文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、創業以来「事業の遂行を通じて広く社会の発展、人類の福祉に貢献すること」を使命とし、この使命達成のため「品質重視の考えに立ち、常に世界に誇る技術を開発、向上させる」「経営効率の向上に努め、企業の存続と発展に必要な利益を確保する」「市場志向の精神に従い、そのニーズにこたえるとともに、需要家への奉仕に徹する」の3項目を掲げ、その実現に努めることを経営理念としております。
また、グループ経営理念の実践に加え、環境問題や格差拡大など深刻化する社会問題への対応と社会全体の持続性への配慮を当社グループの経営方針として明確化するため、「サステナビリティ方針」を策定しております。このサステナビリティ方針では、「1. 最先端のメカトロニクス技術によるイノベーション創出で、お客さまをはじめ社会への価値創造に貢献」「2. 世界中のステークホルダーとの対話と連携を通じ、公正かつ透明性の高い信頼ある経営の実現」「3. 世界共通の目標であるSDGsの達成を目指し、グローバルでの社会的課題の解決」の3つを方針として掲げております。
このような方針のもと、社会および顧客ニーズに高い次元でこたえる製品・サービスの提供や、従業員にとって働きがいのある会社づくりに取り組んでいます。これらにより、継続的な利益の創出を実現し、ステークホルダーのみなさまへの一層の還元を図るとともに、社会課題の解決を通じた持続可能な社会の実現と企業価値の向上に努めてまいります。
(2) 中長期的な会社の経営戦略
当社グループは、長期経営計画「2025年ビジョン」(2016年度~2025年度)においてメカトロニクスを軸とした「工場自動化・最適化」と「メカトロニクスの応用領域」を事業領域と定め、経営目標については営業利益を最も重要な経営指標と定め、「質」の向上にこだわることで経営体質の強化を目指しております。
当社は、「2025年ビジョン」の仕上げである中期経営計画「Realize 25」(2023年度~2025年度)をスタートいたしました。「Realize 25」では、安川グループ経営理念を基本にソリューションコンセプト「i3-Mechatronics」(※1)を中心とした事業活動を強化し、「2025年ビジョン」の達成を目指すとともに、お客さまの経営課題の解決とサステナブルな社会の実現に寄与してまいります。
なお、「2025年ビジョン」および「Realize 25」の詳細は、以下のURLからご覧いただくことができます。
2025年ビジョン:https://www.yaskawa.co.jp/wp-content/uploads/2019/06/Vision2025_Revision.pdf
Realize 25 :https://www.yaskawa.co.jp/wp-content/uploads/2023/05/realize25.pdf
(※1)i3-Mechatronics(アイキューブ メカトロニクス):当社が1969年に提唱した「メカトロニクス(メカニズムとエレクトロニクスを融合した造語)」に3つの“i”(integrated:統合的、intelligent:知能的、innovative:革新的)を重ね合わせ、お客さまの経営課題の解決に寄与するソリューションコンセプト。
(3) 中期経営計画「Realize 25」の概要
① 財務目標
当社グループは「2025年ビジョン」において、営業利益を最も重要な経営指標に据え、過去最高となる1,000億円の営業利益を目指しております。「Realize 25」においては、i3-Mechatronicsの展開とロボティクスの進化により新たな価値を創出し、収益および生産性を高めることで、「2025年ビジョン」の達成を目指します。
[参考]
2022年度実績為替レート 134.12円/米ドル、139.84円/ユーロ、19.68円/元、0.103円/ウォン
2025年度想定為替レート 130.00円/米ドル、140.00円/ユーロ、19.00円/元、0.100円/ウォン
② 基本方針
方針1 i3-Mechatronicsソリューションによる価値創出
「i3-Mechatronics」のコンセプトを軸に、お客さまが求める「コト」、すなわち「改善や進化」へのソリューションの価値を最大化することで、お客さまへの貢献性を高めます。この「お客さまへのソリューション」を実現するために、技術・生産・販売・品質機能の強化を図ってまいります。
(a) お客さまの価値創出につながる技術開発力の強化
安川テクノロジーセンタで業界をリードする製品・技術を創出し、お客さまの価値向上を実現します。
(b) i3-Mechatronicsによる自社の「ものづくり」進化
i3-Mechatronicsソリューションを自社の生産現場で実践し、生産性向上・生産管理高度化を追求することで、当社製品の競争力向上を図ります。
(c) お客さまのサプライチェーンへの戦略的なアプローチの強化
エンドユーザや装置メーカ等のお客さまと連携強化を図り、最適なソリューションを提供するとともにビジネスの領域拡大を目指します。
(d) 製品ライフサイクルにおける製品・サービス品質の革新
YDX(※2)を通じて蓄積される膨大なデータを活用して「お客さまの設備を止めない」サービスをグローバルで展開します。
(※2)YDX:YASKAWA Digital Transformationの略。第1フェーズである「YDX-I」では、 データ一元化、業務改革および経営の見える化を実施。「YDX-Ⅱ」では、製品・サービス視点でのお客さまへの価値創出を実施。
方針2 世界一/世界初の自動化コンポーネントを軸としたグローバル成長市場攻略
自動化コンポーネントを中心としたグローバルでの市場別戦略を展開し、最適な生産体制を構築することで、成長市場の需要を確実に捉えます。
(a) グローバル最適生産体制の構築とレジリエントなサプライチェーン構築
拡大する需要に対して生産能力・生産性の向上を図るとともに、環境変化やリスクに強いグローバル生産体制を構築します。
方針3 メカトロニクス応用領域の事業拡大によるサステナブルな社会の実現に貢献
(a) Energy Saving
グリーンプロダクツの拡販によりお客さまの省エネ性向上と環境負荷軽減を実現します。
(b) Clean Power
新製品を軸に事業を本格拡大させ、世界トップクラスの創エネを実現します。
(c) Food & Agri
コア技術を結集し、食の安全と安定供給を実現します。
(d) Biomedical Science
ゲノム解析や再生医療分野における自動化等を通じて、すべての人が人間らしく、より豊かに、輝ける未来を実現します。
方針4 YDXとサステナビリティ経営の深化による経営基盤の強化
(a) PLM(Product Lifecycle Management)の再構築をベースとしたYDXチェーンによる新たな価値提供
YDXの第2フェーズとなる「YDX-Ⅱ」ではPLM再構築によるお客さまへの価値を創出します。
(b) マテリアリティへの取り組み強化を軸としたサステナビリティ経営の推進
サステナビリティ課題に対するマテリアリティを設定し、ステークホルダのみなさまの期待に応えるサステナブルな経営を実践します。
(4) 経営環境および優先的に対処すべき課題
2023年度の当社グループを取り巻く経営環境は、EV(電気自動車)やリチウムイオン電池関連をはじめ、製造全般における自動化・省力化に関する設備投資が継続する見込みです。
2023年度は当社の「2025年ビジョン」の期間における、最後の中期経営計画「Realize 25」の初年度に当たります。前中期経営計画「Challenge 25 Plus」で取り組んできた変革をグローバルに展開し、ソリューションコンセプト「i3-Mechatronics」の実効性をさらに高めるとともに、YDXによる付加価値の最大化を通じて、市場変化に柔軟かつスピーディーに対応し、さらなる収益性の向上に努めます。
2023年度の重点実施項目は以下のとおりです。
① 「i3-Mechatronics」ソリューションの展開加速による付加価値向上
「i3-Mechatronics」ソリューションを軸とした技術力、生産力、販売力、品質/サービス力を継続的に進化させることでお客さまに実効性の高いソリューションを提供するとともに、お客さまのプロジェクトを通じてその実証を拡大してまいります。
② グローバル成長市場の捕捉と新製品投入によるビジネス拡大
EV・リチウムイオン電池・半導体関連など高い成長が見込まれる市場や、今後自動化の加速が見込まれる食品・農業などの成長市場攻略に向けて、市場別の視点で事業横断的な販売活動を強化します。また、戦略的な新製品を投入することで競争力を高めグローバルでの需要を確実に捉え、収益拡大を実現させます。
③ 生産・販売管理の強化による収益の最大化
半導体などコア部品の本社集中による部材調達機能を強化するとともに、ロボットの機械加工部品などの部品内製化を拡大させます。また、生産能力および生産自動化率の向上に取り組み、需要変動への対応力を強化し、受注残の売上促進を加速させます。加えて、資材や人件費の高騰影響に対応した価格転嫁による付加価値改善により更なる収益拡大を実現させます。
④ 「YDX-Ⅱ」と安川グループ経営理念の浸透を軸とした経営基盤の強化
前中期経営計画「Challenge 25 Plus」で進めてきた経営状況の見える化を中心とした「YDX-I」の取り組みをさらに進化させ、データの活用領域を拡大させた「YDX-Ⅱ」に取り組みます。「YDX-Ⅱ」では、製品開発から製品品質・市場品質などのデータ連携を強化することで、強靭なサプライチェーンの構築に取り組みます。
また、安川グループ経営理念の教育プログラムを拡充することでグループ従業員への理解深化に取り組むとともに、人財データの可視化による働き方や配置・構成など合理的な多様化を推進し、グローバルにおける「One YASKAWA」をイメージとしたサステナブルな経営基盤の構築を進めていきます。
各セグメントにおける具体策は以下のとおりです。
〔モーションコントロール〕
ACサーボモータ・コントローラ事業においては、市場別の視点で事業横断的な販売活動を強化します。また、「YRMコントローラ」やACサーボの新製品「Σ-X」(シグマ・テン)などの拡販を中心に、i3-Mechatronicsを軸としたソリューション提案と実証を拡大し、半導体やリチウムイオン電池を中心としたグローバルでの成長市場における事業拡大と高付加価値化に注力していきます。また、「Σ-X」を中心に生産能力の強化を図ることで、受注残の売上促進に努めていきます。
インバータ事業においては、安川インバータシリーズの製品ラインアップを拡大し、ターゲット市場の攻略を図るとともに、グローバルでの需要地生産、部品内製化および調達力の強化を通じて、収益の拡大に努めます。
また、カーボンニュートラル社会の実現に向けた新たな省エネ需要の拡大を捉え、グリーンプロダクトを中心とする製品の拡販を加速させます。
〔ロボット〕
i3-Mechatronicsソリューションの展開による自動化領域の拡大に積極的に取り組み、サステナブルな社会への貢献に繋がる事業展開を加速してまいります。
お客さまとの連携を強化し、「YRMコントローラ」を基軸とした自立分散型生産システムの実現に向けてi3-Mechatronicsを軸としたソリューションの実証を進め、さらなる付加価値の向上と新たな市場創出を通じた自動化領域の拡大を図ります。また、新型自律ロボット「MOTOMAN NEXTシリーズ」の市場投入や人協働ロボットの拡販により、新たな市場の開拓を加速させます。
加えて、当社が注力するEV、リチウムイオン電池、人協働、半導体などの成長市場においては、的確なソリューション・製品の提供により拡大する設備投資需要を確実に捉え、拡販を進めます。
また、内製化による生産能力向上を図り、需要変動に強い効率的な生産体制を構築します。
〔システムエンジニアリング〕
環境・エネルギー分野においては、太陽光発電市場において、本年度に投入したパワーコンディショナ新製品「Enewell-SOL P3A 25kW」を中心に国内の自家消費市場の攻略を本格化させ、売上拡大を図ります。
鉄鋼プラントシステム・社会システム分野では、AI・IoT技術による付加価値の高いサービスの提供に努めると同時に、民間ビジネスなどの獲得を通じた高収益体質化を目指します。また、カーボンニュートラル社会の実現などを背景としたお客さまの新たな需要への対応強化に向けたエンジニアリング技術の継続的な強化を図ることで、収益の拡大を目指していきます。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
当社グループは「安川グループ経営理念」のもと、「サステナビリティ方針」を2021年度に策定しました。この方針に沿ってマテリアリティを特定し、長期経営計画や中期経営計画における目標を展開することで、戦略的なサステナビリティの推進を図ります。また、進捗のモニタリングを行い、PDCAサイクルを回していくことで、持続可能な社会の実現と企業価値の向上を目指します。
<サステナビリティ方針>
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私たちは、安川グループの経営理念である「事業の遂行を通じて広く社会の発展、人類の福祉に貢献すること」を基本的な考え方として、その実践を通じて持続可能な社会の実現と企業価値の向上に努めます。 1.最先端のメカトロニクス技術によるイノベーション創出で、お客さまをはじめ社会への価値創造に貢献します。 2.世界中のステークホルダーとの対話と連携を通じ、公正かつ透明性の高い信頼ある経営を実現します。 3.世界共通の目標であるSDGsの達成を目指し、グローバルでの社会的課題の解決に取り組みます。 |
<当社グループのサステナビリティ推進のフレームワーク>
「安川グループ経営理念」のもとに策定した「サステナビリティ方針」の実現のためにマテリアリティを特定し、長期経営計画や中期経営計画における目標展開を図ることで、戦略的なサステナビリティの推進を図ります。
(1) サステナビリティについての取組み
① ガバナンス
当社は、社長を委員長とするサステナビリティ委員会を設置しております。
本委員会には関係部門の責任者、またアドバイザーとして社外取締役が出席し、グループ全体のサステナビリティを推進しております。また、マテリアリティに関する重点施策・方針の企画、審議、グループ展開、モニタリングを行っております。
サステナビリティに関する取組み状況等は、定期的に取締役会および経営会議に報告しております。
<サステナビリティ推進体制>
② 戦略
サステナビリティ課題・目標(マテリアリティ)の特定にあたっては、国際社会の動向や当社にとって関係の深い社会的課題を「ステークホルダーにとっての重要性」「当社にとっての重要性」の2つの視点で評価し、重要度の高い課題を抽出しました。それらの課題について取締役会を含む社内会議で討議を行い、その中で特に重要度の高い課題をマテリアリティとして特定しました。さらに、それぞれの強化領域および戦略の方向性を明確化し、定量的・定性的なKPIを設定しております。特定されたマテリアリティの解決を通じて、サステナビリティ方針で目指す持続可能な社会の実現と企業価値の向上に取り組んでおります。
<当社グループのマテリアリティ>
③ リスク管理
当社グループは、直接的あるいは間接的に当社グループの経営または事業運営に支障をきたす可能性のあるリスクに迅速かつ的確に対処するため、社長が指名した危機管理委員長が運営する危機管理委員会を設置しております。これにより、全社的なリスクの評価、管理、対策立案とその実行を行っております。
サステナビリティに関連するリスクについても、当委員会において評価、管理を行い、また危機発生時には危機のレベルに応じた対策本部を設置し、適切な対応を実施します。
危機管理委員会の内容については、取締役会、経営会議およびサステナビリティ委員会においても情報共有が行われ、サステナビリティ委員会においてマテリアリティならびに全社に係るサステナビリティやESG関連の重点施策・方針の企画、審議、グループ展開およびモニタリングを行うことで、全社におけるリスク管理の強化を図っております。
なお、当社グループにおけるリスクマネジメントの取組みについては「
④ 指標および目標
当連結会計年度における当社グループのマテリアリティに関する取組みおよびその進捗状況は以下のとおりです。
<事業を通じた社会価値の創造と社会的課題の解決>
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マテリアリティ |
i3-Mechatronicsを通じたパートナー連携で産業自動化革命の実現 |
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目指す姿 |
ソリューションコンセプトである「i3-Mechatronics」でお客さまの経営課題を解決する。 |
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取組み |
「i3-Mechatronics」プロジェクトの成功事例の蓄積 |
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2022年度進捗 |
・「i3-Mechatronics」コンセプトを実現するキープロダクト(YRM-Xコントローラ、 Σ-Xシリーズ、YASKAWA Cockpit)によるお客さまへのアプローチ強化 ・各業界のトップメーカーとの協業を通じた実績拡大 |
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マテリアリティ |
クリーンな社会インフラ構築と安全・快適な暮らしの基盤づくり |
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目指す姿 |
(a) 当社の技術力を活用し製品の環境性能を高め、製品拡販により世の中の環境負荷を低減させる。 |
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(b) 当社のこれまでのメカトロニクス技術を応用展開し、新規領域へ挑戦する。 |
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取組み [目標] |
(a) CCE100(Contribution to Cool Earth 100)(※1)の達成 [2025年度:100倍] |
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(b) メカトロニクス技術を応用展開した取組み事例の拡大 |
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2022年度進捗 |
(a) 65.5倍(見込み) |
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(b) 「省エネ」「クリーンパワー」「食品・農業」「Humatronics」を中心にメカトロニクス応用領域での取組みを推進 |
(※1)2025年度に当社製品によるCO2排出削減貢献量を当社グループによるCO2排出量の100倍以上とする目標
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マテリアリティ |
オープンイノベーションを通じた新たな技術・事業領域の開拓 |
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目指す姿 |
(a) M&A/アライアンスを活用し新領域での事業拡大および技術をフィードバックする。 |
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(b) 世界初、世界一の技術・製品開発に向け、社外との連携を推進する。 |
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(c) ベンチャー投資と協業を通じ事業シナジーを発揮する。 |
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取組み |
(a) M&A/アライアンスを通じた新領域への取組みの強化 |
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(b) 産学官連携の取組みの強化 |
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(c) YIP(※2)を通じたベンチャー投資の拡大 |
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2022年度進捗 |
(a) 当社の事業領域である工場自動化およびメカトロニクス応用領域において、技術的シナジーの創出に向けてM&A/アライアンスを活用した成長機会の積極的な探索を継続 |
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(b) 当社の将来技術に寄与する研究開発について、国内外との産学官連携を推進 |
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(c) ベンチャー投資:2件(累計件数:19件) |
(※2)安川イノベーションプログラムの略。2016年度から開始したCVC機能を併せ持った新規事業創出スキーム
<サステナブルな社会/事業に寄与する経営基盤の強化>
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マテリアリティ |
サステナブルな生産性の高いものづくり |
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目指す姿 |
(a) “安川ソリューションファクトリ”コンセプトの国内外展開によりグローバルでの生産効率化/最適化を進める。 |
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(b) CO2排出量を削減し、世界的な気候変動問題へ対応する。 |
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(c) 「お客さまの設備を止めない」を最終目標としたライフサイクルでの最適保全メニューを提供する。 |
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(d) サステナブル調達ガイドライン遵守を原則としたサプライチェーン管理を実施する。 |
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取組み [目標] |
(a) 最先端ものづくりの導入 ・自社工場における生産効率の改善(生産性指標(※3)の向上) [2022年度:+19%(※4) 2025年度:+23%(2019年度比)] |
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(b) グリーンプロセスを通じた温室効果ガスの排出削減 ・温室効果ガス(CO2)の排出量削減 [2025年度:▲30%(※5)(2018年度比)] |
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(c) 製品の安全・品質向上 ・当社グループ全体のPL(Product liability:製造物責任)委員会体制による製品安全の担保 [2022年度:「PLの芽」摘み取り活動のグローバル展開の強化](※6) ・新たなシステム導入を通じた製品品質の向上 [2022年度:市場品質情報一元化システムのグローバル運用開始] |
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(d) サステナブルなサプライチェーンの構築 ・サステナブル調達ガイドライン遵守率の向上 [2022年度:遵守率100%(※4)(対象:安川電機の主要取引先) 2025年度:遵守率100%(対象:安川グループの主要取引先)] |
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2022年度進捗 |
(a) 生産性指標:+21%(2019年度比) |
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(b) ▲18.3%(見込み)(2018年度比) |
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(c) ・「PLの芽」摘み取り活動のグローバル展開 (「PLの芽」摘み取り件数:19件、製品改善展開:1件) ・グローバルでの品質情報の一元化 (グローバル生産拠点のデータのコード化・一元化により市場品質情報を管理) |
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(d) 遵守率:100%(対象:安川電機の主要取引先) |
(※3)国内工場間接・直接要員1人当たり売上高(2019年度比)
(※4)2022年4月目標値を変更
(※5)2022年5月の2050年カーボンニュートラル目標の改定に伴い目標値を変更
(※6)2022年10月目標を設定
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マテリアリティ |
働きがいのある職場づくりと人材育成 |
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目指す姿 |
(a) 女性の活躍を推進することにより多様な人材の強みを発揮する。 |
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(b) 人事理念に基づいた人づくりを実現し、社員の働きがいを向上させる。 |
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(c) 業務上の休業災害をなくし、安全な職場を実現する。 |
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(d) 従業員の人権意識を向上させ、人権が尊重された職場を実現する。 |
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(e) 「ものづくりの進化」を担う人材の育成に取り組み、それぞれの地域と共生・共創する社会貢献活動を推進する。 |
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取組み [目標] |
(a) ダイバーシティとインクルージョン ・女性管理職比率の向上 [2025年度:単体・国内グループ:2倍(2021年度期初比)] |
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(b) 人材育成 ・プロフェッショナル人材(※7)の比率向上 [2025年度:全社平均75%以上(※8)] |
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(c) 労働安全性 ・休業災害度数率の改善 [2025年度:単体 0.2以下の維持、国内グループ・グローバル主要生産拠点 0.4以下の維持] |
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(d) 人権と労働慣行 ・従業員の人権デューデリジェンスのプロセス導入・定着 [2022年度:国内グループ向け人権デューデリジェンスの実施 2025年度:グローバル主要拠点での実施(※9)] |
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(e) 地域社会貢献 ・「ものづくりの進化」を担う理系人材の育成 [2022年度:新たな「ものづくり人材育成プログラム」の開始] |
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2022年度進捗 |
(a) 女性管理職比率:単体 1.8倍、国内グループ 1.5倍(2021年度期初比) |
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(b) 全スキル項目に対するプロフェッショナル評価比率:41%(※10) |
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(c) 休業災害度数率:単体 0.00、国内グループ 0.12、グローバル 0.22 |
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(d) 国内グループ向け人権デューデリジェンスの実施 グローバル主要拠点での取組み状況の現状把握 |
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(e) 安川電機みらい館来館者数:7,837名 新たな「ものづくり人材育成プログラム」の実施 |
(※7)自身が任された業務内のスキルにおいて人に教えることができるレベルまたは一人で遂行できるレベルの人材
(※8)2022年4月目標値を変更
(※9)2022年10月対象を変更
(※10)2022年度期末時点において設定した全スキル項目のうち一定のスキルレベル以上にある項目の比率
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マテリアリティ |
公正かつ透明性の高いガバナンス体制 |
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目指す姿 |
(a) 投資家との建設的な対話を通じ、持続的な成長と企業価値の向上を図る。 |
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(b) セキュリティ組織のレベルアップを図り、自律的かつ継続的な情報セキュリティ体制を構築する。 |
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(c) コンプライアンスリスクの早期発見により重大化を未然に防止する。 |
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取組み |
(a) コーポレートガバナンス・コードを活用した“攻め”のガバナンスの強化 ・コーポレートガバナンス・コードの各原則の実施(未実施の場合は合理的な説明) |
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(b) 情報セキュリティの強化 ・システムにおける社内外セキュリティ監視・対策と外部監査機関によるセキュリティレベル評価・改善 |
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(c) コンプライアンスの強化 ・内部通報等を活用したコンプライアンスの強化 |
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2022年度進捗 |
(a) 「プライム市場」選択企業に求められるコーポレートガバナンス・コードの各原則の実施 |
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(b) サービス導入により自社でのシステムに対するセキュリティ脅威分析実施、リスク調査と早期対策の実施 |
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(c) 内部通報その他コンプライアンス事案への適切な対応を継続中 |
(2) TCFD提言に基づく気候変動関連の情報開示
当社グループは2019年9月にTCFD提言への賛同を表明し、2020年9月には環境省のTCFDに沿った気候リスク・ 機会のシナリオ分析支援事業へ参加するなど様々な活動を進め、2021年5月にTCFD提言に基づく気候変動関連の情報を開示しました。今後も引き続き気候変動関連の情報開示を充実させ、より一層環境に配慮した事業活動を継続していくことにより、持続可能な社会の実現への貢献と企業価値のさらなる向上を図ります。
<TCFD提言に基づく情報開示>
① ガバナンス
当社はサステナビリティ方針に基づき、取締役会および経営会議において持続的に成長するための重要課題としてサステナビリティ課題・目標(マテリアリティ)の特定および解決に向けた施策を決定しております。また、サステナビリティ推進体制として、社長を委員長とするサステナビリティ委員会を設置し、関連部門の責任者に加え、アドバイザーとして社外取締役が出席し、グループ全体のサステナビリティ施策のモニタリングおよび展開加速を図っております。
気候変動への対応についても、重要課題についてはマテリアリティに位置付け、サステナビリティ委員会にてモニタリングを行うとともに、それ以外の施策を含む全体遂行については、社長が任命した環境推進統括者が運営する環境推進体制においてPDCAを管理しております。なお、取締役(社外取締役および監査等委員である取締役を除く)の報酬内容においては、持続可能な企業活動の実現および社会課題への対応を目的に、当社製品を通じたCO2排出量削減目標達成度を評価に組み込んでおります。
② 戦略
当社の主要事業である、モーションコントロール、ロボットおよびシステムエンジニアリングについて、気候変動が及ぼすリスクと機会について検討を行いました。
リスクと機会は、政策や規制など気候変動対策や社会的要求の変化等によって生じる“移行”リスク・機会と、自然災害や気温の上昇などによって生じる“物理”リスクが考えられます。これらのリスク・機会を抽出し、事業活動に与える影響を「大」「中」「小」の3段階で評価しております。以下に掲載している抽出したリスクと機会について、影響度が「中」「大」のものについて、2030年の社会を想定した2℃、4℃のシナリオ分析を行いました。その結果、4℃シナリオでは低炭素化は推進されず、異常気象の激甚化が想定され、これにより引き起こされる物理的リスクへの対応が最も重要と考えられます。2℃シナリオでは、異常気象の激甚化へのある程度の対応も必要ですが、それ以上に材料・資源価格上昇への対応が重要となります。一方、低炭素化が推進されることで、FA機器・産業用インバータ・再エネ発電用機器およびそれを用いた企業の工場・設備の生産性向上・省エネ性能を高めるソリューションビジネスの需要が拡大することが機会となることが分かりました。
これら分析結果の財務計画への影響は、リスクによる当社の売上減少よりも、機会による売上増加の方が大きいことが分かりました。
また、この機会への対応としては、安川グループが長期経営計画「2025年ビジョン」で目指す「i3-Mechatronics」を軸とした工場の自動化/最適化の取組みおよび社会の持続的な発展に向けた新たなメカトロニクス応用領域への挑戦において、展開を進めます。
<リスク・機会要因に関する事業影響>
シナリオ分析に用いた主なシナリオ
・主に移行リスクを分析するために使用 IEA(※1)、SDS(※2)、STEPS(※3)
(※1)国際エネルギー機関 (※2)持続可能な開発シナリオ (※3)すでに公表済みの政策によるシナリオ
・主に物理的リスクを分析するために使用 IPCC(※4)、RCP2.6(※5)、RCP8.5(※6)
(※4)気候変動に関する政府間パネル
(※5)世界の平均気温が産業革命以前より2℃程度上昇するシナリオ
(※6)世界の平均気温が産業革命以前より4℃前後上昇するシナリオ
③ リスク管理
当社グループは、直接的または間接的に当社グループの経営あるいは事業運営に支障をきたす可能性のあるリスクに迅速かつ的確に対処するため、社長が指名した危機管理委員長が運営する危機管理委員会を設置しております。これにより、全社的なリスクの評価、管理、対策立案とその実行を行っております。
気候変動に関連するリスクについても、当委員会において評価、管理を行い、また危機発生時には危機のレベルに応じた対策本部を設置し、適切な対応を実施します。
危機管理委員会の内容については、取締役会、経営会議およびサステナビリティ委員会においても情報共有が行われ、全社の危機管理について監督およびモニタリングを実施するとともに、リスク評価とマテリアリティ分析の整合性を図ることで、全社におけるリスク管理の強化を図っております。
④ 指標および目標
当社は、全人類における社会課題である地球温暖化の抑制に向けて、2050年に当社グループのグローバルの事業活動に伴うCO2排出量(スコープ1+スコープ2)を実質ゼロ(カーボンニュートラル)とするとともに、そのマイルストーンとして2030年の同CO2排出量を2018年比で51%削減する目標「2050 CARBON NEUTRAL CHALLENGE」を 設定しております。さらに、サプライチェーンの上流や下流のCO2排出量(スコープ3)に対しても2030年の同CO2排出量を2020年比で15%削減する目標を設定しております。
本マイルストーンは、2023年1月にSBTイニシアチブ(※7)から世界平均気温を産業革命の前と比べて1.5℃未満の上昇に抑えるための科学的根拠に基づいた目標であるとして認定されました。
また、当社はコア技術であるパワー変換技術を活用した世界最高性能を誇るインバータなどの製品供給を通じ、世の中のCO2排出量削減に貢献するため、2025年に当社製品によるCO2削減貢献量を当社グループによるCO2排出量の100倍以上とする目標「CCE100」を掲げて事業活動に取り組んでおります。
これらの目標の達成に向けて、当社ではインターナルカーボンプライシング制度(社内炭素価格:5,000円/t-CO2)を導入し、積極的な環境投資を進めております。
当社のスコープ1、スコープ2およびスコープ3の排出量は以下のURLをご参照ください。なお、当事業年度のデータは、本年9月以降の掲載を予定しております。
https://www.yaskawa.co.jp/company/csr/group/esg-data
(※7)Science Based Targets initiative:企業のCO2削減目標が科学的な根拠と整合したものであることを認定する国際的なイニシアチブ
(3) 人的資本
当社グループは、「安川グループ経営理念」に基づき、事業の遂行を通じて広く社会の発展、人類の福祉に貢献できる人材の確保、育成、最適配置を行うことで生産性を向上し、持続的な発展を目指します。また、多様な従業員一人ひとりが最大限に能力を発揮できるよう、安心して働くことができる職場環境の実現を目指しております。
当社グループでは、グローバルで共通の人事理念を制定し、人材や人事諸制度に対する基本的な考え方を定めております。従業員が志を持ち、高いモチベーションで自律的に学び、新たな価値創造にチャレンジし続けることを理想とし、その実現に向けた人事制度、働き方および人材育成などの改善に継続して取り組んでおります。これらの取組みを通じ、従業員一人ひとりがお客さまへ貢献している実感を得ながら働きがいを高め、個々の目指す姿に向けた従業員の成長と当社グループの競争力向上の好循環につなげ、持続的な企業価値向上を目指します。
<人事理念>
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〔求める人材〕 安川電機は会社創設以来、時代時代のニーズを先取りして新しいことに絶えずチャレンジし続けてきました。プロフェッショナルな意識を持ち、失敗を恐れず皆と協力しながら新しいことにチャレンジし続ける人材を求めています。 〔人づくり〕 従業員一人ひとりが自己実現できるよう、チャレンジできる成長の機会の提供を行います。文化、慣習、言葉の壁を越えてグローバルにビジネスの拡大に寄与できる人材の育成を、自己啓発、OJL、OFF-JLを通して行います。 〔働く環境づくり〕 日々の会社生活が心身ともに健康に過ごせる労働環境の整備に最大限の努力を行います。職場環境からあらゆる差別を廃止し、ハラスメントの防止に努めます。また、ワークライフバランスを推進するため、多様な働き方を実現する取り組みや諸制度の構築を行っていきます。 〔評価と処遇〕 定期的な上司と部下の面談を通して、一人ひとりが期待される役割を明確にします。頑張って成果を収めた人が評価される制度を構築し、評価基準の情報開示を行うことにより透明性を高めます。発揮された成果については、合議による評価の実施により公正さを保ち、報酬、昇級・昇格の処遇において公平に報います。 |
① 人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針および取組み
2025年ビジョンの達成のため、次の3つを求める人材として方針を掲げ、採用・育成の具体的な方策に展開しております。求める人材の1つ目は「自ら考え新たな領域にチャレンジし、活躍できる人材」、2つ目は「グローバルに競争し、勝つことのできる人材」、3つ目は「多様性を許容し、組織と人材を引っ張り、束ね、支える人材」です。
優れた製品やサービスでより良い社会づくりを目指す当社では、従業員の成長が企業最大の財産(価値)と位置付けるとともに、「会社の役割は従業員の自己実現の場を提供することにある」という考えのもと、「与えられる教育」から「自ら学ぶ教育」へと個々人の自律性を尊重した教育体系を導入しております。従業員は、「求められる人材像」や「目指す目標」と「現在の姿」とのギャップを把握したうえで、さまざまな教育・従業員研修制度を活用し、「自己実現」を目指します。
また、キャリアプラン制度を通じて従業員一人ひとりの意欲や適性にあわせた長期的な人材育成を行っております。
さらに、経営陣が「人づくり推進担当」となって、従業員に夢や人材育成方針を直接語りかけたり、従業員が社長に直接ホンネの意見や要望をぶつけたりするミーティングを行うなど、双方向コミュニケーションを重視した独自の制度を導入し、人材育成の向上を図っております。
(a) 人材育成
人事理念に基づき、従業員が自ら成長する風土の醸成を意識した活動を進めております。
教育体系は、業務を通じて学ぶOJL(On the Job Learning)を中心に位置づけ、これを補完するOff-JL(Off the Job Learning)と自らの価値を高める自己啓発とで構成しております。自己啓発は、会社が援助対象と認めたものについて、一定の自己負担を前提に会社が援助を行います。
直近では、以下のような項目を重点施策として取り組んでおります。
(ⅰ)安川グループ経営理念の浸透
当社において根本となる活動方針や判断基準が「安川グループ経営理念」であり、企業を取り巻く環境が激しく変化していく中でも、ぶれない軸を持ち理念を体現できる人材を増やすために理念教育を実施しております。
(ⅱ)プロフェッショナル人材(プロ人材)の育成
グローバルな競争が求められる現在のビジネス環境において、企業としての優位性を保つためには、人材一人ひとりのプロフェッショナル化が求められています。プロ人材が増えれば増えるほど、組織の競争力は高まり、「変化への対応」「危機への対応」を柔軟に行うこともできるようになると考えております。
プロ人材の比率を向上させるために、「OJLシート・スキルチェックを活用した保有スキルレベルの視える化」や「キャリアパスモデルによる、身に付けるべきスキル・能力ならびにステップアップのための道筋の視える化」等を行うことで、従業員全員が必要な能力・スキルを積極的に学び、自立(自律)的な成長を促す環境をつくります。また、事業環境の変化に対応した教育体系を構築することにより、適切なタイミングで必要な教育を行い、グループ全体の組織能力向上に取り組んでおります。
(ⅲ)若手人材の育成
当社における若手人材(入社5年目以内)に求める姿として、「物事を論理的に考え、適切に相手に伝えること」を掲げ、人材育成を進めております。また、2017年度より、当社技術社員として必要な一定の知識の幅(深さと広さ)の習得を目的として、技術系新入社員に対し「安川フレッシャーズテクニカルスクール(YFTS)」を開校しております。これらにより、各人が保有する力をビジネスシーンや業務において、十分に発揮できるような取組みを行っております。
(ⅳ)経営層と一般社員との対話集会
経営層との直接対話(対話集会)を重視した独自の人づくり推進活動を展開しております。社長自ら「人づくり推進担当」として、進化する安川電機を担う人づくりをモットーに、従業員とのコミュニケーションの輪を広げ、双方向の対話を通して、参加者のモチベーション向上とチャレンジする人材の育成を強化しております。
(b) ダイバーシティとインクルージョン(※1)
当社は長期経営計画「2025年ビジョン」において、ダイバーシティ(人材多様性)推進を掲げ、多様な人材の強みを生かせる風土づくりに取り組んでおります。変動の激しいグローバル市場にスピーディに対応するため、企業の進化と競争力強化を目指し、次の3項目を人材多様性推進のミッションとしております。
<人材多様性推進のミッション>
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1.多様な価値観や考え方を持った人材の採用と育成によって、環境変化に強い企業体質を構築します。 2.多様な意見や視点を取り入れ、イノベーションが必然的に起こる社風を創出します。 3.あらゆる差別要因を排除し、従業員の個性を認めることによって働きがいのある職場環境を実現します。 |
VUCA(※2)の時代、取り巻く経営環境の変化にスピーディに対応するため、当社は、次の100年も成長し続ける企業となるため企業の進化と競争力強化を目指し、日本社会の課題となっている女性活躍のみならず、多様な人材の強みを生かせる風土づくりに取り組んでおります。当社グループ全体では、管理職の約13%(2022年度)を女性が占めていますが、当社単体では、技術立社のメーカーとして技術系採用が多く、その母数となる理系の女子学生の比率が少ないこともあり、結果として女性管理職の比率が低いという課題を抱えております。また直近の社内アンケート結果から、管理職を目指したい女性従業員の割合が向上している一方で、男女の性別役割意識については改善傾向にはあるものの、依然として男女でギャップがあることが分かりました。これら課題の解決に向けて、サステナビリティ方針に基づくマテリアリティの1つとして、女性管理職比率を2025年度に2021年度比2倍(単体)にする目標を掲げております。具体的な取組みとして、文系理系職問わず女性採用を積極的に推進しております。また、女性管理職育成のための研修を実施し、スキルアップやマインドチェンジのみならず、女性社員を育成する職場管理職の意識変革や関わり強化の取組みも実施しております。
(※1)一人ひとりが「職場で尊重されたメンバーとして扱われている」と認識している状態のこと
(※2)Volatility Uncertainty Complexity Ambiguityの頭文字を取った造語で、先行きが不透明で、将来の予測が困難な状態のこと
(c) 多様な人材の配置
当社では、多様なライフスタイルを持った従業員が働きがいを感じて仕事ができるよう適材適所に人材を配置することを基本的な考え方としております。そのために、従業員一人ひとりの能力発揮と自己成長が求められるとともに、自ら考えたキャリアを発信する場を提供することで、キャリアを実現する人材配置の実現に取り組んでおります。
グローバルでは、世界規模で考え、地域に根ざして活動する「グローカル経営」を基本的な考え方とし、海外オペレーションの現地化を促進しております。
② 社内環境整備に関する方針および取組み
顧客価値創造活動による企業価値の最大化と「働きがいのある会社」を目指すという基本的な考えのもと、評価制度の見直しを中心とした「人事制度改革」や、働き方改革関連法などの社会情勢に対応した「労働時間管理制度改革」を大きな柱として、労働生産性を向上させるための改革を推進しております。
(a) 働き方改革
一人ひとりが働きがいを持てる企業文化・風土を醸成することで、当社の経営基盤を強化するとともに、従業員一人ひとりの顧客価値創造活動を通じて企業価値の向上を目指す考えのもと、具体的な方策を展開しております。
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方策 |
目的 |
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評価・報酬制度の見直し |
仕事の成果について、デジタルかつ公平に評価し、成果を重視したメリハリのある処遇を実現する |
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勤務エリア限定制度の導入 |
多様な働き方を認め、各個人に合わせたスタイルで仕事をしてそれを公平に評価し処遇する |
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格付・資格制度の見直し FA(フリーエージェント)制度の導入 |
入社年次に関わらず意欲と能力のある人材にチャンスを与え、競争原理の中で自発的な成長を促進する |
上記を含め、「2025年ビジョン」達成のために必要な組織や人材、外部環境の変化を見据え、組織力および人材力強化に向けた取り組みを進めております。
また、2021年度からは、新型コロナウイルス感染拡大に伴う出社や外出の自粛で、時間や場所にとらわれない多様な働き方が新常態(ニューノーマル)として定着しつつあり、この働き方の選択肢を増やすため、テレワーク制度を導入しました。
あわせて、出社しているかどうかに関わらず、職場や個人の生産性を上げて成果を出せる環境の整備やそれを上司が評価できる仕組みを整備しております。
(b) 評価・報酬制度
国内においては少子高齢化やグローバル化が進行し、デジタル技術が進化する中で、若手人材の就業意識の変化や、高度専門人材の事業上での重要性向上等により、人材の獲得競争が進んでおります。このような中、優秀な人材を確保して活躍を推進するため、採用や従業員のパフォーマンス向上、リテンションおよび将来的な成長等を総合的に加味した魅力的な処遇の実現に向けた評価・報酬制度の改定を行いました。
新しい評価・報酬制度においては、年功での知識・スキルの蓄積を評価する考え方を弱め、職務を遂行し得られた成果を公平に評価し、一人ひとりが担う役割と職務の大きさをベースにした報酬を可能とすることで、従業員の働きがいを高めることをねらいとしております。
また、企業の価値創造の主体が従業員であることを鑑み、2022年度に中長期インセンティブ制度を従業員に拡大しました。経営への参画意識の向上をねらいとし、中期経営計画の達成度合いに応じて管理者以上には株式報酬を、従業員には持株会奨励を兼ねた現金報酬を支給し、企業価値向上への意識を高める制度としております。
さらに、賞与については、営業利益率が10%を超えた場合に上限なく増加し、一方で営業利益率が下がった場合にはその分減少させるという利益への連動性を高めた制度としております。従業員の意欲的なチャレンジが将来の会社の成長やリターンにもつながるという観点から、モチベーション向上を図っております。
(c) ES(従業員満足度)アンケート
2016年度より単体社員全員を対象としたES(従業員満足度)アンケート調査を毎月実施しております。アンケートを通じて経営施策の理解や浸透度、職場の繁忙感および人事制度への満足度等を測ると同時に、社員の抱える諸課題を解消し、中期経営計画の目標達成や長期経営計画「2025年ビジョン」の実現に向け、経営層と全社員がより一体となった企業風土の醸成を目指しております。
アンケートでは定期的に働きがいを感じる従業員の割合を定量化しており、働きがいの肯定回答率は80%前後の高い値で推移しております。
アンケート回答率は毎月90%を超え、さまざまな意見や要望が寄せられております。アンケート分析結果は毎月社内公表しており、全ての意見や要望に対するフィードバックにも努めております。
(d) 従業員持株会
福利厚生の一環として安川電機従業員持株会を運営しております。安川電機およびその関係会社の従業員を対象として、奨励金を拠出金に加算して株式の購入に充当する制度です。
なお、2022年度の持株会加入奨励を兼ねた中長期インセンティブ制度の導入により加入率が大幅に向上し、関係会社を含む対象従業員の70%以上(2023年3月時点)が加入しております。従業員の経営への参画意識を更に高め、業績向上に対するモチベーションを高めるとともに、中長期的な企業価値の向上を図ります。
(e) 労働安全衛生・健康経営
当社は、安全衛生業務を総括管理するため全社総括安全衛生管理者をおき、中央安全衛生委員会を年2回開催しております。この委員会メンバーは労使同数で構成され、各事業所代表者およびグループ会社代表者はオブザーバーとして参加します。各事業所およびグループ会社は、中央安全衛生委員会で決定された方針をもとに、月1回開催されるそれぞれの安全衛生委員会の中でブレイクダウンした独自の方針を決定し管理・運用しております。具体的には、災害事例の周知やその対策、パトロールの指摘事項と改善内容の確認、ヒヤリハットの報告および長時間労働対策などに取り組んでおります。
健康経営については、「安川グループ経営理念」実現のため、2015年に「安全宣言」を制定し、2019年には「働き方改革」の取組みを盛り込んだ「健康安全宣言」に見直し、従業員の健康づくりを推進してきました。2023年度からは「健康経営宣言」として社内外に広く宣言し、健康経営の推進を加速いたします。
<安川グループ「健康経営宣言」>
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安川グループ経営理念である、『安川グループの使命は、その事業の遂行を通じて広く社会の発展、 人類の福祉に貢献すること』を実現するため、従業員一人ひとりの働きがいのベースとなる健康づくり をサポートし、健康で安全に明るく働きがいのあるグループを目指します。 1.会社で働くことによる病気やケガをなくします。 2.自律的に健康安全活動を実践する従業員を増やします。 3.従業員一人ひとりが安全で明るく働きがいのある職場・働き方を実現していきます。 |
(ⅰ)労働安全衛生
労働安全衛生マネジメントシステムの考え方を基本に、各職場において、安全に作業を行うための作業基準書の整備と教育訓練、リスクアセスメントおよび日々の業務における災害防止活動を行っております。
また、これらの活動が安全衛生方針や目標の達成につながっているか内部監査を行い、指摘項目について各事業所の安全衛生委員会の中での指導を徹底することでさらなる改善を図っております。これにより、当社および国内グループにおける労働災害の度数率は同業種の平均を下回る水準を維持しております。
(ⅱ)従業員の健康サポート
各種健康診断では、関連する法令や検査の特性を十分に考慮し、作業環境の把握や対象者の選定から検査実施と事後措置まで、有機的かつ効率的な運用を図っております。業務上の疾病予防はもちろんのこと、生活上・就業上の支援に重きを置いた保健指導や教育を行っております。
(ⅲ)メンタルヘルス対策
精神医学的な病気や障害は、他の病気と同様、誰にでも起こりうる疾患であると位置づけ、必要に応じた生活上・就業上の支援を行っております。
また、従業員の健康および生活にさまざまな影響を及ぼす心理的ストレスへの対策の一環として、ストレスチェック制度を活用し、その結果に基づく個人と職場へのフィードバックを行っております。
(ⅳ)疾病休業者の職場復帰支援
やむを得ず病気やケガで休業した従業員が職場に復帰するときは、本人はもちろん所属長や管理部門および産業医が協力し、可能な限りの人的サポート体制や物理的環境を整え支援を行っております。
③ 指標および目標
上記①②の方針および取組みに関する主な指標と目標は以下のとおりです。
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指標 |
目標 |
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プロフェッショナル人材(※3)の育成 (単体・業務スキルに対するプロフェッショナル評価比率の向上) |
全社平均75%(2025年度) |
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働きがい・成長機会の肯定回答率 (単体・ES(従業員満足度)アンケート) |
80%以上(2023~2025年度) |
(※3)自身が任された業務内のスキルにおいて人に教えることができるレベルまたは一人で遂行できるレベルの人材
当社は、経済・市場の状況等を含む経営の遂行状況に係るリスクについては、経営会議等の執行会議および取締役会においてモニタリングしております。加えて、当社グループに発生する可能性のあるリスクに迅速かつ的確に対処することを目的に危機管理基本規程を定め、この規程に従い危機管理委員会とその傘下に各専門委員会を設置しております。危機管理委員会では、リスク管理体制の整備に関する事項やリスク管理教育の企画・推進およびリスクが発生した場合の各種対応などを実施しております。また、これらのリスク管理状況は経営会議等の執行会議および取締役会に適宜報告しております。
当社グループの業績、財務状況等に影響を及ぼす可能性のある重要なリスクおよびそれらの対策については下表のとおりです。その他、コンプライアンス、品質問題、人材確保、自然災害(地震・水害等)、テロ・紛争および法規制についてもリスクとして認識の上、対策を講じていきます。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1) 経営環境に関する項目
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地政学リスク(国際関係変化) |
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リスクの説明 |
当社グループは日本・中国を中心に7カ国に生産拠点を持ち、グローバル30カ国に展開している営業拠点を通じ、日々お客さまに製品・サービスを提供しています。このことから、米中やロシア・ウクライナ情勢などの国際関係の変化やそれに起因する社会/環境の変化、法規制の変更などは事業活動に影響を及ぼす可能性があります。 特に、各国の輸出規制、技術移転の制限、関税の引き上げ等により、開発、生産、物流や営業活動が制限を受け、お客さまへの製品供給に支障をきたす場合、当社グループの経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。 |
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リスクへの対策 |
このようなリスクに対して、各地域の政治・経済情勢や法規制の動向などについて、各拠点を通じて定期的にモニタリングし、事業への影響を迅速に把握できる体制を整えています。 特に、近年では変化による事業への影響が大きいグローバルにおける法制変化などのモニタリングを強化するため、国内における各事業・本社部門に加え、海外子会社を始めとしたグローバル拠点にコンプライアンス担当者を設置することで、本社の法務部門を中心としたグローバルでの統制体制を整備しています。 また、地政学リスクに起因する多岐に渡る事業活動リスクが顕在化した際には、本社の危機管理委員会を通じ迅速な初動対応を講じるとともに、各専門委員会および経営会議等の執行会議との連携を図りながら、グローバルにおける効果的なインシデント対応体制を構築することで被害や損害を最小限とすることに努めています。 |
(2) 事業環境に関する項目
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部材調達・物流に係るリスク |
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リスクの説明 |
当社グループは鋼材等の原材料や各種部品を多数の取引先から調達していますが、価格の高騰や業界の需要増によっては、継続的な必要量の確保が困難となる可能性があります。また、取引先において、自然災害、感染症の拡大、事故、経営状況の悪化等により、当社グループに対する部品や原材料等の安定的な提供が困難になる可能性があります。 直近では、世界的な半導体不足や新型コロナウイルス感染症によるサプライチェーン全体の混乱等により、納期遅延のリスクが顕在化しました。 |
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リスクへの対策 |
このようなリスクに対して、当社グループは取引先との対話を通じた信頼関係の構築、グローバルでの調達先の分散を図るとともに、適正な在庫水準の確保と現地生産・現地調達の推進を通じた需要変動への対応、国内および主要海外拠点における事業継続計画(BCP)策定による災害リスク等への対応を強化するなど調達機能の強化に努めています。 また、リスク部品の早期発見と全社対策の強化を図るとともに、入荷困難な状況が継続する部品に関しては、入手可能な部品への設計変更を行う等、対応を強化しています。 |
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為替相場の変動に係るリスク |
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リスクの説明 |
当社グループはグローバルで事業展開し、その取引先は世界各地にわたるため、為替相場の変動リスクにさらされています。当社グループは、米ドル、ユーロ、中国人民元等の現地通貨建てで製品・サービスの販売・提供および原材料・部品の購入を行っていることに加え、現地通貨建ての製品輸出を行っており、想定以上の為替相場の変動は製品の競争力を弱めるなど、当社グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループは現地通貨で表示された資産および負債を保有していることから、為替相場の変動は円建てで報告される当社グループの財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 なお、2023年2月28日に終了した連結会計年度の為替感応度(実績為替平均レート(米ドル:134.1円、ユーロ:139.8円、中国人民元:19.68円、韓国ウォン:0.103円)から1%変動した場合の業績影響額)は、売上収益については、米ドル:約11.9億円、ユーロ:約8.2億円、中国人民元:約13.5億円、韓国ウォン:約3.3億円となり、営業利益については、米ドル:約2.6億円、ユーロ:約1.7億円、中国人民元:約4.0億円、韓国ウォン:約2.0億円となります。 |
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リスクへの対策 |
このようなリスクに対して、当社グループでは、先物為替予約契約や為替ヘッジを実行することに加え、現地生産や現地調達の推進などを通じ、為替変動に強い収益構造の構築に取り組んでいます。 |
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競争の激化に係るリスク |
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リスクの説明 |
当社グループの事業分野においては、それぞれの分野で強力な競合相手が存在します。当社グループ製品のシェアの高い分野においても、将来にわたり競争優位性を保てるという保証はありません。このため競合企業との価格面における激しい競争が発生した場合は、当社グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループの製品等は、技術および品質等における競争力を確保するため、適時・適切な製品投入を行う必要があります。当社グループが提供する製品等の競争力が相対的に脆弱である場合や、製品投入時期が適切でない場合等に、当社グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。 |
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リスクへの対策 |
このようなリスクに対して、当社グループは安川テクノロジーセンタを中心として部門横断的な研究開発の継続的な強化を図っています。世界初・世界一にこだわった画期的な製品開発を進めるとともに、徹底した効率化を図ることで開発期間の短縮を図り、コスト競争力の高い製品のタイムリーな市場投入に努めています。また、i3-Mechatronicsを通じたお客さまにとって最適なソリューションの提供により、製品・サービスの差別化および高付加価値化に努めています。 |
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サステナビリティ課題に係るリスク(気候変動・人権) |
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リスクの説明 |
気候変動について、政策や規制など気候変動対策や社会的要求の変化等によって生じる“移行”リスクが考えられます。例えば、炭素価格・各国政府による炭素税の導入による燃料調達コストや材料調達コストの増加、各国の炭素排出政策・排出権取引の導入や排出規制の強化に伴うグリーン電力購入等のコスト増加が挙げられます。 また、人権については強制労働、児童労働などの問題に対し、自社だけではなく取引先も含めた対応が社会的な要請として求められています。 これらのリスクについて、対応が適切でない場合、企業価値に影響を及ぼす可能性があります。 |
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リスクへの対策 |
このようなリスクに対して、当社グループは気候変動についてTCFD提言への賛同を表明し、環境省のTCFDに沿った気候リスク・機会のシナリオ分析支援事業へ参加をするなど様々な活動を進め、TCFD提言に基づく気候変動関連の情報を開示しました。今後も引き続き気候変動関連の情報開示を充実させ、より一層環境に配慮した事業活動を継続していくことにより、持続可能な社会の実現への貢献と企業価値のさらなる向上を図ります。また、体制として、社長を委員長とするサステナビリティ委員会にてモニタリングを図るとともに、それ以外の施策を含む全体遂行については、社長が任命した環境推進統括者が運営する環境推進体制においてPDCAを回しながら活動の質の向上を図っています。 人権については、「世界人権宣言」、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」などに基づき、人権の尊重を安川グループ企業行動規準に定め、すべての人々の人権を尊重する対応を推進しています。推進体制として、サステナビリティ担当部門、総務担当部門および調達担当部門が中心となり、当社グループおよびサプライチェーンにおける人権の尊重に取り組んでいます。これらの取組みについて、サステナビリティ委員会において施策の審議やモニタリングを定期的に行っています。これらの取組みを通じて、常に変化する人権に関する社会的要請や課題に継続的に対応していきます。 |
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情報セキュリティに係るリスク |
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リスクの説明 |
当社グループの事業分野において、お客さま・取引先の情報や従業員を含む個人情報を保有しています。サイバー攻撃、コンピューターウイルス感染、不正アクセスなどに起因するサーバダウンやシステム停止により事業停止を引き起こす可能性があります。また、当社が保有する情報が社外に漏洩した場合や当社に関わる虚偽の風説をSNSなどで流布された場合は、お客さまを含む市場の信頼が失われ、当社の事業継続に悪影響を及ぼす可能性があります。 |
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リスクへの対策 |
平時より情報セキュリティ基盤の強化活動を推進しており、高度化・巧妙化する最新サイバー攻撃や日々発生する脆弱性情報の動向、ブランド調査をグローバルで監視・情報収集しています。当社に関わる情報セキュリティリスクが予見・発見された場合は、リスク管理体制と即座に適切な対応を実施可能なCSIRT体制が連携しインシデント対応を行い、リスクを予測し回復・適応できるレジリエントな情報システムの維持・強化を進めております。これらの活動により、当社の情報セキュリティに関するリスクを最小限に抑え、お客様に信頼性の高い製品・サービスを提供していきます。 |
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1) 2023年度~2025年度中期経営計画「Realize 25」に関する認識および分析・検討内容
経営指標等につきましては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3) 中期経営計画「Realize 25」の概要」に記載しております。
(2) 経営者による経営成績(P/L)の分析
① 概況
当期における当社グループの経営環境は、製造業全般における生産の高度化・自動化を目的とした設備投資が継続的に行われました。特にグローバルなEV(電気自動車)化の加速により設備投資が伸長し、リチウムイオン電池関連の需要も拡大しました。また、米国などでオイル・ガス関連の需要が大幅に増加した一方、上期に好調だった半導体市場ではメモリ価格の下落によって在庫調整が発生するなど、期末にかけて設備投資が抑制されました。中国ではコロナ禍により経済活動が停滞し、設備投資が伸び悩みました。
このような環境において当社グループの業績は、半導体など長期化する部品の供給不足や中国のロックダウンによって生産制約の影響を受けましたが、下期からは部品の需給逼迫の緩和によって生産が回復し、好調な受注を売上につなげることで増収となりました。利益面については、原材料・物流費の高騰影響やインフレ対応に伴う間接費の増加などがあった一方、製品の価格転嫁による採算性の改善や為替の円安影響に加え、退職年金制度の変更や遊休不動産の売却などに伴うその他の収益もあり、営業利益は前年同期比で増加しました。
これらの結果、売上収益・営業利益・親会社の所有者に帰属する当期利益は、いずれも過去最高を更新しました。
なお、当期における当社グループの地域別の経営環境は以下のとおりです。
日 本: 需要は総じて堅調に推移しましたが、期末にかけて半導体市場ではメモリ価格の下落によって在庫調整が進みました。
米 国: 自動車やオイル・ガス関連などの設備投資が期を通じて拡大し、一般産業においても自動化投資が継続するなど、需要は好調に推移しました。
欧 州: 自動車や木工機械などを中心に、生産設備の自動化に向けた積極的な投資が継続するなど、需要は底堅く推移しました。
中 国: EV化の加速を背景に、自動車やリチウムイオン電池など一部の市場で需要は好調に推移しました。その一方、コロナ禍におけるロックダウンやゼロコロナ政策終了に伴う感染拡大などにより経済活動が停滞し、期末にかけて一般産業を中心に設備投資は伸び悩みました。
中国除くアジア:韓国・台湾などで半導体市場の需要が期末にかけて減少したものの、自動車やリチウムイオン電池関連などの設備投資は総じて高い水準で推移しました。
この結果、当期の経営成績は以下のとおりです。
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2022年2月期 |
2023年2月期 |
前年同期比 |
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売上収益 |
4,790億82百万円 |
5,559億55百万円 |
+16.0% |
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営業利益 |
528億60百万円 |
683億 1百万円 |
+29.2% |
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親会社の所有者に帰属する 当期利益 |
383億54百万円 |
517億83百万円 |
+35.0% |
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米ドル平均レート |
111.49円 |
134.12円 |
+22.63円 |
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ユーロ平均レート |
130.44円 |
139.84円 |
+9.40円 |
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中国人民元平均レート |
17.33円 |
19.68円 |
+2.35円 |
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韓国ウォン平均レート |
0.096円 |
0.103円 |
+0.007円 |
② セグメント別の状況
当社グループでは、事業内容を4つのセグメントに分けています。
当期の各セグメントの経営成績は以下のとおりです。
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モーションコントロール |
売上収益 2,521億26百万円 (前年同期比 +10.9% ) |
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営業損益 361億93百万円 (前年同期比 △5.2% ) |
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モーションコントロールセグメントは、ACサーボモータ・コントローラ事業とインバータ事業で構成されています。 売上収益は前年同期比で増加しましたが、利益面においては中国におけるゼロコロナ政策の影響や、グローバルでの原材料費や物流費の高騰影響などにより減益となりました。 〔ACサーボモータ・コントローラ事業〕 米国・日本などで上期を中心に半導体・電子部品向けの需要が好調に推移した一方、中国においては、コロナ禍による経済活動の停滞影響を受け、一般産業を中心に設備投資は低迷しました。 〔インバータ事業〕 米国においてオイル・ガス関連の需要が大幅に増加したほか、グローバルで脱炭素化(カーボンニュートラル)を意識した省エネ化投資が加速しました。また、生産面においては上期に中国のロックダウン影響を受け遅れが生じていましたが、期末にかけて部品不足が改善するなど生産を挽回したことから、事業全体の売上収益は大幅に伸長しました。 |
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ロボット |
売上収益 2,238億29百万円 (前年同期比 +25.3% ) |
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営業損益 261億26百万円 (前年同期比 +51.5% ) |
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ロボットセグメントの主要市場である自動車においてグローバルでEV化が加速し、リチウムイオン電池関連の設備投資を拡大する動きが継続しました。また、日欧米など多くの地域では、人件費高騰・労働力不足を背景に、物流・食品・農機をはじめとする一般産業分野において、生産の高度化・自動化を目的とした投資が行われました。 このような市場全体の需要拡大を的確に捉え、部品の内製化などによる生産の効率化を進めた結果、売上収益・営業利益はともに前年同期比で大幅に増加しました。 |
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システムエンジニアリング |
売上収益 511億11百万円 (前年同期比 △2.2% ) |
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営業損益 25億74百万円 (前年同期比 +21.0% ) |
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鉄鋼プラントや上下水道用電気システム関連の売上が伸び悩んだ一方、太陽光発電用パワーコンディショナの販売は伸長しました。この結果、セグメント全体の売上収益は前年同期比で減少しましたが、利益面においては効率的な事業運営や経費抑制の徹底により、増益となりました。 |
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その他 |
売上収益 288億88百万円 (前年同期比 +38.3% ) |
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営業損益 17億87百万円 (前年同期比 +365.3% ) |
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その他セグメントは、物流サービス事業などで構成されています。 営業利益は不動産の売却益などにより増加しました。 |
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(3) 経営者による財政状態およびキャッシュ・フローの状況の分析
① 資本の財源および資金の流動性にかかる情報
(a) 資産、負債および資本(B/S)構造に関する基本的な考え方
(ア) 流動資産(手元現預金)
キャッシュがグローバルで分散し余剰にならないようにコントロールしながら、手元現預金は月商1ヵ月程度の水準を維持する方針です。
(イ) 非流動資産
将来の利益源になる投資を積極的に行う方針です。
(ウ) 資本構成
安全性を考慮しながら一定のネットD/Eレシオの範囲内で、レバレッジを効かせた経営を行います。現金水準が高すぎるのは、経営の規律の観点から好ましくないと考えており、資本効率(ROE)を意識しながら株主還元もその適正化の方法の1つとして検討します。また、親会社所有者帰属持分比率が50%を上回る場合は安定的な経営ができていると判断しております。50%を下回る場合はより内部留保を増やす方針です。
(b) キャッシュアロケーションに関する基本的な考え方
当社は、営業活動により生み出したキャッシュを①投資、②株主還元、③従業員配分の3方向に効果的に投入することで、持続的な成長を実現することを基本方針としております。
(ア) 投資
中期経営計画「Realize 25」では、2023年度~2025年度の累計で1,500億円の投資計画を立てております。成長投資を積極的かつ継続的に行うことで、さらなる生産性向上や競争力強化を図り、中長期的な成長を目指します。
(イ) 株主還元
当期利益に対し30%+αの配当性向を想定した経営を実践しております。キャッシュが想定以上に創出された場合は、追加の還元策も検討します。
(ウ) 従業員配分
企業の価値創造の主体が従業員であることを鑑み、以前から利益還元を図ってきました。2022年度は中長期インセンティブ制度を従業員に拡大しました。経営への参画意識の向上をねらいとし、中期経営計画の達成度合いに応じて管理者以上には株式報酬を、従業員には持株会奨励を兼ねた現金報酬を支給し、企業価値向上への意識を高める制度としております。賞与については営業利益率が10%を超えた場合に上限なく増加し、一方で営業利益率が下がった場合にはその分減少させるという利益への連動性を高めた制度としております。従業員の意欲的なチャレンジが将来の会社の成長やリターンにもつながるという観点から、モチベーション向上を図っております。
② 資産、負債および資本(B/S)の状況
(a) 資産 6,531億32百万円(前期末比 940億94百万円増加)
棚卸資産や営業債権等の増加により、流動資産が前期末に比べ685億36百万円増加しました。また、有形固定資産やその他の非流動資産等の増加により、非流動資産が前期末に比べ255億58百万円増加しました。
(b) 負債 2,980億57百万円(前期末比 371億19百万円増加)
営業債務等が減少したものの、短期借入金やその他の流動負債等の増加により、流動負債が前期末に比べ395億32百万円増加しました。一方、長期借入金等の減少により、非流動負債が前期末に比べ24億13百万円減少しました。
(c) 資本 3,550億75百万円(前期末比 569億74百万円増加)
利益剰余金やその他の資本の構成要素等が増加しました。
③ キャッシュ・フロー(C/F)の状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は422億74百万円(前期末比 128億77百万円減少)となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりです。
(a) 営業活動によるキャッシュ・フロー
税引前当期利益や減価償却費の計上等による収入があったものの、棚卸資産や営業債権の増加および営業債務の減少等により、22億9百万円の支出(前年同期比 514億43百万円の収入減)となりました。
(b) 投資活動によるキャッシュ・フロー
有形固定資産および無形資産の取得等による支出により、196億94百万円の支出(前年同期比 44億70百万円の支出減)となりました。
(c) 財務活動によるキャッシュ・フロー
配当金の支払および長期借入金の返済等により支出が増加したものの、短期借入金の増加および長期借入により、71億97百万円の収入(前年同期比 296億72百万円の収入増)となりました。
※営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローを合算したフリー・キャッシュ・フローは219億4百万円の支出となりました。
(4) 生産、受注および販売の実績
当社グループの生産・販売品目は広範囲にわたりかつ多種多様であり、同種の製品であっても、その容量、構造、形式等は必ずしも一様ではなく、また受注生産形態をとらない製品も多く、セグメントごとに生産規模および受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。
このため、生産および受注の実績については、「(2) 経営者による経営成績(P/L)の分析」におけるセグメントの経営成績に関連づけて記載しております。
また、販売の実績については、「(2) 経営者による経営成績(P/L)の分析」におけるセグメントの経営成績に関連づけて、連結の数字を示しております。
(5) 重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定
IFRSに準拠した連結財務諸表の作成にあたり、期末日現在の資産・負債の金額、偶発的な資産・負債の開示および報告対象期間の収益・費用の金額に影響を与える様々な見積りや仮定を用いており、実際の結果は、これらの見積りと異なる場合があります。
なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針、会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針の要約 4.重要な会計上の見積りおよび判断」に記載しております。
該当事項はありません。
当社は、「電動機(モータ)とその応用」を事業領域に定め、世界初・世界一にこだわった製品・技術の研究開発をグローバルな体制で行っております。長期経営計画「2025年ビジョン」では、メカトロニクスを軸とした「工場自動化・最適化」と「メカトロニクスの応用領域」を事業領域に設定し、新しい価値と市場の創造を目指しております。
「工場自動化・最適化」においては、これまでのソリューションに「デジタルデータのマネジメント」を加えたコンセプト「i³-Mechatronics」を軸とした産業自動化革命の実現に向け、メカトロニクス技術とICTの融合により、新しい自動化ソリューションの開発を継続しております。
「メカトロニクスの応用領域」では、メカトロニクス技術が応用できる分野を探索・実証しながら、事業化に向けた取組みを進めました。特に、Energy Saving分野(省エネ機器・高効率モータ)、Food & Agri分野(野菜生産システム・食品工場自動化)、Clean Power分野(風力/太陽光発電・電気自動車)およびHumatronics分野(バイオメディカル用ロボット)に焦点を当てて取り組んでおります。
また、2021年9月より本格稼働した技術開発拠点「安川テクノロジーセンタ」(以下、YTC)においては、基礎技術開発から量産試作までを含めた上流から下流までの全プロセスを集約するなど、技術開発機能を結集させ、一貫した仕組みのなかで開発を進めることで、お客さまを勝たせる新たな製品の開発をタイムリーに行います。
以上の取組みにより、当連結会計年度の研究開発費は
〔研究開発分野〕
長期経営計画「2025年ビジョン」の実現に向け、ソリューションコンセプト「i³-Mechatronics」の具体化に向けた研究開発に引き続き取り組みました。IoTを軸とする新製品・新技術開発およびAI技術を製品に反映させるため、オープンイノベーションのさらなる強化を進めております。
YTC内のローカル5Gを活用した産業用ロボットの遠隔制御の研究や新しい生産設備の検証を行うなど、お客さまのスマート工場化実現のためのソリューション開発を進めております。
また、大学の研究室などとロボットの制御技術の開発や、農業分野での最先端技術の研究に加え、それぞれの技術を生かした新しい市場の開拓に向けた取組みを進めております。国立大学法人九州大学においては、最先端の技術開発や人材の育成などの幅広い活動によって、ともに持続的な成長とシナジー創出を実現する関係を築いております。国立大学法人九州工業大学においては、YTC内にて次世代ロボットの共同開発を継続しております。
さらに、全国農業協同組合連合会においては、畜産・農業生産・流通販売の3分野を中心に、スマート農業の具体化に向けた取組みを継続しております。
これらにおける当分野の研究開発費は
〔モーションコントロール分野〕
「i³-Mechatronics」を実現するACサーボドライブ「Σ-X」(シグマ・テン)シリーズの新たなラインアップとしてセンシングデータのカスタマイズ機能を備えた「Σ-XシリーズFT55/FT56仕様」を製品化しました。本製品は、センシングデータの収集や一次解析に加えモーション制御へのフィードバックを行うことができます。この機能により上位コントローラの処理負荷を軽減するとともに、処理周期やネットワークの遅延に依存しないモーション制御を高速に行うことが可能となり、今まで以上に装置の高機能化・高性能化に貢献します。
「i³-Mechatronics」における「integrated(統合的)」の強化として、新世代の産業ネットワークであるMECHATROLINK-4に対応したASIC「JL-L000A」を開発しました。伝送効率の向上やマルチマスタ機能の追加等により、より効率的で高度な制御を実現しております。本製品とホストCPUを組み合わせることにより、お客さまの更なる高性能な製品開発に貢献します。
また、様々な機器と接続してデータを入出力するためのツールとして、産業用の各種通信ネットワークに対応したリモートI/O製品「SLIO I/Oシリーズ」を製品化しました。各種通信ネットワークに対応した柔軟なシステムの構築が可能となり、お客さまの用途に合わせたデータ収集が可能となります。
これらにおける当分野の研究開発費は
〔ロボット分野〕
熟練を要する微妙な力加減や複雑な動きの作業工程をロボット化するため、人の動き(実演)を直接ロボットに教え込むこと(教示)が可能な、実演教示パッケージ「MOTOMAN-Craft」(モートマンクラフト)を製品化しました。樹脂や金属面の研磨工程において、熟練技能者の動きと力加減を忠実に再現し、研磨作業の自動化に貢献します。
自動車生産ラインの塗装ブース内で、塗装ロボットの動作に合わせて自動車ボディーのドア開閉を行う塗装用途オープナーロボット「MOTOMAN-MPO10L(可搬質量10kg)」を製品化しました。搬送コンベヤに追従しながら塗装ロボットと協調してドアの開閉や保持が可能なため、走行装置を無くした設計が可能となり、導入・稼働・メンテナンスの各場面においてコストを削減できるほか、人手による既設の塗装工程の自動化も容易となります。また、新たに導入する設備においてはブース幅を短縮できることから、空調エネルギーの削減が可能となり、カーボンニュートラルにも貢献します。
人協働ロボットの新たなラインアップとして、段ボール等のパレタイジング用途への適用が可能な「MOTOMAN-HC30PL(可搬質量30kg)」を製品化しました。可搬質量を30kgに向上させたことで、人と同じ作業スペースで重量物をハンドリングすることが可能となり、パレタイジングに適した仕様で設備の省スペース化を実現します。
これらにおける当分野の研究開発費は
〔システムエンジニアリング分野〕
環境・エネルギー分野においては、脱炭素社会実現に向けた自家消費特化型太陽光発電用パワーコンディショナ 「Enewell-SOL P3A 25kW」を開発しました。逆潮流を防止するために必要な自家消費の機能を内蔵し、200V級では最大級の出力となる25kWを実現することで、特に中規模自家消費型太陽光発電システムにおいて優位性を発揮します。
これらにおける当分野の研究開発費は