第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1) 会社の経営の基本方針

当社は、経営基本方針として「積極経営」「技術錬磨」「人間尊重」を掲げております。この基本方針のもと、電力機器事業では、信頼性の高い製品を提供することにより、電力事業の一端を担い、電力の安定供給に寄与しております。また、回転機事業では、小型モータおよびモータ応用製品ならびに電子機器等の分野において高性能で高品質な製品を開発することにより、社会生活の向上に貢献しております。

(2) 中長期的な会社の経営戦略と対処すべき課題

当社グループを取巻く事業環境は、新型コロナウイルス感染の影響長期化や送配電会社の託送コスト抑制、材料価格の高騰といった厳しさがありますが、再生可能エネルギーやEVの普及拡大、デジタル社会の進展により、配電系統高度化機器や車載用モータ、パッケージ基板用コアなどの分野で需要の伸びが見込まれます。当社グループとしましては、引き続きQCD向上による一層の製品競争力強化に努めるとともに、成長分野への重点投資を着実に進めることで、事業の拡大を目指してまいります。

 

2 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 特定顧客への依存

当社グループの事業は、変圧器およびその他周辺機器からなる電力機器、小型モータおよびモータ応用製品ならびに電子機器等からなる回転機の製造・販売を主な内容としております。
  電力機器事業では電力会社、回転機事業では電機および機械メーカ等の顧客を中心に販売をしており、両事業とも特定の顧客に対する販売依存度が高い傾向にあります。今後、電力会社における設備投資等の動向や電機メーカの内製化推進などの市場環境の変化は、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。

(2) 子会社の業績動向

当社グループは、製造、販売、部品供給などグループ会社間の協業に加え、各社の独自事業によりグループ経営を行っております。連結子会社の業績が大きく変動した場合は、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。

(3) 材料価格等の上昇

当社グループの主力製品は、銅、油などの基礎素材を使用しております。また、部材の一部を海外より調達しております。原油価格や為替レートなどの変動により、これらの材料価格が上昇した場合は、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。

(4) 海外事業

当社グループは、中国をはじめとする東南アジア地域やアフリカ地域において活動を推進しております。これらの地域において、経済・政情の悪化、法律・規則の変更、労使関係の悪化等が、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。

(5) 競合

当社グループは、継続的に新製品の開発に取組むとともに、既存製品の高品質化および製造原価の低減等に努めております。しかしながら、競合他社との競争が激化した場合には、当社グループ製品の優位性の低下や販売価格の下落等により、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。

(6) 特定仕入先への依存

当社グループは、原材料等を複数の仕入先から調達する方針を採っておりますが、調達する原材料等によっては、特定の仕入先に依存している原材料等があります。このため、これら仕入先に不測の事態等が生じ、原材料等の供給が途絶えた場合には、当社グループの生産活動に支障が生じ、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(7) 製品の欠陥

当社グループは、品質管理および技術関係部署を中心に品質の維持向上に努めております。しかしながら、瑕疵担保責任や製造物責任につながるような製品の欠陥が生じた場合には、多額のコスト発生、ブランドイメージの低下等により、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。

(8) 情報セキュリティ

当社グループは、技術や営業に関する機密情報に対して様々な情報セキュリティ対策を講じております。しかしながら、不測の事故または事件等により機密情報の外部流出等の問題が生じた場合には、社会的信用の低下や損害賠償請求等により、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります

(9) 知的財産権

当社グループは、他社と差別化できる技術の蓄積に努めており、自社が保有する技術等については知的財産権の取得による保護を図るとともに、他社の知的財産権に対する侵害がないよう管理を行っております。しかしながら、当社グループが認識していない知的財産権の存在によって第三者から訴訟等の法的措置が提起された場合には、その結果によっては当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります

(10) 固定資産の減損

当社グループは、既存事業の競争力強化および新製品対応のため、設備投資を行っております。しかしながら、将来、経営環境の著しい悪化等により収益性が低下し、投資額の回収が見込めない場合には、減損損失の発生により、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります

(11) 自然災害等

当社グループは、震災等の緊急事態に備え、事業継続のための体制を整備しております。しかしながら、想定を著しく上回る大規模な自然災害等が発生した場合には、設備の損壊、原材料等の調達困難等により、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります

また、新型コロナウイルス感染症に関しては、当社グループは不要不急の出張自粛、時差出勤、Web会議による対面会議の縮小等により感染拡大防止対策を徹底しております。しかしながら、当社グループ従業員の感染による操業停止あるいは原材料調達先での操業停止等により生産に大きな影響が生じた場合、または感染症の世界的拡大により当社製品需要が大きく変動した場合には、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(1) 経営成績

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の世界的拡大により生産、消費が落込み、厳しい状況で推移しました。5月の緊急事態宣言解除以降は徐々に持直してきたものの、感染影響の長期化による業種間格差の拡大など本格的な回復には至っておらず、先行き不透明な状況が続いています。当社グループの事業につきましては、電力機器分野では海外プラント工事の工期延期など新型コロナ関連の影響を受けましたが、送配電会社向け需要が底堅く推移しました。回転機分野ではモータの需要が上期低調でしたが、下期に入り空調・自動車業界などの回復を受けて増加基調に転じました。また、プリント配線板の需要が電子機器業界の活況を背景に期を通じて高水準で推移しました。

こうした状況下、「中期経営計画2023 ~確かな技術で未来をひらく~ 変革と挑戦」の2年目にあたる当年度は、将来の成長に向けた体制整備として、当社と子会社アイチエレック株式会社の合併やカンパニー制の導入など組織改革を実行するとともに、既存事業の競争力強化や新製品・新事業開拓、成長事業への重点投資に取組みました。電力機器事業では、新型自動電圧調整器や一般産業向け変圧器などの拡販に注力する一方、小型変圧器工場のリニューアルや大型変圧器のTPSかいぜん活動など、QCD(品質、コスト、納期)向上への取組みを進めました。また、バイオガス発電プラントや水力発電装置などの事業開拓に努めました。回転機事業では、新型コロナの影響による受注の一時的な落込みに対処するとともに、車載用ハーメティックモータとパッケージ基板用コアの生産能力増強などに取組みました。

連結業績につきましては、回転機事業の増収や電力機器事業の売上構成変化による粗利率改善により前連結会計年度比で増収増益となりました。売上高は0.8%増の756億1千9百万円、営業利益は49.2%増の41億7千9百万円、経常利益は43.7%増の47億5千1百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は22.0%増の33億3千8百万円となりました。

セグメント別の業績につきましては、以下のとおりです。

<電力機器事業>

売上高は前連結会計年度比3.3%減の278億4千5百万円、セグメント利益は前連結会計年度比48.7%増の35億6千5百万円となりました。売上高は海外プラント工事や大型変圧器などの低調により減収となりましたが、セグメント利益については自動電圧調整器と制御機器の売上増が貢献し増益となりました。

<回転機事業>

売上高は前連結会計年度比3.3%増の477億7千4百万円、セグメント利益は前連結会計年度比20.1%増の22億9千3百万円となりました。パッケージ基板用コアやアクチエータが好調に推移したことに加え、ハーメティックモータが下期に回復したことにより増収増益となりました。

 

 

生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。

① 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(百万円)

前期比(%)

電力機器

25,494

△1.0

回転機

44,888

3.3

合計

70,382

1.7

 

(注) 1.金額は、販売価格によっております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

② 受注実績

当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前期比(%)

受注残高(百万円)

前期比(%)

電力機器

27,645

△4.2

1,740

△10.3

回転機

47,992

3.0

3,043

7.7

合計

75,637

0.2

4,783

0.4

 

(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

③ 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前期比(%)

電力機器

27,845

△3.3

回転機

47,774

3.3

合計

75,619

0.8

 

(注) 1.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

販売高(百万円)

割合(%)

販売高(百万円)

割合(%)

中部電力グループ(※)

15,390

20.5

15,252

20.2

 

(※)中部電力グループの販売高には、中部電力㈱、中部電力パワーグリッド㈱、中部電力ミライズ㈱の金額を記載しております。

 

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 

(2) 財政状態

当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末と比べ75億1千1百万円増加し961億9千6百万円となりました。

流動資産は、前連結会計年度末と比べ33億5千9百万円増加し650億7千8百万円となりました。これは主に、現金及び預金の増加11億3千7百万円、受取手形及び売掛金の増加18億1千4百万円、電子記録債権の増加4億6千7百万円、棚卸資産の増加1億8千7百万円、有価証券の減少5億円によるものであります。

固定資産は、前連結会計年度末と比べ41億5千1百万円増加し311億1千7百万円となりました。これは主に、有形固定資産の増加30億6千1百万円、投資その他の資産の増加10億5千8百万円によるものであります。

負債合計は、前連結会計年度末と比べ44億1千8百万円増加し387億7百万円となりました。

流動負債は、前連結会計年度末と比べ37億3千3百万円増加し295億1千6百万円となりました。これは主に、支払手形及び買掛金の減少3億6千2百万円、電子記録債務の増加15億8千万円、未払費用の増加6億7千2百万円、未払法人税等の増加10億5千3百万円によるものであります。

固定負債は、前連結会計年度末と比べ6億8千4百万円増加し91億9千万円となりました。これは主に、長期借入金の増加1億9千2百万円、退職給付に係る負債の増加4億1千9百万円によるものであります。

純資産合計は、前連結会計年度末と比べ30億9千3百万円増加し574億8千8百万円となりました。これは主に、利益剰余金の増加24億8千3百万円、その他有価証券評価差額金の増加5億2千5百万円によるものであります。

自己資本比率は、前連結会計年度末と比べ1.5%減少し58.6%となりました。

電力機器事業の総資産は287億7千8百万円(前年同期255億8千1百万円)となり、前連結会計年度末と比べ31億9千7百万円増加しました。

回転機事業の総資産は533億6千2百万円(前年同期479億9千6百万円)となり、前連結会計年度末と比べ53億6千6百万円増加しました。

 

(3) キャッシュ・フロー

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末と比べ11億3千7百万円増加し、170億1百万円となりました。

当連結会計年度末における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動による資金の増加は、80億9千8百万円(前年同期20億4千1百万円)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益47億7千5百万円、減価償却費27億3千4百万円、仕入債務の増加額9億6千4百万円などの資金の増加と、売上債権の増加額9億7千9百万円、法人税等の支払額6億8千7百万円などの資金の減少によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動による資金の減少は、61億5千4百万円(前年同期20億4千9百万円)となりました。これは主に、有価証券の売却による収入5億円、有形固定資産の取得による支出66億6千2百万円によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動による資金の減少は、8億6千8百万円(前年同期17億5百万円)となりました。これは主に、長期借入れによる収入7億6千5百万円、長期借入金の返済による支出7億7千7百万円、配当金の支払額8億5千4百万円などによるものであります。

 

当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」に記載のとおり資本的支出を行う予定であります。また、資本の財源については自己資金及び金融機関の借入金でまかなう予定であります。

 

(4) 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。

当社グループが連結財務諸表を作成するにあたり重要となる会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりであります。

当社グループは、棚卸資産の評価、固定資産の減損、繰延税金資産、貸倒引当金、退職給付に係る負債などに関して、過去の実績や当該取引の状況に照らして、合理的と考えられる見積り及び判断を行い、連結財務諸表を作成しておりますが、実際の結果は見積りの不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

なお、新型コロナウイルス感染症の影響については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 追加情報」に記載のとおりであります。

 

4 【経営上の重要な契約等】

当連結会計年度において、経営上の重要な契約等は行われておりません。

 

5 【研究開発活動】

当社は、2020年度の研究開発方針として「新製品・新事業への挑戦」と「既存事業の競争力強化」を掲げ、研究開発を推進いたしました。

当連結会計年度における研究開発の総額は714百万円であります。グループ会社においても、顧客ニーズと将来の製品・技術動向を見据え、多岐にわたる分野において研究開発に取り組んでおります。具体的には、2030年度の脱炭素社会に向けた再生可能エネルギー普及の加速、電力システムのIOT化による運用効率化、海外の電力需要増加、車載用モータの世界的な需要増加などの市場動向を踏まえ、再生可能エネルギー用発電システム、自動電圧調整器や配電システムの高度自動化製品、車載用モータ関連製品などに注力してまいりました。

セグメントごとの研究開発活動の内容及び成果は次のとおりであります。

電力機器事業では、変圧器、制御機器、電力システムの各分野に注力いたしました。

当連結会計年度に市場投入した製品は、「地上設置型変圧器塔」「自動開閉器用両電源変圧器」「サーバ集約型の配電自動化親局装置」などがあります。推進中の製品開発は、「バイオガス用・水力用発電システム」「改良型7.2kV真空遮断器」などがあります。

回転機事業では、空調用モータ、産業機器、介護機器の各分野に注力いたしました。

当連結会計年度に市場投入した製品は、「車載空調圧縮機用ハーメティックモータ」「AC100V出力型非接触給電装置」などがあります。推進中の製品開発は、「トラックウィング扉開閉用アクチエータシステム」「電動バイク用モータ」などがあります。