第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1) 会社経営の基本方針

当社グループは、以下に示す経営理念及びサステナビリティに関する基本的な考え方・方針を会社経営の基本方針として取り組んでおります。

①経営理念

東洋電機グループは下記の経営理念を掲げ実践し社業を発展させ株主及び関係者各位の付託と理解に応え社員と喜びを共にする

・倫理を重んじ社会・顧客に貢献する

・進取創造の気風を養い未来に挑戦する

・品質第一に徹し信用を高める

<行動指針>

1 顧客に対しタイムリーかつスピーディーに応える

2 何事にも先見性と創造性をもってチャレンジする

3 常に自己啓発に励みスキルの向上に努める

4 広い視野をもって互いに影響し合い成長する

5 よき社会人・企業人として自覚と誇りをもって行動する

②サステナビリティに関する基本的な考え方

東洋電機グループは、社会・顧客・株主に貢献すること、未来に挑戦すること、信用を高めることを大切にしています。これらを実現するために、創業から100年以上、時代とともに変化するニーズに対応しながら、技術を活かした高品質な製品・サービスをグローバルに提供し続けてまいりました。これから先も社会を取り巻く環境は変化していきますが、私たちは技術や品質を磨き続け、ものづくりを通じて持続可能な社会の実現に貢献し、企業価値の向上を目指してまいります。

③サステナビリティ方針

サステナビリティに関する基本的な考え方を具体的な取組み内容に結びつけることを目的として、東洋電機グループの事業活動を「製品・サービスにおける取組み」、「生産活動における取組み」、「人と地域を大切にする取組み」という3つの視点で整理したサステナビリティ方針を制定しています。

 

 

(2) 中長期的な会社の経営戦略及び会社の対処すべき課題

  ①「中期経営計画2026」(期間2023年5月期〜2026年5月期)について

当社グループでは、2026年5月期を最終年度とする「中期経営計画2026」において、「新しい事業・製品の拡大」と「既存事業の徹底した収益体質の改善」を進め、「資本コストを意識した資産効率の改善」を行うことで、売上高400億円、営業利益率5%、ROE8%を目指して取り組んでいます。

 

●「中期経営計画2026」の目標とする経営指標と進捗状況               (億円)

 

中期経営計画2026

 

2023年5月期

2024年5月期

2025年5月期

 

2026年5月期

全社(連結)

実績

実績

実績

 

業績予想

当初目標

売 上 高

310.2

321.4

405.3

 

400.0

400.0

営 業 利 益

5.1

9.2

23.8

24.0

20.0

(営業利益率)

1.7%

2.9%

5.9%

6.0%

5.0%

経 常 利 益

9.8

14.8

25.8

25.0

24.0

純 利 益

8.2

9.3

21.2

22.5

16.0

R O E

3.5%

3.7%

8.0%

8.0%

8.0%

配 当 性 向

32.7%

30.1%

30.3%

30.1%

30.0%以上

 

 

 

 

 

 

 

受 注 高

332.4

440.1

403.1

 

410.0

 

受 注 残 高

294.9

413.7

411.5

 

 

 

 

 

2025年5月期は、「中期経営計画2026」で掲げた2026年5月期(最終年度)の数値目標を1年前倒しで達成いたしました。しかしながら、持続的な成長に向けた抜本的な収益力の強化と資産効率の改善は引き続き重要な課題と捉えており、「中期経営計画2026」の完遂に向け、計画を着実に実行してまいります。

 

  ②「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」について

東京証券取引所からの要請を受けて2024年7月に開示した「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」について、改めて当社の現状を分析・評価し、改善に向けた今後の取組みを本年7月にアップデートいたしました。

今後も、ROEの維持向上とともに、期待成長率の向上や株主還元の充実などにより、PBRの改善を図ってまいります。

●具体的な取組み

収益力の強化

・営業強化による受注の拡大

・既存事業の徹底した収益体質の改善

資産効率の改善

・政策保有株式縮減の継続

・運転資本の圧縮によるバランスシートの改善

期待成長率の向上

・新しい事業・製品に向けた投資の拡大

・人事戦略の推進による従業員エンゲージメント向上

・IRの充実

株主還元の充実

・配当性向30%以上の維持(下限30円)

・機動的な自己株式取得の継続

 

 

詳細は、2025年7月14日付「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応について(アップデート)」にて公表しておりますのでご参照ください。

 

(3) 経営環境、優先的に対処すべき課題

世界経済の減速懸念や物価高、金利・為替の変動等の影響により、我が国経済は先行き不透明な状況が続いておりますが、当社グループは、2026年5月期を最終年度とする「中期経営計画2026」に取り組み、主要な数値目標を1年前倒しで達成いたしました。しかしながら、持続的な成長に向けた抜本的な収益力の強化と資産効率の改善は引き続き重要な課題と捉えており、「新しい事業・製品の拡大」と「既存事業の徹底した収益体質の改善」を進め、「資本コストを意識した資産効率の改善」に取り組んでまいります。
 交通事業においては、国内では、鉄道事業者の好調な業績を背景に、GX、DX対応に伴う脱炭素化や省力化を企図したサステナブルな機器への更新需要が旺盛であり、新造車両導入や機器の置換えの増加が期待されます。海外では、中国においては保守部品、インドネシアにおいては車両への新規投資を中心とした需要の継続が見込まれており、継続受注に向けて取り組んでまいります。
 産業事業においては、米国の関税措置や中国のレアアース輸出規制の影響が懸念されますが、企業の設備投資動向を注視しつつ受注活動に取り組んでまいります。自動車用試験機では、自動車の電動化開発に向けた受注拡大が期待されます。生産・加工設備では、省エネルギーや省メンテナンスを目的とした設備更新の需要が高まっており、受注活動の強化に取り組んでまいります。発電・電源システムでは、BCP対策を背景とした非常用発電設備の需要増加が見込まれます。
 ICTソリューション事業においては、キャッシュレス化、チケットレス化の流れに対応した駅務機器システムに加え、移動体や設備・施設の監視・制御に向けたクラウド型遠隔監視システム等の開発を進め、事業領域の拡大に向けて引き続き取り組んでまいります。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組みは、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) サステナビリティ経営の推進

 ①サステナビリティに関する基本的な考え方

東洋電機グループは、社会・顧客・株主に貢献すること、未来に挑戦すること、信用を高めることを大切にしています。これらを実現するために、創業から100年以上、時代とともに変化するニーズに対応しながら、技術を活かした高品質な製品・サービスをグローバルに提供し続けてまいりました。これから先も社会を取り巻く環境は変化していきますが、私たちは技術や品質を磨き続け、ものづくりを通じて持続可能な社会の実現に貢献し、企業価値の向上を目指してまいります。

 ② 5つの重要課題(マテリアリティ)

持続的な成長と企業価値向上の実現に向けて、当社グループが優先的に対処すべき重要課題を5つのマテリアリティとして特定しております。そのうえで、それぞれのマテリアリティに対して、指標と目標を設定しながら、サステナビリティ経営を推進しております。

 

○多様な人材の活躍促進

○技術を活かしたイノベーション創出

○安定調達と高品質なものづくり

○脱炭素社会への貢献

○社会・ステークホルダーに対し責任ある企業活動の実行

 

 

(2)気候変動への対応

当社グループは、脱炭素社会への貢献を当社グループのマテリアリティの1つとして特定し、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)への賛同表明も行っております。気候変動への対応を重要な課題であると認識したうえで、事業活動を通じた気候変動への対応および情報開示に取り組んでおります。

 

①ガバナンス

当社グループのサステナビリティ経営を推進するため、サステナビリティ委員会を設置し、サステナビリティ方針に基づいて全社的な取組みを進めております。委員会は、社長が委員長を務め、各担当執行役員を主なメンバーとして、原則として四半期毎に開催しています。中でも気候変動については、特に重要なテーマと位置づけ、温室効果ガス(GHG)削減に向けた定量的な目標を設定し、委員会にて進捗状況をモニタリングしております。委員会で審議した内容については取締役会に報告し、当社グループの経営戦略に反映しております。

②戦略

将来の気候変動に伴うリスクと機会を想定し、1.5℃/2℃未満と4℃の2つのシナリオを用いて、事業活動に及ぼす影響の分析を行いました。時間軸は、長期(~2050年)を主眼としつつ、その通過点である中期(~2030年)についても想定を行いました。事業活動に与える財務的な影響度については「大」「中」「小」の3段階で評価しました。

 

 

 <想定した気候変動に伴うリスク> 

種別

リスク想定

影響度

1.5/2℃

4℃

2030年

2050年

2030年

2050年

移行

リスク

政策・

規制

炭素税導入や規制強化に伴う調達・輸送コスト増加、設備更新や技術開発に伴うコスト増加

技術

省エネ製品の研究開発コスト増加。開発が停滞した場合の販売機会の喪失。既存の技術・製品に対する需要減少

市場

人口減少に伴う鉄道旅客数の減少や自動車の環境性能向上により、鉄道の環境優位性が相対的に低下した場合、鉄道関連製品の売上低下。EV化対応遅れによる試験機事業の停滞。ペーパーレスや脱プラスチックによる印刷機械・製紙・化学メーカ向け機器需要の減少

評判

気候変動対応の遅れによるステークホルダーからの評判低下。サプライチェーンからの除外、資金調達コスト上昇、人材確保が困難に

物理的

リスク

急性

台風や洪水等による操業停止、生産設備の損傷、事業拠点の機能停止。サプライチェーンの寸断による部材調達難の発生

慢性

気温上昇による工場エネルギーコスト増加、従業員の生産性低下、熱中症増加。海面上昇による防潮対策等にかかるコスト増加。気温上昇による製品や設備の不具合、故障の発生

 

 

 <想定した気候変動に伴う機会>

種別

機会想定

影響度

1.5/2℃

4℃

2030

2050

2030

2050

資源の効率性

製品の長期使用、再生利用によるメンテナンス機会の増加。製品プロセスの効率化、材料使用の適正化、輸送の効率化によるコスト減少

エネルギー源

EV化や再生可能エネルギー・蓄電技術への需要が増加し、当社の製品・サービスの需要が増大

製品及び

サービス 

環境優位性の高い鉄道の利用ニーズ増加による鉄道車両用電機品の需要増加。高効率モータ・インバータ、分散電源等の省エネ製品・システムの需要増加。EV化に対応した新たな試験機システムへの需要増加

市場

蓄電システム、小水力発電・波力発電等の需要の掘り起こし、新規市場開拓。気候変動による食料供給難、農畜産業等への影響を回避するためのICT遠隔監視や自動制御装置の需要増加。EV関連商品の普及

レジリエンス

(強靭性)

災害の激甚化を受けたレジリエンス強化・BCP対応強化による需要増加

評判

環境対応への評価向上による取引拡大、株価向上、人材確保

 

 

想定した気候変動に伴うリスクと機会への対応策については、下記の当社のウェブサイトで公開しております。

https://www.toyodenki.co.jp/sustainability/pdf/tcfd_strategy.pdf

③リスク管理

当社グループでは、サステナビリティ委員会において、気候変動に伴うリスクの認識、対応策の審議、進捗のモニタリングを行っています。気候変動の影響は中長期的な時間軸で発現することから、年次の事業計画、中期経営計画に加えて、関係各部門がサステナビリティロードマップを策定し、具体的な対応策を実行し、定期的に委員会へ進捗を報告しております。また、サステナビリティ課題を全社横断的な取組みに落とし込むために、各事業部門・管理部門の実務者レベルの社員により組織されたサステナビリティワーキンググループにおいて、議論、アイデア出しを行っております。サステナビリティ委員会にて審議された内容は取締役会に報告しております。

④指標と目標

   当社は、地球温暖化の抑制に向けて、事業活動に伴うCO2排出量削減目標を次のとおり設定しております。

Scope1・2 CO2排出量

(2018年度比)

2026年度目標

2030年度目標

2050年度目標

10%削減

30%削減

100%削減

 

 

(2)人的資本

 ①基本方針

当社グループは、持続的な企業価値の向上と社会的使命を果たす取組みを支える最も重要な経営資源は人材であると考えております。

「中期経営計画2026」において、多様な人材の確保・定着、育成、適材適所の配置等により、組織と人材の活性化を実現するため、人事制度改革に取り組んでおります。

また、仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)のとれた働き方、就労環境の整備等を推進し、従業員エンゲージメントの向上を図ってまいります。

 

 ②具体的な取組み

  (i)多様性の確保

    ア.女性活躍

 当社の正規雇用労働者に占める女性の割合は、9.7%(前年比+1.0ポイント)となっております。また、管理職に占める女性の割合は、2.2%と前年比▲0.6ポイントとなり、女性の積極採用や女性も「働きやすい」環境づくりが課題となっております。

 採用にあたっては、女子学生に対し個別面談の機会に当社の女性従業員との対話を通じて、当社で働く具体的なイメージを持っていただけるようにしています。また、経験者採用および有期雇用労働者の正規従業員への登用制度を通じて、多様な人材採用を推進しております。環境整備については、2024年に役員および管理職向けに女性従業員の活躍支援に関する研修を実施しました。これをきっかけに、以降は全ての女性従業員を対象にキャリア研修への派遣を行っている他、従業員同士のネットワーク構築を目的として、相互のキャリア観を共有し合う集合型ワークショップを実施しています。これらの取組みを継続的に行うことで、今後も女性の活躍を後押ししていきます。

 なお、当面の目標として、管理部門における女性比率の底上げを図ることとし、2026年度の係長クラスの比率を25%以上、管理職クラスの比率を8%以上に設定しております。

 

    イ.障がい者雇用

 当社は、障がい者と健常者がともに活き活きと働く企業を目指して、職場環境の整備や職場での研修を行っています。障がい者雇用率については、2026年度及び2030年度の目標値をそれぞれ設定しており、これまで、地域の特別支援学校や支援機関とも連携して職場体験実習の受入れを行い、障がいのある方の新規採用に取り組んでまいりました。その結果、当事業年度は1名を新規に採用しました。

 こうした中、2025年6月1日現在の障がい者雇用率は3.54%と、前年比▲0.04ポイントとなりましたが、引き続き定着支援と新規採用に向けた取り組みを進めてまいります。

 

 

  (ⅱ)人材育成

当社は、人材育成基本方針に基づき人事育成に取り組んでおり、これまでに3名が「現代の名工」として厚生労働大臣から表彰を受けております。このように培ってきた技術・技能を次世代に伝承する取組みについても積極的に進めています。

技術者育成については、技術者育成委員会を定期的に開催し、内容の協議を行い実施しています。技能伝承については、技能マイスター認定委員会で技能伝承作業の認定及び伝承結果の判定を行っています。

また、技能職の定期採用者は、技能訓練センターにおいて約1年間の講義や実技実習等を行い、技能職として必要な基礎及び専門的な教育を実施しています。

その他の育成内容としては、入社1年目から5年目までの定期採用者、係長職への昇格者、管理職・専門職への昇格者に対する階層別研修を行うとともに、O・J・Tによる育成、各種資格取得支援(工学博士、MBA、MOT、技術士、技能士資格等)、語学研修(英語・中国語等)を実施しているほか、将来の経営幹部候補者育成を目的とした選抜研修を行っています。また、当事業年度より、シニア層従業員に向けたキャリアプラン研修を開始しました。

今後も従業員一人当たりの教育・研修投資の拡大を目標に掲げ、引き続き人材育成に取り組んでまいります。

 

  (ⅲ)ワークライフバランス

当社では、仕事と家庭の両立実現のために、従業員が柔軟な働き方ができる制度の拡充に取り組んでおります。

これまでに、出産や育児、介護、配偶者の転勤等で離職せざるを得ない従業員の再雇用制度の導入、育児・介護勤務者の勤務地限定、短時間勤務制度の多様化、時間単位年休の制度化、フレックスタイム制度の適用者拡充を実施してまいりました。また、当事業年度では、テレワーク制度を検討し、2025年7月より導入しました。

このほか、男性の育児休業取得率向上に向けて、育児休業の理解を深めるために対象者だけでなく全社向けの研修を導入、出産・育児に関するガイドブックや、育児休業を取得した男性従業員の体験談をまとめた事例集を作成し、これから出産・育児を控える従業員へ情報提供を行っています。

当事業年度における男性労働者の育児休業取得率は62.5%(前年比+19.6ポイント)となりました。

今後も、従業員が仕事と生活の調和をとりながら、安心して就業できる環境作りに取り組んでまいります。

 

  (ⅳ)エンゲージメント向上に向けた取組み

当社グループは、健康経営を重要な経営課題と捉えており、様々な環境整備を行っています。従業員の休息時間や睡眠時間の確保のために、終業時刻から次の始業時刻の間に、一定時間以上の休息時間を設ける、勤務間インターバル制度の導入や、社内外にメンタルヘルス相談窓口を設置し、従業員のこころのケアに努めています。

このような取組みが評価され、2022年から毎年、健康経営優良法人(大規模法人部門)の認定を受けております。

また、当社で働く従業員が「働きやすさ」と「働きがい」を実感できる企業風土や組織風土への変革に取り組んでいます。これまで、社長と従業員との価値観の共有を目的としたラウンドテーブルミーティングを定期的に開催し、従業員の声を聞く経営を実践してまいりました。さらに、2024年より実施しているエンゲージメントサーベイは、当事業年度より、国内グループ会社に対象を拡充し、従業員の期待度と満足度の可視化を実施しています。今後、当社グループ共通課題および組織個別課題の改善を図ってまいります。

2025年1月からは、当社グループ従業員に対する信託型従業員持株インセンティブ・プラン(E-Ship®)を導入しました。これにより、従業員に対する中長期的な企業価値向上のインセンティブ付与、福利厚生の充実、ならびに株主としての資本参加を通じたエンゲージメントの向上を目指しています。

 

 

  (ⅴ)指標と目標

当社は、人的資本の充実に向けて、目標値を次のとおり設定しております。人的資本に関する取組みについては、当社においては関連する指標のデータ管理とともに具体的な取組みが行われているものの、連結グループに属する全ての会社で行われていないため、連結グループにおける記載が困難であり、指標と目標及び実績は提出会社のものを記載しております。

重要課題

女性従業員比率

男性の育児休業取得率

障がい者雇用率

管理部門

係長クラス

管理部門

管理職クラス

2026年度

25%以上

8%以上

50以上

2.9以上

2030年度

30%以上

15%以上

70%以上

3.0%以上

 

 

  当事業年度末の実績は以下のとおりです。

重要課題

女性従業員比率

男性の育児休業

取得率

障がい者雇用率

管理部門

係長クラス

管理部門

管理職クラス

2025年度

30.4%

8.0%

62.5%

3.54%

 

(注)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率は「5「従業員の状況」

  (4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の

   賃金差異」に記載しております。

 

3 【事業等のリスク】 

(1)リスクマネジメント体制

当社グループのリスクマネジメント体制は、「第4 提出会社の状況 4[コーポレート・ガバナンスの状況等]」に記載のとおりです。経営戦略にかかわるリスクについては、原則として毎月2回開催する経営戦略会議において、事業戦略や新事業開発を始めとする経営上の課題等について討議しております。日々の事業活動にかかわるリスクについては、原則として毎月3回以上開催する業務執行報告会において、「受注・売上・引合い等の営業活動」、「調達・製造・出荷等の生産活動」、「品質管理、研究・開発などの技術関係、生産改革」のテーマごとに代表取締役社長に報告し、事業計画の進捗状況及び業務執行状況を月次でチェックしております。グループ会社にかかわるリスクについては、半期毎に開催する国内・海外グループ会社会議において各社の事業計画の進捗、業務執行状況の検証を行っております。これらのうち、特に重要な事象については、取締役会の下部組織である内部統制委員会にて、顧問弁護士も交えて審議し、取締役会に報告・提言しております。また、気候変動や人的資本を始めとしたサステナビリティにかかわるリスクについては、同じく取締役会の下部組織であるサステナビリティ委員会にて審議し、取締役会に報告・提言しております。

 

(2)リスクの内容と対応策

  当社グループの業績及び財務状況等に影響を及ぼすリスク想定と対応策は以下のとおりです。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

①品質・安定供給に関するリスク

<リスクの内容とシナリオ>

  鉄道を始めとする社会・公共インフラにおいて、人命に関わる事象や大規模な障害が、当社グループまたはサプライチェーンの製品起因で発生した場合には、経営に極めて深刻な影響を及ぼす可能性があります。また、品質不具合や生産遅延により、当社の使命である安定したサプライヤーとしての供給責任を果たせない場合には、信用低下及び業績の悪化につながる可能性があります。

<対応策>

当社グループは、品質第一に徹し信用を高めることを経営理念に掲げております。当社の生産拠点である横浜製作所及び滋賀竜王製作所では品質マネジメントシステムを構築・運用し、ISO9001の認証を取得しております。品質管理及び生産管理については、毎月の業務執行報告会において、経営層への情報の共有、リスクの抽出及び対策を協議し、速やかに実行することで、品質水準の確保、製品の安定供給を図っております。なお、製造物責任や製品リコールが発生した場合に備えて、必要な保険に加入し、品質問題が発生した場合の業績への影響を最小限に留める対応をしております。

 

 

②人材に関するリスク

<リスクの内容とシナリオ>

  当社グループの成長を支える最も重要な経営資源は人材であると考えております。熟練技術者の退職や人材流出、採用活動や人材育成の停滞等により必要な人材の確保・育成ができない場合、技術継承が滞ることによる品質の低下、新たな事業領域の創出や新製品開発の停滞につながり、業界における競争力を維持できず、業績の悪化につながる可能性があります。

<対応策>

人材育成基本規程における基本方針に基づき、持続的な企業価値の増大に向けた人材育成に取り組んでおります。当社固有技術の維持・向上、技術継承の推進にあたり、技術者育成委員会を設置して、特に重要な専門技術分野毎に高度技術の継承施策を展開しています。また、中期経営計画2026の具体的な取組みとして、従業員や組織の活性化を促進する人事制度・運営の見直しを進めております。従業員のエンゲージメント向上を目的として、求める人材像を明確にした上で、公正な評価・処遇制度への見直しや人材・組織開発等の各種施策展開を開始しています。

 

 

 

③コンプライアンス・人権に関するリスク

<リスクの内容とシナリオ>

  当社グループが事業を行う上で、国内外の法令や規制違反を生じさせた場合、社会的な信用失墜につながり、取引の停止など事業活動に重大な影響を及ぼす可能性があります。また、従業員に対するハラスメントの発生防止や対応が適切になされない場合、就業意欲の低下や離職を招き、信用失墜や競争力の低下につながります。また紛争鉱物・強制労働の問題に適切に対応できない場合に信用が低下し、取引の縮小・サプライチェーンからの除外につながる可能性があります。

<対応策>

当社グループは、倫理を重んじ社会・顧客に貢献することを経営理念に掲げており、企業倫理に基づくコンプライアンスの重要性を認識しております。具体的な対応として、当社の行動方針と業務の基本ルールを定めた「コンプライアンスの手引き(東洋電機製造倫理規範)」を全役員・従業員に配付し、教育を行うことで、コンプライアンスに則った行動の周知徹底を図っております。また、内部通報窓口やハラスメント相談窓口を整備するなど、問題を早期に発見し必要な措置を講ずる体制を整えております。サプライチェーンにおける紛争鉱物や強制労働の問題への対応については、調達先への調査を実施して状況把握を行い、人権尊重に向けた取組みを適切に推進していきます。

 

 

事業環境の変化に関するリスク

<リスクの内容とシナリオ>

  当社グループは、交通、産業、ICTソリューションの各事業において、広く国内外の社会・産業インフラを支える製品・サービスを提供しております。人口減少やテレワーク・ウェブ会議の定着による鉄道旅客数の減少、CASE(※)に象徴される自動車業界の変革、製品・サービスや生産設備におけるDX推進、脱炭素社会への移行など、当社グループを取り巻く事業環境は急激に変化しています。これら事業環境の変化への対応が遅れた場合、競争力が低下し、受注・売上の減少や、採算性の低下につながる可能性があります。

 ※CASE:「Connected(コネクテッド)」「Automated/Autonomous(自動運転)」「Shared & Service(シェアリング)」「Electrification(電動化)」

<対応策>

当社グループは、「中期経営計画2026」の基本方針に「新しい事業・製品の拡大」と「既存事業の徹底した収益体質の改善」を掲げ、新事業領域の開拓、新製品開発、製品・サービスの改良等により競争力の維持強化を図っております。主要施策として、アライアンスやM&A活用検討、脱炭素化・サステナブル社会に資する技術・製品の開発、自動車の電動化・自然エネルギー活用、ICT技術の活用などを推進しております。全社横断的な新事業領域の開発については開発センターを中心に推進しております。競合先の動向については、当社グループの豊富な取引先ネットワークを活用した顧客情報の収集、入札情報やマーケット情報の収集に努め、競争力の維持強化を図っております。

 

 

技術・製品開発に関するリスク

<リスクの内容とシナリオ>

  先進技術を取り入れた製品を最適な時機に市場投入できない場合や、脱炭素化への対応が遅れた場合に製品競争力が低下する可能性があります。また、生産工程における新技術導入が停滞した場合、生産効率改善・コスト削減が進まず競争力低下につながる可能性があります。

<対応策>

お客様にとって魅力的な製品を提供するために、お客様のニーズを把握し、最新の技術を導入した製品の開発に努めております。既存製品・サービスの改良に加えて、新しい事業・製品の拡大のため、開発センターを中心に全社横断的な新事業領域の開発強化・迅速化を図っております。新たな事業分野への参入に向けて必要となる開発課題に対応するため、プロジェクトチームを開発センター内に組成し、社内のリソースを重点的に投入しております。また、産学連携による研究開発、M&A機会の模索など、技術力・製品開発力の維持・強化に向けた取組みを行っております。

 

 

原材料調達等に関するリスク

<リスクの内容とシナリオ>

  当社グループの製品・サービスは多種多様な原材料を使用しております。中国のレアアース輸出管理措置や米国の追加関税等の世界経済情勢の変化や市場動向、自然災害により供給が停滞・遅延した場合や、原材料の調達先の倒産や休廃業が発生し代替が困難な場合には生産・出荷の遅れ等につながる可能性があります。また、エネルギー価格の高騰や人件費の上昇等に起因する原材料価格高騰による生産コスト増が当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

<対応策>

当社グループは、一括発注や複数社購買等により、原材料の安定した調達に努めております。半導体や永久磁石など、一部の原材料については世界的な供給不足、価格高騰、長納期化が生じる可能性に備えて、当社グループの持つ取引先との密接なネットワークを活用したサプライチェーン複線化や使用原材料の変更等の対応を継続しています。また、取引先の倒産等のリスクについても常日頃の情報収集に努めるとともに、代替調達先の確保等の恒久対策にも取り組んでいます。原材料価格高騰に伴う生産コスト増に対しては、当社グループの生産設備の稼働効率化を図り、太陽光発電の利用による省エネ・節電等とあわせて、原価低減の取組みを推進しております。

 

 

知的財産に関するリスク

<リスクの内容とシナリオ>

  技術革新のスピードが速く事業のグローバル化が進展する中で、他者から知的財産権を侵害される可能性が高まっております。他方、当社グループが他者の知的財産権を侵害したと認定された場合には、高額な損害賠償を請求されるなど、業績に悪影響を与える可能性があります。

<対応策>

当社グループは、知的財産権の重要性を認識し、その保護に細心の注意を払い、社内の研究開発部門が連携しつつ、戦略的な特許出願等の権利化を図っております。当社グループが保有する知的財産が侵害された場合には速やかに適切な処置を取るほか、当社グループが他者の知的財産権を侵害することのないよう適切に対応してまいります。

 

 

 

 

環境規制・気候変動に関するリスク

<リスクの内容とシナリオ>

  環境法令違反、環境規制への不適合が生じた場合、取引先や地域社会を始めとして、広く社会全体からの信用失墜を招きます。また、製品の脱炭素化や生産活動における環境負荷低減等の気候変動対応が進まない場合、競争力の低下により受注・売上が悪化するとともに、ステークホルダー全体からの評価低下につながります。

<対応策>

当社グループでは、事業活動における各種環境法令遵守及び環境規制への適合状況を常時監視しており、適切にリスク対応しております。また、気候変動への対応については、取締役会の下部組織であるサステナビリティ委員会にて定期的に議論を重ね、当社グループのサステナビリティ方針に則って、「製品・サービスにおける取組み」「生産活動における取組み」「人と地域を大切にする取組み」の各取組みについて、目標設定、施策の策定と推進及びモニタリングを実施しております。当社のサプライチェーン全体において持続可能で環境に配慮した調達を目指し、2025年3月に「東洋電機グループ サステナブル調達ガイドライン」及び「グリーン調達ガイドライン」を策定しました。

 

 

自然災害・感染症に関するリスク

<リスクの内容とシナリオ>

  当社グループの生産拠点は、交通事業関係は関東地区に、産業事業関係は関西地区に集中しています。いずれかの地域で大規模な災害や感染症等が発生した場合には、当社グループの生産能力に重大な影響を及ぼす可能性があります。また、大規模な災害や感染症の発生に伴う物流の混乱や原材料の高騰の他、気温上昇に伴う製品・サービスの不具合等により、当社グループの受注・生産活動や業績に影響を与える可能性があります。

<対応策>

当社グループでは大規模災害に対する予防策、発生時の緊急措置体制の整備についての方針・施策を、取締役会にて審議・決定しております。各生産拠点における災害対策・訓練を実施するとともに、全社BCPを継続的に見直して更なる強化を図り、サプライチェーン全体の強靭化も目指してまいります。また、気温上昇による製品・サービスへの影響も含め、変化点管理を強化してまいります。

 

 

業務上の災害・事故に関するリスク

<リスクの内容とシナリオ>

  当社グループにおいて長時間労働起因を含む労働災害、火災・設備トラブルの発生により、従業員の死傷や生産活動停止に至った場合、社会的信用の低下、業績の悪化につながります。

<対応策>

当社グループでは、安全な作業環境と労働災害ゼロの実現のため、「全社安全衛生管理方針」を定め、各事業所の安全衛生委員会で具体的な対策を立案・実行しています。それらの取組みは、四半期毎に開催する全社安全衛生委員会で共有され、全社的な安全衛生のレベルアップにつなげています。また、各事業所に時間管理適正化委員会を設置し、時間外労働時間の状況や勤務間インターバルの遵守状況を監視しています。

 

 

 

情報セキュリティに関するリスク

<リスクの内容とシナリオ>

  お客様の個人情報や取引先に関する企業秘密の漏洩が発生した場合、社会的な信用低下に加え、損害賠償等の発生や取引停止等、業績への悪化が想定されます。また、社外からのサイバー攻撃、ウイルス感染等による重要データの破壊・改ざん、システム停止が発生した場合、生産活動・営業活動に深刻な影響を及ぼす可能性があります。

<対応策>

当社グループでは、情報セキュリティを経営の重要課題の一つと位置づけ、指針として情報セキュリティ宣言を定めています。情報保護が企業としての重要な社会的責任であることを認識し、関連する法令を遵守するとともに、保有する情報資産を、破壊、改ざん、漏洩等の脅威から保護するための適切な対策を実施しています。また、情報セキュリティの管理体制を整備するため、情報セキュリティ委員会を組織し、教育・訓練、監査等の活動を実施しています。情報セキュリティ委員会は、情報セキュリティの維持・管理状況及び情報セキュリティに関する事故や問題の発生状況等を定期的に内部統制委員会へ報告しております。また、情報セキュリティ及びDX推進体制のさらなる強化に向け、2024年12月にデジタル戦略部を設置しました。

 

 

海外事業に関するリスク

<リスクの内容とシナリオ>

  当社グループは、中国、タイ、米国に生産拠点、営業拠点を有しており、各国の政治・経済の状況変化や災害発生等のカントリーリスクが当社の事業活動や従業員の安全に影響を及ぼす可能性があります。また、予期しない法規制や税制の変更が海外関係会社の事業運営、ひいては業績及び資産に影響を及ぼす可能性があります。

<対応策>

当社グループでは、本社と海外関係会社との間の連絡・連携体制を構築し、日頃から現地情勢の把握に努めております。また、リスクが現実化した場合にもその影響を最小に抑えるため、必要に応じて現地法制や商習慣に精通した弁護士等の専門家の助言を得て、カントリーリスクに対して適切に対応しております。

 

 

財務・会計に関するリスク

<リスクの内容とシナリオ>

  当社グループは、海外市場に積極的に事業展開をしていることから、外国通貨建ての取引が増加した場合の為替変動リスクがあります。また、事業活動の資金を金融機関からの借入等により調達していることから、金利が上昇した場合に支払利息が増加する可能性、及び金融市場の不安定化や当社グループの信用力低下により想定通りの資金調達が難しくなる可能性があります。保有する株式、土地、建物、生産設備等の固定資産については、当該資産の時価や事業の収益性が低下した場合に減損損失が発生するリスクがあります。売上債権については、取引先の信用不安が顕在化した場合に回収が滞る可能性があります。

<対応策>

為替変動リスクに対しては、為替感応度と業績に及ぶ影響をモニタリングし、外国通貨建て資産を圧縮するなどの対応を行っております。金利上昇及び資金流動性リスクに対しては、資金調達手法の最適化を進めるとともに、売上債権、棚卸資産及び仕入債務の回転期間見直しによる運転資金の圧縮に努めております。併せて、資金繰りの月次管理を通じて適度な手元流動性の維持に努めております。保有株式については、経営戦略会議において保有目的とその効果を毎年検証し、取締役会に報告した上で、その縮減を進めております。事業に関わる固定資産については、事業計画の進捗状況を定期的にモニタリングし、減損の兆候を早期に把握するよう努めております。売上債権については、長期債権の調査や取引先の業績モニタリング等、与信管理の強化を図ることにより回収リスクに対処しております。

 

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 (1) 経営成績等の状況の概要

 ①経営成績

 当連結会計年度(2024年6月1日~2025年5月31日)における我が国経済は、雇用や所得環境の改善により、景気は緩やかな回復基調が継続しました。企業収益の改善等を背景に、設備投資は底堅さを維持しておりますが、米国の関税措置やこれを受けた米中貿易摩擦の長期化、地政学リスクの高まり、物価高の影響、金利・為替の変動等により、依然として先行き不透明な状況が続いております。

 当社グループでは、2026年5月期を最終年度とする「中期経営計画2026」において、「新しい事業・製品の拡大」と「既存事業の徹底した収益体質の改善」を進め、「資本コストを意識した資産効率の改善」を行うことで、ROE8%を目指して取り組んでいます。

 

 この結果、当連結会計年度における業績は次のとおりです。

 

 受注高は、前期比8.4%減の403億19百万円となりました。

 売上高は、前期比26.1%増の405億39百万円となりました。

 営業利益は、前期比157.0%増の23億84百万円、経常利益は、前期比73.8%増の25億84百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は、前期比127.6%増の21億28百万円となりました。

 これにより、「中期経営計画2026」で掲げた2026年5月期(最終年度)目標である売上高400億円、営業利益率5%、ROE8%を1年前倒しで達成いたしました。

 なお、当社グループの事業は個別受注生産であり、四半期連結会計期間別の業績には変動があります。

 
 報告セグメント別の状況は次のとおりです。
    

<交通事業>
 国内では、インバウンドの回復等による鉄道利用者数の増加を受けて、鉄道事業者の車両投資が活発であり、新造車用製品や機器更新の受注が増加しております。

 海外では、中国の高速鉄道向け部品の受注が堅調に推移しております。
 受注高は、JR向け、中国向けで増加したものの、前期のインドネシア向け大口案件の反動減により、前期比9.7%減の277億47百万円となりました。

 売上高は、前期に受注したインドネシア向け大口案件の生産、出荷が順調に進捗したほか、民鉄向け新造車用製品や中国向け保守部品が増加したことから、前期比34.2%増の大幅増収により278億22百万円となりました。

 セグメント利益は、売上高の増加等により前期比51.4%増の36億14百万円となりました。
 

<産業事業>

 自動車用試験機では、自動車電動化への対応に向け、インタイヤハウスダイナモのラインナップの拡充を進めており、引き合いも増加しております。

 生産・加工設備では、省エネルギーや省メンテナンスのニーズの高まりを受けて、グループ会社と連携した技術提案の強化による受注拡大を目指しております。

 発電・電源システムでは、官公庁(防衛装備庁など)や通信事業者、金融機関向けにBCP対応を目的とした非常用発電機の受注・引き合いが増加しております。
 受注高は、自動車用試験機、生産・加工設備が減少し、前期比9.1%減の109億86百万円となりました。

 売上高は、発電・電源システム、自動車用試験機が増加したことから、前期比6.2%増の108億95百万円となりました。

 セグメント利益は、採算性の向上等により、前期比38.2%増の14億25百万円となりました。

 

<ICTソリューション事業>
 駅務機器システムでは、交通サービスの利便性向上を目的としたキャッシュレス化、チケットレス化などの動きがあり、これらに対応したシステムの開発に取り組んでいます。

 遠隔監視システムでは、事業領域の拡大に向け、低価格で移動体・設備の監視を実現する新型IoT端末の開発に取り組んでいます。
  受注高は、キャッシュレス化に対応した駅務機器の受注増加により、前期比29.8%増の15億81百万円となりました。

 売上高は、前期に受注した大口案件が順調に進捗したことなどから、前期比59.5%増の18億17百万円となりました。

 セグメント利益は、売上高の増加等により、前期比72.6%増の5億43百万円となりました。

 

※報告セグメント別の売上高については、「外部顧客への売上高」であり、「セグメント間の内部売上高又は振替高」は含みません。

 

②財政状態

(資産の部)

 当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末比15億58百万円増加の532億10百万円となりました。これは主に、現金及び預金が14億16百万円減少したものの、受取手形、売掛金及び契約資産が34億5百万円増加したことによります。

 

(負債の部)

 当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末比2億43百万円増加の258億25百万円となりました。これは主に、長期借入金が13億80百万円減少したものの、未払法人税等が5億82百万円、電子記録債務が3億29百万円増加したことによります。

 

(純資産の部)

 当連結会計年度末の純資産合計については、前連結会計年度末比13億15百万円増加の273億85百万円となりました。これは主に、その他有価証券評価差額金が4億39百万円減少したものの、親会社株主に帰属する当期純利益21億28百万円の計上等により利益剰余金が増加したことによります。

 

 ③キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末より16億82百万円減少し、47億41百万円となりました。
 (営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益の計上、減価償却費の計上などにより6億1百万円の収入(前期は18億46百万円の収入)となりました。

 (投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産及び無形固定資産の取得による支出などにより2億90百万円の支出(前期は4億13百万円の支出)となりました。

 (財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動によるキャッシュ・フローは、借入金の返済などにより20億4百万円の支出(前期は9億79百万円の支出)となりました。

 

 

 (当社グループの資本の財源及び資金の流動性)

  生産、受注及び販売の実績

a. 生産実績

セグメントの名称

生産高(百万円)

前年同期比(%)

交通事業

27,166

30.6

産業事業

11,057

1.1

ICTソリューション事業

1,434

21.6

その他

合計

39,658

20.5

 

(注) 金額は、販売価格によっております。

 

 b. 受注実績

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高(百万円)

前年同期比(%)

交通事業

27,747

△9.7

31,814

△0.2

産業事業

10,986

△9.1

9,067

1.0

ICTソリューション事業

1,581

29.8

272

△46.4

その他

3

△28.2

合計

40,319

△8.4

41,154

△0.5

 

(注) 金額は、販売価格によっております。

 

 c. 販売実績

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年同期比(%)

交通事業

27,822

34.2

産業事業

10,895

6.2

ICTソリューション事業

1,817

59.5

その他

3

△28.2

合計

40,539

26.1

 

(注) 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合

 

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

販売高(百万円)

割合(%)

販売高(百万円)

割合(%)

PT Industri Kereta Api

5,262

13.0

 

 

 (2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 ①財政状態および経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当社グループの当連結会計年度における経営成績につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ①経営成績」に記載のとおりです。

 

 ②資本の源泉および資金の流動性に係る情報

 当社グループの主要な資金需要は、製品製造のための材料費、労務費、経費、販売費及び一般管理費の営業費用並びに当社グループの設備新設、改修等に係る投資です。
 当社グループの資本の源泉および資金の流動性については、事業活動に必要な資金を安定的に確保するため、営業活動によるキャッシュ・フローおよび内部資金の活用と各事業年度における事業計画の資金計画に基づいて設定した枠内で適時適切に必要な資金を取引金融機関から調達しています。取引金融機関とは当座貸越契約を締結しており、資金流動性を確保しつつ、効率的かつ機動的な資金調達を可能としております。
 また、当社グループは国内連結子会社5社との間でCPS(キャッシュ・プーリング・システム)を導入しており、各社における余剰資金と借入金の一元管理を行うことで資金効率の向上を図っています。
 

 ③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定 

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積りおよび仮定を用いていますが、当該見積り及び予測については不確実性が存在するため、将来生じる実際の結果はこれらの見積り及び予測と異なる場合があります。
  連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

 

5 【重要な契約等】

(シンジケートローン契約)

当社は、財務上の特約が付されたシンジケートローン契約を締結いたしました。契約に関する内容等は、以下のとおりであります。

 

(1)契約締結日:2025年3月19日

(2)アレンジャー兼エージェント:株式会社三菱UFJ銀行

(3)借入金額:3,000百万円

(4)弁済期日:2032年3月19日

(5)担保:なし

(6)財務上の特約:

①各年度の決算期の末日における連結貸借対照表の純資産の部の金額を、当該決算期の直前の決算期の末日又は2024年5月に終了する決算期の末日における連結貸借対照表の純資産の部の金額のいずれか大きい方の75%の金額以上にそれぞれ維持すること。

②各年度の決算期に係る連結損益計算書上の経常損益に関して、それぞれ2期連続して経常損失を計上しないこと。

 

なお、2024年4月1日以前に締結された契約につきましては、「企業内容等の開示に関する内閣府令及び特定有価証券の内容等の開示に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令」附則第3条第4項により記載を省略しております。

 

6 【研究開発活動】

当社グループの研究開発活動は、お客様に十分満足していただける製品を追求し、その創造と拡大にチャレンジすることを基本に、既存事業における技術開発及びそれを支える基盤技術開発、ならびに業容を拡大するための新商品開発を積極的に行っております。

開発センターと各事業部とのコラボレーションにより、パワーエレクトロニクス製品、スマートグリッド対応機器、ADAS(Advanced Driver-Assistance Systems,先進運転支援システム)の適用に向けた技術、センサ技術を応用した監視システム、高度化する通信技術を駆使した情報機器で、新事業探索・立案、新製品開発に邁進してまいりました。

なお、研究開発費は、総額で1,064百万円であり、その内訳は、交通事業部371百万円、産業事業部226百万円、ICTソリューション事業部15百万円、その他(共通)451百万円であります。

 

当連結会計年度の主な開発成果は、以下のとおりです。 

 (1)交通事業部門

  ①低床路面電車用VVVF装置とSIV装置

低床車両用のVVVF装置とSIV装置は屋根上に搭載されるため、小型軽量化が追求されます。半導体素子の冷却を強制風玲方式として、風路の解析結果から機器配置を最適化することで装置の小型化を実現しました。また、SIV装置は高周波絶縁型DC/DCコンバータ方式を採用し、変圧器に印加する周波数を高くすることで変圧器およびSIV装置の小型軽量化を図り、限られたスペースに効率良く設置することが可能になりました。

 

 (2)産業事業部門

  ①インタイヤハウスダイナモ(ITHD)のラインナップの拡充

開発センターと連携して自動車のタイヤハウス部でハブに直結する中容量ITHDを開発し製品化しております。新たにバッテリーEVを含む大型車両向けにサイズとトルクをアップさせた大容量ITHDの開発が完了しました。この大容量化により、大型車両向けシャーシダイナモの代用が可能となりました。

さらに、軽自動車からコンパクトカーに対応できる小容量ITHDの開発にも着手しました。今後も、ITHDのラインナップの拡充を図ってまいります。

 

 ②次期標準永久磁石同期電動機の開発

当社の標準永久磁石同期電動機シリーズの後継機種として、分割式ファンカバー等を標準採用することでメンテナンス性を向上させたシリーズと、磁界解析技術や新しい部材の採用と製造方法の改善等により、現行よりも高効率なシリーズを開発しました。今後もお客様のご要望に沿った商品をスピーディーに開発するとともに、さらなる高効率化を目指した研究を推進することで、サステナブルな社会の実現に貢献してまいります。

 

 (3)ICTソリューション事業部門

  ①駅務機器のQRコード決済対応

   開発センターと連携し、車掌が列車内で使用する車内補充券発行アプリケーションにQRコード決済機能を搭載いたしました。これにより車内補充券購入時に従来の現金に加えQRコード決済が利用可能となります。今後も、時代のニーズに応じた新たな決済手段の追加による利便性・サービスの向上を提供してまいります。

 

  ②人物動作検知システムの開発

開発センターと連携し、AI画像認識技術を用いて自動改札機を不正に通過する人物を検知するシステムの開発を進めています。乗り越えなど複数の不正通過動作AIモデルを開発し、検知精度向上を進めています。

 

 (4)開発センター

 ①オンデマンドモータ

当社の基盤技術であるパワーエレクトロニクスとモータ技術・生産技術ならびに電磁界・構造・流体等の解析技術を活かし、お客様のご要望に合わせた(オンデマンド)最適なモータ・インバータを短期間でご提供できる技術構築を進めています。具体的には、電動化のエンジン代替としての扁平大トルクモータや小型高回転モータを始め、今後のキー技術となる、機電一体型やインバータ一体型のモータ等、オンデマンドな商品開発を推進しました。