第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

(1) 会社の経営の基本方針

当社グループは、創業以来「事業の遂行を通じて広く社会の発展、人類の福祉に貢献すること」を使命とし、この使命達成のため「品質重視の考えに立ち、常に世界に誇る技術を開発、向上させる」「経営効率の向上に努め、企業の存続と発展に必要な利益を確保する」「市場志向の精神に従い、そのニーズにこたえるとともに、需要家への奉仕に徹する」の3項目を掲げ、その実現に努めることを経営理念といたしております。

また、グループ経営理念の実践に加え、環境問題や格差拡大など深刻化する社会問題への対応と社会全体の持続性への配慮を当社グループの経営方針として明確化するため、「サステナビリティ方針」を策定しております。このサステナビリティ方針では、「1. 最先端のメカトロニクス技術によるイノベーション創出で、お客さまをはじめ社会への価値創造に貢献」「2. 世界中のステークホルダーとの対話と連携を通じ、公正かつ透明性の高い信頼ある経営の実現」3. 世界共通の目標であるSDGsの達成を目指し、グローバルでの社会的課題の解決」の3つを方針として掲げています。

このような方針のもと、社会および顧客ニーズに高い次元でこたえる製品・サービスの提供や、従業員にとって働きがいのある会社づくりに取り組んでいます。これらにより、継続的な利益の創出を実現し、ステークホルダーのみなさまへの一層の還元を図るとともに、社会課題の解決を通じた持続可能な社会の実現と企業価値の向上に努めてまいります。

 

(2) 中長期的な会社の経営戦略

当社グループは、長期経営計画「2025年ビジョン」(2016年度~2025年度)においてメカトロニクスを軸とした「工場自動化・最適化」と「メカトロニクスの応用領域」を事業領域と定め、経営目標については営業利益を最も重要な経営指標と定め、「質」の向上にこだわることで経営体質の強化を目指しています。

この「2025年ビジョン」実現に向けて、2019年度より中期経営計画「Challenge 25」(2019年度~2021年度)を始動いたしましたが、その後、新型コロナウイルス感染症の影響によりグローバルで設備投資が抑制されるなど、想定よりも市況が悪化しました。この環境変化を受けて「Challenge 25」の最終年度を1年延長し、収益性向上を実現する新たな取り組みに加え、「Challenge 25 Plus」(2019年度~2022年度)とする見直しを2021年4月に行いました(※1)。

 

※1 「2025年ビジョン」および「Challenge 25 Plus」の詳細は、以下のURLからご覧いただくことができます。

2025年ビジョン:https://www.yaskawa.co.jp/wp-content/uploads/2019/06/Vision2025_Revision.pdf

Challenge 25 Plus:https://www.yaskawa.co.jp/wp-content/uploads/2021/04/Challenge25_Plus.pdf

 

■中期経営計画「Challenge 25 Plus」の基本方針/重点方策

① サステナビリティ課題の特定

 サステナビリティ方針に基づき、持続的に成長するための重要課題として「事業を通じた社会価値の創造と社会的課題の解決」と「サステナブルな社会/事業に寄与する経営基盤の強化」の2つを軸としたサステナビリティ課題・目標(マテリアリティ)を特定し、中期経営計画の方策へ展開を図っています。

 

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② 中期経営計画「Challenge 25 Plus」の基本方針/重点方策

(a) i3-Mechatronics(※2)によるビジネスモデル変革

(i)i3-Mechatronicsを実現する販売力の強化

(ⅱ)i3-Mechatronicsを実現する技術/製品開発の強化

(ⅲ)i3-Mechatronicsを実践する生産機能の強化

(ⅳ)i3-Mechatronicsの実践によるサービスの強化

※2 i3-Mechatronics(アイキューブ メカトロニクス):機械工学を表すメカニズムと、電気工学を表すエレクトロニクスを融合させた「Mechatronics(メカトロニクス)」に、3つの“i”(integrated:統合的、intelligent:知能的、innovative:革新的)を重ね合わせ、お客さまの工場の生産現場から経営課題の解決に貢献するソリューションコンセプト。2017年10月に発表

 

(b) i3-Mechatronicsを通じた成長市場での収益最大化

(i)「3C(※3)」を中心とした中国・アジア市場の攻略、「ニューインフラ(※4)」市場の開拓

(ⅱ)「自動車」完成車/部品メーカとの取り組み加速

(ⅲ)「半導体」製造装置市場での取り組み強化

※3 3C:コンシューマー向けデジタルコミュニケーション機器の略

(Computer、Communication、Consumer Electronicsの3語の頭文字から)

※4 ニューインフラ:次世代通信規格「5G」や「新エネルギー車」、「AI」などを含む7つの分野を中心に中国政府の主導により産業のデジタル化を急速に推進するもの

 

(c) サステナブルな社会/事業構築に向けた新領域への展開

(i)Energy Saving → 省エネ機器の高機能化と高効率モータの組み合わせによる高付加価値提案を通じて省エネの応用領域を拡大

(ⅱ)Clean Power  → サステナブルな社会構築に貢献するため、太陽光発電用パワーコンディショナ、風力発電用電機品、EV(電気自動車)向けモータドライブシステムなど当社の電力変換技術を生かし、未来に向けた技術の進化に挑戦

(ⅲ)Food & Agri  → 当社の強みである自動化技術を食品生産工程や農業分野向けの自動化ソリューションへ展開し、食の安定供給に貢献

(ⅳ)Humatronics  → 医療・福祉領域における自動化需要に対応したビジネスモデル構築により、人々の健康と生活を支援

 

(d) デジタル経営と品質経営を通じた経営効率の向上

 デジタル経営の推進により、コロナ禍に伴う市場変化に強い経営体質の強化に努めます。また、TQM(※5)の徹底により「業務品質と現場力の向上」を実現し、経営のさらなる効率化を目指します。

※5 TQM:Total Quality Management、組織全体として統一した品質管理目標を経営戦略へ適用したもの

 

(e) サステナブルな社会/事業に寄与する経営基盤の強化

 当社グループは事業活動を通じて特定したマテリアリティの解決により、様々な社会的課題の解決に貢献していくとともに、そのサステナブルな事業の推進および社会の構築に寄与する経営基盤の強化に努めます。

 

 

(3) 経営環境および優先的に対処すべき課題

 2021年度の当社グループを取り巻く経営環境は、新型コロナウイルス感染拡大の長期化などにより先行きが不透明な状況にあります。一方、生産活動の正常化がいち早く進んだ中国においては、スマートフォン等の電子機器向けの需要が増加しているほか、自動車市場においてはグローバルでEV化を加速する動きがみられます。また、製造業を中心に労働力不足の深刻化を背景とした生産の自動化が進むなど、当社製品を展開する主要市場においては着実な回復がみられています。

 このような状況下、当社は2019年度にスタートした中期経営計画「Challenge 25」(2019年度~2021年度)について最終年度を1年延長し、「Challenge 25 Plus」(2019年度~2022年度)として見直しを行いました。長期経営計画「2025年ビジョン」の達成に向け、以下のとおりソリューションコンセプト「i3-Mechatronics」によるビジネスモデルの変革、そして“YDX”(YASKAWA Digital Transformation:安川におけるDX推進)を通じたデジタル経営の実現を柱とした効率化と収益性拡大、さらには、持続可能な社会の実現に向けて掲げているサステナビリティ方針に基づいた活動を織り込み、より一層の企業価値の向上に努めてまいります。

 

① i3-Mechatronicsによるビジネスモデル変革

 「i3-Mechatronics」のソリューション提案力の強化を図るため、2021年度においては開発・生産・販売・サービス面において以下の取り組みを進めます。

 開発面においては、これまで事業部間で分散していた製品開発機能や生産技術機能を「安川テクノロジーセンタ」に集約します。基礎技術開発・生産技術開発から量産試作の実証、そして品質管理までの一貫した開発体制を構築することで、事業横断的かつタイムリーな製品開発を加速させます。また、ACサーボモータの新製品「Σ-X」(シグマ・テン)のラインアップ拡充による販売活動の本格化に加え、ロボットとACサーボモータの統合制御を可能にする「YRMコントローラ」の市場投入により、グローバルに「i3-Mechatronics」を浸透させていきます。

 生産面では、次世代生産工場「安川ソリューションファクトリ(埼玉県入間市)」の生産方式をグローバルに展開していきます。生産現場のデータ活用を通じた生産の効率化を図ると同時に、各工程の自動化などによって急激な需要変動に対応できるフレキシブルな生産システムの構築を進めます。

 販売面においては、トップセールスによる販売活動を継続し、お客さまの経営課題の把握に努めるとともに、ワンフェースによる事業横断的な営業の推進により、お客さまの要望に迅速かつ的確に応えていきます。

 サービス面では、データ分析による予兆診断をベースとしたフィールドサービスの充実化を図り、新たな高付加価値サービスの創出を目指します。

 

② i3-Mechatronicsを通じた成長市場での収益拡大

 高い成長が見込まれる3C市場において、中国などアジアのトップ企業との関係構築や協業強化を通じた販売活動を推進するとともに、急拡大するニューインフラ市場における需要の取り込みも加速していきます。また、回復基調にある自動車関連市場ではグローバルに展開する完成車・部品供給メーカの積極的な設備投資を捉えるために、ロボットを中心とした製品ラインアップの拡充を進め、ものづくりの効率・品質の向上に貢献していきます。

 半導体関連市場においては、市場競争力の高い製造装置メーカとのリレーション強化を図り、ニーズに的確に対応した製品の市場投入を行っていきます。

 

③ サステナブルな社会の構築に向けた新たな事業領域への展開

 サステナブルな社会の実現に向けて、新規領域における事業展開を加速させます。

 Energy Saving領域では、業界トップレベルのパワー変換技術を活用した省エネ機器の拡販を進め、脱炭素社会の実現を目指します。

 Clean Power事業では、未来に向けたクリーンな技術への取り組みを強化するとともに、新製品の拡販と収益安定化に向けた活動を加速させます。

 Food & Agri領域では、中食分野や農業分野におけるロボット活用を中心とした自動化を進めるとともに、野菜自動生産システムについては実証フェーズを完了させ、本格的な事業拡大を目指します。

 Humatronics機器事業では、バイオメディカルロボットのPCR検査工程への活用展開、ゲノム解析分野での事業化に向けた取り組みを強化していきます。

 

④ デジタル経営の推進

 開発・生産・販売のグローバルデータの一元化により、経営情報の見える化を加速すると同時に、統合されたデータの徹底した活用を通じて業務の効率化を図ります。また、市場品質情報を収集・一元化し、その情報を製品開発に確実にフィードバックする体制の構築を進めます。

 

 

(4) 目標とする経営指標

当社グループは「2025年ビジョン」において、営業利益を最も重要な経営指標に据え、過去最高となる1,000億円の営業利益の創出を目指しています。「(2) 中長期的な会社の経営戦略」に記載のとおり、当社グループは2019年度より「Challenge 25」を始動し、2021年度目標として、売上収益5,400億円、営業利益700億円(営業利益率13.0%)、ROEおよびROICを15.0%以上とする目標を設定いたしました。しかしながら、2019年度における米中貿易摩擦や、2020年度前半の世界的な新型コロナウイルス感染拡大の影響により、グローバルで設備投資が抑制され、当初想定していた市場の拡大は見られませんでした。

このような環境の変化を踏まえ、2021年4月9日に中期経営計画の最終年度を1年延長させるとともに、市場環境に即した新たな方策を加え、中期経営計画「Challenge 25 Plus」として見直しを行いました。

 

■「Challenge 25 Plus」における主な経営目標

 新型コロナウイルス感染症拡大の長期化により、不透明且つ変化が読みにくい市場環境にあります。このことから、当社グループにおける中期経営計画「Challenge 25 Plus」では、さらなる高収益体質の実現と資本効率の向上を目指し、2022年度をターゲットする中期戦略目標を設定しています。

 

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[参考] 2022年度の想定為替レート 1米ドル=110円、1ユーロ=130円

※6 ROE/Return on Equity (親会社所有者帰属持分当期利益率) = 親会社の所有者に帰属する当期利益/親会社の所有者に帰属する持分

※7 ROIC/Return on Invested Capital (投下資本利益率) = 親会社の所有者に帰属する当期利益/投下資本

 

なお、各セグメントにおける具体策については、それぞれ以下のとおりです。

 

〔モーションコントロール〕

ACサーボモータ・コントローラ事業においては、「i3-Mechatronics」を具現化する「YRMコントローラ」の市場投入によるソリューション提案力強化に加え、ACサーボモータの主力製品「Σ-X」の市場投入により、コンポーネントおよびソリューションの差別化をさらに加速し、収益の拡大を図ります。

インバータ事業においては、新インバータシリーズのラインアップ拡充を完了させるとともに、お客さまの機械を画期的に進化させる差別化機能を拡充することで、シェア向上を目指します。

また、「安川ソリューションファクトリ」の生産方式をグローバルの生産工場に展開させることで、さらなる体質強化を進めていきます。

 

 

〔ロボット〕

主力製品を展開する自動車関連市場においては、グローバルに展開する完成車・部品供給メーカへの拡販を進めます。成長が期待される3Cを中心とした一般産業向け市場や急拡大する中国でのニューインフラ市場においては、トップセールスによる販売活動を積極的に行い、お客さまとの協業・連携をこれまで以上に推進することで事業拡大を図っていきます。

また、中国・欧州の工場を最大限活用し、グローバル生産能力の最適化を図ることで、需要変動に強い生産体制の構築と、さらなる自動化推進による収益性の改善を進めていきます。

さらに、「i3-Mechatronics」を軸とした自立分散型の生産システム実現に向けた製品開発およびデジタルデータマネージメントの強化を推進し、自動化領域を拡大していきます。

 

〔システムエンジニアリング〕

環境・エネルギー分野においては、欧州を中心とした大型風力発電市場で主要なお客さまとの協業強化を図り、洋上風力発電案件の安定した受注獲得を目指します。

米州を中心とした太陽光発電市場では、パワーコンディショナの新製品XGI1500の売上拡大を図ります。

鉄鋼プラントシステム・社会システム分野では、グループ内で実施した事業再編により経営のさらなる効率化を進めます。また、国内の公共事業関連のビジネスにおいて、AI・IoT技術による新たな取り組みを加速させると同時に、民間ビジネスなどの獲得を通じた高収益体質化を目指します。

 

2【事業等のリスク】

当社は、経済・市場の状況等を含む経営の遂行状況にかかるリスクについては、経営会議等の執行会議および取締役会においてモニタリングしています。加えて、当社グループに発生する可能性のあるリスクに迅速かつ的確に対処することを目的に危機管理基本規程を定め、この規程に従い危機管理委員会を設置しています。危機管理委員会では、リスク管理体制の整備に関する事項やリスク管理教育の企画・推進およびリスクが発生した場合の各種対応などを実施しています。また、これらのリスク管理状況は経営会議等の執行会議および取締役会に適宜報告しています。

当社グループの業績、財務状況等に影響を及ぼす可能性のある主なリスクは以下のとおりです。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

(1) 新型コロナウイルス感染症の影響にかかるリスク

当社グループは、新型コロナウイルス感染症の影響がでている国・地域で事業を展開しています。新型コロナウイルス等による感染症の拡大・長期化に伴う需要減少等により当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループの従業員や家族等に感染者が発生した場合、当社グループの生産をはじめとした事業活動等に影響を及ぼす可能性があります。部品調達先の所在する国・地域においてロックダウン(都市封鎖)や非常事態宣言等が行われた場合は、当社グループやサプライヤーにおける部品調達等に影響が起きる可能性があります。その結果、当社グループおよびサプライヤーの生産および製品納入の遅延につながる可能性があります。また、感染症拡大によるお客さまの事業活動への影響を通じて需要が減少し、当社グループの受注・売上が減少する可能性があります。

このような新型コロナウイルス感染症拡大に起因するリスクに対して、当社グループは2020年1月下旬に対策本部を立ち上げ、テレワークの実施等を含めた感染対策の社内徹底など社員の安全確保と事業継続に向けた適切な対策を講じ、被害を最小限に留める取り組みを行っています。また、当社グループではコロナ禍における不透明な先行き状況を踏まえ、必要な成長投資を除く経費について徹底した削減を継続していきます。同時に、コロナショック後のニューノーマルにおける新たな自動化需要を事業機会として取り込むことで業績拡大に努めていきます。

 

(2) 世界経済の状況、各国における不確実性および当社製品の関わる市場動向にかかるリスク

当社グループは、持続的な事業拡大に向けて日本国内および米州、欧州、アジアをはじめグローバルで積極的な事業展開を図っています。当社グループの2021年2月期の売上収益における海外比率は65%であり、海外における情勢の変化は当社の企業活動に大きな影響を与えます。その中でも特に中国の比率は25%となっています。

このような事業を行う海外の各国では政治的変動、経済・市場動向、予期できない法規の改正、宗教・文化等の相違等により、政治的、経済的もしくは法的な不確実性を伴います。これらが顕在化した場合、当社グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

また、当社グループの主要製品であるACサーボモータおよびコントローラ、アーク溶接ロボット、スポット溶接ロボット、塗装ロボット等および半導体・液晶製造装置用クリーン・真空搬送ロボットは、半導体、自動車、液晶、電子部品等の各関連業界の設備投資および生産動向に大きな影響を受けます。これらの業界動向が悪化した場合は、当社グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

このような世界経済の状況や各国における不確実性および当社製品の関わる市場動向にかかるリスクに対して、i3-Mechatronicsを軸としたデータマネジメントを含む新たなソリューションの提供を通じ、工場自動化分野におけるさらなる事業拡大に注力していきます。加えて、社会の持続発展に向けたメカトロニクス応用領域で新たな事業および市場の創出を進め、事業の拡大ならびに安定化に努めていきます。

また、現地生産や現地調達の推進に加えて、“YDX”(YASKAWA Digital Transformation:安川におけるDX推進)の加速により、市場変化をリアルタイムでモニタリングし、柔軟且つ迅速に対応できる経営基盤の強化を図ることで、需要変動や地政学リスク等のリスク発生時の影響を最小限に留めるように努めています。

 

(3) 為替相場の変動にかかるリスク

当社グループはグローバルで事業展開し、その取引先は世界各地にわたるため、為替相場の変動リスクにさらされています。当社グループは、米ドル、ユーロ、中国人民元等の現地通貨建てで製品・サービスの販売・提供および原材料・部品の購入を行っていることに加え、現地通貨建ての製品輸出を行っており、想定以上の為替相場の変動は製品の競争力を弱めるなど、当社グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループは現地通貨で表示された資産および負債を保有していることから、為替相場の変動は円建てで報告される当社グループの財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

なお、2021年2月28日に終了した連結会計年度の為替感応度(実績為替平均レート(米ドル:106.0円、ユーロ:122.8円、中国人民元:15.55円、韓国ウォン:0.091円)から1%変動した場合の業績影響額)は、売上収益については、米ドル:約6.9億円、ユーロ:約5.6億円、中国人民元:約9.4億円、韓国ウォン:約2.0億円となり、営業利益については、米ドル:約1.5億円、ユーロ:約0.7億円、中国人民元:約3.0億円、韓国ウォン:約1.3億円となります。

このような為替変動にかかるリスクへの対応として、当社グループでは、先物為替予約契約や為替ヘッジを実行することに加え、現地生産や現地調達の推進などを通じ、為替変動に強い収益構造の構築に取り組んでいます。

 

(4) 原材料の調達にかかるリスク

当社グループは鋼材等の原材料や各種部品を多数の取引先から調達していますが、調達価格の高騰や業界の需要増によっては継続的に必要量を入手できない可能性があります。さらに、取引先において、自然災害、感染症の流行、事故、経営状況の悪化等により、当社グループに対する部品や原材料等の安定的な提供が困難になる可能性があります。

また、サプライチェーンにおける紛争鉱物への対応や環境への配慮などの高まる社会的要求に対し、より高度な対応が求められています。部品等の仕入先に対応不備があれば、部品等の調達や当社製品の販売にも影響を与えます。この結果、当社グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

これらの調達にかかるリスクに対し、当社グループは取引先との対話を通じた信頼関係の構築、グローバルでの調達先の分散を図るとともに、適正な在庫水準の確保と現地生産・現地調達の推進を通じた需要変動への対応、国内および主要海外拠点における事業継続計画(BCP)策定による災害リスク等への対応を強化するなど調達機能の強化に努めています。

 

(5) 競争の激化にかかるリスク

当社グループの事業分野においては、それぞれの分野で強力な競合相手が存在します。特に価格面で競争激化に直面し、当社グループ製品のシェアの高い分野においても、将来にわたり競争優位性を保てるという保証はありません。このため競合企業との価格面における激しい競争が発生した場合は、当社グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループの製品等は、技術および品質等における競争力を確保するため、適時・適切な製品投入を行う必要があります。当社グループが提供する製品等の競争力が相対的に脆弱である場合や、製品投入時期が適切でない場合等に、当社グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

このような競争の激化にかかるリスクへの対応として、当社グループは、安川テクノロジーセンタの設立をはじめとして研究開発の継続的な強化を図るとともに、i3-Mechatronicsを通じたお客さまにとって最適なソリューションの提供により、製品・サービスの差別化および高付加価値化に努めています。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

(1) 2019年度~2021年度中期経営計画「Challenge 25」に関する認識および分析・検討内容

 経営指標の進捗につきましては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4) 目標とする経営指標」に記載しております。

 

(2) 経営者による経営成績(P/L)の分析

① 概況

当期における当社グループの経営環境は、上期を中心に世界的な新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、製造業全般で設備投資が抑制されました。しかしながら、中国においては生産活動の正常化がいち早く進み、ニューインフラ関連の投資が積極的に行われたほか、期末にかけて自動車・半導体市場を中心にグローバルで需要が回復するなど、設備投資を拡大する動きがみられました。

このような環境において当社グループの業績は、ACサーボモータ・コントローラ事業において中国での販売が好調に推移したほか、中国以外の地域の売上も期末にかけて回復しました。その一方で、上期にロボット事業のお客さまを中心にグローバルで設備投資が抑制されたことに加え、インバータ事業におけるオイル・ガス関連の需要低迷の影響もあり、全体の売上収益は前年同期比で減少しました。

利益面においては売上減少による影響を受けたものの、経費削減の徹底などにより収益性は改善し、営業利益は前年同期比で増加しました。

 

なお、当期における当社グループの地域別の経営環境は以下のとおりです。

日 本:    上期を中心に製造業全般で設備投資を抑制する動きが続いたものの、期末にかけて自動車や半導体・電子部品関連市場が回復しました。

米 国:    半導体市場の設備投資が継続し、自動車市場も期末にかけて回復基調に転じましたが、通期ではオイル・ガス関連を中心に需要は低調に推移しました。

欧 州:    上期を中心に需要は低迷しましたが、期末にかけて経済の正常化が進み、自動車をはじめ製造業全般で設備投資を再開する動きがみられました。

中 国:    製造業全般で生産活動の正常化がいち早く進み、5Gや新エネルギー関連などへの投資が積極的に行われました。また、自動車市場においても下期にかけてメーカ各社が設備投資を拡大する動きがみられました。

中国除くアジア:アセアンを中心に自動車市場などで設備投資を抑制する動きが継続した一方、韓国や台湾などで半導体・液晶関連の設備投資が期末にかけて急回復しました。

 

この結果、当連結会計年度の経営成績は以下のとおりです。

 

2019年度

(2020年2月期)

2020年度

(2021年2月期)

前年同期比

売上収益

4,109億57百万円

3,897億12百万円

△5.2%

営業利益

241億98百万円

271億80百万円

+12.3%

親会社の所有者に帰属する

当期利益

155億72百万円

189億27百万円

+21.5%

米ドル平均レート

109.03円

105.99円

△3.04円

ユーロ平均レート

121.37円

122.82円

+1.45円

中国人民元平均レート

15.70円

15.55円

△0.15円

韓国ウォン平均レート

0.093円

0.091円

△0.002円

 

② セグメント別の状況

当社グループでは、事業内容を4つのセグメントに分けています。

当連結会計年度の各セグメントの経営成績は以下のとおりです。

モーションコントロール

売上収益   1,760億14百万円   (前年同期比   △2.5% )

営業損益     245億76百万円   (前年同期比  +19.6% )

モーションコントロールセグメントは、ACサーボモータ・コントローラ事業とインバータ事業で構成されています。

ACサーボモータ・コントローラ事業においては中国・アジアの売上が増加した一方、インバータ事業では米国を中心に販売が伸び悩みました。この結果、セグメント全体では前年同期比で僅かに減収となりましたが、中国の売上伸長に伴う収益性の改善や各地域における経費抑制の効果により営業利益は増加しました。

〔ACサーボモータ・コントローラ事業〕

中国において5Gや新エネルギーなどニューインフラ関連の需要増加により売上が伸長したことに加え、グローバルでスマートフォンやデータセンタ向けなどの半導体・電子部品需要が旺盛だったことから、販売は堅調に推移しました。

〔インバータ事業〕

期末にかけて受注は回復基調にあるものの、米国のオイル・ガス市場が大きく落ち込んだことから、売上は減少しました。

ロボット

売上収益   1,394億94百万円   (前年同期比   △8.3% )

営業損益      69億 7百万円   (前年同期比   +6.2% )

ロボットセグメントの主要市場である自動車では、期末にかけてグローバルで設備投資が回復したものの、上期において新型コロナウイルスの影響を大きく受け売上は伸び悩みました。その一方で半導体ロボットの販売が堅調に推移したほか、一般産業分野においても中国を中心に自動化ニーズの拡大を背景とした設備投資の動きがみられました。

利益面では自動車市場の回復に加え経費削減に努めたことから、営業利益は前年同期比で増加しました。

システムエンジニアリング

売上収益     507億63百万円   (前年同期比   △8.6% )

営業損益    △10億30百万円   (前年同期比  14億99百万円悪化)

システムエンジニアリングセグメントは、環境・社会システム事業と、産業用オートメーションドライブ事業で構成されています。

セグメント全体の売上収益は国内を中心に前年同期比で減少しました。利益面においては構造改革などにより収益性の改善に努めましたが、期末に一時的な製品改修コストの引き当てを行ったことから、営業利益は前年同期比で減少しました。

〔環境・社会システム事業〕

太陽光発電用パワーコンディショナの販売が伸び悩んだ一方、大型風力発電用電機品および上下水道用電気システム関連の売上は堅調に推移しました。

〔産業用オートメーションドライブ事業〕

鉄鋼プラント関連は、国内での設備投資延期の影響を受け、売上が伸び悩みました。

その他

売上収益     234億40百万円   (前年同期比   +2.8% )

営業損益       3億 1百万円   (前年同期比   3億21百万円改善)

その他セグメントは、物流サービス事業などで構成されています。

前年同期に対し、売上収益は回復し、営業利益は経費抑制などにより改善しました。

 

(3) 経営者による財政状態およびキャッシュ・フローの状況の分析

① 資本の財源および資金の流動性にかかる情報

(a) 資産、負債および資本(B/S)構造に関する基本的な考え方

(ア) 流動資産(手元現預金など)

当社グループは、キャッシュがグローバルで分散し余剰にならないようにコントロールするとともに、手元現預金を月商1~2ヵ月程度の水準にキープすることを基本としています。

ただし、現下の経済情勢を考慮し、有事に備えてコミットメントラインを100億円確保するとともに、手元現金の水準を高めにしておくことで、安全性をより意識した運用を行います。

(イ) 非流動資産(成長投資、M&Aなど)

将来の成長と生産性向上に寄与するような投資は積極的に実施します。現中期経営計画「Challenge 25 Plus」の期間においては、売上収益の6~7%を設備投資およびM&Aに充当する方針です。M&Aについては、価値創造能力の強化に向けた技術補完を主目的とします。

(ウ) 資本構成

前中期経営計画「Dash 25」では、親会社所有帰属持分比率(日本基準においては自己資本比率)を向上させ有利子負債を圧縮してきましたが、これにより資本構成の改善に目途がついたこともあり、現中期経営計画ではネットDEレシオを一定水準にコントロールし、信用格付けを維持できる範囲でレバレッジを活用しながら企業価値の最大化を図ります。

 

(b) キャッシュアロケーションに関する基本的な考え方

当社は、営業活動により生み出したキャッシュを①成長投資、②株主還元、③従業員配分の3方向に効果的に投入することで、持続的な成長を実現することを基本方針としています。

(ア) 成長投資

当社グループの中長期の成長実現に向け、売上収益の4~5%を研究開発に投資します。

また、設備とM&Aに合わせて売上収益の6~7%を投資する方針ですが、2020年度は新型コロナウイルス感染症拡大が世界景気に与える影響を注視しながら、技術開発の新拠点である安川テクノロジーセンタ(2021年3月開設)などの利益を生み出す投資に厳選して実施しています。この中には、2025年度までのデジタル経営基盤構築に向けた投資も含まれています。

(イ) 株主還元

当期利益に対し30%+αの配当性向を想定した経営を実践しています。計画に対し利益が増減した場合は、その期に生み出したキャッシュの状況に鑑み配当額を調整します。利益が減少した場合でも、キャッシュが確保できる限りにおいては安定配当を基本とし、可能な限り計画に沿って還元する方針です。利益が上振れてキャッシュが想定以上に創出された場合は、追加の還元策も検討します。

(ウ) 従業員配分

事業遂行の一番の要となる従業員に対しては適正な配分を行っていく考えです。

監査等委員でない取締役および執行役員の役員報酬は元より、管理職の賞与についても業績連動性を高めています。管理職賞与は営業利益率10%を基準値として算定し、上限・下限の限度額を設定せず、利益還元を図っています。また、役員報酬および管理職賞与の算定においては、ベンチマーク他社比での業績改善度合いの優劣を考慮することとしており、他社より高い利益成長を実現していくためのインセンティブを高めています。

一般従業員の賞与については、利益が減少した際の下限は設定しながら、営業利益率が10%を超えた場合は上限を設定しない方針を2020年度から実施しています。これにより、全社的な利益率への意識向上を図っています。

また、新しい寮の整備など、従業員のための福利厚生に対する投資も充実を図っています。

 

② 資産、負債および資本(B/S)の状況

(a) 資産  4,874億28百万円(前期末比 373億0百万円増加)

現金及び現金同等物や営業債権等の増加等により、流動資産が前期末に比べ222億15百万円増加しました。また、有形固定資産やその他の金融資産等が増加し、非流動資産が前期末に比べ150億85百万円増加しました。

 

(b) 負債  2,378億67百万円(前期末比 189億7百万円増加)

短期借入金等が減少した一方で、その他の金融負債や営業債務、その他の流動負債等が増加し、流動負債は前期末に比べ160億2百万円増加しました。また、引当金やリース負債等が増加し、非流動負債は前期末に比べ29億4百万円増加しました。

 

(c) 資本  2,495億61百万円(前期末比 183億93百万円増加)

利益剰余金やその他の資本の構成要素等が増加しました。

 

③ キャッシュ・フロー(C/F)の状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物は509億53百万円(前期末比で106億45百万円増)となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりです。

 

(a) 営業活動によるキャッシュ・フロー

法人所得税の支払や営業債権の増加等による支出の一方、税引前当期利益や減価償却費の計上および営業債務の増加等による収入により、396億2百万円の収入(前年同期比 181億21百万円の収入増)となりました。

 

(b) 投資活動によるキャッシュ・フロー

有形固定資産及び無形資産の取得による支出等により、96億1百万円の支出(前年同期比 110億44百万円の支出減)となりました。

 

(c) 財務活動によるキャッシュ・フロー

短期借入金の純減や長期借入金の返済、配当金の支払等による支出の一部を長期借入により調達し、202億84百万円の支出(前年同期比 207億76百万円の支出増)となりました。

 

※営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローを合算したフリー・キャッシュ・フローは300億0百万円の収入となりました。

 

(4) 生産、受注および販売の実績

当社グループの生産・販売品目は広範囲にわたりかつ多種多様であり、同種の製品であっても、その容量、構造、形式等は必ずしも一様ではなく、また受注生産形態をとらない製品も多く、セグメントごとに生産規模および受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。

このため、生産および受注の実績については、「(2) 経営者による経営成績(P/L)の分析」におけるセグメントの経営成績に関連づけて記載しております。

また、販売の実績については、「(2) 経営者による経営成績(P/L)の分析」におけるセグメントの経営成績に関連づけて、連結の数字を示しております。

 

(5) 重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定

 IFRSに準拠した連結財務諸表の作成にあたり、期末日現在の資産・負債の金額、偶発的な資産・負債の開示および報告対象期間の収益・費用の金額に影響を与える様々な見積りや仮定を用いており、実際の結果は、これらの見積りと異なる場合があります。

 なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針、会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針の要約 4.重要な会計上の見積りおよび判断」に記載しております。

 

4【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

5【研究開発活動】

当社は、「電動機(モータ)とその応用」を事業領域に定め、“世界初”“世界一”にこだわった製品・技術の研究開発をグローバルな体制で行っています。長期経営計画「2025年ビジョン」では、メカトロニクスを軸とした「工場自動化・最適化」と「メカトロニクスの応用領域」を事業領域に設定し、新しい価値と市場の創造を目指しています。

「工場自動化・最適化」では、これまでのソリューションに「デジタルデータのマネジメント」を加えたコンセプト「i3-Mechatronics(※1)」を軸とした産業自動化革命の実現に向け、メカトロニクス技術とICTの融合により、新しい自動化ソリューションの開発を継続しています。安川ソリューションファクトリ(埼玉県入間市)においては、データの収集・視える化、そして、蓄積・解析を一括して行うことができるソフトウェアツール「YASKAWA Cockpit(※2)」の実証を進めています。

「メカトロニクスの応用領域」では、メカトロニクス技術が応用できる分野を探索・実証しながら、事業化を見極めていきます。特に、Energy Saving分野(省エネ機器・高効率モータ)、Food & Agri分野(野菜生産システム・食品工場自動化)、Clean Power分野(風力/太陽光発電・電気自動車)、Humatronics分野(リハビリ機器・バイオメディカル用ロボット)に焦点を当てて取り組んでいます。

さらに、お客さまの要求に対してスピーディに対応できる体制を構築するために、基礎技術開発から量産試作までを一貫した開発拠点「安川テクノロジーセンタ」の開設(2021年3月開設)に向けて準備を整えました。

以上の取り組みにより当連結会計年度の研究開発費は17,851百万円となりました。

 

〔研究開発分野〕

長期経営計画「2025年ビジョン」の実現に向け、2020年度はソリューションコンセプト「i3-Mechatronics」の具体化に向けた研究開発に取り組みました。IoTを軸とする新製品・新技術開発、AI技術を製品に反映させるため、オープンイノベーションのさらなる強化を進めています。2020年7月、当社と株式会社YE DIGITALは、「i3-Mechatronics」を軸とした製造業向けのIoTソリューションの強化を図るため、合弁会社「株式会社アイキューブデジタル」を設立しました。

同じく2020年4月には、国立大学法人東京工業大学と「YASKAWA未来技術共同研究講座」を開設し、10年後の超軽量人協働ロボットの実現をゴールとした超軽量アクチュエータの共同研究を開始しました。2021年3月に開設した安川テクノロジーセンタ内では、国立大学法人九州工業大学との次世代ロボット共同開発も本格化します。

また、クラリベイト・アナリティクス(本社:米国フィラデルフィア)が独自に知財・特許動向を分析し、世界で最も革新的な企業・機関100社を選考する「Derwent Top100グローバル・イノベーター2020」に5年連続で選出されました。

当分野の研究開発費は3,932百万円です。

 

〔モーションコントロール分野〕

「i3-Mechatronics」で掲げる3つのiの一つ「integrated(統合的)」の強化のため、従来と比べて伝送効率が4倍の産業ネットワーク「MECHATROLINK-4」に対応したACサーボドライブ「Σ-7シリーズ」およびマシンコントローラ「MP3000シリーズ」を製品化し、生産現場の設備や装置から検出されるビッグデータの種類や量を大幅に向上しました。さらに、業界最高のモーション性能とデジタルデータソリューションを提供するACサーボドライブ新シリーズ「Σ-X」を開発しました。

また、ACサーボモータは1983年の市場投入以来、累積出荷台数2,000万台、インバータは1974年の世界初のトランジスタインバータを出荷して以来、累積出荷台数3,000万台を達成しました。

当分野の研究開発費は8,521百万円です。

 

〔ロボット分野〕

高速通信規格「5G」普及などによる半導体の設備投資拡大で需要増加が続く半導体製造装置用途として、当社のACサーボモータ「Σ-7シリーズ」のダイレクトドライブモータを採用した半導体ウエハ搬送用クリーンロボット「SEMISTAR-GEKKO MD124D」を開発しました。従来機種に比べて位置決め精度や振動発生を大幅に改善することにより、微細化や多層化など半導体製造プロセスの進化でますます高まるウエア搬送への要求に応えました。

主に電気・電子部品を始めとした3C(コンピューター・家電製品・通信機器)市場および三品(食品・医療品・化粧品)市場に向けては、クラス最高の動作性能を持つ小型ロボット「MOTOMAN-GP4」(可搬質量4kg)をラインアップに加え、多様化する一般産業分野のお客さまのニーズに応えるとともに「i3-Mechatronics」の提案力強化を目指しました。

また、自動化ニーズの高まる物流業界などでの箱詰めや箱積み工程に適用されるパレタイジングロボット4機種を製品化しました。MOTOMAN-PL190(可搬質量190kg)、320(可搬質量320kg)の2機種については、可搬質量の向上とともに大幅な形状のスリム化を実現しました。

産業用ロボットMOTOMAN(モートマン)は、1977年に市場投入以来、累積出荷台数50万台を達成しました。

当分野の研究開発費は4,244百万円です。

 

〔システムエンジニアリング分野〕

環境・エネルギー分野においては、産業用高圧と発電事業者用特別高圧の2つの領域で適用できる高電圧かつ高出力の分散型太陽光発電用パワーコンディショナ「XGI1500 150kW」を開発し日本市場に投入しました。

当分野の研究開発費は1,152百万円です。

 

※1 i3-Mechatronics(アイキューブ メカトロニクス):機械工学を表すメカニズムと、電気工学を表すエレクトロニクスを融合させた「Mechatronics(メカトロニクス)」に、3つの“i”(integrated:統合的、intelligent:知能的、innovative:革新的)を重ね合わせ、お客さまの工場の生産現場から、経営課題の解決に貢献するソリューションコンセプト。2017年10月に発表。

※2 YASKAWA Cockpit(安川コックピット):「i3-Mechatronics」コンセプトを実現するソフトウェアソリューション