(1)経営方針
[経営理念]
富士電機は、地球社会の良き企業市民として、
地域、顧客、パートナーとの信頼関係を深め、誠実にその使命を果たします。
●豊かさへの貢献
●創造への挑戦
●自然との調和
[経営方針]
1.エネルギー・環境技術の革新により、安全・安心で持続可能な社会の実現に貢献します。
2.グローバルで事業を拡大し、成長する企業を目指します。
3.多様な人材の意欲を尊重し、チームで総合力を発揮します。
(注)本有価証券報告書における「富士電機」の表現は、当社並びに子会社及び関連会社から成る企業集団を指します。
(2)経営環境及び優先的に対処すべき課題
当社を取り巻く環境は、カーボンニュートラルやデジタル化に向けた投資が拡大する一方、原材料価格や動力費の高騰が継続するとともに、世界的な景気減速などにより先行き不透明な状況が継続しています。
こうした環境の中で、2023年度を最終年度とする5ヵ年の中期経営計画「令和.Prosperity2023」において、当社は主要指標である売上高1兆円、営業利益率8%以上を2022年度までに達成しました。
今年度も2023年度中期経営計画で掲げるパワエレ事業、パワー半導体事業の拡大を中核とする「成長戦略の推進」、グローバルでのものつくり力強化による「収益力の更なる強化」、及び、環境、人財、ガバナンスを中心とした「経営基盤の継続的な強化」を推進するとともに、外部環境変化への適応力を一層強化し、売上・利益の拡大を目指します。同時に、2024年度から始まる3ヵ年の中期経営計画を策定します。
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2022年度 実績 |
2023年度 経営計画 |
増減 |
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売上高 |
10,094億円 |
10,500億円 |
+406億円 |
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営業利益 |
889億円 |
940億円 |
+51億円 |
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営業利益率 |
8.8% |
9.0% |
+0.2pt |
1.2023年度経営計画
●成長戦略の推進
2023年度の各事業の重点施策は以下のとおりです。
〔パワエレ〕
プラットフォーム化の推進による新製品の早期投入、豊富な商材を組み合わせたソリューション提案の拡大、エンジニアリング力の強化に取り組むとともに、協業の推進によりグローバルで売上拡大を図ります。
鉄鋼・化学などの素材プラントや鉄道などの分野における老朽化した設備の事故やトラブルを未然に防ぐ設備劣化診断、設備保全業務全般の効率化等により、安定した収益に貢献するサービス事業の拡大を図ります。
また、昨今、設備投資が拡大してきたデータセンターや半導体メーカーなどの新しい顧客における保守・更新需要を取り込むことで更なる収益性の改善を図ります。
海外事業では地産地消を基本として、地域のニーズに即したグローバル商材の充実と拡販を図ります。東南アジア、インドを中心にデータセンターや再生可能エネルギー、素材プラント、社会インフラなどの分野で売上拡大を図ります。
〔半導体〕
拡大するパワー半導体の需要に対し、柔軟かつ最適な生産対応により、収益の拡大を図ります。
世界的な電動車需要の拡大に対し、生産能力増強投資を着実に実行するとともに、SiCをはじめとする新製品の開発及び量産体制の構築を推進します。
〔発電プラント〕
再生可能エネルギーとサービスを主軸としたポートフォリオ変革を引き続き推進します。
太陽光発電や風力発電など気象条件で出力が変動する再生可能エネルギーが拡大するなか、エネルギーの安定供給に寄与するソリューションを強みとして受注拡大を図ります。
〔食品流通〕
環境対応や省エネ・省人などの顧客ニーズの高まりに対し、自動化技術、冷熱技術等をはじめとする当社の総合力を生かした高付加価値商材の開発、新規顧客への販路開拓、徹底した原価低減を進め、収益力の強化を図ります。
●収益力の更なる強化
〔サプライチェーンマネジメントの強化〕
地政学リスクやサプライチェーンの混乱影響の極小化に向け、引き続き地産地消を基本として、資材調達における複数社、複数地域のマルチソース化を図り、グローバルで収益力を強化します。
〔ものつくりのデジタル改革〕
デジタル・AI技術の適用拡大によるものつくり改革と人財育成によるDXを推進します。
販売情報と設計、製造、試験まであらゆる工程のデジタル連携を進め、生産性と品質の徹底強化に取り組みます。
2.次期中期経営計画の策定
カーボンニュートラルやデジタル化の進展など社会が大きく変化するなか、あらためて当社の存在意義を見定め、2030年度の目指す姿を描き、2024年度から始まる3ヵ年の中期経営計画を新たに策定します。
クリーンエネルギーの創出、エネルギーの安定供給、省エネ・自動化、電化など、エネルギーの供給サイドから需要サイドまで幅広くカバーする当社のエネルギー・環境事業の総合力の特長を生かし、新たなニーズに向けた研究開発を加速させ、事業機会を獲得していくとともに、安全・安心で持続可能な社会の実現に向けた取り組みを加速します。
3.ESGを中心とする経営基盤の継続的な強化
中長期的な経営基盤の強化に向け、環境・人財・ガバナンスの重要課題に対し、グローバルに活動を継続します。
環境では、長期的方向性を示す「環境ビジョン2050」をもとに、温室効果ガスの着実な削減に向け環境投資を継続するとともに、お取引先様を含むサプライチェーン全体でカーボンニュートラルを目指します。また、製品のライ
フサイクルを通じて環境負荷の低減を目指した製品づくりに取り組みます。
人財では、「人への投資」に積極的、継続的に取り組みます。人財獲得、グローバル・経営人財の育成、女性やシニア層など多様な人財の活躍、障がい者の職域拡大を推進します。
また、社員意識調査の分析を働く環境の改善に生かすとともに、ワーク・ライフ・バランスの一層の向上、並びに育児・介護の支援等、諸制度の活用、改善に取り組みます。
ガバナンスについては、経営リスクが多様化するなかで、取締役会の実効性向上に取り組むとともに、コンプライアンスの強化、リスク対応力の強化に取り組みます。
(3)2023年度中期経営計画の経営目標(連結)
当社は、創立100周年となる2023年度を最終年度とした5ヵ年中期経営計画「令和.Prosperity2023」を策定し、「持続的成長企業としての基盤確立」を基本方針に掲げ、「成長戦略の推進」、「収益力の更なる強化」、「経営基盤の継続的な強化」の重要課題に取り組んでいます。
本中期経営計画の経営目標(連結)は、次のとおりです。
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2023年度 中期経営計画 |
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売上高 |
10,000億円 |
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営業利益 |
800億円 |
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営業利益率 |
8.0% |
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親会社株主に帰属する当期純利益 |
550億円 |
※前提為替レート:1US$=105円、1EURO=123円、1人民元=16円
(注)上記のうち、将来の経営目標等に関する記載は、本有価証券報告書の当連結会計年度末現在において当社が合理的と判断した一定の前提に基づいたものであります。これらの記載は、実際の結果とは実質的に異なる可能性があり、当社はこれらの記載のうち、いかなる内容についても、確実性を保証するものではありません。
富士電機のサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであります。
(1)ガバナンス
富士電機は、「
環境、人権・人財活躍推進、持続可能なサプライチェーンの課題については、SDGs推進委員会において、半期に1回、方針・施策の審議、推進管理、評価、取締役会への報告を行います。また、コンプライアンスについては、遵法推進委員会において、半期に1回、コンプライアンス・プログラムの実施状況及び計画の審議を行い、審議内容を、年1回、取締役会に報告します。その他の課題については、各委員会において、方針・施策を審議し推進しています。
サステナビリティ課題の取組推進体制
(2)戦略
サステナビリティに係る経営の重要課題(マテリアリティ)を「持続可能な社会の実現に貢献するエネルギー・環境事業の推進」並びに、環境、人権・人財活躍推進、持続可能なサプライチェーン、ガバナンス、コンプライアンス、リスクマネジメント、事業継続マネジメント等の「経営基盤強化に向けたESG重要課題の推進」と定め、SDGsの発展、脱炭素社会の実現に向けて、グローバルに活動を推進しております。
なお、取り組み状況の詳細は、ホームページ及び統合報告書で開示しております。
ESGサイト:https://www.fujielectric.co.jp/about/csr/index.html
統合報告書(富士電機レポート):https://www.fujielectric.co.jp/about/ir/library/index09.html
経営の重要課題(マテリアリティ)
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分野 |
重要課題 |
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事業 |
エネルギー・環境事業の推進 |
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環境 |
環境ビジョン2050の推進 |
脱炭素社会の実現 |
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循環型社会の実現 |
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自然共生社会の実現 |
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社会 |
人権尊重 |
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多様な人財の活躍 |
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持続可能な社会を支えるサプライチェーン構築 |
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ガバナンス |
コーポレート・ガバナンスの実効性向上 |
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コンプライアンスの推進 |
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リスクマネジメントの強化 |
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■ 気候変動関連
気候変動関連については、1992年に環境保護基本方針を制定・開示し、以降環境問題を経営の重要課題として位置づけ課題解決に取り組んでいます。
環境保護基本方針は、地球環境保護に貢献する製品・技術の提供、製品ライフサイクルにおける環境負荷の低減、事業活動での環境負荷の削減、法規制・基準の遵守、環境マネジメントシステムの確立と継続的改善、従業員の意識向上と社会貢献、コミュニケーションの推進で構成し、社長COOがコミットしています。
本方針は、ホームページで開示しております。
https://www.fujielectric.co.jp/about/csr/global_environment/protection_policy.html
2019年度には中長期的な環境活動の道標である「環境ビジョン2050」を制定し、一貫して事業活動に伴う環境負荷低減とCO2削減に貢献する製品・技術の提供に取り組んでいます。
2022年3月には世界的なカーボンニュートラルに向けた動きや日本政府の「脱炭素」目標等を踏まえ、「環境ビジョン2050」を見直しました。2050年にサプライチェーン全体でカーボンニュートラルを目指すことを掲げ、2030年には生産時の温室効果ガス排出量46%超削減を目標として定め、具体的な取り組みに着手しています。
環境ビジョン2050
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富士電機の革新的クリーンエネルギー技術・省エネ製品の普及拡大を通じ 「脱炭素社会」「循環型社会」「自然共生社会」の実現を目指します |
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脱炭素社会の実現 |
サプライチェーン全体でカーボンニュートラルを目指します |
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循環型社会の実現 |
環境負荷ゼロを目指すグリーンサプライチェーンの構築と3Rを推進します |
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自然共生社会の実現 |
企業活動により生物多様性に貢献し生態系への影響ゼロを目指します |
2020年6月にはTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言への賛同を表明しております。2022年度は、2022年3月に開示した気候変動に起因する「リスク・機会」と「適応策」をもとに、サプライチェーン全体でのリスク・機会の分析を行うとともに、重要なリスクが当社に与える影響を評価しました。
なお、取り組み状況の詳細は、ホームページ及び統合報告書で開示しております。
ESGサイト:https://www.fujielectric.co.jp/about/csr/index.html
統合報告書(富士電機レポート):https://www.fujielectric.co.jp/about/ir/library/index09.html
■ 人的資本
企業行動基準において、「富士電機とその社員は、企業活動にかかわるすべての人との関係において、人権を尊重します。加えて、多様な人財の活躍を推進し、一人ひとりが働きがいを持って、健康と安全に配慮した職場づくりに取り組みます。」と定めており、①「世界人権宣言」など人権に関する国際規範及び、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」を踏まえ、人権に関する悪影響を事前に認識し、防止し、対処するために人権デュー・デリジェンス、②多様な人財の就労や活躍を可能にする人事・処遇制度の構築及び、社員一人ひとりの成長とチームの総合力の発揮を実現する人財育成の強化、③社員の健康と安全を最優先し、効率的で働きやすい職場環境づくりに積極的に取り組んでおります。
(3)指標及び目標
上記「(2)戦略」において記載した「経営基盤強化に向けたESG重要課題の推進」の取り組みの方向性を明確にし、的確な進捗管理を可能とするための、具体的な指標・目標を設定し、ESGの取り組みを着実に実行しております。
なお、「経営基盤強化に向けたESG重要課題の推進」に関する指標・目標と実績の詳細は、ホームページ及び統合報告書で開示しております。
ESGサイト:https://www.fujielectric.co.jp/about/csr/index.html
統合報告書(富士電機レポート):https://www.fujielectric.co.jp/about/ir/library/index09.html
■ 気候変動関連
2050年にサプライチェーン全体でカーボンニュートラルを目指すことを掲げ、2030年度にはサプライチェーン全体の温室効果ガス排出量削減46%超削減、生産時の温室効果ガス排出量46%超削減、製品による社会のCO2排出量削減5,900万トン超/年、を目標として定め、具体的な取り組みに着手しています。
環境ビジョン2050・2030年度目標と進捗
※赤枠は、「環境ビジョン2050」の2030年度目標
■ 人的資本
人的資本に関する取組に関する指標としては、毎年実施している社員意識調査における代表設問の回答結果を用いております。
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指標 |
目標 |
実績 |
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社員意識調査 代表設問回答結果 |
健全と評価できるレベルの 3.5pt以上を維持 |
3.8pt |
※総合的な会社満足度を示す代表設問「富士電機で働いていることに満足している」に対する回答の平均値(1~5ptの5段階評価、点数が高い方が肯定的)
※調査対象範囲は当社及び国内外連結子会社(富士古河E&C㈱を除く)
(人的資本に関する2022年度の主な取組)
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① 人権尊重 |
・人権啓発活動の推進(研修の充実、課題職場への指導等) ・人権デュー・デリジェンスの実施 |
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② 多様な人財の活躍 |
・経営人財の育成強化 - 選抜研修 - ライン後継者計画制度 ・女性の活躍推進 (注)1 - 女性採用比率21% - 女性役職者数316名(2023年度目標400名) ・シニア社員の活躍推進 (注)1 - 選択定年延長制度選択率82.1% ・障がい者の職域拡大 (注)2 - 障がい者雇用率2.95% |
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③ 働きやすい職場づくり |
・育児休職制度の柔軟化 ・フリーアドレス職場の拡充 |
(注)1. 当社ならびに当社と同一の人事制度を採用する子会社(6社)
(注)2. 特例子会社制度によるグループ適用会社(6社)
(4)リスク管理
「
同規程に定めるリスク管理プロセス(PDCAサイクル)は以下のとおりです。
なお、富士電機の経営成績及び財務状況に影響を及ぼす可能性のある主要なリスクは、「
富士電機は、事業等のリスクに関し、組織的・体系的に管理し、適切な対応を図って、影響の極小化に努めております。現在、富士電機の経営成績及び財務状況に影響を及ぼす可能性のある主要なリスクには以下のものがあります。なお、将来に関する事項につきましては、本有価証券報告書提出日(2023年6月27日)現在において、当社が判断したものであります。
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リスク項目 |
リスク内容 |
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1 |
経営戦略 事業戦略 事業環境 |
・富士電機は、成長が見込める事業に対し迅速に経営資源を集中させ、事業の拡大・発展を目指し、設備投資、研究開発投資を行っています。多額の資金を必要とする半導体の設備投資については、顧客との物量・価格面での交渉をもとに設備投資の判断を行うとともに、研究開発投資については、事業戦略との整合性や事業への貢献度を重視し、ロードマップに基づき、富士電機の将来を支える基盤・先端技術の研究開発を進め、主要な開発テーマは定期的に経営陣にて審議するとともに、市場の変化に応じてロードマップを随時見直しています。しかし、半導体分野の製品サイクルは短く、また製品需給の変動や競争が激しいことから、投資を回収できない可能性があり、そうした場合には、富士電機の業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
・富士電機は、エネルギー・環境事業を通じ持続可能な社会の実現に貢献して行くとともに、地球環境保護への取り組みを経営の重要課題と位置付け、サプライチェーン全体で脱炭素社会、循環型社会、自然共生社会の実現を目指す「環境ビジョン2050」を推し進めています。また、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)に賛同表明し、長期的な視点に立った気候変動によるリスク分析を行っています。しかし、パリ協定等の環境規制の強化や、ESG評価機関からの取り組み評価により、富士電機の一部事業(石炭火力発電事業)への批判が強まった場合は、富士電機の評判や業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
・富士電機は、世界各地に事業拠点を展開し、各地域の市場・顧客に向けて製品・サービスを提供しています。各国における感染症等の拡大に伴う経済活動の制限は、営業活動の制約や工場の稼働停止、現地工事の出張規制等、富士電機の事業活動にさまざまな影響を及ぼしており、こうした制限が強化された場合には、事業活動への影響が更に拡大することが懸念され、富士電機の業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。 |
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2 |
コーポレート・ガバナンス |
・4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1)コーポレート・ガバナンスの概要に記載の通り、富士電機は、平時より経営の透明性や監査機能の向上を図ることにより、コーポレート・ガバナンスの強化に取り組んでいますが、予期せぬ事態の発生により、内部統制や監査機能に不備が生じ、コーポレート・ガバナンスが機能不全に陥った場合は、経営に混乱をきたす等、富士電機の業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。 |
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3 |
事業再編・ 提携・撤退 |
・富士電機は、各事業分野における競争力強化のため第三者とのM&A・合弁・業務提携等の協業に積極的に取り組んでおり、事業戦略、技術、製品及び人事等の統合に向け、経営理念や経営方針、企業行動基準、経営計画や事業戦略等を共有するとともに、経営会議等により緊密なコミュニケーションを図ること等により、良好な関係構築に取り組んでいますが、制度、文化面などの相違から十分な成果が得られない場合は、富士電機の業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。 |
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4 |
受注・営業・ 販売促進 |
・富士電機は、国内市場のみならず海外市場への積極的な展開を図っており、特に中国をはじめとしたアジア市場向けの販売拡大に注力しています。富士電機は世界の各市場に営業拠点を展開して顧客動向を把握し、その情報を一元管理して分析と対策の検討を行う等、機会損失を回避する取り組みを行うとともに、海外及び国内の市場動向による業績影響の極小化に向け、コストダウンや総経費の圧縮に努めておりますが、民間設備投資や公共投資をはじめとする各国における市場環境の悪化、各市場における製品需給の急激な変動や競争の激化、及びそれらに伴う価格レベルの大幅な下落があった場合は、富士電機の業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
・富士電機は、パワエレ分野、発電プラント分野等において、大型プラント案件の受注活動を行っており、各案件において適正な利益を確保できるよう、受注時における見積りの精度向上、受注後のプロジェクト管理の強化等に取り組んでおりますが、受注後の予期せぬ仕様変更、工程遅延や自然災害等による採算悪化により、富士電機の業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。 |
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リスク項目 |
リスク内容 |
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5 |
開発・設計 エンジニアリング |
・富士電機は、研究開発を加速するため研究開発体制を整備し、常に市場・顧客のニーズや最新の技術動向を見極めつつ、パワーエレクトロニクス技術やパワー半導体技術を中心に強いコンポーネントとシステムを創出する研究開発、及び要素技術の複合により顧客価値を生むソリューションの研究開発に注力しています。しかし、急速な技術の進歩により他社に優位性を奪われたり、計画どおりに開発が進まずに適切な時機に市場への製品投入ができない可能性があり、そうした場合には、富士電機の業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。 |
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6 |
調達・手配 |
・富士電機は、原材料価格高騰リスクに対して商品スワップ取引を行う等、リスクの軽減に努めていますが、円安を背景とした原材料・部品価格の上昇に加え、新興国の急激な需要増等の情勢変化によっては素材・原材料の需給逼迫が見込まれ、これらの価格が大幅に上昇した場合には、富士電機の業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。 |
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7 |
生産・製造 出荷・物流 据付・引渡 サービス |
・富士電機は、経営会議での営業部門と事業部門の情報共有等により、常に最新の物量動向を把握するとともに、生産性向上や地産地消の推進等で物量変動に対応できる最適な生産管理体制を構築していますが、予期せぬ事態により、製品需要の増(減)など物量動向の変化への対応が遅れた場合には、在庫不足(過剰)を招き、富士電機の業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
・富士電機は、サプライチェーン改革活動に基づく地産・地消での「地域完結型」ものつくりの推進、グローバル調達の推進等に取り組んでおりますが、予期せぬ事態により、ヒト・モノの移動が制限され物流網が寸断された場合、サプライチェーンが機能せず、納期遅延等により富士電機の業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。 |
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8 |
品質保証 |
・富士電機は、生産・販売する製品・サービスについて、品質管理体制を整備し、高い品質水準の確保に努めるとともに、必要な保険に加入しておりますが、予期せぬ事態により品質問題が発生した場合、富士電機の業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。 |
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9 |
人的資源・ 労務 |
・富士電機の事業活動は人材に大きく依存しており、技術・生産・販売・経営管理などの各分野において優秀な人材の確保・育成に向け、グローバル競争力強化につながる「プロフェッショナルな人財の育成」に注力し、積極的に社員の教育・研修を実施するとともに、キャリア採用拡大等により、優秀人材の確保に取り組んでいますが、そうした必要な人材を確保・育成できない場合、富士電機の業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。 |
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10 |
財務・会計 |
・富士電機は、資金調達コストを最小化するべく、社債・CP・短期借入・長期借入の最適ミックスを常に検証し、機動的・安定的な資金調達が可能となるよう取り組んでいますが、金利が想定以上に上昇した場合、有利子負債に対する金利負担の増大を招くことにより、富士電機の業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
・富士電機は、債権の長期滞留調査や取引先の財務状況のモニタリング等、与信管理強化を図ることにより、売上債権の回収促進に取り組んでいますが、経済活動制限や景気低迷等により、取引先の資金繰りが悪化して債権回収不能となった場合、富士電機の業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。 |
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リスク項目 |
リスク内容 |
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11 |
法務・倫理 |
・富士電機は、さまざまな事業分野及び世界の各地域において、各国の法令、規則等の適用を受けて事業活動を行っております。当社は代表取締役が委員長を務める「富士電機遵法推進委員会」において法令遵守の徹底を図るとともに、規制法令毎に社内ルール、監視、監査、教育の各側面において役割・責任を明確としたコンプライアンスプログラム及び内部者通報制度等のコンプライアンス体制を整備しておりますが、法令違反等が発生した場合には、富士電機の社会的信用や業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
・富士電機は、訴訟等の法的紛争に備え、適切なタスクフォースの組成により、必要プロセス(事実調査、是正措置、再発防止、社内処分、開示)を迅速に行う体制を構築しておりますが、予期せぬ多額の賠償を命じられた場合、それらの決定の内容によっては、富士電機の業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
・富士電機は、知的財産権を効果的に守り、他社の権利を尊重した製品・技術の開発を進めておりますが、技術革新のスピードが加速していること、事業活動がグローバルに展開していることから、知的財産権の係争が発生した場合、富士電機の業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。 |
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12 |
政治情勢 社会経済動向 |
・富士電機は、為替変動リスクによる業績への影響を最小限に止めることを目的として、一定の基準に従って為替予約を実施しておりますが、米ドルを中心とした対円為替相場の変動により富士電機の業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
・富士電機は、中国やアジアを中心に多くの海外市場で事業展開しており、地政学リスクの最新情報を常時注視するとともに、想定外のリスクに備え、生産・販売拠点の分散化を図っておりますが、海外の国々で次のような事象が発生した場合は、富士電機の業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。 ○予期しえない法律・規制、不利な影響を及ぼす租税制度の変更 ○不利な政治的要因の発生 ○社会騒乱、テロ、戦争等による社会的混乱 |
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13 |
株主・投資家の動向 |
・富士電機は、財務情報に係る開示や非財務情報の積極的な開示並びに株主・機関投資家とのコミュニケーションを重視するとともに、ディスクロージャーポリシーに則った誠実且つ正確な情報開示を行う等、当社経営への理解を促す取り組みを行っておりますが、株主・投資家の意向と当社経営の意向に齟齬が生じる等により、役員選任議案に反対票を投じられたり、その他当社経営に対する株主提案を受けた場合、経営に混乱をきたす等、富士電機の業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。 |
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14 |
自然災害・ 事故 |
・富士電機は、世界各地に事業拠点を展開しており、災害や事故発生時において製品・サービスの供給を継続し、顧客や社会に対する責任を果たすため、社内に危機管理対応の専門部門を設置し、防火・防災の取り組み、事業継続計画(BCP)の策定及び必要な保険に加入する等、「事業継続力強化」に取り組んでおります。しかし、これら事業拠点において大規模な災害や事故等が発生した場合には、生産設備の破損、操業の中断、製品出荷の遅延等が生じ、富士電機の業績及び財務状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。 |
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15 |
外部からの 攻撃 |
・富士電機は、多様化・高度化するサイバーセキュリティ脅威への対応のため、対策システムの整備及びセキュリティ対応組織(CSIRT/SOC)を設置し、攻撃の監視・制御を実施するとともに、新たな脅威の出現に備え、防御、検知システムの増強、サイバー訓練などの対応力強化を継続的に進めていますが、外部攻撃(サイバーテロ等)により機能不全、情報漏洩等の問題が発生し、社会的信用を失墜させた場合、富士電機の業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。 |
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1)経営成績
当社は、2022年度を中期経営計画「令和.Prosperity2023」(2023年度売上高1兆円、営業利益率8.0%以上)の達成に向けた重要な1年と位置づけ、パワエレ事業、パワー半導体事業の拡大を中核とする「成長戦略の推進」、グローバルでのものつくり力強化による「収益力の更なる強化」、および、ESG(環境、人財、ガバナンス)を中心とした「経営基盤の継続的な強化」を推し進めました。
当連結会計年度における当社を取り巻く市場環境は、カーボンニュートラルに向けた世界各国の取り組みやデジタル化の加速を背景に、自動車の電動化、省エネ、デジタルインフラ等の継続したニーズの高まりにより、製造業やデータセンター等の設備投資が堅調に推移しました。その一方で、中国においては、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う影響等により、設備投資は低調に推移しました。また、エネルギー価格の上昇や素材価格の高騰の他、資材不足、更には為替の急激な変動など、世界のサプライチェーンにおいて、先行きが不透明な状況が継続しました。
当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に比べ10.9%増収の1兆94億47百万円となりました。部門別には、「パワエレ エネルギー」、「パワエレ インダストリー」、「半導体」、「発電プラント」、「食品流通」全ての部門が前連結会計年度を上回りました。国内売上高は、前連結会計年度に比べ9.4%増収の7,173億90百万円となりました。また、海外売上高は、前連結会計年度に比べ14.8%増収の2,920億57百万円となりました。なお、売上高に対する海外売上高の比率は、前連結会計年度に比べ1.0ポイント増加して28.9%となりました。
売上原価は、前連結会計年度に比べ11.4%増加し7,325億28百万円となりました。売上高に対する売上原価の比率は、前連結会計年度に比べ0.3ポイント増加して72.6%となりました。
販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ5.9%増加し1,880億36百万円となりました。売上高に対する販売費及び一般管理費の比率は、前連結会計年度に比べ0.9ポイント減少して18.6%となりました。
営業利益は、素材価格高騰や動力費の影響を受けたものの、物量の増加に加え、製品販売価格の値上げや原価低減の推進、為替影響等により、前連結会計年度に比べ140億47百万円増加し、888億82百万円となりました。売上高に対する営業利益の比率は、前連結会計年度に比べ0.6ポイント増加して8.8%となっております。
営業外収益(費用)は、前連結会計年度の44億62百万円の収益(純額)から、10億70百万円の費用(純額)となり、前連結会計年度に比べ55億32百万円の費用(純額)の増加となりました。これは、前連結会計年度において12億88百万円であった為替差益が当連結会計年度は11億48百万円の差損に転じたこと、事業転換費用が15億99百万円増加したことなどによるものであります。
これらの結果、経常利益は、前連結会計年度に比べ85億14百万円増加し、878億11百万円となりました。
特別利益は、固定資産売却益及び投資有価証券売却益を計上し、111億54百万円となりました。なお、主に固定資産売却益の計上額が増加したことにより、前連結会計年度に比べ6億16百万円増加しております。
特別損失は、固定資産処分損及び投資有価証券評価損、投資有価証券売却損、関係会社整理損失引当金繰入額を計上し、32億20百万円となりました。なお、主に投資有価証券評価損の計上額の増加及び関係会社整理損失引当金繰入額を計上したことにより、前連結会計年度に比べ18億71百万円の増加となりました。
以上により、税金等調整前当期純利益は957億46百万円となり、前連結会計年度に比べ72億59百万円の増加となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、法人税、住民税及び事業税等の税金費用271億12百万円を税金等調整前当期純利益から控除し、更に、非支配株主に帰属する当期純利益72億85百万円を控除した結果、613億48百万円となり、前連結会計年度に比べ26億88百万円の増加となりました。
セグメント別の内容は、次のとおりであります。
■パワエレ エネルギー部門
売上高:2,640億78百万円(前期比 14.3%増加) 営業損益:268億84百万円(前期比 56億67百万円増加)
施設・電源システム分野及び器具分野の需要拡大を主因に、売上高、営業損益ともに前期を上回りました。
・エネルギーマネジメント分野は、前期の産業向け変電機器の大口案件影響等により、売上高、営業損益ともに前期を下回りました。
・施設・電源システム分野は、国内外のデータセンター及び半導体メーカ向け案件の需要が大幅に拡大し、売上高、営業損益ともに前期を上回りました。
・器具分野は、工作機械及び半導体製造装置等の国内を中心としたセットメーカの需要が拡大し、売上高、営業損益ともに前期を上回りました。
なお、当連結会計年度の受注高は1,568億円(富士電機㈱のパワエレ エネルギー部門単独ベース)となっております。
■パワエレ インダストリー部門
売上高:3,534億49百万円(前期比 9.0%増加) 営業損益:248億82百万円(前期比 10億59百万円増加)
オートメーション分野やITソリューション分野の需要増加により、売上高は前期を上回りました。営業損益は、素材価格の高騰や部材調達難による影響はあったものの、ITソリューション分野を中心とした需要増等により、前期を上回りました。
・オートメーション分野は、中国において新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けたものの、その他の地域における需要増加及び為替影響等により、売上高、営業損益ともに前期を上回りました。
・社会ソリューション分野は、船舶向け及び鉄道車両向けの案件が減少し、売上高、営業損益ともに前期を下回りました。
・設備工事分野は、電気設備工事の需要が増加し、売上高、営業損益ともに前期を上回りました。
・ITソリューション分野は、文教及び民需分野の大口案件等の需要増により、売上高、営業損益ともに前期を上回りました。
なお、当連結会計年度の受注高は1,862億円(富士電機㈱のパワエレ インダストリー部門単独ベース)となっております。
■半導体部門
売上高:2,062億28百万円(前期比15.3%増加) 営業損益:321億86百万円(前期比 50億50百万円増加)
・半導体分野は、ディスク媒体事業からの撤退影響があったものの、電動車(xEV)向け及び産業分野向けのパワー半導体の需要拡大及び為替影響により、売上高は前期を上回りました。また、営業損益も、パワー半導体の生産能力増強に係る費用の増加や素材価格及び動力費の高騰影響があったものの、高操業の維持による生産及び売上の増加により、前期を上回りました。
なお、当連結会計年度の受注高は1,741億円(富士電機㈱の半導体部門単独ベース)となっております。
■発電プラント部門
売上高:873億36百万円(前期比 11.2%増加) 営業損益:35億50百万円(前期比 4億26百万円増加)
・発電プラント分野は、再生可能エネルギーの大口案件及び案件差等により、売上高、営業損益ともに前期を上回りました。
なお、当連結会計年度の受注高は730億円(富士電機㈱の発電プラント部門単独ベース)となっております。
■食品流通部門
売上高:952億57百万円(前期比 4.9%増加) 営業損益:43億50百万円(前期比 13億43百万円増加)
・自販機分野は、中国の子会社における貸倒引当金計上等による損益悪化影響があったものの、国内の需要拡大に加え、原価低減の推進等により、売上高、営業損益ともに前期を上回りました。
・店舗流通分野は、前期の金銭機器の大口案件影響により、売上高は前期を下回りましたが、営業損益は原価低減の推進等により、前期を上回りました。
なお、当連結会計年度の受注高は897億円(富士電機㈱の食品流通部門単独ベース)となっております。
■その他部門
売上高:597億89百万円(前期比 9.3%増加) 営業損益:37億49百万円(前期比 9億12百万円増加)
(注)第1四半期連結会計期間より、組織構造の変更に伴い、「パワエレ エネルギー」及び「パワエレ インダストリー」の各報告セグメントにおいて、集約する事業セグメントを変更しております。
なお、前連結会計年度の報告セグメント情報は、変更後の報告セグメントの区分に基づき作成したものを開示しております。
生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。
① 生産実績
富士電機の生産品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その容量、構造、形式等は必ずしも一様ではないため、セグメントごとに生産規模を金額又は数量で示すことはしておりません。
② 受注実績
富士電機の生産・販売品目も広範囲かつ多種多様にわたっており、受注生産形態をとらない製品も多く、セグメントごとに受注規模を金額又は数量で示すことはしておりません。このため受注実績については、「(1) 経営成績」におけるセグメント別の内容に関連付けて示しております。
③ 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前連結会計年度比(%) |
|
パワエレ エネルギー |
264,078 |
114.3 |
|
パワエレ インダストリー |
353,449 |
109.0 |
|
半導体 |
206,228 |
115.3 |
|
発電プラント |
87,336 |
111.2 |
|
食品流通 |
95,257 |
104.9 |
|
その他 |
59,789 |
109.3 |
|
消去 |
△56,692 |
- |
|
合計 |
1,009,447 |
110.9 |
(2)財政状態
当連結会計年度末の総資産額は1兆1,815億52百万円となり、前連結会計年度末に比べ644億40百万円増加しました。
流動資産は7,135億53百万円となり、前連結会計年度末に比べ315億72百万円増加しました。これは、前連結会計年度末に比べ売掛金が187億31百万円、契約資産が119億35百万円、棚卸資産が283億96百万円、それぞれ増加したことなどによるものであります。
固定資産は4,679億46百万円となり、前連結会計年度末に比べ328億88百万円増加しました。このうち、有形固定資産と無形固定資産の合計は3,079億45百万円となり、前連結会計年度末に比べ517億65百万円増加しました。また、投資その他の資産は1,600億1百万円となり、前連結会計年度末に比べ188億77百万円減少しました。これは、前連結会計年度末に比べ投資有価証券が、売却及びその他有価証券の時価評価差額相当分の減少を主因として、178億56百万円減少したことなどによるものであります。
当連結会計年度末の負債合計は6,094億83百万円となり、前連結会計年度末に比べ161億1百万円増加しました。
流動負債は4,468億26百万円となり、前連結会計年度末に比べ598億57百万円増加しました。これは、前連結会計年度末に比べ支払手形及び買掛金が298億44百万円、1年内償還予定の社債が150億円、契約負債が100億6百万円、それぞれ増加したことなどによるものであります。
固定負債は1,626億57百万円となり、前連結会計年度末に比べ437億56百万円減少しました。これは、前連結会計年度末に比べ社債が150億円、長期借入金が376億76百万円、それぞれ減少したことなどによるものであります。
なお、当連結会計年度末の有利子負債残高は1,832億73百万円となり、前連結会計年度末に比べ251億18百万円減少しました。また、同残高の総資産に対する比率は15.5%となり、前連結会計年度末に比べ3.2ポイント減少しました。
当連結会計年度末の純資産合計は5,720億68百万円となり、前連結会計年度末に比べ483億38百万円増加しました。これは、前連結会計年度末に比べ利益剰余金が456億36百万円増加したことなどによるものであります。これらの結果、自己資本比率は43.8%となり、前連結会計年度末に比べ1.5ポイント増加しました。
セグメント別の内容は、次のとおりであります。
■パワエレ エネルギー部門
当連結会計年度末のセグメント資産は2,410億43百万円となり、売掛金、契約資産、棚卸資産の増加を主因として、前連結会計年度末に比べ283億72百万円増加しました。
■パワエレ インダストリー部門
当連結会計年度末のセグメント資産は3,228億28百万円となり、棚卸資産の増加を主因として、前連結会計年度末に比べ125億74百万円増加しました。
■半導体部門
当連結会計年度末のセグメント資産は3,147億4百万円となり、有形固定資産の増加を主因として、前連結会計年度末に比べ475億32百万円増加しました。
■発電プラント部門
当連結会計年度末のセグメント資産は794億30百万円となり、売掛金の減少を主因として、前連結会計年度末に比べ60百万円減少しました。
■食品流通部門
当連結会計年度末のセグメント資産は734億70百万円となり、投資有価証券の減少を主因として、前連結会計年度末に比べ15億77百万円減少しました。
■その他部門
当連結会計年度末のセグメント資産は359億53百万円となり、前連結会計年度末に比べ9億21百万円増加しました。
(3)キャッシュ・フロー
当連結会計年度における連結ベースのフリー・キャッシュ・フロー(「営業活動によるキャッシュ・フロー」+「投資活動によるキャッシュ・フロー」)は、666億65百万円の現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の増加(前連結会計年度は544億58百万円の増加)となり、前連結会計年度に対しては、122億7百万円の資金流入額の増加となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動による資金の増加は1,161億63百万円(前連結会計年度は768億9百万円の増加)となりました。これは、売上債権及び契約資産、棚卸資産が増加した一方で、税金等調整前当期純利益の計上並びに仕入債務が増加したことなどによるものであります。
前連結会計年度に対しては、393億54百万円の資金流入額の増加となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動による資金の減少は494億98百万円(前連結会計年度は223億50百万円の減少)となりました。これは、投資有価証券を売却した一方で、有形固定資産を取得したことなどによるものであります。
前連結会計年度に対しては、271億48百万円の資金流出額の増加となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動による資金の減少は771億93百万円(前連結会計年度は428億94百万円の減少)となりました。これは、主として、長期借入金並びにリース債務の返済によるものであります。
前連結会計年度に対しては、342億99百万円の資金流出額の増加となりました。
当連結会計年度における資本の財源は営業活動によるキャッシュ・フローであり、その主な内訳は、税金等調整前当期純利益957億46百万円、減価償却費459億38百万円、仕入債務の増加によるもの287億11百万円、契約負債の増加によるもの97億48百万円、売上債権及び契約資産の増加によるもの△284億44百万円、棚卸資産の増加によるもの△257億9百万円、法人税等の支払額△231億26百万円、投資有価証券売却損益△99億17百万円、などとなっております。
なお、当社グループは事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としており、設備投資に係る資金については、基本的に、社債、長期借入金及びファイナンス・リースに係るリース債務により調達することとしております。
これらの結果、当連結会計年度末における連結ベースの資金は、前連結会計年度末に比べ71億85百万円(7.9%)減少し、841億65百万円となりました。
(4)経営上の目標の達成状況(連結)
当社は、創立100周年となる2023年度を最終年度とした5ヵ年中期経営計画「令和.Prosperity2023」を策定し、「持続的成長企業としての基盤確立」を基本方針に掲げ、「成長戦略の推進」及び「収益力の更なる強化」、「経営基盤の継続的な強化」に取り組むこととし、経営目標(連結)として、売上高1兆円、営業利益800億円、営業利益率8.0%、親会社株主に帰属する当期純利益550億円を掲げました。
2022年度連結実績においては、中期経営計画で掲げた売上・利益目標を1年前倒しで達成し、次の通りとなっております。
|
|
2023年度 中期経営計画 |
2022年度 実績 |
増減 |
|
売上高 |
10,000億円 |
10,094億円 |
+94億円 |
|
営業利益 |
800億円 |
889億円 |
+89億円 |
|
営業利益率 |
8.0% |
8.8% |
+0.8pt |
|
親会社株主に 帰属する当期純利益 |
550億円 |
613億円 |
+63億円 |
(5)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表を作成するにあたり、当社グループが採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しているとおりであります。連結財務諸表の作成には、資産、負債、収益及び費用の額に影響を与える見積り及び仮定を必要とします。これらの見積り及び仮定は、過去の実績や当連結会計年度末時点で入手可能な情報を総合的に勘案し合理的に判断しておりますが、見積り特有の不確実性が存在するため、実際の結果は異なることがあります。
当社が連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであると考えております。
①履行義務の充足に係る進捗度を見積り、当該進捗度に基づき一定の期間にわたり認識する収益について
当社グループは、個別受注生産による製品の販売及び工事契約による請負、役務の提供(以下、工事契約等)については、履行義務の充足に係る進捗度を見積り、当該進捗度に基づき一定の期間にわたり収益を認識する方法(履行義務の充足に係る進捗度の見積りはコストに基づくインプット法)を適用しております。履行義務の充足に係る進捗度は案件の原価総額の見積りに対する連結会計年度末までの発生原価の割合に基づき算定しております。当該見積りについて将来の事業環境の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において認識する収益及び費用の金額に影響を与える可能性があります。
②固定資産(のれんを含む)の減損判定
当社グループは、保有する固定資産(のれんを含む)について減損の兆候がある場合は、当該資産又は資産グループについて減損損失を認識するかどうかの判定を行い、減損が必要と判定された場合は帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損損失を認識するかどうかの判定及び減損損失の測定に用いられる当該資産又は資産グループから得られる将来キャッシュ・フローの見積り及び仮定等について将来の事業環境の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において減損損失が発生する可能性があります。
③投資有価証券の減損判定
当社グループは、上場株式は相場価格を用いて時価を算定しております。期末における当該時価が取得原価に比べ50%以上下落した場合は減損処理を行い、30~50%程度下落した場合には、回復可能性を考慮して減損処理を行っております。また、非上場株式等の市場価格のない株式等については、財政状態の悪化により実質価額が著しく低下した場合は、回復可能性を考慮して減損処理を行っております。将来の市況悪化又は投資先の業績不振等、現在の見積り及び仮定に反映されていない事象が発生した場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において評価損が発生する可能性があります。
④繰延税金資産の回収可能性
当社グループは、将来の課税所得を合理的に見積り、回収可能性を判断したうえで繰延税金資産を認識しております。将来の課税所得の見積りについて、将来の事業環境の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において認識する繰延税金資産及び法人税等調整額の金額に影響を与える可能性があります。
⑤退職給付債務の算定
当社グループには、確定給付制度を採用している会社が存在します。確定給付制度の退職給付債務は、数理計算上の仮定を用いて算定しており、当該数理計算上の仮定には、割引率、退職率、昇給率等の様々な計算基礎があります。当該見積り及び当該仮定について、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表における退職給付に係る資産、退職給付に係る負債及び退職給付に係る調整累計額の金額に影響を与える可能性があります。
なお、当連結会計年度末の退職給付債務の算定に用いた主要な数理計算上の仮定は、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (退職給付関係)(9)数理計算上の計算基礎に関する事項」に記載しているとおりであります。
当連結会計年度において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。
富士電機は、パワー半導体、パワーエレクトロニクス、計測・制御、冷熱などのコア技術を活用して、創エネルギーからエネルギー安定供給や省エネルギー、オートメーション、モビリティの電動化など、多くの先端的なシステムを手掛けています。
当連結会計年度における富士電機の研究開発費は
また、当連結会計年度末において富士電機が保有する国内外の産業財産権の総数は13,178件です。
■パワエレ エネルギー部門
受配電設備の保全計画立案から設備の監視、さらに設備更新計画の立案までを支援する「まるごとスマート保安サービス」の機能拡充に向けて、高圧配電盤、GIS、変圧器などの絶縁不良や局部過熱などの劣化状態を常時監視するデータ収集装置を開発しました。長期稼働に伴う絶縁性能劣化により発生する部分放電を監視するTEV(Transient Earth Voltage:過渡接地電圧)センサと、ブスバーやケーブルの接合部の接触抵抗増加によって発生する局部過熱を監視する温度センサにより、機器の劣化状況の変化をデジタルデータで見える化し、電気設備の点検作業の効率化に貢献します。
変電分野では、冷却用に大豆由来の天然エステル絶縁油(FR3®:Fire Resistance 3rd generation、Cargill,Incorporatedの登録商標)を採用した導油式のFR3®適用変圧器を開発し発売しました。FR3®は、従来の鉱油系絶縁油に比べて生分解性が高く毒性がないことから万が一流出しても環境への影響を低減できます。また、引火点が高く燃えにくいことから防火設備への投資費用及び火災保険費用の削減に貢献します。
電機盤分野では、東南アジアを中心としたグローバル市場向けに、省スペースを実現したスイッチギヤ「VC-V20A-1」を開発し発売しました。電界計算に基づく独自の耐電圧予測技術により絶縁構造を最適化し設置面積を当社従来機種に比べて20%縮小するとともに、短絡事故時に発生する高温・高圧のホットガスを瞬時に冷却する構造を排気部に採用することで建屋外への放出を不要とし、設置場所の自由度が向上しました。
器具分野では、スタイリッシュなデザインに一新した操作表示機器「Φ16コマンドスイッチ」及び「Φ22コマンドスイッチ」シリーズを開発し発売しました。取付面からの突出量の少ないフラッシュマウント品のラインナップを充実させることで、市場のニーズに応えます。
当連結会計年度における当部門の研究開発費は
■パワエレ インダストリー部門
スマートファクトリーの実現に向け、システム製品のマザー工場である東京工場で自営の第5世代移動通信システム(以下、ローカル5G)の実証実験を2021年5月に開始し、遮蔽物やノイズの多い機械加工ラインにおける電波の伝搬状況の調査や、工作機械の稼働データの見える化などの実証に取り組んできました。この結果を踏まえ、無線局商用免許(使用周波数:4.8GHz)を2022年1月に取得し、機械加工ラインでの生産活動にローカル5Gの適用を開始し、継続して運用しています。今後は、無線機の設置環境などの実績・知見を活かしながら、異常による工作機械の稼働停止時間の短縮や次工程への不良品流出の防止を目指します。自社工場での適用範囲を広げるとともに、ローカル5Gの特長を活かした製品やエンジニアリング、サービス等のソリューションを創出します。
計測機器・センサ分野では、従来よりも小型で簡単に設置できるクランプオン式の「インテグラル超音波流量計(S-Flow)」を開発し発売しました。検出器と変換器を一体化することによりコンパクトな外形寸法を実現しました。半導体や空調などの分野において、これまで取りつけることが難しかった小口径配管(8A~32A)の流量計測が可能となり、適切な流量管理による半導体製造の歩留まり向上や、空調設備の省エネルギー化に貢献します。
FAコンポーネント分野では、アナリティクス・AI(MSPC)による異常診断機能を搭載した「SPH5000EC系 診断機能付きCPUモジュール」を開発し発売しました。設備の正常時のデータ(診断モデル)と稼動中のデータの差異を解析することで異常の検知や原因分析ができます。また、モーション制御と異常診断は1台のCPUモジュール上で個別に実行するので、モーション制御の速度や精度などに影響を与えることなく機械・装置の異常診断が可能です。
FAシステム分野では、電動車の開発効率向上に貢献する「EV駆動部品性能試験機」を開発しました。EVモータは従来のエンジンと比べて回転数が高いため、高速回転時に振動の小さい試験機が必要となります。新たに開発した試験機は、20,000min-1の高速回転に対応した自社製ダイナモメータの採用と、振動シミュレーションに基づく構造設計により、高速回転時でも振動の小さい安定した試験が可能です。
計測制御システム分野では、国内・海外の中小規模の産業プラント向けに、顧客課題に応じた柔軟なシステム構築と高い信頼性を実現したオートメーション監視制御システム「MICREX-VieW FOCUS Evolution」を開発し発売しました。産業プラントにおける幅広い運用ノウハウを活かしたライブラリを準備し、専門的な知識がなくても簡単・スピーディにシステムが構築できます。また、プラント設備のデータを複数台のオペレータマシンが保持する冗長構成により、万一いずれかが故障してもプラント設備の継続運転とデータの自動復旧ができるため、プラントの安定運転に貢献します。さらに、セキュリティを強化した国際標準の通信規格であるOPC UAを採用しており、お客様の持つ上位系システムとの連携が容易になります。
情報制御システム分野では、AIを活用した先進的な地域エネルギーマネジメントシステム(CEMS:Community Energy Management System)を開発しました。本システムでは、地域内にある医療施設、商業施設、ホテル、マンションなどの各施設のエネルギー需要を統計的機械学習手法を用いて高精度に予測し、その予測に基づいてエネルギー供給側と需要側の両方を自動調整することにより、地域全体のエネルギー利用効率の最大化を実現します。また、EMSパッケージとして販売しているEnergyGATEの省エネ最適化支援機能を拡張しました。AIを用いてエネルギーロスの真因を探索する新機能により最適制御パラメータや改善案の事例を提示することで、顧客のエネルギーコスト削減を支援します。
船舶・港湾分野では、船舶の燃料油に含まれる硫黄分を排気ガスから除去するSOxスクラバの大容量XLサイズを開発し、ラインアップしました。24MWまでのエンジン出力に対応し、大型原油タンカー等の大型船舶の環境規制対応に貢献します。また、SOxスクラバの排水を浄化してスクラバの給水に再利用する排水再生循環システムを開発しました。これを従来の船舶排ガス浄化システムと組み合わせることにより、スクラバからの排水が規制されている一部の沿岸海域でもスクラバによる排ガス浄化を行いながら航行することが可能になります。
放射線機器・システム分野では、環境放射線量を測定する新型モニタリングポストを開発し発売しました。放射線測定器及び計測部の一体化により、従来に比べ部品点数を削減して信頼性を向上することで住民の安全・安心に貢献します。
当連結会計年度における当部門の研究開発費は
■半導体部門
産業用モジュールでは、低損失で高温動作を保証した最新の第7世代IGBT技術を適用した製品の系列を拡大しています。電鉄や再生可能エネルギー分野における市場要求に対応するために、第7世代「Xシリーズ」チップを搭載した大容量モジュール「HPnC」(High Power next Core)の系列として1,700Vに加えて、2,300V耐圧品を開発し、サンプル展開を開始しました。さらに、HPnCパッケージに第2世代「SiCトレンチゲートMOSFET」チップを搭載して低損失・高効率化を実現した2,300V、3,300V耐圧品を開発し、サンプル展開を開始しました。高速スイッチングの妨げとなる内部インダクタンスを低減したパッケージの開発により、従来に比べて低損失化と小型・軽量化を実現します。
駆動機能や保護機能を備えた第7世代IGBT-IPM(Intelligent Power Module)の系列化を完了しました。これまでにFA、工作機械、空調機器用途向け650V、1,200V耐圧の中容量製品に加えて、大容量製品として650V/200~450A、1,200V/100~300Aを製品化しました。また、エアコン向けに開発したモールドタイプのIPM製品を産業向け用途に最適化した小容量IPM 650V/10~30Aを新たに系列化しました。モールド構造により高密度実装が可能となり外形寸法が小さくできるため、機器の小型化に貢献します。
車載モジュールでは、xEV(電動車)向け製品の系列拡大として、従来に比べて低損失化した新RC-IGBTチップ及び第4世代冷却器を搭載し小型化を実現した直接水冷型パワーモジュール750V/800A品を開発し量産を開始しました。車載向け製品として600A、800A、1,200A品をラインアップしたことで、様々なモータ出力の電動車に幅広く対応できます。さらに2024年以降のxEVモデル向けに、次世代IGBT及びSiC技術を開発しています。これらの製品を通じて、xEVのさらなる小型軽量化や高効率化に貢献します。
産業用ディスクリート製品では、小型UPS、太陽光PCS、EV充電器などの電源のさらなる省エネに向けて最新の第7世代IGBT技術を適用したディスクリートIGBT「XSシリーズ」としてサブエミッタ端子を有するTO-247-4パッケージの1,200V/75A品を開発し系列に加えました。エミッタの配線インダクタンスにより生じる逆起電力を抑制し、ゲート電圧への影響を抑えることでスイッチング損失が低減し、電源機器の損失低減、高効率化を実現します。サーバや通信基地局などの電源向けに、第2世代SiC-SBDの系列化を図り、650V/6A、8A、10Aに加え、1,200V/20A、40Aの量産を開始しました。従来に比べて順方向電圧VFを低減し、サージ電流耐量の指標であるIFSMを高めたことで、電源機器の高効率化と信頼性向上に貢献します。
IC製品では、75W以上の機器に内蔵される電源向けにLLC電流共振ICを開発しました。位相補償及びレギュレータを内蔵したことにより電源出力電圧のリップル電圧の低減や周辺部品点数の削減による電源の小型化、トータルコストダウンを実現します。
感光体分野では、プロダクションプリンタ用のワイドフォーマット(A0サイズ)有機感光体を開発し、量産を開始しました。アルミニウム基体の高精度加工技術によりワイドフォーマットに対応すると同時に、摩耗耐性に優れた樹脂を採用し膜厚を最適化することで、色ムラの無い画像品質を達成しました。また、オフィス向け高速モノクロプリンタ用の有機感光体を開発し、量産を開始しました。感光ドラムの表面に傷つきにくく汚染耐性に優れた材料を採用するとともに、感光ドラムの形状を最適化して周辺部材との接触圧を均一化することにより、安定した画像品質を実現しました。さらに、家庭や小規模オフィス向け小型カラープリンタ用の有機感光体を開発し、量産を開始しました。感光層の空間を埋める添加剤の量を増やすことで耐ガス性を向上するとともに、電荷発生材料を増量することで少ない光量で感光体の表面電位を下げることができ、長期間にわたり、点状欠陥や色ムラの無い画像品質を実現します。
当連結会計年度における当部門の研究開発費は
■発電プラント部門
再生可能エネルギー分野では、地熱発電プラントの発電効率や稼働率の向上に向けて、復水器の高効率化、タービンの汚損抑制や高腐食性蒸気への対策などの技術を開発しています。また、マイクログリッドや風力発電サイト向けの蓄電池システムで要求される停電時の自立運転機能を付加した、大容量の蓄電池型PCS(Power Conditioning System)を開発しています。
ソリューションサービス分野では、既設のプラント向けメンテナンスサービスとして、発電機の部品を取り外さずに、内部の簡易点検ができる発電機検査ロボットを開発しました。これにより点検による稼働停止時間を短縮できます。
当連結会計年度における当部門の研究開発費は
■食品流通部門
自販機分野では、省エネ性能を向上させた「サステナ自販機シリーズ」を開発し発売しました。インバータ制御によるコンプレッサの高効率化、庫内構造と断熱材の最適化による侵入熱量の低減などを進めることにより、当社前年度機と比べて年間消費電力量を最大20%削減し、業界最高レベルの省エネを実現しました。また、自社開発のMCU(双方向通信端末)を活用し、売上げや在庫などのデータを遠隔地からリアルタイムで確認することにより、オペレータの作業効率を向上させ、省人・省力化にも貢献します。
また、冷凍自販機「FROZEN STATION Ⅱ」を開発しました。従来機種より商品収容部容積を30%拡大したことで大型商品の販売が可能になりました。また、商品展示のためのディスプレーを明るくし視認性が向上しました。
中国・東南アジア向けに、国内で流通していない長身のペットボトル商品を販売するため、新たな販売機構を搭載した自販機を開発し発売しました。この販売機構は、商品の補充しやすさの向上、収容数の増加などの顧客の要望にも対応しています。また、東南アジアの特定顧客向けに、21インチ液晶ディスプレーを搭載し、スマートフォンによりキャッシュレスでQRコード決済ができる大型グラスフロント自販機を開発し発売しました。利便性だけでなく、国内で販売している自動販売機の技術を活用し、商品温度の均一性や自動販売機本体の信頼性も向上させています。
店舗分野では、地球温暖化係数の低い冷媒の採用により環境負荷を低減しながら、省エネルギー性を向上した冷凍機を開発しました。この冷凍機を内蔵した冷凍・冷蔵ショーケースのラインアップを拡大しています。また、冷凍・冷蔵ショーケースの遠隔監視システムを新たに開発しました。クラウドサーバに蓄積した稼働データの分析により故障の予兆を検知できます。該当箇所を事前にメンテナンスすることで、故障による商品販売機会の損失を削減します。
当連結会計年度における当部門の研究開発費は
■新技術・基盤技術部門
製造現場から様々なデータを収集し、クラウドシステムで製品の品質診断や設備の異常兆候検知などを行うIoT(Internet of Things)の活用が進展しています。IoT活用の更なる拡大を図るため、現場に設置するエッジデバイスとクラウドシステム間の通信量の削減や応答の高速化を狙い、エッジデバイス側で最適制御やAIなどの複雑なデータ処理を実行するための要素技術を開発し、新たなエッジデバイスの製品化に移行しました。自動販売機や、店舗内機器の消費エネルギー管理用コントローラへの実装に向けた検討を進めています。
脱炭素化に向けて、太陽光発電や風力発電など、再生可能エネルギーの導入が拡大しています。再生可能エネルギーのように、出力が変動する発電システムが大量導入されると、電力系統の電圧や周波数が不安定になる恐れがあります。この問題を解消するため、再生可能エネルギー用PCSに付加して系統を安定化させるための電圧・周波数調整などのスマートインバータ機能、及びPCSが多数台接続された電力系統を高速に監視制御する技術を開発しています。模擬系統によるスマートインバータ機能の検証を完了し、製品化に向けて開発を進めています。
環境負荷を低減するため、地球温暖化係数が大きいSF6ガスを使用しないガス絶縁開閉装置(GIS)の実現に向けた開発に取り組んでいます。絶縁性能が優れたSF6ガスを使用せずに代替ガスで同一の遮断性能を得るためには装置寸法が大きくなります。そこで、絶縁上重要な絶縁スペーサの誘電率分布を最適に制御して系全体の絶縁性能を高めることで装置を小型化する誘電率傾斜技術を開発し、製品化を進めています。
SiCデバイスの性能を向上させるため、デバイス特性を劣化させる欠陥の発生や抑制メカニズム解明に取り組んでいます。文部科学省の「スーパーコンピュータ「富岳」成果創出プログラム」に参画し、これまで困難だった窒化ガスプロセスで発生する結晶界面の欠陥の解析を、原子数が従来比30倍規模の第一原理計算により実現し、プロセスの改善提案が可能となりました。今後、更に計算で扱うガスの種類を増やして、結晶の深さ方向の欠陥解析を進めます。
カーボンニュートラルの実現に向けて、工場のコージェネレーションシステムや船舶エンジンなどに適用できる小規模なCO2分離回収が求められており、膜分離方式によるCO2分離回収技術とともに、CO2を効率良く分離するために排ガス中に含まれる粒子状物質(PM)などの介在物を除去する前処理技術の開発に取り組んでいます。また、将来の水素社会実現へ貢献する技術として、AEM(Anion Exchange Membrane)型水電解水素生成技術の研究開発を開始しました。AEM型は主流となっているPEM(Polymer Electrolyte Membrane)型と比較して、水素製造コストの大幅な削減が期待されており、性能向上などの技術課題に対する取り組みを進めています。
■その他部門
当連結会計年度における当部門の研究開発費は54百万円です。