第2 【事業の状況】

 

1 【業績等の概要】

(1) 業績

当連結会計年度のダイヘングループを取り巻く経営環境は、年度前半はアジア新興国経済が低調に推移しましたが、年度後半には半導体関連投資が急速に拡大する他、中国での自動化投資の回復が顕著になりました。

このような状況の下、中期経営計画“DAIHEN Value 2017”に基づき、世界初・業界初の機能を備えた「ダイヘンならでは製品」の開発・市場投入に注力いたしました結果、受注高は1,458億1千2百万円(前連結会計年度比8.1%増)、売上高につきましても1,348億7千万円(前連結会計年度比2.8%増)となりました。利益面におきましては、生産自動化や間接業務削減など「ロスカット活動」の取り組み強化に努めましたものの、円高の影響が大きく、営業利益は87億5百万円(前連結会計年度比6億2千4百万円減)、経常利益は88億7千9百万円(前連結会計年度比3億5千1百万円減)となりました。また、親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、前連結会計年度に中国電機製造株式会社の子会社化に伴い負ののれん発生益を特別利益として計上していたこともあり、62億5千2百万円(前連結会計年度比9億6千8百万円減)となりました。

セグメント別の状況につきましては、以下のとおりであります。

電力機器事業では、無電柱化進展や大形変圧器更新需要の増加が予想される中、コンパクト・低コストな地中化対応機器や大幅な保守コスト低減を実現する変電所用変圧器などの製品開発に取り組むとともに、独自の制御技術を用いたFEMS関連製品の拡充を進めてまいりました。しかしながら、太陽光発電関連の需要が減少したことにより、電力機器事業全体の受注高は712億1千万円(前連結会計年度比6.9%減)、売上高は667億2千3百万円(前連結会計年度比5.9%減)、営業利益は55億4千7百万円(前連結会計年度比12億4千5百万円減)となりました。

溶接メカトロ事業では、圧倒的な溶接品質で好評の「シンクロフィードGMA溶接システム」の拡販を進めるとともに、総合FAメーカとして各種ロボットアプリケーションの充実に取り組みました。その結果、日本・中国での販売は増加いたしましたが、前連結会計年度高水準であった韓国・東南アジアでの自動車関連投資に一服感が見られたことから、受注高は423億7百万円(前連結会計年度比1.9%増)、売上高は422億6千5百万円(前連結会計年度比1.3%減)で、ほぼ前連結会計年度並みの水準となりました。営業利益につきましては、円高の影響が大きく33億4百万円(前連結会計年度比14億7千8百万円減)となりました。

半導体関連機器事業では、3次元メモリーやロジック系の設備投資が急速に拡大する中、半導体の微細加工で必要とされる高速整合機能を搭載した高周波電源システムの早期開発・市場投入を進めました。その結果、受注高は320億9千3百万円(前連結会計年度比91.8%増)、売上高は257億3千3百万円(前連結会計年度比49.0%増)、営業利益は32億2千万円(前連結会計年度比18億2千万円増)と大幅に増加いたしました。

また、その他の売上高は2億円、営業利益は9千1百万円で、前連結会計年度からの大きな変動はありません。

 

 

(2) キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ、18億4千6百万円増加し、138億3百万円となりました。

① 営業活動によるキャッシュ・フロー

税金等調整前当期純利益等により、106億7千2百万円の資金の増加となり、前連結会計年度に比べると、仕入債務の増加等により、53億5千4百万円の増加となりました。

② 投資活動によるキャッシュ・フロー

有形固定資産の取得等により69億7千7百万円の資金の減少となり、前連結会計年度に比べると、11億3千1百万円の減少となりました。

③ 財務活動によるキャッシュ・フロー

配当金の支払や自己株式の取得等により14億8千5百万円の資金の減少となり、前連結会計年度に比べると、31億8千1百万円の減少となりました。

 

 

2 【生産、受注及び販売の状況】

(1) 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

生産高(百万円)

前年同期比(%)

電力機器事業

59,618

95.4

溶接メカトロ事業

26,701

97.5

半導体関連機器事業

15,025

152.0

その他

合計

101,344

101.6

 

(注) 1  金額は、販売価格によっております。

2  上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2) 受注実績

当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高(百万円)

前年同期比(%)

電力機器事業

71,210

93.1

31,448

116.7

溶接メカトロ事業

42,307

101.9

4,786

102.0

半導体関連機器事業

32,093

191.8

9,993

275.1

その他

200

98.9

合計

145,812

108.1

46,228

131.0

 

(注)  上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(3) 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年同期比(%)

電力機器事業

66,723

94.1

溶接メカトロ事業

42,265

98.7

半導体関連機器事業

25,733

149.0

その他

200

98.9

小計

134,923

102.8

消去

△52

 

合計

134,870

102.8

 

(注)  上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 

3 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1) 会社の経営の基本方針

ダイヘングループは、「信頼と創造」を経営理念に掲げ、常にマーケット・インに根差した製品とサービスを提供することでお客様の「信頼」にお応えし、絶えず新技術、新製品を開発して新たな価値の「創造」に努めることを基本方針としております。

 

(2) 中長期的な会社の経営戦略

お客様に喜んでいただき、世の中のお役に立つ「ダイヘンならではの製品価値」を創出することを最重点課題と位置付け、2012年度から2020年度までの9年間を3期に分け、「開発中計」に取り組んでおります。

第Ⅰ期にあたる前中期経営計画(2012~2014年度)では、保有する技術を磨き上げることでダントツ性能を備えた製品を多数開発・市場投入いたしました。2017年度を最終年度として進めております中期経営計画(2015~2017年度)は、「開発中計」の第Ⅱ期として、世の中にない“初”の製品開発を推進し、“創造価値”を備えた製品を創出すべく取り組みを進めております。

また、開発強化に必要な資金を内部から生み出す目的で取り組む「ロスカット活動」につきましては、第Ⅰ期において、「一気通貫生産方式」を軸とした業務の“整流化”による大幅なコストダウンを実現いたしましたが、第Ⅱ期では、間接業務の削減と生産部門での自動化・外作化の推進により“Cut in Half(単純作業時間の半減)”を目指して活動いたしております。

 

                        <2017年度中期経営計画>

 

                   ■ 基本目標(2017年度)

                      ・売  上  高    1,500億円以上

                      ・営業利益率         8%以上

                      ・R  O  E         10%以上

 

                   ■ 基本方針

                      1.ダイヘンならではの製品価値の創出

                           - “改善価値”から“創造価値”へ -

                      2.ロスカット活動の推進

                           - 業務の“整流化”から“Cut in Half(単純作業時間の半減)”へ -

 

(3) 会社の対処すべき課題

自国第一主義の進展や為替相場変動の影響が懸念されますが、引き続き「ロスカット活動」による生産性向上・コスト水準の引き下げを実現し、「ダイヘンならではの製品価値」を創出するための開発投資に振り向けていく ことにより、各事業の強化、業績の向上に努めてまいります。

 

 

4 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において、当社グループが判断したものであります。

 

 

(1) 事業環境について

国内の電力会社や自動車産業をはじめとする企業の設備投資動向及びシリコンサイクルの浮き沈みによる半導体関連の設備投資動向の影響などにより、当社グループの業績が変動する可能性があります。

また、市場競争の激化に伴う販売価格の下落や素材の価格高騰などが懸念されますが、これらの状況が著しく進展した場合においては、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

その他、当社グループでは積極的な海外事業の展開に取り組んでおりますが、市場の成長性に不透明な要素があることに加え、政治又は法環境の変化など予期せぬ事象により、事業の遂行に問題が生じる可能性があります。その結果によって当社グループの業績が変動する可能性があります。

 

(2) 為替変動リスクについて

当社グループの平成29年3月期における連結売上高の海外売上高比率は22.4%となっておりますが、今後もマーケットの拡大が期待できる中国やアジア新興国など海外での事業展開に注力してまいりますため、海外売上高のウェイトは、より高い水準で推移すると想定しております。一方で、海外生産拠点からの製品仕入やコストダウンを目的とした海外調達の拡大にも積極的に取り組むことで、外貨建債権債務のポジション調整による為替変動リスクの軽減を図っております。また、外貨建債権債務につきましては、売上と仕入で相殺されるものを除き、常時為替予約によって、リスクヘッジを行っております。しかしながら、急激な為替相場の変動が生じた場合、当社グループの業績が変動する可能性があります。

 

(3) 金利変動リスクについて

平成29年3月末現在の連結有利子負債(長短借入金の合計金額)残高は286億7百万円となっております。固定金利での長期安定資金の確保に努める一方、グループ全体の資金運用の効率化と資金管理の集中化及び在庫圧縮などによる有利子負債削減など、金利変動リスクを可能な限り回避するための様々な手段を講じておりますが、変動金利借入利息、借換時における資金調達に関しては金利情勢の影響を受けるため、急激な金利変動が生じた際には、当社グループの業績が変動する可能性があります。

 

(4) 保有有価証券の時価下落リスクについて

当社グループは事業運営上、多数の会社の株式などに出資又は投資しております。株式市場の動向悪化、又は出資先の財政状態の悪化により、保有有価証券の減損リスクがあります。

 

(5) 退職給付債務について

当社グループの従業員退職給付費用及び債務は、割引率等数理計算上で設定される前提条件や年金資産の期待運用収益率に基づいて算出されております。実際の結果が前提条件と異なる場合、又は前提条件が変更された場合、その影響は累積され、将来にわたって規則的に認識されるため、一般的には将来期間において認識される損益に影響を及ぼします。また、年金資産には退職給付信託として上場有価証券を信託しているため、株価の変動を受けやすく、年金資産運用の結果による損益のブレにより、当社グループの年金資産は増減しております。株価の下落、一層の割引率の低下や年金資産運用利回りの悪化は、当社グループの業績と財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) 減損会計について

当社グループは多額の固定資産を保有しており、今後の地価動向及び当社グループの収益状況によっては、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(7) 大規模災害について

当社グループの生産、販売拠点において地震、洪水などの大規模災害が発生した場合には、生産設備の損壊、原材料・部品の調達停止、物流販売機能の麻痺などにより、生産拠点の操業停止などが生じ、当社グループの業績が変動する可能性があります。

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

(1) 外国へ技術供与しているもの

 

契約の相手先

契約年月

内容

期限

Toshiba Transmission & Distribution
Systems (India) Pvt.Ltd.
(インド)

(注)1

平成16年3月

大形変圧器の製造に関する技術

平成29年8月

 

(注) 1  Toshiba Transmission & Distribution Systems (India) Pvt.Ltd.は、平成25年12月27日付で、Vijai  Electricals Ltd.より地位の譲渡を受けております。

2  上記契約に基づき、一定額のロイヤリティーを受け取っております。

 

 

6 【研究開発活動】

ダイヘングループは、お客様の真のニーズに合致し、かつ独自性の高い「ダイヘンならではの製品(DAIHEN Value 製品)」の創出・市場投入に向け、グループ内の開発部門が相互に連携をとりながら、お客様や大学などの研究機関との共同研究も積極的に行い、技術シーズの蓄積と製品化への応用を進めております。

当連結会計年度の研究開発費は54億4千1百万円で、セグメントごとの研究開発活動は以下のとおりであります。

 

<電力機器事業>

無電柱化進展や大形変圧器更新需要の増加が予想される中、コンパクト・低コストな地中化対応機器や大幅な保守コスト低減を実現する変電所用変圧器などの製品開発に取り組みました。また、低コストでバーチャルパワープラントを実現する独自の制御技術を用いたFEMS関連製品の開発を進めました。

当連結会計年度における電力機器事業の研究開発費は21億6千万円となりました。

 

<溶接メカトロ事業>

厚板溶接の作業効率を飛躍的に向上させる世界初の新溶接プロセスや独自の通信技術により作業者負担の大幅低減を実現する制御ケーブルレス溶接機など競争力強化につながる開発に取り組むとともに、高効率ワイヤレス給電システムを搭載したAI搬送ロボットの開発や圧倒的な溶接品質で好評の「シンクロフィードGMA溶接システム」に新たな溶接モードを追加するなど、総合FAメーカとして各種ロボットアプリケーションの充実に取り組みました。

当連結会計年度における溶接メカトロ事業の研究開発費は14億2千6百万円となりました。

 

<半導体関連機器事業>

3次元メモリーやロジック系の設備投資が急速に拡大する中、半導体の微細加工で必要とされる高速整合機能を搭載した高周波電源システムの早期開発に取り組みました。

当連結会計年度における半導体関連機器事業の研究開発費は18億5千4百万円となりました。

 

 

 

7 【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 財政状態及び流動性

当連結会計年度末の総資産は1,517億9百万円で、前連結会計年度末に比べ129億2千4百万円増加しました。そのうち、流動資産は913億7千万円で、前連結会計年度末に比べ69億8千9百万円の増加となりました。これは「仕掛品」などのたな卸資産と「受取手形及び売掛金」の増加によるものであります。固定資産は603億3千9百万円で、前連結会計年度末に比べ59億3千5百万円の増加となりました。これは新本社社屋建設に伴う「建設仮勘定」の増加や株式相場好転に伴う「投資有価証券」の増加によるものであります。

当連結会計年度末の負債の合計は764億2千3百万円で、前連結会計年度末に比べ81億1千5百万円増加しておりますが、これは「支払手形及び買掛金」の増加が主な要因であります。なお、流動負債は536億5千3百万円で、前連結会計年度末に比べ70億6千2百万円の増加、固定負債は227億7千万円で、10億5千3百万円の増加となりました。

流動資産から流動負債を差し引いた運転資本は377億1千6百万円で、前連結会計年度に比べ7千2百万円減少しております。

自己資本は699億4千2百万円で、前連結会計年度末に比べ44億1千6百万円の増加となりました。これは親会社株主に帰属する当期純利益の積み上げなどで「利益剰余金」が増加したことによるものであります。なお、取締役会決議により自己株式198万2千株を取得しております。

自己資本に「非支配株主持分」を加えた純資産は752億8千5百万円で、前連結会計年度末に比べ48億9百万円の増加となり、1株当たり純資産額は前連結会計年度末に比べ8.4%増加の556円99銭となりましたが、総資産増加の影響によりまして、自己資本比率は前連結会計年度末に比べ1.1ポイント減少の46.1%となりました。

 

(2) 経営成績の分析

当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に比べ2.8%増加し、1,348億7千万円となりました。売上高の増加に伴い売上原価は前連結会計年度に比べ3.5%の増加となり、売上原価の売上高に対する比率につきましても、円高の影響などにより、0.5ポイント悪化の67.1%となりました。販売費及び一般管理費は前連結会計年度に比べ3.5%の増加となり、売上高に対する比率につきましても0.1ポイント悪化の26.4%となりました。その結果、営業利益は87億5百万円で、前連結会計年度に比べ6.7%の減益となりました。

営業外収益から営業外費用を差し引いた営業外損益は、主に為替差損の減少により前連結会計年度に比べ2億7千2百万円の増加となり、経常利益につきましては前連結会計年度に比べ3.8%減益88億7千9百万円となりました。

特別損益では、前連結会計年度に中国電機製造株式会社の新規連結に伴い、負ののれん発生益14億5千4百万円を計上していたこともあり、親会社株主に帰属する当期純利益につきましては前連結会計年度に比べ13.4%減益62億5千2百万円となりました。

 

(3) キャッシュ・フローの状況の分析

当連結会計年度における現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末に比べ18億4千6百万円(15.4%)増加し、138億3百万円となりました。

営業活動によるキャッシュ・フローは、106億7千2百万円の収入となりました。仕入債務の増加額による資金の増加影響等により前連結会計年度に比べ53億5千4百万円の収入の増加となりました。

投資活動によるキャッシュ・フローは、69億7千7百万円の支出となりました。有形固定資産の取得等により前連結会計年度に比べ11億3千1百万円の支出の増加となりました。

財務活動によるキャッシュ・フローは、14億8千5百万円の支出となりました。配当金の支払や自己株式の取得等により、前連結会計年度に比べ31億8千1百万円の支出の増加となりました。