(1) 会社の経営の基本方針
当社グループの企業理念は、「より豊かな未来をひらく」ことを企業使命とし、「お客様の安心と喜びのために」を提供価値としております。当社グループは、より豊かで住みよい未来社会の実現に貢献するため、新しい技術と価値の創造にチャレンジし続けるとともに、お客様の安心と喜びのために、環境への配慮と丁寧なサポートを徹底し、品質の高い製品・サービスを通じてお客様の課題解決や夢の実現をお手伝いします。
(2) 会社の対処すべき課題
①明電グループのありたい姿・ビジョン
当社グループは、2050年の世界観を見据えたうえで、2030年のありたい姿・ビジョンを策定しております。事業環境変化の速さ・激しさが増す中、当社グループが持続的に成長していくためには、メーカという枠組みを超えて、社会が抱える課題を先回りして解決する「社会づくりに挑むソリューション・デザインができる企業」になる必要があります。こうした背景を踏まえ、ありたい姿・ビジョンを「地球・社会・人に対する誠実さと共創力で新しい社会づくりに挑む」、当社グループが果たす具体的な役割として、人々の幸せと持続可能な地球環境を実現する「サステナビリティ・パートナー」と設定しております。
当社グループの強みが活きる事業領域として、「リニューアブルエナジー」「サステナブルインフラ」「グリーンモビリティ」「スマートインダストリー」があります。創業以来120年以上培ってきた電気に関する知見と、社会の基盤を支えてきた様々な運用ノウハウを大いに発揮できる領域です。これらの領域で「カーボンニュートラル」「ウェルビーイング」といった提供価値を軸に、事業の拡大・事業基盤の変革を通じて、社会に貢献してまいります。

②中期経営計画2024
ありたい姿・ビジョンの達成に向け、2021~2024年度の4年間を対象とする中期経営計画2024を展開しております。中期経営計画2024は、ありたい姿・ビジョンからバックキャストし、「HOP」の「Ⅴ120」、「Powerful STEP」の「中期経営計画2020」の成果を元に、「質の高い成長」を実現する「JUMP」フェーズの基本方針と戦略です。初年度である2021年度は、アフターコロナを見据えて戦略を詰める期間とし、2022年度から2024年度は具体的な戦略を実行するフェーズと位置づけております。
当社グループが対処すべき課題として、①各事業の収益力向上・状況に合わせたビジネスモデルの見直し・競争力強化、②世の中でより一層重視されている環境・社会への対応、③新しい社会づくりに挑むため、社会変化に合わせたビジネスモデル変革のためのイノベーション活動の推進・事業ポートフォリオの在り方の見直し、が挙げられます。こうした状況を踏まえ、中期経営計画2024では、以下の3つの基本方針を掲げ、戦略実行・施策展開を進めております。
ⅰ基本方針1.質の高い成長
■財務目標
中期経営計画2024では、目標の実現に向けて、以下の3つのテーマを掲げました。このテーマに基づき、アフターコロナを見据えたうえでサステナビリティをエンジンに、投資回収、マネタイズ、資本効率性を意識した戦略を立案し、売上高成長、収益性・効率性向上を目指しております。
①成長事業の飛躍
EV事業や再エネ関連事業等、将来のコアとなる事業の売上・収益力の向上
②収益基盤の競争力強化
ソリューション・デザインによる価値提供などを通じたインフラ事業の競争力強化
③海外事業の収益力向上
インド及びベトナム子会社、米国子会社に関する成長投資成果の早期創出と安定的な成長の実現
●財務目標達成に向けたイメージ図

■事業の方向性
①電力インフラグループ
国内市場においては、発変電設備の新規案件が少なく、市場の拡大が見込めない中で、再エネ関連事業やスマートグリッド、分散電源といった新たな取組みを通じて収益を確保していくこと、そして成長が見込める海外市場においては、グローバルメジャーや現地メーカとの激しい競争に打ち勝ち、収益を上げていくことが課題です。特にインド、ベトナム、アメリカでのビジネスを早期に軌道に乗せ、新たな収益基盤に進化させることが、中期経営計画2024期間中の最大の経営課題の1つと考えております。
②社会システムグループ
国内における人口減少や地方自治体の財政悪化、技術者の高齢化は、本事業グループにとって非常に大きな影響を与える要因であり、海外事業においては、大型化・複雑化するEPCプロジェクトのマネジメント強化が課題となっております。また、急速に進展するデジタル化への対応を進めることも重要な経営課題と認識しております。
③産業電子モビリティグループ
本事業グループにおいては、世界的な電動化・デジタル化の流れは大きな追い風になる一方、モビリティT&Sの内燃機関向け事業は厳しい状況となっており、自社技術・製品の差別化と業界でのポジション確保が重要です。また、景気変動の影響を大きく受けるため、先行きの不透明な昨今においては、急激な変化に対応していくことが本事業グループの課題と認識しております。
④フィールドエンジニアリンググループ
事業環境としては、昨今の自然災害の頻発に伴うBCP・防災意識の向上や設備の延命化ニーズの拡大、お客様における保守技術要員不足を背景に、保守サービスに対する需要がある一方で、国内人口の減少を背景に、社会インフラ市場は徐々に縮小が予想されます。このような環境の中で、メンテナンスストックを維持していくとともに、高齢化する技術員を確保することが大きな課題です。
ⅱ基本方針2.サステナビリティ経営(ESG経営)の推進
当社グループのありたい姿・ビジョンの実現に向けて、「地球環境」「社会・人」「企業」の3つの視点からサステナビリティを捉え、中期経営計画2024で達成すべき施策の具体化及び目標指標(KPI)の設定・施策の展開を進めております。
■地球環境のサステナビリティ
当社グループでは気候変動問題を企業として取り組むべき重要な課題と認識し、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)に沿ったリスク・機会の検討・戦略への織込みを実施しております。TCFD提言に基づき、「ガバナンス体制」「リスク管理」「戦略」「目標指標」の4項目に沿って、体制・内容の一層の強化及び積極的な情報開示を進めてまいります。
<2021年度からの取組み>
2021年度は、社内環境負荷低減の観点から、生産拠点における再エネ調達を進めております。太田事業所では、群馬県内の水力発電所を由来とするCO2フリー電力調達を開始し、順次再エネへの切り替えを進めております。また、社内設備の環境負荷低減を目指し、環境投資を促進するインターナルカーボンプライシングの導入・運用を開始しております。
■社会・人のサステナビリティ
当社グループでは、新しい社会の姿の1つとして「安心・豊かさ・ワクワクを感じられる社会」「様々なコミュニティや人が共生できる社会」を目指しており、その実現に向け、各種取組みを進めております。
①安心・豊かさ・ワクワクを感じられる社会の実現
品質の高い製品・システム・サービス・保守のシナジーを活かしつつ、地域が直面する課題に対し領域横断で解決策を提示する「ソリューション・デザイン」を通じて、レジリエントでサステナブルな地域の基盤づくりに取り組んでおります。コロナ禍においても、ものづくりのQualityを落とさずに出荷・納入できるよう、リモート技術を活用したラインの構築などの取組みを進めております。また、沼津版スマートシティ「X-Tech NUMAZU」の推進に携わり、再エネの活用や能動的市民の育成を通じた住み続けたいまちづくりに挑んでおります。
②様々なコミュニティや人が共生できる社会の実現
企業価値の向上・事業拡大をしていくうえで最も重要な資産が人財であり、従業員一人ひとりの多様な個性・価値観を尊重し、能力を最大限に発揮できる土壌を作ることが、中期経営計画2024の目標達成には不可欠です。
この考えのもと、当社グループでは、国籍・人種・宗教・性別・年齢・障がいの有無などによる差別は認めず、児童労働や強制労働の一切を排除することを支持しております。また、グループ内のダイバーシティ&インクルージョン促進を進めており、今後は女性活躍推進のロールモデルとなる人財の早期育成、グローバル化促進の礎となる外国籍の役員候補の育成に注力してまいります。
従業員が安全・健康な状態で生き生きと働くことができるよう、働き方改革や労働安全衛生の向上、健康経営の推進にも力を入れております。その結果、前年に引き続き、経済産業省が認定する「健康経営優良法人~ホワイト500~」に認定されております。
■企業のサステナビリティ
あらゆる変化に素早く対応し、透明・公正な意思決定を行うこと、そしてステークホルダーの利益を高める経営をすることが、コーポレートガバナンスの本旨だと考えており、意思決定・監督機能の強化、透明性の向上、取締役会の活性・充実化といった観点で、コーポレートガバナンス・コードへの対応強化を引き続き行ってまいります。2021年度は、監査等委員会設置会社移行後のモニタリング型の取締役会を志向する取組みとして、取締役会における重要な業務執行決定の一部を常務会に委任し、「経営の基本方針に関する事項」を中心とした「協議事項」を新設しました。
また、リスクマネジメント・内部統制の取組みも強化しており、改正個人情報保護法への対応強化や、昨今話題となった品質不正に関して、実査と潜在リスクの観点から再点検を改めて実施するなど、変動する重要リスクに応じた柔軟な活動を展開しております。
そして、事業を推進するうえで、様々なステークホルダーとの良好な関係・信頼関係が必要不可欠です。独りよがりでない関係性構築に向け、中期経営計画2024においてステークホルダーロイヤリティを数値化する指標(NPS®(注):ネット・プロモーター・スコア)を導入し、明らかになった課題を迅速に改善させることで、ロイヤリティの向上を目指してまいります。
(注)NPS®は、ベイン・アンド・カンパニー、フレッド・ライクヘルド、サトメトリックスシステムズの登録商標です。
ⅲ基本方針3.両利きの経営の推進

新しい社会づくりに挑むため、社会変化に合わせたビジネスモデル変革のために、持続的にイノベーション創出ができる組織になること、そして事業ポートフォリオの見直しが必要不可欠です。中期経営計画2024ではイノベーションを支える人と組織、両輪の強化を目指し、①イノベーションプロセスの整備、②イノベーション人財の確保・育成、③新たな社会ニーズの探索・共創、の重点実施事項に取組み、成果創出を目指してまいります。
2021年度は、同年に設置された「イノベーション戦略委員会」を中心に、上記重点実施事項の施策検討・展開に取り組んでまいりました。組織・個人から出てきた新規事業テーマの育成・加速をするとともに、社内研修展開やベンチャーキャピタルファンド等と連携した人財育成施策の展開により、イノベーション活動の核となる人財の育成に取り組みました。
事業ポートフォリオの在り方につきましては、社長をリーダーとする役員で構成された検討チームを組成して検討を開始いたします。そこで10年後、20年後の時代の変化を見据えながら、自社のコアコンピタンスをどう進化させていくかを中心に、現状に縛られないフラットな視点で検討を進めてまいります。
(1) リスクマネジメントの体制
当社グループでは、下図のとおりスリーラインモデルによるリスクマネジメント体制を構築しております。工場や関係会社を含む事業部門(第1ライン)では、リスク統制自己評価制度(Control Self-Assessment = CSA)を導入し、各部門が自らのリスクの抽出、評価、コントロールを実施しており、スタッフ部門(第2ライン)は第1ラインのリスクコントロールをサポートしております。更に内部監査部門(第3ライン)は定期的な監査の実施により、第1ラインのCSAのサイクルや第2ラインのサポートが有効に機能しているかを検証します。この内部監査によるCSAの状況が随時、常務会・取締役会及び主要な当社経営層に報告されております。
また、リスクマネジメントを統括する内部統制推進部がCSAによるリスク情報と第2ラインの管轄するリスク情報を集約して、経営層が審議すべき全社重要リスクを取りまとめ、リスクマネジメント委員会の審議を経て経営層に上程することにより、経営層が全社重要リスクの審議と決定に関与する仕組みになっております。
更にグループガバナンスを向上させるため、グループ会社内部統制委員会を年2回開催し、各社のCSAの状況報告を受けるとともに当社グループ全体の重要リスク情報を共有しております。

リスクマネジメントに関連する部署として、内部統制推進部は平時のリスクマネジメントに加えて有事の発生に対応するためのBCM委員会を管掌しており、リスクが発現した場合に備えるBCP(事業継続計画)を策定し、グループ全体への浸透を推進しております。またリスクマネジメントの重要な位置づけとしてコンプライアンスを司る総務・法務部をガバナンス本部内に集約しております。

なお、上記体制図及び組織図に示す「リスクマネジメント委員会」と「グループ会社内部統制委員会」は、管理部門全般を管掌する取締役兼専務執行役員がそれぞれの委員長として統括しております。
(注)BCM = Business Continuity Management(事業継続マネジメント)
BCP = Business Continuity Plan(事業継続計画)
(2) リスクマネジメント体制の運用
第1ラインのCSAはすべての部門において各年度末にリスクやそのコントロールの見直しが行われ、その結果を踏まえた翌年度のリスクマネジメント確認表が作成されます。なお、リスクの抽出にあたっては、網羅性を確保する観点から120項目にわたるリスク事例表を参考にしており、各部門で抽出された重要なリスクは「影響度」と「発生可能性」の二軸で評価されております。

第1ラインのCSAによる各部門の重要リスク情報は、事業グループ単位のリスクディスカッションを経て内部統制推進部に集約され、内部統制推進部は第1ラインのリスク情報と第2ラインのリスクコントロール状況を加味し、全社的に認識すべき重要リスクの一覧表を作成します。
この重要リスク一覧表は、常務会構成員によるグループディスカッション及び会長、社長の指示を経てリスクマネジメント委員会の議題として提出されます。スタッフ部門長によって構成されるリスクマネジメント委員会は年2回開催されており、重要リスク一覧表をベースに事業リスクの評価とコントロール方法が審議されます。その結果は常務会、取締役会に報告され、経営層はそれらのリスクマネジメントについて議論する仕組みとなっております。

上記の経営層による議論の結果、当社グループは、本有価証券報告書に記載している事業のうち、投資者の判断に重大な影響を及ぼす可能性のあるリスク事象は下記のとおりと考えております。重要なリスク事象を抽出にあたっては、発生可能性よりも影響度の大きさを優先しておりますが、必ずしも重大な影響を及ぼすと判断できないものにつきましても積極的な情報開示の観点から記載しております。これらのリスクの内容とシナリオ及び対応策については、適宜取りまとめて下記(4)「重要な事業リスクの内容と対応策」に記述しております。

上記のリスク事象に関するリスクシナリオと対応策は以下のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(5) 危機管理(クライシスマネジメント)の体制
当社グループでは災害が現実に発生した場合に備えるため、事業継続計画(BCP)基本方針書を制定しており、その基本的な方針を次のとおりとしております。
①災害時においては、全従業員・家族・お客様の安全確保を最優先して対応する。
②社会インフラを支える企業としての社会的責任に鑑み、災害からの早期復旧・復興に貢献する。
③お客様及び当社事業への影響を最小限に留める。
また、災害に対する事業継続についての方針・施策を審議・決定する機関として、常務会構成員による、社長を委員長とするBCM委員会を設置しております。BCM委員会は年2回開催されており、委員会に属する推進会議や連絡会の場を通じてBCPの策定や維持・更新、対策の実施や点検・改善、取組みを浸透させるための教育・訓練を推進しております。

災害が現実に発生した場合には、社長を本部長とする全社災害対策本部が設置され、災害発生時の初動フェーズから復旧フェーズに至るまでチームごとに分担を決めて対応する仕組みになっております。

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 経営成績
当連結会計年度におけるわが国の経済は、持ち直しの動きが見られたものの、新型コロナウイルス感染拡大による社会経済活動への影響は依然として大きく、厳しい状況が続きました。
一方、世界経済においては、新型コロナウイルス感染拡大に伴う景気の落ち込みからの回復基調が見えつつあったものの、年度の後半にかけては、原材料費や輸送費の高騰、地政学リスクなどの懸念すべき要素が顕在化しました。
このような中、当社グループは、計画期間を4か年とする「中期経営計画2024」の初年度として、EVや再生可能エネルギーなどの成長事業への投資と収益向上に向けた取組みに加えて、収益基盤事業である社会インフラ関連事業や電子機器事業の強化を推し進めてまいりました。
当連結会計年度(以下「当期」)の経営成績は、以下のとおりであります。
(単位:百万円)
当期の営業利益は9,468百万円となり前連結会計年度(以下「前期」)と比較し1,084百万円増加しております。
当期の営業外損益につきましては、営業外収益が2,046百万円、営業外費用が1,308百万円となりました。
営業外収益の主な内訳は、受取利息及び配当金638百万円であります。営業外費用の主な内訳は、支払利息564百万円、訴訟関連費用150百万円であります。この結果、経常利益は10,206百万円となり前期と比較して1,741百万円増加し、売上高経常利益率は3.7%となっております。
当期の特別損益につきましては、特別利益が2,729百万円、特別損失が2,951百万円となりました。
特別利益の主な内訳は、固定資産権利変換益2,157百万円であります。特別損失の主な内訳は、固定資産圧縮損2,157百万円、減損損失500百万円であります。
この結果、税金等調整前当期純利益は9,984百万円となり、法人税、住民税及び事業税、法人税等調整額合計で3,030百万円計上、及び非支配株主に帰属する当期純利益220百万円を計上したことにより、親会社株主に帰属する当期純利益は6,733百万円となっております。また、1株当たり当期純利益は148円43銭、自己資本利益率は6.8%となっております。
各事業分野における営業活動の状況は、次のとおりであります。売上高につきましては、セグメント間の取引を含んでおります。
当社は、当連結会計年度より、セグメント区分の見直しを実施しております。具体的には以下のとおりです。
・「社会インフラ事業」セグメントを、「電力インフラ事業」セグメントと「社会システム事業」セグメントに分割
・「産業システム事業」セグメントを、「産業電子モビリティ事業」セグメントに名称変更
・「保守・サービス事業」セグメントを、「フィールドエンジニアリング事業」セグメントに名称変更
新たな中期経営計画の開始に合わせる形で、当連結会計年度より、当社は社内の機構改革を行い、上記の対外セグメント区分と同様に、社内の組織体制も変更しております。この機構改革に伴い、各事業グループの損益責任を明確にするほか、個別最適を脱して、より全体最適に近い事業判断や意思決定が行われる組織体制の実現を目指しております。
以下の前年同期比較分析については、前年同期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。
① 電力インフラ事業セグメント
売上高は前年同期比13.8%増の52,300百万円、営業損失は1,590百万円悪化の1,899百万円となりました。
海外を主体とする発変電分野については、シンガポールにおける需要の回復や米国現地法人の稼働本格化に伴い増収したものの、新型コロナウイルスの影響等を背景に、ベトナムやドイツ等の一部の海外拠点において収益性が悪化したことから、減益となりました。また、国内主体の電力エネルギー分野については、大型案件の着実な進行により売上は前期並みとなった一方、既報のとおり、風力発電所の建て替えに伴う減価償却費負担の増加等により、減益となりました。
② 社会システム事業セグメント
売上高は前年同期比6.8%増の94,701百万円、営業利益は2,771百万円改善の6,103百万円となりました。
電鉄分野を中心に、新型コロナウイルスの影響に伴う国内外での需要減少やお客様の計画延期といった下押しの影響を大きく受けたものの、国内における堅調な受注が継続している水インフラ分野や東南アジアの現地法人を中心に収益性の回復が見られた社会システム事業がカバーしたことにより、セグメントの売上及び利益は、前期の実績を大きく上回りました。
③ 産業電子モビリティ事業セグメント
売上高は前年同期比21.8%増の63,817百万円、営業損失は116百万円悪化の248百万円となりました。
半導体産業の好調を受けた電子機器分野は、年間を通じて高い水準の需要があり増収増益となったほか、EV事業においても、新車種への納入を開始したこと等を受けて、売上及び利益ともに前期実績を上回りました。一方、依然として事業環境が厳しいモビリティT&S事業が大幅な赤字を計上したほか、素材・部材価格の高騰等を受け、電動力ソリューション事業も減益となりました。
④ フィールドエンジニアリング事業セグメント
売上高は前年同期比2.0%増の39,541百万円、営業利益は157百万円改善の5,937百万円となりました。
新型コロナウイルスの影響を背景としたプロジェクトの発注延期等が前期に見られた分野において需要が回復したほか、半導体製造装置向け事業の好調を受け、売上及び利益ともに、過去最高となった前期実績をさらに上回りました。
⑤ 不動産事業セグメント
前期に、賃貸用に保有していた一部の資産を売却したことから、売上高は前年同期比6.9%減の3,206百万円、営業利益は195百万円悪化の1,153百万円となりました。
⑥ その他
報告セグメントに含まれない事業において、前期以降、新型コロナウイルスの影響に伴う事業環境の悪化が発現しておりましたが、今期はその一部で改善が見られた一方、引き続き収益の下押し影響が残る事業では、業績の持ち直しに至りませんでした。
この結果、売上高は前年同期比1.9%増の16,888百万円、営業利益は31百万円悪化の104百万円となりました。
(生産、受注及び販売の状況)
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) セグメント間取引につきましては、相殺消去しております。
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) セグメント間取引につきましては、相殺消去しております。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) セグメント間取引につきましては、相殺消去しております。
(2) 財政状態
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末(以下「前期末」)比11,839百万円(4.2%)増加し、290,899百万円となりました。
流動資産は、売上債権及び棚卸資産の増加により、前期末比14,111百万円(9.0%)増加の171,294百万円となりました。
固定資産は、保有する上場株式の売却による投資有価証券の減少により、前期末比2,271百万円(1.9%)減少の119,604百万円となりました。
負債合計は、支払手形及び買掛金、退職給付に係る負債の増加により、前期末比6,154百万円(3.4%)増加して185,477百万円となりました。
純資産合計は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上及び為替換算調整勘定の増加により、前期末比5,684百万円(5.7%)増加して105,421百万円となりました。
この結果、自己資本比率は前期末の34.6%から35.1%となりました。
当期末における現金及び現金同等物(以下、「資金」)は、前期末に比べ190百万円増加し、13,254百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は11,389百万円(前年同期は14,601百万円の獲得)となりました。
主な収入は、減価償却費11,929百万円、税金等調整前当期純利益9,984百万円、仕入債務の増加額2,702百万円であり、主な支出は、売上債権及び契約資産の増加額10,346百万円、法人税等の支払額3,869百万円であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は7,503百万円(前年同期は13,117百万円の使用)となりました。
主な支出は、有形及び無形固定資産の取得による支出8,913百万円によるものであり、主な収入は、投資有価証券の売却による収入1,375百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は4,266百万円(前年同期は1,402百万円の使用)となりました。
主な支出は、長期借入金の返済による支出9,390百万円、コマーシャル・ペーパーの返済による支出3,000百万円、配当金の支払額2,405百万円であり、主な収入は、長期借入れによる収入9,380百万円であります。
(資本の財源及び資金の流動性に係る情報)
当連結会計年度における資金調達は、主として借入金及びコマーシャル・ペーパーをもって行いました。調達においては、長期・短期のバランスと安定性を考慮し、長期の借入も実施しております。
その結果、借入金、コマーシャル・ペーパー及び社債の残高は、前期比868百万円増の48,466百万円となりました。
また、コミットメントラインは、新型コロナウイルスを考慮して前期に20,000百万円増枠しましたが、資金調達市場に与える影響が減少したことから、当期は10,000百万円減枠して40,000百万円としました。
当社グループでは、2021年度が初年度となる「中期経営計画2024」において、ESGを経営、事業戦略の軸に据え、その実行のため従来の事業部・工場・関係会社を4つのグループに再編し、研究開発・設備投資等の戦略施策を機動的に実施してまいりました。
投資につきましては、2021年度は、設備投資10,748百万円、研究開発9,869百万円を実施してまいりました。加えて、EV関連では、生産能力整備に関する小規模の投資を実施し、パートナーシップ関連では、ベトナムの配電盤製造会社への追加出資やインド変圧器拠点の株式追加取得を実施してまいりました。
しかしながら、新型コロナウイルスの影響を色濃く受けた前期から回復を見せたものの、EV事業の生産ライン整備や風力発電所リプレースに伴う償却負担の増加など、将来投資による費用負担もあり、売上高は当初計画比4.1%増の255,046百万円、営業利益は当初計画比5.3%減の9,468百万円、経常利益は当初計画比2.1%増の10,206百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は当初計画比3.8%減の6,733百万円となりました。当社を取り巻く事業環境のうち、素材・部材価格の高騰に伴う損益の押し下げ影響により当初計画比で増収減益の結果となりました。
営業利益100億円の目標には一歩及びませんでしたが、機構改革の実施や全社横断テーマのプロジェクト活動を通じて経営基盤の強化を推進しており、ROICや営業利益率は前期比で改善しております。「中期経営計画2024」最終目標の達成に向けて、引き続き資本効率を意識した経営を進めてまいります。
「中期経営計画2024」では、「2030年までに目指したい社会」を定義し、私たちの「ありたい姿」と「ビジョン」、「大事にする価値観」を描いた上で、2024年度を最終年度とする4か年の計画を2021年4月に策定しました。その中で初年度である2021年度は、コロナ禍から回復しつつ2022年度から2024年度まで3か年の具体的な戦略を詰めるフェーズと位置付けておりました。
新型コロナウイルスに関しては、ワクチン接種が世界中で進められ、少しずつ明るい兆しが見えつつある一方、物価や賃金上昇、地政学リスクの高まり、急激な円安の進行など当社グループを取り巻く経営環境は本中期経営計画策定当初から大きく変化しております。しかし、「中期経営計画2024」最終年度である2024年度財務目標について、昨年4月に策定した数値から変更はしていません。
これまでの成長領域への投資の成果創出と収益力向上を両立による質の高い成長を実現させ、更に両利きの経営を推進することで、持続的に成長する企業を目指してまいります。
2021当初計画と実績及び「中期経営計画2024」最終年度目標
(5) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。
この連結財務諸表の作成にあたって、連結貸借対照表上の資産、負債の計上額、及び連結損益計算書上の収益、費用の計上額に影響を与える見積りを行う必要があります。
会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
なお、連結財務諸表の作成に当たり採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表」の(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)に記載しております。
①有形固定資産及び無形固定資産の減損
当社グループは、有形固定資産及び無形固定資産について、見積耐用年数にわたり、主として定率法又は定額法により償却しております。これらの有形固定資産及び無形固定資産について、帳簿価額が回収できない可能性を示す事象や状況の変化が生じた場合に、減損の判定を行っております。減損が生じていると判断した場合、当該資産の帳簿価額が回収可能価額を上回る金額を、減損損失として計上しております。
回収可能価額は、使用価値と正味売却価額のうち、いずれか高い金額としております。使用価値の算定においては、見積り将来キャッシュ・フローを、貨幣の時間価値及び資産固有のリスクを反映した割引率を用いて現在価値に割り引いて算出しております。
なお、一部の子会社の買収時に発生したのれんの価値算定においては、過去実績、収益と費用の予測、将来の市場の成長度合、経営者により承認された事業計画の実現可能性度合、適切な市場における比較対象等の前提条件を使用しております。また、割引率の算定にあたっては、独立した外部の評価機関を利用しております。
2022年3月31日時点における評価において、個別財務諸表において減損損失の計上はありませんが、連結財務諸表において一部の子会社で事業用資産等の減損損失を500百万円計上しております。
これらの前提条件の見積りに関する評価は合理的であると判断しておりますが、予測不能な前提条件の変化等により回収可能価額の評価に関する見積りが変化した場合には、更に減損損失の計上が必要となる可能性があります。
また、会計上の見積り及び仮定については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」をご参照ください。
②繰延税金資産
当社グループは、将来の課税所得の見込みにより、回収可能と判断した部分につきましては評価性引当額を認識しておらず、繰延税金資産を計上しております。
繰延税金資産の回収可能性を評価するに際しては、過去実績、将来の課税所得及びタックス・プランニング等を考慮し、慎重に検討しておりますが、予測不能な前提条件の変化等により回収可能性の評価に関する見積りが変化した場合には、繰延税金資産の修正が必要となる可能性があります。
③受注損失引当金
当社グループは、受注契約に係る将来の損失に備えるため、翌連結会計年度以降の損失発生見込額を計上しております。実際の発生原価が見積りと異なる場合、引当金の追加計上が必要となる可能性があります。
④製品保証引当金
当社グループは、納入した製品の無償補修費用の支出に備えるため、無償補修費用を個別に見積り算出した額を計上しております。実際の補修費用が見積りと異なる場合、引当金の追加計上が必要となる可能性があります。
⑤退職給付に係る負債
従業員の退職給付債務及び費用は、割引率、昇給率、退職率、死亡率、長期期待運用収益率等の前提条件を用いた年金数理計算により見積られます。特に割引率及び長期期待運用収益率は、退職給付債務及び費用を決定する上で重要な前提条件であります。
割引率は、測定日時点における従業員への給付が実行されるまでの予想平均期間に応じた優良債券の利回りに基づき決定しております。長期期待運用収益率は、債券及び株式等の投資対象資産グループ別の長期期待運用収益の加重平均に基づき決定しております。
当社グループは、年金数理計算上用いられる前提条件と方法は適切であると判断しておりますが、前提条件と実際の結果が異なる場合、又は前提条件の変更がある場合には、当社グループの退職給付債務及び費用に影響を与える可能性があります。
なお、割引率及び長期期待運用収益率がそれぞれ0.5%変動した場合の連結財務諸表への影響は以下のとおりであります。
⑥工事契約に係る収益認識
工事契約に係る収益のうち、一定の期間にわたり充足される履行義務については、履行義務の充足に係る進捗度を見積り、当該進捗度に基づき収益を一定の期間にわたり認識しております。履行義務の充足に係る進捗率の見積りの方法は、主として発生原価に基づくインプット法によっております。
工事契約に係る収益認識は、工事原価総額の見積りにより収益及び損益の額に影響を与えます。工事原価総額の見積りは当初は実行予算によって行っております。実行予算作成時には、作成時点で入手可能な情報に基づいた仕様や材料価格について仮定を設定し、作業効率等を勘案して各工事毎に詳細に積み上げることによって工事原価総額を見積ります。着工後は、プロジェクト毎に実際の発生原価と対比して適時・適切に工事原価総額の見直しを行っております。
工事原価総額の見積りに用いられる前提は適切であると判断しておりますが、想定していなかった原価の発生等により工事進捗度が変動した場合は、工事契約に係る収益及び費用の修正が必要となる可能性があります。
また、会計上の見積り及び仮定については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」をご参照ください。
当社は、2021年12月27日開催の取締役会において、連結子会社である株式会社明電O&M(以下、明電O&M)を下記のとおり吸収合併することを決議し、同日付で吸収合併契約を締結いたしました。
(1) 合併の目的
当社は、「中期経営計画2024」(※2021年5月13日付の開示資料「中期経営計画2024」をご参照ください)で当社事業を4つのグループに括り、環境の変化及び多様なお客様のニーズに迅速に対応できる体制を作りました。
この4つのグループの一つであるフィールドエンジニアリンググループでは、これまで明電O&Mが保守サービス事業を統括しておりましたが、この統括機能を明電舎に集約することによって、グループ内の連携強化と意思決定の迅速化を図り、保守サービス事業の体制強化を実現させるため明電O&Mを吸収合併することを決定いたしました。
これにより、グループ内持株会社として明電O&Mが保有していた電気設備の保守・点検事業を担う株式会社明電エンジニアリング及び水処理施設等の運転維持管理事業を担う明電ファシリティサービス株式会社の株式は、当社が直接保有することになります。
(2) 合併の日程
合併決議取締役会 2021年12月27日
合併契約締結 2021年12月27日
合併の期日(効力発生日) 2022年4月1日
注:本合併は、当社においては会社法第796条第2項に定める簡易合併、明電O&Mにおいては会社法第784条第1項に定める略式合併に該当するため、それぞれの合併契約の承認に関する株主総会を経ずに行います。
(3) 合併方法
当社を存続会社とする吸収合併で、本合併により明電O&Mは解散いたします。
(4) 合併に係る割当の内容
当社完全子会社との合併であるため、本合併による新株式の発行及び合併交付金の支払いは行いません。
(5) 引継資産・負債の状況
存続会社である当社は、合併期日(効力発生日)時点における明電O&Mの一切の資産、負債及び権利義務を引き継ぐものとします。
(6) 吸収合併存続会社となる会社の概要(2021年3月31日時点)
当連結会計年度の研究開発費の総額は、連結売上高の3.9%にあたる、
中期経営計画2024では「既存事業の競争力強化」、「システム視点の検討と新製品・新規事業育成」の2つを方針とした両利きの経営を支える研究開発を進めてまいります。初年度となる2021年度は、環境問題への対応として、温暖化係数の高いSF6ガスの使用排除を目指した真空応用技術製品の強化、車の電動化・IoT・AI等デジタル技術を活用した新製品・新システムの創出に注力してまいりました。
また、当社グループの製品・技術を支える基盤技術の継続的進化に取り組んでおります。例えば電動車両モータの開発では、年々加速する市場の変化、要求に対応するため、モデルベース開発を取り入れ、開発スピードの向上を目指しております。様々な解析手法を用い、開発の初期段階で設計妥当性を検証・評価することにより、開発工程の手戻りを削減し、品質や開発スピードを向上させます。