第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1) 会社の経営の基本方針

当社グループの企業理念は、「より豊かな未来をひらく」ことを企業使命とし、「お客様の安心と喜びのために」を提供価値としております。当社グループは、より豊かで住みよい未来社会の実現に貢献するため、新しい技術と価値の創造にチャレンジし続けるとともに、お客様の安心と喜びのために、環境への配慮と丁寧なサポートを徹底し、品質の高い製品・サービスを通じてお客様の課題解決や夢の実現をお手伝いします。

 

(2) 会社の対処すべき課題

 ①中期経営計画2020基本方針

 


 

当社グループは、「中期経営計画2020」(2018~2020年度)において、更なる飛躍に向けた『力強いステップ』を踏むフェーズとして、『成長事業』『収益基盤事業』『新たな成長事業』の3つの事業領域で、設備・人財・研究開発・パートナーシップ強化などの投資や施策を推進しております。

これらの投資や施策により、事業を拡大させていくとともに、営業利益率やROE(自己資本利益率)、ROIC(投下資本利益率)等の財務指標の改善に取り組んでまいります。

収益目標につきましては、「中期経営計画2020」の最終年度である2020年度目標として、売上高2,800億円、営業利益140億円、経常利益135億円、親会社株主に帰属する当期純利益94億円の達成を目指しております。「中期経営計画2020」の最終年度目標である営業利益率5%を着実に達成し、次の成長に向けた基盤を固め、「JUMP」のフェーズである次期中期経営計画の期間における収益拡大を目指しております。

財務体質につきましては、利益目標を着実に達成することで、2020年度に自己資本1,000億円に積増すことで、財務安定性の確保を図っております。ROEにつきましては、自己資本の拡充と収益性のバランスを図り、中長期的に「10%」の確保を目指しております。

また、「中期経営計画2020」の3年間は、飛躍に向けた「力強いステップ」として、設備・人財・研究開発・パートナーシップ強化などの投資・施策を積極的に行うフェーズと位置付けており、3年間合計で、設備投資300億円、研究開発費300億円、及びPHEV・EV用モータ・インバータ関連をはじめとする「成長投資」200億円を実施しております。投資の実行と業績拡大の両立を図るために、投資の効率性を確保することが重要であるため、財務目標の主要指標としてROICを選定し、投下資本に対する利益を測っております。

 

 ②重点施策及び対処すべき課題

 


  Ⅰ.成長事業

アジア新興国を中心に市場拡大が見込まれる海外変電事業や、車の電動化・デジタル化の進展が著しい自動車関連事業を『成長事業』と位置付け、積極的にリソースを投入し、事業規模拡大を目指しております。

海外電力事業では、ベトナムにおいて配電盤メーカへの資本参画について契約締結し、米国において真空遮断器の製造子会社を設立しました。

EV事業では、名古屋、甲府にて2020年度の量産開始を目指して準備を進めており、中国では初の海外生産拠点を設立し、事業拡大に注力してまいります。

動力計測システム事業では、業務提携したFEV社のソフトウェアを組み込んだEV用モータ評価ベンチの運用により、お客様の開発スピードアップを支援しております。引き続き協業による事業強化及びEV事業との相乗効果を発揮してまいります。

 

Ⅱ.収益基盤事業

  水処理事業、電力エネルギー事業では、人口減少や自治体の財政難による社会ニーズの多様化に対応するため、組織体制を強化し、インフラサービスの領域横断や広域化、脱炭素、BCPといった課題に応えていくためのソリューション提案活動を推進してまいります。数多くの納入実績を活かし、かつ電力会社や自治体、異業種企業とのパートナーシップにより、保守・サービスも含めた新たなビジネスモデルの創出に注力してまいります。

 

  Ⅲ.新たな成長事業

ピュアオゾンを応用した常温成膜技術の事業化を目的として明電ナノプロセス・イノベーション㈱を設立しました。子会社化することで、意思決定やグループ外との協業を迅速に行い、早期事業化を図ってまいります。

 

   (ご参考)上記の3つの事業領域と事業セグメントの関係性は以下のとおり示されます。


 

 

  Ⅳ.事業活動基盤のQuality向上

    当社グループは、企業スローガン「Quality connecting the next」に込めた想いを実現してまいります。

製品・システム・サービスの継続的な品質向上に加え、労働災害の撲滅やコーポレート・ガバナンス強化、温室効果ガス排出量削減、更に従業員の働き方改革など、事業活動基盤のQuality向上に積極的に取り組んでおります。

 

   (安全衛生)

労働安全衛生マネジメントシステムの国際規格である「ISO45001」の拡大認証や、過去の労働災害・事故の実例を展示した「安全伝承館」による風化防止の社内教育、従業員の危険感受性を向上させる「安全体感教育」の強化などを実施し、安全管理体制の構築及び従業員の安全意識向上に更に注力してまいります。

また、「明電グループ健康経営宣言」に基づき、従業員の健康向上のためメンタル・ヘルスに関する教育、チェック体制の強化、たばこによる健康被害防止のための施策等を推進してまいります。

   (品質)

リスクマップを活用した適切なデザイン・レビューの実施、購入品の品質管理基準の整備、品質データに基づいた変化点管理の強化、製品検査工程における自動化設備の導入等、仕様決めから、開発、設計、調達、製造、試験、出荷、運用の全ての工程における品質向上のための施策を展開しております。グループ全体での不良撲滅を目指し、過去の不具合事象及び対策を全社で共有し、海外製造拠点を含めた人財育成を図ってまいります。

   (コーポレート・ガバナンス)

任意の指名・報酬委員会の設置や、経営課題や戦略をテーマとした意見交換会の実施等による取締役会の実効性向上のための活動に加え、第156期定時株主総会での承認を前提に監査等委員会設置会社へ移行します。社外取締役の割合増加等による取締役会の議論の充実化や監督機能強化及び内部統制の充実により、適切かつ透明性のある情報開示と中長期的な企業価値の向上に努めてまいります。

   (環境)

「第一次明電環境ビジョン」を掲げ、2030年度までに事業活動に伴う温室効果ガス排出量を30%削減(2017年度比)することを目指しております。この取組みの一環として、当社グループ内の風力発電所の発電電力を自社の総合研究所及び大崎会館の使用電力に充て、そこでの電力消費に伴うCO2排出量をゼロとしました。今後も省エネ機器の積極的導入、業務の合理化の推進に努めてまいります。また、長期的には再生可能エネルギーへの転換を進めるとともに、温室効果ガスの代替を図り、持続可能な社会の実現に向けて生産・事業活動及び製品・サービスの提供により、より豊かな未来の創造に貢献してまいります。

   (働き方改革)

実行計画「スマートワーク2020」に基づき、RPA活用等による業務改革やテレワークの促進をはじめ、残業時間削減や有給休暇取得推進を制度化して取り組んでおります。また、ダイバーシティの実現に向けた育児・介護支援等の各種施策の展開など柔軟な働き方を推進しており、経験豊富なシニア層の活躍を目的とした65歳定年制を導入し、社会インフラを支える技術伝承の強化とシニア層のモチベーションアップを図ってまいります。

 

なお、新型コロナウイルスの影響につきましては、「2 事業等のリスク(4)その他のリスク①新型コロナウイルス」をご参照ください。

 

2 【事業等のリスク】

当社グループでは、工場や関係会社を含む事業部門ごとにその戦略及び運営に関わるリスクの抽出・評価、コントロールを実施する統制自己評価を導入しており、内部監査部門は各事業部門の統制自己評価の検証を行うとともに独自のリスク監査を実施しております。この内部監査によるリスクマネジメントの実施状況は随時、取締役会及び主要な当社経営層に報告されております。今後も様々な事業リスクを的確に把握しコントロールすることによる事業計画の確実な達成に導くため、リスクマネジメントに関わる組織体制の整備を進めるとともに、従業員の更なるリスク意識の醸成に努めてまいります。

有価証券報告書に記載した当社グループ事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。また、必ずしも重要な影響を及ぼすと判断できないものについても積極的な情報開示の観点から記載しています。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 主要事業セグメントにおけるリスク

①社会インフラ事業セグメントにおけるリスク

国内外の公共・民間事業者に主に発電・変電・送配電システムを提供する当事業は、世界経済市況や公共投資、民間設備投資の動向等により当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼすリスクがあります。

特に東南アジアを中心に主に発電、変電及び電鉄分野で大型プラント案件を事業展開しておりますが、これらの要因の他、大規模災害、未知の感染症等が発生した場合、資材価格・人件費等の高騰、工程遅延・中断等が発生し当初想定できなかった建設コストが大幅に増加し、収益に影響を及ぼすリスクがあります。

当社グループでは、海外大型プラント案件の管理強化として、契約条件の事前審査の徹底、原材料等を含めた原価の精査を実施するとともに、経験豊富なプロジェクトマネージャを配置するなど人財リソースの拡充によってリスクに対応しております。

②産業システム事業セグメントにおけるリスク

産業用モータ・インバータ等のEV・電動力応用事業については、世界経済市況や民間設備投資の動向等により製品需要が左右され価格が変動します。また、主に半導体製造装置メーカに提供している真空コンデンサ等の電子機器事業、自動車メーカに提供している自動車試験装置等の動力計測システム事業についても、それぞれ半導体製造装置メーカ、自動車メーカの設備投資動向によって製品需要と価格が影響を受けますので、これらの要因により事業環境が悪化すると、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼすリスクがあります。

特に当社グループが成長事業と位置づけ事業展開しているPHEV・EV用のモータ・インバータ事業については、2018年度よりスタートした「中期経営計画2020」において、同年7月に国内3事業所で合計約70億円の設備投資を、また2019年5月に中国に設立したEV用製品の製造・販売を目的とした子会社に対する42.5億円の出資を、2020年2月に名古屋事業所内での新工場建設及び設備導入に関する51億円の投資を決定し、事業を展開しております。このため世界経済市況の急激な悪化や自動車メーカの搭載車種の需要動向により投資に対して期待した回収が見込めない場合、収益に影響を及ぼすリスクがあります。

当社グループでは、定期的に世界経済市況を評価しつつお客様の設備投資動向をいち早く見極め、製品需要状況に合わせた設備投資計画や生産計画を柔軟に修正する等の対策を実施することで、これらのリスクに対応しております。

③保守・サービス事業セグメントにおけるリスク

当事業は国内外のお客様の電気設備等の保守、点検サービス、修繕等のメンテナンス業務が中心であり、これらの作業は安全品質確保に努め万全を期して実施しておりますが、万が一、作業員の人為的ミス等により重大な人身事故や停電事故等が発生し、お客様等に経済的な損失を発生させた場合には、社会的信用の失墜による取引停止や損害の補償が発生し、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼすリスクがあります。

当社グループとしては、「社長品質方針」「社長安全衛生管理方針」のもと、従業員等への各種法令、品質マネジメントシステム、社内基準の遵守を徹底し、安全・品質教育を定期的に実施することで事故の発生防止に取り組んでおります。

 

(2) 事業運営におけるリスク

①人財の確保

当社グループは、国内外で製品販売、プラント建設工事や保守サービスなど様々な事業を展開しており、全ての事業において競合先との競争がありますので、事業の優位性を確保するためには、さまざまな差別化された製品・サービスと、それらを生み出す人財の確保・育成は不可欠です。

このような状況下で、定年退職の増加や採用活動の停滞等により人財の減少が発生した場合には、技術・技能の伝承が滞り業界での優位性低下による業績悪化のリスクがあります。

当社では、シニア層に対しては65歳定年制へ移行しその処遇制度を改定することによってモチベーションアップを図り、シニア層向け子会社設立によりライフスタイルに合わせた柔軟な働き方の選択を可能としています。

また、中間層に対しては年代毎の中途採用の強化による労務構成の適正化を図り、若手層に対しては将来を見据えた安定的な新卒採用を継続し教育を強化するなど、各年代の現状を分析したうえで将来を見据えた適切な対策をとっております。

また、「中期経営計画2020」で掲げる働き方改革の実行計画である「スマートワーク2020」に基づき、RPA活用等による業務改革やテレワークの促進をはじめ、残業時間削減・有給休暇取得推進の制度化、育児・介護支援等の各種施策の展開など柔軟な働き方を推進し、ダイバーシティの実現を図り優秀な人財の確保に努めております。

②品質低下

当社グループの製品・サービス仕様の未達、リコールや製造物賠償責任につながるような品質問題が発生した場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼすリスクがあります。

当社グループでは、契約前の段階で内在するリスクが特に高いと想定される事案に関して、関係部門の水平連携による事前のリスク抽出と対策検討を実施し、経営層がそれらを把握する制度を構築しており、契約後の製造・施工及びサービスの提供段階では、より一層の品質管理体制を整備し、高い品質水準の確保に努めております。

また、製造物責任や製品リコールについては必要な保険に加入し、品質問題が発生した場合の業績及び財政状態への影響を極力減らす対応をしております。

③コンプライアンス

当社グループでは、国内外の法令、慣習その他全ての社会規範を遵守して事業活動を行っておりますが、それらに反した事象が発生した場合、法的制裁や社会的信用の失墜に伴う受注機会の減少により、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼすリスクがあります。

当社グループでは、コンプライアンス委員会の下、各職場へのコンプライアンスマネージャの配置やコンプライアンスに関する通報制度の設置など、違法行為や不適切行為の防止及び早期解決を図る体制を整備しております。また、毎年実施している階層別・職種別などの各種コンプライアンス研修や、営業部門をはじめとした各職場でのコンプライアンスに関するディスカッションを通じて、コンプライアンスに対する意識・知識の向上を図っております。

④情報漏洩、不正アクセス

不正アクセス、コンピューターウイルスの感染、情報漏洩への危機意識不足、情報システムの不備及びその他不測の事態により社外に機密情報が漏洩した場合は、業務活動の停止、損害賠償や社会的信用の失墜等により当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼすリスクがあります。

当社グループでは、保有する個人情報や当社グループの技術・営業等の事業に関する機密情報等については社内規程の整備と実施の徹底、各種セキュリティ管理システムの導入及び社内教育等を通じて対策を図るとともに、社外へ持ち出すパソコンの暗号化の徹底、管理基準に基づく情報機器持ち出し台帳管理の徹底等の対策も行っております。

⑤自然災害の発生

自然災害の激甚化により各種事業活動に支障をきたすリスクは一般に広く認識されているところであり、特に当社グループの主要な製造拠点は関東から東海地方の南海トラフ地震の想定被災地域あるいは沿岸地域等に存在しているため、大規模な地震が発生し津波・液状化等による重大な損害を受け、生産設備の稼働が困難になった場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、災害に対する事業継続についての方針・施策を審議・決定する機関として、BCM委員会を設置しており(BCM:Business Continuity Management)、経営レベルの戦略的な活動と位置づけ、BCPの策定や維持・更新、対策の実施や点検・改善、取組みを浸透させるための教育・訓練などに取り組んでおります。

また、当社グループの国内外各拠点で防災対策・防災訓練を実施するとともに、製造拠点での災害発生も想定したBCPの構築を推進しており、今後サプライチェーンも含めたBCP構築を目指してまいります。

⑥資材調達環境

当社グループの製品・システムは多種多様な部品・製品等を使用しており、それらは適切なタイミングで納品される必要がありますが、代替が困難なものもあり、部品不足や取引先の倒産等によりそれらの供給が停滞した場合、出荷や竣工の遅れ等が発生するリスクがあります。

また当社グループと各種契約を締結している下請企業の倒産や、それらの企業との取引において下請法に抵触するなどのリスクがあり、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、サプライチェーンの強化を図るため、資材部門において事業部横断的に取引先との更なるパートナーシップ強化を図るなど調達管理の徹底を推進するとともに、電子機器等供給サイクルの短い部品に関しては、将来の供給終了を想定した適正在庫の確保を図っております。

また、可能な限り特定のサプライヤーに依存しないよう複数の調達先を確保するなど、安定的な調達活動により部品の確保に努めております。

⑦保有資産の価値変動

当社グループでは、有価証券等の金融資産を保有しているため、時価の変動によって評価損が発生する可能性があり、事業用の資産や企業買収の際に生じるのれんなど様々な有形・無形資産の保有についても、今後の経営環境の変化に伴ってこれらの資産の収益性が低下し投資額の回収が見込めなくなった場合には、その回収可能性を踏まえて減損損失を計上するため、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼすリスクがあります。

 

(3) 外部環境変化のリスク

①世界経済の動向

当社グループが事業活動を行っている日本、アジア、アメリカ、その他の市場において、景気後退により民間設備投資が減少した場合や公共事業の削減が行われた場合には受注機会が減少するリスクがあり、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、販売各国の経済・社会情勢の動向を注視しつつ受注活動や投資活動を機動的に行っていくことでリスクに対応しております。

②法令、規制動向の変化

当社グループでは、日本国内のほか諸外国に製造・販売拠点等を有しております。各市場においては、各国の法律・規制等の変更により、適時に対応することが困難な場合には受注あるいは生産活動等に支障が生じるリスクがあり、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは国内のみならず一部海外にも法務要員を配置して法務部門の人員強化を図っており、各国の法令改正等に適時に対応することによりリスクの低減を図っております。

③急速な技術革新

当社グループは新製品、新技術の研究開発に積極的に投資をしておりますが、開発が計画どおり進まず市場への投入が遅れた場合や競合他社が優れた技術を市場に投入した場合には競争力を失い、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼすリスクがあり、特に車の電動化・デジタル化、IoT、AI技術に対応した研究開発については競合他社との競争も非常に激しい状況となっております。

当社グループでは、市場の動向を常に注視し、マーケティングを強化して研究開発の質や開発スピードを強化して取り組むほか、外部とのパートナーシップを強化し、相互の技術の強みを生かして新技術や新たな価値を創造することでリスクに対応しております。

④為替相場の変動

当社グループは、海外事業の拡大を図っており、為替相場の変動リスクを軽減させるための施策を実行しておりますが、急激な為替相場の変動が生じた場合は、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、海外の大型プラント案件については複数の通貨建てによる受注契約とすることや、海外調達については必要に応じて為替予約等を実施することにより、リスクに対応しております。

⑤金利の変動

当社グループの借入金、コマーシャル・ペーパー及び社債は、2020年3月末時点で45,995百万円(総資産の17.0%)であり、今後の市場金利の動向によっては当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼすリスクがあります。

当社グループでは、将来見通しを含めた金利動向を定常的に予測し、適時に資金調達を行うことでリスクに対応しております。

 

(4) その他のリスク(提出日現在情報を記載しております)

①新型コロナウイルス

新型コロナウイルス感染症の世界的な流行は、当社グループにおいても中国をはじめとする海外拠点にも生産停止、部品調達の遅延、売上延期等の影響を及ぼしました。実態経済の大幅な減速もあり当社事業への影響も懸念されましたが、当連結会計年度の業績への影響は軽微に留まりました。

一方で、2020年度は日本を含む各国の活動制限、水際対策の当社事業への影響、および景気動向は依然として不透明であり、当社グループも2020年度の業績は減収減益を見込んでおります。

このような状況ではありますが、当社グループでは全社対策本部を立ち上げ、「新型コロナウイルス対策行動指針」を策定し、従業員の安全衛生を第一に、緊急事態宣言解消後も感染防止を意識した行動(3密の回避、工場地区以外の出社者7割削減)を継続するとともに、国内の全工場は同指針に従い操業を継続する等により、事業活動への影響の低減を図っております。

また、海外拠点においても各国の政府方針に従い、それぞれ「感染防止行動基準」を策定し、在宅勤務や輪番出勤の導入、Webコミュニケーションツールの導入加速により、従業員の安全衛生と事業継続の両立を図っております。世界的な人の移動については制限が長期化すると見込んでおりますが、更なるWebコミュニケーションツールの活用により、新たな働き方を推進してまいります。

なお、新型コロナウイルスの影響を勘案した2020年5月13日時点での2021年3月期の業績見通しは、「本年7月以降、事業活動が段階的に正常化する」という前提で算定を実施し、以下のとおりとなっております。

(連結業績見通し)                           (単位:百万円)

 

 2020年3月期

実績

 2021年3月期

見通し

対前期増減

受注高

244,180

230,000

△14,180

売上高

255,748

236,000

△19,748

営業利益

12,725

7,000

△5,725

経常利益

11,481

6,600

△4,881

親会社株主に帰属する当期純利益

8,208

4,700

△3,508

 

②重要な訴訟等

当社グループの事業活動に関連して様々な事由により、当社グループに対して訴訟その他の請求が提起される可能性があり、その内容によっては当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社は、当社インド子会社のPrime Meiden Ltd.に関し、PCI Limitedほか6名のインド少数株主から、2016年6月1日に締結した株式買取及び株主間契約(以下契約書)に関し、当社に契約違反等があり会社価値を毀損し株主に損害を与えた等として、12,752百万インドルピー(約186億円(2020年3月末為替レートで換算))の金銭を要求する仲裁の申立を受けております(2018年1月31日付、シンガポール国際仲裁センターの仲裁廷にて受理)。

本申立の内容は契約書に則っておらず根拠のない不適切なものであり、早期の仲裁申立棄却に向け真摯に対応しております。現時点において、本仲裁が当社の連結業績に与える影響等はないものと考えております。

 

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(1)経営成績

当連結会計年度におけるわが国の経済は、消費税率引き上げなどで勢いが弱まったものの、個人消費を中心に全体としては緩やかな回復基調でした。一方、世界経済は、米中貿易摩擦等の影響で先進国、後進国ともに減速傾向にありました。

更に、年度末より発生し感染が拡大している新型コロナウイルスの影響により、世界の経済活動が停滞し、国内外ともに先行きが見通せない厳しい状況にあります。

このような中、当社グループは「成長事業」、「収益基盤事業」、「新たな成長事業」の3つの事業領域において戦略的な投資を推し進める事で、「中期経営計画2020」の施策を着実に進めてまいりました。

当連結会計年度の連結業績への新型コロナウイルスの影響は比較的軽微に留まり、その結果、営業利益は過去最高となり、営業利益率5%を達成いたしました。

 

当連結会計年度(以下「当期」)の経営成績は、以下のとおりであります。

  (単位:百万円)

 

2019年3月

実績

2020年3月

実績

増減額

増減率(%)

売      上      高

245,033

255,748

10,715

4.4

営   業   利   益

10,336

12,725

2,389

23.1

経   常   利   益

10,128

11,481

1,353

13.4

親会社株主に帰属する

当期純利益

7,653

8,208

554

7.2

 

 

当期の営業利益は12,725百万円となり前連結会計年度(以下「前期」)と比較し2,389百万円増加しております。

当期の営業外損益につきましては、営業外収益が1,485百万円、営業外費用が2,729百万円となりました。

営業外収益の主な内訳は、受取利息及び配当金624百万円であります。営業外費用の主な内訳は、支払利息621百万円、訴訟関連費用656百万円であります。この結果、経常利益は11,481百万円となり前期と比較して1,353百万円増加し、売上高経常利益率は4.5%となっております。

当期の特別損益につきましては、特別利益が366百万円、特別損失が407百万円となりました。

特別利益の主な内訳は、段階取得に係る差益365百万円であります。特別損失の主な内訳は、投資有価証券評価損367百万円、固定資産除却損32百万円であります。

この結果、税金等調整前当期純利益は11,441百万円となり、法人税、住民税及び事業税、法人税等調整額合計で3,062百万円計上、及び非支配株主に帰属する当期純利益170百万円を計上したことにより、親会社株主に帰属する当期純利益は8,208百万円となっております。また、1株当たり当期純利益は180円91銭、自己資本利益率は9.6%となっております。

 

なお、各事業分野における営業活動の状況は次のとおりであります。売上高につきましては、セグメント間の取引を含んでおります。

 

① 社会インフラ事業セグメント

売上高は前期比6.2%増146,074百万円営業利益は3,761百万円改善3,654百万円となりました。

電力エネルギー分野と水インフラシステム分野は、前年度からの工期延期案件の売上計上等に加え、原価改善による利益率向上を図り、前期比で増収増益となりました。

社会システム分野は、内需が堅調に推移した事に加え、前年度に海外民需案件で発生した原価悪化の解消等により、前期比で増収増益となりました。

電鉄システム分野は、国内外大型案件減少の影響により、前期比で減収となりました。

 

② 産業システム事業セグメント

売上高は前期比1.2%増65,885百万円、営業利益は2,350百万円悪化の3,272百万円となりました。

EV分野は、PHEV・EV用モータ・インバータの堅調な売上や沼津インバータ工場の新ライン稼働等により前期比で増収となりましたが、新設備における量産開始に向けた先行費用の発生等により、前期比で減益となりました。

電動力分野は、射出成型機用の需要減速等により、減収減益となりました。

電子機器分野は、前期比では減収減益となりましたが、半導体市場は調整局面からの回復傾向にあります。

動力計測システム分野は、自動車業界全体の落込み影響を受けたものの、生産性向上により、前期比で減収増益となりました。

 

③ 保守・サービス事業セグメント

BCPや省エネ対応、設備延命化需要の高まりを背景に、電気設備の保守・点検、維持・運転管理までを一括して請け負うワンストップサービスが堅調に推移し、また、AR・VRなどを取り入れた人財の即戦力強化に取り組んだ結果、売上高は前期比5.1%増38,857百万円営業利益は1,311百万円改善5,654百万円となりました。

 

④ 不動産事業セグメント

売上高は前期並みの3,481百万円営業利益は66百万円悪化1,353百万円となりました。

 

⑤ その他

売上高は前期比3.8%増19,311百万円営業利益は93百万円改善891百万円となりました。

 

(生産、受注及び販売の状況)

① 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(百万円)

前年同期比(%)

社会インフラ事業

134,562

99.1

産業システム事業

63,160

104.0

保守・サービス事業

36,650

101.3

不動産事業

その他

2,538

97.4

合計

236,912

100.7

 

(注) 1.セグメント間取引につきましては、相殺消去しております。

2.金額は販売価格であり、消費税等を含んでおりません。

 

② 受注実績

当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高(百万円)

前年同期比(%)

社会インフラ事業

132,878

101.3

174,283

95.2

産業システム事業

61,145

102.0

17,652

92.9

保守・サービス事業

37,706

106.9

6,163

91.9

不動産事業

3,219

102.1

249

100.1

その他

9,231

85.8

1,727

66.3

合計

244,180

101.6

200,077

94.6

 

(注) 1.セグメント間取引につきましては、相殺消去しております。

2.金額は販売価格であり、消費税等を含んでおりません。

 

③ 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年同期比(%)

社会インフラ事業

142,979

106.1

産業システム事業

62,485

101.8

保守・サービス事業

36,977

103.6

不動産事業

3,219

100.0

その他

10,087

101.2

合計

255,748

104.4

 

(注) 1.セグメント間取引につきましては、相殺消去しております。

2.金額は販売価格であり、消費税等を含んでおりません。

 

(2)財政状態

当連結会計年度末(以下「当期末」)の総資産は、前連結会計年度末(以下「前期末」)比4,824百万円(1.8%)増加し、270,410百万円となりました。

流動資産は、売上債権の増加により、前期末比2,827百万円(1.8%)増加156,558百万円となりました。

固定資産は、EV用部品の生産ラインの増強及びイームル工業株式会社の連結に伴う有形固定資産の増加により前期末比1,997百万円(1.8%)増加113,852百万円となりました。

負債合計は、未払金及び長期借入金等債務の減少により、前期末比795百万円(0.4%)減少して180,292百万円となりました。

純資産合計は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により、前期末比5,620百万円(6.7%)増加して90,117百万円となりました。

この結果、自己資本比率は前期末の31.5%から32.2%となりました。

 

(3) キャッシュ・フロー

当期末における現金及び現金同等物(以下、「資金」)は、前期末に比べ187百万円増加し、12,621百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は10,416百万円(前年同期は14,365百万円の獲得)となりました。
 収入の主な内訳は、税金等調整前当期純利益11,441百万円、減価償却費9,200百万円であり、支出の主な内訳は、仕入債務の減少額4,707百万円、売上債権の増加額4,407百万円、法人税等の支払額3,808百万円であります。


(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は13,700百万円(前年同期は8,074百万円の使用)となりました。
 支出の主な内訳は、有形及び無形固定資産の取得による支出14,908百万円であり、収入の主な内訳は、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による収入1,649百万円であります。
 
(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果得られた資金は3,735百万円(前年同期は3,101百万円の使用)となりました。
 収入の主な内訳は、社債の発行による収入6,000百万円、コマーシャル・ペーパーの発行による収入3,000百万円、支出の主な内訳は、長期借入金の返済による支出3,096百万円、配当金の支払額2,267百万円であります。

 

 (資本の財源及び資金の流動性に係る情報)

当連結会計年度における資金調達は、主として借入金及びコマーシャル・ペーパーをもって行いました。調達においては、長期・短期のバランスと安定性を考慮し、長期の借入も実施しております。社債では、EV用モータ・インバータの量産設備資金を使途とするグリーンボンドを発行しました。

その結果、借入金、コマーシャル・ペーパー及び社債の残高は、前期比6,472百万円増の45,995百万円となりました。

また、既存のコミットメントラインとは別に、2020年6月には、金融上のリスクに対応するために新たに20,000百万円のコミットメントライン契約を締結しております。

 

(4)  経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

収益目標につきましては、「中期経営計画2020」の最終年度である2020年度目標として、売上高280,000百万円、営業利益14,000百万円、経常利益13,500百万円、親会社株主に帰属する当期純利益9,400百万円の達成を目指しております。「中期経営計画2020」の最終年度目標である営業利益率5%を着実に達成し、次の成長に向けた基盤を固め、「JUMP」のフェーズである次期中期経営計画の期間における収益拡大を目指しております。

財務体質につきましては、利益目標を着実に達成することで、2020年度に自己資本100,000百万円に積増すことで、財務安定性の確保を図っております。ROEにつきましては、自己資本の拡充と収益性のバランスを図り、中長期的に「10%」の確保を目指しております。

また、「中期経営計画2020」の3年間は、飛躍に向けた「力強いステップ」として、設備・人財・研究開発・パートナーシップ強化などの投資・施策を積極的に行うフェーズと位置付けており、3年間合計で、設備投資30,000百万円、研究開発費30,000百万円、及びPHEV・EV用モータ・インバータ関連をはじめとする「成長投資」20,000百万円を実施しております。投資の実行と業績拡大の両立を図るために、投資の効率性を確保することが重要であるため、財務目標の主要指標としてROICを選定し、投下資本に対する利益を測っております。

2020年度における数値目標に対する2019年度の実績につきましては、売上高、営業利益、経常利益ともに過去最高値を達成し、ROE・ROIC等の指標についても、ROEは最終利益の増益により前期比0.3%改善、ROICは前期比1%改善しました。財務目標は中期経営計画の目標に向けて、着実に改善したと評価しております。

また、本中期経営計画は投資を行うフェーズと位置付けており、EV事業の成長投資による有形固定資産の増加等により総資産が増加しましたが、利益の増大により自己資本比率は過去最高の32.2%と拡大しました。

ROE・ROIC等の2020年度目標達成に向けては営業利益の確保が第一であるため、中期経営計画最終年度では、「1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(2)会社の対処すべき課題」に記載の各施策を推進していくことにより、各指標の目標達成に努めてまいります。

 

「中期経営計画2020」の最終年度である2020年度における数値目標に対する2019年度の実績

指標

2019年度(実績)

2020年度(目標)

売上高   (百万円)

255,748

280,000

営業利益  (百万円)

12,725

14,000

経常利益  (百万円)

11,481

13,500

親会社株主に帰属する
当期純利益 (百万円)

8,208

9,400

 

 

ROE     (%)

9.6

10

ROIC    (%)

6.9

7

営業利益率   (%)

5.0

5

自己資本額 (百万円)

87,111

100,000

 

 

(5)  重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。

この連結財務諸表の作成にあたって、連結貸借対照表上の資産、負債の計上額、および連結損益計算書上の収益、費用の計上額に影響を与える見積りを行う必要があります。

会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。

なお、連結財務諸表の作成に当たり採用する重要な会計方針は、「第5経理の状況1連結財務諸表等(1)連結財務諸表」の(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)に記載しております。

 

①有形固定資産及び無形固定資産の減損

当社グループは、有形固定資産及び無形固定資産について、見積耐用年数にわたり、主として定率法又は定額法により償却しております。これらの有形固定資産及び無形固定資産について、帳簿価額が回収できない可能性を示す事象や状況の変化が生じた場合に、減損の判定を行っております。減損が生じていると判断した場合、当該資産の帳簿価額が回収可能価額を上回る金額を、減損損失として計上しております。

回収可能価額は、使用価値と正味売却価額のうち、いずれか高い金額としております。使用価値の算定においては、見積り将来キャッシュ・フローを、貨幣の時間価値及び資産固有のリスクを反映した割引率を用いて現在価値に割り引いて算出しております。

なお、一部の子会社の買収時に発生したのれんを含む固定資産の使用価値の算定においては、過去実績、収益と費用の予測、将来の市場の成長度合、経営者により承認された事業計画の実現可能性度合、適切な市場における比較対象等の前提条件を使用しております。また、割引率の算定にあたっては、独立した外部の評価機関を利用しております。

2020年3月31日時点における評価において、連結財務諸表では減損損失の計上はありませんが、個別財務諸表において当社のインド子会社Prime Meiden Ltd.社株式の評価損を4,670百万円計上しております。これは、インド経済状況の減速や新型コロナウイルス感染症の発生等を起因とした、将来見通しの不確実性の高まりに伴う事業計画の引き下げによる、同社株式の実質価額の低下によるものです。

これらの前提条件の見積りに関する評価は合理的であると判断しておりますが、予測不能な前提条件の変化等により回収可能価額の評価に関する見積りが変化した場合には、減損損失の計上が必要となる可能性があります。

 

②繰延税金資産

当社グループは、将来の課税所得の見込みにより、回収可能と判断した部分については評価性引当額を認識しておらず、繰延税金資産を計上しております。

繰延税金資産の回収可能性を評価するに際しては、過去実績、将来の課税所得及びタックス・プランニング等を考慮し、慎重に検討しておりますが、予測不能な前提条件の変化等により回収可能性の評価に関する見積りが変化した場合には、繰延税金資産の修正が必要となる可能性があります。

 

③受注損失引当金

当社グループは、受注契約に係る将来の損失に備えるため、翌連結会計年度以降の損失発生見込額を計上しております。実際の発生原価が見積りと異なる場合、引当金の追加計上が必要となる可能性があります。

 

④製品保証引当金

当社グループは、納入した製品の無償補修費用の支出に備えるため、無償補修費用を個別に見積り算出した額を計上しております。実際の補修費用が見積りと異なる場合、引当金の追加計上が必要となる可能性があります。

 

⑤退職給付に係る負債

従業員の退職給付債務及び費用は、割引率、昇給率、退職率、死亡率、長期期待運用収益率等の前提条件を用いた年金数理計算により見積られます。特に割引率及び長期期待運用収益率は、退職給付債務及び費用を決定する上で重要な前提条件であります。

割引率は、測定日時点における従業員への給付が実行されるまでの予想平均期間に応じた優良債券の利回りに基づき決定しております。長期期待運用収益率は、債券及び株式等の投資対象資産グループ別の長期期待運用収益の加重平均に基づき決定しております。

当社グループは、年金数理計算上用いられる前提条件と方法は適切であると判断しておりますが、前提条件と実際の結果が異なる場合、又は前提条件の変更がある場合には、当社グループの退職給付債務及び費用に影響を与える可能性があります。

なお、割引率及び長期期待運用収益率がそれぞれ0.5%低下した場合の連結財務諸表への影響は以下のとおりであります。

 

 

退職給付費用

退職給付債務

割引率0.5%低下

78百万円の増加

2,926百万円の増加

長期期待運用収益率0.5%低下

39百万円の増加

 

 

⑥工事進行基準

当連結会計年度末までの進捗部分について成果の確実性が認められる工事につきましては、工事進行基準(工事の進捗率の見積りは原価比例法)を適用しております。

工事進行基準による完成工事高の計上は、工事原価総額の見積りにより収益及び損益の額に影響を与えます。工事原価総額の見積りは当初は実行予算によって行っております。実行予算作成時には、作成時点で入手可能な情報に基づいた仕様や材料価格について仮定を設定し、作業効率等を勘案して各工事毎に詳細に積み上げることによって工事原価総額を見積ります。着工後は、プロジェクト毎に実際の発生原価と対比して適時・適切に工事原価総額の見直しを行っております。

工事原価総額の見積りに用いられる前提は適切であると判断しておりますが、想定していなかった原価の発生等により工事進捗度が変動した場合は、完成工事高及び完成工事原価の修正が必要となる可能性があります。

 

4 【経営上の重要な契約等】

 当連結会計年度においては、当該事項はありません。

 

5 【研究開発活動】

「中期経営計画2020」の2年目として、世の中の社会課題を解決すべく、引き続き環境問題への対応、車の電動化及びIoT・AI等デジタル技術の発展に対応した新製品・新システムの創出に注力しました。また、競争力の高い製品・システムを創出するため、パワエレ、材料、解析など基盤技術の強化に取り組むと同時に、将来の事業の柱となる新製品・新技術の確立に注力しました。

当連結会計年度の研究開発費の総額は、連結売上高の4.1%にあたる、10,467百万円でした。各事業セグメント別の研究開発費は、社会システム事業セグメントで3,107百万円、産業システム事業セグメントで4,214百万円、保守・サービス事業セグメントで418百万円、その他で33百万円でした。また、研究開発本部等で実施している全社共通の研究開発費は2,694百万円でした。

 

当連結会計年度の研究開発の主な取組みは次のとおりです。

 

(1)環境規制への対応

電力系統設備で重要な機器である真空遮断器において、145kVエコタンク形真空遮断器の開発を完了しました。温暖化係数の高いSF6ガスを使用しない世界初の製品であり、環境にやさしい真空遮断器の需要が高まる北米を中心に、2020年4月より販売を開始しました。また、送風機や圧縮機などの高速回転化ニーズに応える大出力(1MW級)のPMモータと駆動用インバータを製品化しました。モータを毎分1万回転以上で運転することにより増速機を不要とし、小型化・省電力化を実現し、環境負荷低減に貢献します。

 

(2)車の電動化への対応

EV駆動システムの更なる小型化・軽量化を目指し、機電一体型(モータ・インバータ)に加え、ギヤも一体とした「MEIDEN e-Axle(イーアクスル)」を開発しました。本製品は、小型化・軽量化及び高出力化を実現しており、出力密度を約60%向上(当社従来比)させております。また、構成部品を最適配置し、高さ方向の厚みを抑え薄型化することにより、車両の低重心化による操縦安定性や車室空間の改善に寄与します。

更にEV用モータの評価システムについても機能向上に取り組みました。車両走行状態での燃費・電費などの評価が可能となり、お客様の開発スピード向上に貢献します。

 

(3)IoT・AI等デジタル技術の強化

水インフラシステムでのサービスを拡大すべく、下水道管路の水位や地上に溢れた水位情報をIoT技術により可視化し、避難発令などの判断に活用し、市民へ情報提供する試みを進めております。

また、人手作業・熟練作業の自動化・省力化など社会課題への対応として、可搬質量14kgの小型協働ロボットを搭載した無人搬送車「RocoMo-V(ロコモブイ)」を製品化しました。デジタル技術により、自己位置を推定して走行可能となり、レイアウト変更に柔軟に対応できます。

 

(4)新規事業への取組み

当社独自のピュアオゾン技術を応用したALD(Atomic Layer Deposition)/OER(Ozone-Ethylene Radical generation technology)技術を確立し、その成膜装置の開発を完了しました。様々な基材の上に常温で酸化膜を形成可能で、半導体やディスプレイなど幅広い分野への応用が期待できます。

また、X線検査装置用の冷陰極X線管の開発も行い、当社が保有する真空技術を活かした新しい市場の開拓を推進します。

 

(5)全社共通基盤技術

パワエレ技術の高度化として、高パワー密度SiCインバータ・モータの小型化・高効率化及び軽量化などに注力しました。また、酸化亜鉛素子の高性能化や、電力機器の絶縁に適用する環境に配慮したエポキシ樹脂の信頼性設計など材料技術の獲得に努めました。更なる製品競争力向上を目指し、流体シミュレーションを活用した水力発電用水車の効率化など解析技術の強化を行っております。

 

これらを中心に研究開発活動を推進し、研究開発費の総額は10,467百万円となりました。