文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
ダイヘングループは、当社を取り巻くステークホルダー(お客様、社員と家族、株主、資材取引先、地域社会)の皆様により多くの幸せを感じていただくこと(「みんなの幸せ同時達成」)を会社の目的とし、各ステークホルダーごとの具体的な目標(「幸せの目標値」)を明確に定め、その実現を目指しております。
事業の基本方針である当社独自の価値を持つ「ならでは製品」開発により、社会課題解決に貢献する製品を創出することで社会のサステナビリティに貢献し、その結果が売上高・利益の増加に結びつきます。そして「幸せの目標値」に沿って利益の分配を充実させることが、企業としてのサステナビリティの基盤であるステークホルダーとの信頼関係の強化につながるものと考えております。
当社は、社会課題解決に積極的に貢献する「研究開発型企業」となることを目指し、次の4つの基本方針からなる2026年度中期計画に取り組んでおります。
① 社会課題解決に資する開発の領域拡大
・「脱炭素社会の実現」、「労働力不足の解消」、「デジタル化の推進」の3つの社会課題解決を重点分野と定義して、既存の事業の枠組みにとらわれず開発の領域を拡大させることにより、当該分野での貢献度を高めます。
② 代理店販売の革新と新領域の販売拡大
・新たな領域でのビジネス拡大に向け自社営業マンの技術営業力・分析力・市場調査力を高めると共に新商材の市場浸透を図るための広報を強化いたします。また、国内販売ルートの活性化に向けたインセンティブプランの刷新に加え、その活動を支える販売ツール・教育プログラムの充実に取り組みます。
・海外ではこれまでに買収したグループ各社の製品・販売ルートの相互活用による欧州事業拡大を重点テーマと位置付けます。同様に米国でのビジネス拡大に向けた体制強化を進めます。
③ 自動化追求と最適生産体制の構築
・前中計で取り組んだモジュール設計推進の成果として、主要標準製品生産の完全自動化を目指し大幅なコスト削減を実現します。また、生産自動化を前提として世界最適地生産体制の構築を目指します。
・間接業務においては、RPAやBIツールに加えて文書生成AI活用推進による単純業務削減を徹底し、社員の力を付加価値が高くやりがいのある業務へ集中させます。
④ 長期人材育成計画に基づく人的資本の充実
・企業の競争力の源泉である人材の確保・育成に向け長期人材育成計画を定め、以下のテーマに取り組みます。
・社員の帰属意識・経営への参画意識向上に向けた株式報酬制度の導入
・次世代幹部、女性管理職候補の選抜と育成
・博士号取得支援制度の活用促進
・グローバル人材の育成
・育児と仕事の両立支援(企業内こども園の設置)
・社員一人ひとりのキャリアプランに基づく成長促進(教育費3倍以上)
・定期的な社員エンゲージメントサーベイと具体的改善策実施の徹底
(注) 連結売上高に対する開発費の比率。開発費は研究開発費だけでなく特許料などの開発関連費用を含む。
今後の見通しにつきましては、生成AIの需要増加等を背景とする半導体関連投資の回復や生産自動化・脱炭素関連投資が堅調に推移することが見込まれる一方、地政学的リスクに伴う物価上昇などが懸念されます。
このような事業環境の下、引き続きコスト削減の取り組みを推進し、社会課題の解決に資する開発投資に重点的に振り向けるとともに、新規連結子会社とのシナジー創出を図ることにより、各事業の強化、業績の向上に努めてまいる所存でございます。
なお、各事業セグメントの主な課題への取り組み状況は以下のとおりであります。
・ エネルギーマネジメント
脱炭素社会の実現に貢献する系統用蓄電池や自家消費太陽光発電に最適なパッケージやEVの普及に貢献するプラグイン急速充電器及びワイヤレス充電システムなどの開発・市場投入に取り組んでおります。
・ ファクトリーオートメーション
世界各地で労働力不足の問題が進む中、工場全体の自動化ニーズに応えるべく、ハンドリングロボット、アーク溶接用協働ロボットや自律搬送台車の品揃え拡充とアーク溶接の前後工程で必要な各種アプリケーションへの対応力強化に努めております。加えて、半導体製造装置向けの省スペースウエハ搬送ロボットの開発・市場投入を推進しております。
・ マテリアルプロセシング
AIなどの情報通信技術の普及に不可欠な半導体製造プロセスの微細化、多層化及び省エネ生産に貢献する高機能・高効率な高周波電源システム等の開発及び市場投入を推進するとともに、需要増加に対応するため工場の増築や工程の自動化による生産能力増強を進めております。また、EVの軽量化に不可欠な異材接合の適用材・接合範囲の拡大及び溶接機の省エネ化や溶接作業の脱技能化に資する開発に取り組んでおります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
当社グループは、P.13「会社の経営の基本方針」に記載の通り、社会課題解決に貢献する製品を創出することが社会のサステナビリティへの貢献につながり、「幸せの目標値」に沿った利益の分配を充実させることが企業としてのサステナビリティの基盤であるステークホルダーとの信頼関係の強化につながるものと考え、その実現を目指しております。
そして、社会とともに持続的に存続・発展していく上での重要な課題を気候変動への対応と人的資本・多様性の確保と定める他、社会課題解決に貢献する製品開発の強化、資材取引先との公正な取引などのコンプライアンスリスクの軽減、円滑な事業運営の継続を支える社会との共生などに注力しております。
気候変動への対応を含む社会課題解決に貢献する製品・システムの開発強化については、2026年度中期計画の最重点テーマとして取り組み、自社の中長期的な成長(経済的価値)と持続可能な社会実現への貢献(社会的価値)の両立を目指しております。
当社グループは、取締役会及び経営会議の管理・監督の下、全社横断的なリスク管理体制として、企画本部長を委員長とするリスク管理委員会をはじめ、環境、組織・人財活性化、安全衛生、コンプライアンス、情報セキュリティ、品質、安全保障輸出管理に関する委員会を設置し原則年2回開催しております。各委員会ではリスク管理の一環としてサステナビリティ課題への対策を検討し、主要事項について取締役会及び経営会議に付議することで実効性を確保しております。
当社グループは、持続可能な社会の実現に向けた社会課題の解決に積極的に貢献する企業を目指す上において、事業活動プロセスにおける環境保全を経営の最重要課題の一つと考え、5つの指針「事業活動にともなう環境負荷の低減」「法的及びその他の要求事項の順守」「環境目標の策定と定期的見直し」「環境意識の高揚」「ステークホルダーとの関係強化」を定め取り組みを実践しております。
気候変動対策については、国際エネルギー機関(IEA)と気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が示す「2℃シナリオ(気候変動を抑止するため規制が強化されるが世界の平均気温の上昇幅が産業革命前と比べ2℃未満に抑えられるシナリオ)」「4℃シナリオ(気候変動への対応が進まず異常気象の発生が増加するシナリオ)」によりリスク・機会とその対応方針を検討しました。その概要は「気候関連の主なリスク/機会と対応の方向性」のとおりであります。
当社グループは政府目標に沿って2050年カーボンニュートラルを目指すことを前提として、2030年のCO2排出量(Scope1+2)の2013年度比46%削減を前倒しで実現する目標を立て、主要生産拠点における再生可能エネルギー活用設備の導入、営業車のEV化にも取り組んでおります。また、サプライチェーンにおけるCO2排出量(Scope3)においても、その主要部分を占めるカテゴリー11(販売した製品の使用)を重点対象として、2030年度に2020年度比25%削減を目標に環境配慮製品の創出に努めております。
成長の機会の観点では、再生可能エネルギー導入に不可欠なEMS、EV普及を後押しする新たな接合技術や充電インフラ機器の市場投入など、脱炭素社会の実現に貢献する製品・システムの開発を2026年度中期計画の最重点課題としております。
気候関連の主なリスク/機会と対応の方向性
② 人的資本・多様性
社会課題の解決に貢献する企業として発展し続けるためには、その原動力となる人材が当社グループの価値観・行動指針を共有して価値ある製品・サービスを創出し続けなければならないと考えております。
この考えの下、人材育成方針としての重点課題を「経営人材の育成」「女性管理職の育成」「若年層の育成」と定め、研修などを実施しております。2026年度中期計画においても、長期人材育成計画に基づく人的資本の充実を基本方針の1つとして重点を置き取り組んでまいります。
また、社内環境整備方針としては、働きやすい職場づくりを推進するため定期的にエンゲージメントサーベイを実施し、社員の意識変化や多様性を的確に捉えエンゲージメントの向上に資する環境整備に取り組むと定め、仕事と家庭の両立支援制度を充実させるなどの改善に取り組んでおります。
そのほか、安心・安全な職場環境を実現するため、コミュニケーションの活性化、労働安全衛生面での継続的な災害防止活動や教育を通じた社員への意識づけ、健康保険組合との協力体制による社員とその家族の健康促進を目的とした取り組みなどを推進しております。
また、女性活躍を推進する取り組みとして、人材育成・社内環境の整備に努めるとともに女性の採用や管理職への登用も積極的に進めてまいります。
なお、人的資本に関しては以下の目標を定めております。対象範囲につきましては、グループ各社の状況を踏まえ体制整備などの検討が必要なため限定しております。
<2026年度目標>
社員教育に投資する費用(単体) 2022年度比3倍以上(2023年度1.3倍)
社員エンゲージメント(当社及び国内100%子会社の肯定的回答率) 75%(2023年度68.9%)
当社グループは、重点分野の社会課題の解決に積極的に貢献する企業となることを目指し、脱炭素社会の実現(気候変動への対応)、労働力不足の解消やデジタル化の推進に貢献する当社独自の価値を持つ製品の開発に注力しております。
また、企業としての社会的責任を果たし、社会の皆様から信頼が得られるよう、全社員のコンプライアンス意識向上とその実践に努めております。その一環として、遵守すべき行動基準・法令を明記した「ダイヘン倫理規範」や「法令順守ガイド」を制定し周知徹底を図るとともに、コンプライアンス委員会や公益通報窓口の設置、社員教育の実施等により不正行為を未然に防止する体制構築に取り組んでおります。資材取引先との公正な取引関係の維持につきましては、競争原理を基本とし、品質・価格・納期等を勘案して公平な評価をしております。
地域社会との共生に関する取り組みとしては、事業拠点のある自治体、社会福祉協議会などへの支援策として利益の一定額を継続的に寄付することにしております。そのほか、企業としての社会的責任の一環として教育・学術、文化・芸術などへの支援活動に努めております。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 需要動向について
当社グループにおける需要については、エネルギーマネジメントでは国内・東南アジアでの送配電設備の更新・強化や国内でのビル・工場の新設や高経年化設備の更新、自家消費型太陽光発電やEV充電システム等の脱炭素関連投資、ファクトリーオートメーションでは国内外のEVや生産自動化関連投資、マテリアルプロセシングでは半導体製造装置や造船・建築関連投資が主なものであり、これらに急激な変動が生じた場合には、売上高をはじめとした経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 販売及び仕入価格の変動について
市場競争の激化に伴う販売価格の下落や銅などの素材価格の高騰が懸念されますが、これらの状況が著しく進展した場合には、売上高や利益率に悪影響を及ぼす可能性があります。
なお、輸出取引の為替変動リスクに対しましては、海外生産拠点からの製品仕入やコストダウンを目的とした海外調達の拡大にも積極的に取り組むことで、外貨建債権債務のポジション調整によるリスクの軽減を図っております。また、外貨建債権債務につきましては、売上と仕入で相殺されるものを除き、常時為替予約によって、リスクヘッジを行っております。しかしながら、急激な為替相場の変動が生じた場合には、経営成績、財政状態が変動する可能性があります。
(3) 海外事業環境について
2024年3月期における連結売上高の海外売上高比率は21.0%となっておりますが、今後も販売拡大が期待できる海外での事業展開に注力してまいりますため、海外売上高のウェイトは、より高い水準で推移すると想定しております。海外事業につきましては主に現地法人を通じて取り組んでおりますが、市場の成長性に不透明な要素があることに加え、政治又は法環境の変化など予期せぬ事象により、事業の遂行に問題が生じた場合には、経営成績、財政状態が変動する可能性があります。
なお、足もとの社会情勢によるリスクは以下のとおりであります。
米国が主導する対中輸出規制の拡大によっては投資抑制や経済活動の停滞などの影響が生じ、経営成績、財政状態に悪影響が及ぶ可能性があります。
(4) 保有資産価値の変動について
当社グループは事業用の資産として様々な有形・無形の固定資産を保有しておりますが、今後の経営環境変化に伴ってこれらの資産の収益性が著しく低下した場合には、経営成績、財政状態に影響を与える可能性があります。
また、事業運営上、多数の会社の株式などに出資又は投資しているほか、年金資産においても一部を株式で運用しております。株式市場の動向悪化、又は出資先の財政状態の悪化により、保有有価証券の減損や年金資産の運用成績悪化が生じた場合には、経営成績、財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(5) 金利変動リスクについて
2024年3月末現在の連結有利子負債(長短借入金の合計金額)残高は661億6千4百万円となっております。固定金利での長期安定資金の確保に努める一方、グループ全体の資金運用の効率化と資金管理の集中化及び在庫圧縮などによる有利子負債削減など、金利変動リスクを可能な限り回避するための様々な手段を講じておりますが、変動金利借入利息、借換時における資金調達に関しては金利情勢の影響を受けるため、急激な金利変動が生じた際には、経営成績、財政状態が変動する可能性があります。
(6) 大規模災害などについて
気候変動に伴う自然災害の増加などの対策として、リスク事象に応じた危機対策規程や事業継続計画を策定しておりますが、グループの生産、販売拠点において想定を超える地震、洪水などの大規模災害が発生した場合には、生産設備の損壊、原材料・部品の調達停止、物流販売機能の麻痺などにより、生産拠点の操業停止などが生じ、経営成績、財政状態に悪影響が及ぶ可能性があります。また、パンデミック、紛争、テロなど事業活動に弊害が生じる場合も同様であります。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当連結会計年度のダイヘングループの事業環境は、半導体関連投資の調整局面が続く厳しい状況となりましたが、東北電機製造株式会社と四変テック株式会社を連結子会社化いたしましたことにより、売上高は前期と同水準の1,885億7千1百万円(前連結会計年度比1.8%増)となりました。利益面におきましては、半導体関連機器の売上高減少の影響が大きく、営業利益は151億4千5百万円(前連結会計年度比14億2千2百万円減)、経常利益は160億8千2百万円(前連結会計年度比15億7千7百万円減)となりましたが、親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、上記の子会社株式取得に伴う負ののれん発生益等を計上したことにより、164億9千4百万円(前連結会計年度比33億円増)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
なお、当期より報告セグメントとして記載する事業セグメントを変更しており、前期との比較・分析は、変更後の区分に基づいております。
配電機器や国内の工場受電設備の更新が総じて堅調に推移いたしましたことに加え、企業の脱炭素関連投資拡大を背景に太陽光発電自家消費パッケージやEV充電システムの販売が増加いたしました。また、東北電機製造株式会社と四変テック株式会社を連結対象に加えたこともあり、売上高は976億2百万円(前連結会計年度比29.5%増)、営業利益は83億4千3百万円(前連結会計年度比46億7千9百万円増)となりました。
国内外での生産自動化やEV関連投資等は増加いたしましたが、中国での内需関連投資低迷の影響もあり、売上高は348億6千8百万円(前連結会計年度比3.7%増)に留まりました。また、先行的な経費投入もあり、営業利益は41億3百万円(前連結会計年度比2億1千9百万円減)となりました。
国内の建築業界向けを中心に溶接・接合機器の販売は堅調に推移いたしましたが、スマートフォンやパソコンの需要減少を背景とする半導体メーカの投資先送りの影響が大きく、売上高は559億3千7百万円(前連結会計年度比26.6%減)となり、営業利益は63億2千4百万円(前連結会計年度比60億4千7百万円減)となりました。
売上高は1億8千5百万円、営業利益は2千8百万円となり、前連結会計年度からの大きな変動はありません。
生産、受注及び販売の実績は次のとおりであります。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 金額は、販売価格によっております。
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
なお、関西電力㈱については、同一企業集団に属する関西電力送配電㈱への販売高を集約して記載しております。
(2) 財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、東北電機製造株式会社、四変テック株式会社及びLorch Schweißtechnik GmbHを連結子会社化したことや、半導体関連機器の売上高減少に伴う棚卸資産の増加及び株価上昇に伴う退職給付に係る資産の増加などにより、2,766億2千4百万円(前連結会計年度末比639億3千3百万円増)となりました。
負債合計は、連結子会社が増加したことや、借入金の増加などにより1,280億2千8百万円(前連結会計年度末比352億4千3百万円増)となりました。
純資産合計は、利益剰余金や為替換算調整勘定の増加などにより1,485億9千5百万円(前連結会計年度末比286億9千万円増)となりました。なお、自己資本比率は前連結会計年度末の53.5%から5.0ポイント減少して48.5%となりました。
セグメントごとの資産は、次のとおりであります。
東北電機製造株式会社と四変テック株式会社を連結子会社化したことや売上債権の増加などにより、エネルギーマネジメントの資産は1,222億7千6百万円(前連結会計年度末比442億4千万円増)となりました。
売上債権の増加などにより、ファクトリーオートメーションの資産は467億6千5百万円(前連結会計年度末比89億8千5百万円増)となりました。
Lorch Schweißtechnik GmbHを連結子会社化したことや、半導体関連機器の売上高減少に伴う棚卸資産の増加などにより、マテリアルプロセシングの資産は858億8千7百万円(前連結会計年度末比117億5千9百万円増)となりました。
その他の事業の資産は12億1千5百万円となり、前連結会計年度末からの大きな変動はありません。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ、72億2千4百万円増加し、220億7千7百万円となりました。
棚卸資産の増加や仕入債務の減少等により、89億9千3百万円の資金の減少となり、前連結会計年度に比べると、17億6千万円の減少となりました。
子会社株式や子会社持分の取得による支出等により、105億6千4百万円の資金の減少となり、前連結会計年度に比べると、58億4千7百万円の減少となりました。
借入れによる収入等により、259億5千4百万円の資金の増加となり、前連結会計年度に比べると、240億5千9百万円の増加となりました。
当社グループの主要な資金需要は、製品製造のための材料費や製造費用、販売費及び一般管理費、設備投資資金などであります。これらの必要資金は、継続的な利益の蓄積などによる内部資金により賄うことを基本としております。
資金の流動性確保のため、コミットメントライン契約を締結するなど安定的な資金の確保に努める一方、当社及び国内連結子会社においてはCMS(キャッシュ・マネジメント・システム)を導入することにより各社の余剰資金を当社へ集中し、資金効率の向上を図っております。
当社グループの2023年度中期計画の基本目標と実績は以下のとおりであります。
2023年度においては、半導体関連投資の調整局面が続く厳しい状況となりましたが、脱炭素関連投資拡大を背景に太陽光発電自家消費パッケージやEV充電システム等の社会課題解決に役立つ製品の開発・市場投入が進みました。
2023年度中期計画の目標と実績
(注) 1 連結売上高に対する開発費の比率。開発費は研究開発費だけでなく特許料などの開発関連費用を含む。
2 現金収入を伴わない負ののれん発生益等を除く配当性向は36.2%となります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
当社グループは、繰延税金資産について回収可能性を検討し、当該資産の回収が不確実と考えられる部分に対して評価性引当額を計上しています。回収可能性の判断においては、将来の課税所得見込額等を考慮して、将来の税金負担額を軽減する効果を有すると考えられる範囲で繰延税金資産を計上しています。
将来の課税所得見込額はその時の業績等により変動するため、課税所得の見積りに影響を与える要因が発生した場合は、回収懸念額の見直しに伴う繰延税金資産の修正により、当期純損益が変動する可能性があります。
退職給付債務及び退職給付費用は、主に数理計算で設定される退職給付債務の割引率、年金資産の長期期待運用収益率等に基づいて計算しています。割引率は、従業員の平均残存勤務期間に対応する期間の安全性の高い長期債利回りを参考に決定し、また、年金資産の長期期待運用収益率は、過去の運用実績及び将来見通し等を基礎として設定しています。割引率及び長期期待運用収益率の変動は、将来の退職給付費用に影響を与える可能性があります。
当社グループは、棚卸資産の評価において原価法(収益性の低下による簿価切下げの方法)を採用しており、棚卸資産について過去の滞留期間ごとの在庫の販売実績や廃却実績をもとに簿価切下げを行っております。実際の将来需要又は市場状況が当社グループによる見積りより悪化した場合、追加の評価減が必要となり、当社グループの業績を悪化させる可能性があります。
当社グループは、のれんについて、その効果の発現する期間を見積り、その期間で均等償却します。また、その資産性について子会社の業績や事業計画等を基に検討しており、将来において当初想定していた収益が見込めなくなった場合、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上する可能性があり、当社グループの業績を悪化させる可能性があります。
東北電機製造株式会社の株式取得
当社は、2023年5月10日開催の取締役会において、東北電機製造株式会社株式の70%を取得する株式譲渡契約締結について決議し、2023年5月19日付で東北電力株式会社及び株式会社日立製作所との間で株式譲渡契約を締結いたしました。
詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (企業結合等関係)」に記載しております。
四変テック株式会社の株式取得
当社は、2023年12月13日開催の取締役会において、当社の持分法適用関連会社である四変テック株式会社の株式を追加取得し、同社を子会社化することを決議し、2023年12月14日付で同社の既存株主と株式譲渡契約を締結いたしました。
詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (企業結合等関係)」に記載しております。
ローヒ・シュヴァイステクニック社(Lorch Schweißtechnik GmbH)の持分取得
当社は、2023年8月29日開催の取締役会において、ローヒ・シュヴァイステクニック社(Lorch Schweißtechnik GmbH、以下LORCH社)を完全子会社化することを決議し、同日付でローヒ・ホールディング社(Lorch Holding GmbH)との間で持分譲渡契約を締結いたしました。
詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (企業結合等関係)」に記載しております。
当社は、社会課題解決に資する製品の創出・市場投入に向け、グループ内の開発部門と相互に連携をとりながら、お客様や大学などの研究機関との共同研究も積極的に行い、技術シーズの蓄積と製品化を進めております。
当連結会計年度の研究開発費は
<エネルギーマネジメント>
脱炭素社会の実現に向けて、系統用蓄電池や事業所内で発電した電力を自社の施設で消費する自家消費のニーズが高まっていることから、導入・設置にかかるコスト・面積を大幅に削減する「ユニット型パワーコンディショナ」を採用した蓄電池システムなど再生可能エネルギーの導入拡大に貢献する開発に取り組みました。またプラグイン急速充電器の開発やEV用走行中給電技術などのワイヤレス充放電の実証実験などEV普及を見据えた充電インフラ機器・システムの開発に取り組みました。
当連結会計年度におけるエネルギーマネジメントの研究開発費は
<ファクトリーオートメーション>
労働力不足の解消に寄与する協働ロボットのラインアップ拡充や半導体製造装置の省スペース化を実現する垂直多関節ロボット及び真空搬送用のスカラアーム型真空ロボットの開発を進めました。
当連結会計年度におけるファクトリーオートメーションの研究開発費は
<マテリアルプロセシング>
半導体製造プロセスにおいて必要とされる多層・微細加工を小型かつ省電力で実現する高周波電源システムの高性能化の推進に加え、EVなどで採用が進む超ハイテン材やアルミなどのマルチマテリアルの高品質接合に最適な溶接システム「固相抵抗スポット接合システム」及び溶接機の省エネ化や溶接作業の脱技能化に資する開発を進めました。
当連結会計年度におけるマテリアルプロセシングの研究開発費は