識者ダイアログ及びサステナビリティレポートアンケートの実施 |
三菱電機 グループ |
*1 RBA(Responsible Business Alliance):グローバルサプライチェーンにおいて社会的責任を推進する企業同盟
*2 三菱電機で働くことの誇りややりがいを感じている社員の割合
*3 取締役、執行役、上席執行役員
*4 米国防総省が発行するサイバーセキュリティ成熟度モデルの認証の枠組み(CMMC ver2)
https://www.MitsubishiElectric.co.jp/corporate/sustainability/download/index.html
(2)気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言に基づく開示情報
三菱電機グループは、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD:Task Force on Climate-related Financial Disclosures)の提言への賛同を表明しており、TCFDの提言に従った取組みの推進、及び情報の開示を行っています。
TCFDへの対応は、気候変動という地球環境の課題に対して「持続可能な社会への責任」を果たし「持続可能な社会に事業で貢献」する活動であるとともに、サステナビリティの実現に向けた「長期的な社会変化、環境変化に対応するリスク管理」であり、社会課題の解決を促進する「ステークホルダーとのコミュニケーション」でもあると捉えています。
①ガバナンス
ア.TCFD対応検討プロジェクト
2022年度、「長期的な社会変化、環境変化に対応するリスク管理」及び「ステークホルダーとのコミュニケーション」の両面から、気候変動に係るリスクと機会に関する取組みの充実を図る目的で、サステナビリティ委員会の傘下にTCFD対応検討プロジェクトを設置しました。
同プロジェクトでは、強化ポイントとして、シナリオ分析に基づく財務影響と、三菱電機グループのリスクマネジメントにおける地球環境リスク管理の検討を行いました。
イ.シナリオ分析に基づく財務影響の検討
各事業本部と対応する産業分野が気候変動に影響を受ける大きさや感度についての外部機関(ESG投資のガイドライン、各種気候関連イニシアティブ等)の評価と、事業本部ごとの温室効果ガス排出量や事業ポートフォリオを俯瞰し、気候変動の感度を比較的強く受けるとされる事業本部を抽出しました。そして、気候変動が2℃未満となる世界観と4℃となる世界観のもとで、長期で不確実な未来のある年で見たときに、現在の事業計画がどのような財務的影響を受けるか試算し、その事業のレジリエンスを確認するとともに、三菱電機グループの事業全体への影響度合いや開示情報としての正確性・妥当性を検討しました。2023年度も検討を継続し、全事業本部についての一貫した分析へ展開し、三菱電機グループ全体としての財務影響評価の実施と2024年度からの開示を目指します。
ウ.三菱電機グループのリスクマネジメントにおける地球環境リスク管理の検討
リスク管理に関し、三菱電機グループのリスクマネジメント体制と気候変動を含む地球環境リスクの位置づけ、及び地球環境に関するリスクのマネジメントプロセスの整備を行いました。2023年度は気候変動に係るリスクと機会の選別、評価、管理の深化・明確化を進め、地球環境へのさらなる貢献を目指します。
②戦略
ア.短期・中期・長期の気候変動に係るリスクと機会
三菱電機グループは、気候変動に係るリスクと機会を選別・評価しています。
イ.カーボンニュートラルの推進
三菱電機グループは「責任」と「貢献」の二面から、カーボンニュートラルの実現に取り組んでいます。事業を継続・成長させながら、自社からの温室効果ガス排出の実質ゼロ化を行うとともに、2050年のバリューチェーン全体でのカーボンニュートラルの実現を目指します。自社からの排出に関しては「2030年度に2013年度比50%にする」という中間目標を2022年5月に発表しましたが、世界の平均気温の上昇を1.5℃に抑えることを目指す世界の潮流により積極的に加わるべく、2023年5月に中間目標を「2030年度までに工場・オフィスからの温室効果ガス排出量実質ゼロを目指す」へ変更しました。また、国内では経済産業省が主導する2050年カーボンニュートラル実現のための産官学民の協働の場であるGXリーグにも参加しています。
社内の取組みをビジネスに展開し、社会全体で取組みが進展することによる三菱電機グループへの好影響を再度ビジネスに還元し、相互に高めあうことでカーボンニュートラルの実現に取り組みます。
(ア)「責任」の取組み:バリューチェーン全体での温室効果ガス排出量実質ゼロ
三菱電機グループは2050年にバリューチェーン全体での温室効果ガス排出量実質ゼロを掲げています。うち、工場・オフィスにおける温室効果ガス削減に向けた取組みとして、①省エネ・電化・非エネルギー用途の排出削減、②太陽光発電等による自家発電拡大、③再エネ電力・非化石証書等の調達、④クレジット等の調達を進め、2030年度までに工場・オフィスからの温室効果ガス排出量実質ゼロを目指します。
(イ)「貢献」の取組み:カーボンニュートラルの実現に貢献する事業の創出・拡大
社会全体のカーボンニュートラルに向け、2050年までの開発ロードマップを定め、「グリーン by エレクトロニクス」「グリーン by デジタル」「グリーン by サーキュラー」の3つのイノベーション領域での研究・開発を加速していきます。
取組み例としては、東京工業大学と「三菱電機エネルギー&カーボンマネジメント協働研究拠点」を設置し、電力・熱・化学物質などの環境価値取引を含むエネルギー&カーボンマネジメント技術、カーボンリサイクル技術等の研究開発を推進しています。
カーボンニュートラル達成に向けた開発ロードマップ
ウ.シナリオに基づく分析とレジリエンス
IPCC*の気候シナリオ等に基づくシナリオ分析を通じて、三菱電機グループの企業活動を評価しています。評価に当たっては、平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃未満に抑えるための移行状況(社会動向)を示すシナリオ(2℃シナリオ)と、温暖化対策が従来の延長線上に留まることで気温が4℃近く上昇する場合のシナリオ(4℃シナリオ)を用いました。
* IPCC(Intergovernmental Panel on Climate Change):気候変動に関する政府間パネル
シナリオ分析の対象期間は2050年までとし、期間は以下のとおり分類しました。
・長期:2050年までの期間(環境ビジョン2050最終年)
・中期:2030年までの期間
・短期:2025年までの期間
(ア)気候変動に係る「リスク」と三菱電機グループの取組み
気候変動に係るリスクは脱炭素社会への移行に関連するリスク(移行リスク)と、温暖化が進展した場合の物理的影響に関連するリスク(物理的リスク)に大別されます。これらのリスクは、費用の増加(生産・社内管理・資金調達コスト等)、収益の減少などを招くおそれがあります。
2℃シナリオが進行する場合、脱炭素社会への移行に向けて、温室効果ガス排出抑制に対する社会的要望の増加、エネルギー需給の変動に伴う原材料コストの上昇、再生可能エネルギーによる発電量の増加などが進むと予測されます。その実現に向けて温室効果ガス排出に対する法規制の強化や技術開発負荷の増大といった移行リスクが顕在化するおそれが(物理的リスクに比して)相対的に高くなると考えられます。
また、4℃シナリオが進行する場合、大雨や洪水の多発や激甚化、慢性的な気温上昇等が予測され、災害による操業停止やサプライチェーンの寸断といった物理的リスクが顕在化するおそれが(移行リスクに比して)相対的に高くなると考えられます。
これらのリスクに対して、三菱電機グループでは「表1. 気候変動に係るリスクと三菱電機グループの取組み例」に示すような取組みを実施しています。
例えば、2℃シナリオ進行下で温室効果ガスの排出抑制が法規制により強化されたとしても、三菱電機グループでは既に環境計画の推進及びSBTへの参画を通じた温室効果ガスの排出削減に取り組んでおり、その影響を軽減することが可能です。原材料コストの上昇に対しても、既に取り組んでいる温暖化対策や省資源、リサイクル性の向上等を図る環境配慮設計をより一層推進していくことでその影響を軽減することが可能です。また、省エネ等の温暖化対策を含む、環境活動にかかる設備投資も実施しています。加えて、新技術の開発に関する研究開発投資についても、短期・中期・長期をバランスよく組み合わせて実施しています。
4℃シナリオ進行下で顕在化する洪水等の物理的リスクに対しては、BCP(Business Continuity Plan)を策定し、年1回の見直しを行うとともに、生産拠点の分散化を進めています。また、サプライチェーンにおいても複数社からの購買に努め、サプライヤーにも複数工場化に取り組んでいただくよう要請するなど、生産に支障をきたす事態を避ける取組みを進めています。
(イ)気候変動に係る「機会」と三菱電機グループの取組み
2℃シナリオもしくは4℃シナリオの進行に伴い、気候変動に起因する社会課題や、課題対応へのニーズがより顕在化していくものと予測されます。
例えば、2℃シナリオが進行する場合、再生可能エネルギーによる発電量の増加などが進むと予測されます。三菱電機グループでは大容量蓄電池制御システム、スマート中低圧直流配電ネットワークシステム、分散型電源運用システム/VPP(Virtual Power Plant)システム、マルチリージョン型デジタル電力供給システム(マルチリージョンEMS)などの提供により、再生可能エネルギー拡大や電源分散化に伴う電力の有効活用、系統安定化ニーズへの対応に貢献することが可能です。
また、4℃シナリオが進行する場合、大雨や洪水の頻発等が予測されます。三菱電機グループでは観測衛星を通じて気象現象・地球環境の監視強化、災害状況把握、防災などに貢献することが可能です。
三菱電機グループは多岐にわたる事業を有しています。気候変動に起因する社会課題の解決に貢献する製品・サービス・ソリューションを幅広く提供可能であることを強みとしており、「表2. 気候変動に係る機会と三菱電機グループの取組み例」に示すように、気候変動に起因する社会課題の解決を通じて短期から長期にわたる持続可能な成長機会を有していると考えています。
(ウ)気候変動に係る戦略のレジリエンス
このように、気候変動に係るリスクと機会とそれらに対する取組みを評価した結果、三菱電機グループは2℃シナリオもしくは4℃シナリオのいずれのシナリオ下にあっても、気候変動に係るリスクに対するレジリエンスと、気候変動に起因する社会課題の解決を通じた持続可能な成長機会を有していると評価しています。
③リスク管理
ア.気候変動に係るリスクと機会を扱うプロセス
三菱電機グループの気候変動を含む地球環境に係るリスクと機会の選別・評価・管理は、事業戦略の意思決定プロセスと、総合リスクマネジメントのプロセスによって行っています。
三菱電機各部門(各事業本部/コーポレート部門)/国内外関係会社は、自らに関連する気候変動に係るリスク項目を洗い出し、リスクへの対応と機会としての活用について検討し、事業戦略・部門戦略に主体的に織り込みます。CSO(Chief Strategy Officer)は、策定された事業戦略・部門戦略、気候変動に係る機会の活用方針、カーボンニュートラル化に向けた施策の投資対効果、ICP(Internal Carbon Pricing)により試算された炭素コスト等も踏まえて、三菱電機グループ全体としての経営戦略を策定します。
並行して、三菱電機グループの総合リスクマネジメントの中で、気候変動に係るリスク管理含め、さまざまなリスク分野について、経営に重大な影響を及ぼす事項を選別・評価し、適正な管理を行います。
イ.三菱電機グループのリスクマネジメント体制と地球環境リスクの位置づけ
三菱電機グループの気候変動に係るリスクを含む地球環境リスク等のリスクは、三菱電機各部門/国内外関係会社が主体的にリスクマネジメントを遂行することに加えて、リスクマネジメント担当執行役(CRO: Chief Risk Management Officer)の指示に基づき、コーポレート部門(リスク所管部門)が各専門領域での知見に基づき、選別・評価・管理を行います。
リスク所管部門が選別・評価した各専門領域のリスクはリスクマネジメント統括室が集約し、個別のリスク間の相対比較等を通じてグループ経営に及ぼす影響を評価し、CROが重要性を判断したうえで、全執行役で議論(リスク/対策の総合評価)を行います。
上記のプロセスを経て総合的に評価されたリスクは経営層を含む関係者に共有されます。気候変動を含む地球環境リスクは、グループのマテリアリティの1つである持続可能な地球環境の実現に大きな影響を及ぼすことから、三菱電機グループでは地球環境リスクを重要性の高いリスクと位置付けています。
ウ.地球環境に関するリスクのマネジメントプロセス
気候変動を含む地球環境リスクは、上述の三菱電機グループリスクマネジメント体制に則り、CROの指示を受けて生産システム担当執行役及びリスク所管部門である環境推進部が選別・評価・管理を行います。
生産システム担当執行役及び環境推進部は、総合的に評価されたリスクの結果を踏まえ、地球環境リスクに関する法規動向、技術動向、市場動向、社外評価等を考慮して細分化したリスクの選別・評価を行います。その結果を踏まえて、リスクを管理するための中期的な施策として環境計画を、単年度の施策として環境実施計画を策定します。
グループ内の各組織(事業本部、関係会社等)は、それらを基に自組織の環境実施計画を毎年策定し、生産システム担当執行役及び環境推進部にその成果を報告します。
生産システム担当執行役及び環境推進部は、各組織の成果及び社会動向等を考慮して地球環境リスクの選別・評価結果を見直し、結果をリスクマネジメント統括室に報告するとともに必要に応じて環境計画の修正及び次年度環境実施計画への反映を行います。
④指標及び目標
ア.バリューチェーンでの温室効果ガス排出量の算定・把握
三菱電機グループは、バリューチェーンでの温室効果ガス排出量(Scope 1、2、3)を算定・把握しています。算定・把握に当たっては、「GHGプロトコル」や環境省の「サプライチェーンを通じた温室効果ガス排出量算定に関する基本ガイドライン」などを参考にしています。
イ.長期目標
三菱電機グループは、2050年までの長期環境経営ビジョンである「環境ビジョン2050」の中で、バリューチェーン全体で温室効果ガス排出の削減を推進し、2050年の排出量実質ゼロを目指すという目標を掲げています。
ウ.中期目標
三菱電機グループは温室効果ガス削減に向けた取組みを強化するためScope 1、Scope 2の目標を見直し、「2030年度までに工場・オフィスからの温室効果ガス排出量実質ゼロを目指す」という新たな目標を2023年度に定めました。
そのほか、以下の温室効果ガス排出削減目標は、2020年1月にSBTイニシアティブの認定を取得しています。
・ Scope 1及びScope 2:2030年までに温室効果ガス排出量を2016年度基準で18%削減
・ Scope 3*:2030年までに温室効果ガス排出量を2018年度基準で15%削減
* Scope 3の対象はカテゴリー 11(販売した製品の使用)。
エ.短期目標
三菱電機グループは、1993年から3年ごとに具体的な活動目標を定めた環境計画を策定しています。現行の環境計画2023(2021~2023年度)では、環境ビジョン2050で掲げた行動指針のもと、「製品・サービスによる環境貢献」「事業活動における環境負荷低減」「イノベーションへの挑戦」「新しい価値観・ライフスタイルの発信」のそれぞれについて指標と目標を設定し、活動を推進しています。
オ.目標の進捗
温室効果ガス排出量削減の取組みは、目標達成に向けて順調に進捗しています。
※1 Scope 2はロケーションベース。電力CO2排出係数として、国内は電気事業低炭素社会協議会の公表値、海外は国際エネルギー機関の公表値に基づく値を使用。温室効果ガスの地球温暖化係数として、IPCC第五次報告書の公表値を使用。
※2 2016年度から2021年度は第三者検証を経た実績値。2022年度は、第三者検証を実施中のため、提出日現在の会社算定値。
第三者検証後の実績値は、2023年7月末発行予定の「サステナビリティレポート2023」を参照ください。
https://www.MitsubishiElectric.co.jp/corporate/sustainability/download/index.html
(3)人財/人的資本
①ガバナンス
ア.人財に対する考え方
三菱電機グループは、2025年度に向けた中期経営計画において、経営基盤の強化とDXの推進等による統合ソリューションの提供拡大により、脱炭素化への対応等、活力とゆとりある社会の実現へ貢献することを掲げています。この持続的な成長実現の原動力は人であり、「人=将来の価値を生み出す資本」ととらえる「人的資本経営」を、より一層推進します。また、グローバル競争がますます激化する事業環境下、三菱電機グループが社会からの信頼を取り戻し、「循環型 デジタル・エンジニアリング企業」として発展するために、人財=多様・多才な「個」の力を総結集し、あらゆる変革を成し遂げていきます。
イ.推進体制
三菱電機グループはCHRO(Chief Human Resource Officer)を責任者とし、人財戦略を策定しています。その過程の中で、経営戦略と人財戦略の連動を意識し、まずは、経営戦略実現の障害となる人財面の課題を洗い出し、各Chief Officerや、ビジネスエリアオーナーとの議論を重ねて、自社固有の優先課題と対応方針を整理し、取締役会での監督も受けて策定しました。今後も、改善の進捗状況を定期的に取締役会で進捗/経過を報告しつつ、計画的に進めていきます。
②戦略
以下のとおり、「人財」「組織」「風土」に関する「ありたい姿」を掲げて、人財育成、および、社内環境整備(含む:組織風土の改善)に努めています。
ア.人財育成
「従業員の成長なくして事業の発展や社会貢献は成し得ない」との認識に立ち、全従業員を対象にした教育研修の投資によって、全体の底上げを図るとともに、自ら考え、主体的に行動し、挑戦し続けることで、「Changes for the Better」を実践する「多様・多才な人財」を育てます。
取組み事例
(ア)一人ひとりの能力開発を支援する人財育成体系
三菱電機グループの育成制度では、OJTをベースに日常的な業務ノウハウとマインドを伝承していくとともに、OJTでは身につきにくい知識やスキルの習得、キャリア形成を、オンライン研修も積極的に活用しながら、Off-JTで補完しています。Off-JTでは、「倫理・遵法など社会人として身につけるべき知識の付与」「社内外の優れた講師による知識やスキル研修及び動機付け研修」「スキルアップのための検定や競技」「海外拠点や国内外の大学での実習や留学」を実施しており、これらを通して関係会社社員を含め、グループ社員全体のレベルアップを図っています。
新卒者や経験者採用者に対しては、全員に研修を実施し、社会人としての意識付けを図るとともに、基礎知識の付与や、経営理念、コンプライアンスなどの初期教育を実施しています。
また、三菱電機では、個々人がそれぞれの役割・期待に応え活躍する事を目的に、その各段階で求められる能力やスキルを付与する機会として、階層別研修を導入しています。本研修では特に、若手層に対してはコミュニケーション力強化、中堅層や管理職層に対してはリーダーシップ、後進(部下・後輩)の育成を含むマネジメント力強化に重きを置いており、職場全体での育成風土の醸成に取り組んでいます。
管理職については、自部門で仕事をする従業員一人ひとりに応じた支援を行えるよう、職場内でのコミュニケーションの活性化策や傾聴法、ストレス対処法などのスキルの習得支援を図っており、風通しよくコミュニケーションをとることができる職場を実現するために、その中核となる人財の育成を推進していきます。
(イ)従業員のキャリア形成に資する異動機会の提供
三菱電機では従業員の自律的なキャリア形成を支援するために、社内求人制度(Job-Net)と社内求職制度(Career Challenge制度)を導入しています。
社内求人制度は、イントラネットに公開されている三菱電機グループ内の求人情報に対し従業員が応募する制度です。
社内求職制度は、従業員が自らのキャリア志向・経験・スキル等を社内システムに登録し、求人部門がオファーする制度です。
社内求人制度・社内求職制度共に、従業員と求人部門の相互マッチングにより異動が実現出来る制度となっており、2022年度は約100名の従業員が本制度を利用して異動を実現しています。
(ウ)海外関係会社ナショナルスタッフの幹部登用・育成の推進
海外関係会社では、ローカルビジネスのマネジメント強化および従業員のエンゲージメント向上を目的として、ナショナルスタッフの幹部登用を進めています。ナショナルスタッフの育成を通じたキャリア形成やサクセッションプランの策定など、育成・配置を有機的につなげることで、優秀なナショナルスタッフの幹部登用を推進していきます。
また、各社、各地域(地域統括)における育成施策に加え、三菱電機が主体となり日本国内での研修も実施しています。具体的には、海外関係会社のエンジニアが日本に滞在し、製作所で技術・技能を身に付けてもらうための研修や、海外関係会社から選抜された役員・管理職層が三菱電機本社に集まり、三菱電機グループのマネジメント理解に加え、グローバルリーダーとして必要な知識やマインドセットを習得してもらうための研修等です。
海外から研修に参加する中で、参加者自身の成長だけではなく、三菱電機グループとしての一体感の醸成や人的ネットワークの構築ができ、そのネットワークは国境を超えてグローバルでつながっています。
イ.社内環境整備
持続的成長を実現していくためには、従業員一人ひとりが限られた時間の中でその能力を最大限発揮できる職場環境づくりが重要と考えているため、誰もが安心して、いきいきと働ける職場環境の実現に向けて、多様性の尊重や、個のやりがいやエンゲージメント向上を図り、環境の改善をとおして、組織としての一体感・連携を促進します。
取組み事例
(ア)多様性の尊重:ダイバーシティ&インクルージョン
a.女性活躍
三菱電機は、若年層から業務経験の付与や研修機会の提供を計画的に行い、育成するとともに、社内に対して各種両立支援制度の積極的な情報発信を実施する等の施策を策定しました。
また、若手女性社員向けに、ワーク・ライフ・インテグレーションを意識し、前向きなキャリアビジョンを形成するための気づきの機会を提供する「若手女性社員向けのキャリアフォーラム」や、育児休職者が円滑に職場復帰し、育児をしながら能力を最大限発揮できるよう、「上司と部下 仕事と育児の両立支援ハンドブック」を配布するとともに、復職前・復職後に定期的に上長面談の場を設けることをルール化する等、女性がキャリアを積みやすい環境整備を進めています。
b.障がい者雇用
三菱電機グループでは、サステナビリティやダイバーシティ推進の観点から、各社で障がい者の積極的な活用を図っており、障がい者が働きやすい職場環境の整備を目指し、バリアフリー化などの取組みも進めています。
三菱電機では、2014年10月に主に知的障がい者の方に適した業務を社業とする特例子会社*「メルコテンダーメイツ株式会社」を設立しており、特例子会社を含めた雇用率は2023年3月15日時点で2.48%となっています。
メルコテンダーメイツ株式会社の社名は、健常者社員、チャレンジド社員(障がいがある社員)の双方が対等な職場のパートナーであることと、慈しみ合う仲間たちという意味を表現しています。クリーンサービス事業、カフェ事業、名刺事業、給食事業、健康増進事業(マッサージ施術)などを中心に事業を展開しており、2023年3月15日時点で122名の障がい者を雇用しています。2017年度にはクッキー工房を開設し、2020年度に名古屋事業所、2022年度に姫路事業所、2023年度に伊丹事業所を開設するなど、今後も徐々に事業を拡大し、チャレンジド社員の雇用を更に推進していく計画です。
* 「障害者の雇用の促進等に関する法律(障害者雇用促進法)」により一定の要件を満たしたうえで、厚生労働大臣の許可を受けて、親会社(三菱電機株式会社)の1事業所(親会社に雇用されている)とみなされ、特例として親会社の障がい者雇用率に織込まれる会社。
c.LGBTQ
三菱電機では多様性を互いに尊重し、一人ひとりの能力を最大限に発揮し、いきいきと働ける職場環境の実現を目指して、性の多様性(LGBTQ)への理解を深める取組みを推進しています。2021年6月には、LGBTQ当事者にとっても働きやすい職場環境を整備することを社長メッセージとして発信しました。毎年6月を「三菱電機プライド月間」として位置付け、多様な性を理解する取組み(経営層・人事部門向けのLGBTQ理解のセミナーや従業員向けのeラーニング)を行っています。LGBTQ当事者だけでなく職場の上司や同僚等も相談できる「社外相談窓口」を設置しました。
(イ)個のやりがい:組織風土改革
三菱電機グループは、グループ内で2019年度までに複数の労務問題が発生したことを真摯に受け止め、「風通しよくコミュニケーションができる職場づくり」「メンタルヘルス不調者への適切なケアの徹底」等を目指し、「三菱電機 職場風土改革プログラム」に取り組んできました。本プログラムについては、2021年度に短期重点施策の適用を完了させ、2022年度は長期取組み施策とした「エンゲージメント向上」「コミュニケーション活性化」「組織文化・マインド醸成」に関する施策を展開してきましたが、今後はそれらの取組みを3つの改革の中の「組織風土改革」と一体化させ、より一層強力に実行していきます。また、従業員がいきいきと活躍できる職場環境を実現するための指標として「働きがい」や「ワークライフバランス」等についての指標(KPI)を定め、定期的にモニタリングすることにより、更なる組織風土や職場環境の改善や定着に引き続き取り組んでいきます。
③指標及び目標
マテリアリティ「あらゆる人の尊重」の目標として、人財に関する目標/取組み指標(KPI)を「
下表は提出会社の数値です。連結子会社についても、多様性推進に向けて取組を進めています。
[単位は、従業員一人当たりの年間人財育成・研修投資額は千円/人、それ以外は%]
|
区分 |
指標 |
分類 |
実績 |
目標 |
|||||
|
2018 年度 |
2019 年度 |
2020 年度 |
2021 年度 |
2022 年度 |
2025 年度 |
||||
|
人財育成 |
自身のキャリア希望を当社で実現できると感じていると回答した従業員の割合 |
- |
- |
- |
48.0 |
43.0 |
42.0 |
- |
|
|
従業員一人当たりの年間人財育成・研修投資額* |
- |
- |
- |
- |
86 |
124 |
- |
||
|
社内環境整備 |
個の やりがい |
従業員エンゲージメントスコア(三菱電機で働くことの誇りややりがいを感じている従業員の割合) |
- |
- |
- |
63.0 |
54.0 |
54.0 |
70.0 |
|
仕事と生活のバランスが取れていると回答した従業員の割合 |
- |
- |
- |
66.0 |
65.0 |
66.0 |
70.0 |
||
|
多様性 |
女性管理職比率 |
- |
1.8 |
2.0 |
1.9 |
2.3 |
2.6 |
4.5 |
|
|
男性育児休業取得率 |
- |
55.4 |
59.1 |
64.9 |
67.8 |
76.1 |
- |
||
|
男女間賃金格差 |
全従業員 |
54.9 |
58.5 |
60.7 |
61.0 |
61.5 |
- |
||
|
正規雇用 |
61.2 |
62.3 |
63.5 |
63.6 |
63.6 |
- |
|||
|
非正規雇用 |
71.0 |
66.5 |
63.5 |
62.4 |
63.2 |
- |
|||
|
障がい者雇用率 |
- |
2.2 |
2.3 |
2.3 |
2.4 |
2.5 |
- |
||
* 研修費用及び研修主管部門における費用の合計額。従業員には臨時従業員等を含む。
なお、上記における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2023年6月29日)現在において当社が判断したものです。
三菱電機グループは、サステナビリティに関する取組みについてステークホルダーの皆様とコミュニケーションを行うため、サステナビリティレポートを制作しています。最新の取組み状況については、2023年7月末発行予定の「サステナビリティレポート2023」を参照ください。
https://www.MitsubishiElectric.co.jp/corporate/sustainability/download/index.html
(1) 三菱電機グループのリスクマネジメント体制
三菱電機グループは、各部門及び国内外の関係会社が主体的にリスクマネジメントを遂行することに加えて、三菱電機の各コーポレート部門(リスク所管部門)がそれぞれの専門領域において各部門及び国内外の関係会社を統括/評価し、更にCRO(Chief Risk Management Officer)およびリスクマネジメント統括室がグループ全体を統括することによって、適切かつ迅速な判断が可能な体制を構築しています。
各種のリスクについてグループ全体の経営に与える影響度に応じた重点付けを行いながら、大規模災害や社会的リスクなどの従来型リスクへの対応にとどまらず、経済安全保障、人権、地球環境など新たなリスクに対する探索と備えについても、機動的かつ戦略的に推進します。特に経営の監督と執行にかかわる重要事項については、取締役会、執行役会議において審議・決定します。
(2) 事業等のリスク
三菱電機グループは、海外向け売上高比率が5割超を占め、幅広い事業分野で「循環型 デジタル・エンジニアリング企業」への変革を目指しています。また、顕在化した各種コンプライアンス事象を真摯に受け止め、内部統制システムの改善等に取り組んでいます。
事業の遂行にあたっては、様々な要素が三菱電機グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。具体的に三菱電機グループの財政状態及び経営成績や、投資家の判断に影響を及ぼす可能性がある要因のうち、主なものは以下のとおりです。
①地政学的リスクの高まりによる社会・経済・政治的混乱の影響について
ウクライナをめぐる国際情勢は、欧州を中心とした地政学的リスクレベルを一変させ、社会情勢を不安定化させるとともに、世界経済の回復に対しても減速をもたらしています。また、米国・中国の緊張関係の高まりなどにより、企業にとって予見困難なリスク顕在化の可能性が増しています。
三菱電機グループは、社会インフラから家庭電器まで広範な領域で事業を展開し、海外向けが売上高の5割超を占めています。また、日本国内向けの売上には国内で利用される製品だけでなく、顧客の製品に組み込まれて海外に輸出される製品も含まれています。
したがって、ウクライナ情勢の長期化、世界的なインフレーション進展等を背景に、世界各国・地域の景気減速が想定以上に進み、当社製品の需要や、当社製品を組み込んだ顧客の製品の販売動向が変化した場合には、三菱電機グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
こうした各国の経済安全保障政策の急激な変化に対応すべく、社長直轄組織である経済安全保障統括室において、政策動向や法制度の調査・分析、全社における機微技術管理、情報セキュリティ、投資、開発、サプライチェーン等に関わる経済安全保障の観点から見た統合的なリスク制御を行っています。
②サプライチェーン(部材調達)環境の変化について
半導体の全般的な需給逼迫には改善の兆しがあるものの、一部の産業機器・車載機器向け半導体や電子部品、材料の価格上昇や調達困難な状況が継続しています。また、感染症・自然災害等による供給混乱、各種経済安全保障規制の拡大、人権課題への社会的要請など、サプライチェーンの強靭化が喫緊の課題となっています。
これらも踏まえて、引き続き三菱電機グループは競争力のある製品を市場に供給するために、安定調達に向けた調達品の確保と、価格高騰の抑制に注力します。また、特定の国・地域の緊張関係、あるいは人権や環境に関連した各国の規制により、サプライチェーンの変更等も想定されますが、多様な調達リスクの軽減と環境の変化に対応した持続可能な調達体制を構築し、生産活動の継続を可能とするBCPを戦略的に推進します。
③情報セキュリティを取り巻く環境について
三菱電機グループの顧客・ステークホルダーの皆様からお預かりした情報、営業情報や技術情報、知的財産などの企業機密が、コンピューターウイルスの感染や不正アクセスその他不測の事態により、滅失もしくは社外に漏洩した場合、または工場の生産に影響を与えるようなサイバー攻撃事案が発生した場合は、三菱電機グループの事業活動及び業績に影響を及ぼす可能性があります。加えてソフトウェア又はハードウェアの大規模障害、三菱電機グループ及び三菱電機グループ管理外のシステムに未知の脆弱性があった場合や外部事業者が提供する情報通信サービスの停止、大規模災害等により、情報システムが機能不全に陥る場合は、三菱電機グループの事業が影響を受ける可能性があります。
かかるリスクへの対応として、情報セキュリティ基盤強化活動を推進し、巧妙かつ多様化する最新のサイバー攻撃パターンへの対策強化及びレジリエントな情報システムの維持・強化を進めていきます。また、人的情報漏洩防止策の強化も含めて機密情報の保全を図ります。
④技術革新の加速と競争の激化について
サステナビリティを実現するための重要課題のうち、気候変動、人権等については、国際的な法制面の整備、規制への取組みが加速しており、これまでの価値観と社会構造が変化し、急速な技術革新(ゲームチェンジ)をもたらすことも考えられます。急速な技術革新は競争の激化を招き、リスク側面として三菱電機グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
不確実性の高い事業環境を想定して、これらの変化に耐えうる強固な経営基盤を構築します。例えば、研究開発においては、大学など社外研究機関との連携や、顧客との共創などを通じて、グループ内外の知見を融合することにより未来社会をデザインし、新しい価値のタイムリーな創出を図ります。
⑤人権に関する法規・規制および社会的要請等の高まりについて
三菱電機グループは、人権に関して以下のリスクを認識しています。
・各国で制定が進む企業に人権の取組みを求める法令に適時適切に対処しなければ法令違反となるリスク
・人権侵害に加担した企業とみなされた場合に企業に課される経済制裁リスク
・人権侵害に関わる企業への信頼の低下などのレピュテーションリスク
かかるリスクに対し、三菱電機グループとして国連「ビジネスと人権に関する指導原則」など国際規範に基づく取組みを強化しています。
また、三菱電機は、グローバルサプライチェーンにおいて社会的責任を推進する企業同盟であるRBA(Responsible Business Alliance)に加盟し、自社およびサプライチェーンの人権課題に積極的に取組んでいきます。
⑥持続可能な地球環境の実現に関する法規・規制および社会的要請の高まりについて
三菱電機グループは、地球環境リスクのうち気候変動に関するリスクを最優先に対応しています。気候変動に関するリスクは、脱炭素社会への移行に関連するリスク(移行リスク)と、温暖化が進展した場合の物理的影響に関連するリスク(物理的リスク)に大別されます。これらのリスクは、費用の増加(生産・社内管理・資金調達コストなど)、収益の減少などを招くおそれがあります。
かかるリスクに対し、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言に沿って、「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標及び目標」の観点から事業運営を強化します。また、事業のリスクを制御するとともに機会創出に取り組み、社会課題の解決を促進します。
⑦感染症・大規模災害(地震、津波、台風、水害、火山噴火、火災)等の影響について
三菱電機グループは、製造・販売拠点、研究開発拠点、及び本社を含む主要施設を国内外に多数有しており、感染症や大規模災害(地震、津波、台風、水害、火山噴火、火災)等により三菱電機グループの拠点が被害を受けることで、事業活動が中断する可能性があります。また、サプライチェーンの混乱に伴い調達、生産、物流等に影響が生じ、多額の損失が発生する可能性があります。
これらに対し、三菱電機グループは感染症や大規模災害等の緊急事態の際は、全社緊急対策室を設置し、全社の情報を一元管理するとともに、各事業拠点単位での安全確保と事業活動の復旧・継続(BCP)に取組みます。また、生産活動の継続が可能となる安定調達に向けたサプライチェーンを構築していきます。
⑧製品やサービスの品質及び関連するコンプライアンスリスクについて
製品やサービスの欠陥や瑕疵等による損失計上や、関連するコンプライアンス違反の発生による社会的評価の低下等は、経営全般に影響を及ぼす可能性があります。
かかるリスクに対し、品質保証体制を強化するとともに、予防機能を重視した実効的な内部統制システムを構築していきます。
⑨金融市場(為替相場、株式相場)リスクの影響について
上記①~⑧項で示した複雑化する各個別リスク、あるいはそれらの複合リスクにより、為替相場、株式相場が影響を受ける場合、三菱電機グループは、以下の影響を受ける可能性があります。
<為替相場>
三菱電機グループの売上は北米、欧州、中国がおよそ10%ずつを占めていることに加え、当社における米ドル建てやユーロ建てでの輸入部材購入、アジア地域の製造拠点における当該地国以外の通貨建て輸出売上や輸入部材購入があります。
為替予約等により為替の変動の影響を回避するようにしていますが、為替レートの急変により、当社の想定している為替レートから大きく変動すると、三菱電機グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
<株式相場>
三菱電機グループは、「政策保有株式は原則保有しない」という考え方を基本方針としていますが、一方で、事業運営上、必要性が認められると判断した株式については保有することがあります。株式相場の下落は、三菱電機グループが保有する市場性のある株式の価値の減少や、年金資産の減少をもたらす可能性があります。
かかるリスクへの対応として、保有株式については、採算性、事業性、保有リスク等の観点から総合的に保有意義の有無を判断し、毎年、執行役会議及び取締役会にて検証・確認を行っています。保有意義が希薄と判断した株式は、当該企業の状況等を勘案した上で売却を進めるなど縮減を図ることとしています。
なお、上記における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2023年6月29日)現在において当社が判断したものです。
三菱電機グループが当連結会計年度中にとった主な施策及び翌連結会計年度以降に向けての施策については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」などに記載のとおりですが、これらの施策の実施状況を踏まえた当連結会計年度に関する財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの分析は以下のとおりです。
(1) 業績概要
当連結会計年度の景気は、米国では、企業・家計部門ともに持ち直しが継続しましたが、中国では、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う行動制限の影響による下押しがみられ、その後の持ち直しも緩やかなものに留まりました。日本では、個人消費を中心に緩やかな持ち直しが継続しましたが、欧州では、企業・家計部門ともに持ち直しはより緩やかになりました。また、一部素材価格の上昇や物流費の高止まり、電子部品等の需給逼迫の長期化などの動きがみられました。
このような状況の中、三菱電機グループは、これまでの事業競争力強化・経営体質強化に加え、新たなビジネスエリア経営体制での事業変革・ポートフォリオ戦略の加速による収益力最大化に、従来以上に軸足を置いて取り組んでまいりました。この結果、当連結会計年度の業績は、以下のとおりとなりました。
<連結決算概要>
|
|
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
前連結会計年度比 |
|
売上高 |
44,767億円 |
50,036億円 |
5,269億円増 |
|
営業利益 |
2,520億円 |
2,623億円 |
103億円増 |
|
税引前当期純利益 |
2,796億円 |
2,921億円 |
124億円増 |
|
親会社株主に帰属 する当期純利益 |
2,034億円 |
2,139億円 |
104億円増 |
①売上高
売上高は、為替円安の影響などにより、前連結会計年度比5,269億円増加の5兆36億円となりました。ライフ部門では、ビルシステム事業はアジア・国内向けで増加し、空調・家電事業は欧州・国内・北米向け空調機器の需要拡大などにより増加しました。インダストリー・モビリティ部門では、FAシステム事業は脱炭素関連分野の設備投資を中心とした需要拡大を背景に増加し、自動車機器事業は電動化関連製品などの需要が堅調に推移し増加しました。ビジネスプラットフォーム部門では、情報システム・サービス事業はシステムインテグレーション事業・ITインフラサービス事業が増加し、電子デバイス事業はパワー半導体の需要などが堅調に推移し増加しました。インフラ部門では、電力システム事業は前連結会計年度並みとなり、社会システム事業は海外の公共分野向けで増加し、防衛・宇宙システム事業は防衛システム事業が増加しました。
<売上高における為替影響額>
|
|
前連結会計年度 期中平均レート |
当連結会計年度 期中平均レート |
当連結会計年度 売上高への影響額 |
|
連結合計 |
- |
- |
約2,700億円増 |
|
内、米ドル |
113円 |
136円 |
約1,190億円増 |
|
内、ユーロ |
131円 |
142円 |
約360億円増 |
|
内、人民元 |
17.7円 |
19.7円 |
約480億円増 |
②営業利益
営業利益は、インフラ部門、インダストリー・モビリティ部門の減益はありましたが、ビジネスプラットフォーム部門、ライフ部門などの増益により、前連結会計年度比103億円増加の2,623億円となりました。営業利益率は、販売費及び一般管理費の増加などにより、前連結会計年度比0.4ポイント悪化の5.2%となりました。
売上原価率は、為替円安や価格転嫁による改善はありましたが、一部素材価格の上昇に加え、インフラ部門での採算悪化などにより、前連結会計年度比0.1ポイント悪化しました。販売費及び一般管理費は、前連結会計年度比1,343億円増加し、売上高比率は前連結会計年度比0.4ポイント悪化しました。その他の損益は、固定資産減損損失の計上はありましたが、土地の売却などにより前連結会計年度比22億円増加し、売上高比率は前連結会計年度比0.1ポイント改善しました。
③税引前当期純利益
税引前当期純利益は、営業利益の増加などにより、前連結会計年度比124億円増加の2,921億円、売上高比率は5.8%となりました。
④親会社株主に帰属する当期純利益
親会社株主に帰属する当期純利益は、税引前当期純利益の増加などにより、前連結会計年度比104億円増加の2,139億円、売上高比率は4.3%となりました。
なお、ROEは前連結会計年度比0.2ポイント悪化の6.9%となりました。
事業の種類別セグメントの業績は、次のとおりです。
① インフラ
社会システム事業の事業環境は、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた国内鉄道各社における設備投資計画見直しの動きが継続しましたが、国内外の公共分野における投資が堅調に推移しました。このような状況の中、同事業は、受注高は国内外の公共分野の増加などにより前連結会計年度を上回り、売上高は円安の影響や海外の公共分野の増加などにより前連結会計年度を上回りました。
電力システム事業の事業環境は、国内電力会社の設備投資の動きが継続し、再生可能エネルギーの拡大に伴う電力安定化の需要などが国内外で堅調に推移しました。このような状況の中、同事業は、受注高は国内の電力流通事業や海外の発電事業の増加などにより前連結会計年度を上回り、売上高は前連結会計年度並みとなりました。
防衛・宇宙システム事業は、受注高は宇宙システム事業の大口案件の増加により前連結会計年度を上回り、売上高は防衛システム事業の大口案件の増加により前連結会計年度を上回りました。
この結果、部門全体では、売上高は前連結会計年度比103%の9,731億円となりました。
営業利益は、売上案件の変動や防衛・宇宙システム事業の採算悪化などにより、前連結会計年度比140億円減少の275億円となりました。
② インダストリー・モビリティ
FAシステム事業の事業環境は、スマートフォンや半導体などのデジタル関連分野の需要は減少しましたが、リチウムイオンバッテリーなどの脱炭素関連分野の設備投資を中心に、需要が堅調に推移しました。このような状況の中、同事業は、受注高はデジタル関連分野の需要が一服したことから前連結会計年度を下回りましたが、売上高は円安の影響に加え、脱炭素関連分野の需要の増加などにより前連結会計年度を上回りました。
自動車機器事業の事業環境は、半導体部品の需給逼迫の影響などはありましたが、新車販売台数は前連結会計年度を上回り、電動車を中心とした市場の拡大に伴う電動化関連製品などの需要が堅調に推移しました。このような状況の中、同事業は、円安の影響に加え、モーター・インバーターなどの電動化関連製品や自動車用電装品の増加などにより、受注高・売上高ともに前連結会計年度を上回りました。
この結果、部門全体では、売上高は前連結会計年度比112%の1兆6,602億円となりました。
営業利益は、FAシステム事業は売上高の増加や円安の影響などにより増加しましたが、自動車機器事業は素材・物流費の上昇や固定資産減損損失の計上などにより減少しました。部門全体では、前連結会計年度比5億円減少の959億円となりました。
③ ライフ
ビルシステム事業の事業環境は、新型コロナウイルス感染症の影響による市況低迷からの回復の動きが継続しました。このような状況の中、同事業は、円安の影響やアジア・国内の増加などにより受注高・売上高ともに前連結会計年度を上回りました。
空調・家電事業の事業環境は、第2四半期以降、電子部品の需給状況に改善の動きが見られました。このような状況の中、同事業は、円安の影響や欧州・国内・北米向け空調機器の増加などにより、売上高は前連結会計年度を上回りました。
この結果、部門全体では、売上高は前連結会計年度比116%の1兆9,471億円となりました。
営業利益は、素材価格・物流費の上昇や第1四半期での操業度低下などはありましたが、売上高の増加や円安の影響などにより、前連結会計年度比86億円増加の1,012億円となりました。
④ ビジネスプラットフォーム
情報システム・サービス事業の事業環境は、半導体部品の需給逼迫の影響はありましたが、新型コロナウイルス感染症の影響で延期されていた案件が再開するなど、需要が堅調に推移しました。このような状況の中、同事業は、システムインテグレーション事業・ITインフラサービス事業の増加により受注高・売上高ともに前連結会計年度を上回りました。
電子デバイス事業の事業環境は、民生・産業向けのパワー半導体の需要などが堅調に推移しました。このような状況の中、同事業は、受注高は客先の先行手配が一巡した影響などによるパワー半導体の減少や、液晶事業の終息などにより前連結会計年度を下回りましたが、売上高は円安の影響に加え、民生・産業向けのパワー半導体の増加などにより前連結会計年度を上回りました。
この結果、部門全体では、売上高は前連結会計年度比112%の4,293億円となりました。
営業利益は、売上高の増加や円安の影響などにより、前連結会計年度比134億円増加の399億円となりました。
⑤ その他
売上高は、資材調達・物流の関係会社の増加などにより、前連結会計年度比113%の8,360億円となりました。
営業利益は、売上高の増加などにより、前連結会計年度比47億円増加の314億円となりました。
顧客の所在地別の売上高の状況は、次のとおりです。
① 日本
空調・家電事業やFAシステム事業などの増加により、前連結会計年度比106%の2兆4,670億円となりました。
② 北米
空調・家電事業や自動車機器事業などの増加により、前連結会計年度比135%の6,255億円となりました。
③ アジア
空調・家電事業、ビルシステム事業などの増加により、前連結会計年度比109%の1兆2,189億円となりました。
アジアのうち中国については、電子デバイス事業やビルシステム事業の増加はありますが、空調・家電事業、FAシステム事業などの減少により、前連結会計年度比99%の5,836億円となりました。
④ 欧州
空調・家電事業などの増加により、前連結会計年度比123%の6,078億円となりました。
⑤ その他
その他の地域にはオセアニアなどが含まれており、前連結会計年度比117%の843億円となりました。
(2) 生産、受注及び販売の実績
① 生産実績
当連結会計年度における生産実績を事業の種類別セグメントごとに示すと、次のとおりです。
|
事業の種類別セグメントの名称 |
生産高(百万円) |
前連結会計年度比(%) |
|
インフラ |
881,401 |
102 |
|
インダストリー・モビリティ |
1,478,400 |
112 |
|
ライフ |
1,355,738 |
126 |
|
ビジネスプラットフォーム |
279,540 |
125 |
|
その他 |
1,227 |
61 |
|
計 |
3,996,306 |
114 |
(注) 上記金額は、仕込製品については仕切予定価格、注文製品については受注価格で示しています。
② 受注実績
当連結会計年度における受注実績を事業の種類別セグメントごとに示すと、次のとおりです。
|
事業の種類別セグメントの名称 |
受注高(百万円) |
前連結会計年度比(%) |
|
インフラ |
1,175,328 |
121 |
|
インダストリー・モビリティ |
1,687,579 |
100 |
|
ライフ(空調・家電を除く) |
564,366 |
110 |
|
ビジネスプラットフォーム |
435,332 |
88 |
(注) 「ライフ」セグメントのうち空調・家電事業については、受注生産形態をとらない製品が多く、受注規模を金額で示していません。
③ 販売実績
当連結会計年度における販売実績を事業の種類別セグメントごとに示すと、次のとおりです。
|
事業の種類別セグメントの名称 |
販売高(百万円) |
前連結会計年度比(%) |
|
インフラ |
973,139 |
103 |
|
インダストリー・モビリティ |
1,660,296 |
112 |
|
ライフ |
1,947,157 |
116 |
|
ビジネスプラットフォーム |
429,320 |
112 |
|
その他 |
836,072 |
113 |
|
消去 |
△842,290 |
- |
|
計 |
5,003,694 |
112 |
(注) 各種類別セグメントの金額には、セグメント間の内部売上高(振替高)を含めて表示しています。
(3) 資産及び負債・資本の状況分析
総資産残高は、前連結会計年度末比4,745億円増加の5兆5,825億円となりました。棚卸資産が2,495億円、売上債権が1,072億円、その他の非流動資産が595億円増加したことがその主な要因です。
棚卸資産の増加は、為替円安影響に加え、インダストリー・モビリティ部門やライフ部門での需要増や半導体・電子部品の部材逼迫の影響などによるものです。
負債の部は、社債、借入金及びリース負債が712億円、契約負債が509億円、買入債務が428億円増加したことなどから、負債残高は前連結会計年度末比2,087億円増加の2兆2,192億円となりました。なお、リース負債を除く社債・借入金残高は前連結会計年度末比350億円増加の2,522億円、借入金比率は4.5%(前連結会計年度末比+0.2ポイント)となりました。
資本の部は、配当金の支払い845億円による減少等はありましたが、親会社株主に帰属する当期純利益2,139億円の計上及び為替円安等を背景としたその他の包括利益累計額923億円の増加等により、親会社株主に帰属する持分は前連結会計年度末比2,630億円増加の3兆2,390億円、親会社株主帰属持分比率は58.0%(前連結会計年度末比△0.3ポイント)となりました。
<財政状態計算書関連指標>
|
|
前連結会計年度末 |
当連結会計年度末 |
前連結会計年度末比 |
|
売掛債権回転率 |
3.63回転 |
3.71回転 |
0.08回転増 |
|
棚卸資産回転率 |
4.66回転 |
4.14回転 |
0.52回転減 |
|
借入金比率 |
4.3% |
4.5% |
0.2ポイント増 |
|
親会社株主帰属持分比率 |
58.3% |
58.0% |
0.3ポイント減 |
(注) 1 売掛債権回転率は、売上債権と契約資産の合計より算出しています。
2 借入金比率は、リース負債を除く借入金・社債残高より算出しています。
(4) 資本の財源及び資金の流動性
①財務戦略に関する基本的な考え方
三菱電機グループは、健全な財務体質を維持するため、業績向上による資金収支の改善に加え、棚卸資産の縮減活動、売掛債権の回収促進といった資産の効率化、グループ内資金の更なる有効活用による資金の効率化に引き続き取り組んでまいります。
また、2025年度に向けた中期経営計画におけるキャピタル・アロケーション方針のもと、成長投資を最優先としつつ、利益成長を通じた株主還元強化を踏まえた資本政策の実行により、更なる資本効率の向上を図ってまいります。
なお、成長戦略を進めて行く中で、必要となります設備投資、研究開発、M&A等の資金につきましては、重点成長事業を中心とした営業活動において創出されたキャッシュ・フローを源泉に、自己資金の活用を図りつつ、必要に応じて金融機関等から機動的に資金調達を行ってまいります。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度は、営業活動によるキャッシュ・フローが1,667億円の収入となった一方、投資活動によるキャッシュ・フローが1,485億円の支出となったため、フリー・キャッシュ・フローは181億円の収入となりました。これに対し、財務活動によるキャッシュ・フローは1,195億円の支出となったことなどから、現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末比813億円減少の6,458億円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、当期純利益の増加はありましたが、売上債権の回収影響や棚卸資産の増加等により、前連結会計年度比1,156億円の収入減少となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、固定資産売却収入の増加等はありましたが、有価証券等の売却収入の減少や有形固定資産の取得の増加等により、前連結会計年度比336億円の支出増加となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の増加や自己株式の取得の減少等により、前連結会計年度比1,217億円の支出減少となりました。
③財源及び流動性
運転資金需要のうち主なものは、生産に必要な材料購入費の他、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であり、投資を目的とした資金需要は、設備投資、M&A等によるものです。
短期運転資金は、自己資金と金融機関からの短期借入等により、設備投資や長期運転資金は、自己資金の活用を図りつつ金融機関からの長期借入及び社債により調達を行っています。
なお、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は6,458億円、社債、借入金及びリース負債残高は4,007億円です。社債、借入金及びリース負債の内訳は、短期借入金が874億円、社債及び長期借入金が1,647億円、リース負債が1,484億円です。
三菱電機グループは、上記施策を着実に展開することにより、更なる企業価値の向上を目指します。
(5) 重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断
当社の連結財務諸表はIFRSに基づいて作成しています。これらの連結財務諸表の作成にあたって、経営者は、資産、負債、収益及び費用の金額に影響を及ぼす判断、見積り及び仮定を使用する必要があります。実際の業績は、これらの見積りとは異なる場合があります。当社の連結財務諸表の金額に重要な影響を与える可能性のある主要な会計上の見積り及び仮定は以下のとおりです。
①一定の期間にわたり履行義務を充足する契約における見積総費用
インフラ部門、ライフ部門及びビジネスプラットフォーム部門における一定の要件を満たす特定の工事請負契約については、当該工事請負契約の当期末時点の進捗度に応じて収益を計上しています。進捗度は、当連結会計年度までの発生費用を工事完了までの見積総費用と比較することにより測定しています。
見積総費用は、契約ごとに当該工事請負契約の契約内容、要求仕様、技術面における新規開発要素の有無、過去の類似契約における発生原価実績などのさまざまな情報に基づいて算定しています。
工事請負契約は、契約仕様や作業内容が顧客の要求に基づき定められており契約内容の個別性が強く、また比較的長期にわたる契約が多いことから、作業工程の遅れ等による当初見積りに対する原価の増加や、新規開発技術を利用した工事遂行における当初想定していない事象の発生による原価の変動など、工事の進行途中の環境の変化によって、見積総費用が変動することがあります。
経営者は、四半期ごとに当四半期までの発生費用と事前の見積りとの比較や、その時点での工事の進捗状況等を踏まえた最新の情報に基づいて見直した工事請負契約の見積総費用を妥当なものと考えていますが、将来の状況の変化によって見積りと実績が乖離した場合は、三菱電機グループが認識する収益の金額に影響を与える可能性があります。
②引当金の認識及び測定
受注工事損失引当金は、インフラ部門、ライフ部門及びビジネスプラットフォーム部門における工事請負契約において、当該工事の見積総費用が請負受注金額を超える可能性が高く、かつ予想される損失額を合理的に見積もることができる場合に、将来の損失見込額を引当金として計上しています。当連結会計年度末における受注工事損失引当金の残高は、55,491百万円です。
見積総費用は、契約ごとに当該工事請負契約の契約内容、要求仕様、技術面における新規開発要素の有無、過去の類似契約における発生原価実績などのさまざまな情報に基づいて算定しています。
工事請負契約は、契約仕様や作業内容が顧客の要求に基づき定められており契約内容の個別性が強く、また比較的長期にわたる契約が多いことから、作業工程の遅れ等による当初見積りに対する原価の増加や、新規開発技術を利用した工事遂行における当初想定していない事象の発生による原価の変動など、工事の進行途中の環境の変化によって、見積総費用が変動することがあります。
経営者は、四半期ごとに当四半期までの発生費用と事前の見積りとの比較や、その時点での工事の進捗状況等を踏まえた最新の情報に基づいて見直した将来工事損失見込額を妥当なものと考えていますが、将来の状況の変化によって見積りと実績が乖離した場合は、三菱電機グループの損益に影響を与える可能性があります。
製造上やその他の不具合に対し、製品の種類や販売地域及びその他の要因ごとに定められた期間又は一定の使用条件に応じて製品保証を行っており、期末日現在において将来の費用発生の可能性が高く、その金額を合理的に見積もることができる場合に、製品保証引当金を計上しています。将来の発生費用は、主に過去の無償工事実績及び補修費用に関する現状に基づいて見積っています。当連結会計年度末における製品保証引当金の残高は、57,962百万円です。
経営者は、発生費用の見積り額を妥当なものと考えていますが、将来の状況の変化によって見積りと実績が乖離した場合は、三菱電機グループの損益に影響を与える可能性があります。
③有形固定資産の回収可能価額
有形固定資産は、減損の兆候の有無を判断しており、減損の兆候が存在する場合は、減損テストを実施しています。
資産又は資金生成単位の見積回収可能価額は、使用価値と処分コスト控除後の公正価値のうちいずれか大きい方の金額としています。使用価値の算定における見積将来キャッシュ・フローは、貨幣の時間的価値及び当該資産に固有のリスクを反映した税引前割引率を用いて現在価値に割り引いています。資産又は資金生成単位の帳簿価額が見積回収可能価額を超過する場合には、当期の純損益において減損損失を認識しています。
経営者は、使用価値の算定における見積将来キャッシュ・フロー及び処分コスト控除後の公正価値の見積りはいずれも妥当なものと考えていますが、三菱電機グループのビジネスや前提条件の変化等によって見積りが変更となることにより資産又は資金生成単位の見積回収可能価額が変動し、結果として、将来において有形固定資産の減損損失の認識に影響を与える可能性があります。
これらの前提条件を用いた見積りは、合理的であると判断していますが、翌連結会計年度において、経済環境の変化等により、見直しが必要となった場合、減損損失の計上が必要となる可能性があります。
④のれん及び無形資産の回収可能価額
耐用年数を確定できる無形資産は、減損の兆候の有無を判断しており、減損の兆候が存在する場合は、減損テストを実施しています。のれん及び耐用年数を確定できない無形資産については少なくとも1年に一度、同時期に減損テストを実施しています。
重要なのれんはライフ部門に含まれる空調・家電事業及びビルシステム事業に配分されたのれんであり、減損テストの回収可能価額は、主として経営者が承認した今後5年度分の事業計画及び成長率を基礎としたキャッシュ・フローの見積り額を現在価値に割り引いた使用価値で算定しています。割引率は、税引前の加重平均資本コストを基に算定しており、当連結会計年度における主要な割引率は、9.5%~14.0%です。成長率は、のれんが配分されている資金生成単位グループが属する市場の長期期待成長率を参考に算定しており、当連結会計年度における主要な成長率は0.8%~2.0%です。
経営者は、事業計画や成長率を基礎としたキャッシュ・フローの見積り額や割引率は妥当なものと考えていますが、三菱電機グループのビジネスや前提条件の変化等によってキャッシュ・フローの見積り額や割引率が変更となることにより使用価値が変動し、結果として、将来においてのれん及び無形資産の減損損失の認識に影響を与える可能性があります。
⑤繰延税金資産の回収可能性
繰延税金資産は、将来減算一時差異、未使用の税務上の繰越欠損金及び繰越税額控除のうち、将来課税所得に対して利用できる可能性が高いものに限り認識しています。繰延税金資産は期末日に見直し、税務便益が実現する可能性が高くない場合は、繰延税金資産の計上額を減額しています。
三菱電機グループは繰延税金資産の実現可能性の評価にあたり、繰延税金資産の一部又は全部が実現する可能性が実現しない可能性より高いかどうかを考慮しています。繰延税金資産の実現は、最終的には将来減算一時差異、未使用の税務上の繰越欠損金及び繰越税額控除が減算可能な期間における将来課税所得によって決定されます。その評価にあたり、予定される繰延税金負債の戻入、予測される将来課税所得及び税務戦略を考慮しています。
経営者は、当連結会計年度末の認識可能と判断された繰延税金資産が実現する蓋然性は高いと考えていますが、繰延期間における将来の見積課税所得が減少した場合には、実現する可能性が高いと考えられる繰延税金資産は減少することとなります。
⑥確定給付制度債務の測定
三菱電機グループは、従業員を対象とする従業員非拠出制及び拠出制の確定給付型退職給付制度を採用しています。従業員の確定給付制度債務は、割引率、退職率、一時金選択率や死亡率など年金数理計算上の基礎率に基づき算定しています。確定給付制度債務の現在価値及び制度資産の公正価値の再測定による変動は、発生した期においてその他の包括利益として一括認識し、直ちに利益剰余金に振り替えています。
割引率は、将来の毎年度の給付支払見込日までの期間を基に割引期間を設定し、割引期間に対応した期末日時点の優良社債の市場利回りに基づき算定しており、当連結会計年度末の割引率は1.2%です。
経営者は、年金数理計算上の基礎率の算定は妥当なものと考えていますが、実績との差異又は基礎率自体の変更により、確定給付制度債務の金額に影響を与える可能性があります。
⑦金融商品の公正価値
三菱電機グループは、主に取引関係維持・強化を目的として保有している資本性金融商品をその他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産に指定しています。このうち非上場株式の公正価値については、投資先の純資産等に関する定量的な情報及び投資先の将来キャッシュ・フローに関する予想等を総合的に勘案して算定しています。
経営者は、公正価値の見積りは妥当なものと考えていますが、投資先の業績や将来キャッシュ・フロー等の見積りの前提条件が変動した場合は、三菱電機グループのその他の包括利益の金額に影響を与える可能性があります。
(技術供与契約)
|
相手方の名称 |
契約の内容 |
契約締結日 |
期限 |
|
Access Advance LLC |
動画圧縮技術規格必須特許実施許諾(HEVC) |
2016. 5.23 |
許諾特許最終消滅日まで |
|
三菱電機コンシューマー・ プロダクツ(タイ)社 |
ルームエアコン・パッケージエアコン 製造技術使用許諾 |
1990. 6. 1 |
自動延長 |
|
上海三菱電機・ 上菱空調機電器有限公司 |
ルームエアコン・パッケージエアコン・ 換気扇の製造技術使用許諾 |
2010. 6.25 |
2025.12.27 |
|
三菱電機 エア・コンディショニング・ システムズ・ヨーロッパ社 |
空調機の製造技術使用許諾 |
2005.10. 1 |
自動延長 |
|
サイアム・コンプレッサー・ インダストリー社 |
空調用圧縮機の製造技術使用許諾 |
2002. 4. 1 |
自動延長 |
|
PIMS, S.A. de C.V. |
パッケージエアコン製造技術使用許諾 |
2013.10. 1 |
自動延長 |
|
三菱電機(広州)圧縮機有限公司 |
空調用圧縮機の製造技術使用許諾 |
2011.12.28 |
2024.12.31 |
|
三菱電機自動化機器製造(常熟) 有限公司 |
サーボモーター製造技術使用許諾 |
2023. 1. 1 |
2033.12.31 |
|
三菱電機自動化機器製造(常熟) 有限公司 |
サーボアンプ製造技術使用許諾 |
2023. 1. 1 |
2033.12.31 |
(注) 1 上記契約は、すべて当社を契約会社としています。
2 上記契約に基づく報償料は、売上に応じた金額を受領します。一部の契約については所定金額を受領します。
当社は、サステナビリティの実現に向け、「循環型 デジタル・エンジニアリング企業」としてグループ内外の知見を融合したソリューションの提供を目指し、研究開発を推進します。
事業競争力を生み出すコア技術を強化するとともに、機器・システム・サービスの機能・性能・品質・信頼性を支える基盤技術の深化を図り、ゲームチェンジなど将来に備えた新技術の探索・創出をバランス良く推進します。また、大学など社外研究機関と積極的に連携し、開発加速と価値創出に取り組み、多様化する社会課題の解決に貢献します。
当連結会計年度における三菱電機グループ全体の研究開発費の総額は
(1) インフラ
交通システム、ネットワークソリューション機器、発電機・電動機などの回転機、脱炭素に貢献する高効率な送変電機器や受配電機器、監視制御システム、電力情報システム、宇宙関連システム、及びこれらを組み合わせたソリューション(E&Fソリューション)の開発を行っています。当該分野における研究開発費は
① 被災状況把握システム「ヘリサット浸水域把握機能」
河川氾濫等の現場に派遣されたヘリコプターから衛星を中継して送った被災地の映像情報で、浸水域の面積・深さ・水量の計測や段彩図の作成が可能なヘリサット浸水域把握機能を開発しました。大規模な浸水が発生した際に、浸水被害を安全かつ定量的に把握することで、排水ポンプ車の配置計画や派遣など、迅速な救難・復旧活動を支援します。
② 三菱ネットワークカメラ「MELOOK AI」シリーズ
ネットワークカメラ・システムの新製品として、カメラ内部にAIプロセッサーを搭載することでAIによる映像解析をカメラ本体のみで実現した「MELOOK AI (メルック エーアイ)」シリーズを開発しました。映像解析サーバーを使用せずに人物・車両の動きや数、混雑状況等の検知を実現し、監視業務の省力化、システム全体の低コスト化に貢献します。
③ HVDC*1システム
自社製の高性能パワー半導体を用いた小型で低損失な自励式HVDCシステムについて、基本性能検証を完了しました。また、開発力のさらなる強化を図るため、直流遮断器において世界最高レベルの技術を有するスウェーデンScibreak社を買収しました。HVDCシステムにより、太陽光・風力発電等の直流電力を低損失で送電し、再生可能エネルギーのさらなる普及を通じたカーボンニュートラルの実現に貢献します。
④ 宇宙空間において3Dプリンターで人工衛星アンテナを製造する技術
太陽光と紫外線硬化樹脂を利用して宇宙空間でアンテナを製造する技術を開発しました。打上げ時に折りたたんでいたアンテナを宇宙空間で広げる際に必要となっていた構造体が不要となります。小さなロケットで開口の大きなアンテナを実現できるため、人工衛星の軽量化や打ち上げコストの低減に貢献します。
(2) インダストリー・モビリティ
FAシステム、サーボモーターなどの駆動機器、配電制御機器、メカトロ機器、産業用ロボット、電動パワーステアリングなどの自動車用電装品、予防安全(自動運転)システム、ADAS*2などの競争力強化に向けた開発を行っています。当該分野における研究開発費は
① データサイエンスツール「MELSOFT MaiLab」
専門知識が無くても生産現場のデータを自動で分析・診断できるデータサイエンスツールを開発しました。簡単な操作で、深層学習などのAI技術や統計的手法を取り入れて、熟練者の判断を自動学習することができます。自動学習後の分析・診断の結果を生産現場に適用することで、これまで熟練者の経験に頼ってきた生産現場の改善への取組みを自動化し、さらなる生産性の向上に貢献します。
② ワイヤ・レーザ金属3Dプリンタ「AZ600」
溶接用ワイヤをレーザで溶融し、三次元構造を高品質に造形するワイヤ・レーザ金属3Dプリンタ「AZ600」を開発しました。世界初*3の空間同時5軸制御と加工条件を協調制御するデジタル造形技術により、高品質・高精度な三次元造形を実現しました。また、ニアネットシェイプ*4加工を部品加工に適用し、加工時間短縮による省エネルギー化と廃棄材料の削減の両立を実現し、環境負荷に配慮した、脱炭素時代のモノづくりに貢献します。
なお、本件は2022年2月24日付で公表いたしましたが、主な業績への貢献は当連結会計年度であるため、本欄に記載しています。
③ ADAS制御機能とボディ制御機能を統合したECU*5
ADAS制御機能とボディ制御機能を1つのECUに統合した際の課題である筐体サイズの維持と放熱対策を両立させたADAS-ECUを開発・量産化しました。今後も路車間・車車間通信との連携や車室内センサーの活用等、より高度な自動運転レベルに対応した製品開発を進めることで安全で快適な交通社会の実現に貢献します。
(3) ライフ
昇降機、ビル管理システム、空調機器、調理家電、家事家電、照明機器、電材住設機器などの開発を行っています。当該分野における研究開発費は
① 三菱エレベーターのリニューアル工事メニュー「Elemotion+[STEP]」
一定期間に連続して行う従来のリニューアル工事とは異なり、段階的な工事を可能にするために、新旧電気系統機器の制御を同時に行うハイブリッド制御盤を開発しました。ビル・マンションのオーナーの個別の事情やニーズ等に合わせて工事契約を複数回に分割することを実現しました。これにより、利用者の建物内の移動の利便性を保ちながら、お客様のさまざまなニーズに応えるリニューアル商品のラインアップを拡充し、より多くのビルの安心・安全・快適な環境の維持・向上に貢献します。
② 「エモコテック*6」を搭載した三菱ルームエアコン霧ヶ峰「Zシリーズ」の開発
バイタルセンサー「エモコアイ*7」を富士通コンポーネント株式会社、株式会社カレアコーポレーションと共同で開発しました。このセンサーは、世界で初めて*8非接触で人の脈波から感情を推定するもので、従来の赤外線センサー「ムーブアイmirA.I.+(ミライプラス)」と組み合わせることにより、ルームエアコン「霧ヶ峰」の新製品では世界で初めて*9気持ちに合わせて空気を整える「エモコテック」を実現しました。これにより、生活者のウェルビーイング実現に貢献します。
③ ボーイング787向け複合材主翼の工程廃材の当社家電部品へのリサイクル利用
三菱重工業株式会社と共同で、ボーイング社の中型ジェット旅客機「787」向け複合材主翼の工程廃材である炭素繊維複合材料を家電部品へ適用するリサイクル技術を開発し、コードレス掃除機「iNSTICK ZUBAQ」シリーズのパイプ部分とハンドル部分へ再利用しました。今後、リサイクル材の有効活用に向けた協業により、家電製品だけでなく、さまざまな用途で再利用を進め、温室効果ガス排出削減とカーボンニュートラル社会の実現に貢献します。
(4) ビジネスプラットフォーム
デジタル変革を牽引する情報技術、様々な事業分野を支える半導体デバイスなどの開発を行っています。当該分野における研究開発費は
① GHG排出量データ一元管理ソリューション「cocono*10(ココノ)」
企業が各拠点や各製品のGHG排出量を効率的に収集・管理するための基盤として、GHG排出量データ一元管理ソリューション「cocono」を開発しました。GHGプロトコル対応データを収集して専用ダッシュボードで可視化することで、GHG削減に向けた多角的な分析を可能とし、GHG 排出量削減に貢献します。
② 高性能パワー半導体モジュール
脱炭素社会に向けたキーデバイスとして、「高耐電圧4.5kV・定格電流450A HVIGBT*11モジュール Xシリーズ dualタイプ HV100」と「SLIMDIP-Z」シリーズを開発しました。
「高耐電圧4.5kV・定格電流450A HVIGBTモジュール Xシリーズ dualタイプ HV100」は、耐電圧4.5kVにおいて業界最大*12の定格電流450Aを実現し、高耐電圧を必要とする大型産業機器向けの多様なインバーターにおいて、さらなる高出力・高効率化、システムの信頼性向上に貢献します。
また「SLIMDIP-Z」シリーズは、独自の最適化を施したSi半導体チップと放熱性の改善により、従来製品*13比で同パッケージサイズを維持しながら、最大定格電流を30Aに拡大しました。今後、家電製品や産業用モーターのインバーターへの採用により、設計簡素化、小型化、低コスト化に貢献します。
③ 次世代高速光ファイバー通信用デバイス
光トランシーバー*14用の半導体レーザーダイオードチップとして、「200Gbps(112Gbaud*15 PAM4*16)EML*17チップ」を開発しました。EMLチップの高性能化と当社独自の構造により、200Gbpsの高速動作を実現。CWDM*18に対応した4チップを搭載することで800Gbps、波長拡大により8チップ搭載することで1.6Tbpsの通信が可能となり、動画配信サービスの普及などで通信量が爆発的に増加しているデータセンターの高速大容量化に貢献します。
(5) その他・共通(新技術・基盤技術)
社会課題解決、新たな価値の創出・提供に向け、新技術・基盤技術の研究開発を推進しています。当該分野における研究開発費は
① 学習モデルを自動設計しコンパクト化する「量子機械学習*19技術」
学習モデルを自動設計して最適化することで計算規模をコンパクト化する量子機械学習技術を開発しました。今回開発した量子機械学習技術では、古典機械学習*20と組み合わせて協調的に学習することで、限られた学習データでも計算時間の大幅な短縮が可能となります。また世界で初めて*21、非破壊テラヘルツ*22検査、無線室内モニタリング、圧縮センシング、生体信号処理などの複数の分野で高性能化に寄与することを確認しました。今後、量子機械学習技術の開発を進め、FA、空調、ビルシステム、モビリティなどの幅広い産業分野への活用を目指します。
② 隠れたものをミリメートル精度で可視化する断層イメージング技術
300GHz帯のテラヘルツ波を用いて、一方向から一回の照射により任意の深さで対象物の断層イメージングを行う業界初*23の技術を開発しました。移動する物体の撮像が可能となり、また、スキャン装置の小型化も実現できることから、ウォークスルー型のセキュリティーゲートや、ベルトコンベアなどで流れてくる生産ライン上での非破壊検査など、さまざまな場所への導入が可能となります。今後実用化に向けた研究開発を進め、安心で安全な社会の実現に貢献します。
③ 業界最高クラス*24の高効率電力変換を実現する「DC*25マルチ電圧システム」
DC 750V以下の中低圧直流配電システム向け電力変換器として「DCマルチ電圧システム」を開発しました。パワー半導体素子にSiC*26を適用することで業界最高クラスの電力変換効率を実現しました。従来比*27で電力変換器の電力損失を45%低減するとともに、変換器盤の体積を20%、質量を36%低減できます。また新しい回路方式である「マルチ電圧給電回路」により、設備機器への供給電圧を最適化し、既存の交流配電システムと比較して受配電損失を20%低減できます。設置場所の省スペース化とともに温室効果ガス排出量の削減に貢献します。
④ 「SOPIPM*28」の鉛フリー化技術
モーター駆動に用いられるIPMにおいて、基板実装が容易な表面実装パッケージと焼結銀含有接合材を採用したSOPIPMを開発しました。材料供給・チップ搭載、焼結・硬化の各プロセス条件を適正化し、ダイボンド*29材を鉛フリー化することで信頼性とより高い放熱性を実現し、省エネ社会に貢献します。
*1 High Voltage Direct Currentの略:高電圧直流送電
*2 Advanced Driver Assistance Systemの略:先進運転支援システム
*3 2022年2月24日現在(当社調べ)
*4 最終形状に近い状態に仕上げること
*5 Electronic Control Unitの略:システムを電子回路を用いて制御する装置
*6 Emotion Conditioning Technologyを略した当社造語
*7 Emotion Conditioning Eyeを略した当社造語
*8 2022年9月6日現在、電子機器センサーの分野において(当社調べ)。
*9 2022年11月1日現在、家庭用エアコンにおいて(当社調べ)。
*10 「cocono」は、三菱電機インフォメーションシステムズ㈱の登録商標です
*11 High Voltage Insulated Gate Bipolar Transistor:高耐圧絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ
*12 2023年4月25日現在、耐電圧4.5kVのSi IGBTモジュールにおいて(当社調べ)。
*13 最大定格電流20Aの「SLIMDIP-X」と比較して
*14 電気信号と光信号を相互に変換する電子部品
*15 baud:1秒間の変調回数を表す単位。112Gbaudの場合1秒間に1120億回変調する
*16 4-level pulse-amplitude modulationの略:4値パルス振幅変調。従来の「0」と「1」から成る2値のビット列でなく、4値のパルス信号として伝送する方式
*17 Electro-absorption Modulator integrated Laser diodeの略:電界吸収型光変調器を集積した半導体レーザーダイオード
*18 Coarse Wavelength Division Multiplexingの略:光通信における波長多重化通信技術の一つで、20nm間隔の複数波長の信号を1本の光ファイバーで伝送する方式。今回は1271、1291、1311、1331nmの4波長を採用
*19 量子力学的な現象である「重ね合わせ」の状態を利用することで高度な処理能力を発揮する量子コンピューターを用いて行う機械学習
*20 現在普及しているコンピューター上で動作するように設計された機械学習
*21 2022年12月2日現在(当社調べ)
*22 光と電波の中間の周波数領域にある、0.1~10テラヘルツ近傍の電磁波
*23 2023年3月29日現在(当社調べ)
*24 2022年11月17日現在(当社調べ)
*25 Direct Currentの略:直流
*26 Silicon Carbideの略:炭化ケイ素
*27 当社製の中低圧直流配電システム向け電力変換器と比較した場合
*28 Surface-mount Package Intelligent Power Moduleの略:表面実装パッケージ型インテリジェントパワーモジュール
*29 ダイボンド:分割された素子をリードフレームや多層基板のチップ搭載部分に接着剤を用いて固定するプロセス