第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1) 会社経営の基本方針

  当社グループは、以下に示す経営理念及びサステナビリティ方針を会社経営の基本方針として取り組んでおります。

①経営理念

東洋電機グループは下記の経営理念を掲げ実践し社業を発展させ株主及び関係者各位の付託と理解に応え社員と喜びを共にする

・倫理を重んじ社会・顧客に貢献する

・進取創造の気風を養い未来に挑戦する

・品質第一に徹し信用を高める

<行動指針>

1 顧客に対しタイムリーかつスピーディーに応える

2 何事にも先見性と創造性をもってチャレンジする

3 常に自己啓発に励みスキルの向上に努める

4 広い視野をもって互いに影響し合い成長する

5 よき社会人・企業人として自覚と誇りをもって行動する

 

  ②サステナビリティ方針

当社グループは、鉄道車両用電機品の国産化を目的に1918年に創立されて以来、鉄道を始めとした社会インフラや生産設備へ電機設備やサービスを提供することで、広く社会の発展に貢献をしてきました。一方、近年では、気候変動を始めとする地球環境の悪化や、貧困・格差などの社会のひずみが大きな問題となり、これらの解決が、持続的に社会を発展させるために重要な課題となってきています。

当社グループは、経営理念において社会への貢献を掲げ、環境理念において重要課題として地球環境保全への取組みを掲げておりますが、これらの理念を実現し、社会の持続的な発展に貢献するための取組みの指針として、2021年4月にサステナビリティ方針を制定いたしました。

当社グループの経営理念、環境理念を基本とし、当社の取組みと、2015年の国連サミットにて採択された国際目標であるSDGs(持続可能な開発目標)の実現とのかかわりを、「製品・サービスにおける取組み」、「生産活動における取組み」、「人と地域を大切にする取組み」の3つの視点から整理し、当社グループの事業や活動が生み出す様々な影響を評価しながら、進めてまいります。

 

(2)中長期的な会社の経営戦略及び会社の対処すべき課題

  ①「中期経営計画2026」の基本方針について

 当社グループは、2022年5月まで取り組んだ中期経営計画「リ・バイタライズ 2020/2022」(期間2019年5月期~2022年5月期)において得られた成果や残された課題を元に、新たな4年間の中期経営計画に取り組むこととしておりました。しかしながら、コロナ禍による鉄道旅客数の減少や自動車電動化に向けた試験装置の見直しなど大きな事業環境の変化に対応できる十分な収益力を得られていなかったことから、結果として計画値に対し大幅な未達となりました。

 この結果とともに明らかになった当社自身が抱える課題を踏まえ、「中期経営計画2026」(期間2023年5月期~2026年5月期)については、「企業価値の回復・向上」を図るために、「東洋電機の再生と変革」を成し遂げる期間と位置付けております。

 そのために、計画の3つの基本方針として ア.「新しい事業・製品の拡大」と イ.「既存事業の徹底した収益体質の改善」を進め、 ウ.「資本コストを意識した資産効率の改善」を行うことで、ROE8%を目指します。

 

 

3つの基本方針

内容

ア.新しい事業・製品の拡大

全社横断的な新事業領域の開発強化・迅速化を推進し、電動化やDX化、脱炭素化等への対応を図る

イ.既存事業の徹底した収益体質の改善

生産効率の向上と適正な売価確保の両面から、工場・営業一体で収益力を抜本強化

ウ.資本コストを意識した資産効率の改善

政策保有株式の縮減を継続するほか、事業毎の資本効率性を検証し、経営資源の再配分を検討

 

 

 

②「中期経営計画2026」の目標とする経営指標                         (億円)


 

 

 

(3) 経営環境、優先的に対処すべき課題

我が国の経済活動は総じて回復に向かう一方で、海外経済の回復鈍化や部材の供給制約、不透明な金融・為替動向等の懸念が残ると考えております。

  このような見通しの中、当社グループでは、2026年5月期を最終年度とする「中期経営計画2026」に掲げる収益力を高める取組みを着実に進めてまいります。そのために、計画の3つの基本方針として①「新しい事業・製品の拡大」と②「既存事業の徹底した収益体質の改善」を進め、③「資本コストを意識した資産効率の改善」を行う事で、ROE8%を目指します。

  また、当社グループでは、サステナビリティ方針に基づいた取組みも強化しております。事業活動を3つの視点から整理し、①「製品・サービスにおける取組み」、②「生産活動における取組み」、③「人と地域を大切にする取組み」の各視点で重要課題の取組みを進めており、環境負荷軽減に向けた世界的な流れの中で、当社グループの社会・産業インフラ製品の需要拡大が期待されます。

  交通事業においては、インバウンド需要の戻りも含めて、コロナ影響からの更なる回復を見込む国内鉄道事業者がサステナビリティ対応に向けた投資を計画しており、新造車両導入や省エネルギー化に向けた機器の置換などが期待されます。中国では、既存車両のメンテナンス需要に加え、車両新造の増加が期待できます。その他の海外においても、東南アジア諸国等における旺盛なインフラ需要を背景とした活発な動きがうかがえます。

  産業事業においては、企業業績の回復に伴い、製造業を中心として各社の設備投資需要の増加が見られ、顧客ごとに仕様の異なるシステム品を含め、生産・加工設備向けの受注回復が期待できます。自動車試験システムでは、自動車電動化への急速な変化による投資見直しの動きが活発化しています。中長期的には、サステナブル社会の到来に向けて、電動化に対応した試験装置や電源設備、再生可能エネルギーを活用する分散電源用発電装置の需要増加を見込んでおり、受注拡大に向けた技術開発を推進しております。

 ICTソリューション事業においては、キャッシュレスに対応した駅務機器システムに加え、移動体や設備・施設の監視・制御を可能とするクラウド型遠隔監視制御システム等、ICT全般へ事業領域の拡大を進めております。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

   (1)気候変動

    ①ガバナンス

当社グループのサステナビリティ経営を推進するため、サステナビリティ委員会を設置し、サステナビリティ方針に基づいて全社的な取組みを進めております。委員会は、社長が委員長を務め、各担当執行役員を主なメンバーとして、原則として四半期毎に開催しています。気候変動については、特に重要なテーマと位置づけ、温室効果ガス(GHG)削減に向けた定量的な目標を設定し、委員会にて進捗状況をモニタリングしております。委員会で審議した内容については、取締役会に報告し、当社グループの経営戦略に反映しております。

    ②戦略

将来の気候変動に伴うリスクと機会を想定し、1.5℃/2℃未満と4℃の2つのシナリオを用いて、事業活動に及ぼす影響の分析を行いました。時間軸は、長期(~2050年)を主眼としつつ、その通過点である中期(~2030年)についても想定を行いました。事業活動に与える財務的な影響度については「大」「中」「小」の3段階で評価しました。

 

 

 <想定した気候変動に伴うリスク> 

種別

リスク想定

影響度

1.5/2℃

4℃

2030年

2050年

2030年

2050年

移行

リスク

政策・規制

炭素税導入や規制強化に伴う調達・輸送コスト増加、設備更新や技術開発に伴うコスト増加

技術

省エネ製品の研究開発コスト増加。開発が停滞した場合の販売機会の喪失。既存の技術・製品に対する需要減少

市場

人口減少に伴う鉄道旅客数の減少や自動車の環境性能向上により、鉄道の環境優位性が相対的に低下した場合、鉄道関連製品の売上低下。EV化対応遅れによる試験機事業の停滞。ペーパーレスや脱プラスチックによる印刷機械・製紙・化学メーカ向け機器需要の減少

評判

気候変動対応の遅れによるステークホルダーからの評判低下。サプライチェーンからの除外、資金調達コスト上昇、人材確保が困難に

物理的

リスク

急性

台風や洪水等による操業停止、生産設備の損傷、事業拠点の機能停止。サプライチェーンの寸断による部材調達難の発生

慢性

気温上昇による工場エネルギーコスト増加、従業員の生産性低下、熱中症増加。海面上昇による防潮対策等にかかるコスト増加。気温上昇による製品や設備の不具合、故障の発生

 

 

 

 <想定した気候変動に伴う機会>

種別

機会想定

影響度

1.5/2℃

4℃

2030年

2050年

2030年

2050年

資源の効率性

製品の長期使用、再生利用によるメンテナンス機会の増加。製品プロセスの効率化、材料使用の適正化、輸送の効率化によるコスト減少

エネルギー源

EV化や再生可能エネルギー・蓄電技術への需要が増加し、当社の製品・サービスの需要が増大

製品及びサービス

環境優位性の高い鉄道の利用ニーズ増加による鉄道車両用電機品の需要増加。高効率モータ・インバータ、分散電源等の省エネ製品・システムの需要増加。EV化に対応した新たな試験機システムへの需要増加

市場

蓄電システム、小水力発電・波力発電等の需要の掘り起こし、新規市場開拓。気候変動による食料供給難、農畜産業等への影響を回避するためのICT遠隔監視や自動制御装置の需要増加。EV関連商品の普及

レジリエンス

(強靭性)

災害の激甚化を受けたレジリエンス強化・BCP対応強化による需要増加

評判

環境対応への評価向上による取引拡大、株価向上、人材確保

 

 

想定した気候変動に伴うリスクと機会への対応策については、下記の当社のウェブサイトで公開しております。

http://www.toyodenki.co.jp/esg_csr/pdf/tcfd_strategy.pdf

 

 

③リスク管理

当社グループでは、サステナビリティ委員会において、気候変動に伴うリスクの認識、対応策の審議、進捗のモニタリングを行っています。気候変動の影響は中長期的な時間軸で発現することから、年次の事業計画、中期経営計画に加えて、関係各部門がサステナビリティロードマップを策定し、具体的な対応策を実行し、定期的に委員会へ進捗を報告しております。また、サステナビリティ課題を全社横断的な取組みに落とし込むために、各事業部門・管理部門の実務者レベルの社員により組織されたサステナビリティワーキンググループにおいて、議論、アイデア出しを行っております。サステナビリティ委員会にて審議された内容は取締役会に報告しております。

 

④指標と目標

   当社は、地球温暖化の抑制に向けて、事業活動に伴うCO2排出量削減目標を次のとおり設定しております。

Scope1・2 

CO2排出量

(2018年度比)

2026年度目標

2030年度目標

2050年度目標

10%削減

30%削減

100%削減

 

(2)人的資本

 ①基本方針

当社は、持続的な企業価値の向上と社会的使命を果たす取組みを支える最も重要な経営資源は人材であると考えております。

中期経営計画2026において、多様な人材の確保・定着、育成、適材適所の配置等により、組織と人材の活性化を実現するため、人事制度改革に取り組んでおります。

また、仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)のとれた働き方、就労環境の整備等を推進し、従業員エンゲージメントの向上を図ってまいります。

 

 ②具体的な取組み

  (i)多様性の確保

    ア.女性活躍

 当社の管理職に占める女性の割合は、1.5%となっております。また、正規雇用労働者に占める女性の割合は、7.2%であり、全体の底上げが課題となっております。

 このような状況を踏まえ、新卒採用においては、女性向けの会社説明会を実施し、女性従業員との対話を通じて、当社で働くイメージを持っていただける機会を設けております。また、経験者採用や有期雇用労働者の正規従業員への登用制度において、多様な人材の採用を推進しております。

 今後、これらの取組みを継続するとともに、女性従業員を対象とするキャリア研修等を実施してまいります。

 なお、当面の目標として、管理部門における女性比率の底上げを図ることとし、2026年度の係長クラスの比率を25%以上、管理職クラスの比率を8%以上に設定しております。

 

    イ.障がい者雇用

 当社は、障がい者と健常者がともに活き活きと働く企業を目指して、職場環境の整備や職場での研修を行っています。障がい者雇用率については、2026年度及び2030年度の目標値をそれぞれ設定しており、これまで、地域の特別支援学校や支援機関とも連携して職場体験実習の受入れを行い、障がいのある方の新規採用に取り組んでまいりました。その結果、2023年6月1日現在の障がい者雇用率は3.08%となっています。

 

 

  (ⅱ)人材育成

当社は、人材育成基本方針に基づき人材育成に取り組んでおり、これまでに3名が「現代の名工」として厚生労働大臣から表彰を受けております。このように培ってきた技術・技能を次世代に伝承する取組みについても積極的に進めています。   

技術者育成については、技術者育成委員会を定期的に開催し、内容の協議を行い実施しています。技能伝承については、技能マイスター認定委員会で技能伝承作業の認定及び伝承結果の判定を行っています。

また、技能職の定期採用者は、技能訓練センターにおいて1年間の講義や実技実習等を行い、技能職として必要な基礎及び専門的な教育を実施しています。

その他の育成内容としては、入社1年目から5年目までの定期採用者、係長職への昇格者、管理職・専門職への昇格者に対する階層別研修の実施を行うとともに、O・J・Tの実施、各種資格取得支援(工学博士、MBA、MOT、技術士資格等)、語学研修(通学、検定試験)を実施しています。

今後は、多様性の確保に鑑みた「女性管理職候補者研修」の実施や「経営幹部候補者研修」の充実を図ってまいります。

 

  (ⅲ)ワークライフバランス

当社では、仕事と家庭の両立実現のために、従業員が柔軟な働き方ができる制度の拡充に取り組んでおります。

これまでに、出産や育児、介護、配偶者の転勤等で離職せざるを得ない従業員の再雇用制度の導入、育児・介護勤務者の勤務地限定、短時間勤務制度の多様化、時間単位年休の制度化を実施してまいりました。

また、男性の育児休業取得率向上に向けて、出産・育児に関するガイドブックや、育児休業を取得した男性従業員の体験談をまとめた事例集を作成し、これから出産・育児を控える従業員へ情報提供を行っています。

今後は、フレックスタイム制度の適用者拡充やリモート勤務制度の導入など、従業員が仕事と生活の調和をとりながら、安心して就業できる環境作りに取り組んでまいります。

 

  (ⅳ)就労環境の整備

当社は、健康経営を重要な経営課題と捉えており、様々な環境整備を行っています。従業員の休息時間や睡眠時間の確保のために、終業時刻から次の始業時刻の間に、一定時間以上の休息時間を設ける、勤務間インターバル制度の導入や、社内外にメンタルヘルス相談窓口を設置し、従業員のこころのケアに努めています。また、社長と従業員との価値観の共有を目的としたラウンドテーブルミーティングを定期的に開催し、従業員の声を聞く経営を実践しています。

このような取組みが評価され、2022年、2023年に経済産業省から健康経営優良法人(大規模法人部門)として認定を受けております。今後も就労環境の整備強化により、健康経営の推進に努めてまいります。

 

  (ⅴ)指標と目標

     当社は、人的資本の充実に向けて、目標値を次のとおり設定しております。

重要課題

女性従業員比率

男性の育児休業取得率

障がい者雇用率

管理部門

係長クラス

管理部門

管理職クラス

2026年度

25%以上

8%以上

50%以上

2.9%以上

2030年度

30%以上

15%以上

70%以上

3.0%以上

 

 

 

3 【事業等のリスク】

(1)リスクマネジメント体制

当社グループのリスクマネジメント体制は、「第4 提出会社の状況 4[コーポレート・ガバナンスの状況等]」に記載のとおりです。経営戦略にかかわるリスクについては、原則として毎月2回開催する経営戦略会議において、事業戦略や新事業開発を始めとする経営上の課題等について討議しております。日々の事業活動にかかわるリスクについては、原則として毎月3回以上開催する業務執行報告会において、「受注・売上・引合い等の営業活動」、「調達・製造・出荷等の生産活動」、「品質管理、研究・開発などの技術関係、生産改革・IT化」の各テーマ毎に代表取締役社長に報告し、事業計画の進捗状況及び業務執行状況を月次でチェックしております。グループ会社にかかわるリスクについては、半期毎に開催する国内・海外グループ会社会議において各社の事業計画の進捗、業務執行状況の検証を行っております。これらのうち、特に重要な事象については、取締役会の下部組織である内部統制委員会にて、顧問弁護士も交えて審議し、結果を取締役会に報告・提言しております。また、気候変動や人的資本を始めとしたサステナビリティにかかわるリスクについては、同じく取締役会の下部組織であるサステナビリティ委員会にて審議を行い、取締役会に報告しております。

 

(2)リスクの内容と対応策

  当社グループの業績及び財務状況等に影響を及ぼすリスク想定と対応策は以下のとおりです。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

①品質・安定供給に関するリスク

<リスクの内容とシナリオ>

  鉄道を始めとする社会・公共インフラにおいて、人命に関わる事象や大規模な障害が、当社グループの製品起因で発生した場合には、経営に極めて深刻な影響を及ぼす可能性があります。また、品質不具合や生産遅延により、当社の使命である安定したサプライヤーとしての供給責任を果たせない場合には、信用低下及び業績の悪化につながる可能性があります。

<対応策>

当社グループは、品質第一に徹し信用を高めることを経営理念に掲げております。当社の生産拠点である横浜製作所及び滋賀竜王製作所では品質マネジメントシステムを構築・運用し、ISO9001の認証を取得しております。品質管理及び生産管理については、毎月の業務執行報告会において、経営層への情報の共有、リスクの抽出及び対策を協議し、速やかに実行することで、品質水準の確保、製品の安定供給を図っております。なお、製造物責任や製品リコールが発生した場合に備えて、必要な保険に加入し、品質問題が発生した場合の業績への影響を最小限に留める対応をしております。

 

 

②人材に関するリスク

<リスクの内容とシナリオ>

  当社グループの成長を支える最も重要な経営資源は人材であると考えております。熟練技術者の退職や人材流出、採用活動や人材育成の停滞等により必要な人材の確保・育成ができない場合、技術継承が滞ることによる品質の低下、新たな事業領域の創出や新製品開発の停滞につながり、業界における競争力を維持できず、業績の悪化につながる可能性があります。

<対応策>

人材育成基本規程における基本方針に基づき、持続的な企業価値の増大に向けた人材育成に取り組んでおります。当社固有技術の維持・向上、技術継承の推進にあたり、技術者育成委員会を設置して、特に重要な専門技術分野毎に高度技術の継承施策を展開しています。また、中期経営計画2026の具体的な取組みとして、従業員や組織の活性化を促進する人事制度・運営見直しの取組みを開始しています。従業員のエンゲージメント向上を目的として、求める人材像を明確にした上で、公正な評価・処遇制度への見直しや人材・組織開発等の各種施策展開を開始しています。

 

 

 

 

 

③コンプライアンス・人権に関するリスク

<リスクの内容とシナリオ>

  当社グループが事業を行う上で、国内外の法令や規制違反を生じさせた場合、社会的な信用失墜につながり、取引の停止など事業活動に重大な影響を及ぼす可能性があります。また、従業員に対するハラスメントの発生防止や対応が適切になされない場合、就業意欲の低下や離職を招き、信用失墜や競争力の低下につながります。また紛争鉱物・強制労働への対応が適切になされない場合に信用が低下し、取引の縮小・サプライチェーンからの除外につながる可能性があります。

<対応策>

当社グループは、倫理を重んじ社会・顧客に貢献することを経営理念に掲げており、企業倫理に基づくコンプライアンスの重要性を認識しております。具体的な対応として、当社の行動方針と業務の基本ルールを定めた「コンプライアンスの手引き(東洋電機製造倫理規範)」を全役員・従業員に配付し、教育を行うことで、コンプライアンスに則った行動の周知徹底を図っております。また、内部通報窓口やハラスメント相談窓口を整備するなど、問題を早期に発見し必要な措置を講ずる体制を整えております。サプライチェーンにおける紛争鉱物や強制労働への対応については、今後調達先への調査等により状況把握を行い、人権尊重に向けた取組みを適切に推進していきます。

 

 

事業環境の変化に関するリスク

<リスクの内容とシナリオ>

  当社グループは、交通、産業、ICTソリューションの各事業において、広く国内外の社会・産業インフラを支える製品・サービスを提供しております。人口減少やテレワークなどの新たな行動様式の浸透による鉄道旅客数の減少、CASE(※)による自動車業界の変革、製品・サービスや生産設備におけるDX推進、脱炭素社会への移行など、当社を取り巻く事業環境は急激に変化しています。これら事業環境の変化への対応が遅れた場合、競争力が低下し、受注・売上の減少や、採算性の低下につながる可能性があります。

 ※CASE:「Connected(コネクテッド)」「Automated/Autonomous(自動運転)」「Shared & Service(シェアリング)」「Electrification(電動化)」という4つの領域の頭文字をつなげた、モビリティの変革を表す概念。

<対応策>

当社グループは、中期経営計画2026の基本方針に「新しい事業・製品の拡大」と「既存事業の徹底した収益体質の改善」を掲げ、新事業領域の開拓、新製品開発、製品・サービスの改良等により競争力の維持強化を図っております。主要施策として、アライアンスM&A活用検討、脱炭素化・サステナブル社会に資する技術・製品の開発、自動車の電動化・自然エネルギー活用、ICT技術の活用などを推進しております。2022年6月には開発センターを新設し、全社横断的な新事業領域の開発強化を図っております。競合先の動向については、当社の豊富な取引先ネットワークを活用した顧客情報の収集、入札情報やマーケット情報の収集に努め、競争力の維持強化を図っております。

 

 

技術・製品開発に関するリスク

<リスクの内容とシナリオ>

  先進技術を取り入れた製品を最適な時機に市場投入できない場合や、脱炭素化への対応が遅れた場合に製品競争力が低下する虞があります。また、生産工程における新技術導入が停滞した場合、生産効率改善・コスト削減が進まず競争力低下につながる可能性があります。

<対応策>

お客様にとって魅力的な製品を提供するために、お客様のニーズを把握し、最新の技術を導入した製品の開発に努めております。既存製品・サービスの改良に加えて、新しい事業・製品の拡大のため、2022年6月に新設した開発センターを中心とした全社横断的な新事業領域の開発強化・迅速化を図っております。新たな事業分野への参入に向けて必要となる開発課題に対応するため、プロジェクトチームを開発センター内に組成し、社内のリソースを重点的に投入しております。また、産学連携による研究開発、M&A機会の模索など、技術力・製品開発力の維持・強化に向けた取組みを行っております。

 

 

原材料調達等に関するリスク

<リスクの内容とシナリオ>

  当社グループの製品・サービスは多種多様な原材料を使用しております。世界経済情勢の変化や市場動向、自然災害により供給が停滞・遅延した場合や、代替が困難な原材料の調達先の倒産や休廃業が発生した場合には生産・出荷の遅れ等につながる可能性があります。また、エネルギー価格高騰に起因する原材料価格引上げによる生産コスト増が当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

<対応策>

当社グループは、一括発注や複数社購買等により、原材料の安定した調達に努めております。昨今の半導体の供給不足など、一部の原材料については世界的な供給不足、価格高騰、長納期化が見られますが、当社グループの持つ取引先との密接なネットワークを活用したサプライチェーン複線化や使用原材料の変更等により、その影響軽減を図っております。また、取引先の倒産等のリスクについても常日頃の情報収集に努めるとともに、代替調達先の確保等の恒久対策にも取り組んでいます。原材料価格引上げによる生産コスト増に対しては、当社の生産設備の稼働効率化、太陽光発電の利用による省エネ・節電等により、原価低減の取組みを推進しております。

 

 

知的財産に関するリスク

<リスクの内容とシナリオ>

  技術革新のスピードが速く事業のグローバル化が進展する中で、他者から知的財産権を侵害されるリスクが高まっております。他方、当社グループが他者の知的財産権を侵害したと認定された場合には、高額な損害賠償を請求されるなど、業績に悪影響を与える可能性があります。

<対応策>

当社グループは、知的財産権の重要性を認識し、その保護に細心の注意を払い、社内の研究開発部門が連携しつつ、戦略的な特許出願等の権利化を図っております。当社が保有する知的財産が侵害された場合には速やかに適切な処置を取るほか、当社が他者の知的財産権を侵害することのないよう適切に対応してまいります。

 

 

 

 

環境規制・気候変動に関するリスク

<リスクの内容とシナリオ>

  環境法令違反、環境規制への不適合が生じた場合、取引先や地域社会を始め広く社会全体からの信用失墜を招きます。また、製品の脱炭素化や生産活動における環境負荷低減等の気候変動対応が進まない場合、製品競争力の低下による受注・売上が悪化するとともに、ステークホルダー全体からの評価低下につながります。

<対応策>

当社グループでは、事業活動における各種環境法令遵守及び環境規制への適合状況を常時監視しており、適切にリスク対応しております。また、気候変動への対応については、経営層によるサステナビリティ委員会にて定期的に議論を重ね、当社のサステナビリティ方針に則って、「製品・サービスにおける取組み」「生産活動における取組み」「人と地域を大切にする取組み」の各取組みについて、目標設定、施策の策定と推進及びモニタリングを実施しております。

 

 

自然災害・感染症に関するリスク

<リスクの内容とシナリオ>

  当社グループの生産拠点は、交通事業関係は関東地区に、産業事業関係は関西地区に集中しています。いずれかの地域で大規模な災害や感染症等が発生した場合には、当社グループの生産能力に重大な影響を及ぼす可能性があります。また、大規模な災害や感染症の発生はサプライチェーン全体に支障をきたし、受注に影響を及ぼすことで、当社の生産活動や業績が悪化する可能性があります。

<対応策>

当社グループでは大規模災害に対する予防対策、発生時の緊急措置体制の整備についての方針・施策を、取締役会の下部組織である内部統制委員会にて審議・決定しております。各生産拠点における防災対策・訓練を実施するとともに、今後、全社的なBCPを更に強化するとともに、サプライチェーン全体の強靭化を図ってまいります。大規模な感染症発生への対応については、2020年1月以降の新型コロナウイルス感染症流行への対応も踏まえ、時差出勤や在宅勤務の実施など、従業員の安全、健康を第一に考えながら、生産への支障を極力抑えつつ、感染拡大防止に向けた取組みを行います。

 

 

業務上の災害・事故に関するリスク

<リスクの内容とシナリオ>

  当社グループにおいて長時間労働起因を含む労働災害、火災・設備トラブルの発生により、従業員の死傷や生産活動停止に至った場合、社会的信用の低下、業績の悪化につながります。

<対応策>

当社グループでは、安全な作業環境と労働災害ゼロの実現のため、「全社安全衛生管理方針」を定め、各事業所の安全衛生委員会で具体的な対策を立案・実行しています。それらの取組みは、四半期毎に開催する全社安全衛生委員会で共有され、全社的な安全衛生のレベルアップにつなげています。また、各事業所に時間管理適正化委員会を設置し、時間外労働時間の状況や勤務間インターバルの遵守状況を監視しています。

 

 

 

情報セキュリティに関するリスク

<リスクの内容とシナリオ>

  お客様の個人情報や取引先に関する企業秘密の漏洩が発生した場合、社会的な信用低下に加え、損害賠償等の発生や取引停止等、業績への悪化が想定されます。また、社外からのサイバー攻撃、ウイルス感染等による重要データの破壊・改ざん、システム停止が発生した場合、生産活動・営業活動に深刻な影響を及ぼす可能性があります。

<対応策>

当社グループでは、情報セキュリティを経営の重要課題の一つと位置づけ、指針として情報セキュリティ宣言を定めています。情報保護が企業として重要な社会的責任であることを認識し関連する法令を遵守するとともに、保有する情報資産を、破壊、改ざん、漏洩等の脅威から保護するための適切な対策を実施しています。情報セキュリティレベルの強化・管理体制強化のため、情報セキュリティ委員会を組織し、対策検討、教育・訓練、監査等の活動を実施しています。情報セキュリティ委員会は、情報セキュリティの維持・管理状況や情報セキュリティ事故や問題の発生状況等を定期的に内部統制委員会へ報告しております。

 

 

海外事業に関するリスク

<リスクの内容とシナリオ>

  当社グループは、中国、タイ、米国に生産拠点、営業拠点を有しており、各国の政治・経済の状況変化や災害発生等のカントリーリスクが当社の事業活動や従業員の安全に影響を及ぼす可能性があります。また、予期しない法規制や税制の変更が海外関係会社の事業運営、ひいては業績及び資産に影響を及ぼす可能性があります。

<対応策>

当社グループでは、本社と海外関係会社間の連絡・連携体制を構築し、日頃から現地情勢の把握に努めております。また、リスクが現実化した場合にもその影響を最小に抑えるため、必要に応じて現地法制や商習慣に精通した弁護士等の専門家の助言を得て、カントリーリスクに対して適切に対応しております。

 

 

財務・会計に関するリスク

<リスクの内容とシナリオ>

  当社グループは、海外市場に積極的に事業展開をしていることから、外国通貨建ての取引が増加した場合の為替変動リスクがあります。また、事業活動の資金を金融機関からの借入等により調達していることから、金利が上昇した場合に支払利息が増加するリスク、及び金融市場の不安定化や当社グループの信用力低下により想定通りの資金調達が難しくなるリスクがあります。保有する株式、土地、建物、生産設備等の固定資産については、当該資産の時価や事業の収益性が低下した場合に減損損失が発生するリスクがあります。売上債権については、取引先の信用不安が顕在化した場合に回収が滞るリスクがあります。

<対応策>

為替変動リスクに対しては、為替感応度と業績に及ぶ影響をモニタリングし、外国通貨建て資産を圧縮するなどの対応を行っております。金利上昇及び流動性リスクに対しては、資金調達手法の最適化を進めるとともに、売上債権、棚卸資産及び仕入債務の回転期間見直しによる運転資金の圧縮に努めております。併せて、資金繰りの月次管理を通じて適度な手元流動性の維持に努めております。保有株式については、経営戦略会議において保有目的とその効果を毎年検証し、取締役会に報告した上で、その縮減を進めております。事業に関わる固定資産については、事業計画の進捗状況を定期的にモニタリングし、減損の兆候を早期に把握するよう努めております。売上債権については、長期債権の調査や取引先の業績モニタリング等、与信管理の強化を図ることにより回収リスクに対処しております。

 

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 (1) 経営成績等の状況の概要

 ①経営成績

 当連結会計年度(2022年6月1日~2023年5月31日)における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症に伴う行動制限が緩和され、企業の設備投資が回復するなど、社会経済活動は正常化しつつあります。海外では、多くの国で経済は緩やかに回復しており、中国においてもゼロコロナ政策の解除を機に景気回復基調にあります。一方で、地政学リスクの高まりや原材料・エネルギー価格の上昇、部品供給不足の長期化、金融・為替動向など、依然として先行き不透明な状況が続いております。
 当社グループでは、当期からスタートした中期経営計画において、「新しい事業・製品の拡大」と「既存事業の徹底した収益体質の改善」を進め、「資本コストを意識した資産効率の改善」を行うことで、ROE8%以上の早期達成を目指した経営基盤の抜本的強化を図ることとし、初年度は「収益力を高める構造改革に徹底して取り組む1年」と位置付け、「東洋電機の再生と変革」に取り組んでまいりました。
 このような環境のもと、当社グループにおいては、受注は回復基調にありますが、部材調達難の長期化による売上への影響は依然として継続しております。

 
 この結果、当連結会計年度における業績は次のとおりです。
 
 受注高は、前期比9.2%増の332億46百万円となりました。
 売上高は、前期比2.9%増の310億25百万円となりました。
 損益面では、営業利益は、前期比3億45百万円増の5億17百万円、経常利益は同2億20百万円増の9億87百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に計上した産業事業に関わる事業用資産の減損損失の影響がなくなったこと等により、同17億54百万円改善し8億24百万円となりました。
  
 報告セグメント別の状況は次のとおりです。なお、当社グループの事業領域をより適切に表示するため、従来「情報機器事業」としておりました報告セグメントの名称を「ICTソリューション事業」に変更しております。
 
<交通事業>
 国内鉄道事業者の業績回復に伴い、抑制されていた車両の新造、機器の更新需要が増加しつつあります。また、中国においても、保守部品や新規案件の受注が増加しております。

 受注高は、JR向け、民鉄向け、及び中国向けが増加したことから、前期比11.5%増の209億63百万円となりました。
 売上高は、民鉄向けが反動減により減少したものの、中国向けが増加したことから、前期比2.1%増の198億57百万円となりました。
 セグメント利益は、採算性の向上に取り組んだことから、前期比3.2%増の22億59百万円となりました。
<産業事業>
 国内は、多くの業種で設備投資の動きが堅調であり、当社への引合いも増加しております。一方で、自動車開発用試験機においては、電動化への急速な変化により、一部では計画されていた試験機設備投資に見直しの動きがありました。また、部材調達難の長期化による当社生産工程への影響が継続しております。
 受注高は、大型の試験機向け案件の受注と、加工機向けが増加したことから、前期比1.6%増の108億55百万円となりました。
 売上高は、試験機向け、加工機向けが増加したものの、電源向けが減少したことから、前期並みの99億5百万円となりました。
 セグメント利益は、前期に計上した固定資産の減損による減価償却費の負担軽減があったものの、粗利益率の低下等により、前期並みの4億79百万円となりました。
 <ICTソリューション事業>
 駅務機器のソフトウェア改修は、新線開業やバリアフリー料金等の運賃改定に伴う増加の動きが見られました。引き続き、乗客の利便性向上、インバウンド対応、業務効率化に向けた動きがあります。 
  受注高は、前期比49.7%増の14億21百万円となりました。
 売上高は、前期比59.0%増の12億56百万円となりました。
 セグメント利益は、売上高の回復等により、前期比189.6%増の4億13百万円となりました。 
※報告セグメント別の売上高については、「外部顧客への売上高」であり、「セグメント間の内部売上高又は振替高」は含みません

 

②財政状態

 (資産の部)
 当連結会計年度末の資産合計については、有形固定資産の減少6億21百万円などがありましたが、投資有価証券の増加18億17百万円、受取手形、売掛金及び契約資産の増加11億45百万円などがあり、前連結会計年度末比27億65百万円増加の496億82百万円となりました。

 (負債の部)
 当連結会計年度末の負債合計については、借入金の減少5億85百万円などがありましたが、仕入債務の増加10億12百万円、製品保証引当金の増加63百万円などがあり、前連結会計年度末比1億95百万円増加の250億99百万円となりました。

 (純資産の部)
 当連結会計年度末の純資産合計については、その他有価証券評価差額金の増加14億56百万円などがあり、前連結会計年度末比25億69百万円増加の245億82百万円となりました。
 

 ③キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末より10億70百万円増加し55億20百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
 営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益の計上、仕入債務の増加などにより8億15百万円の収入(前期は25億4百万円の収入)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
 投資活動によるキャッシュ・フローは投資有価証券の売却による収入などにより6億35百万円の収入(前期は2億89百万円の収入)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
 財務活動によるキャッシュ・フローは借入金の返済などにより3億90百万円の支出(前期は23億56百万円の支出)となりました。

 (当社グループの資本の財源及び資金の流動性)

  生産、受注及び販売の実績

a. 生産実績

セグメントの名称

生産高(百万円)

前年同期比(%)

交通事業

19,454

6.7

産業事業

9,645

2.8

ICTソリューション事業

1,569

131.2

その他

合計

30,669

8.4

 

(注) 金額は、販売価格によっております。

 

 

 b. 受注実績

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高(百万円)

前年同期比(%)

交通事業

20,963

11.5

21,915

5.3

産業事業

10,855

1.6

7,150

15.3

ICTソリューション事業

1,421

49.7

429

62.2

その他

6

△30.3

合計

33,246

9.2

29,496

8.1

 

(注) 金額は、販売価格によっております。

 

 c. 販売実績

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年同期比(%)

交通事業

19,857

2.1

産業事業

9,905

0.0

ICTソリューション事業

1,256

59.0

その他

6

△30.3

合計

31,025

2.9

 

 

 (2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 ①財政状態および経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当社グループの当連結会計年度における経営成績につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ①経営成績」に記載のとおりです。

 また、新型コロナウイルス感染症の影響につきましては、「第2 事業の状況 1[経営方針、経営環境及び対処すべき課題等] (3) 経営環境、優先的に対処すべき課題」に記載のとおりです。

 

 ②資本の源泉および資金の流動性に係る情報

 当社グループの主要な資金需要は、製品製造のための材料費、労務費、経費、販売費及び一般管理費の営業費用並びに当社グループの設備新設、改修等に係る投資です。
 当社グループの資本の源泉および資金の流動性については、事業活動に必要な資金を安定的に確保するため、営業活動によるキャッシュ・フローおよび内部資金の活用と各事業年度における事業計画の資金計画に基づいて設定した枠内で適時適切に必要な資金を取引金融機関から調達しています。取引金融機関とは当座貸越契約を締結しており、資金流動性を確保しつつ、効率的かつ機動的な資金調達を可能としております。
 また、当社グループは国内連結子会社5社との間でCPS(キャッシュ・プーリング・システム)を導入しており、各社における余剰資金と借入金の一元管理を行うことで資金効率の向上を図っています。
 

 ③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定 

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積りおよび仮定を用いていますが、当該見積り及び予測については不確実性が存在するため、将来生じる実際の結果はこれらの見積り及び予測と異なる場合があります。
  連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当する事項はありません。

 

 

6 【研究開発活動】

当社グループの研究開発活動は、お客様に十分満足していただける製品を追求し、その創造と拡大にチャレンジすることを基本に、既存事業における技術開発及びそれを支える基盤技術開発、ならびに業容を拡大するための新商品開発を積極的に行っております。

なお、研究開発費は、総額で755百万円であり、その内訳は、交通事業部284百万円、産業事業部99百万円、ICTソリューション事業部18百万円、その他(共通)352百万円であります。

 

当連結会計年度の主な開発成果は、以下のとおりです。 

 (1)交通事業部門

  ①回生吸収用と非常走行用蓄電池を搭載した回生電力貯蔵装置の開発

回生電力貯蔵装置は、車両制動時の余剰回生電力を蓄電池に蓄え、力行などによる架線電圧低下時に放電を行うことで、回生電力を有効に利用する機能を有しますが、近年は、停電により架線への送電が停止した際、駅間に停車してしまった車両を最寄り駅まで退避させる非常走行用電源としての機能も要求されることが増えました。非常走行運転に必要な電力量が大きい場合は、回生吸収用と非常走行用の蓄電池を組み合わせて用途別に使い分けることにより蓄電池容量を最適化できるため、回生吸収用と非常走行用の蓄電池をそれぞれ搭載した回生電力貯蔵装置を開発しました。

  ②耐寒耐雪電気式戸閉装置の開発

耐寒耐雪電気式戸閉装置を試作し、寒冷地の営業列車で半年に及ぶ長期耐久試験を実施しました。試験終了後、車両から取り外した戸閉装置の分解調査を実施し、各部品の摩耗・劣化や防水箇所への浸水はなく良好な結果が得られ、電気式戸閉装置が寒冷地でも使用可能なことが確認できました。

  ③常電導磁気浮上型リニア推進方式車VVVF装置の更新

17年前に納入した常電導磁気浮上型リニア推進方式車用のVVVF装置の更新にあたって、主回路素子としてハイブリッドSiC素子を適用し、従来2バンク構成としていたインバータを1バンク構成にまとめ、また装置内ユニット構成を見直して各種機器を最新世代とすることにより、軽量、省メンテナンス化を実現しました。

 

 (2)産業事業部門

  ①自動車試験用1000V級直流電源装置の開発

自動車の急速なEV化の中で、車両搭載用バッテリーの容量増加に伴い、充電時間を短縮するため高電圧化に移行する動きが加速しています。これに対応し、自動車試験装置におけるバッテリー試験装置やバッテリー模擬電源装置として適用可能な、1000V級直流電源装置の開発を完了しました。
 今後も、自動車のEV化に対応した試験装置に適用する製品ラインナップの拡充を進めていきます。

  ②大容量EDモータのCEマーキング、IP55対応

海外での生産設備の大型化に伴い、大容量EDモータの海外規格対応や耐環境性向上が求められてきております。これに対応するため、EDモータへの欧州CEマーキング対応や防塵防水構造(保護等級:IP55)対応の大容量機種への拡大を一部構造の見直しや部品の見直しを実施いたしました。これにより、環境の厳しい設備や欧州向けの大型設備に対しても、対応できる様になりました。

 

 (3)ICTソリューション事業部門

  ①汎用端末車内補充券発行機の共通システム開発

お客様の導入コスト低減とキャッシュレス決済のニーズにお応えするため、発行機本体は専用端末ではなくキャッシュレス対応の汎用端末を採用し、データの設定、変更で各鉄道事業者での使用が可能となる共通ソフトの開発と、パブリッククラウドを活用した上位集計システムの開発を開始しました。

また、汎用端末を活用したシステムとして、購入、乗降時は乗客のスマートフォンを使用し、発売・利用情報を管理するサーバとタブレット端末を簡易改札機とする出改札システムのデモ機を開発しお客様へのPRを開始しました。今後もスマートフォン、タブレットなどの汎用端末とクラウドを活用した、安価で柔軟なシステムの開発を進めていきます。

  ②AI技術の調査及びAI搭載システムの試作

顔認証技術の調査を進め、実際にオープンソースを利用して顔認証や年齢判別、性別判定などの技術を確認、検証しました。顔認証による入退場システムなどへの展開も視野に今後も研究開発を進めていきます。

また、人物の異常行動について、画像認識で検知した人物の座標情報の動きから判定する仕組みの開発にも着手しました。

 

 

 (4)開発センター

  ①IoT端末の開発と適用拡大

IORemoterⅡ(クラウド型遠隔監視・制御システム端末ユニット)を鉄道車両用向けに適用し、京成電鉄株式会社様にてVVVFインバータ装置の遠隔監視システムとして試験搭載していましたが、愛知高速交通株式会社様のHSSTシステム車両においてVVVF装置に初納入し営業運転を開始しました。
 状態基準保全(CBM)に向けた車両状態監視システムへの適用では、車両の制御装置やモータのデータ(電圧・電流・温度など)を自動的にクラウドサーバーに転送することが可能となり、PCやタブレット端末などで閲覧できるようになります。そのため、現地に赴いての作業が不要で省力化が図れるほか、リアルタイムにデータを確認して装置の異常を早期に発見することが可能となり、安全性の向上にもつながります。

  ②オンデマンドモータ・制御装置

インホイールモータの開発から始まり、お客様のご要求を満足する車載用電機品(制御装置、モータ)を試作開発、製品化してまいりました。その技術を駆使し、車載用だけでなく、ビルトイン(機電一体)型商品の開発も進めております。

  ③ADAS(先進運転支援機能)に対応した評価設備

近年、EV化の加速とともに先進運転支援技術や自動運転技術も実用化されつつあり、産業事業部で開発したインタイヤハウスダイナモを適用しADAS評価に最適な試験設備として、ラインナップを整えるための開発に取り組んでいます。

そのほか、自動化/電動化に伴う新しい評価方法のご相談や試験設備の拡張性などのボトルネックに対し、当社の技術を駆使して最適なテストソリューションをご提案するとともに、インタイヤハウスダイナモならではの、将来性(テストコースで行っていた試験の模擬など)のある開発にも取り組んでいきます。

  ④鉄道用歯車装置の加工技術の研究

鉄道用歯車装置は長寿命・高信頼性が要求され、強度確保工程の一つとして焼入れ処理があります。焼入れ処理の際には歯先にひずみが生じてしまうため、調整のための再加工が必要ですが、焼入れ後は強度が増しているため加工に多くの時間を要しています。本研究は、加工時間の短縮による生産能力の向上とコストの低減を目的としており、焼入れによるひずみを予測した加工を先に行うことにより、焼入れ後再加工の最小限化が可能であることを実験により確認しました。

  ⑤モデルベース開発の調査・研究

近年、自動車業界では、※CAEや部分毎の評価を行うための※HILSを用いた安全かつ効率的な開発が行われており、当社の自動車試験機システムもその一役を担っています。本調査・研究では自動車用動力伝達技術研究組合(TRAMI)がモデルベース開発を推進するために提供しているトランスミッションなどのモデルについて調査を行い、さらに当社の自動車試験システムを用いた場合の効果について検討を行っています。

 ※CAE:Computer Aided Engineering HILS:Hardware In the Loop Simulator