第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1) 会社の経営の基本方針

当社グループの企業理念は、「より豊かな未来をひらく」ことを企業使命とし、「お客様の安心と喜びのために」を提供価値としております。当社グループは、より豊かで住みよい未来社会の実現に貢献するため、新しい技術と価値の創造にチャレンジし続けるとともに、お客様の安心と喜びのために、環境への配慮と丁寧なサポートを徹底し、品質の高い製品・サービスを通じてお客様の課題解決や夢の実現をお手伝いします。

 

(2) 会社の対処すべき課題

 ①中期経営計画2020の総括

 

    <中期経営計画2020の位置づけ>


 

当社グループは、「中期経営計画2020」を飛躍に向けた「力強いステップ」のフェーズと位置づけ、海外変電・EVなどの成長事業への積極的な投資、ビジネスモデルの変革・生産性向上を通じた収益基盤事業の強化、半導体向け事業などの新たな成長事業の創出に取り組んでまいりました。

 成長事業では、海外変電事業における海外現地企業への資本参画や海外拠点の設立、EV事業における国内、海外での拠点設立と設備投資を行い、成長基盤の整備を進めました。収益基盤事業では、国内インフラ市場向けのソリューションを企画する部門の設立、部門間の情報連携強化や社内業務の効率化、データに基づいた品質管理、デジタルを用いた保守・サービスの高度化を実施しました。新たな成長事業では、半導体向け事業が、大きな規模拡大には至らなかったものの、当社グループの業績を支える事業に成長しつつあります。また、ピュアオゾン技術を活用した新事業会社の立ち上げ、モータ解析に強みがあるポーランドのスタートアップ企業への出資など、新たな市場開拓や新規事業開発に注力してまいりました。

事業活動への取組みと並行して、その活動基盤の「品質」向上にも取り組んでまいりました。環境面では、「第1次明電環境ビジョン」に基づき、生産工程の省エネ化や脱SF6ガスなどの取組みを推進しました。また従業員の労働環境整備にも取り組んだことで、厚生労働省や経済産業省に認証される成果をあげました。コーポレートガバナンスにおいては、取締役会の監督機能の強化及び意思決定の迅速化を目的に監査等委員会設置会社に移行しました。また不正・ハラスメント研修の実施や早期発見の仕組みを構築するなど、企業活動のあらゆるところで企業スローガン「Quality connecting the next」に込めた想いを実現すべく、諸施策を展開しました。

このような取組みの成果により業績は着実に向上し、2019年度は過去最高の売上高・営業利益を達成しました。2020年度は、コロナ禍の影響で中期経営計画の目標値を達成出来なかったものの、厳しい事業環境の中、営業利益83億円を達成し、これまでの取組みの成果が着実に業績に表れてきたと考えております。

 

 ②重点施策及び対処すべき課題

  ⅰ中期経営計画2024

 


   ■基本方針

世界的に気候変動による環境問題が深刻化するとともに、新型コロナウイルスの影響が拡大しております。また、デジタル化が急速に進展し、人々の価値観やライフスタイルも変化しております。日本国内においては、少子高齢化が進むと同時に社会インフラの老朽化が進み、従来の社会システムのあり方からの転換が求められております。このような事業環境の大きな変化は、当社グループにとって事業拡大の好機と捉えております。

当社グループでは、前々中期経営計画「V120」から、着実な業績拡大と成長に向けた投資を両立させてまいりました。「中期経営計画2024」(2021~2024年度)においては「JUMP」のフェーズとして、これまでの投資や取組みの成果から、事業規模拡大と均衡のとれた事業構成、利益率向上により、「質の高い」成長の実現を目指します。

また、近年のSDGsへの関心の高まりから、ESGを軸とした経営・事業戦略に進化させると共に、両利きの経営を推進することで、2024年度以降における持続的な成長の基盤づくりを進めてまいります。

   ■機構改革の実施

中期経営計画2024を遂行していくにあたり、機構改革を実施しました。その狙いは、①事業を4つのグループに括り、営業部門、生産・技術部門、国内外関係会社が環境の変化や多様な顧客ニーズに迅速かつ的確に対応できるよう責任と権限を明確化、②生産・技術部門における人財の多能工化と育成、生産負荷の増減への柔軟な対応の実現、③企画機能の集約による企画機能強化と業務改革の推進です。

  ⅱグループ戦略

    社会変化を踏まえ、目指す新しい社会の実現に向け、各グループの戦略を進化させてまいります。

   ■電力インフラグループ

従来の電力会社向けビジネスに加え、カーボンニュートラルな世界の実現に向けた中小水力発電事業や水力・風力発電のO&M事業の拡大、再生可能エネルギーを活用したソリューション事業の展開に注力してまいります。また、海外変電事業においては、基盤であるシンガポール市場に加え、資本投入を実施したインドやベトナム、北米での事業拡大と収益力の拡大に努めてまいります。

   ■社会システムグループ

地方自治体などに対して、インフラサービスの広域化、脱炭素、事業継続計画(BCP)といった新たな課題に応えるためのソリューション提案活動を推進してまいります。また、フィールドエンジニアリンググループとの連携による事業シナジー創出に注力してまいります。海外電鉄事業につきましては、既存プロジェクトの完遂と収益力の向上に加え、新たなプロジェクトに取り組むことで持続的に当社グループの存在意義を高め、鉄道インフラ構築に貢献してまいります。

   ■産業電子モビリティグループ

EV向けモータ・インバータ事業では、クリーンなモビリティ社会の実現に向け、自動車メーカを中心に事業を展開してまいります。2028年度売上高1,000億円という目標達成のための製品開発や設備投資を進めるとともに、その成果として事業拡大、投資回収を実現してまいります。

また搬送事業や半導体関連事業などにおいては、先進技術とパートナーシップを強化し、産業の省人化、省エネ、社会のデジタル化を推進します。デジタル技術を活用した産業部品の保守スマート化や環境配慮型モータの拡販、半導体向け製品のシェア拡大に力を入れてまいります。

   ■フィールドエンジニアリンググループ

BCPや省エネ対応、設備延命化需要の高まりを背景に、電気設備の保守・点検、維持・運転管理までを一括して請け負うワンストップサービスの更なる拡大・収益向上に努めると共に、ICT活用による保守サービスのスマート化と新しいソリューションの提供を目指します。

  ⅲ事業活動基盤の「品質」向上に向けての取組み

「中期経営計画2020」では重点施策として、生産戦略、人財育成と働き方改革への対応、研究開発戦略、強固な財務体質の構築、事業活動基盤の「品質」向上を掲げてまいりました。「中期経営計画2024」においては、それらと並行してコロナ禍を契機とした急激な環境変化への対応も進めてまいります。

生産戦略では、量産製品における生産自動化、検査工程の自動化など、生産効率向上を行います。研究開発戦略では「両利きの研究開発」を掲げ、これまで以上に新たな事業・製品の開発に向けた取組みにリソースを投入してまいります。強固な財務体質の構築に向けては、資産回転率の向上や効率的な投資の実施、着実な投資回収を実現してまいります。事業活動基盤の「品質」向上につきましては、社会インフラを支える企業として、製品・システム・サービスの継続的な品質向上に取り組むとともに、労働災害撲滅、コーポレートガバナンスの確実な実施、リモートワークといった新しい働き方への対応などにも積極的に取り組んでまいります。

  ⅳ両利きの経営の推進

既存事業の改善を図るとともに新規領域の探索や投資を行っていく「両利きの経営」に取り組んでまいります。新規領域の探索や投資では、環境製品・サービスによるカーボンニュートラルへの貢献、デジタルによる省人化・高効率化、BCP製品サービスによるレジリエントな社会の構築などにリソースを振り分け、新たな価値の創出、新しい社会づくりに挑んでまいります。とりわけ、環境問題を含む社会課題の解決には、従来とは違う発想が必要であり、そのためのイノベーションや新規事業の立ち上げが不可欠と考えております。当社が保有する技術、エンジニアリング、ものづくり力は、全て人財によって支えられております。その育成と活用を進めるためにダイバーシティを推進してまいります。また、顧客や他社との共創を目的としたパートナーシップにも、積極的に取り組んでまいります。

  ⅴESG経営の推進

社会変化を踏まえ、2030年までに「目指したい社会」を定義し、当社グループの「ありたい姿」と「ビジョン」、「大事にする価値観」を描きました。それを実現するためにバックキャスト・アプローチにより当社の強みが活きる以下の注力領域を定め、他社・お客様との共創を通じて、社会課題解決・社会価値創造をリードしてまいります。

① リニューアブルエナジー:カーボンニュートラルな世界の実現に向けたリニューアブルエナジーの拡大

② サステナブルインフラ:持続可能な次世代社会インフラの構築

③ グリーンモビリティ:クリーンなモビリティ社会の推進

④ スマートインダストリー:産業の省人化・省エネ・社会のデジタル化への貢献

 


 

こうしたESGを経営に実装するための具体的な取組みと目標値の設定につきましては、4月に新設したESG部門が中心となって、全社運動として啓蒙、推進してまいります。また、SBT認定水準まで温室効果ガス(GHG)削減目標を引き上げた「第2次明電環境ビジョン」を策定し、更なる環境負荷低減に貢献してまいります。

 

 

(ご参考)上記の4つの注力領域と事業セグメントの関係性は以下のとおり示されます。

 


 

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

また、新型コロナウイルスの影響につきましては、「2 事業等のリスク(4)その他のリスク①新型コロナウイルス」をご参照ください。

 

2 【事業等のリスク】

当社グループでは、2018年度より工場や関係会社を含む事業部門ごとにリスク統制自己評価制度(Control Self-Assessment = CSA)を導入しており、内部監査部門は各事業部門のCSAを検証することに加え、独自のリスク監査を実施しております。この内部監査による各事業部門のリスクマネジメントの状況は随時、常務会・取締役会及び主要な当社経営層に報告されております。

更に当社では各事業部門のCSAに加えて、グループ全体で考えるべき重要な事業リスクを抽出・評価し、適切にコントロールする全社統合リスクマネジメント体制(Enterprise RiskManagement = ERM)を構築することが重要であると考え、2020年4月に内部統制推進本部リスクマネジメント部を設立するとともに、内部統制推進本部長を委員長とするリスクマネジメント委員会を設置しました。

リスクマネジメント委員会では、リスクマネジメント部によって抽出された重要な事業リスクの評価とコントロール方法を、委員を構成する全社スタッフ部門長が審議のうえ経営層に報告し、経営層は常務会、取締役会等の場でそれらのリスクについて議論する仕組みとなっております。

またグループガバナンスを向上させるため、リスク統制自己評価を実施する関係会社の範囲を拡大するとともに、新たに内部統制推進本部長を委員長とするグループ会社内部統制委員会を設置して当社グループ重要リスク情報の伝達と共有を行うなど、内部統制の強化を図りました。(下図参照)


 

このような体制の下で当社経営層による重要な事業リスクに関する議論を実施した結果、本有価証券報告書に記載している当社グループ事業のうち、投資者の判断に重大な影響を及ぼす可能性のあるリスクは、以下のようなものであると考えております。なお、発生可能性よりも影響度の大きさを優先して重要なリスクを抽出しておりますが、必ずしも重大な影響を及ぼすと判断できないものにつきましても積極的な情報開示の観点から記載しております。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 事業グループにおけるリスク

1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)会社の対処すべき課題②重点施策及び対処すべき課題 においてご説明している4つの事業グループにおける主要なリスクは以下のとおりであります。

①電力インフラグループにおけるリスク

国内外の電力事業者等に各種発電・変電・送配電システムを提供する当事業グループは、経済市況や電力事業者等の投資動向により受注機会が減少した場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、水力発電などの大型案件につきましては契約期間が長期に及ぶため、仕様の変更による建設コストの増加、資材価格・人件費の高騰、工程遅延・中断等が発生した場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、当事業の市場動向や顧客の投資計画を入念に見定めるほか、大型案件につきましては事前審査を徹底したうえで、法務部門、財務部門及び事業部門をはじめとした全社的なモニタリングを行い、プロジェクト管理を強化することによりこれらのリスクに対応しております。

②社会システムグループにおけるリスク

国内外の電力事業者から送られてくる電力を使って社会インフラを国民に提供する官公庁や企業に発変電システム、監視制御システム、無停電電源装置などを提供する当事業グループは、経済市況や公共投資、民間設備投資の動向等により、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があり、特に海外の電鉄事業においては、資材価格・人件費等の高騰、人財の流出、工程遅延・中断等が発生し、当初想定できなかった建設コストが大幅に増加する可能性があります。

当社グループでは、海外大型案件の受注に際しては事前審査を徹底し、契約条件、物価変動リスク、為替リスク等を考慮した見積原価の精査を実施するとともに、経験豊富なプロジェクトマネージャの配置や人財のモチベーション向上を図るなど、人財リソースの拡充によってこれらのリスクに対応しております。

③産業電子モビリティグループにおけるリスク

産業用モータ・インバータ等の電気自動車(EV)・電動力応用事業につきましては、世界経済市況や民間設備投資の動向等により製品需要が左右され価格が変動します。また、主に半導体製造装置メーカに提供している真空コンデンサ等の電子機器事業、自動車メーカに提供している自動車試験装置等の動力計測システム事業につきましても、それぞれ半導体製造装置メーカ、自動車メーカの設備投資動向によって製品需要と価格が影響を受けますので、これらの要因により事業環境が悪化すると、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

特に当社グループが成長事業と位置づけ事業展開しているPHEV・EV用のモータ・インバータ事業につきましては、2020年度に甲府、名古屋に新工場を稼働させ、2021年9月には中国・杭州の工場を稼働予定とするなど、積極的な量産・出荷体制を整えつつありますが、世界経済市況の急激な悪化や自動車メーカの搭載車種の需要動向により投資に対して期待した回収が見込めない場合、収益に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、定期的に世界経済市況を評価しつつお客様の設備投資動向をいち早く見極め、製品需要状況に合わせた設備投資計画や生産計画を柔軟に修正する等の対策を実施することで、これらのリスクに対応しております。

④フィールドエンジニアリンググループにおけるリスク

当事業は国内外のお客様の電気設備等の保守、点検サービス、修繕等のメンテナンス業務及び運転維持管理業務が中心であり、これらの作業は安全品質確保に努め万全を期して実施しておりますが、万が一、作業員の人為的ミス等により重大な人身事故や停電事故等が発生し、社会インフラの停止による住民へのご迷惑やお客様等に経済的な損失を発生させた場合には、社会的信用の失墜による取引停止や損害の補償が発生し、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループとしては、「社長品質方針」「社長安全衛生管理方針」のもと、従業員等への各種法令、品質マネジメントシステム、社内基準の遵守を徹底し、安全・品質教育を定期的に実施することでこれらのリスクに対応しております。

 

(2) 事業運営におけるリスク

①コンプライアンスに関するリスク

当社グループでは、国内外の法令、慣習その他全ての社会規範を遵守して事業活動を行っておりますが、それらに反する事象が発生した場合、法的制裁や社会的信用の失墜に伴う受注機会の減少により、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、過去に発生させた独禁法違反等の再発防止をはじめ、今後決して法令違反を起こさないことを最重要の経営課題としており、法務部を事務局とするコンプライアンス委員会の下、スタッフ部門が協調して各職場へのコンプライアンスマネージャの配置やコンプライアンスに関する通報制度の設置など、違法行為や不適切行為の防止及び早期解決を図る体制を整備しております。また、毎年グループ会社を含めて実施している階層別・職種別などの各種コンプライアンス研修や、営業部門をはじめとした各職場でのコンプライアンスに関するディスカッションを通じて、独禁法、下請法、建設業法などの法令や、贈収賄の防止など、幅広くコンプライアンス・倫理に対する意識・知識の向上を図るなど、コンプライアンスリスクに対応しております。

②人財に関するリスク

当社グループは、国内外で製品販売、プラント建設工事や保守サービスなど様々な事業を展開しており、それら事業での優位性を確保するためには、さまざまな差別化された製品・サービスと、それらを生み出す人財の確保・育成は不可欠です。このような状況下で、定年退職の増加や採用活動の停滞等により人財の減少が発生した場合には、技術・技能の伝承が滞り業界での優位性が低下することにより、業績が悪化する可能性があります。

当社グループではこれらのリスクに対応するため、シニア層に対しては65歳定年制へ移行しその処遇制度を改定することによってモチベーションアップを図り、シニア層向け子会社設立によりライフスタイルに合わせた柔軟な勤務形態の選択を可能とし、中間層に対しては年代毎のキャリア採用強化による労務構成の適正化を図り、若手層に対しては将来を見据えた安定的な新卒採用を継続し人財育成を強化するなど、各年代の現状を分析したうえで将来を見据えた適切な対策を実施しております。

また、健康経営や働き方改革の施策の展開により、従業員の健康維持・増進を図り、RPA等を活用した業務改革による労働時間削減やテレワークの促進をはじめ、有給休暇取得推進や育児・介護支援等の各種制度化など、柔軟な働き方を推進しダイバーシティの実現を図り、更には職場における差別やハラスメントの防止など、人権にも十分に配慮した働きがいのある職場づくりを行うことで、人財の確保に努めております。

③製品・サービスの品質に関するリスク

当社グループの電力インフラグループ・社会システムグループにおける製品・サービスの仕様の未達や、産業電子モビリティグループにおけるモータ、電子部品等の汎用製品のリコールや製造物責任につながる品質問題が発生した場合には、製造原価の悪化や損害賠償の発生等により当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループではこのようなリスクに対応するため、契約前の段階で内在するリスクが特に高いと想定される事案に関して、関係部門の水平連携による事前のリスク抽出と対策検討を実施し、経営層がそれらを把握する制度を構築しており、契約後の製造・施工及びサービスの提供段階では、より一層の品質管理体制を整備し、高い品質水準の確保に努めております。また、製造物責任や製品リコールにつきましては必要な保険に加入し、品質問題が発生した場合の業績及び財政状態への影響を極力減らす対応をしております。

④情報セキュリティに関するリスク

不正アクセス、コンピューターウイルスの感染、情報漏洩への危機意識不足、情報システムの不備及びその他不測の事態により社外に機密情報が漏洩した場合は、業務活動の停止、損害賠償や社会的信用の失墜等により当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループではこれらのリスクに対応するため、監視、検知における境界対策、ウイルス対策、教育などの人的対策といった「多層防御」を念頭に置いて諸施策を実施しております。保有する個人情報や当社グループの技術・営業等の事業に関する機密情報等につきましては社内規程の整備と実施の徹底、各種セキュリティ管理システムを導入し、不審メール訓練やe-learningの実施など社内教育等を通じて防御意識の向上を図るとともに、新型コロナの影響により増加した社外へ持ち出すパソコンの暗号化の徹底、管理基準に基づく情報機器持ち出し台帳管理の徹底等の対策も実施しております。

⑤業務上の災害・事故に関するリスク

当社グループにおいて重篤な労働災害、火災事故や設備トラブルなどの不測の事態が発生し、従業員が被災した場合、生産活動が停止してお客様への納期が遅延した場合、若しくは地域住民の方々に被害を発生させた場合には、当社グループの生産性、業績及び財政状態並びに社会的信用に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループではこれらのリスクに対応するため、生産拠点における労働安全衛生マネジメントシステム(ISO45001)におけるリスクアセスメントの実施、過去に発生させた事故の教訓を活かした安全教育や職場パトロールの定期化などにより労働災害・事故の発生防止に努めるほか、損害保険の付保により万一の災害発生に備えております。

⑥海外事業運営に関するリスク

当社グループでは、中国、東南アジア、インド、米国、欧州等に生産拠点や営業拠点を有しておりますが、各国若しくは地域の金融不安、政情不安、大規模災害の発生といったいわゆるカントリーリスクによって、当社の事業活動や従業員の安全に影響が及ぶ可能性があります。また当社グループによる人種、民族、国籍などに基づく差別的な行為や、生産拠点における児童労働、強制労働などの人権に反する行為があった場合には、社会的な信用の失墜による受注機会の喪失によって当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループではこれらのリスクに対応するため、海外戦略部門がグローバルに社内外のネットワークを構築して統括して情報を管理し、カントリーリスクの発生に対しては人命最優先で対応することとしております。また本社コンプライアンス通報窓口に海外拠点からの通報を可能にしていることに加え、中国及び東南アジアの一部の現地法人では独自の通報窓口を設置することにより、不適切な行為の早期発見、早期是正に取り組んでおります。

⑦資材調達に関するリスク

当社グループの製品・システムは多種多様な部品・製品等を使用しており、それらは適切なタイミングで納品される必要がありますが、代替が困難なものもあり、部品不足や取引先の倒産等によりそれらの供給が停滞した場合、出荷や竣工の遅れ等が発生する可能性があります。また当社グループと各種契約を締結している下請企業が倒産した場合や、当社がそれらの企業との取引において下請法に抵触した場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループではサプライチェーンの強化を図るため、資材部門において事業部横断的に取引先との更なるパートナーシップ強化を図るなど調達管理の徹底を推進するとともに、電子機器等供給サイクルの短い部品に関しては、将来の供給終了を想定した適正在庫の確保によって、これらのリスクへの対応を行っております。また、部品の仕様標準化を推進することにより可能な限り特定のサプライヤーに依存しない仕組みを整える一方、サプライヤーに対する当社による作業指導の推進によって複数の調達先を確保するなど、安定的な調達活動による部品の確保にも努めております。

⑧環境管理に関するリスク

当社グループでは新たな「中期経営計画2024」に示すとおりESG経営を標榜しており、環境管理に関しては数値目標及びその前提となる企業としての明確な方向性を示せない場合には、製品市場のみならず資本市場の大きな信用失墜を招き、受注機会の喪失、資本調達の制限、株価の低迷等により当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは2018年度に第一次明電環境ビジョンを策定しているほか、2021年度の組織編成においてESG推進室を設置し、ESG方針としての環境ドメイン製品への注力、環境負荷が低い事業体制の構築へ向けて努力することでこれらのリスクに対応しております。

⑨保有資産の価値変動に関するリスク

当社グループでは、有価証券等の金融資産を保有しているため、時価の変動によって評価損が発生する可能性があり、事業用の資産や企業買収の際に生じるのれんなど様々な有形・無形資産の保有につきましても、今後の経営環境の変化に伴ってこれらの資産の収益性が低下し投資額の回収が見込めなくなった場合には、その回収可能性を踏まえて減損損失を計上するため、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループではこれらのリスクに対応するため、政策保有株式を含む金融資産のポートフォリオを適宜精査するほか、海外の事業投資につきましてはスタッフ部門を含めた事前審査において市場成長率、現地雇用情勢、許認可法令の調査など多方面からの確認を行い、将来の事業計画の変動を最小限に抑えることによって、将来の大幅な損失の回避を図っております。

 

(3) 外部環境変化のリスク

①自然災害の発生

自然災害の激甚化により各種事業活動に支障をきたすリスクは一般に広く認識されているところであり、特に当社グループの主要な製造拠点は関東から東海地方の南海トラフ地震の想定被災地域あるいは沿岸地域等に存在しているため、大規模な地震が発生し津波・液状化等による重大な損害を受け、生産設備の稼働が困難になった場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループではこのようなリスクに対応するため、災害に対する事業継続についての方針・施策を審議・決定する機関として、BCM委員会を設置しており(BCM:Business Continuity Management)、経営レベルの戦略的な活動と位置づけ、BCPの策定や維持・更新、対策の実施や点検・改善、取組みを浸透させるための教育・訓練などに取り組んでおります。

また、当社グループの国内外各拠点で防災対策・防災訓練を実施するとともに、製造拠点での災害発生も想定したBCPの構築を推進しており、今後サプライチェーンも含めたBCP構築を目指してまいります。

②世界経済の動向

当社グループが事業活動を行っている日本、アジア、アメリカ、その他の市場において、景気後退により民間設備投資が減少した場合や公共事業の削減が行われた場合には、受注機会の減少により当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、販売各国の経済・社会情勢の動向を注視しつつ受注活動や投資活動を機動的に行っていくことでこのようなリスクに対応しております。

③法令、規制動向の変化

当社グループでは、日本国内のほか諸外国に製造・販売拠点等を有しております。各市場においては、各国の法律・規制等の変更により、適時に対応することが困難な場合には受注あるいは生産活動等に支障が生じる場合があり、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは国内のみならず一部海外にも法務要員を配置して法務部門の人員強化を図っており、各国の法令改正等に適時に対応することにより、これらのリスクに対処することとしております。

④急速な技術革新

当社グループは新製品、新技術の研究開発に積極的に投資をしておりますが、特に車の電動化・デジタル化、IoT、AI技術に対応した研究開発につきましては競合他社との競争も非常に激しい状況となっております。これらの開発が計画どおり進まず市場への投入が遅れた場合や競合他社が優れた技術を市場に投入した場合には、市場競争力を失い、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは市場の動向を常に注視し、マーケティングを強化して研究開発の質や開発スピードを強化して取り組んでおり、各開発案件の進捗についてレビューできる体制をとり、市場との整合性を適宜モニタリングしております。また、外部とのパートナーシップを強化し、相互の技術の強みを活かした新技術や新たな価値を創造することでこれらのリスクに対応しております。

⑤金利の変動

当社グループの借入金、コマーシャル・ペーパー及び社債は、2021年3月末時点で47,598百万円(総資産の17.1%)であり、今後の市場金利の動向によっては利息支払額の増減によって当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、将来見通しを含めた金利動向を定常的に予測し、適時に資金調達を行うことでこれらのリスクに対応しております。

 

(4) その他のリスク(提出日現在情報を記載しております)

①新型コロナウイルス

新型コロナウイルス感染症の世界的な流行は、当社グループにおいても中国、ASEAN及びインドをはじめとする海外拠点にも生産停止、部品調達の遅延、売上延期等の影響を及ぼしました。当社グループは、新型コロナウイルス感染予防のための出勤率抑制など働き方の見直しをはじめとした各種施策、及び業績への影響を極力抑えるための費用抑制策などを展開してまいりましたが、当連結会計年度連結業績への新型コロナウイルスの影響は極めて大きく、前連結会計年度比で減収減益となりました。

新型コロナウイルスへの具体的な対策としましては、「新型コロナウイルス対策行動指針」を策定し、従業員の安全衛生を第一とした感染防止を意識した行動(3密の回避、工場地区以外の出社者7割削減)を継続するとともに、国内の全工場は同指針に従い操業を継続する等により、事業活動への影響の低減を図っております。

また、海外拠点においても各国の政府方針に従い、それぞれ「感染防止行動基準」を策定し、在宅勤務や輪番出勤の導入、Webコミュニケーションツールの導入加速により、従業員の安全衛生と事業継続の両立を図っております。

世界的な人の移動につきましては制限が長期化すると見込んでおりますが、更なるWebコミュニケーションツールの活用により、「新しい日常」に向けた契機と捉え、新たな働き方を推進してまいります。

なお、2021年5月13日発行の当社決算短信において開示した2022年3月期の業績見通しは、新型コロナウイルスの影響が依然として一定程度は残るという想定で算定したものとなっております。

②重要な訴訟等

当社グループの事業活動に関連して、様々な事由により訴訟その他の請求が提起される可能性があり、その内容によっては当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社は、2018年1月31日に、連結子会社であるPRIME MEIDEN LIMITED(以下「PML社」)に関し、PCI Limitedほか6名のPML社少数株主から、会社価値を棄損し株主に損害を与えた等として、12,597百万インドルピー(約217億円(2018年2月1日適時開示時点))の賠償を求める仲裁申立てを受けておりましたが、2020年10月24日にPML社少数株主からの請求を全て棄却する仲裁判断を受領しました。

なお、2021年1月29日に、シンガポール高等裁判所より、PML社少数株主からの同仲裁判断の一部取消を求める以下の申立を受理した旨の連絡を受領しましたが、2021年6月15日に、シンガポール国際商事裁判所より、当該申立てを棄却する判決を受領しました。現時点において、本判決が当社の業績に与える影響は軽微であると考えております。

 

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(1)経営成績

当連結会計年度におけるわが国の経済は、新型コロナウイルス感染拡大による社会経済活動への影響が大きく、極めて厳しい状況にありました。 

一方、世界経済は、新型コロナウイルス感染拡大による景気の落ち込みに加え、米中貿易摩擦や半導体供給不足などもあり、国内同様厳しい環境下にありました。 

このような中、当社グループは、新型コロナウイルス感染予防のための出勤率抑制等働き方の見直しをはじめとした各種施策、及び業績への影響を極力抑えるための費用抑制策等を展開するとともに、「中期経営計画2020」にて掲げた「成長事業」、「収益基盤事業」、「新たな成長事業」の3つの事業領域における戦略的な投資などを推し進めてまいりました。

 

当連結会計年度(以下「当期」)の経営成績は、以下のとおりであります。

  (単位:百万円)

 

2020年3月

実績

2021年3月

実績

増減額

増減率(%)

売      上      高

255,748

231,254

△24,494

△9.6

営   業   利   益

12,725

8,384

△4,341

△34.1

経   常   利   益

11,481

8,465

△3,016

△26.3

親会社株主に帰属する

当期純利益

8,208

7,303

△904

△11.0

 

 

当期の営業利益は8,384百万円となり前連結会計年度(以下「前期」)と比較し4,341百万円減少しております。

当期の営業外損益につきましては、営業外収益が1,480百万円、営業外費用が1,399百万円となりました。

営業外収益の主な内訳は、受取利息及び配当金568百万円であります。営業外費用の主な内訳は、支払利息484百万円、訴訟関連費用187百万円であります。この結果、経常利益は8,465百万円となり前期と比較して3,016百万円減少し、売上高経常利益率は3.7%となっております。

当期の特別損益につきましては、特別利益が4,046百万円、特別損失が1,208百万円となりました。

特別利益の主な内訳は、固定資産売却益3,270百万円であります。特別損失の主な内訳は、新型コロナウイルス感染症による損失583百万円、固定資産除却損317百万円であります。

この結果、税金等調整前当期純利益は11,303百万円となり、法人税、住民税及び事業税、法人税等調整額合計で3,747百万円計上、及び非支配株主に帰属する当期純利益252百万円を計上したことにより、親会社株主に帰属する当期純利益は7,303百万円となっております。また、1株当たり当期純利益は160円98銭、自己資本利益率は8.0%となっております。

 

各事業分野における営業活動の状況は次のとおりであります。売上高につきましては、セグメント間の取引を含んでおります。

 

 なお、当社は2020年4月1日付で明電ナノプロセス・イノベーション株式会社を設立したことに伴い、当該事業のセグメント区分の変更を行っております。以下、前年同期比較につきましては、当該変更を反映した前年同期の数値を用いております。

 

① 社会インフラ事業セグメント

売上高は前期比8.2%減134,041百万円、営業利益は477百万円悪化3,177百万円となりました。

国内事業においては、新型コロナウイルスによる影響を現地工事で発生させないよう鋭意努力・展開を図り、電力エネルギー分野や水インフラシステム分野などにおいて、大型案件を着実に進行させることができました。一方、発変電分野や電鉄分野を中心とした海外事業につきましては、各国における活動制限や需要の減少などにより、前年度の実績を下回る業績となりました。

 

② 産業システム事業セグメント

売上高は前期比20.5%減52,401百万円、営業損失は3,558百万円悪化の286百万円となりました。

半導体産業の好調を受けた電子機器分野は、年間を通じて高い水準の需要があったものの、EV事業や自動車産業の設備投資の動向に左右されやすい電動力事業及び動力計測事業は、前年度の実績を大きく下回る業績となりました。

 

③ 保守・サービス事業セグメント

売上高は前期比1.2%増38,766百万円営業利益は90百万円改善5,778百万円となりました。

BCPや省エネ対応、設備延命化といった保守・サービスに関わる需要は、コロナ禍においても堅調であり、過去最高となった前期実績をさらに上回る業績となりました。

 

④ 不動産事業セグメント

売上高は前期並みの3,443百万円営業利益は3百万円悪化1,349百万円となりました。

 

⑤ その他

報告セグメントに含まれない事業において、新型コロナウイルスの影響に伴い事業環境が悪化したこと等から、売上高は前期比16.5%減16,567百万円、営業利益722百万円悪化135百万円となりました。

 

(生産、受注及び販売の状況)

① 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(百万円)

前年同期比(%)

社会インフラ事業

126,667

94.1

産業システム事業

50,467

79.9

保守・サービス事業

36,862

102.1

不動産事業

その他

2,647

86.2

合計

216,645

91.4

 

(注) 1.セグメント間取引につきましては、相殺消去しております。

2.金額は販売価格であり、消費税等を含んでおりません。

 

② 受注実績

当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高(百万円)

前年同期比(%)

社会インフラ事業

124,116

93.4

173,143

99.3

産業システム事業

45,805

74.9

13,313

75.4

保守・サービス事業

38,020

102.1

6,685

109.9

不動産事業

3,190

99.1

248

99.4

その他

10,231

105.3

3,124

172.8

合計

221,364

90.7

196,515

98.2

 

(注) 1.セグメント間取引につきましては、相殺消去しております。

2.金額は販売価格であり、消費税等を含んでおりません。

 

 

③ 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年同期比(%)

社会インフラ事業

131,662

92.1

産業システム事業

50,141

80.2

保守・サービス事業

37,358

102.5

不動産事業

3,192

99.2

その他

8,899

83.8

合計

231,254

90.4

 

(注) 1.セグメント間取引につきましては、相殺消去しております。

2.金額は販売価格であり、消費税等を含んでおりません。

 

(2)財政状態

当連結会計年度末(以下「当期末」)の総資産は、前連結会計年度末(以下「前期末」)比8,648百万円(3.2%)増加し、279,059百万円となりました。

流動資産は、現金及び預金の増加により、前期末比624百万円(0.4%)増加157,183百万円となりました。

固定資産は、設備投資による機械装置の増加、保有する上場株式の市場価値上昇に伴う投資有価証券の増加により前期末比8,024百万円(7.0%)増加121,876百万円となりました。

負債合計は、有利子負債が増加したものの、支払手形及び買掛金の減少により前期末比970百万円(0.5%)減少して179,322百万円となりました。

純資産合計は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上及びその他有価証券評価差額金の増加により、前期末比9,618百万円(10.7%)増加して99,736百万円となりました。

この結果、自己資本比率は前期末の32.2%から34.6%となりました。

 

(3) キャッシュ・フロー

当期末における現金及び現金同等物(以下、「資金」)は、前期末に比べ443百万円増加し、13,064百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は14,601百万円(前年同期は10,416百万円の獲得)となりました。
 収入の主な内訳は、税金等調整前当期純利益11,303百万円、減価償却費9,918百万円、売上債権の増減額2,945百万円であり、支出の主な内訳は、仕入債務の減少額6,529百万円、法人税等の支払額3,747百万円であります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は13,117百万円(前年同期は13,700百万円の使用)となりました。
 これは主に、有形及び無形固定資産の取得による支出15,615百万円によるものであります。
 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は1,402百万円(前年同期は3,735百万円の獲得)となりました。
 支出の主な内訳は、長期借入金の返済による支出4,370百万円、配当金の支払額2,041百万円であり、収入の主な内訳は、長期借入れによる収入3,503百万円、コマーシャル・ペーパーの発行による収入2,000百万円であります。

 

 (資本の財源及び資金の流動性に係る情報)

当連結会計年度における資金調達は、主として借入金及びコマーシャル・ペーパーをもって行いました。調達においては、長期・短期のバランスと安定性を考慮し、長期の借入も実施しております。

その結果、借入金、コマーシャル・ペーパー及び社債の残高は、前期比1,603百万円増の47,598百万円となりました。

また、既存のコミットメントラインを5,000百万円増額して30,000百万円とし、金融上のリスクに対応するために新たに20,000百万円のコミットメントライン契約を締結しております。

 

(4)  経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループでは「中期経営計画2020」の3年間を、飛躍に向けた「力強いステップ」のフェーズと位置づけ、海外変電事業やEVを中心とした成長事業への積極的な投資を実施し、最終年度である2020年度目標の達成を目指してまいりました。

投資につきましては、3年間合計で、設備投資27,998百万円、研究開発費29,394百万円、及びPHEV・EV用モータ・インバータ関連をはじめとする「成長投資」14,189百万円を実施し、ビジネスモデルの変革・生産性向上を通じた収益基盤事業の強化、半導体向け事業などの新たな成長事業の創出を着実に進めてまいりました。

しかしながら、新型コロナウイルスの影響により「中期経営計画2020」当初計画に対して、大きく下回る結果となりました。売上高は当初計画比17.4%減の231,254百万円、営業利益は当初計画比40.1%減の8,384百万円、経常利益は当初計画比37.3%減の8,465百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は当初計画比22.3%減の7,303百万円となりました。当初目標値を達成することはできませんでしたが、2019年度に過去最高益を達成するなど、この3年間を通じて、着実に『稼ぐ力』の強化は進んだと考えております。

新中期経営計画「中期経営計画2024」(2021~2024 年度)においては、この4年間を「JUMP」のフェーズと位置づけ、これまでの投資や取組みの成果の創出を実現させます。また、事業規模拡大と均衡のとれた事業構成、利益率向上による「質の高い」成長の実現、世界的な気候変動による環境問題の深刻化を踏まえてESGを軸とした経営・事業戦略への深化、そして両利きの経営を推進することで、2024 年度以降における持続的な成長の実現に努めてまいります。

最終年度の収益目標につきましては、売上高300,000百万円、営業利益18,000百万円の営業利益率6.0%、財務目標につきましては、ROIC8.0%、ROE10%を目標とします。また、利益目標を着実に達成することで、2024年度に自己資本120,000百万円まで引き上げ財務安定性の確保を図り、ネットD/Eレシオは0.3以内とすることを目指します。

「中期経営計画2024」の初年度の収益目標につきましては、売上高245,000百万円、営業利益10,000百万円、経常利益10,000百万円、親会社株主に帰属する当期純利益7,000百万円としております。

 

「中期経営計画2020」当初計画に対する2020年度実績と「中期経営計画2024」目標

指標

2020年度(実績)

2020年度(当初計画)

2024年度(目標)

売上高   (百万円)

231,254

280,000

300,000

営業利益  (百万円)

8,384

14,000

18,000

経常利益  (百万円)

8,465

13,500

17,500

親会社株主に帰属する
当期純利益 (百万円)

7,303

9,400

12,000

 

 

ROE     (%)

8.0

10.0

10.0

ROIC    (%)

4.2

7.0

8.0

営業利益率   (%)

3.6

5.0

6.0

自己資本額 (百万円)

96,535

100,000

120,000

 

 

(5)  重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。

この連結財務諸表の作成にあたって、連結貸借対照表上の資産、負債の計上額、及び連結損益計算書上の収益、費用の計上額に影響を与える見積りを行う必要があります。

会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。

なお、連結財務諸表の作成に当たり採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表」の(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)に記載しております。

 

①有形固定資産及び無形固定資産の減損

当社グループは、有形固定資産及び無形固定資産について、見積耐用年数にわたり、主として定率法または定額法により償却しております。これらの有形固定資産及び無形固定資産について、帳簿価額が回収できない可能性を示す事象や状況の変化が生じた場合に、減損の判定を行っております。減損が生じていると判断した場合、当該資産の帳簿価額が回収可能価額を上回る金額を、減損損失として計上しております。
 回収可能価額は、使用価値と正味売却価額のうち、いずれか高い金額としております。使用価値の算定においては、見積り将来キャッシュ・フローを、貨幣の時間価値及び資産固有のリスクを反映した割引率を用いて現在価値に割り引いて算出しております。

なお、一部の子会社の買収時に発生したのれんの価値算定においては、過去実績、収益と費用の予測、将来の市場の成長度合、経営者により承認された事業計画の実現可能性度合、適切な市場における比較対象等の前提条件を使用しております。また、割引率の算定にあたっては、独立した外部の評価機関を利用しております。

2021年3月31日時点における評価において、連結財務諸表では減損損失の計上はありませんが、個別財務諸表において当社のインド子会社PRIME MEIDEN LIMITEDの株式の評価損を2,540百万円計上しております。

これらの前提条件の見積りに関する評価は合理的であると判断しておりますが、予測不能な前提条件の変化等により回収可能価額の評価に関する見積りが変化した場合には、更に減損損失の計上が必要となる可能性があります。

また、会計上の見積り及び仮定については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」をご参照ください。

 

②繰延税金資産

当社グループは、将来の課税所得の見込みにより、回収可能と判断した部分につきましては評価性引当額を認識しておらず、繰延税金資産を計上しております。

繰延税金資産の回収可能性を評価するに際しては、過去実績、将来の課税所得及びタックス・プランニング等を考慮し、慎重に検討しておりますが、予測不能な前提条件の変化等により回収可能性の評価に関する見積りが変化した場合には、繰延税金資産の修正が必要となる可能性があります。

 

③受注損失引当金

当社グループは、受注契約に係る将来の損失に備えるため、翌連結会計年度以降の損失発生見込額を計上しております。実際の発生原価が見積りと異なる場合、引当金の追加計上が必要となる可能性があります。

 

④製品保証引当金

当社グループは、納入した製品の無償補修費用の支出に備えるため、無償補修費用を個別に見積り算出した額を計上しております。実際の補修費用が見積りと異なる場合、引当金の追加計上が必要となる可能性があります。

 

⑤退職給付に係る負債

従業員の退職給付債務及び費用は、割引率、昇給率、退職率、死亡率、長期期待運用収益率等の前提条件を用いた年金数理計算により見積られます。特に割引率及び長期期待運用収益率は、退職給付債務及び費用を決定する上で重要な前提条件であります。

割引率は、測定日時点における従業員への給付が実行されるまでの予想平均期間に応じた優良債券の利回りに基づき決定しております。長期期待運用収益率は、債券及び株式等の投資対象資産グループ別の長期期待運用収益の加重平均に基づき決定しております。

当社グループは、年金数理計算上用いられる前提条件と方法は適切であると判断しておりますが、前提条件と実際の結果が異なる場合、又は前提条件の変更がある場合には、当社グループの退職給付債務及び費用に影響を与える可能性があります。

なお、割引率及び長期期待運用収益率がそれぞれ0.5%変動した場合の連結財務諸表への影響は以下のとおりであります。

 

 

 

退職給付費用

退職給付債務

割引率

0.5%上昇

98百万円の減少

2,663百万円の減少

0.5%低下

103百万円の増加

2,913百万円の増加

長期期待運用収益率

0.5%上昇

34百万円の減少

0.5%低下

34百万円の増加

 

 

⑥工事進行基準

当連結会計年度末までの進捗部分について成果の確実性が認められる工事につきましては、工事進行基準(工事の進捗率の見積りは原価比例法)を適用しております。

工事進行基準による完成工事高の計上は、工事原価総額の見積りにより収益及び損益の額に影響を与えます。工事原価総額の見積りは当初は実行予算によって行っております。実行予算作成時には、作成時点で入手可能な情報に基づいた仕様や材料価格について仮定を設定し、作業効率等を勘案して各工事毎に詳細に積み上げることによって工事原価総額を見積ります。着工後は、プロジェクト毎に実際の発生原価と対比して適時・適切に工事原価総額の見直しを行っております。
 工事原価総額の見積りに用いられる前提は適切であると判断しておりますが、想定していなかった原価の発生等により工事進捗度が変動した場合は、完成工事高及び完成工事原価の修正が必要となる可能性があります。

また、会計上の見積り及び仮定については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」をご参照ください。

 

4 【経営上の重要な契約等】

 当連結会計年度においては、当該事項はありません。

 

5 【研究開発活動】

「中期経営計画2020」の3か年を通じて、近年の社会課題の解決を目的とし、研究開発を実施してまいりました。環境問題への対応としては、温暖化係数の高いSF6ガスの使用排除を目指し、真空応用技術・製品の強化を実施してまいりました。車の電動化に関しては、小型・軽量化及び高出力密度化を目指した駆動システムの開発を進めております。また、人手作業・熟練作業の自動化・省力化、自然災害への対策などIoT・AI等デジタル技術を活用した新製品・新システムの創出に注力してまいりました。

当連結会計年度の研究開発費の総額は、連結売上高の4.1%にあたる、9,468百万円でした。各事業セグメント別の研究開発費は、社会システム事業セグメントで3,017百万円、産業システム事業セグメントで3,551百万円、保守・サービス事業セグメントで316百万円、その他で131百万円でした。また、研究開発本部等で実施している全社共通の研究開発費は2,450百万円でした。

当連結会計年度の研究開発の主な取組みは次のとおりであります。

(1)環境問題への対応

電力分野では、環境負荷の低減を目的とし、真空遮断器(VCB)のラインアップ拡充に取り組みました。

ASEAN市場向けには、24kVクラスガス絶縁スイッチギヤ(C-GIS)の脱SF6ガス化に向けて、主回路の一部の絶縁媒体を固体絶縁化したC-GISの開発を完了しました。更に大容量・小型化の開発を進め、ASEAN市場での電力需要の拡大に貢献します。

また、北米市場においては環境規制が高まる中、高電圧クラスのVCBにも脱SF6ガスの使用規制が拡大されております。その市場ニーズに対応するため、245kVクラスVCBの脱SF6ガス化を目標に、真空インタラプタ(VI)の基盤技術開発に取り組んでおります。

再生可能エネルギー分野では、子会社のイームル工業と共同で、水力発電用水車の効率を向上させる流体シミュレーション技術を確立しました。この技術を用いた水車と発電機を組み合わせることにより水力発電の総合効率を向上させ、水力発電の普及に貢献します。

(2)車の電動化への対応

機電一体型(モータ・インバータ)EV駆動システムの小型化・高性能化を目的として、平角線を用いた駆動システムの製品化を完了しました。次世代製品としては、モータ・インバータに加え、ギヤも一体とした「MEIDEN e-Axle」の製品化を目指し開発をしております。

また、自動車試験用動力計測事業では、EV用モータに求められる高速・高トルクに対応したEV用ダイナモメータを製品化しました。今後拡大するEVの普及に貢献してまいります。

これらを支える基盤技術として、高速モータ技術(ロータ強度向上)、制振制御技術、音振動解析技術を確立しました。

(3)IoT・AI等デジタル技術の強化

甚大化する自然災害に対する課題解決として、水クラウドサービス(AQUA SMART CLOUD)を活用した「洪水・浸水対策支援サービス」の実証試験を開始しました。下水道管路内や地上の水位をクラウド上で一元管理し、避難発令や救助判断などに役立てることができます。

鉄道設備のメンテナンス分野では、画像解析技術を用いた架線検測装置の機能拡充を進め、架線だけでなく、支持金具の異常や架線周辺の支障物検知などの新たな検知技術を開発しました。

なお、2020年度、架線検測装置の摩耗測定技術で「文部科学大臣表彰科学技術賞」を受賞しました。

また、コロナ禍により省人化・省力化の要求が加速している設備の監視業務向けとして、クラウドを活用したデータの自動収集、稼働状況の解析・分析技術などのリモート監視技術の基盤技術開発に注力しております。