第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

(1) 会社の経営の基本方針

当社グループは、創業以来「事業の遂行を通じて広く社会の発展、人類の福祉に貢献すること」を使命とし、この使命達成のため「品質重視の考えに立ち、常に世界に誇る技術を開発、向上させる」「経営効率の向上に努め、企業の存続と発展に必要な利益を確保する」「市場志向の精神に従い、そのニーズにこたえるとともに、需要家への奉仕に徹する」の3項目を掲げ、その実現に努めることを経営理念といたしております。

また、グループ経営理念の実践に加え、環境問題や格差拡大など深刻化する社会問題への対応と社会全体の持続性への配慮を当社グループの経営方針として明確化するため、「サステナビリティ方針」を策定しております。このサステナビリティ方針では、「1. 最先端のメカトロニクス技術によるイノベーション創出で、お客さまをはじめ社会への価値創造に貢献」「2. 世界中のステークホルダーとの対話と連携を通じ、公正かつ透明性の高い信頼ある経営の実現」「3. 世界共通の目標であるSDGsの達成を目指し、グローバルでの社会的課題の解決」の3つを方針として掲げています。

このような方針のもと、社会および顧客ニーズに高い次元でこたえる製品・サービスの提供や、従業員にとって働きがいのある会社づくりに取り組んでいます。これらにより、継続的な利益の創出を実現し、ステークホルダーのみなさまへの一層の還元を図るとともに、社会課題の解決を通じた持続可能な社会の実現と企業価値の向上に努めてまいります。

 

(2) 中長期的な会社の経営戦略

当社グループは、長期経営計画「2025年ビジョン」(2016年度~2025年度)においてメカトロニクスを軸とした「工場自動化・最適化」と「メカトロニクスの応用領域」を事業領域と定め、経営目標については営業利益を最も重要な経営指標と定め、「質」の向上にこだわることで経営体質の強化を目指しています。

この「2025年ビジョン」実現に向けて、2019年度より中期経営計画「Challenge 25」(2019年度~2021年度)を始動いたしましたが、その後、新型コロナウイルス感染症の影響によりグローバルで設備投資が抑制されるなど、想定よりも市況が悪化しました。この環境変化を受けて「Challenge 25」の最終年度を1年延長し、収益性向上を実現する新たな取り組みに加え、「Challenge 25 Plus」(2019年度~2022年度)とする見直しを2021年4月に行いました(※1)。

 

※1 「2025年ビジョン」および「Challenge 25 Plus」の詳細は、以下のURLからご覧いただくことができます。

2025年ビジョン:https://www.yaskawa.co.jp/wp-content/uploads/2019/06/Vision2025_Revision.pdf

Challenge 25 Plus:https://www.yaskawa.co.jp/wp-content/uploads/2021/04/Challenge25_Plus.pdf

 

■中期経営計画「Challenge 25 Plus」の基本方針/重点方策

① サステナビリティ課題の特定

 サステナビリティ方針に基づき、持続的に成長するための重要課題として「事業を通じた社会価値の創造と社会的課題の解決」と「サステナブルな社会/事業に寄与する経営基盤の強化」の2つを軸としたサステナビリティ課題・目標(マテリアリティ)を特定し、中期経営計画の方策へ展開を図っています。

 

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② 中期経営計画「Challenge 25 Plus」の基本方針/重点方策

(a) i3-Mechatronics(※2)によるビジネスモデル変革

(i)i3-Mechatronicsを実現する販売力の強化

(ⅱ)i3-Mechatronicsを実現する技術/製品開発の強化

(ⅲ)i3-Mechatronicsを実践する生産機能の強化

(ⅳ)i3-Mechatronicsの実践によるサービスの強化

※2 i3-Mechatronics(アイキューブ メカトロニクス):機械工学を表すメカニズムと、電気工学を表すエレクトロニクスを融合させた「Mechatronics(メカトロニクス)」に、3つの“i”(integrated:統合的、intelligent:知能的、innovative:革新的)を重ね合わせ、お客さまの工場の生産現場から経営課題の解決に貢献するソリューションコンセプト。2017年10月に発表

 

(b) i3-Mechatronicsを通じた成長市場での収益最大化

(i)「3C(※3)」を中心とした中国・アジア市場の攻略、「ニューインフラ(※4)」市場の開拓

(ⅱ)「自動車」完成車/部品メーカとの取り組み加速

(ⅲ)「半導体」製造装置市場での取り組み強化

※3 3C:コンシューマー向けデジタルコミュニケーション機器の略

(Computer、Communication、Consumer Electronicsの3語の頭文字から)

※4 ニューインフラ:次世代通信規格「5G」や「新エネルギー車」、「AI」などを含む7つの分野を中心に中国政府の主導により産業のデジタル化を急速に推進するもの

 

(c) サステナブルな社会/事業構築に向けた新領域への展開

(i)Energy Saving → 省エネ機器の高機能化と高効率モータの組み合わせによる高付加価値提案を通じて省エネの応用領域を拡大

(ⅱ)Clean Power  → サステナブルな社会構築に貢献するため、太陽光発電用パワーコンディショナ、風力発電用電機品、EV(電気自動車)向けモータドライブシステムなど当社の電力変換技術を生かし、未来に向けた技術の進化に挑戦

(ⅲ)Food & Agri  → 当社の強みである自動化技術を食品生産工程や農業分野向けの自動化ソリューションへ展開し、食の安定供給に貢献

(ⅳ)Humatronics  → 医療・福祉領域における自動化需要に対応したビジネスモデル構築により、人々の健康と生活を支援

 

(d) デジタル経営と品質経営を通じた経営効率の向上

 デジタル経営の推進により、コロナ禍に伴う市場変化に強い経営体質の強化に努めます。また、TQM(※5)の徹底により「業務品質と現場力の向上」を実現し、経営のさらなる効率化を目指します。

※5 TQM:Total Quality Management、組織全体として統一した品質管理目標を経営戦略へ適用したもの

 

(e) サステナブルな社会/事業に寄与する経営基盤の強化

 当社グループは事業活動を通じて特定したマテリアリティの解決により、様々な社会的課題の解決に貢献していくとともに、そのサステナブルな事業の推進および社会の構築に寄与する経営基盤の強化に努めます。

 

 

(3) 経営環境および優先的に対処すべき課題

 2022年度の当社グループを取り巻く経営環境は、ロシア・ウクライナ問題をはじめとする地政学リスクの高まりや、新型コロナの感染拡大の長期化など、先行きが不透明な状況にあります。

 製造業全般では、昨年度に発生した半導体を中心とする部品不足の長期化による生産制約が継続していますが、人手不足への対応や生産の高度化・自動化を目的とした積極的な設備投資を背景に、当社の主要市場は総じて好調な状況にあります。特に、自動車市場におけるEV(電気自動車)化やリチウムイオン電池関連などの設備投資の加速、そして5Gや新エネルギーなどのニューインフラ投資拡大や、グローバルでは半導体・電子部品市場の拡大が継続する見込みです。

 このような状況下、中期経営計画「Challenge 25 Plus」(2019年度~2022年度)の最終年度となる今年度においては、長期経営計画「2025年ビジョン」の目標達成に向けて、ソリューションコンセプト「i3-Mechatronics」によるビジネスモデルの変革ならびに成長市場における収益拡大、そして、YDX(Yaskawa Digital Transformation)を通じた効率化と収益性の拡大、さらには、持続可能な社会の実現に向けて掲げているサステナビリティ方針に基づいた活動の推進を通じ、新たな事業領域への展開を加速しながら、より一層の企業価値の向上に努めてまいります。

 

 i3-Mechatronicsによるビジネスモデル変革については、開発・生産・販売・サービスの強化を通じて、ソリューション提案力のさらなる向上を図ります。

 開発面においては、各事業部に分散していた製品開発機能や生産技術機能を集約した「安川テクノロジーセンタ」を中心に、部門横断開発とオープンイノベーションを加速させ、タイムリーかつこれまで以上にお客さまのニーズに応えられる製品開発を加速させていきます。ACサーボモータの新製品「Σ-X」(シグマ・テン)のラインアップ拡充に加え、ロボットとACサーボモータの統合制御を可能にする「YRM-Xコントローラ」による、セル(生産工程における複数のユニットのかたまり)を最適化させるソリューションの提供を本格化させていきます。

 生産面では、次世代生産工場「安川ソリューションファクトリ(埼玉県入間市)」の生産方式をグローバルの各生産拠点に展開し、生産現場のデータ活用を通じた生産効率化を図ると同時に、急激な需要変動に対応できるフレキシブルかつサステナブルな生産システムの構築を進めます。

 販売面においては、トップセールスによる販売活動を継続し、販売パートナーとの連携を強化することで、お客さまの付加価値向上を実現する包括的なソリューションの提供を強化し、サービス面では、データ分析による予見・予兆診断をベースとしたフィールドサービスの充実化を図り、お客さまの設備を止めない高付加価値なサービスの実現を目指していきます。

 

 i3-Mechatronicsを通じた成長市場での収益拡大については、当社の主要市場の一つである自動車市場のEV(電気自動車)化による積極的な設備投資需要をグローバルで捉えるべく、ロボットを中心とした製品ラインアップの拡充に努めていきます。また、EV化に伴い急拡大するリチウムイオン電池関連の新たな需要についても、安川グループの総合力を結集させ積極的なアプローチで需要を着実に捕捉していきます。

 また、今後も高い成長が見込まれる半導体関連市場を始め、3C市場、5Gや新エネルギーを中心とするニューインフラ市場では、中国などアジアのトップメーカーとの関係構築や協業を通じた販売活動の強化を図り、急拡大する需要の確実な取り込みを推進します。

 

 サステナブルな社会の構築に向けた新たな事業領域への展開については、Energy Saving領域におけるインバータや高効率モータなどの省エネ機器の拡販を進め、脱炭素社会の実現に寄与していきます。Clean Power事業では、太陽光発電における自家消費市場向けの需要獲得に向けた新製品の投入・拡販を中心に、収益安定化に向けた活動を強化していきます。また、Food & Agri領域では、中食分野や農業分野におけるロボット活用を中心とした自動化を加速させるとともに、お客さまのニーズを踏まえた野菜自動生産システムの機能強化を図り、本格的なビジネス展開を強化していきます。さらに、Humatronics機器事業では、バイオメディカルロボット事業におけるゲノム解析分野およびiPS細胞培養分野での事業基盤の強化を進めていきます。

 

 デジタル経営(YDX)の推進については、開発・生産・販売などバリューチェーンに関わるデータから人事データなど様々な経営データのグローバル一元化を進め、経営情報の見える化を加速させると同時に、徹底した業務効率化を図ります。また、今年度はこれら一元化されたデータの活用をさらにレベルアップさせることで製品ライフサイクルの強化につなげ、お客さまに新たな付加価値を提供する製品・サービスの開発および提供を加速させてまいります。

 

 なお、各セグメントにおける具体策については、つぎのとおりです。

 

〔モーションコントロール〕

 ACサーボモータ・コントローラ事業においては、昨年度市場投入を終えた「YRM-Xコントローラ」やACサーボ「Σ-X」ラインアップ強化など「i3-Mechatronics」を推進させるコア製品の拡販を通じ、受注・収益のさらなる拡大を図ります。

 インバータ事業においては、昨年度シリーズ展開を完了した新インバータシリーズの拡販をグローバルで加速させ、さらなるシェア向上に努めます。

 モーションコントロール製品では、拡大する需要に対して国内外での生産効率化・内製化をさらに進めることで、製品供給能力を強化し、収益の拡大を図っていきます。

 

 

 

〔ロボット〕

 主力製品を展開する自動車関連市場においては、EV(電気自動車)やリチウムイオン電池関連の設備投資需要を確実に捉え、グローバルに展開する完成車・部品供給メーカーへの拡販を進めます。今後も成長が期待される3Cや急拡大する中国でのニューインフラ市場においては、トップセールスによる積極的な販売活動を継続して、お客さまとの協業・連携を深化させることで事業拡大に努めます。さらに、「i3-Mechatronics」を軸とした自律分散型の生産システム実現に向けた製品開発およびデジタルデータマネジメントの強化により、新たな市場創出を通じた自動化領域の拡大を図っていきます。

 また、グローバルで拡大する需要に対して、国内・中国・欧州での効率化・内製化による生産能力向上を図り、需要変動に強い生産体制を構築することで収益性のさらなる改善を目指します。

 

〔システムエンジニアリング〕

 環境・エネルギー分野においては、太陽光発電市場において、国内の自家消費市場の拡大を捉えたパワーコンディショナ新製品を投入するなど売上拡大を図ります。また、欧州を中心とした大型風力発電市場の主要なお客さまとの協業強化を図り、洋上風力発電の安定した受注獲得を目指します。

 鉄鋼プラントシステム・社会システム分野では、グループ内で実施した事業再編により経営のさらなる効率化を進めます。また、国内の公共事業関連のビジネスにおいて、AI・IoT技術による付加価値の高いサービスの提供に努めると同時に、民間ビジネスなどの獲得を通じた高収益体質化を目指します。

 

(4) 目標とする経営指標

当社グループは「2025年ビジョン」において、営業利益を最も重要な経営指標に据え、過去最高となる1,000億円の営業利益の創出を目指しています。「(2) 中長期的な会社の経営戦略」に記載のとおり、当社グループは2019年度より「Challenge 25」を始動し、2021年度目標として、売上収益5,400億円、営業利益700億円(営業利益率13.0%)、ROEおよびROICを15.0%以上とする目標を設定いたしました。しかしながら、2020年度前半の世界的な新型コロナウイルス感染拡大の影響等による環境変化を踏まえ、2021年4月9日に中期経営計画の最終年度を1年延長させるとともに、市場環境に即した新たな方策を加え、中期経営計画「Challenge 25 Plus」として見直しを行いました。2022年度はこの「Challenge 25 Plus」の最終年度に当たることから、経営目標の実現に向けた取り組みを加速させていきます。

 

■「Challenge 25 Plus」における主な経営目標

 新型コロナウイルス感染症拡大の長期化やロシア・ウクライナ問題などにより、不透明かつ変化が読みにくい市場環境にありますが、このことから、当社グループにおける中期経営計画「Challenge 25 Plus」では、さらなる高収益体質の実現と資本効率の向上を目指しています。「Challenge 25 Plus」の最終年度に当たる2022年度見通しとしては、ロボットを中心にグローバルで好調な需要が見込まれることから、2021年4月に発表した経営目標をすべて上回る計画をしています。

 

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[参考]

・2022年度従来目標   想定為替レート 1米ドル=110.0円、1ユーロ=130.0円、1中国元=16.80円、1韓国ウォン=0.096円

・2022年度見通し   想定為替レート 1米ドル=120.0円、1ユーロ=133.0円、1中国元=19.00円、1韓国ウォン=0.100円

※6 2021年4月9日の中期経営計画「Challenge 25 Plus」の発表時点の目標

※7 2022年4月8日の2022年2月期決算発表時点の2022年度の見通し

※8 ROE/Return on Equity (親会社所有者帰属持分当期利益率) = 親会社の所有者に帰属する当期利益/親会社の所有者に帰属する持分

※9 ROIC/Return on Invested Capital (投下資本利益率) = 親会社の所有者に帰属する当期利益/投下資本

 

2【事業等のリスク】

当社は、経済・市場の状況等を含む経営の遂行状況に係るリスクについては、経営会議等の執行会議および取締役会においてモニタリングしています。加えて、当社グループに発生する可能性のあるリスクに迅速かつ的確に対処することを目的に危機管理基本規程を定め、この規程に従い危機管理委員会とその傘下に各専門委員会を設置しています。危機管理委員会では、リスク管理体制の整備に関する事項やリスク管理教育の企画・推進およびリスクが発生した場合の各種対応などを実施しています。また、これらのリスク管理状況は経営会議等の執行会議および取締役会に適宜報告しています。

当社グループの業績、財務状況等に影響を及ぼす可能性のある重要なリスクおよびそれらの対策については以下のとおりです。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

(1) 経営環境に関する項目

 

地政学リスク

リスクの説明

 当社グループは日本・中国を中心に7カ国に生産拠点を持ち、グローバル30カ国に展開している営業拠点を通じ、日々お客さまに製品・サービスを提供しています。このことから、ロシア・ウクライナ問題や米中貿易摩擦など国際関係変化やそれに起因する社会/環境の変化、法規制の変更などは事業活動に影響を及ぼす可能性があります。

 特に、各国の輸出規制、技術移転の制限、関税の引き上げ等により、開発、生産、物流や営業活動が制限を受け、お客さまへの製品供給に支障をきたす場合、当社グループの経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

リスクへの対策

 このようなリスクに対して、各地域の政治・経済情勢や法規制の動向などについて、各拠点を通じて定期的にモニタリングし、事業への影響を迅速に把握できる体制を整えています。

 特に、近年では変化による事業への影響が大きいグローバルにおける法制変化などのモニタリングを強化するため、国内における各事業・本社部門に加え、海外子会社を始めとしたグローバル拠点に法令担当者を設置することで、本社の法務部門を中心としたグローバルでの統制体制を整備しています。

 また、地政学リスクに起因する多岐に渡る事業活動リスクが顕在化した際には、本社の危機管理委員会を通じ迅速な初動対応を講じるとともに、各専門委員会および経営層会議との連携を図りながら、グローバルにおける効果的なインシデント対応体制を構築することで被害や損害を最小限とすることに努めています。

 

 

新型コロナウイルス感染症の影響に係るリスク

リスクの説明

 当社グループは事業をグローバルに展開していることから、新型コロナウイルス感染症の更なる拡大や長期化、新たな変異株の出現等が起こった場合、当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。具体的には、従業員やその家族等に感染者が発生し、大規模に感染が拡大した場合、生産をはじめとした事業活動等に影響を及ぼす可能性があります。また、部品調達先の所在する国・地域において、ロックダウン等の移動規制が行われた場合、当社グループの生産活動やサプライヤーにおける部品調達等に影響を及ぼす可能性があります。

リスクへの対策

 このようなリスクに対して、当社グループは2020年に危機対策本部を立ち上げ、テレワークやテレビ会議の積極的活用を推進し、また、感染対策の社内徹底を繰り返し行う等、社員の安全確保と事業継続に向けた対策を講じています。また、万が一、従業員に感染者が出た場合であっても、危機対策本部を中心に関係部署がタイムリーに情報を共有できる体制が築かれており、状況に応じた対策を行っています。

 加えて、当社グループではコロナ禍における不透明な先行き状況を踏まえ、必要な成長投資を除く経費について徹底した削減を継続していきます。同時に、コロナショック後のニューノーマルにおける新たな自動化需要を事業機会として取り込むことで業績拡大に努めていきます。

 

(2) 事業環境に関する項目

 

部材調達・物流に係るリスク

リスクの説明

 当社グループは鋼材等の原材料や各種部品を多数の取引先から調達していますが、価格の高騰や業界の需要増によっては、継続的な必要量の確保が困難となる可能性があります。また、取引先において、自然災害、感染症の拡大、事故、経営状況の悪化等により、当社グループに対する部品や原材料等の安定的な提供が困難になる可能性があります。

 特に、世界的な半導体不足の長期化や新型コロナウイルス感染症によるサプライチェーン全体の混乱等により、納期遅延のリスクが高まっています。

リスクへの対策

 このようなリスクに対して、当社グループは取引先との対話を通じた信頼関係の構築、グローバルでの調達先の分散を図るとともに、適正な在庫水準の確保と現地生産・現地調達の推進を通じた需要変動への対応、国内および主要海外拠点における事業継続計画(BCP)策定による災害リスク等への対応を強化するなど調達機能の強化に努めています。

 また、本社にサプライチェーン管理課を新設し、リスク部品の早期発見と全社対策の強化を図るとともに、入荷困難な状況が継続する部品に関しては、入手可能な部品への設計変更を行う等、対応を強化しています。

 

 

為替相場の変動に係るリスク

リスクの説明

 当社グループはグローバルで事業展開し、その取引先は世界各地にわたるため、為替相場の変動リスクにさらされています。当社グループは、米ドル、ユーロ、中国人民元等の現地通貨建てで製品・サービスの販売・提供および原材料・部品の購入を行っていることに加え、現地通貨建ての製品輸出を行っており、想定以上の為替相場の変動は製品の競争力を弱めるなど、当社グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループは現地通貨で表示された資産および負債を保有していることから、為替相場の変動は円建てで報告される当社グループの財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 なお、2022年2月28日に終了した連結会計年度の為替感応度(実績為替平均レート(米ドル:111.5円、ユーロ:130.4円、中国人民元:17.33円、韓国ウォン:0.096円)から1%変動した場合の業績影響額)は、売上収益については、米ドル:約8.7億円、ユーロ:約7.4億円、中国人民元:約12.2億円、韓国ウォン:約2.4億円となり、営業利益については、米ドル:約2.1億円、ユーロ:約2.0億円、中国人民元:約4.2億円、韓国ウォン:約1.7億円となります。

リスクへの対策

 このようなリスクに対して、当社グループでは、先物為替予約契約や為替ヘッジを実行することに加え、現地生産や現地調達の推進などを通じ、為替変動に強い収益構造の構築に取り組んでいます。

 

 

競争の激化に係るリスク

リスクの説明

 当社グループの事業分野においては、それぞれの分野で強力な競合相手が存在します。当社グループ製品のシェアの高い分野においても、将来にわたり競争優位性を保てるという保証はありません。このため競合企業との価格面における激しい競争が発生した場合は、当社グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループの製品等は、技術および品質等における競争力を確保するため、適時・適切な製品投入を行う必要があります。当社グループが提供する製品等の競争力が相対的に脆弱である場合や、製品投入時期が適切でない場合等に、当社グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

リスクへの対策

 このようなリスクに対して、当社グループは安川テクノロジーセンタを中心として部門横断的な研究開発の継続的な強化を図っています。世界初・世界一にこだわった画期的な製品開発を進めるとともに、徹底した効率化を図ることで開発期間の短縮を図り、コスト競争力の高い製品のタイムリーな市場投入に努めています。また、i3-Mechatronicsを通じたお客さまにとって最適なソリューションの提供により、製品・サービスの差別化および高付加価値化に努めています。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

(1) 2019年度~2021年度中期経営計画「Challenge 25」に関する認識および分析・検討内容

 経営指標の進捗につきましては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4) 目標とする経営指標」に記載しております。

 

(2) 経営者による経営成績(P/L)の分析

① 概況

当期における当社グループの経営環境は、コロナ禍からの正常化がグローバルに進み、製造業全般において生産の高度化・自動化を目的とした設備投資が積極的に行われました。特に半導体・電子部品市場では需要が拡大を続け、自動車市場においてはEV(電気自動車)化やリチウムイオン電池関連などの設備投資が加速しました。また、中国では5Gや新エネルギーなどのニューインフラ投資が継続するなど、需要は期を通じてグローバルに高い水準で推移しました。

このような環境において当社グループの業績は、半導体など長期化する部品の供給不足によって、モーションコントロールセグメントを中心に生産制約の影響を受けたものの、年間を通じて旺盛な需要を的確に捉え、前年同期に対し大幅な増収となりました。この結果、売上収益は年度業績として過去最高を更新しました。利益面については、原材料費や物流費の高騰影響を受けた一方、売上増加に伴う改善や経費管理の徹底などにより、営業利益は前年同期に対し大きく増加しました。

 

なお、当期における当社グループの地域別の経営環境は以下のとおりです。

日 本:    半導体・電子部品市場をはじめ自動車市場などで設備投資は底堅く推移し、リチウムイオン電池関連の需要も拡大しました。

米 国:    自動車・半導体関連の需要が高水準で継続しました。また、労働力不足などを懸念した自動化投資が積極的に行われたほか、オイル・ガス関連需要が期末にかけて回復に転じるなど、総じて拡大基調となりました。

欧 州:    経済の正常化にともなう市況回復が続き、自動車や工作機械などを中心に市場全体で需要は伸長しました。

中 国:    EV化の加速による自動車関連や5G・リチウムイオン電池などのニューインフラ関連の需要が好調に推移するなど、期を通じて活発な設備投資が継続しました。

中国除くアジア:韓国や台湾において半導体・電子部品関連の需要が高水準で推移したことに加え、韓国ではリチウムイオン電池関連の設備投資が伸長しました。

 

この結果、当期の経営成績は以下のとおりです。

 

2021年2月期

2022年2月期

前年同期比

売上収益

3,897億12百万円

4,790億82百万円

+22.9%

営業利益

271億80百万円

528億60百万円

+94.5%

親会社の所有者に帰属する

当期利益

189億27百万円

383億54百万円

+102.6%

米ドル平均レート

105.99円

111.49円

+5.50円

ユーロ平均レート

122.82円

130.44円

+7.62円

中国人民元平均レート

15.55円

17.33円

+1.78円

韓国ウォン平均レート

0.091円

0.096円

+0.005円

 

② セグメント別の状況

当社グループでは、事業内容を4つのセグメントに分けています。

当期の各セグメントの経営成績は以下のとおりです。

モーションコントロール

売上収益   2,272億60百万円   (前年同期比  +29.1% )

営業損益     381億61百万円   (前年同期比  +55.3% )

モーションコントロールセグメントは、ACサーボモータ・コントローラ事業とインバータ事業で構成されています。

グローバルな設備投資が積極的に行われたことからセグメント全体の販売は好調に推移し、大幅な増収となりました。利益面においては原材料費や物流費の高騰影響や、半導体などの部品の供給不足による生産制約の影響を受けたものの、売上の増加やインバータの新製品切り替え効果などにより増益となりました。

〔ACサーボモータ・コントローラ事業〕

日米・韓国などで半導体・電子部品需要が高い水準で継続しました。また、中国では新エネルギー分野でのリチウムイオン電池に関する需要が加速し、スマートフォンや基地局向けなどの5G関連需要が増加するなど、積極的な設備投資が期を通じて行われたことから、販売は総じて好調に推移しました。

〔インバータ事業〕

グローバルな市況回復により設備投資が活発化し、大型空調(HVAC)・クレーン・繊維向けを中心に販売は好調に推移しました。また、中国では省エネ政策にともなう需要が拡大するなど、事業全体の売上収益は増加しました。

ロボット

売上収益   1,786億70百万円   (前年同期比  +28.1% )

営業損益     172億48百万円   (前年同期比 +149.7% )

ロボットセグメントの主要市場である自動車においては、EV化がグローバルで加速し新たな生産設備の投資を拡大する動きが継続しました。また、一般産業分野においてもグローバルで労働力不足への対応や生産の高度化・自動化を目的とした投資が行われました。

加えて、半導体・電子部品市場の需要拡大を背景に半導体ロボットの販売も好調に推移したことから、売上収益は大きく伸長し、営業利益は売上の増加や操業度の改善などにより大幅に増加しました。

システムエンジニアリング

売上収益     522億65百万円   (前年同期比   +3.0% )

営業損益      21億26百万円   (前年同期比  31億57百万円改善)

システムエンジニアリングセグメントは、産業用オートメーションドライブ事業と環境・社会システム事業とで構成されています。

売上収益は環境・社会システム事業を中心に前年同期比で増加しました。営業利益は採算管理の徹底や経費抑制の継続に加え、前年度に発生した一時的な製品改修コストがなくなったことなどにより増加しました。

〔産業用オートメーションドライブ事業〕

アジアなどの港湾クレーン向けやリチウムイオン電池の生産設備向けの需要が堅調であった一方、国内における鉄鋼プラント関連の売上は低調に推移しました。

〔環境・社会システム事業〕

コロナ禍からの正常化により、国内の上下水道用電気システム関連および欧州の大型風力発電用電機品の販売は好調に推移しました。

その他

売上収益     208億86百万円   (前年同期比  △10.9% )

営業損益       3億84百万円   (前年同期比  +27.6% )

その他セグメントは、物流サービス事業などで構成されています。

売上収益は国内を中心に前年同期から減少した一方、営業利益は製品構成の改善などにより増加しました。

 

(3) 経営者による財政状態およびキャッシュ・フローの状況の分析

① 資本の財源および資金の流動性にかかる情報

(a) 資産、負債および資本(B/S)構造に関する基本的な考え方

(ア) 流動資産(手元現預金など)

当社グループは、キャッシュがグローバルで分散し余剰にならないようにコントロールするとともに、手元現預金を月商1~2ヵ月程度の水準にキープすることを基本としています。

ただし、現下の経済情勢を考慮し、有事に備えてコミットメントラインを100億円確保するとともに、手元現金の水準を高めにしておくことで、安全性をより意識した運用を行います。

(イ) 非流動資産(成長投資、M&Aなど)

将来の成長と生産性向上に寄与するような投資は積極的に実施します。現中期経営計画「Challenge 25 Plus」の期間においては、売上収益の6~7%を設備投資およびM&Aに充当する方針です。M&Aについては、価値創造能力の強化に向けた技術補完を主目的とします。

(ウ) 資本構成

前中期経営計画「Dash 25」では、親会社所有帰属持分比率(日本基準においては自己資本比率)を向上させ有利子負債を圧縮してきましたが、これにより資本構成の改善に目途がついたこともあり、現中期経営計画ではネットDEレシオを一定水準にコントロールし、信用格付けを維持できる範囲でレバレッジを活用しながら企業価値の最大化を図ります。

 

(b) キャッシュアロケーションに関する基本的な考え方

当社は、営業活動により生み出したキャッシュを①成長投資、②株主還元、③従業員配分の3方向に効果的に投入することで、持続的な成長を実現することを基本方針としています。

(ア) 成長投資

当社グループの中長期の成長実現に向け、売上収益の4~5%を研究開発に投資します。

また、設備とM&Aに合わせて売上収益の6~7%を投資する方針です。近年は新型コロナウイルス感染症拡大が世界景気に与える影響を注視しながらも、グローバルで拡大する需要に対応すべく、国内外における生産能力の強化を図るための投資を行っていきます。また、この中には、2025年度までのデジタル経営基盤構築に向けた投資も含まれています。

(イ) 株主還元

当期利益に対し30%+αの配当性向を想定した経営を実践しています。計画に対し利益が増減した場合は、その期に生み出したキャッシュの状況に鑑み配当額を調整します。利益が減少した場合でも、キャッシュが確保できる限りにおいては安定配当を基本とし、可能な限り計画に沿って還元する方針です。利益が上振れてキャッシュが想定以上に創出された場合は、追加の還元策も検討します。

(ウ) 従業員配分

事業遂行の一番の要となる従業員に対しては適正な配分を行っていく考えです。

監査等委員でない取締役および執行役員の役員報酬は元より、管理職の賞与についても業績連動性を高めています。管理職賞与は営業利益率10%を基準値として算定し、上限・下限の限度額を設定せず、利益還元を図っています。また、役員報酬および管理職賞与の算定においては、ベンチマーク他社比での業績改善度合いの優劣を考慮することとしており、他社より高い利益成長を実現していくためのインセンティブを高めています。

一般従業員の賞与については、利益が減少した際の下限は設定しながら、営業利益率が10%を超えた場合は上限を設定しない方針を2020年度から実施しています。これにより、全社的な利益率への意識向上を図っています。

また、新しい寮の整備など、従業員のための福利厚生に対する投資も充実を図っています。

 

② 資産、負債および資本(B/S)の状況

(a) 資産  5,590億38百万円(前期末比 716億10百万円増加)

現金及び現金同等物や営業債権、たな卸資産等の増加により、流動資産が前期末に比べ589億38百万円増加しました。また、有形固定資産やその他の金融資産等が増加し、非流動資産が前期末に比べ126億71百万円増加しました。

 

(b) 負債  2,609億37百万円(前期末比 230億70百万円増加)

短期借入金やその他の金融負債は減少したものの、営業債務や未払法人所得税、その他の流動負債等の増加により、流動負債が前期末に比べ207億30百万円増加しました。また、繰延税金負債の増加等により、非流動負債が前期末に比べ23億40百万円増加しました。

 

(c) 資本  2,981億円(前期末比 485億39百万円増加)

利益剰余金やその他の資本の構成要素等が増加しました。

 

③ キャッシュ・フロー(C/F)の状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物は551億51百万円(前期末比で41億98百万円増)となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりです。

 

(a) 営業活動によるキャッシュ・フロー

営業債権やたな卸資産の増加および法人所得税の支払等により支出が増加したものの、税引前当期利益や減価償却費の計上および営業債務の増加等による収入により、492億33百万円の収入(前年同期比 96億31百万円の収入増)となりました。

 

(b) 投資活動によるキャッシュ・フロー

有形固定資産及び無形資産の取得による支出等により、241億65百万円の支出(前年同期比 145億64百万円の支出増)となりました。

 

(c) 財務活動によるキャッシュ・フロー

短期借入金や長期借入金の返済による支出および配当金の支払等が社債の発行による収入等を上回り、224億75百万円の支出(前年同期比 21億90百万円の支出増)となりました。

 

※営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローを合算したフリー・キャッシュ・フローは250億67百万円の収入となりました。

 

(4) 生産、受注および販売の実績

当社グループの生産・販売品目は広範囲にわたりかつ多種多様であり、同種の製品であっても、その容量、構造、形式等は必ずしも一様ではなく、また受注生産形態をとらない製品も多く、セグメントごとに生産規模および受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。

このため、生産および受注の実績については、「(2) 経営者による経営成績(P/L)の分析」におけるセグメントの経営成績に関連づけて記載しております。

また、販売の実績については、「(2) 経営者による経営成績(P/L)の分析」におけるセグメントの経営成績に関連づけて、連結の数字を示しております。

 

(5) 重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定

 IFRSに準拠した連結財務諸表の作成にあたり、期末日現在の資産・負債の金額、偶発的な資産・負債の開示および報告対象期間の収益・費用の金額に影響を与える様々な見積りや仮定を用いており、実際の結果は、これらの見積りと異なる場合があります。

 なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針、会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針の要約 4.重要な会計上の見積りおよび判断」に記載しております。

 

4【経営上の重要な契約等】

 当社は、2021年8月30日開催の取締役会において、当社の水処理プラントをはじめとする社会システム事業を吸収分割により、連結子会社である安川オートメーション・ドライブ株式会社に承継することを決議し、2022年3月1日付で実施いたしました。

 詳細は「第5 経理の状況 2 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な後発事象)」に記載のとおりです。

 

5【研究開発活動】

当社は、「電動機(モータ)とその応用」を事業領域に定め、世界初・世界一にこだわった製品・技術の研究開発をグローバルな体制で行っています。長期経営計画「2025年ビジョン」では、メカトロニクスを軸とした「工場自動化・最適化」と「メカトロニクスの応用領域」を事業領域に設定し、新しい価値と市場の創造を目指しています。

「工場自動化・最適化」においては、これまでのソリューションに「デジタルデータのマネジメント」を加えたコンセプト「i3-Mechatronics」を軸とした産業自動化革命の実現に向け、メカトロニクス技術とICTの融合により、新しい自動化ソリューションの開発を継続しています。

「メカトロニクスの応用領域」では、メカトロニクス技術が応用できる分野を探索・実証しながら、事業化に向けた取り組みを進めました。特に、Energy Saving分野(省エネ機器・高効率モータ)、Food & Agri分野(野菜生産システム・食品工場自動化)、Clean Power分野(風力/太陽光発電・電気自動車)、Humatronics分野(リハビリ機器・バイオメディカル用ロボット)に焦点を当てて取り組んでいます。

さらに、お客さまの要求に対してスピーディに対応できる体制を構築するために、基礎技術開発から量産試作までを一貫した開発拠点「安川テクノロジーセンタ」(以下、YTC)の本格稼働を2021年9月に開始しました。

以上の取り組みにより当連結会計年度の研究開発費は18,175百万円となりました。

 

〔研究開発分野〕

長期経営計画「2025年ビジョン」の実現に向け、2021年度はソリューションコンセプト「i3-Mechatronics」の具体化に向けた研究開発に取り組みました。IoTを軸とする新製品・新技術開発、AI技術を製品に反映させるため、オープンイノベーションのさらなる強化を進めています。

2021年3月に九州初となるローカル5G無線局免許を取得し、YTCにおいて5Gを活用して産業用ロボットの遠隔制御や新しい生産設備の検証を行うなど、お客さまのスマート工場化実現のためのソリューション開発に着手しました。

2021年6月には国立大学法人九州大学と包括的な連携を図っていくことを合意しました。これまでプロジェクトごとにテーマを設定し共同研究を行ってきましたが、最先端の技術開発、異分野での連携、人材の育成など、幅広い活動で共に持続的な成長と双方にとってプラスとなる関係を築き、広い範囲でのシナジー創出を目指します。

2021年8月には「日本の農業の発展と日本の食と農の国際競争力強化に貢献すること」を目的として、全国農業協同組合連合会と業務提携を締結しました。畜産・農業生産・流通販売の3分野を中心にスマート農業の具体化に向けた取組みを加速します。

当分野の研究開発費は5,681百万円です。

 

〔モーションコントロール分野〕

「i3-Mechatronics」の実現に向けた製品として、装置や産業用ロボットなどで構成された“セル”の様々なデータを高速かつリアルタイムそして時系列に同期し、統合的に制御する「YRM-X(テン)コントローラ」を業界で初めて製品化しました。

半導体製造や電子部品組立て装置の高速化や高機能化に貢献するマシンコントローラMP3200用CPUユニットの最上位機種となる「CPU-203」、および新世代の産業ネットワークで従来のMECHATROLINK-Ⅲと比べて伝送効率が4倍のMECHATROLINK-4に対応した「CPU-203F」を製品化しました。

また、脱炭素社会の実現が世界共通の目標となる中、製造業を中心に省エネやカーボンニュートラルへの取組みを加速する動きがみられます。そこで当社は、業界最薄となるモータ長かつ全容量において世界最高効率であるIE5を達成した「エコPMモータフラットタイプ」を製品化しました。冷却ファンレスによる小型化を徹底的に追求し、ビルや工場などの空調設備・ポンプなどの省スペース化や消費電力の削減に貢献します。

当分野の研究開発費は7,305百万円です。

 

〔ロボット分野〕

2022年3月に開催された「2022国際ロボット展」には、「i3-Mechatronics」コンセプトに基づき、変種変量・工程変化など多様化する生産に柔軟に対応する製品群として、装置とロボットが融合したDX化ソリューションや新型自律ロボットなどをリアルおよびオンラインで出展しました。

食品加工用途の新たなラインアップとして、特殊な表面処理と食品機械用の潤滑剤を使用した新仕様の「MOTOMAN-GP8」(可搬質量8kg)を製品化しました。また、スマートフォンのように直感的なロボット操作ができるタブレット型のプログラミングペンダント「スマートペンダント」を小型垂直多関節ロボット4種に適用した「スマートシリーズ」の提供を開始しました。

人協働ロボットの新たなラインアップとして、小型ながら従来比2倍の可搬質量を持つ「MOTOMAN-HC20SDTP」(可搬質量20kg)や、さらに、手元作業性を高めたショートアームタイプの「MOTOMAN-HC10SDTP」(可搬質量10kg)を製品化しました。省スペースでフレキシブルな生産ラインの実現に貢献します。

当分野の研究開発費は3,726百万円です。

 

〔システムエンジニアリング分野〕

環境・エネルギー分野においては、省エネ・創エネ技術を応用し、太陽光発電関連機器の開発などを進めました。

当分野の研究開発費は1,461百万円です。