富士電機株式会社(以下「富士電機」といいます。)は、2024年10月31日開催の取締役会において、富士電機を株式交換完全親会社、富士古河E&C株式会社(以下「富士古河E&C」といいます。)を株式交換完全子会社とする株式交換(以下「本株式交換」といいます。)を実施することを決議し、本日、両社間で株式交換契約(以下「本株式交換契約」といいます。)を締結いたしましたので、金融商品取引法第24条の5第4項及び企業内容等の開示に関する内閣府令第19条第2項第6号の2の規定に基づき、本臨時報告書を提出するものであります。
(1)本株式交換の相手会社に関する事項
① 商号、本店の所在地、代表者の氏名、資本金の額、純資産の額、総資産の額及び事業の内容
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商号 |
富士古河E&C株式会社 |
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本店の所在地 |
神奈川県川崎市幸区堀川町580番地 ソリッドスクエア西館 |
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代表者の氏名 |
代表取締役社長 日下 高 |
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資本金の額 |
1,970百万円(2024年9月30日現在) |
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純資産の額 |
37,534百万円(2024年3月31日現在) |
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総資産の額 |
71,628百万円(2024年3月31日現在) |
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事業の内容 |
電気設備工事、電気計装工事、空調・給排水衛生設備工事、情報通信設備工事、建築工事及びこれらに付帯関連する一切の事業 |
② 最近3年間に終了した各事業年度の売上高、営業利益、経常利益及び純利益
(連結) (単位:百万円)
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決算期 |
2022年3月期 |
2023年3月期 |
2024年3月期 |
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売上高 |
82,050 |
88,109 |
103,649 |
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営業利益 |
6,592 |
6,926 |
7,879 |
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経常利益 |
6,706 |
7,014 |
8,129 |
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当期純利益 |
4,613 |
4,442 |
5,408 |
(単体) (単位:百万円)
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決算期 |
2022年3月期 |
2023年3月期 |
2024年3月期 |
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売上高 |
70,739 |
73,281 |
89,949 |
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営業利益 |
5,907 |
5,995 |
7,243 |
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経常利益 |
6,504 |
6,471 |
7,845 |
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当期純利益 |
4,842 |
4,128 |
5,264 |
③ 大株主の氏名又は名称及び発行済株式の総数に占める大株主の持株数の割合
(2024年3月31日現在)
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大株主の氏名又は名称 |
発行済株式の総数に占める大株主の持株数の割合(%) |
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富士電機株式会社 |
46.24 |
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古河電気工業株式会社 |
20.23 |
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富士古河E&C社員持株会 |
3.49 |
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光通信株式会社 |
2.22 |
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富士通株式会社 |
1.91 |
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株式会社日本カストディ銀行(信託口) |
1.38 |
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STATE STREET BANK AND TRUST CLIENT OMNIBUS ACCOUNT OM02505002 (常任代理人 株式会社みずほ銀行決済営業部) |
0.83 |
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千々石 寛 |
0.75 |
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株式会社横浜銀行 |
0.68 |
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株式会社日本カストディ銀行(信託口4) |
0.53 |
④ 提出会社との間の資本関係、人的関係及び取引関係
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資本関係 |
富士電機は、富士古河E&Cの発行済株式数(9,026,561株)から自己株式数(33,969株)を控除した株式数の46.24%に相当する4,158,185株の株式を所有するともに、富士電機の子会社である富士オフィス&ライフサービスを通じた間接所有分(13,200株(所有割合0.15%)と合わせて、合計4,171,385株(所有割合46.39%)を所有しております。 |
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人的関係 |
富士電機の出身者4名が、富士古河E&Cの取締役に就任しています。
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取引関係 |
富士電機は電気工事等の施工設計及び現地工事を発注しており、富士古河E&Cはこれらを請負施工しております。また、富士電機は機器等を富士古河E&Cに納入しております。 |
(2)本株式交換の目的
富士電機は、1923年8月に古河電気工業株式会社とドイツのシーメンス社との資本・技術の提携により富士電機製造株式会社(以下「富士電機製造」といいます。)として設立され、2023年に創業100周年を迎えました。富士電機は、経営理念に“豊かさへの貢献”、“創造への挑戦”、“自然との調和”を掲げ、エネルギー・環境事業で社会に貢献していくことを経営方針としております。電気・熱エネルギーを効率的に利用できる製品・システムを創り出し、お客さまやお取引先さまとともに社会・環境課題の解決に貢献していくことが富士電機の存在意義であり、これは国際社会が目指すSDGs(持続可能な開発目標)や脱炭素社会の実現に合致するものです。
世界で脱炭素社会の実現に向けた取組みが進む中、富士電機は、パワー半導体、パワーエレクトロニクス、計測・制御、冷熱技術をコア技術に、地熱や水力、風力、太陽光発電などのクリーンエネルギーの主流化、受変電設備や無停電電源装置(UPS)によるエネルギー供給の安定化、インバータやパワー半導体、自動販売機を使った省エネルギー・自動化・電化など、エネルギーの供給サイドから需要サイドまで広くソリューションを提供しており、これらの事業を富士電機及び富士電機の関係会社119社(2024年3月31日現在、子会社107社及び関連会社12社により構成)(以下、富士電機及び富士電機の関係会社を総称して「富士電機グループ」といいます。)において展開しております。
富士電機は、その中で、前中期経営計画期間(2019年度~2023年度)を持続的成長企業としての基盤確立フェーズと位置付け、売上高1兆円、営業利益率8%以上を目標に掲げ、「成長戦略の推進」、「収益力の更なる強化」及び「経営基盤の継続的な強化」に取り組み、経営目標を1年前倒しで達成いたしました。また、富士電機は、2024年度に、利益重視の経営によるさらなる企業価値向上を基本方針とする中期経営計画“熱く、高く、そして優しく2026”をスタートさせました。重点戦略の一つである、成長戦略の推進では、“GX(グリーントランスフォーメーション)”、“DX(デジタルトランスフォーメーション)”、“グローバル”を成長領域に定め、蓄電システムや船舶・港湾商材、電動車・再生可能エネルギー向けパワー半導体、工場・店舗のDXソリューション、グローバル商材として受変電機器や駆動制御機器などの新製品を開発し、早期に市場投入することで事業拡大を図ります。
さらに、富士電機は、2027年度以降の新事業創出も見据えた取組みに注力します。従来の大型・集中型エネルギーに加えて、中小型・分散型エネルギーが必須となることが想定される中、水素やアンモニアへの燃料転換、工場や船舶から排出されるCO2の分離回収、工場・プラントの排熱を利用する熱電化システム、再生可能エネルギーや蓄エネルギーなどにおいて電力損失を低減する直流配電システムなど、富士電機にとって新たな領域での技術・製品の開発を、お客さまやパートナー企業の皆さまとロードマップを共有し、連携をしながら推し進めています。
他方、富士古河E&Cは、大型船の艤装電気工事、製紙機械の輸入及び修理、羅紗の輸入を祖業に1923年10月に合資会社高千穂商会(以下「高千穂商会」といいます。)として設立し、1938年の株式会社への改組以降は電気工事の請負を事業の主体としてきました。その後、1944年12月に富士電機製造が高千穂商会の全株式を取得いたしました。富士電機工事株式会社(1961年4月に商号変更)は、1996年2月に株式会社東京証券取引所(以下「東京証券取引所」といいます。)市場第二部に上場、その後2009年10月に富士電機E&C株式会社(2005年7月に商号変更)を存続会社として、古河総合設備株式会社及び富士電機総設株式会社と合併(以下「富士古河E&C合併」といいます。)し、商号を富士古河E&Cに変更いたしました。2024年9月30日現在、富士電機は、富士古河E&C株式を4,158,185株(所有割合(注)46.24%)直接所有し、富士電機の子会社である富士オフィス&ライフサービス株式会社(以下「富士オフィス&ライフサービス」といいます。)を通じた間接所有分(13,200株(所有割合0.15%))と合わせて富士古河E&C株式4,171,385株(所有割合46.39%)を所有する親会社であり、富士古河E&Cは富士電機グループにおける唯一の総合設備企業として、同グループから各種設備工事を受注しております。富士電機及び富士古河E&Cは、富士古河E&C合併以降、互いに富士電機グループの一員として、グローバルでの競争力強化に取り組んでまいりました。その中で、富士古河E&Cは経営基盤の強化及び質の高いサービスの提供により、電気設備工事及び空調設備工事の両事業領域において、着実に業容を拡大してきました。富士古河E&Cは、富士古河E&C合併以降、総合設備企業として国内での地位を確立しつつ、中長期的な環境変化に対応するため、新たなエンドマーケットの獲得や海外及び成長市場へのリソース投入に取り組んでおります。富士古河E&Cは、2024年5月に発表した新中期経営計画「Progress E&C 2026」において、事業領域の変革・拡大、成長投資等による経営基盤の強化、技術開発とDXの推進、ESG経営の加速・推進を基本戦略として掲げており、特に事業領域の変革・拡大の中では事業ポートフォリオの改革の一環として、データセンタ向け事業の領域拡大等を中心とした環境関連事業の拡大や、海外事業戦略の見直しに取り組んでおります。その一方、富士古河E&C合併当時と比較して総合設備企業に期待される付加価値は、施工・設置後のメンテナンスやアフターセールスの提供から、ソリューションの提供へと大きく変化してきております。同時に、太陽光パネルの設置需要等、再生可能エネルギー案件の広がりや2016年からの電力小売全面自由化に伴う電気設備工事需要の拡大など外部環境の変化も著しい状況にあり、労働人口の減少や就業者の高齢化を受けた慢性的な人手不足への対応を踏まえた、労働環境・処遇改善や省人化ニーズの高まりに対処していく必要があります。このように設備工事業界を取り巻く環境が富士古河E&C合併当時から大きく変化している中、富士古河E&Cにおける事業の継続的な成長に対する難易度はますます高まっていると考えております。
(注)「所有割合」とは、富士古河E&Cの2024年9月30日現在の発行済株式総数(9,026,561株)から富士古河E&Cの自己株式数(33,969株)を控除した株式数(8,992,592株)に占める割合をいいます。
上記の富士電機及び富士古河E&Cの事業上の課題を踏まえ、富士電機は、2023年9月頃から、富士電機中期経営計画における富士電機グループとしての目指すべき姿について社内で議論を重ねてきました。当該議論において、富士古河E&Cにおける課題解決と合わせ、これまでも富士古河E&Cとの事業連携により顧客と社会に提供してきた、「クリーンなエネルギーを創り、エネルギーを安定的に供給し、さらに需要家サイドの省エネ、自動化、電化に貢献する事業と技術」というコアな提供価値を、富士古河E&Cの完全子会社化によって拡大・拡張し最大化させることができると考えるに至り、富士古河E&Cの完全子会社化の検討を進めました。具体的には、富士電機の事業との戦略的な整合性、両社で発現できるシナジー、富士古河E&Cの少数株主の皆様及び富士電機の株主の皆様の利益への影響等の観点を総合的に検討した結果、富士古河E&Cを株式交換により完全子会社化し、両社の既存事業・技術と新たに創出するシナジーを活かした更なる協業体制の強化とそれによる経営資源の有効活用、重複機能の解消による経営資源の最適な配分等、さらに踏み込んだグループ一体化経営を実現することで、富士古河E&Cを含んだ富士電機グループ全体の企業価値向上を目指すことが最善であるとの結論に至り、2024年6月24日に、富士電機から富士古河E&Cに対して本株式交換の提案を行いました。
富士電機から上記提案を受けて、富士古河E&Cは、本株式交換に係る具体的な検討を開始することにいたしました。また、本株式交換の具体的な検討を開始するに際し、親会社であり支配株主である富士電機との構造的な利益相反のおそれを排除し、富士電機及び富士古河E&Cから独立した立場で本株式交換の検討を行うことで、本株式交換に対する富士古河E&C取締役会における意思決定過程における恣意性及び利益相反のおそれを排除し、その公正性を担保するとともに、富士古河E&C取締役会において本株式交換を行う旨の決定をすることが少数株主にとって不利益なものであるかどうかについての意見を取得することを目的として、富士古河E&Cは、2024年7月16日に、親会社であり支配株主である富士電機との間で利害関係を有しない独立した委員から構成される特別委員会(以下「本特別委員会」といいます。)を設置し、併せて外部専門家を起用する等の具体的検討に向けた体制を整備いたしました。当該体制のもと富士電機からの提案について慎重に検討した結果、富士古河E&Cは、富士古河E&Cが富士電機の完全子会社となることで、従来以上に両社グループの連携を緊密化して経営判断の迅速化を図ることが可能となり、また、両社グループの有する資産、技術、ノウハウ、海外ネットワーク等の経営資源をより一層活用することにより、両社グループの中長期的な視点に立った経営戦略を機動的に実現することが可能となるため、本株式交換は富士古河E&Cの企業価値向上に資するとの認識に至りました。富士電機及び富士古河E&Cは、本株式交換後の具体的な施策及びそれに基づき顕在化する事業シナジーとして、以下を想定しております。
I. 電気設備工事及び空調設備工事の両事業領域を新たなターゲットに事業拡大
① 製品開発・ものつくりから、工事、保守・メンテナンスまでをワンストップに提供し、工程全体での効率的エネルギー利用を可能にするソリューションビジネスを提供する。
② 両社に共通する成長事業・注力業種での、建設・設備側、機器・システム供給側、双方の商流や顧客網への営業活動協業による両社物量の拡大及び富士電機グループ物量の最大化を実現する(具体的には以下のような内容が含まれます。)。
・創エネ、電力の安定供給、省エネ製品・技術の提供
・制御に係る技術ナレッジ活用による現場機器の運用状況の見える化、予防保全など製品・技術を提供
・顧客生産設備のデータ収集と分析、データ活用(製造業DX)を含んだサービス提供
③ リソース共有によるエンジニアリングサービスの生産性及び付加価値の向上並びにそれによる利益率向上を実現する。
II. 成長市場であるGX関連分野で製品開発を加速、サービス事業を強化
富士電機が保有する電力系統の安定化を実現する蓄電池用パワーコンディショナや蓄電池システム等のGX関連商材、分散型電源の安定化技術を活用し、製品開発力強化、設置後のメンテナンス・サービスの更なる高付加価値化を目指す。
III. 海外事業の拡大
両社海外拠点における、営業・エンジニアリング・間接員等の相互リソース活用による事業運営の効率化(利益の拡大)を図る。特に両社が注力する東南アジアでは、富士古河E&Cの海外エンジニアリングサービス体制と、現地設計・地産・地消を掲げアジアを中心に強化を図る富士電機のグローバルネットワーク/グローバルインストールベースを活かし、海外市場へのM&Aを含む資本・人的資本の強化を通じた海外ビジネスの更なる拡大を目指す。
IV. コーポレートガバナンス及び一体運営の強化
① 親子上場問題解消により、安定株主の下での事業運営によるコーポレートガバナンスの向上を図る。
② 経営リソースの最適化、人財採用力強化、人的リソースの共有による機動的人財アロケーションの実現、コスト競争力の向上を実現する。
富士電機及び富士古河E&Cは、富士古河E&C株式が上場しており、富士古河E&Cに少数株主が存在する状況の下においては、親会社である富士電機と富士古河E&Cの少数株主の利害衝突が生じ得る資本構造にあるため、個々の施策について、逐一、富士古河E&Cの少数株主の利益を害するおそれがないかについて慎重な検討が求められ、場合によっては、富士古河E&Cの少数株主の利益を害するおそれが否定できないことによって、両社の企業価値向上にとって有意義な施策を迅速に実施することができない事態も想定されると考えております。また、富士古河E&Cに少数株主が存在することにより、富士電機が富士古河E&Cに何らかの情報やリソースを提供した場合、富士電機にとっては、これらの情報やリソースの活用による利益の一部が富士古河E&Cの少数株主にも供与される状況となるため、結果的に、自身も上場会社である富士電機が、富士古河E&Cに情報やリソースを提供することを躊躇させ、これらが十分に行われなくなってしまう可能性があります。このようなことから、両社が一体となって両社グループの成長戦略の検討及び実行することによる効果を十全に発揮させるためには、両社間で完全親子会社関係を形成し、親会社である富士電機と富士古河E&Cの少数株主の利害衝突が生じないようにすることが必要であると考えております。
また、富士電機及び富士古河E&Cは、完全子会社化の方法としては、本株式交換の対価として富士電機の普通株式(以下「富士電機株式」といいます。)が富士古河E&Cの少数株主の皆様に交付されることにより、富士電機株式の保有を通じて、本株式交換後に想定されている各種施策の実行を通じて期待されるシナジー効果の発現による富士電機グループの事業発展・収益拡大、その結果としての富士電機株式の価格上昇等を享受する機会を富士古河E&Cの少数株主の皆様に対して提供できる一方、流動性の高い富士電機株式を市場で取引することで随時現金化することも可能であることを踏まえ、本株式交換のスキームを選択することが望ましいとの判断に至りました。
以上の点を踏まえて、両社において慎重に検討した結果、両社は本株式交換によって富士古河E&Cが富士電機の完全子会社になることが、両社の企業価値向上に資するものであるとの認識で一致したことから、本株式交換に係る割当比率を含む諸条件についての検討及び協議を経て合意に至り、本日、両社の取締役会において、それぞれ、富士電機が富士古河E&Cを完全子会社化することを目的として本株式交換を実施することを決議し、本株式交換契約を締結いたしました。
(3)本株式交換の方法、株式交換に係る割当ての内容その他の株式交換契約の内容
① 本株式交換の方式
本株式交換は、富士電機を株式交換完全親会社、富士古河E&Cを株式交換完全子会社とする株式交換です。本株式交換は、富士電機においては、会社法第796条第2項の規定に基づき、株主総会の決議による承認を必要としない簡易株式交換の手続により、また、富士古河E&Cにおいては2024年12月26日に開催予定の臨時株主総会の決議による本株式交換契約の承認を受けた上で、2025年2月3日を効力発生日として行う予定です。
② 本株式交換に係る割当ての内容
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富士電機 (株式交換完全親会社) |
富士古河E&C (株式交換完全子会社) |
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本株式交換に係る割当比率 |
1 |
0.93 |
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本株式交換により交付する株式数 |
富士電機の普通株式:4,495,998株(予定) |
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(注1)株式の割当比率
富士古河E&C株式1株に対して、富士電機株式0.93株を割当交付いたします。ただし、基準時(以下に定義します。)において富士電機が保有する富士古河E&C株式については、本株式交換による株式の割当ては行いません。なお、上記の本株式交換に係る割当比率(以下「本株式交換比率」といいます。)は、算定の根拠となる諸条件に重大な変更が生じた場合、両社協議し合意の上、変更することがあります。
(注2)本株式交換により交付する富士電機株式の数
富士電機は、本株式交換に際して、本株式交換により富士電機が富士古河E&Cの発行済株式(ただし、富士電機が保有する富士古河E&C株式を除きます。)の全てを取得する時点の直前時(以下「基準時」といいます。)における富士古河E&Cの株主の皆様(ただし、以下の自己株式が消却された後の株主をいい、富士電機を除きます。)に対し、その保有する富士古河E&C株式に代えて、その保有する富士古河E&C株式の数の合計に0.93を乗じて得た株数の富士電機株式を交付いたします。
また、富士電機が交付する株式は、富士電機が本日時点で保有する自己株式を充当する予定であり、現時点で本株式交換における割当てに際して新たに株式を発行する予定はありません。
なお、富士古河E&Cは、本株式交換の効力発生日の前日までに開催する富士古河E&Cの取締役会決議により、基準時において保有している自己株式(本株式交換に関してなされる、会社法第785条第1項に定める反対株主の株式買取請求に係る株式の買取りによって富士古河E&Cが取得する自己株式を含みます。)の全てを、基準時の直前の時点をもって消却する予定です。本株式交換によって割当交付する株式数については、富士古河E&Cによる自己株式の消却等の理由により今後修正される可能性があります。
(注3)単元未満株式の取扱い
本株式交換に伴い、富士電機の単元未満株式(100株未満の株式)を保有することとなる富士古河E&Cの株主の皆様については、富士電機の定款及び株式取扱規則の定めるところにより、富士電機株式に関する以下の制度をご利用いただくことができます。なお、金融商品取引市場において単元未満株式を売却することはできません。
① 単元未満株式の買増し制度(1単元(100株)への買増し)
会社法第194条第1項の規定及び富士電機の定款第9条の規定に基づき、富士電機の単元未満株式を保有する株主の皆様が、その保有する単元未満株式の数と併せて1単元となる数の株式を富士電機から買い増すことができる制度です。
② 単元未満株式の買取請求制度(単元未満株式の売却)
会社法第192条第1項の規定に基づき、富士電機の単元未満株式を保有する株主の皆様が、その保有する単元未満株式を買い取ることを富士電機に対して請求することができる制度です。
(注4)1株に満たない端数の取扱い
本株式交換に伴い、1株に満たない端数の富士電機株式の交付を受けることとなる富士古河E&Cの株主の皆様においては、会社法第234条その他の関連法令の定めに従い、その端数の合計数(その合計数に1に満たない端数がある場合は切り捨てるものとします。)に相当する富士電機株式を売却し、かかる売却代金をその端数に応じて当該株主の皆様に交付いたします。
③ 本株式交換に伴う新株予約権及び新株予約権付社債に関する取扱い
本株式交換により株式交換完全子会社となる富士古河E&Cは、新株予約権及び新株予約権付社債のいずれも発行していないため、該当事項はありません。
④ その他の本株式交換契約の内容
富士電機が、富士古河E&Cとの間で2024年10月31日に締結した本株式交換契約の内容は次のとおりであります。
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株式交換契約書 |
富士電機株式会社(以下「甲」という。)及び富士古河E&C株式会社(以下「乙」という。)は、2024年10月31日(以下「本契約締結日」という。)、以下のとおり株式交換契約(以下「本契約」という。)を締結する。
第1条(本株式交換)
甲及び乙は、本契約の規定に従い、甲を株式交換完全親会社とし、乙を株式交換完全子会社とする株式交換(以下「本株式交換」という。)を行い、甲は、本株式交換により、乙の発行済株式(甲が有する乙の株式を除く。以下同じ。)の全部を取得する。
第2条(株式交換完全親会社及び株式交換完全子会社の商号及び住所)
甲及び乙の商号及び住所は、以下のとおりである。
(1) 甲(株式交換完全親会社)
商号:富士電機株式会社
住所:川崎市川崎区田辺新田1番1号
(2) 乙(株式交換完全子会社)
商号:富士古河E&C株式会社
住所:川崎市幸区堀川町580番地
第3条(本株式交換に際して交付する株式及びその割当て)
1. 甲は、本株式交換に際して、本株式交換により甲が乙の発行済株式の全部を取得する時点の直前時(以下「基準時」という。)における乙の株主(第9条に基づく乙の自己株式の消却後の株主をいうものとし、甲を除く。以下本条において同じ。)に対して、乙の普通株式に代わり、その有する乙の普通株式の数の合計に0.93を乗じて得た数の甲の普通株式を交付する。
2. 甲は、本株式交換に際して、基準時における乙の株主に対して、その有する乙の普通株式1株につき、甲の普通株式0.93株の割合(以下「本株式交換比率」という。)をもって、甲の普通株式を割り当てる。
3. 前二項の規定に従い甲が乙の株主に対して割り当てるべき甲の普通株式の数に1株に満たない端数がある場合には、甲は会社法第234条その他の関連法令の規定に従い処理する。
第4条(甲の資本金及び準備金の額)
本株式交換により増加すべき甲の資本金及び準備金の額は以下のとおりとする。
(1) 資本金の額 0円
(2) 資本準備金の額 会社計算規則第39条に従い甲が別途定める額
(3) 利益準備金の額 0円
第5条(本効力発生日)
本株式交換がその効力を生ずる日(以下「本効力発生日」という。)は、2025年2月3日とする。但し、本株式交換の手続の進行上の必要性その他の事由により必要な場合には、甲及び乙は協議し合意の上、これを変更することができる。
第6条(株主総会の承認)
1. 甲は、会社法第796条第2項本文の規定により、本契約につき株主総会の承認を受けない。但し、同条第3項の規定により、本契約につき株主総会の承認が必要となった場合、甲は、本効力発生日の前日までに、本契約につき株主総会の承認を求める。
2. 乙は、本効力発生日の前日までに、本契約の承認及び本株式交換に必要なその他の事項に関する株主総会の決議による承認を求める。
第7条(事業の運営等)
1. 甲及び乙は、本契約締結日から本効力発生日までの間、それぞれ善良な管理者の注意をもって自らの業務の遂行並びに財産の管理及び運営を行い、かつ、それぞれの子会社(但し、甲については乙及びその子会社を除く。)をして、善良な管理者の注意をもって当該子会社の業務の遂行並びに財産の管理及び運営を行わせるものとする。
2. 甲及び乙は、本契約締結日から本効力発生日までの間、本契約において別途定める場合を除き、自ら又はその子会社(但し、甲については乙及びその子会社を除く。)をして、本株式交換の実行又は本株式交換比率に重大な影響を及ぼす具体的なおそれのある行為を行い又は行わせる場合は、事前に相手方当事者と協議し、書面合意の上、これを行い又は行わせるものとする。
第8条(剰余金の配当)
1. 甲は、2024年9月30日の最終の株主名簿に記載又は記録された株主又は登録株式質権者に対して、1株当たり75円を限度として剰余金の配当を行うことができる。
2. 甲及び乙は、前項に定めるものを除き、本契約締結日以降、本効力発生日以前の日を基準日とする剰余金の配当の決議を行ってはならず、また本効力発生日以前の日を取得日とする自己株式の取得(適用法令に従い株主の権利行使に応じて自己の株式の取得をしなければならない場合を除く。)の決議を行ってはならない。
第9条(自己株式の消却)
乙は、本効力発生日の前日までに開催される取締役会の決議により、基準時において保有する自己株式(本株式交換に際して行使される会社法第785条第1項に定める反対株主の株式買取請求に応じて取得する自己株式を含む。)の全部につき基準時をもって消却するものとする。
第10条(本株式交換の条件変更等)
本契約締結日以降、本効力発生日に至るまでの間において、本株式交換の実行に重大な支障となる事態が生じ又は明らかとなった場合その他本契約の目的の達成が困難となった場合には、甲及び乙は、協議し合意の上、本株式交換の条件その他の本契約の内容を変更し、若しくは本株式交換を中止し、又は本契約を解除することができる。
第11条(本契約の効力)
本契約は、(i)本効力発生日の前日までに乙の株主総会において本契約の承認が得られない場合、(ii)甲において、会社法第796条第3項の規定により本契約に関して株主総会の承認が必要となったにもかかわらず、本効力発生日の前日までに甲の株主総会において本契約の承認が得られない場合、(iii)国内外の法令に基づき本株式交換を実行するために本効力発生日に先立って必要な関係官庁等の承認等が得られなかった場合、及び(iv)前条に基づき本契約が解除された場合には、その効力を失う。
第12条(合意管轄裁判所)
本契約の履行及び解釈に関し紛争が生じたときは、東京地方裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所とする。
第13条(協議)
本契約に記載のない事項、又は本契約の内容に疑義が生じた場合は、甲及び乙は誠実に協議し、その解決を図るものとする。
上記合意の成立を証するため、本書2通を作成し、各当事者記名押印の上、各自1通を保有する。
2024年10月31日
甲 川崎市川崎区田辺新田1番1号
富士電機株式会社
代表取締役会長CEO 北澤 通宏
乙 川崎市幸区堀川町580番地
富士古河E&C株式会社
代表取締役社長 日下 高
(4)株式交換に係る割当ての内容の算定根拠
① 割当ての内容の根拠及び理由
富士電機及び富士古河E&Cは、上記(3)②「本株式交換に係る割当ての内容」に記載の本株式交換比率の決定にあたって公正性及び妥当性を確保するため、それぞれ両社から独立した第三者算定機関及び各種アドバイザーを選定しました。富士電機は、ファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関としてSMBC日興証券株式会社(以下「SMBC日興証券」といいます。)を、法務アドバイザーとしてアンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業(以下「アンダーソン・毛利・友常法律事務所」といいます。)を選定し、富士古河E&Cはファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関としてみずほ証券株式会社(以下「みずほ証券」といいます。)を、法務アドバイザーとしてTMI総合法律事務所を選定し、本格的な検討を開始いたしました。
富士電機においては、下記④「公正性を担保するための措置(利益相反を回避するための措置を含む。)」に記載のとおり、富士電機のファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関であるSMBC日興証券から2024年10月30日付で取得した株式交換比率算定書、法務アドバイザーであるアンダーソン・毛利・友常法律事務所からの助言、富士電機が富士古河E&Cに対して2024年7月下旬から9月中旬にかけて実施したデュー・ディリジェンスの結果等を踏まえて、慎重に協議・検討をした結果、本株式交換比率は妥当であり、富士電機の株主の皆様の利益に資するとの結論に至ったため、本株式交換比率により本株式交換を行うことが妥当であると判断いたしました。
他方、富士古河E&Cにおいては、下記④「公正性を担保するための措置(利益相反を回避するための措置を含む。)」に記載のとおり、富士古河E&Cのファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関であるみずほ証券から2024年10月30日付で取得した株式交換比率算定書、法務アドバイザーであるTMI総合法律事務所からの助言、富士古河E&Cが富士電機に対して2024年7月下旬から9月中旬にかけて実施したデュー・ディリジェンスの結果、本特別委員会からの指示及び助言並びに2024年10月31日付で受領した答申書(詳細については、下記④「公正性を担保するための措置(利益相反を回避するための措置を含む。)」の「ハ.富士古河E&Cにおける利害関係を有しない特別委員会の設置及び答申書の取得」をご参照ください。)の内容等を踏まえて、慎重に協議・検討をいたしました。その結果、本株式交換比率は妥当であり、富士古河E&Cの少数株主の皆様の利益に資するとの判断に至ったため、富士古河E&Cは、本株式交換比率により本株式交換を行うことが妥当であると判断いたしました。
以上のとおり、富士電機及び富士古河E&Cは、両社がそれぞれの第三者算定機関から提出を受けた株式交換比率の算定結果を参考に、それぞれが相手方に対して実施したデュー・ディリジェンスの結果等を踏まえて慎重に検討し、両社の財務状況・資産状況・将来の見通し等の要因を総合的に勘案した上で、下記④「公正性を担保するための措置(利益相反を回避するための措置を含む。)」の「ハ.富士古河E&Cにおける利害関係を有しない特別委員会の設置及び答申書の取得」に記載のとおり、交渉・協議を重ねてまいりました。その結果、富士電機及び富士古河E&Cは、本株式交換比率は妥当であり、それぞれの株主の皆様の利益に資するとの判断に至ったため、本株式交換比率により本株式交換を行うことが妥当であると判断いたしました。
なお、本株式交換比率は、本株式交換契約に従い、算定の基礎となる諸条件に重大な変更が生じた場合には、両社間で協議し合意の上変更することがあります。
② 算定に関する事項
イ.算定機関の名称及び両社との関係
富士電機の第三者算定機関であるSMBC日興証券及び富士古河E&Cの第三者算定機関であるみずほ証券は、いずれも、両社から独立した算定機関であり、両社の関連当事者に該当せず、本株式交換に関して記載すべき重要な利害関係を有しません。
なお、本株式交換に係るSMBC日興証券に対する報酬には、本株式交換の成立等を条件に支払われる成功報酬が含まれておりますが、富士電機とSMBC日興証券の間において、同種の取引における一般的な実務慣行及び本株式交換が不成立となった場合に富士電機に相応の金銭的負担が生じる報酬体系の是非等も勘案の上、本株式交換の完了を条件に支払われる成功報酬が含まれていることをもって、独立性が否定されるものではないこと、また、SMBC日興証券は過去の同種事案の第三者算定機関としての実績を有していること等を踏まえ、富士電機がSMBC日興証券に対して両社の株式価値の算定を依頼することに関し公正性の観点から問題はないと考えられることから、富士電機はSMBC日興証券を両社から独立した第三者算定機関として選定いたしました。
みずほ証券のグループ企業であるみずほ信託銀行株式会社(以下「みずほ信託銀行」といいます。)は、富士古河E&Cの株主たる地位を有しており、また、みずほ証券のグループ企業である株式会社みずほ銀行(以下「みずほ銀行」といいます。)及びみずほ信託銀行は、富士電機及び富士古河E&Cとの間で通常の銀行取引の一環としての融資等の取引を行っておりますが、本株式交換に関して富士電機及び富士古河E&Cとの間で重要な利害関係を有しておりません。みずほ証券によれば、みずほ証券は金融商品取引法(昭和23年法律第25号。その後の改正を含みます。)第36条第2項及び金融商品取引業等に関する内閣府令第70条の4の適用法令に従い、みずほ証券とみずほ銀行及びみずほ信託銀行間の情報隔壁措置等の適切な利益相反管理体制を構築し、かつ実施しており、みずほ信託銀行の株主たる地位、並びにみずほ銀行及びみずほ信託銀行の貸付人の地位とは独立した立場で富士古河E&Cの第三者算定機関として株式価値の算定を行っているとのことです。富士古河E&Cは、みずほ証券とみずほ銀行及びみずほ信託銀行の間において情報隔壁措置等の適切な弊害防止措置が構築されていること、富士古河E&Cとみずほ証券は一般取引先と同様の取引条件での取引を実施しているために第三者算定機関としての独立性が確保されていること、みずほ証券は同種事案の第三者算定機関としての実績を有していること等を踏まえ、みずほ証券を富士電機及び富士古河E&C並びに本株式交換から独立した第三者算定機関として選任いたしました。
また、本株式交換に係るみずほ証券に対する報酬には、本株式交換の成立等を条件に支払われる成功報酬が含まれておりますが、富士古河E&Cとみずほ証券の間において、同種の取引における一般的な実務慣行及び本株式交換が不成立となった場合に富士古河E&Cに生じうる金銭的負担等も勘案の上、本株式交換の完了を条件に支払われる成功報酬が含まれていることをもって、独立性が否定されるものではないと判断しております。
ロ.算定の概要
(ⅰ)SMBC日興証券による算定
SMBC日興証券は、富士電機については、同社が金融商品取引所に上場しており、市場株価が存在することから、市場株価法を採用して算定を行いました。
また、SMBC日興証券は、富士古河E&Cについては、同社が金融商品取引所に上場しており、市場株価が存在することから、市場株価法を、また比較可能な類似上場会社が複数存在し、類似上場会社との比較による株式価値の類推が可能であることから類似上場会社比較法を、加えて、将来の事業活動の状況を評価に反映するため、ディスカウンテッド・キャッシュ・フロー法(以下「DCF法」といいます。)を、それぞれ採用して算定を行いました。
富士電機株式及び富士古河E&C株式の算定において採用した市場株価法については、2024年10月30日を算定基準日として、東京証券取引所における算定基準日から遡る1ヶ月間、3ヶ月間及び6ヶ月間の各期間の取引日における終値単純平均値を採用しました。また、富士古河E&C株式の算定において採用したDCF法では、同社が作成した2025年3月期から2027年3月期の財務予測に基づく将来キャッシュ・フローを、一定の割引率で現在価値に割り引くことによって事業価値や株式価値を評価しております。
上記の各評価方法による富士電機株式の1株当たりの株式価値を1とした場合の株式交換比率の算定結果は以下のとおりとなります。
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採用手法 |
株式交換比率の算定レンジ |
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富士電機 |
富士古河E&C |
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市場株価法 |
市場株価法 |
0.73~0.74 |
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類似上場会社比較法 |
1.01~1.22 |
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DCF法 |
0.90~1.65 |
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SMBC日興証券は、株式交換比率の算定に際して、公開情報及びSMBC日興証券に提供された一切の情報が正確かつ完全であることを前提としており、独自にそれらの正確性及び完全性についての検証は行っておりません。両社並びにその関係会社の資産又は負債(デリバティブ取引、簿外資産及び負債、その他の偶発債務を含みます。)について、個別の資産及び負債の分析及び評価を含め、両社から提供又は開示された情報、判断又は予測を前提とし、これらについて独自に評価、鑑定又は査定を行っておらず、第三者機関への鑑定又は査定の依頼も行っておりません。富士古河E&Cの財務予測(利益計画その他の情報を含みます。)については、富士古河E&Cの経営陣により現時点で得られる最善の予測及び判断に基づき合理的に検討又は作成されたことを基礎としております。
なお、SMBC日興証券がDCF法による算定の前提とした富士古河E&Cの財務予測は富士古河E&Cが作成した事業計画に基づいており、大幅な増減益を見込んでいる事業年度は含まれておりません。また、富士古河E&Cの財務予測は、本株式交換の実施を前提としておりません。
(ⅱ)みずほ証券による算定
みずほ証券は、富士電機については、同社が東京証券取引所プライム市場に上場しており、市場株価が存在することから、市場株価基準法を採用して算定を行いました。
また、みずほ証券は、富士古河E&Cについては、同社が東京証券取引所スタンダード市場に上場しており、市場株価が存在することから、市場株価基準法を、また比較可能な類似上場企業が複数存在し、類似上場企業との比較による株式価値の類推が可能であることから類似企業比較法を、加えて、将来の事業活動の状況を評価に反映するため、DCF法を、それぞれ採用して算定を行いました。
富士電機株式及び富士古河E&C株式の算定において採用した市場株価基準法については、2024年10月30日を算定基準日として、東京証券取引所における算定基準日の株価終値、算定基準日から遡る1ヶ月間、3ヶ月間及び6ヶ月間の各期間の取引日における終値単純平均値を採用しました。
類似企業比較法については、富士古河E&Cと類似性があると判断される類似上場企業として、株式会社トーエネック、株式会社大気社、住友電設株式会社、新日本空調株式会社、株式会社中電工、株式会社四電工、株式会社テクノ菱和及び北陸電気工事株式会社を選定した上で、事業価値に対するEBITDAの倍率を用いて算定を行いました。
また、富士古河E&C株式の算定において採用したDCF法では、同社が作成した2025年3月期から2027年3月期の財務予測に基づく将来キャッシュ・フローを、一定の割引率で現在価値に割り引くことによって事業価値や株式価値を評価しております。
なお、DCF法における継続価値の算定については永久成長法及びマルチプル法により算出しております。具体的には割引率は7.36%~8.36%を使用しております。なお、割引率には加重平均資本コスト(Weighted Average Cost of Capital, WACC)を使用しております。また、永久成長法では永久成長率として-0.50%~0.50%を使用し、マルチプル法ではEBITDAマルチプルとして3.6倍~4.6倍を使用しております。
上記の各評価方法による富士電機株式の1株当たりの株式価値を1とした場合の株式交換比率の算定レンジは以下のとおりとなります。
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採用手法 |
株式交換比率の算定レンジ |
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富士電機 |
富士古河E&C |
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市場株価基準法 |
市場株価基準法 |
0.70~0.74 |
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類似企業比較法 |
0.83~1.06 |
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DCF法 |
0.67~1.35 |
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みずほ証券は、株式価値の算定に際して、公開情報及びみずほ証券に提供された一切の情報が正確かつ完全であることを前提としており、独自にそれらの正確性及び完全性についての検証は行っておりません。両社並びにその関係会社の資産又は負債(デリバティブ取引、簿外資産及び負債、その他の偶発債務を含みます。)について、個別の資産及び負債の分析及び評価を含め、両社から提供又は開示された情報、判断又は予測を前提とし、これらについて独自に評価、鑑定又は査定を行っておらず、第三者機関への鑑定又は査定の依頼も行っておりません。富士古河E&Cの財務予測(利益計画その他の情報を含みます。)については、富士古河E&Cの経営陣により現時点で得られる最善の予測及び判断に基づき合理的に検討又は作成されたことを基礎としております。みずほ証券の株式交換比率の算定は、2024年10月30日までにみずほ証券が入手した情報及び経済条件を反映したものです。なお、みずほ証券の算定は、富士古河E&Cの取締役会が株式交換比率を検討するための参考に資することを唯一の目的としております。
なお、みずほ証券がDCF法による算定の前提とした富士古河E&Cの財務予測においては、大幅な増減益を見込んでいる事業年度は含まれておりません。また、富士古河E&Cの財務予測は、本株式交換の実施を前提としておりません。
③ 上場廃止となる見込み及びその事由
本株式交換により、その効力発生日(2025年2月3日(予定))をもって、富士古河E&Cは富士電機の完全子会社となり、富士古河E&C株式は2025年1月30日付で上場廃止(最終売買日は2025年1月29日)となる予定です。上場廃止後は、富士古河E&C株式を東京証券取引所スタンダード市場において取引をすることができなくなります。
富士古河E&C株式が上場廃止となった後も、本株式交換により富士古河E&Cの株主の皆様に割り当てられる富士電機株式は東京証券取引所プライム市場に上場されており、本株式交換の効力発生日以後も金融商品取引所市場での取引が可能であることから、基準時において富士古河E&C株式を108株以上保有し、本株式交換により富士電機株式の単元株式数である100株以上の富士電機株式の割当てを受ける富士古河E&Cの株主の皆様に対しては、引き続き株式の流動性を提供できるものと考えております。
他方、基準時において、108株未満の富士古河E&C株式を保有する富士古河E&Cの株主の皆様には、富士電機株式の単元株式数である100株に満たない富士電機株式が割り当てられます。そのような単元未満株式を金融商品取引所市場において売却することはできませんが、単元未満株式を保有することになる株主の皆様は、富士電機に対し、その保有する単元未満株式を買い取ることを請求することが可能です。また、その保有する単元未満株式の数と併せて1単元となる数の株式を富士電機から買い増すことも可能です。詳細については、上記(3)②「本株式交換に係る割当ての内容」の(注3)「単元未満株式の取扱い」をご参照ください。また、本株式交換に伴い1株に満たない端数が生じた場合における端数の取扱いの詳細については、上記(3)②「本株式交換に係る割当ての内容」の(注4)「1株に満たない端数の取扱い」をご参照ください。
なお、富士古河E&Cの株主の皆様は、最終売買日である2025年1月29日(予定)までは、東京証券取引所スタンダード市場において、その保有する富士古河E&C株式を従来どおり取引することができる他、基準時まで会社法その他関係法令に定める適法な権利を行使することができます。
④ 公正性を担保するための措置(利益相反を回避するための措置を含む。)
両社は、富士電機が既に富士古河E&C株式を4,158,185株(所有割合46.24%)直接所有し、富士電機の子会社である富士オフィス&ライフサービスを通じた間接所有分(13,200株(所有割合0.15%))と合わせて富士古河E&C株式4,171,385株(所有割合46.39%)を所有しており、富士古河E&Cが富士電機の連結子会社に該当することから、本株式交換に際しては、利益相反を回避して公正性を担保する必要があると判断し、以下のとおり公正性を担保するための措置(利益相反を回避するための措置を含みます。)を実施しております。
イ.両社における独立した第三者算定機関からの算定書の取得
富士電機及び富士古河E&Cは、本株式交換に用いられる株式交換比率の算定にあたって公正性を期すため、富士電機は、両社から独立した第三者算定機関であるSMBC日興証券を選定し、2024年10月30日付で、株式交換比率に関する算定書を取得し、また、富士古河E&Cは、両社から独立した第三者算定機関であるみずほ証券を選定し、2024年10月30日付で、株式交換比率に関する算定書を取得いたしました。
各算定書の概要は上記②「算定に関する事項」をご参照ください。なお、両社は、いずれも各第三者算定機関から、本株式交換の株式交換比率が富士電機又は富士古河E&Cの株主にとって財務的見地より公正である旨の意見書(フェアネス・オピニオン)を取得しておりません。
ロ.独立した法律事務所からの助言
富士電機は、本株式交換の法務アドバイザーとして、アンダーソン・毛利・友常法律事務所を2024年5月に選任し、本株式交換の諸手続及び取締役会の意思決定の方法・過程等について法的な観点から助言を得ております。なお、本取引に係るアンダーソン・毛利・友常法律事務所に対する報酬は、タイムチャージ方式によるもののみであり、本株式交換の成立等を条件に支払われる成功報酬は含まれておらず、両社との間で重要な利害関係を有しません。
他方、富士古河E&Cは、本株式交換の検討に係る法務アドバイザーとして、TMI総合法律事務所を2024年6月に選任し、本株式交換の諸手続及び取締役会の意思決定の方法・過程等について法的な観点から助言を得ております。なお、TMI総合法律事務所の報酬体系は、本株式交換の成立如何によって成功報酬が発生する体系とはなっておらず、TMI総合法律事務所は、両社との間で重要な利害関係を有しません。
ハ.富士古河E&Cにおける利害関係を有しない特別委員会の設置及び答申書の取得
富士古河E&Cは、2024年6月24日、富士電機から本株式交換の申入れを受けたことを受け、法務アドバイザーであるTMI総合法律事務所の助言を受けつつ、2024年7月16日に開催された取締役会の決議により、本株式交換に関し、親会社であり支配株主である富士電機との構造的な利益相反のおそれがあることから、富士電機及び富士古河E&Cから独立した立場で本株式交換の検討を行うことで、本株式交換に対する富士古河E&C取締役会における意思決定過程における恣意性及び利益相反のおそれを排除し、その公正性を担保するとともに、富士古河E&C取締役会において本株式交換を行う旨の決定をすることが少数株主にとって不利益なものであるかどうかについての意見を取得することを目的として、富士電機から独立した、富士古河E&Cの社外取締役及び社外監査役(富士古河E&Cの社外取締役である山口和良氏、三品篤氏及び富士古河E&Cの社外監査役である遠藤健二氏の3名)によって構成される本特別委員会を設置いたしました。なお、富士古河E&Cは、当初からこの3名を本特別委員会の委員として選定しており、本特別委員会の委員を変更した事実はありません。また、各委員に対しては、その職務の対価として、答申内容にかかわらず、固定の報酬を支払うものとしております。
その上で、富士古河E&Cは、本株式交換を検討するにあたり、本特別委員会に対し、(a)本株式交換の目的の合理性(本株式交換は富士古河E&C企業価値の向上に資するかを含む。)に関する事項、(b)本株式交換の取引条件の妥当性(本株式交換の実施方法や対価の種類の妥当性を含む。)に関する事項、(c)本株式交換の手続の公正性(いかなる公正性担保措置をどの程度講じるべきかの検討を含む。)に関する事項、(d)上記(a)乃至(c)その他の事項を踏まえ、富士古河E&C取締役会が本株式交換の実施を決定することが少数株主に不利益か否か(以下総称して「本諮問事項」といいます。)について諮問いたしました。富士古河E&Cの取締役会は、本特別委員会設置の決議に際して、①本株式交換について決定を行うに際して、本特別委員会の意見を最大限尊重し、本特別委員会が本株式交換について妥当でないと判断した場合には、本株式交換を行う旨の意思決定を行わないこと、②富士古河E&Cは、富士電機と取引条件について交渉するにあたり、本特別委員会に適時にその状況を報告し、重要な局面でその意見、指示及び要請を受けるものとすることについて決議しております。また、同時に、本特別委員会に対して、(ⅰ)本特別委員会は、必要と認めるときは、委員長の選定その他の本特別委員会の運営に関する事項を、その過半数の決議により定めることができること、(ⅱ)本特別委員会は、富士古河E&Cの費用負担の下、本株式交換に係る調査(本株式交換に関係する富士古河E&Cの役員若しくは従業員又は本株式交換に係る富士古河E&Cのアドバイザーに対し、本諮問事項の検討に必要な事項について質問を行い、説明又は助言を求めることを含む。)を行うことができること、(ⅲ)本特別委員会は、富士古河E&Cに対し、①本特別委員会としての提案その他の意見又は質問を富士電機に伝達すること、並びに②本特別委員会自ら富士電機と協議・交渉する機会の設定を要望することができること、また、本特別委員会が当該②の機会の設定を要望しない場合であっても、富士古河E&Cは、富士電機と協議・交渉を行った場合にはその内容を速やかに本特別委員会に報告し、本特別委員会は、当該内容を踏まえ、富士電機との協議・交渉の方針について、富士古河E&Cに対して意見を述べ、また、必要な指示・要請を行うことができること、(ⅳ)本特別委員会において答申に係る意見が全員一致により調わなかった場合は、委員の過半数により承認された結論を本特別委員会の答申内容とするが、かかる答申内容の全部又は一部について異なる意見を有する委員は、自らの意見を答申内容に付記するよう求めることができること、(ⅴ)議事運営上の便宜の観点から、本特別委員会に富士古河E&Cの役員若しくは従業員又は本株式交換に係る富士古河E&Cのアドバイザーが陪席する場合であっても、本特別委員会は、当該陪席者に対し、適宜、退席を求めることができること、(ⅵ)本特別委員会は、必要と認めるときは、富士古河E&Cの費用負担の下、本特別委員会独自の弁護士、算定機関、公認会計士その他のアドバイザーを選任することができ、また、本特別委員会は、本株式交換に係る富士古河E&Cのアドバイザーを指名し、又は変更を求めることができるほか、富士古河E&Cのアドバイザーに対して必要な指示を行うことができることについて決議しております。
そして、本特別委員会は、2024年7月16日から2024年10月30日までの間に、委員会を合計15回開催し、本諮問事項について、慎重に検討及び協議を行いました。具体的には、富士古河E&Cから、本株式交換の提案を受けた経緯、本株式交換の目的、事業環境、事業計画、経営課題等に関する説明を受け、書面及び口頭による質疑応答を行い、また、富士電機から、本株式交換を提案するに至った経緯及び理由、本株式交換の目的や本株式交換後の富士古河E&Cの経営方針、本株式交換の諸条件等について説明を受け、書面及び口頭による質疑応答を行いました。さらに、本特別委員会は、富士古河E&Cの作成した事業計画の内容、重要な前提条件及び作成経緯等について富士古河E&Cから説明を受け、質疑応答を行った上で、これらの合理性を確認し、承認をしております。その上で、みずほ証券から株式交換比率の算定に係る算定手法の採用理由、本株式交換における株式交換比率の算定結果に関する説明を受けております。
また、本特別委員会は、富士古河E&Cが富士電機から本株式交換比率についての提案を受領する都度、富士古河E&Cにおいて交渉を担当するみずほ証券から適時にその内容及び交渉経過等について報告を受け、その内容を審議・検討するとともに、みずほ証券に対して指示・要請を行う等、本株式交換の取引条件に関する交渉過程に実質的に関与いたしました。さらに、本特別委員会は、TMI総合法律事務所から本株式交換において利益相反を軽減又は防止するために取られている措置及び本株式交換に関する説明を受けております。
本特別委員会は、かかる経緯の下、これらの説明、算定結果その他の検討資料を前提として慎重に協議及び検討を行い、(a)本株式交換の目的には合理性(本株式交換は富士古河E&C企業価値の向上に資するかを含む。)が認められる旨、(b)本株式交換の取引条件の妥当性(本株式交換の実施方法や対価の種類の妥当性を含む。)が認められる旨、(c)本株式交換の手続の公正性(いかなる公正性担保措置をどの程度講じるべきかの検討を含む。)が認められる旨、(d)上記(a)乃至(c)その他の事項を踏まえ、富士古河E&C取締役会が本株式交換の実施を決定することが少数株主に不利益でない旨の答申書を、2024年10月31日付で、富士古河E&Cに対して提出しております。
本特別委員会の意見の概要については、以下のとおりです。
ア.結論
本特別委員会は、検討の結果として、特別委員全員の一致により、本諮問事項に関して、以下の意見を答申する。
① 本株式交換の目的は合理的である。
② 本株式交換の取引条件は妥当である。
③ 本株式交換の手続は公正である。
④ 上記①乃至③を踏まえ、本株式交換を行うことについて決定をすることは、富士古河E&Cの少数株主にとって不利益ではない。
イ.本株式交換の目的の合理性(本株式交換が富士古河E&Cの企業価値の向上に資するかを含む。)について
(ア)富士古河E&C及び富士電機による説明等
本特別委員会は、本株式交換の目的及び本株式交換により向上が見込まれる富士古河E&Cの企業価値の具体的内容等について、富士古河E&C及び富士電機から説明を受け、質疑応答を行った。それらの内容は、大要、以下のとおりである。
(a)富士電機の認識
富士古河E&Cは、2009年10月に富士古河E&C合併を行って以降、総合設備企業として国内での地位を確立しつつ、中長期的な環境変化に対応するため、新たなエンドマーケットの獲得や海外及び成長市場へのリソース投入に取り組んでいる。富士古河E&Cは、2024年5月に発表した新中期経営計画「Progress E&C 2026」において、事業領域の変革・拡大、成長投資等による経営基盤の強化、技術開発とDXの推進、ESG経営の加速・推進を基本戦略として掲げており、特に事業領域の変革・拡大の中では事業ポートフォリオの改革の一環として、データセンタ向け事業の領域拡大等を中心とした環境関連事業の拡大や海外事業戦略の見直しに取り組んでいる。
その一方、富士古河E&C合併当時と比較して、総合設備企業に期待される付加価値は、施工・設置後のメンテナンスやアフターセールスの提供から、ソリューションの提供へと大きく変化してきている。同時に、太陽光パネルの設置需要等、再生可能エネルギー案件の広がりや2016年からの電力小売全面自由化に伴う電気設備工事需要の拡大など、外部環境の変化も著しい状況にあり、労働人口の減少や就業者の高齢化を受けた慢性的な人手不足への対応を踏まえた、労働環境・処遇改善や省人化ニーズの高まりに対処していく必要がある。このように設備工事業界を取り巻く環境が富士古河E&C合併当時から大きく変化している中、富士古河E&Cにおける事業の継続的な成長に対する難易度はますます高まっていると考えている。
上記の富士電機及び富士古河E&Cの事業上の課題を踏まえ、富士電機は、2023年9月頃から、富士電機中期経営計画における富士電機グループとしての目指すべき姿について社内で議論を重ねてきた。当該議論において、富士古河E&Cにおける課題解決と合わせ、これまでも富士古河E&Cとの事業連携により顧客と社会に提供してきた、「クリーンなエネルギーを創り、エネルギーを安定的に供給し、さらに需要家サイドの省エネ、自動化、電化に貢献する事業と技術」というコアな提供価値を、富士古河E&Cの完全子会社化によって拡大・拡張し最大化させることができると考えるに至り、富士古河E&Cの完全子会社化の検討を進めた。
具体的には、富士電機の事業との戦略的な整合性、両社で発現できるシナジー、富士古河E&Cの少数株主及び富士電機の株主の利益への影響等の観点を総合的に検討した結果、富士古河E&Cを株式交換により完全子会社化し、両社の既存事業・技術と新たに創出するシナジーを活かした更なる協業体制の強化とそれによる経営資源の有効活用、重複機能の解消による経営資源の最適な配分等、さらに踏み込んだグループ一体化経営を実現することで、富士古河E&Cを含んだ富士電機グループ全体の企業価値向上を目指すことが最善であるとの結論に至り、2024年6月24日に、富士電機から富士古河E&Cに対して本株式交換の提案を行った。
(b)富士古河E&Cの認識
富士古河E&Cは、富士古河E&Cが富士電機の完全子会社となることで、従来以上に両社グループの連携を緊密化して経営判断の迅速化を図ることが可能となり、また、両社グループの有する資産、技術、ノウハウ、海外ネットワーク等の経営資源をより一層活用することにより、両社グループの中長期的な視点に立った経営戦略を機動的に実現することが可能となるため、本株式交換は富士古河E&Cの企業価値向上に資するとの認識に至った。
(c)富士電機及び富士古河E&Cの認識
富士電機及び富士古河E&Cは、本株式交換後の具体的な施策及びそれに基づき顕在化する事業シナジーとして、以下の内容を想定している。
Ⅰ. 電気設備工事及び空調設備工事の両事業領域を新たなターゲットに事業拡大
① 製品開発・ものつくりから、工事、保守・メンテナンスまでをワンストップに提供し、工程全体での効率的エネルギー利用を可能にするソリューションビジネスを提供する。
② 両社に共通する成長事業・注力業種での、建設・設備側、機器・システム供給側、双方の商流や顧客網への営業活動協業による両社物量の拡大及び富士電機グループ物量の最大化を実現する(具体的には以下のような内容が含まれる。)。
・創エネ、電力の安定供給、省エネ製品・技術の提供
・制御に係る技術ナレッジ活用による現場機器の運用状況の見える化、予防保全など製品・技術を提供
・顧客生産設備のデータ収集と分析、データ活用(製造業DX)を含んだサービス提供
③ リソース共有によるエンジニアリングサービスの生産性及び付加価値の向上並びにそれによる利益率向上を実現する。
Ⅱ. 成長市場であるGX関連分野で製品開発を加速、サービス事業を強化
富士電機が保有する電力系統の安定化を実現する蓄電池用パワーコンディショナや蓄電池システム等のGX関連商材、分散型電源の安定化技術を活用し、製品開発力強化、設置後のメンテナンス・サービスの更なる高付加価値化を目指す。
Ⅲ. 海外事業の拡大
両社海外拠点における、営業・エンジニアリング・間接員等の相互リソース活用による事業運営の効率化(利益の拡大)を図る。特に両社が注力する東南アジアでは、富士古河E&Cの海外エンジニアリングサービス体制と、現地設計・地産・地消を掲げアジアを中心に強化を図る富士電機のグローバルネットワーク/グローバルインストールベースを活かし、海外市場へのM&Aを含む資本・人的資本の強化を通じた海外ビジネスの更なる拡大を目指す。
Ⅳ. コーポレートガバナンス及び一体運営の強化
① 親子上場問題解消により、安定株主の下での事業運営によるコーポレートガバナンスの向上を図る。
② 経営リソースの最適化、人財採用力強化、人的リソースの共有による機動的人財アロケーションの実現、コスト競争力の向上を実現する。
富士電機及び富士古河E&Cは、富士古河E&C株式が上場しており、富士古河E&Cに少数株主が存在する状況の下においては、親会社である富士電機と富士古河E&Cの少数株主の利害衝突が生じ得る資本構造にあるため、個々の施策について、逐一、富士古河E&Cの少数株主の利益を害するおそれがないかについて慎重な検討が求められ、場合によっては、富士古河E&Cの少数株主の利益を害するおそれが否定できないことによって、両社の企業価値向上にとって有意義な施策を迅速に実施することができない事態も想定されると考えている。また、富士古河E&Cに少数株主が存在することにより、富士電機が富士古河E&Cに何らかの情報やリソースを提供した場合、富士電機にとっては、これらの情報やリソースの活用による利益の一部が富士古河E&Cの少数株主にも供与される状況となるため、結果的に、自身も上場会社である富士電機が、富士古河E&Cに情報やリソースを提供することを躊躇させ、これらが十分に行われなくなってしまう可能性がある。このようなことから、両社が一体となって両社グループの成長戦略の検討及び実行することによる効果を十全に発揮させるためには、両社間で完全親子会社関係を形成し、親会社である富士電機と富士古河E&Cの少数株主の利害衝突が生じないようにすることが必要であると考えている。
(イ)本特別委員会による検討
本特別委員会は、上記事項の具体的な内容及び本株式交換の実行により見込まれる富士古河E&Cの事業への影響の有無・程度、並びにこれらを踏まえた富士古河E&Cの企業価値向上の可能性等について、富士電機及び富士古河E&Cに対する質疑を通じ、詳細な検討を実施した。
その結果、富士古河E&C及び富士電機から説明された内容に不合理な点及び相互に矛盾する点は認められず、両社の認識は重要な部分において一致していることが認められた。また、富士古河E&Cを取り巻く経営環境、及び富士電機グループにおける今後の取組み等に鑑み、本株式交換による非公開化を実施し、富士古河E&Cが富士電機の完全子会社となることで、迅速かつ抜本的な施策を富士古河E&Cと富士電機が協同して遂行することができるようになることは、富士古河E&Cの持続的な成長に寄与することが期待され、中長期的な企業価値向上に資すると認められた。したがって、本株式交換の目的は合理的であると判断するに至った。
ウ.本株式交換の取引条件の妥当性(本株式交換の実施方法や対価の種類の妥当性を含む。)について
(ア)みずほ証券による株式交換比率算定報告書
富士古河E&Cが、富士古河E&C及び富士電機から独立した第三者算定機関であり、本株式交換に重要な利害関係を有しないみずほ証券から取得した株式交換比率に関する算定書によれば、市場株価基準法による富士電機株式1株当たりの株式価値は以下のとおりである。
市場株価基準法:7,971円~8,662円
なお、みずほ証券によれば、富士電機株式が東京証券取引所プライム市場に上場しており、市場株価が存在することから市場株価基準法による算定を行っているとのことである。
また、市場株価基準法、類似企業比較法及びDCF法による富士古河E&C株式1株当たりの株式価値は以下のとおりと算定されている。
市場株価基準法:5,590円~6,298円
類似企業比較法:7,224円~8,429円
DCF法:5,796円~10,743円
なお、みずほ証券によれば、富士古河E&C株式が東京証券取引所スタンダード市場に上場しており、市場株価が存在することから市場株価基準法による算定を行うとともに、同業他社の株価に照らした状況や将来の事業活動の状況を評価に反映するため、類似企業比較法及びDCF法による算定を行っているとのことである。
以上を踏まえ、富士電機株式1株当たりの株式価値を1とした場合の評価レンジは、富士古河E&C株式の価値算定について市場株価基準法を採用した場合は0.70~0.74、類似企業比較法を採用した場合は0.83~1.06、DCF法を採用した場合は0.67~1.35とされている。
本株式交換比率である富士古河E&C株式1株当たり富士電機株式0.93株を割り当てるという比率は、市場株価基準法による算定結果のレンジの上限を上回り、類似企業比較法及びDCF法による算定結果のレンジの範囲内の比率である。
本特別委員会は、みずほ証券から株式価値評価に用いられた算定方法等について詳細な説明を受けるとともに、みずほ証券及び富士古河E&Cに対して評価手法の選択、類似企業比較法における類似企業の選定理由、DCF法による算定の基礎となる富士古河E&Cの事業計画、当該事業計画に基づく財務予測、継続価値の算定方法の選択、割引率の算定根拠等に関する質疑応答を行った上で検討した結果、一般的な評価実務に照らして不合理な点は認められなかった。
(イ)類似事例のプレミアム水準との比較
富士古河E&C株式1株当たり富士電機株式0.93株を割り当てるという本株式交換比率は、2024年10月30日(以下「算定基準日」という。)の富士電機株式の東京証券取引所プライム市場における終値(7,971円)及び富士古河E&C株式の東京証券取引所スタンダード市場における終値(5,590円)に基づいて算出された交換比率に対して32.61%(小数点以下第三位を四捨五入。以下、プレミアムの数値(%)において同様とする。)、算定基準日までの1ヶ月間の終値の単純平均値(8,125円及び6,041円(小数点以下を四捨五入。以下、終値の単純平均値の計算において同様とする。))に基づいて算出された交換比率に対して25.08%、算定基準日までの3ヶ月間の終値の単純平均値(8,097円及び6,019円)に基づいて算出された交換比率に対して25.11%、算定基準日までの6ヶ月間の終値の単純平均値(8,662円及び6,298円)に基づいて算出された交換比率に対して27.91%のプレミアムを、それぞれ加えた比率に相当する。かかるプレミアム水準は、経済産業省による「公正なM&Aの在り方に関する指針-企業価値の向上と株主利益の確保に向けて-」(2019年6月28日)公表以降に実施された、本株式交換と類似する上場子会社の株式交換による完全子会社化事例における平均的なプレミアム水準(公表日前営業日の終値、並びに直近1ヶ月間、直近3ヶ月間及び直近6ヶ月間の終値単純平均値に対して、順に19.79%、17.81%、19.03%、21.49%)と比較しても遜色ない水準であると評価できる。
(ウ)デュー・ディリジェンスの実施
本特別委員会は、本株式交換に際して実施された富士古河E&Cの富士電機に対するデュー・ディリジェンスの結果について報告を受けて検討したが、本株式交換の取引条件に重大な悪影響を及ぼす事項は認められず、また、本株式交換の取引条件に一定の影響を与えうる検出事項については、当該事項を踏まえて株式交換比率の交渉を行っている。
(エ)交渉過程の手続の公正性
後記エ.のとおり、本株式交換に係る交渉過程の手続は公正であると認められるところ、本株式交換比率を含む本株式交換の取引条件についても、かかる交渉の結果も踏まえて決定されたものであると認められる。
(オ)実施方法及び対価の種類
富士電機による富士古河E&Cの完全子会社化の方法として株式交換の手法が選択され、本株式交換の対価は富士電機株式とされているところ、富士古河E&Cの株主は、富士電機の株主として、引き続き、富士電機の完全子会社となる富士古河E&Cの企業価値の向上分の分配を受けることが可能である。さらに、富士電機株式は東京証券取引所プライム市場に上場されており、本株式交換の効力発生日以降も当該市場での取引が可能であることから、基準時において富士古河E&C株式を108株以上保有し、本株式交換により富士電機株式の単元株式数である100株以上の富士電機株式の割当てを受ける富士古河E&Cの株主に対しては、引き続き株式の流動性を提供できる。
他方、基準時において、108株未満の富士古河E&C株式を保有する富士古河E&Cの少数株主には、富士電機の単元株式数である100株に満たない富士電機株式が割当交付されるため、当該株式を金融商品取引所市場において売却することができないものの、当該少数株主は、富士電機の定款及び株式取扱規則の定めるところにより、単元未満株式の買増請求又は単元未満株式の買取請求の制度を利用することができる。
以上の点を踏まえれば、完全子会社化の方法として株式交換の手法を選択し、本株式交換の対価として、富士古河E&Cの株主に対して、富士電機株式を交付することには妥当性が認められる。
(カ)検討及び小括
富士古河E&C株式1株当たり富士電機株式0.93株を割り当てるという本株式交換比率は、みずほ証券が算定した、富士古河E&C株式の価値算定について市場株価基準法を採用した場合の算定結果のレンジの上限を上回り、類似企業比較法及びDCF法を採用した場合の算定結果のレンジの範囲内の比率であり、かつ、本株式交換と類似の他事例と比較しても遜色ない水準のプレミアムが付されていると評価できる。また、本株式交換に係る交渉過程の手続は公正であると認められるところ、本株式交換比率は、かかる交渉の結果も踏まえて決定されたものであるほか、富士古河E&Cの富士電機に対するデュー・ディリジェンスにおいて、本株式交換の取引条件に重大な悪影響を及ぼす事項が特に認められず、本株式交換の対価として富士古河E&Cの株主に富士電機株式を交付すること自体の妥当性も認められる。
以上のような点を踏まえ、本特別委員会において、慎重に検討した結果、本株式交換比率は合理的なものであり、本株式交換の取引条件は妥当であると判断するに至った。
エ.本株式交換の手続の公正性について
富士古河E&C及びその法務アドバイザーであるTMI総合法律事務所の説明並びに関連する資料によれば、富士古河E&Cは、本株式交換に係る交渉過程の手続の公正性を担保するために、以下のような措置を採っていることが認められる。
(ア)独立した外部専門家からの助言等の取得
富士古河E&Cは、富士電機が富士古河E&C株式を、間接保有分と合わせて約46.39%保有しており、富士古河E&Cが富士電機の連結子会社に該当することから、本株式交換比率の公正性の担保、本株式交換の実施を決定するに至る意思決定の過程における恣意性の排除及び利益相反の回避の観点から、本株式交換について検討するにあたっては、富士古河E&C及び富士電機からの独立性が認められるファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関であるみずほ証券並びに法務アドバイザーであるTMI総合法律事務所から助言等を受けながら、本株式交換比率を含む本株式交換の条件の妥当性等について慎重に検討及び協議を行っている。
なお、富士電機においても、富士古河E&C及び富士電機からの独立性が認められるファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関であるSMBC日興証券株式会社並びに法務アドバイザーであるアンダーソン・毛利・友常法律事務所から、それぞれから助言等を受けているとのことである。
(イ)特別委員会の設置
富士古河E&Cは、2024年6月24日、富士電機から本株式交換の申入れを受けたことを受け、法務アドバイザーであるTMI総合法律事務所の助言を受けつつ、2024年7月16日に開催された取締役会の決議により、本株式交換に関し、親会社であり支配株主である富士電機との構造的な利益相反のおそれがあることから、富士電機及び富士古河E&Cから独立した立場で本株式交換の検討を行うことで、本株式交換に対する富士古河E&C取締役会における意思決定過程における恣意性及び利益相反のおそれを排除し、その公正性を担保するとともに、富士古河E&C取締役会において本株式交換を行う旨の決定をすることが少数株主にとって不利益なものであるかどうかについての意見を取得することを目的として、富士電機から独立した、富士古河E&Cの社外取締役及び社外監査役(富士古河E&Cの社外取締役である山口和良氏、三品篤氏、及び富士古河E&Cの社外監査役である遠藤健二氏の3名)によって構成される本特別委員会を設置した。なお、富士古河E&Cは、当初からこの3名を本特別委員会の委員として選定しており、本特別委員会の委員を変更した事実はない。また、各委員に対しては、その職務の対価として、答申内容にかかわらず、固定の報酬を支払うものとしている。
(ウ)富士古河E&Cによる検討方法
富士古河E&Cは、本株式交換について検討するにあたっては、富士古河E&C及び富士電機から独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関であるみずほ証券並びに法務アドバイザーであるTMI総合法律事務所から助言・意見等を得ながら、富士古河E&Cの企業価値向上ひいては株主共同の利益の観点から、本株式交換比率をはじめとする本株式交換の条件の妥当性及び本株式交換の一連の手続の公正性といった点について真摯に、かつ、慎重に検討及び協議を行っている。
なお、本特別委員会は、みずほ証券及びTMI総合法律事務所の独立性及び専門性に問題がないことを確認し、富士古河E&Cのファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関並びに法務アドバイザーとしてそれぞれ承認している。
また、富士古河E&Cは、富士電機から独立した立場で、本取引に係る検討、交渉及び判断を行う体制を富士古河E&Cの社内に構築している。
(エ)富士古河E&Cの交渉による本株式交換比率の引上げ
富士古河E&Cは、富士電機から当初、本株式交換比率より低い交換比率の提示を受けたが、当該提示に対し、少数株主の利益保護の観点から対案となる交換比率を富士電機に対して提示したほか、算定の根拠に関する事項等の複合的な要素を用いて本株式交換比率を引き上げるための実質的な協議・交渉を複数回にわたって行った。
そして、これらの交渉の結果として、当初の提案よりも、より富士古河E&Cの少数株主に有利な本株式交換比率を引き出している。
また、富士電機に対する対案の提示に際しては、事前に本特別委員会の審議・検討を経た上で承認された交換比率が提示されたとともに、協議・交渉の進め方や富士電機に伝達すべき内容についても、本特別委員会において議論を尽くした上で富士古河E&Cに対する示唆・助言がなされ、富士古河E&Cにおいてもかかる示唆・助言を踏まえて対応方針が決定されるなど、富士電機との協議・交渉の過程においては本特別委員会の意見が適切に反映されていたといえる。
その他、富士古河E&Cは、本株式交換の諸条件について、富士古河E&Cの少数株主の利益保護の観点から慎重に協議・交渉を行っている。
(オ)本株式交換の交渉過程における特別利害関係人の不関与等
本取引に係る協議、検討及び交渉の過程で、富士古河E&C及び富士電機、その他の本取引に特別な利害関係を有する者が富士古河E&Cに不当な影響を与えたことを推認させる事実は認められない。
なお、富士古河E&Cの取締役のうち、日下高氏は7年前まで、澤田朋之氏は5年前まで富士電機に在籍しており、また菅井賢三氏は現在も富士電機の特別顧問の地位にあるため、利益相反を回避する観点から、日下高氏、菅井賢三氏、澤田朋之氏は、富士古河E&Cの立場で本株式交換に係る協議・交渉に参加していない。
他方、小田茂夫氏は、富士電機の出身者であるものの、富士電機に在籍していたのが10年以上前であり、現在富士電機グループの役職員を兼務しておらず、また、転籍後に富士電機から指示を受ける立場にないことから、本株式交換における富士古河E&Cの意思決定に関して利益相反のおそれがないものと判断し、富士古河E&C取締役会の審議及び決議に参加している。
また、富士古河E&Cの監査役のうち柏木隆宏氏は、富士古河E&Cの主要株主かつ第二位株主であり、本株式交換の実行により富士電機株式の割り当てを受けることとなる古河電気工業株式会社の非常勤顧問を現在も務めているため、利益相反を回避する観点から、富士古河E&Cの立場で本株式交換に係る協議・交渉に参加していない。
その他、本株式交換に係る協議、検討及び交渉の過程で、富士古河E&C側に富士電機又はそれらの特別利害関係人が影響を与えたことを推認させる事実は存在しない。
(カ)本特別委員会の意見の尊重
本特別委員会が、本株式交換の条件について妥当でないと判断した場合には、富士古河E&Cの取締役会は本株式交換を実行する旨の意思決定を行わないこととされていること、また、富士古河E&Cは、本株式交換に関する富士電機との協議及び交渉を行うに際して、上記(エ)のとおり、本特別委員会は、富士電機に対する協議及び交渉の進め方や富士電機に伝達すべき内容について、真摯に検討を行った上で、その結果を富士古河E&Cに示唆及び助言し、富士古河E&Cは本特別委員会の意見を最大限尊重し、本株式交換の検討に際して、本特別委員会の意見が適切に反映される形で進めていたことなどを踏まえると、本特別委員会の意見が十分に尊重される形で手続が行われていると認められる。
(キ)マーケット・チェックについて
富士古河E&Cは、本株式交換に際して、富士古河E&Cが富士電機以外の買収提案者(以下「対抗的買収提案者」という。)と接触することを禁止するような取引保護条項を含む合意等、対抗的買収提案者が富士古河E&Cとの間で接触することを制限するような内容の合意は一切行っておらず、本株式交換の公表後における対抗的買収提案者による買収提案の機会を妨げないこととすることにより、本株式交換の公正性の担保に配慮している(いわゆる間接的マーケット・チェック)。
また、本株式交換においては、いわゆる積極的マーケット・チェックが実施されていないものの、情報管理の観点等から実務上の問題があることに加え、本株式交換は富士古河E&C株式を間接保有分と合わせて約46.39%保有している富士電機による富士古河E&Cの完全子会社化取引であり、かつ、富士古河E&Cは対抗的買収提案者からの提案がなされた場合でも売却に応じる意向はないとのことであることを踏まえると、本件では積極的マーケット・チェックを実施する必要性が乏しいということができ、本株式交換の公正性を担保するために実施された各種措置の内容、その他本株式交換における具体的な状況に鑑みて、これを実施しなくとも本株式交換の公正性が阻害されることはないということができる。
(ク)小括
以上のような点を踏まえ、本特別委員会において、慎重に検討した結果、本株式交換の手続は公正であると判断するに至った。
オ.本株式交換が富士古河E&Cの少数株主にとって不利益でないことについて
上記イ.乃至エ.を踏まえ、本特別委員会において、慎重に検討した結果、本株式交換を行うことについての決定をすることは、富士古河E&Cの少数株主に不利益ではないと判断するに至った。
二.富士古河E&Cにおける利害関係を有しない取締役全員の承認及び監査役全員の異議がない旨の意見
本株式交換に関する議案を決議した本日開催の富士古河E&Cの取締役会においては、富士古河E&Cの取締役8名のうち、日下高氏、菅井賢三氏、澤田朋之氏を除く、他の5名の取締役により審議の上、その全員の賛成により本株式交換の実施を決議しております。なお、日下高氏は7年前まで、澤田朋之氏は5年前まで富士電機に在籍しており、また菅井賢三氏は現在も富士電機の特別顧問の地位にあるため、利益相反を回避する観点から、日下高氏、菅井賢三氏、澤田朋之氏は、富士古河E&Cの立場で本株式交換に係る協議・交渉に参加しておりません。
他方、小田茂夫氏は、富士電機の出身者であるものの、富士電機に在籍していたのが10年以上前であり、現在富士電機グループの役職員を兼務しておらず、また、転籍後に富士電機から指示を受ける立場にないことから、本株式交換における富士古河E&Cの意思決定に関して利益相反のおそれがないものと判断し、富士古河E&C取締役会の審議及び決議に参加しております。
また、上記の取締役会においては、富士古河E&Cの監査役4名のうち、柏木隆宏氏を除く3名が出席し、その全員が本株式交換を行うことにつき異議がない旨の意見を述べております。なお、柏木隆宏氏は、富士古河E&Cの主要株主かつ第二位株主であり、本株式交換の実行により富士電機株式の割り当てを受けることとなる古河電気工業株式会社の非常勤顧問を現在も務めているため、利益相反を回避する観点から、富士古河E&Cの立場で本株式交換に係る協議・交渉に参加しておりません。
(5)本株式交換の後の株式交換完全親会社となる会社の商号、本店の所在地、代表者の氏名、資本金の額、純資産の額、総資産の額及び事業の内容
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商号 |
富士電機株式会社 |
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本店の所在地 |
神奈川県川崎市川崎区田辺新田1番1号 |
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代表者の氏名 |
代表取締役会長CEO 北澤 通宏 代表取締役社長COO 近藤 史郎 |
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資本金の額 |
47,586百万円 |
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純資産の額 |
現時点では確定しておりません。 |
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総資産の額 |
現時点では確定しておりません。 |
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事業の内容 |
エネルギー、産業、輸送その他社会インフラに関する各種機器、システム及び半導体デバイス、自動販売機、店舗設備機器の開発、製造、販売、サービス並びにこれらに関するソリューションの提供 |
以 上