文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営の基本方針
当社グループは、利益を伴った成長により財務体質の強化と株主への安定配当を同時に達成し、成長し続けるシンフォニアグループを実現することを基本方針としております。株主、顧客、取引先、従業員及び、社会全てのステークホルダーに満足いただくために、経済環境が変化しても安定収益を確保して成長し続けることで、更なる企業価値の向上に努めてまいります。
(2)中長期的な経営戦略
当社グループは、「社会・顧客・自らに響く挑戦と成長企業への変革」を長期的な目標として、その実現のために製品構成を変え、ポートフォリオの変革を図ってまいります。
半導体関連分野を成長ドライバーとし、自動化、脱炭素/電動化の領域拡大、物流・医療の新製品開発を進めてまいります。
この長期目標を実現するためのマイルストーンとして、2025年度を初年度とする3ヵ年のグループ中期経営計画を策定し、取組を進めております。
〔中期経営計画の概要〕
2030年の姿としての長期目標「社会・顧客・自らに響く挑戦と成長企業への変革」に向け、技術オリエンテッド(技術開発力・技術対応力で顧客満足度向上)により事業領域を拡げ、事業規模を大きく拡大させる中期経営計画とします。
Ⅰ.計画の名称 『SINFONIA NEXT DREAM』
Ⅱ.中期経営計画基本方針
シンフォニアテクノロジーのビジネスモデルの基本となる「技術オリエンテッド」(技術開発力・対応力でお客様満足度を高める)による事業拡大を進めます。
持続的な需要が見込まれる半導体関連市場での領域拡大および防衛力整備計画に伴う航空宇宙事業のキャパシティ拡充を事業拡大の牽引役とし、コア技術である「モーター/モータードライブ・パワーエレクトロニクス」技術の強化を進めることで製品構成・事業ポートフォリオの変革を進めてまいります。
① 半導体関連分野・航空宇宙分野への注力
世の中のあらゆる電化製品に欠かせない半導体市場は今後も更なる進化・拡大が予測されており、当社の強みである精密搬送技術を活かし、クリーン搬送システム・モーション機器セグメントの事業領域を広げます。
防衛力強化・宇宙産業の成長促進が追い風となっている航空宇宙事業では、キャパシティを倍増するとともに、技術の対応領域を広げることで事業規模を引き上げます。
② 技術開発力/対応力強化による事業領域拡大
当社ビジネスモデルの基本となる技術開発力/対応力で顧客満足度向上(=技術オリエンテッド)の更なる強化を目指し、技術者の大幅増強、教育プログラムの拡充、M&Aを含む外部との協業を進め、開発のスピードアップ・対応領域の拡大を図ります。
③ 事業拡大のための積極的な投資と業務効率化
当社の事業規模拡大と社会課題となっている人手不足に対応したものづくり体制として、大幅なキャパシティ増強および自動化・デジタル化投資を進めます。また、技術開発体制の強化に向けては技術開発センターの設立等を行い、サステナブルな企業成長の礎を構築してまいります。
④ 組織・文化の改革(長期目標として前中期から継続)
会社及び個人の成長に向けてチャレンジできる人・チャレンジする人を支える企業への変革を実現するため、中長期な成長を視野に、人財確保・人財教育・評価制度の充実等の人的投資、事業環境に柔軟に対応できる組織改革を行ってまいります。
Ⅲ.中期経営計画目標
①数値目標
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2024年度実績 |
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2027年度目標 |
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売 上 高 |
1,192億円 |
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1,600億円 |
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営 業 利 益 率 |
13.2% |
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14% |
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R O E |
15.7% |
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15% |
②株主還元に関する基本方針
安定的な配当を行うことを前提に配当性向30%を目安に配当金額を決定してまいります。
③キャッシュアロケーション(FY25~FY27 3ヵ年累計)
2025年度から2027年度において、営業キャッシュフロー及び資産の圧縮・有効活用(政策保有株の縮減含)による620億円を原資とし、2030年に向けての拡大投資320億円、事業運営の効率化と安定化確保に向けての更新・自動化投資等180億円を実施してまいります。また、株主還元額は120億円を想定しております。
(3)経営環境および優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
2025年度の当社グループを取り巻く経営環境は、米国における関税政策の動向やこれに伴う地政学的リスクの高まりにより、先行きは不透明な状況です。一方で、半導体市況においては生産プロセスの変化による新たな需要が見込まれ、航空宇宙分野も需要が増加していることから、当社グループにおきましてもさらなる事業拡大の好機にあると期待しております。
このような経営環境の下、当社グループは、長期目標である「社会・顧客・自らに響く挑戦と成長企業への変革」の実現に向けて、2025年度を初年度とする3ヵ年の新中期経営計画「SINFONIA NEXT DREAM」を策定し、取組を開始いたしました。技術オリエンテッド(技術開発力と技術対応力の強化)による事業拡大を最重要テーマとして、成長ドライバーである半導体関連分野及び航空宇宙分野への技術リソースの集中、モータ技術の向上を目指す社内プロジェクトをはじめとする技術者の育成活動、さらに東海地区における技術開発拠点新設の検討などによる顧客への技術提案力の強化に取り組み、新中期経営計画の達成を目指してまいります。
生産面においては、自動化・DX(デジタルトランスフォーメーション)化への積極的な投資を行い、引き続き生産性の向上に取り組んでまいります。2025年2月には経済産業省「DX認定事業者」の認定を取得しており、全社横断的なプロジェクトとして、DX化を推進してまいります。
半導体分野においては、当社が得意とする前工程における受注拡大とともに、新たな需要が期待される後工程の自動化を見据えた活動を進め、半導体製造装置用のロボット及びアクチュエータ等の商品化・受注獲得に注力することで、事業拡大に取り組んでまいります。航空宇宙分野においては、防衛関連製品の需要増加に対応するため生産キャパシティの増強に取り組み、新領域の技術開発にも注力してまいります。
今後さらに成長し続ける企業グループとして、株主の皆様、顧客の皆様から評価していただけるよう、引き続きグループの総力を結集し、努力を重ねてまいる所存でございます。
セグメント別の状況は以下のとおりです。
[クリーン搬送システム事業]
半導体関連の設備投資の需要回復時期は2024年度後半と予想しております。今後の取組としては、需要回復の動きを迅速かつ的確に把握することに努め、速やかに生産を立ち上げられるように準備を進めてまいります。また、EFEMやソーターなどのシステム商品の拡販、後工程向け商品などの開発に取り組んでまいります。
[モーション機器事業]
防衛力整備計画に基づく防衛分野の需要継続と予想しております。今後の取組としては、半導体、医療、ロボットといった成長市場に向けた新商品開発に取り組むとともに、防衛分野の需要増加に対応した生産キャパシティ拡大など事業拡大に向けて取り組んでまいります。
[パワーエレクトロニクス機器事業]
社会インフラ、振動機器での堅調な更新需要を予想しております。今後の取組としては、水素・アンモニア領域をターゲットにした電動力機器開発を進め、エネルギーや脱炭素の領域の拡大に努めてまいります。
[エンジニアリング&サービス事業]
客先の半導体製造工場における搬送設備工事、電気工事の堅調な需要を予想しております。エンジニアの増強やアフターサービス体制の充実に取り組み、当社グループ全体の顧客満足度向上に努めてまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
■サステナビリティ全般に関する取組
1.基本方針
当社グループは、企業理念における、「一歩先を行く技術」「地球を大切にする心」「思いやりのある行動」に則り、技術開発による地球環境への貢献と働く人々のやりがいが持てる風土作りを通じて、事業の成長と社会への貢献を目指して、持続的な企業価値の向上に努めることを方針としております。企業価値を高めるうえで、重要な課題を「気候変動への対応」「人的資本の充実」と定め、温室効果ガスの削減、脱炭素製品の開発、多様な人材の確保、働き方改革などに取り組んでおります。
2.ガバナンス
サステナビリティへの取り組みについては、サステナビリティ委員会にて、ガバナンス体制の構築に努めてまいります。サステナビリティ委員会の委員長は当社社長が務めており、サステナビリティ関連の重要課題に対する基本方針を決定し、達成のための行動計画を策定します。重要課題については、本委員会で取り組みを推進、実施状況を管理し、決定した方針や進捗状況は、経営会議および取締役会に報告を行い、レビューを受ける仕組みとしております。
3.リスク管理
当社ではサステナビリティ委員会にて、重要課題に対してリスクと機会に関する情報を収集し、委員会内で共有しております。また、リスク低減に向けた取り組みや、リスク顕在化時の情報共有、及び適切な対応の実施等を行っております。
■「気候変動への対応」に関する取組
1.基本方針
当社は、従来からECOing活動として、環境に配慮した商品開発やエネルギー使用量、廃棄物の削減及び環境保全における地域社会への貢献等に取り組んでおります。 気候変動の対応についても、今後、TCFD※ 提言に沿って順次開示を進めてまいります。
※TCFD: Task Force on Climate-related Financial Disclosures(気候関連財務情報開示タスクフォース)の略
金融システムの安定化を図る国際的組織である金融安定理事会(FSB: Financial Stability Board)によって2015年12月に設立された組織。2017年6月に「気候関連のリスクと機会について情報開示を行う企業を支援すること」と「低炭素社会へのスムーズな移行によって金融市場の安定化を図ること」を目的とした提言を公表した。
2.戦略
当社は、気候変動が将来の事業に与えるリスク・機会とその財務インパクトを把握するためにシナリオ分析を実施し、その結果をもとに事業活動のレジリエンスを強化するための施策を検討しています。シナリオ分析にあたり、国際機関などが公表する4℃シナリオ(産業革命期頃の世界平均気温と比較して2100年頃までに4℃上昇するとする世界)と2℃(1.5℃)未満シナリオ(カーボンニュートラルへの取り組みにより1.5℃~2℃程度に気温上昇が抑制される世界)の2つのシナリオを設定し、それぞれのシナリオにおける2030年時点での当社事業への影響について考察しました。
シナリオと当社事業へのリスク・機会の評価
① 4℃シナリオ:異常気象の激甚化などの気候変動による物理的な影響が発生することが予想されます。リスクとして、事業所やサプライチェーンが被災することにより、施設の修繕コストや調達コストが増加することが想定されます。機会として、平均気温の上昇により空調の使用が増加するため、冷凍機関連製品の売上が増加すると予想されます。
② 2℃(1.5℃)未満シナリオ:炭素税の導入や再エネと省エネに関する政策や技術の進展など、脱炭素社会への移行に伴う影響が起きることが予想されます。リスクとして、排出量削減の規制強化を受けて、設備什器の高効率機への更新が迫られた場合の支出増加が想定されます。機会として、温室効果ガス排出規制により温室効果ガスを排出しない製品の需要が拡大するため、アンモニア・水素関連製品の売上が増加することや電動化が進むことにより半導体関連製品・電源供給関連製品の需要が増加すると予想されます。
〈気候関連問題が当社事業に与える影響〉
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気候関連問題による影響 (リスク・機会) |
想定される事象 |
2030年時点の 当社事業への影響 |
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4℃ シナリオ |
2℃未満 シナリオ |
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脱 炭 素 経 済 へ の 移 行 に 伴 う 影 響 |
リ ス ク |
炭素税・排出権取引の導入 |
・事業コストの増加 |
- |
大 |
|
GHG排出規制への対応 |
・設備什器の高効率機への更新に伴う費用の増加 ・GHGを排出する製品の需要減少に伴い産業車輛関係製品 の売上が減少 |
小 |
大 |
||
|
リサイクル規制 |
・リサイクル可能製品の開発・製造が必要になりコスト が増加 |
小 |
中 |
||
|
再エネ政策 |
・再エネ価格による事業コスト増加 |
小 |
大 |
||
|
原材料コストの変化 |
・プラスチック価格、金属類価格の高騰による仕入れコ ストの増加 |
小 |
中 |
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|
顧客の評判変化 |
・環境対応できなかった場合取引中止や他社にシェアを 奪われ売上が減少 |
小 |
大 |
||
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機 会 |
GHG排出規制への対応 |
・GHGを排出しない製品の需要が増加 |
中 |
大 |
|
|
リサイクル規制 |
・金属リサイクルニーズの拡大に伴いスクラップリサイ クルに利用される製品の売上が増加 |
中 |
大 |
||
|
再エネ政策 |
・再エネ設備の需要増加に伴いエネルギーマネジメント 関連製品の売上が増加 |
中 |
大 |
||
|
低炭素技術の進展 |
・各所で電動化や自動運転が普及することによって、半 導体や電子部品の需要が拡大することに伴い、半導体 設備関連や制御コントローラの売上が増加 ・クリーンエネルギーに関連する新エネルギー向け製品 の売上が増加 |
中 |
大 |
||
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気 候 変 動 に よ る 物 理 的 な 影 響 |
リ ス ク |
異常気象の激甚化 |
・操業停止や物流機能の停止、対応コストが増加 ・調達資材の納期遅延や調達(運搬)コストが増加 |
大 |
中 |
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平均気温の上昇 |
・空調使用の増加によりエネルギーコスト増加 |
中 |
小 |
||
|
労働・施工条件悪化 |
・熱中症リスクの増加により熱中症対策コストが発生 |
中 |
小 |
||
|
機 会 |
平均気温の上昇 |
・空調の使用の増加に伴い冷凍機関連製品の売上が増加 |
大 |
中 |
|
|
〈リスク・機会への対応〉 今後はシナリオ分析の結果を受けて、当社にとって影響が大きい項目について対応策を検討、実行してまいります。特に脱炭素戦略では、設定した目標を達成するための方策を全社的に検討していきます。リスクに対しては、生産活動における省エネや高効率空調などの環境配慮型設備の導入、太陽光発電などの再生エネルギーの導入等を推進します。機会に対しては、脱炭素に貢献する商品の開発を行います。 |
3.指標と目標
当社は、気候変動が及ぼす当社事業への影響を評価・管理するために、温室効果ガス排出量(Scope1,2)を指標として、2030年度までに30%削減(2018年度比)することを目標に設定しました。
詳細につきましては、当社ウェブサイトのサステナビリティ関連情報をご参照ください。
(https://www.sinfo-t.jp/ir/management-policy/sustainability/environment/)
なお、すべての会社で指標のデータ管理が行われていないため、連結グループにおける記載が困難であります。このため、指標に関する目標及び実績は、当社を対象に記載しております。
■「人的資本の充実」に関する取組
1.基本方針
当社は企業理念に則り、技術開発による地球環境への寄与と、働く人がやりがいを持てる風土づくりを通じて、持続的な事業の成長と社会への貢献を目指しております。この実現のため、多様な人材を確保し、育成していくとともに、社員が積極的にチャレンジできる組織・風土への改革や働き方改革に取り組むことより、イノベーションが起きる企業体質に変革していきます。
2.戦略
(1)女性活躍推進
当社は全社員に占める女性比率向上について、中長期的目標を設定し取り組んでおります。
当社の全社員に占める女性比率は現状で約12%、管理職に占める女性比率は約2%となっています。このような状況から、当面の課題として、まずは毎年の新卒採用において女性採用比率15%以上を目標に取り組むことにより、女性社員比率15%に引き上げることを目指していきます。将来的には女性社員比率を段階的に引き上げ、20%以上を目指していきたいと考えております。
また、キャリアパスや自分自身の将来のありたい姿をイメージし、キャリアアップを目指す人材を育成していくための女性社員向け研修や管理職向け研修を定期的に実施していくことにより、意識改革と組織風土の醸成を図っていきます。
(2)人財育成への取組
当社は、全社を挙げて「人を育てる土壌づくり」を目指して人材育成に取り組んでいます。具体的には、全社員を対象に、個のスキルアップとマネジメント力強化、自己成長と目標達成へのマインドの醸成を目的とし、全社教育研修(各職種別、階層別の集合研修)とOJT(職場実務を通じて行う教育訓練)との両輪で取り組んでいます。全社教育研修では、自主性と実効性に重きを置いた各職種別専門スキル研修、マネジメント研修や将来の経営幹部を育成する経営塾について、外部研修も活用しながら実施しています。また、今後は技術交流等による技術力の向上、提案営業力の向上、多能工化などに取り組み、個の力の底上げを図っていきます。
(3)組織・風土改革
当社は2030年のありたい姿として、「当たり前に仕事をやり、自然と業績の上がる安定した希望のある会社」を目指すこととしており、その実現のためには社員が積極的にチャレンジできる組織・風土への改革が必要です。チャレンジ意欲の高い人材の配置替えや社内人材公募制度の積極的な活用、チャレンジを評価する仕組みづくり、職種、成果・業績を重視した賃金制度といった人事制度改革を通じて、組織の活性化や風土改革に取り組みます。
(4)社内環境整備
当社は、在宅勤務制度の導入やコアレスフレックスタイム制の適用など、柔軟な働き方の実現に向けた取り組みを推進しています。また、年次有給休暇の取得促進、一斉退社時間の設定や勤務間インターバルによる長時間労働の削減、育児や介護と仕事の両立支援策など、社員のワーク・ライフ・バランスに取り組んでいます。年次有給休暇の取得促進については取得目標日数を設定した取り組みを行っております。
3.指標と目標
(1)女性活躍推進
将来的には女性社員比率を段階的に引き上げ、20%以上を目指していきます。2025年3月末時点の女性社員比率は12.2%となっております。また、「2.戦略」にて当面の課題として挙げた新卒女性採用比率の2024年度実績は20.2%となっております。
(2)人財育成への取組
今後は技術交流等による技術力向上、提案営業力の向上、多能工化などの取り組み、個の力の底上げを図っていきます。
(3)組織・風土改革
当社は2030年のありたい姿として、「当たり前に仕事をやり、自然と業績の上がる安定した希望のある会社」を目指しております。
(4)社内環境整備
2024年度は有給休暇の取得目標日数16日に対して平均取得日数実績は16.1日となっております。2025年度の取得目標日数も16日に設定しております。今後も、サステナビリティ委員会で立案された方針・目標に沿って、働き方改革労使推進委員会等で有効性のある施策を検討・実行してまいります。
なお、すべての会社で指標のデータ管理が行われていないため、連結グループにおける記載が困難であります。このため、指標に関する目標及び実績は、当社を対象に記載しております。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
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リスク分類 |
リスク項目 |
リスクの説明 |
リスク対策 |
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①事業活動 |
公共・社会インフラ及び防衛関連の需要の影響 |
当社グループは、事業構造として公共・社会インフラ及び防衛関連の構成比率が高い水準であるため、官公庁需要の減少や、参入企業の増加により価格競争が激化する場合は、受注・売上の減少や採算性が低下する可能性があります。 |
・当社グループは、官公庁に加えて民間企業への幅広い業種への事業展開により、景気変動の影響を最小にする事業構造となるべく経営資源の配分を行っております。 ・官公庁需要については、新しい分野への事業拡大に努めており、民間需要においては、既存の成熟事業領域での生産性向上による収益力強化と国内外の成長事業領域への経営資源の重点配分にも取り組んでおります。 |
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経済状況の影響 |
当社グループが製造、販売する製品は、国内外の幅広い分野に採用されていることから、各国の経済状況や輸出規制、関税政策等の影響を受けております。従って、国内、アジア、北米及びその他の地域の景気後退と需要減少が起こった場合は、受注・売上の減少や採算性が低下する可能性があります。 |
・当社グループは、国内及び主に中国、ASEAN、米国における幅広い顧客へ製品を供給しておりますが、各地域において景気後退による大幅な需要減少が発生した場合は、国内外の生産品目の見直しや、国内事業所においては、需要変動に柔軟に対応すべく、生産負荷の変動に応じた柔軟な要員配置や生産ラインの効率化等により、当社グループ全体の生産量変動に対応できる生産体制の構築を進めています。 |
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顧客のニーズの影響 |
当社グループは、半導体産業、自動車産業、精密機械産業、電子部品産業等の技術革新が早く、かつ需要動向に対応して生産計画の変更を行う顧客と取引を行っております。従って、当社が顧客の要求する新たな技術・製品を提供できなかったり、顧客の生産計画が大幅に変動した場合、受注・売上の減少や採算性が低下する可能性があります。 |
・企業理念で掲げている「一歩先を行く技術」を実現すべく、自社での研究開発だけでなく、大学や研究機関、グループ外企業とも連携しながら、技術力の強化を進めております。 ・当社グループでは、既存製品の改良に加え、新市場・新分野での新たな事業創出のため、専任組織の設置によるマーケティング活動の強化に加えて大学との共同研究による連携強化やM&A機会の探索を継続するなど、今後とも環境変化への対応遅れや競争上の不利な状況を回避すべく施策展開を継続してまいります。 |
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競合による影響 |
当社グループが製造、販売する製品の大半が他社と競合しております。当社グループを取り巻く事業環境は一層厳しくなっており、他社との価格競争や顧客からの価格引下げ要求も厳しくなってきていることから、当社グループ製品の販売価格の下落や販売量の減少が生じる可能性があります。 |
・当社グループは官需及び民需に幅広く事業を展開しておりますが、参入障壁の低い分野については、競合他社との競争により影響を受ける恐れがあることから、既存分野では、競争優位性を確保するための製品開発や、価格低減に対応するためのコストダウンに向けた取組を継続しております。 ・販売価格の下落や販売量の減少が著しい場合は、生産体制の見直しによる最適なコスト見直しと販売面においては好採算製品の販売促進や、既存製品への新機能追加、複数の機能を組み合わせることによるシステム化への取組を強化して、製品の付加価値向上に向けた施策に速やかに取り組みます。 |
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リスク分類 |
リスク項目 |
リスクの説明 |
リスク対策 |
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①事業活動 |
原材料価格の上昇 |
当社製品の原材料費、購入部品費、製品の輸送に関する運送費は常に変動していますが、その上昇幅が大きい場合、採算性が低下する可能性があります。 |
・当社グループは、取引先定期審査や取り扱う製品のサービス・商品の品質管理に努めておりますが、部品などに関しては複数社から調達を行うことや、品質の維持・改善やコスト低減活動などに調達先と協同で取り組むことなどによる安定的な調達活動を展開しております。 ・原材料価格等の急激な上昇に見舞われた場合には、代替品に変更すべくお客様への協力依頼、海外グループ企業との連携による新規調達先の探索や生産コストの更なる低減に努めております。 ・上記の企業努力により、原材料価格等の上昇を吸収することが困難な場合は、販売価格の見直しも行うこととしております。 |
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製品の品質に関わるリスク |
リコールや製造物責任に関わる製品の不具合等が発生した場合には、多額のコストの発生、顧客の信頼喪失により、受注・売上の減少や採算性が低下する可能性があります。 |
・当社グループは、製品開発及び生産段階において専任の組織による品質確認や、適正な検査作業工程維持のための生産ラインの管理・改善の取組等の品質管理対応を強化しております。 ・製品品質に関わる問題発生時は、専任組織による原因の特定、対応策の立案を速やかに行い、顧客の信頼回復と多額のコスト発生抑制に努めております。また、不具合が発生した場合には、迅速な原因究明と生産工程の作業基準や検査基準等の見直しを行っております。 |
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海外生産に関わるリスク |
当社グループは、今後も激化が予想される他社との競争に勝つため、海外での生産の拡充を進めております。従って、当社の生産拠点がある国や地域で、政治的混乱や経済変動、法規制等の変化により海外での生産に支障をきたした場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。 |
・当社グループは、海外法人を管理、統括する専任組織を設置し、進出先の海外拠点において、現地での情報収集に継続して取り組んでおります。リスクの顕在化が予見される場合は、当該部門が中心となって速やかに各事業部門との対応策を検討し、日本国内の生産拠点や他の地域への代替生産を検討、実施いたします。 |
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②事業再編 |
事業再編等に関わるリスク |
当社グループは、事業拡大のため、企業買収、資本参加等を実施することがありますが、対象会社と当社グループ事業との統合効果や効率的な経営が進まない場合は、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。 |
・企業買収、資本参加等の統合効果を最大化するため、収益性や成長性の観点から事業戦略を検討するとともに、投資規模を慎重に評価した上で、経営会議や取締役会での十分な議論を経て取り組むこととしております。 ・当該グループ企業の状況は、定期的なモニタリングを行うとともに、各社の重要な意思決定については、経営会議や取締役会での十分な議論を経て取り組むこととしております。 |
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リスク分類 |
リスク項目 |
リスクの説明 |
リスク対策 |
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③財務・会計 |
保有資産に関するリスク |
当社グループが保有する投資有価証券、土地、建物設備等の固定資産につき、時価の下落や収益性の低下により投資額の回収が見込めなくなった場合、減損損失が発生し、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。 |
・保有する投資有価証券について、当社グループの中長期的な企業価値向上に資するかどうかを経営会議及び取締役会で毎年検証し、個別の銘柄毎に保有の見直しを行っております。 ・当社グループの各事業において、受注拡大や収益性確保に向けた取組を進めることで投資価値の向上に努めております。 |
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金利変動のリスク |
今後大幅な金利上昇が発生した場合、支払利息の負担の増加により、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。 |
・事業活動におけるフリーキャッシュ・フロー創出を重要指標とし、顧客との取引条件見直しや設備投資及び在庫管理の適切なコントロールを行い、運転資金の適正化に努め、金利変動のリスクを最小限に留めてまいります。 ・資金調達に関しては、調達手段の多様化等を進めるとともに、将来の金利上昇リスクをヘッジするため長期借入金を固定金利で借り入れるなどの低利かつ安定的な資金の確保に努めております。 |
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退職給付債務の変動リスク |
退職給付債務につきましては、数理計算に使用される割引率や年金資産の運用利回り等の前提条件に基づいて算定しております。実際の結果が前提条件と異なった場合や前提条件が変更された場合、その影響は将来にわたって認識され、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。 |
・当社は、計算基礎となる前提条件に重要な変動が生じていないかを定期的に確認しております。また、年金資産の運用にあたっては、経営会議において運用方針及び政策的資産構成割合を決定し、専門知識を有する財務や総務人事部門の責任者等で構成される退職年金運営委員会において、四半期毎にベンチマーク等との比較により運用成績を評価、確認しております。 |
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④コンプライアンス |
コンプライアンスに関わるリスク |
当社グループが事業を行ううえで、国内外の法令や規制等に違反した場合や、役員・従業員がハラスメント等のコンプライアンス上の問題を発生させた場合には、社会的信用の失墜や事業活動が制限される等により、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。 |
・当社グループは企業理念及びその行動指針であるSINFONIA-WAYを定め、かつ「企業倫理規範」「企業行動基準」を制定し、法令等の遵守と高い倫理観の醸成を命題として、コンプライアンス体制の整備に取り組み、グループ内の意識強化と問題の未然防止に努めております。 |
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⑤知的財産 |
知的財産に関するリスク |
当社グループでは、知的財産権の重要性を認識し、その保護や他社の有する知的財産に注意を払っております。しかし、当社グループの保護が十分でなかったり、違法に侵害された場合、及び、他方他社の有する知的財産権を侵害したと認定され、高額な損害賠償等の責任の負担が生じた場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。 |
・知的財産の管理にあたっては、専門部署の下で、戦略的な権利化や権利調査による状況把握を実施しており、新技術開発においては、開発部門との十分な協議の上、開発着手前での類似特許調査の実施や、類似技術の監視を行い、リスク顕在化の抑制に努めております。 |
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リスク分類 |
リスク項目 |
リスクの説明 |
リスク対策 |
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⑥情報セキュリティ |
情報漏洩に関わるリスク |
当社グループは事業を行ううえで、顧客や取引先に関する情報及び研究開発等の企業秘密、あるいは個人情報等の重要な情報を有していますが、これらの重要な情報が漏洩した場合、社会的信用の失墜や損害賠償責任を負う等により、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。 |
・当社グループは様々な脅威から企業機密等の情報資産を保護し、事業活動を行う社会的責任があることを認識しております。当社グループは情報資産を安全に管理し適切に利用するため、情報セキュリティ委員会を中心に全社的な管理体制を整備し、情報セキュリティ対策を実施しております。なお、情報セキュリティ対策の有効性を保つため、継続的に教育や監査及び評価を行い、情報セキュリティレベルの維持・向上を図っております。 |
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⑦災害 |
災害等のリスク |
当社グループの国内生産拠点は、東海地震等の将来発生が予測される東海地区に集中しております。従って、予想を超える大規模な災害が発生した場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。 また、流行性の疾病により、大規模な従業員の罹患や行動自粛要請等が発生することで、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。 |
・当社グループでは、地震や火災及び風水害等に備えて建屋の点検や補強等により損害を最小限にするための整備を行っております。また、事業継続計画(BCP)の策定と継続的な見直し・改善を実施しており、安否確認訓練や避難訓練などを計画的に実施しています。 ・流行性疾病については、基本的な公衆衛生行動の周知に加え、在宅勤務環境の整備や事業所での作業エリアの見直し等により、万が一感染者が発生した場合の影響を最小限に留めるように努めてまいります。 |
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
a 経営成績
当連結会計年度における当社グループを取り巻く経営環境は、防衛力整備計画の大幅な拡充による航空宇宙関連機器の需要活況、AI関連投資による半導体製造装置需要の緩やかな回復、半導体製造工場建設に伴う設備工事需要の増加等により堅調に推移いたしました。
このような景況の下で、当社グループの当連結会計年度の経営成績は、受注高は1,435億77百万円(前連結会計年度比32.0%増)、売上高につきましては1,191億50百万円(同16.1%増)となりました。損益面につきましては、営業利益は157億34百万円(同57.2%増)、経常利益は159億41百万円(同51.4%増)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は120億97百万円(同61.2%増)となりました。
セグメント別の状況は次のとおりであります。
[クリーン搬送システム事業]
半導体製造装置の需要が徐々に戻りつつあることから、受注高は260億96百万円(前連結会計年度比32.1%増)となりました。
売上高は251億43百万円(同15.3%増)となり、損益面につきましては、売上高の増加により営業利益は40億24百万円(同21.5%増)となりました。
[モーション機器事業]
防衛省向け電装品等の増加により航空宇宙関連機器が増加したことから、受注高は664億75百万円(前連結会計年度比55.2%増)となりました。
売上高は433億30百万円(同16.9%増)となり、損益面につきましては、売上高の増加及び利益率の改善により営業利益は48億47百万円(同50.3%増)となりました。
[パワーエレクトロニクス機器事業]
上下水道施設向けの電気設備が増加したことから、受注高は268億77百万円(前連結会計年度比10.8%増)となりました。
売上高は高水準の期初受注残高を背景に、262億73百万円(同13.1%増)となりました。損益面につきましては、売上高の増加及び利益率の改善により営業利益は34億4百万円(同115.5%増)となりました。
[エンジニアリング&サービス事業]
台湾を中心として半導体製造工場向け搬送設備工事等が増加したことから、受注高は241億26百万円(前連結会計年度比10.1%増)となりました。
売上高は半導体製造工場向け搬送設備工事や、官需向け電気設備工事の増加により244億3百万円(同18.8%増)となりました。損益面につきましては、売上高の増加及び利益率の改善により営業利益は34億7百万円(同73.7%増)となりました。
b 財政状態
当連結会計年度末における総資産は1,364億67百万円となり、前連結会計年度末より5億95百万円減少いたしました。これは、主として投資有価証券が45億20百万円、退職給付に係る資産が18億20百万円それぞれ減少したこと、受取手形、売掛金及び契約資産が32億77百万円、有形固定資産が11億50百万円、現金及び預金が6億48百万円、棚卸資産が6億15百万円それぞれ増加したこと等によるものであります。
当連結会計年度末における負債は563億37百万円となり、前連結会計年度末より62億74百万円減少いたしました。これは、主として借入金が68億46百万円、繰延税金負債が19億35百万円、支払手形及び買掛金が18億51百万円それぞれ減少したこと、未払法人税等が21億48百万円、未払費用が12億52百万円それぞれ増加したこと等によるものであります。
当連結会計年度末における純資産は801億29百万円となり、前連結会計年度末より56億78百万円増加いたしました。これは、親会社株主に帰属する当期純利益の計上等により利益剰余金が101億11百万円増加したこと、その他有価証券評価差額金が30億59百万円、退職給付に係る調整累計額が18億62百万円それぞれ減少したこと等によるものであります。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ6億48百万円増加し、当連結会計年度末には102億21百万円となりました。
各活動別のキャッシュ・フローの状況とその要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動による資金の増加額は、113億73百万円となりました。これは、売上債権の増加29億33百万円、仕入債務の減少20億54百万円等がありましたが、税金等調整前当期純利益167億89百万円の計上等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動による資金の減少額は、19億15百万円となりました。これは、有形固定資産の取得による支出29億75百万円、投資有価証券の売却による収入13億74百万円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動による資金の減少額は、89億64百万円となりました。これは、短期借入金及び長期借入金の純減少(調達から返済を差し引いた金額)69億65百万円、配当金の支払19億76百万円等によるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
生産高(百万円) |
前年同期比(%) |
|
クリーン搬送システム |
26,061 |
23.5 |
|
モーション機器 |
47,305 |
21.3 |
|
パワーエレクトロニクス機器 |
27,933 |
12.0 |
|
エンジニアリング&サービス |
24,847 |
21.2 |
|
合計 |
126,147 |
19.5 |
(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 金額は、販売価格によっております。
b.受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
受注高(百万円) |
前年同期比(%) |
受注残高(百万円) |
前年同期比(%) |
|
クリーン搬送システム |
26,096 |
32.1 |
6,835 |
16.2 |
|
モーション機器 |
66,475 |
55.2 |
64,137 |
56.5 |
|
パワーエレクトロニクス機器 |
26,877 |
10.8 |
32,333 |
1.9 |
|
エンジニアリング&サービス |
24,126 |
10.1 |
11,183 |
△2.4 |
|
合計 |
143,577 |
32.0 |
114,489 |
27.1 |
(注)セグメント間取引については、相殺消去しております。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
販売高(百万円) |
前年同期比(%) |
|
クリーン搬送システム |
25,143 |
15.3 |
|
モーション機器 |
43,330 |
16.9 |
|
パワーエレクトロニクス機器 |
26,273 |
13.1 |
|
エンジニアリング&サービス |
24,403 |
18.8 |
|
合計 |
119,150 |
16.1 |
(注)セグメント間取引については、相殺消去しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。連結財務諸表を作成するに当たり、必要な見積りを行っており、それらは資産、負債、収益及び費用の計上金額に影響を与えております。これらの見積りは、その性質上判断及び入手し得る情報に基づいて行うので、実際の結果がそれらの見積りと相違する場合があります。
当社は、連結財務諸表を作成するに当たり、製品保証引当金の計上、受注損失引当金の計上、繰延税金資産の回収可能性及び退職給付債務等の計算の基礎に関する事項について、特に重要な見積りを行っております。
(製品保証引当金)
当社グループは、販売済の製品等に係る無償補修費用に備えるため、当連結会計年度末において将来の発生が見込まれ、かつ、当該発生額を合理的に見積もることが可能なものについて、翌連結会計年度以降の損失見込額を製品保証引当金として計上しております。当連結会見度末に用いた見積りの条件や仮定に変化が生じた場合、製品保証引当金に影響を与える可能性があります。
(受注損失引当金)
当社グループは、受注契約に係る将来の損失に備えるため、当連結会計年度末において将来の損失が見込まれ、かつ、当該損失額を合理的に見積もることが可能なものについて、翌連結会計年度以降の損失見込額を受注損失引当金として計上しております。当連結会計年度末に用いた見積りの条件や仮定に変化が生じた場合、受注損失引当金に影響を与える可能性があります。
(繰延税金資産)
当社グループは、将来の課税所得を見積もり、さらに将来減算一時差異の解消時期のスケジューリングを行った結果に基づき、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性の判断に当たり、当連結会計年度末に用いた見積りの条件や仮定に変化が生じた場合、繰延税金資産に影響を与える可能性があります。
(退職給付費用及び退職給付債務)
当社グループは、従業員の退職給付に備えるため、当連結会計年度末における退職給付債務及び年金資産の見込額に基づき計上しております。退職給付費用は、割引率、期待運用収益率及び予想昇給率等の様々な仮定に基づいて算出しております。割引率及び期待運用収益率は、金利の変動を含む現在の市場動向などを考慮して決定しており、予想昇給率等の見積りは、実績及び直近の見通しを反映しております。当連結会計年度末に用いた見積りの条件や仮定に変化が生じた場合、退職給付費用及び退職給付債務に影響を与える可能性があります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の経営成績等につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況 a 経営成績」に記載のとおりであります。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、次のとおりであります。
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、材料の仕入のほか、製造原価、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。また、投資を目的とした資金需要は、設備投資、開発投資等によるものであります。
当社グループは、事業運営上必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保しております。
運転資金は、短期、長期ともに金融機関からの借入を基本としております。また、短期の資金を安定的かつ機動的に確保するため、取引銀行20行と総額150億円のコミットメントライン契約を締結しております(借入未実行残高150億円)。
当連結会計年度末におけるリース債務を含む有利子負債の残高は149億57百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は102億21百万円となっております。
経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、次のとおりであります。
当社グループは、2022年度を計画初年度とする3ヵ年のグループ中期経営計画「SINFONIA NEW STAGE 2024」を策定し、継続的な成長を実現するため、新商品の開発、新事業の育成に重点的に取り組むことで製品ポートフォリオを変革し、新たなステージでの安定した企業成長と社会のサステナブルな発展への貢献を目指してまいりました。
また、経営計画の達成・進捗状況を客観的に判断するために、収益性を示す指標として「売上高営業利益率」、「ROE」を目標として設定し、その達成に努めてまいりました。
中期経営計画「SINFONIA NEW STAGE 2024」の最終年度である2024年度の達成・進捗状況は以下のとおりです。
2024年度の当社グループでは、防衛力整備計画の大幅な拡充による航空宇宙関連機器の需要活況、AI関連投資による半導体製造装置需要の緩やかな回復、半導体製造工場建設に伴う設備工事需要の増加等により堅調に推移した結果、は計画比92億円増(8.3%増)の1,192億円、営業利益率は計画比4.2ポイント増の13.2%、ROEは計画比5.7ポイント増の15.7%となり、全ての目標を達成することができました。
|
指標 |
2024年度(目標) |
2024年度(実績) |
計画比 |
|
売上高 |
1,100億円 |
1,192億円 |
92億円増(8.3%増) |
|
営業利益率 |
9.0%以上 |
13.2% |
4.2ポイント増 |
|
ROE |
10.0%以上 |
15.7% |
5.7ポイント増 |
セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
技術提携契約
(提出会社)
当社が締結している重要な技術導入契約及び技術供与契約は次のとおりであります。
(イ)技術導入契約
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相手方の名称 |
国名 |
契約品目 |
契約内容 |
契約期間 |
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Honeywell International Inc. |
米国 |
航空機用電圧調整機、発電機等 |
特許実施権の許与及び技術情報の提供 |
自1955年10月 至2031年12月 |
|
航空機用発電機用部品 |
技術情報の提供 |
自2000年11月 無期限 |
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|
Hamilton Sundstrand Corporation, Collins Aerospace |
米国 |
航空機用プログラマブルアーマメント・コントロール・システム |
技術情報の提供 |
自1986年5月 至2026年1月 |
|
航空機用アビオニクスクーリングモニターユニット |
技術情報の提供 |
自1986年5月 至2026年1月 |
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|
Safran Electrical & Power UK Ltd. |
英国 |
航空機用発電機システム |
技術情報の提供 |
自1986年1月 至2025年9月 |
|
GOODRICH CORPORATION, Collins Aerospace |
米国 |
航空機用カーゴレスキューウインチ |
技術情報の提供 |
自1969年9月 至2030年3月 |
|
航空機用レスキューホイストシステム |
技術情報の提供 |
自1989年3月 至2030年3月 |
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|
Breeze-Eastern LLC |
米国 |
航空機用メッセンジャー・ホイスト |
技術情報の提供 |
自1989年2月 至2032年3月 |
|
GE Aviation Systems LLC |
米国 |
航空機用データ・トランスファ・イクイップメント |
技術情報の提供 |
自1997年3月 至2027年12月 |
(注) 上記契約に基づく対価は各相手会社により相違いたしますが、売上高の5%~10%であります。
当社グループの研究開発活動は、主として当社が取組む基盤技術、要素技術の研究をはじめとして各分野にわたる新製品の開発及び現有商品の改良を行っております。
当連結会計年度は、中期経営計画「SINFONIA NEW STAGE 2024」の最終年度に当たり、本計画の基本方針である「技術開発力の強化と新商品・新事業の創出」を目指し、既存のモータ、モータドライブ及びシステム制御のコア技術に関する研究開発及び、計測・制御技術との融合による新技術の開発に努めてまいりました。
また、当社グループの保有技術を積極的に活用し、コア技術を融合することで、開発のスピードアップ、開発品質の向上を図ると共に、既存技術(モータ、発電機、インバータ等のパワーエレクトロニクス及びドライブ制御技術等)、解析技術(構造解析、熱解析、流体解析、EMC)の更なる高度化、AIやIoTなどのデジタル技術の利活用等でデジタル化に取組み、半導体分野に注力するとともに次世代ビジネスの創出として新たな成長領域(物流、再生医療、脱炭素)での事業分野の拡大に努めてまいりました。
なお、当連結会計年度における研究開発費の総額は、
当連結会計年度の主な開発成果は、下記のとおりであります。
(1)クリーン搬送システム事業
クリーン搬送システム事業としては、近年のAIやデータセンタなどの需要の増加に対応した中・後工程向けウェーハ搬送装置や真空環境で動作するロボットの技術開発に取り組んでおります。特に中・後工程向けとしては、テープフレーム、角型パネルなどの幅広い搬送ニーズに対応したロードポートやEFEMの開発に取り組んでまいります。
クリーン搬送システム事業の研究開発費の金額は、
(2)モーション機器事業
モーション機器事業としては、モーションコントロール分野では、市場の拡大が期待される半導体・自動化装置向けに、ダイレクトドライブモータの商品メニュー拡張のほか、ロボット等の安全ブレーキとして無励磁作動ブレーキの薄型化・小型化の開発と、これらを使ったユニット化・システム化にも取り組んでまいります。また、建設機械など産業車両関連製品向けに、車両の操作性・安全性のほか情報通信機能の向上を目的としたコントローラの開発に取り組んでおります。
航空分野では、航空機の二酸化炭素(CO2)排出削減を目的とした電動化の開発を進めており、当社で従来から製品化しているサーボモータシステムを応用し、民間航空機や輸送用ドローン等への搭載を目標とした小型高出力モータ及びインバータなど電装品の製品開発や試作開発を継続して行ってまいります。また、宇宙分野についても小型ロケットの姿勢制御用アクチュエータや探査車両用モータなどの開発についても取り組んでまいります。
プリンタ分野では、各種産業用途向けやデジタルフォト、アミューズメント関連の技術開発を継続しております。各業界で求められる印画品質に応えるため、高画質化を進めると共に、新たな消耗品への対応にも取り組み、市場競争力の向上に努めてまいります。
モーション機器事業の研究開発費の金額は、
(3)パワーエレクトロニクス機器事業
パワーエレクトロニクス機器事業としては、社会インフラシステム分野では、道路管理用電気設備や上下水道電気設備の点検作業の省力化や予防保全に貢献する監視制御システムを開発し運用を開始しております。今後は機能のブラッシュアップをさらに進め、拡販を行ってまいります。また、増加する災害に対して、BCP対策となり環境にもやさしいLPガス発電装置の商品化を行い、防災・減災に貢献してまいります。
産業インフラシステム分野では、脱炭素社会の実現に向けて新エネルギー(水素、アンモニア)用途ポンプ移送用の特殊モータ開発、発動機式発電ユニットの電動化開発に取り組んでおります。また、労働人口の減少に伴う労働力不足を解消するため、デジタル化技術を取り入れた設備の自動化・インテリジェント化にも取り組んでおり、社会に貢献する製品を創出してまいります。
自動車試験装置分野では、EV、ハイブリッド車をターゲットとした動力試験装置の開発を進めております。近年では航空機、建機、船舶等も動力の電動化が推進されており、より一層の高速化、大容量化、高効率化の技術開発に注力すると共に、操作計測システムのプラットフォーム開発、システムソフトウェアのブラッシュアップによってトータル評価システムを提供し、試験の自動化、省力化に貢献してまいります。
振動機分野では、多様な粉粒体の処理能力向上を目的とした新しい振動機器の開発・上市を進めております。また、搬送以外の新たな用途を探索し、振動制御を応用した高速アクチュエータや、粒子の外観だけでなく内部構造・成分分析を行い選別する装置などの開発も進めており、国内外のお客様のニーズに対応できると期待しております。
コントローラ事業分野では、人手不足が進む農水産業における労働集約的な作業の自動化、それに伴う収益の向上を担うため、IoT、画像処理と人工知能(AI)、ロボット技術を利用した装置、栽培システムの開発に取り組んでおります。今後も自動化の需要は高まるものと期待しており、施設栽培作物のみならずオープンフィールド向けの生産支援システムの技術開発を進めてまいります。カーボンニュートラル達成に向け、CO2の効果的利活用、太陽光発電需給調整システムの開発にも取り組んでまいります。
パワーエレクトロニクス機器事業の研究開発費の金額は、
(4)エンジニアリング&サービス事業
エンジニアリング&サービス事業としては、炉・ヒーター分野では、省エネとメンテナンス費用を含むランニングコスト削減を目的とした、永久磁石式誘導加熱装置の開発に取り組んでおります。
エンジニアリング&サービス事業の研究開発費の金額は、