第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 会社の経営の基本方針

当社グループは、創業以来、「事業の遂行を通じて広く社会の発展、人類の福祉に貢献すること」を使命とし、この使命達成のため、「品質重視の考えに立ち、常に世界に誇る技術を開発、向上させる」、「経営効率の向上に努め、企業の存続と発展に必要な利益を確保する」、「市場志向の精神に従い、市場ニーズにこたえ、需要家への奉仕に徹する」の3項目を掲げ、その実現に努力することを経営理念といたしております。このような経営理念のもと、顧客ニーズを高い次元で実現できる商品・サービスの提供や、従業員にとって働きがいのある会社づくりに取り組んでいます。これらにより、継続的な利益の創出を実現し、ステークホルダーのみなさまへの一層の還元を図ることで、持続的な企業価値の向上に努めてまいります。

 

(2) 目標とする経営指標

新中期経営計画「Challenge 25」においては、更なる高収益体質を目指し、営業利益を主要な経営指標としております。営業利益率の改善により、資本効率を着実に向上させていく所存です。

 

(3) 中長期的な会社の経営戦略

長期経営計画「2025年ビジョン」(2016年度~2025年度)実現のための2ndステップとして、新しいビジネスモデルへの挑戦の意味を込めた、新中期経営計画「Challenge 25」(2019年度~2021年度)をスタートさせました。

新中期経営計画「Challenge 25」では、前中期経営計画「Dash 25」で達成した高収益体質を更に向上させるとともに、「2025年ビジョン」の実現に向けた新領域・新ビジネスモデルへの挑戦を加速していきます。

 

「Challenge 25」の概要

① 基本方針

・ i3-Mechatronicsによるビジネスモデル変革

・ 拡大する“ロボティクス”ビジネスでの収益最大化

・ “選択と集中”によるリソース強化で新規事業拡大

 

② 数値目標および重点方策等については、2019年6月6日に発表を予定しております。

 

(4) 対処すべき課題

2019年度の当社グループを取り巻く経営環境は、労働力不足の解消を背景とした生産の自動化・省人化の流れが継続しているものの、スマートフォン・半導体関連の投資減速や、米中貿易摩擦の影響などによる中国経済の減速により、先行き不透明な状況が続くものと予想されます。

このような状況下、当社グループは長期経営計画「2025年ビジョン」で掲げる「産業自動化革命の実現」に向け、これまでのコンポーネント販売にデジタルデータのソリューション提供を加え、お客さまの経営課題の解決に貢献する新たなソリューションコンセプト「i3-Mechatronics(アイキューブ メカトロニクス)※」を軸に、以下のような取り組みを行ってまいります。

 

① 「i3-Mechatronics」コンセプトの浸透とビジネスモデルの確立

ACサーボドライブ「Σ-7シリーズ」を生産する次世代生産工場「安川ソリューションファクトリ(埼玉県入間市)」が2018年12月より本格稼働を開始しました。この工場では「i3-Mechatronics」コンセプトの実践を目的に、生産現場のデータ活用などを通じた生産の自動化を進めた結果、生産性が従来比3倍となるなど飛躍的に向上しました。今後は、当社グループのグローバル生産拠点における展開を加速させるとともに、ビジネスモデルをこれまでのコンポーネント販売である「モノ売り」から、お客さまの経営課題を解決するソリューション提供を行う「モノ+コト売り」に変革し、お客さまの利益拡大を実現していきます。

② グローバルでの開発力・生産力の強化

当社グループの開発・生産技術の機能を事業横断的に集約し、基礎研究から量産試作の実証、そして品質管理までの一貫した研究開発体制を構築する目的で「安川テクノロジーセンタ(仮称)」の設立準備を進め、グローバルでの開発力強化に取り組みます。また、スロベニアのロボット新工場にて安定的な生産体制を構築し、欧州地域におけるロボット事業の拡大を図ります。

 

③ リソース集中による新規事業の拡大

食品・農業関連市場を新規事業と位置づけ、取り組みを強化します。まずは国内大手のコンビニエンスストア向けに、中食分野での自動化・省人化を加速する目的で、アライアンスの強化を進めていきます。また、農産物の安定供給ニーズに対応するために、野菜自動生産システム向け機器などの販売を拡充させていきます。

 

なお、各セグメントにおける具体策については、それぞれ以下のとおりです。

 

〔モーションコントロール〕

ACサーボモータ・コントローラ事業においては、「安川ソリューションファクトリ」のさらなる進化を目指すと同時に、「i3-Mechatronics」をより具現化する次期主力製品の開発を進め、お客さまへのソリューション提案力の強化を図ります。インバータ事業においては、お客さまの機械を画期的に進化させる新製品(GA500)の市場投入や、米州・中国・国内などの成長市場における拡販加速・原価の低減などによって、収益力の強化を図ります。

 

〔ロボット〕

主力製品を展開する自動車産業においては、グローバルに展開する完成車・部品供給メーカへの拡販を進めると同時に、中国市場における販売体制の強化を図ります。また、欧州スロベニア工場の本格稼働によって、需要地における安定的な生産を実現し、収益性のさらなる改善を図ります。

 

〔システムエンジニアリング〕

環境・エネルギー分野においては、欧州を中心とした大型風力発電市場にて洋上風車案件の受注拡大を目指し、米州を中心とした太陽光発電市場では新製品の拡販を進めるなど、採算性の改善を図ります。また、鉄鋼プラント・社会システム分野については、グループ内にて実施した事業再編により経営の効率化を進めるほか、国内の公共事業関連のビジネスにおいて、IoT(Internet of Things)技術を取り入れた新たな取り組みを加速し、高収益体質の確立を目指します。

 

※i3-Mechatronics:機械工学を表すメカニズムと、電気工学を表すエレクトロニクスを融合させた「Mechatronics(メカトロニクス)」に、3つの”i”(integrated:統合的、intelligent:知能的、innovative:革新的)を重ね合わせ、お客さまの工場の生産現場から、経営課題の解決に貢献するソリューションコンセプト。2017年10月に発表

 

(5) 株式会社の支配に関する基本方針について

当社では、会社の財務および事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針については特に定めておりません。しかしながら、当社のみならず株主のみなさまや当社のお取引先、従業員等、当社の利害関係者において、重要な事項であることから、企業価値の向上を第一義として、適宜対応してまいります。

2【事業等のリスク】

当社グループの業績、財務状況等に影響を及ぼす可能性のある主なリスクは以下のようなものがあります。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末時点において当社グループが判断したものです。当社グループは、これらのリスクを認識したうえで、発生の回避および発生したときの対応に万全を尽くす所存です。

 

(1) 経済動向

当社グループ製品の売上高は、当社グループ製品の販売先である日本国内および米州、欧州、アジア(特に中国)の経済状況ならびに主たる需要先である自動車、半導体等の各業界の設備投資および生産動向の影響を大きく受けます。これらの業界動向は、当社グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 為替相場の変動

当社グループは、米ドルやユーロの現地通貨建ての製品輸出を行っており、為替相場の変動は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。想定以上の円高は、製品の競争力を弱め、当社グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 金利の変動

当社グループは、借入金等の有利子負債の適正化を図っておりますが、今後の市場金利の動向によっては、なお当社グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼすおそれがあります。

 

(4) 競争の激化

当社グループの事業分野においては、それぞれの分野で強力な競合相手が存在しています。特に価格面での競争の激化に直面し、当社グループ製品のシェアの高い分野でも、将来とも優位に競争できるという保証はありません。価格面での激しい競争は、当社グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼすおそれがあります。

 

(5) 市場環境の変動

当社グループの主要製品であるACサーボモータおよび制御装置ならびにアーク溶接ロボット、スポット溶接ロボット、塗装ロボット等および半導体・液晶製造装置用クリーン・真空搬送ロボットは、半導体、自動車、液晶、電子部品の各関連業界の動向に大きな影響を受けます。これらの業界からの需要が減少すれば、当社グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) 原材料の調達

当社グループは、鋼材等の原材料や各種部品を多数の取引先から調達していますが、調達価格の高騰や業界の需要増によっては継続的に必要量を入手できない場合があります。この結果、当社グループの生産に影響を与え、当社グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼすおそれがあります。

 

(7) 災害の発生

当社グループは、国内および海外に展開しており、これらの地区において大規模災害が発生した場合には、生産活動をはじめとする企業活動全般に重大な影響を与え、当社グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼすおそれがあります。

 

(8) 品質問題の発生

当社グループは、国内および海外の品質基準によって国内および海外生産拠点で製品の製造を行い、すべての製品につき欠陥が発生しないように万全の品質管理体制を整えております。しかしながら、すべての製品において、まったく品質に欠陥がなく、製造物賠償責任が発生しないという保証はありません。

生産物賠償責任保険に加入していますが、すべてをこの保険でカバーできずに当社グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼすおそれがあります。

 

(9) 知的財産権等の訴訟

当社グループは、事業を遂行するうえで、当社グループで保有し、またはライセンスを取得した知的財産権を利用しており、今後これらのライセンスを維持できる保証はありません。また、当社製品に係るその他の知的財産権につき第三者から権利侵害にあたるとして訴訟提起等された場合は、当社グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼすおそれがあります。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

① 財政状態及び経営成績の状況

(a) 財政状態(B/S)

(ア) 資産  4,559億57百万円(前期末比 147億7百万円増加)

現金及び預金、受取手形及び売掛金が減少した一方、たな卸資産が増加したこと等により、流動資産が前期末に比べ11億35百万円増加しました。また、投資有価証券の減少等により、投資その他の資産が減少しましたが、有形固定資産や無形固定資産が増加したことにより、固定資産が前期末に比べ135億71百万円増加しました。

 

(イ) 負債  2,062億3百万円(前期末比 35億80百万円増加)

短期借入金等が増加した一方、支払手形及び買掛金や未払法人税等が減少したことにより、流動負債が前期末に比べ80億41百万円減少しました。また、長期借入金や退職給付に係る負債等の増加により、固定負債が前期末に比べ116億21百万円増加しました。

 

(ウ) 純資産 2,497億53百万円(前期末比 111億26百万円増加)

株主資本が177億45百万円増加しました。これは利益剰余金の増加および自己株式の取得等によるものです。

その他の包括利益累計額が68億72百万円減少しました。これはその他有価証券評価差額金や為替換算調整勘定の減少によるものです。

 

(b) 経営成績(P/L)

(ア) 概況

当社は、前期より事業年度の末日を従来の3月20日から2月末日に変更いたしました。これにより、当期(2018年3月1日から2019年2月28日まで)と比較対象となる前期(2017年3月21日から2018年2月28日まで)の期間が異なるため、前期比増減については記載しておりません。

 

当期における当社グループの経営環境は、期初に生産設備の高度化・自動化の需要が旺盛だったものの、期の半ばからスマートフォン関連の需要に一服感がみられたことに加え、半導体関連の設備投資需要が急減速する状況となりました。また、中国を中心に米中貿易摩擦の影響が拡大し、製造業全般で設備投資に慎重な姿勢がみられるようになりました。このような状況下、当社グループの業績は中国市場の減速影響を受けた一方で、自動車関連の需要をグローバルで的確に捉えるなど、総じて堅調に推移しました。この結果、売上高については過去最高となりました。

 

なお、当期における当社グループの地域別の経営環境は以下のとおりです。

日 本:    半導体関連の設備投資需要が下期に落ち込んだものの、自動車関連を中心とした生産効率化の需要に支えられ、底堅く推移しました。

米 国:    持続する経済成長を背景に、工作機械関連やオイル・ガス関連などの需要は底堅く推移しましたが、下期にかけては半導体関連の設備投資が弱含みました。

欧 州:    自動車関連の旺盛な設備投資需要を受け好調に推移しました。また、環境エネルギー分野は大型風力発電関連の積極的な投資を背景に高い水準で推移しました。

中 国:    前期好調だったスマートフォン関連の需要が急減速したことに加え、米中貿易摩擦の深刻化や金融引締め政策による資金繰りの悪化影響を受け、製造業全般で設備投資を控える動きがみられました。

中国除くアジア:韓国を中心に半導体や有機EL関連の需要が弱含んだものの、自動車関連を中心に設備投資は堅調に推移しました。

 

この結果、当期の経営成績は以下のとおりです。

 

2018年2月期

2019年2月期

前期比

売上高

4,485億23百万円

4,746億38百万円

営業利益

541億26百万円

497億66百万円

経常利益

553億0百万円

508億44百万円

親会社株主に帰属する

当期純利益

397億49百万円

411億64百万円

米ドル平均レート

111.46円

110.49円

△0.97円

ユーロ平均レート

128.75円

128.88円

+0.13円

中国人民元平均レート

16.71円

16.56円

△0.15円

韓国ウォン平均レート

0.099円

0.099円

±0.000円

 

(イ) セグメント別の状況

当社グループでは、事業内容を4つのセグメントに分けています。

当期の各セグメントの経営成績は以下のとおりです。

モーションコントロール

売 上 高    2,054億23百万円   (前期比 - )

営業損益      339億7百万円   (前期比 - )

モーションコントロールセグメントは、ACサーボモータ・コントローラ事業とインバータ事業で構成されています。

インバータ事業の販売がグローバルで堅調に推移した一方、ACサーボモータ・コントローラ事業の売上が中国・アジアを中心に減速したことから、セグメント全体の業績は伸び悩みました。

〔ACサーボモータ・コントローラ事業〕

スマートフォン関連や半導体関連の設備投資需要が期の半ばから急減速したことに加え、米中貿易摩擦の影響などにより、中国の製造業全般で設備投資を控える動きがみられたことから、売上高・営業利益ともに伸び悩みました。

〔インバータ事業〕

米国におけるオイル・ガス関連などの需要が底堅く推移するなど、売上はグローバルで堅調に推移しました。

ロボット

売 上 高   1,779億95百万円   (前期比 - )

営業損益     172億98百万円   (前期比 - )

自動車向けを中心とした堅調な需要を背景に売上高は好調に推移しました。一方、中国における一般産業分野向けの需要の急減速を主因とする操業度の低下などにより、営業利益は伸び悩みました。

・溶接・塗装ロボットなど自動車関連向けの販売は、グローバルで高水準に推移しました。特に欧州市場の売上が大幅に伸長しました。

・一般産業分野については、前期好調だったスマートフォン関連の需要が落ち込んだ影響により、売上は伸び悩みました。

システムエンジニアリング

売 上 高     594億63百万円   (前期比 - )

営業損益          65百万円   (前期比 - )

売上高は底堅く推移しました。営業損益は環境エネルギー関連の再編を通じた経費削減などにより改善し、黒字に転換しました。

・鉄鋼プラントシステム・社会システム分野は、国内を中心とした更新需要を的確に捉え、堅調に推移しました。

・環境・エネルギー分野では、米国市場における太陽光発電用パワーコンディショナ関連の販売が伸び悩んだ一方、大型風力発電関連の案件を確実に捉え、欧州における売上は大幅に伸長しました。

その他

売 上 高     317億55百万円   (前期比 - )

営業損益      4億46百万円   (前期比 - )

その他セグメントは、情報関連事業や物流サービス事業などで構成されています。

子会社の再編や新規連結化、およびEV関連の量産立ち上げによる一時的な影響により、売上高・営業利益は堅調に推移しました。

 

② キャッシュ・フロー(C/F)の状況

当期末における現金及び現金同等物は392億89百万円(前期末比で29億24百万円減)となりました。

当期における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりです。なお、当社は、前期より事業年度の末日を従来の3月20日から2月末日に変更いたしました。これにより、当期(2018年3月1日から2019年2月28日まで)と比較対象となる前期(2017年3月21日から2018年2月28日まで)の期間が異なるため、各キャッシュ・フローに関する前期比増減については記載しておりません。

 

(a) 営業活動によるキャッシュ・フロー

売上債権が減少した一方、たな卸資産の増加や仕入債務の減少等により運転資金が増加しましたが、営業利益の計上等により328億32百万円の収入となりました。

 

(b) 投資活動によるキャッシュ・フロー

グローバルな生産力の拡大やITインフラ等への積極的な設備投資を行なったことにより、有形及び無形固定資産の取得による支出が増加し、271億11百万円の支出となりました。

 

(c) 財務活動によるキャッシュ・フロー

自己株式の取得や配当金の支払増加等の株主還元施策を行なったことにより、87億54百万円の支出となりました。

 

※営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローを合算したフリー・キャッシュ・フローは57億21百万円の収入となりました。

 

なお、当社グループのキャッシュ・フロー関連指標の推移は下記のとおりです。

 

2017年3月期

2018年2月期

2019年2月期

自己資本比率(%)

51.2

53.5

54.1

時価ベースの自己資本比率(%)

157.2

302.0

183.1

キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)

1.1

0.7

1.5

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

58.6

78.0

53.8

自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い

(注)1.いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。

2.株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。なお、控除する自己株式数については、「株式給付信託(BBT)」および「株式給付信託(J-ESOP)」が所有する当社株式を含めております。

3.有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち、利子を支払っている全ての負債を対象としております。

4.営業キャッシュ・フローおよび利払いは、連結キャッシュ・フロー計算書に計上されている「営業活動によるキャッシュ・フロー」および「利息の支払額」を用いております。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

当社グループの生産・販売品目は広範囲にわたりかつ多種多様であり、同種の製品であっても、その容量、構造、形式等は必ずしも一様ではなく、また受注生産形態をとらない製品も多く、セグメントごとに生産規模および受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。

このため、生産および受注の実績については、「①財政状態及び経営成績の状況  (b)経営成績」におけるセグメントの経営成績に関連づけて記載しております。

また、販売の実績については、「①財政状態及び経営成績の状況  (b)経営成績」におけるセグメントの経営成績に関連づけて、連結の数字を示しております。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

① 重要な会計方針及び見積り

 当社の連結財務諸表は我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しています。連結財務諸表の作成にあたり、期末日現在の資産・負債の金額、偶発的な資産・負債の開示および報告対象期間の収益・費用の金額に影響を与える様々な見積りや仮定を用いており、実際の結果は、これらの見積りと異なる場合があります。

 

② 2016年度~2018年度中期経営計画「Dash 25」に関する認識及び分析・検討内容

 2016年度から2018年度の中期経営計画「Dash 25」における業績目標は、最終年度の2018年度で、売上高4,500億円、営業利益450億円、営業利益率10%でした。

 グローバルで加速する自動化・省力化のニーズ、そして、2017年度の中国を中心とした力強い需要を的確に捉えることで、「Dash 25」の業績目標を達成いたしました。

 また、ROE13%以上および配当性向27%などの財務目標を掲げ、合わせて達成いたしました。

 

③ 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

(a) 経営成績等の状況

 当社は、前期より事業年度の末日を従来の3月20日から2月末日に変更いたしました。これにより、当期(2018年3月1日から2019年2月28日まで)と比較対象となる前期(2017年3月21日から2018年2月28日まで)の期間が異なるため、前期比増減については記載しておりません。

(ア) 売上高

 当連結会計年度の売上高は、中国市場においてスマートフォン関連の需要が急減速した影響や、米中貿易摩擦の深刻化などの影響を受けた一方で、自動車関連の需要をグローバルで的確に捉えたことから、4,746億38百万円となりました。海外売上高比率は、前連結会計年度の70%から3ポイント低下し、67%となりました。

 なお、セグメント別の内容は、「(1)経営成績等の状況の概要  ①財政状態及び経営成績の状況  (b)経営成績」に記載のとおりです。

 

(イ) 営業利益

 当連結会計年度の営業利益は、モーションコントロール・ロボットを中心に、期の半ばからの受注減に伴う生産調整などにより操業度が低下したことから、497億66百万円となりました。売上高営業利益率は、営業利益の減少により、前連結会計年度の12.1%から1.6ポイント低下し、10.5%となりました。

 なお、セグメント別の内容は、「(1)経営成績等の状況の概要  ①財政状態及び経営成績の状況  (b)経営成績」に記載のとおりです。

 

(ウ) 経常利益

 当連結会計年度の経常利益は、営業利益の減少により、508億44百万円となりました。

 

(エ) 親会社株主に帰属する当期純利益

 当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、411億64百万円となりました。また、1株当たり当期純利益は、155円86銭となり、前期比で6円51銭増加いたしました。

 

(b) 資本の財源及び資金の流動性についての分析

 当社グループは、財務体質の健全性を維持しつつ、安定的な事業運営を行なうため、グループ資金の流動性を高める等、資金調達環境を整理し、安定した資金調達体制の確立を基本方針としております。

 グループ資金は、本社および各地域の統括会社にて一括運用・調達を行なうことにより、資金の効率的な運営を図っております。手元資金を上回る設備投資等を実行する場合は、金融機関からの借入等により、規模や市場環境に応じて適した手段で調達を行なっております。

 なお、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は392億89百万円、有利子負債残高は486億64百万円です。

 

4【経営上の重要な契約等】

(1) 安川オートメーション・ドライブ株式会社との会社分割

 当社は、2018年11月9日開催の取締役会において、当社の鉄鋼エンジニアリング事業および当社の子会社である安川モートル株式会社(以下、「YM社」といいます。)の一般産業用電動機事業を当社の子会社である安川オートメーション・ドライブ株式会社に吸収分割する決議を行い、2019年1月10日付で吸収分割契約を締結し、2019年3月1日付で吸収分割を実施いたしました。

 詳細は「第5 経理の状況 2 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な後発事象)」に記載のとおりです。

 

(2) 安川モートル株式会社との会社分割

 当社は、2018年11月9日開催の取締役会において、当社の子会社であるYM社のサーボモータ・EVモータの生産機能を当社のモーションコントロール事業部に、YM社のPMモータ事業を当社のインバータ事業部に吸収分割する決議を行い、2019年1月10日付で吸収分割契約を締結し、2019年3月1日付で吸収分割を実施いたしました。

 詳細は「第5 経理の状況 2 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な後発事象)」に記載のとおりです。

 

5【研究開発活動】

当連結会計年度は、2016年度~2018年度中期経営計画「Dash 25」の最終年度に当たり、グローカル開発体制によるスピーディな製品開発、および新規事業・新分野のコア事業化に向けた研究開発を加速し、新製品の開発・市場投入を通じ主力事業の受注拡大を進めるとともに、長期経営計画「2025年ビジョン」に掲げる「新たな産業自動化革命の実現」に向け、ソリューションコンセプト「i3-Mechatronics(アイキューブ メカトロニクス)」を提唱し、デジタルデータソリューションの提供につながる研究開発を進めました。

当社は、グローバルで高い競争力を有する当社のコンポーネント製品にAI技術を加えることで、新たなソリューションの提供を目指しており、製造・産業用ロボット向けのAIソリューション開発などを手掛ける株式会社エイアイキューブの設立や、人工知能(AI)のアルゴリズム開発・コンサルティングを手掛けるAIベンチャー企業の株式会社クロスコンパスとAIソリューション開発の加速を目的とした戦略的提携を行いました。

さらに、世界中の製造業における生産設備や機械などの高度化・自動化へのニーズが急速に高まる中、お客さまの要求に対してスピーディに対応できる体制の構築を目的に、基礎研究から量産試作までの一貫した研究開発拠点「安川テクノロジーセンタ(仮称)」を新設することを決定いたしました。

当連結会計年度の研究開発費は207億92百万円であり、各分野におけるその状況は、以下のとおりです。

 

〔研究開発分野〕

長期経営計画「2025年ビジョン」の実現に向け、2018年度はソリューションコンセプト「i3-Mechatronics」に基づく研究開発へと集約した取り組みを加速しました。また、IoTを軸とする新製品・新技術開発、AI技術を製品に反映させるためのオープンイノベーションもさらに強化して進めています。

当分野の研究開発費は50億96百万円です。

 

〔モーションコントロール分野〕

「i3-Mechatronics」コンセプトの実現に向け、世界トップクラスのサーボドライブとロボットの制御技術を結集し、マシンコントローラから産業用ロボットの制御が可能なハード面でのソリューションとなる“ロボットモジュールRM100”を開発しました。

サーボモータではデータ検出機能を向上させ、従来と比べてより多種・大量のデータを詳細に監視することが可能となりました。インバータでは機械・設備の視える化、および故障予知や不具合の検知を実現する機能を強化しました。また、マトリクスコンバータ「U1000」を各種船級規格に適合させました。

2018年12月より本格稼働開始した安川ソリューションファクトリ(埼玉県入間市)では、サーボモータなどから検出したデータを「YASKAWA Cockpit」と連携させることで、装置の予防保全や製品の品質管理への活用実現に向け取り組んでいます。

当分野の研究開発費は84億円です。

 

〔ロボット分野〕

環境に配慮したエコカーの開発が世界規模で進められている中、自動車製造ラインの構成が大きく変化しつつあります。また、従来の鋼材とは異なる新しい素材が採用され始めています。このようなトレンドに対し、新しい素材の溶接や高付加価値ラインの構築に対応した新型ロボットの開発を進めております。また、研磨やダイカストにおける高い防滴・防じん性への要求や、食品を直接扱うニーズに対応するため、ロボットの耐環境性を向上させた防滴仕様タイプと、機械潤滑剤に食品機械用グリースを採用した食品グリース仕様タイプを新たにラインアップしました。MOTOMAN-HC10DTハンドキャリータイプは、人協働ロボットと手押台車を組み合わせることで、ものづくりプロセスのフレキシビリティ向上を実現いたしました。

当分野の研究開発費は46億86百万円です。

 

〔システムエンジニアリング分野〕

環境・エネルギー分野においては、省エネ・創エネ技術を応用し、大型風力・太陽光発電関連機器の開発など、Clean Powerのコア事業化を進めました。

当分野の研究開発費は24億8百万円です。

 

〔その他分野〕

長期経営計画「2025年ビジョン」に掲げるヒューマトロニクスの事業領域確立に向けて、前腕回内回外リハビリ装置の臨床研究機を開発しました。本装置は、前腕の回内・回外運動のリハビリに特化した装置です。

当分野の研究開発費は2億円です。