(1) 会社経営の基本方針
当社グループは、以下に示す経営理念及びサステナビリティに関する基本的な考え方・方針を会社経営の基本方針として取り組んでおります。
①経営理念
東洋電機グループは下記の経営理念を掲げ実践し社業を発展させ株主及び関係者各位の付託と理解に応え社員と喜びを共にする
・倫理を重んじ社会・顧客に貢献する
・進取創造の気風を養い未来に挑戦する
・品質第一に徹し信用を高める
<行動指針>
1 顧客に対しタイムリーかつスピーディーに応える
2 何事にも先見性と創造性をもってチャレンジする
3 常に自己啓発に励みスキルの向上に努める
4 広い視野をもって互いに影響し合い成長する
5 よき社会人・企業人として自覚と誇りをもって行動する
②サステナビリティに関する基本的な考え方
東洋電機グループは、社会・顧客・株主に貢献すること、未来に挑戦すること、信用を高めることを大切にしています。これらを実現するために、創業から100年以上、時代とともに変化するニーズに対応しながら、技術を活かした高品質な製品・サービスをグローバルに提供し続けてまいりました。これから先も社会を取り巻く環境は変化していきますが、私たちは技術や品質を磨き続け、ものづくりを通じて持続可能な社会の実現に貢献し、企業価値の向上を目指してまいります。
③サステナビリティ方針
サステナビリティに関する基本的な考え方を具体的な取組み内容に結びつけることを目的として、東洋電機グループの事業活動を「製品・サービスにおける取組み」、「生産活動における取組み」、「人と地域を大切にする取組み」という3つの視点で整理したサステナビリティ方針を制定しています。
(2) 中長期的な会社の経営戦略及び会社の対処すべき課題
①「中期経営計画2026」(期間2023年5月期〜2026年5月期)について
当社グループでは、2026年5月期を最終年度とする「中期経営計画2026」において、「新しい事業・製品の拡大」と「既存事業の徹底した収益体質の改善」を進め、「資本コストを意識した資産効率の改善」を行うことで、売上高400億円、営業利益率5%、ROE8%を目指して取り組んでいます。
●「中期経営計画2026」の目標とする経営指標と進捗状況 (億円)
2025年5月期は、「中期経営計画2026」で掲げた2026年5月期(最終年度)の数値目標を1年前倒しで達成いたしました。しかしながら、持続的な成長に向けた抜本的な収益力の強化と資産効率の改善は引き続き重要な課題と捉えており、「中期経営計画2026」の完遂に向け、計画を着実に実行してまいります。
②「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」について
東京証券取引所からの要請を受けて2024年7月に開示した「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」について、改めて当社の現状を分析・評価し、改善に向けた今後の取組みを本年7月にアップデートいたしました。
今後も、ROEの維持向上とともに、期待成長率の向上や株主還元の充実などにより、PBRの改善を図ってまいります。
●具体的な取組み
詳細は、2025年7月14日付「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応について(アップデート)」にて公表しておりますのでご参照ください。
(3) 経営環境、優先的に対処すべき課題
世界経済の減速懸念や物価高、金利・為替の変動等の影響により、我が国経済は先行き不透明な状況が続いておりますが、当社グループは、2026年5月期を最終年度とする「中期経営計画2026」に取り組み、主要な数値目標を1年前倒しで達成いたしました。しかしながら、持続的な成長に向けた抜本的な収益力の強化と資産効率の改善は引き続き重要な課題と捉えており、「新しい事業・製品の拡大」と「既存事業の徹底した収益体質の改善」を進め、「資本コストを意識した資産効率の改善」に取り組んでまいります。
交通事業においては、国内では、鉄道事業者の好調な業績を背景に、GX、DX対応に伴う脱炭素化や省力化を企図したサステナブルな機器への更新需要が旺盛であり、新造車両導入や機器の置換えの増加が期待されます。海外では、中国においては保守部品、インドネシアにおいては車両への新規投資を中心とした需要の継続が見込まれており、継続受注に向けて取り組んでまいります。
産業事業においては、米国の関税措置や中国のレアアース輸出規制の影響が懸念されますが、企業の設備投資動向を注視しつつ受注活動に取り組んでまいります。自動車用試験機では、自動車の電動化開発に向けた受注拡大が期待されます。生産・加工設備では、省エネルギーや省メンテナンスを目的とした設備更新の需要が高まっており、受注活動の強化に取り組んでまいります。発電・電源システムでは、BCP対策を背景とした非常用発電設備の需要増加が見込まれます。
ICTソリューション事業においては、キャッシュレス化、チケットレス化の流れに対応した駅務機器システムに加え、移動体や設備・施設の監視・制御に向けたクラウド型遠隔監視システム等の開発を進め、事業領域の拡大に向けて引き続き取り組んでまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組みは、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) サステナビリティ経営の推進
①サステナビリティに関する基本的な考え方
東洋電機グループは、社会・顧客・株主に貢献すること、未来に挑戦すること、信用を高めることを大切にしています。これらを実現するために、創業から100年以上、時代とともに変化するニーズに対応しながら、技術を活かした高品質な製品・サービスをグローバルに提供し続けてまいりました。これから先も社会を取り巻く環境は変化していきますが、私たちは技術や品質を磨き続け、ものづくりを通じて持続可能な社会の実現に貢献し、企業価値の向上を目指してまいります。
② 5つの重要課題(マテリアリティ)
持続的な成長と企業価値向上の実現に向けて、当社グループが優先的に対処すべき重要課題を5つのマテリアリティとして特定しております。そのうえで、それぞれのマテリアリティに対して、指標と目標を設定しながら、サステナビリティ経営を推進しております。
(2)気候変動への対応
当社グループは、脱炭素社会への貢献を当社グループのマテリアリティの1つとして特定し、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)への賛同表明も行っております。気候変動への対応を重要な課題であると認識したうえで、事業活動を通じた気候変動への対応および情報開示に取り組んでおります。
①ガバナンス
当社グループのサステナビリティ経営を推進するため、サステナビリティ委員会を設置し、サステナビリティ方針に基づいて全社的な取組みを進めております。委員会は、社長が委員長を務め、各担当執行役員を主なメンバーとして、原則として四半期毎に開催しています。中でも気候変動については、特に重要なテーマと位置づけ、温室効果ガス(GHG)削減に向けた定量的な目標を設定し、委員会にて進捗状況をモニタリングしております。委員会で審議した内容については取締役会に報告し、当社グループの経営戦略に反映しております。
②戦略
将来の気候変動に伴うリスクと機会を想定し、1.5℃/2℃未満と4℃の2つのシナリオを用いて、事業活動に及ぼす影響の分析を行いました。時間軸は、長期(~2050年)を主眼としつつ、その通過点である中期(~2030年)についても想定を行いました。事業活動に与える財務的な影響度については「大」「中」「小」の3段階で評価しました。
<想定した気候変動に伴うリスク>
<想定した気候変動に伴う機会>
想定した気候変動に伴うリスクと機会への対応策については、下記の当社のウェブサイトで公開しております。
③リスク管理
当社グループでは、サステナビリティ委員会において、気候変動に伴うリスクの認識、対応策の審議、進捗のモニタリングを行っています。気候変動の影響は中長期的な時間軸で発現することから、年次の事業計画、中期経営計画に加えて、関係各部門がサステナビリティロードマップを策定し、具体的な対応策を実行し、定期的に委員会へ進捗を報告しております。また、サステナビリティ課題を全社横断的な取組みに落とし込むために、各事業部門・管理部門の実務者レベルの社員により組織されたサステナビリティワーキンググループにおいて、議論、アイデア出しを行っております。サステナビリティ委員会にて審議された内容は取締役会に報告しております。
当社は、地球温暖化の抑制に向けて、事業活動に伴うCO2排出量削減目標を次のとおり設定しております。
(2)人的資本
①基本方針
当社グループは、持続的な企業価値の向上と社会的使命を果たす取組みを支える最も重要な経営資源は人材であると考えております。
「中期経営計画2026」において、多様な人材の確保・定着、育成、適材適所の配置等により、組織と人材の活性化を実現するため、人事制度改革に取り組んでおります。
また、仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)のとれた働き方、就労環境の整備等を推進し、従業員エンゲージメントの向上を図ってまいります。
②具体的な取組み
(i)多様性の確保
ア.女性活躍
当社の正規雇用労働者に占める女性の割合は、9.7%(前年比+1.0ポイント)となっております。また、管理職に占める女性の割合は、2.2%と前年比▲0.6ポイントとなり、女性の積極採用や女性も「働きやすい」環境づくりが課題となっております。
採用にあたっては、女子学生に対し個別面談の機会に当社の女性従業員との対話を通じて、当社で働く具体的なイメージを持っていただけるようにしています。また、経験者採用および有期雇用労働者の正規従業員への登用制度を通じて、多様な人材採用を推進しております。環境整備については、2024年に役員および管理職向けに女性従業員の活躍支援に関する研修を実施しました。これをきっかけに、以降は全ての女性従業員を対象にキャリア研修への派遣を行っている他、従業員同士のネットワーク構築を目的として、相互のキャリア観を共有し合う集合型ワークショップを実施しています。これらの取組みを継続的に行うことで、今後も女性の活躍を後押ししていきます。
なお、当面の目標として、管理部門における女性比率の底上げを図ることとし、2026年度の係長クラスの比率を25%以上、管理職クラスの比率を8%以上に設定しております。
イ.障がい者雇用
当社は、障がい者と健常者がともに活き活きと働く企業を目指して、職場環境の整備や職場での研修を行っています。障がい者雇用率については、2026年度及び2030年度の目標値をそれぞれ設定しており、これまで、地域の特別支援学校や支援機関とも連携して職場体験実習の受入れを行い、障がいのある方の新規採用に取り組んでまいりました。その結果、当事業年度は1名を新規に採用しました。
こうした中、2025年6月1日現在の障がい者雇用率は3.54%と、前年比▲0.04ポイントとなりましたが、引き続き定着支援と新規採用に向けた取り組みを進めてまいります。
(ⅱ)人材育成
当社は、人材育成基本方針に基づき人事育成に取り組んでおり、これまでに3名が「現代の名工」として厚生労働大臣から表彰を受けております。このように培ってきた技術・技能を次世代に伝承する取組みについても積極的に進めています。
技術者育成については、技術者育成委員会を定期的に開催し、内容の協議を行い実施しています。技能伝承については、技能マイスター認定委員会で技能伝承作業の認定及び伝承結果の判定を行っています。
また、技能職の定期採用者は、技能訓練センターにおいて約1年間の講義や実技実習等を行い、技能職として必要な基礎及び専門的な教育を実施しています。
その他の育成内容としては、入社1年目から5年目までの定期採用者、係長職への昇格者、管理職・専門職への昇格者に対する階層別研修を行うとともに、O・J・Tによる育成、各種資格取得支援(工学博士、MBA、MOT、技術士、技能士資格等)、語学研修(英語・中国語等)を実施しているほか、将来の経営幹部候補者育成を目的とした選抜研修を行っています。また、当事業年度より、シニア層従業員に向けたキャリアプラン研修を開始しました。
今後も従業員一人当たりの教育・研修投資の拡大を目標に掲げ、引き続き人材育成に取り組んでまいります。
(ⅲ)ワークライフバランス
当社では、仕事と家庭の両立実現のために、従業員が柔軟な働き方ができる制度の拡充に取り組んでおります。
これまでに、出産や育児、介護、配偶者の転勤等で離職せざるを得ない従業員の再雇用制度の導入、育児・介護勤務者の勤務地限定、短時間勤務制度の多様化、時間単位年休の制度化、フレックスタイム制度の適用者拡充を実施してまいりました。また、当事業年度では、テレワーク制度を検討し、2025年7月より導入しました。
このほか、男性の育児休業取得率向上に向けて、育児休業の理解を深めるために対象者だけでなく全社向けの研修を導入、出産・育児に関するガイドブックや、育児休業を取得した男性従業員の体験談をまとめた事例集を作成し、これから出産・育児を控える従業員へ情報提供を行っています。
当事業年度における男性労働者の育児休業取得率は62.5%(前年比+19.6ポイント)となりました。
今後も、従業員が仕事と生活の調和をとりながら、安心して就業できる環境作りに取り組んでまいります。
(ⅳ)エンゲージメント向上に向けた取組み
当社グループは、健康経営を重要な経営課題と捉えており、様々な環境整備を行っています。従業員の休息時間や睡眠時間の確保のために、終業時刻から次の始業時刻の間に、一定時間以上の休息時間を設ける、勤務間インターバル制度の導入や、社内外にメンタルヘルス相談窓口を設置し、従業員のこころのケアに努めています。
このような取組みが評価され、2022年から毎年、健康経営優良法人(大規模法人部門)の認定を受けております。
また、当社で働く従業員が「働きやすさ」と「働きがい」を実感できる企業風土や組織風土への変革に取り組んでいます。これまで、社長と従業員との価値観の共有を目的としたラウンドテーブルミーティングを定期的に開催し、従業員の声を聞く経営を実践してまいりました。さらに、2024年より実施しているエンゲージメントサーベイは、当事業年度より、国内グループ会社に対象を拡充し、従業員の期待度と満足度の可視化を実施しています。今後、当社グループ共通課題および組織個別課題の改善を図ってまいります。
2025年1月からは、当社グループ従業員に対する信託型従業員持株インセンティブ・プラン(E-Ship®)を導入しました。これにより、従業員に対する中長期的な企業価値向上のインセンティブ付与、福利厚生の充実、ならびに株主としての資本参加を通じたエンゲージメントの向上を目指しています。
(ⅴ)指標と目標
当社は、人的資本の充実に向けて、目標値を次のとおり設定しております。人的資本に関する取組みについては、当社においては関連する指標のデータ管理とともに具体的な取組みが行われているものの、連結グループに属する全ての会社で行われていないため、連結グループにおける記載が困難であり、指標と目標及び実績は提出会社のものを記載しております。
当事業年度末の実績は以下のとおりです。
(注)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率は「5「従業員の状況」
(4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の
賃金差異」に記載しております。
(1)リスクマネジメント体制
当社グループのリスクマネジメント体制は、「第4 提出会社の状況 4[コーポレート・ガバナンスの状況等]」に記載のとおりです。経営戦略にかかわるリスクについては、原則として毎月2回開催する経営戦略会議において、事業戦略や新事業開発を始めとする経営上の課題等について討議しております。日々の事業活動にかかわるリスクについては、原則として毎月3回以上開催する業務執行報告会において、「受注・売上・引合い等の営業活動」、「調達・製造・出荷等の生産活動」、「品質管理、研究・開発などの技術関係、生産改革」のテーマごとに代表取締役社長に報告し、事業計画の進捗状況及び業務執行状況を月次でチェックしております。グループ会社にかかわるリスクについては、半期毎に開催する国内・海外グループ会社会議において各社の事業計画の進捗、業務執行状況の検証を行っております。これらのうち、特に重要な事象については、取締役会の下部組織である内部統制委員会にて、顧問弁護士も交えて審議し、取締役会に報告・提言しております。また、気候変動や人的資本を始めとしたサステナビリティにかかわるリスクについては、同じく取締役会の下部組織であるサステナビリティ委員会にて審議し、取締役会に報告・提言しております。
(2)リスクの内容と対応策
当社グループの業績及び財務状況等に影響を及ぼすリスク想定と対応策は以下のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
①経営成績
当連結会計年度(2024年6月1日~2025年5月31日)における我が国経済は、雇用や所得環境の改善により、景気は緩やかな回復基調が継続しました。企業収益の改善等を背景に、設備投資は底堅さを維持しておりますが、米国の関税措置やこれを受けた米中貿易摩擦の長期化、地政学リスクの高まり、物価高の影響、金利・為替の変動等により、依然として先行き不透明な状況が続いております。
当社グループでは、2026年5月期を最終年度とする「中期経営計画2026」において、「新しい事業・製品の拡大」と「既存事業の徹底した収益体質の改善」を進め、「資本コストを意識した資産効率の改善」を行うことで、ROE8%を目指して取り組んでいます。
この結果、当連結会計年度における業績は次のとおりです。
受注高は、前期比8.4%減の403億19百万円となりました。
売上高は、前期比26.1%増の405億39百万円となりました。
営業利益は、前期比157.0%増の23億84百万円、経常利益は、前期比73.8%増の25億84百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は、前期比127.6%増の21億28百万円となりました。
これにより、「中期経営計画2026」で掲げた2026年5月期(最終年度)目標である売上高400億円、営業利益率5%、ROE8%を1年前倒しで達成いたしました。
なお、当社グループの事業は個別受注生産であり、四半期連結会計期間別の業績には変動があります。
報告セグメント別の状況は次のとおりです。
<交通事業>
国内では、インバウンドの回復等による鉄道利用者数の増加を受けて、鉄道事業者の車両投資が活発であり、新造車用製品や機器更新の受注が増加しております。
海外では、中国の高速鉄道向け部品の受注が堅調に推移しております。
受注高は、JR向け、中国向けで増加したものの、前期のインドネシア向け大口案件の反動減により、前期比9.7%減の277億47百万円となりました。
売上高は、前期に受注したインドネシア向け大口案件の生産、出荷が順調に進捗したほか、民鉄向け新造車用製品や中国向け保守部品が増加したことから、前期比34.2%増の大幅増収により278億22百万円となりました。
セグメント利益は、売上高の増加等により前期比51.4%増の36億14百万円となりました。
<産業事業>
自動車用試験機では、自動車電動化への対応に向け、インタイヤハウスダイナモのラインナップの拡充を進めており、引き合いも増加しております。
生産・加工設備では、省エネルギーや省メンテナンスのニーズの高まりを受けて、グループ会社と連携した技術提案の強化による受注拡大を目指しております。
発電・電源システムでは、官公庁(防衛装備庁など)や通信事業者、金融機関向けにBCP対応を目的とした非常用発電機の受注・引き合いが増加しております。
受注高は、自動車用試験機、生産・加工設備が減少し、前期比9.1%減の109億86百万円となりました。
売上高は、発電・電源システム、自動車用試験機が増加したことから、前期比6.2%増の108億95百万円となりました。
セグメント利益は、採算性の向上等により、前期比38.2%増の14億25百万円となりました。
<ICTソリューション事業>
駅務機器システムでは、交通サービスの利便性向上を目的としたキャッシュレス化、チケットレス化などの動きがあり、これらに対応したシステムの開発に取り組んでいます。
遠隔監視システムでは、事業領域の拡大に向け、低価格で移動体・設備の監視を実現する新型IoT端末の開発に取り組んでいます。
受注高は、キャッシュレス化に対応した駅務機器の受注増加により、前期比29.8%増の15億81百万円となりました。
売上高は、前期に受注した大口案件が順調に進捗したことなどから、前期比59.5%増の18億17百万円となりました。
セグメント利益は、売上高の増加等により、前期比72.6%増の5億43百万円となりました。
※報告セグメント別の売上高については、「外部顧客への売上高」であり、「セグメント間の内部売上高又は振替高」は含みません。
②財政状態
(資産の部)
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末比15億58百万円増加の532億10百万円となりました。これは主に、現金及び預金が14億16百万円減少したものの、受取手形、売掛金及び契約資産が34億5百万円増加したことによります。
(負債の部)
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末比2億43百万円増加の258億25百万円となりました。これは主に、長期借入金が13億80百万円減少したものの、未払法人税等が5億82百万円、電子記録債務が3億29百万円増加したことによります。
(純資産の部)
当連結会計年度末の純資産合計については、前連結会計年度末比13億15百万円増加の273億85百万円となりました。これは主に、その他有価証券評価差額金が4億39百万円減少したものの、親会社株主に帰属する当期純利益21億28百万円の計上等により利益剰余金が増加したことによります。
③キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末より16億82百万円減少し、47億41百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益の計上、減価償却費の計上などにより6億1百万円の収入(前期は18億46百万円の収入)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産及び無形固定資産の取得による支出などにより2億90百万円の支出(前期は4億13百万円の支出)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、借入金の返済などにより20億4百万円の支出(前期は9億79百万円の支出)となりました。
(当社グループの資本の財源及び資金の流動性)
生産、受注及び販売の実績
(注) 金額は、販売価格によっております。
b. 受注実績
(注) 金額は、販売価格によっております。
c. 販売実績
(注) 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
①財政状態および経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度における経営成績につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ①経営成績」に記載のとおりです。
②資本の源泉および資金の流動性に係る情報
当社グループの主要な資金需要は、製品製造のための材料費、労務費、経費、販売費及び一般管理費の営業費用並びに当社グループの設備新設、改修等に係る投資です。
当社グループの資本の源泉および資金の流動性については、事業活動に必要な資金を安定的に確保するため、営業活動によるキャッシュ・フローおよび内部資金の活用と各事業年度における事業計画の資金計画に基づいて設定した枠内で適時適切に必要な資金を取引金融機関から調達しています。取引金融機関とは当座貸越契約を締結しており、資金流動性を確保しつつ、効率的かつ機動的な資金調達を可能としております。
また、当社グループは国内連結子会社5社との間でCPS(キャッシュ・プーリング・システム)を導入しており、各社における余剰資金と借入金の一元管理を行うことで資金効率の向上を図っています。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積りおよび仮定を用いていますが、当該見積り及び予測については不確実性が存在するため、将来生じる実際の結果はこれらの見積り及び予測と異なる場合があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
(シンジケートローン契約)
当社は、財務上の特約が付されたシンジケートローン契約を締結いたしました。契約に関する内容等は、以下のとおりであります。
(1)契約締結日:2025年3月19日
(2)アレンジャー兼エージェント:株式会社三菱UFJ銀行
(3)借入金額:3,000百万円
(4)弁済期日:2032年3月19日
(5)担保:なし
(6)財務上の特約:
①各年度の決算期の末日における連結貸借対照表の純資産の部の金額を、当該決算期の直前の決算期の末日又は2024年5月に終了する決算期の末日における連結貸借対照表の純資産の部の金額のいずれか大きい方の75%の金額以上にそれぞれ維持すること。
②各年度の決算期に係る連結損益計算書上の経常損益に関して、それぞれ2期連続して経常損失を計上しないこと。
なお、2024年4月1日以前に締結された契約につきましては、「企業内容等の開示に関する内閣府令及び特定有価証券の内容等の開示に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令」附則第3条第4項により記載を省略しております。
当社グループの研究開発活動は、お客様に十分満足していただける製品を追求し、その創造と拡大にチャレンジすることを基本に、既存事業における技術開発及びそれを支える基盤技術開発、ならびに業容を拡大するための新商品開発を積極的に行っております。
開発センターと各事業部とのコラボレーションにより、パワーエレクトロニクス製品、スマートグリッド対応機器、ADAS(Advanced Driver-Assistance Systems,先進運転支援システム)の適用に向けた技術、センサ技術を応用した監視システム、高度化する通信技術を駆使した情報機器で、新事業探索・立案、新製品開発に邁進してまいりました。
なお、研究開発費は、総額で
当連結会計年度の主な開発成果は、以下のとおりです。
(1)交通事業部門
①低床路面電車用VVVF装置とSIV装置
低床車両用のVVVF装置とSIV装置は屋根上に搭載されるため、小型軽量化が追求されます。半導体素子の冷却を強制風玲方式として、風路の解析結果から機器配置を最適化することで装置の小型化を実現しました。また、SIV装置は高周波絶縁型DC/DCコンバータ方式を採用し、変圧器に印加する周波数を高くすることで変圧器およびSIV装置の小型軽量化を図り、限られたスペースに効率良く設置することが可能になりました。
(2)産業事業部門
①インタイヤハウスダイナモ(ITHD)のラインナップの拡充
開発センターと連携して自動車のタイヤハウス部でハブに直結する中容量ITHDを開発し製品化しております。新たにバッテリーEVを含む大型車両向けにサイズとトルクをアップさせた大容量ITHDの開発が完了しました。この大容量化により、大型車両向けシャーシダイナモの代用が可能となりました。
さらに、軽自動車からコンパクトカーに対応できる小容量ITHDの開発にも着手しました。今後も、ITHDのラインナップの拡充を図ってまいります。
②次期標準永久磁石同期電動機の開発
当社の標準永久磁石同期電動機シリーズの後継機種として、分割式ファンカバー等を標準採用することでメンテナンス性を向上させたシリーズと、磁界解析技術や新しい部材の採用と製造方法の改善等により、現行よりも高効率なシリーズを開発しました。今後もお客様のご要望に沿った商品をスピーディーに開発するとともに、さらなる高効率化を目指した研究を推進することで、サステナブルな社会の実現に貢献してまいります。
(3)ICTソリューション事業部門
①駅務機器のQRコード決済対応
開発センターと連携し、車掌が列車内で使用する車内補充券発行アプリケーションにQRコード決済機能を搭載いたしました。これにより車内補充券購入時に従来の現金に加えQRコード決済が利用可能となります。今後も、時代のニーズに応じた新たな決済手段の追加による利便性・サービスの向上を提供してまいります。
②人物動作検知システムの開発
開発センターと連携し、AI画像認識技術を用いて自動改札機を不正に通過する人物を検知するシステムの開発を進めています。乗り越えなど複数の不正通過動作AIモデルを開発し、検知精度向上を進めています。
(4)開発センター
①オンデマンドモータ
当社の基盤技術であるパワーエレクトロニクスとモータ技術・生産技術ならびに電磁界・構造・流体等の解析技術を活かし、お客様のご要望に合わせた(オンデマンド)最適なモータ・インバータを短期間でご提供できる技術構築を進めています。具体的には、電動化のエンジン代替としての扁平大トルクモータや小型高回転モータを始め、今後のキー技術となる、機電一体型やインバータ一体型のモータ等、オンデマンドな商品開発を推進しました。