第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

   文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営方針・経営戦略等

 当社は、持続的な成長を実現するために、当社の社会における存在意義について社内外のステークホルダーのみなさまにもご意見をいただきながら議論を重ね、2024年度より「見えないものを見える化し、社会に新たな価値を生み出す」を新たな経営理念とするとともに、これを当社の社会における存在意義(パーパス)と位置づけております。

 創業以来、電気に関わるものづくりを続けてきた当社は、電力量計を通じて社会インフラである電力の安定供給や有効利用を支えてまいりました。機械式電力量計がスマートメーターへと進化しても、電力を見える化する製品・サービスは、当社の中核製品であることに変わりはありません。

 現在では、電力以外の見える化を通じて社会課題を解決する「ソリューション事業」を広げつつあります。さらに今後、これまでにない領域にも挑戦し、社会に役立つ新たな価値の創出に取り組んでまいります。

 このパーパスのもと、グループシナジーを最大限に活かし、スマートメーターを基軸としつつ、脱炭素社会の実現などの社会課題に対する新たなソリューションの提供を通じて、当社ならびに当社グループの持続的な成長を目指します。

 

(2) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当社は、「グループシナジーを最大限に活かし、スマートメーターを主軸としつつ、脱炭素社会の実現などの社会課題に対する新たなソリューション提供を通じて、グループ全体の持続的な成長を目指す」を基本方針とする3か年の中期経営計画(2024年度~2026年度)を定め、最終年度(2026年度)での売上高1,000億円、営業利益90億円、親会社株主に帰属する当期純利益55億円の数値目標達成に向けた取り組みを進めております。

 国内計測制御事業においては、スマートメーター事業を主軸としつつ、社会のニーズをとらえたGXサービスやスマートロックなどのソリューション事業を拡大します。

 海外計測制御事業においては、スマートメーターと上位系システムのセット販売の推進や組織構造改革等を通じて利益を重視したビジネスへの変革をさらに進めます。

 併せて、これらの戦略を支えるためのグループ経営基盤の強化にも取り組み、持続的な利益の創出による企業価値の向上を目指します。

 中期経営計画の連結数値計数目標、経営指標の達成に向け、次の重点戦略を掲げております。

 

 a.中期経営計画の重点戦略

① スマートメーターを主軸とした社会インフラへの付加価値の提供

 国内においては、2027年3月期から本格導入が始まる第2世代スマートメーターの最適な生産体制を構築し、確実な収益確保をめざします。同時に、再生可能エネルギーや電動車の利用拡大を見据えた直流計器の投入など、社会インフラへ新たな価値を提供し市場を開拓します。

 

② デジタル技術を活用した現場の業務改善(顧客DX)の支援

 賃貸住宅市場で管理業務の省力化に寄与しているスマートロックにおいて、新製品の投入やパートナーとの連携強化により、賃貸住宅市場、その他の住宅市場や法人事業所等への導入拡大を図ります。また、施設管理業務の負担を軽減する自動検針サービスにおいて、新規導入および既存顧客の交換需要を獲得します。

 

③ 脱炭素社会の実現に向けたトータルGXサービスの提供

 脱炭素化のニーズの高まりをとらえ、エネルギーマネジメントサービスでは、現状の顧客である多店舗展開を行う流通小売業だけではなく、他業種への新規顧客開拓を進めます。また、既存顧客へのより付加価値の高いGXソリューションの提案により収益力を高めるとともに、次の成長の柱となる事業基盤の構築を進めます。

 

④ 利益を重視したビジネスへの変革

 海外においては、オセアニア、英国を中心とした欧州、アジアや中東・アフリカの各地域において次の施策に取り組み、利益を重視したビジネスへの変革をさらに進めます。

・ 市場特性に合わせた高付加価値ソリューションの提供

・ 産業用メータービジネスの再強化

・ 低収益ビジネスからの撤退

・ 組織構造改革

 

⑤ グループ経営基盤の強化

 グループ全体で次の施策に取り組み、経営基盤を強化します。

・ グループ人材育成・活用の強化

・ グループリスク管理の強化

・ バランスシートの効率化とキャッシュの最適配分

・ サステナビリティ活動の推進

 

 

   b.中期経営計画の連結数値目標

                             (単位:百万円)

 

2025年3月期

実績

2026年3月期

計画

2027年3月期

計画

売上高

97,102

98,000

100,000

営業利益

5,701

5,800

9,000

親会社株主に帰属する

当期純利益

3,504

3,600

5,500

ROE(自己資本当期純利益率)

6.9%

7.0%

10.0%

 

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)サステナビリティ共通

①サステナビリティに関する考え方

当社グループは企業理念(パーパス)「見えないものを見える化し、社会に新たな価値を生み出す」およびビジョン「Global Energy Solution Leader」のもと、ステークホルダーと協力し、環境の保全と社会の持続的な発展に貢献するとともに、グループの持続的な成長を目指しております。サステナビリティに関する基本方針として「大崎電気グループサステナビリティ基本方針」を定めております。

 

「大崎電気グループサステナビリティ基本方針」についての詳細は、弊社ウェブサイトの情報開示をご参照ください。

https://www.osaki.co.jp/ja/sustainability/Sustainability.html

 

②ガバナンス

当社グループはサステナビリティに関する基本方針、重要課題、リスクおよび機会かつそれらへの対応策について審議するサステナビリティ推進委員会(委員長:取締役社長執行役員COO)を設置しております。またサステナビリティ推進委員会の下部組織として、環境問題と社会問題のそれぞれに対応するワーキンググループの設置を進めております(2025年5月開催のサステナビリティ推進委員会で審議、同6月の取締役会で承認済)。各ワーキンググループが具体的な施策の企画、立案、実行を担い、各施策の進捗ならびに結果・効果をサステナビリティ推進委員会が管理・評価します。サステナビリティ推進委員会は、サステナビリティに関する取り組みの進捗・課題等について半期ごとに取締役会に報告しております。

 

③戦略

(a)マテリアリティ

当社グループはサステナビリティを巡る課題への対応を、企業の持続可能性を揺るがすリスクのみならず、収益機会の拡大につながる重要な経営課題と認識しており、多様化する社会課題とグループの事業特性を考慮し、特に優先的に取り組むべきマテリアリティ(重要課題)を特定しております。マテリアリティに関連する事業活動を強化することで、持続可能な社会の実現と当社グループの持続的な成長の両立を目指します。マテリアリティの詳細については以下のとおりです。

現在のマテリアリティは2021年12月に特定したものですが、外部環境変化に応じたより具体的な目標設定が必要との当社の課題感に加え、マテリアリティに掲げる課題の重要度評価・優先度評価を行うべきとの機関投資家の皆様からのご意見等を踏まえ、2025年12月開催予定のサステナビリティ推進委員会において、マテリアリティの見直しを行うべく、内容の検討を進めております。新たなマテリアリティについては、同委員会での審議ののち、取締役会での決議を経て開示いたします。

 

 

(大崎電気グループのマテリアリティ)


 

 

 


 

 

 


 

④リスク管理

当社グループは事業の持続的、安定的発展を確保するため、下表の項目を中心としたサステナビリティ関連のリスク及び機会を特定、評価し、特定したリスクに対して必要な対策を講じることで、リスクの低減を図っております。「リスクマネジメント基本方針」ならびに「リスク管理規定」にもとづき想定されるリスクごとに主管部門を定め、リスクやリスクに発展する恐れのある懸念事項の発生状況の把握を行うとともに、リスク・懸念事項の発生防止に向けた取り組みを行っております。これらの取り組みを統合する全社的なリスクマネジメントの推進組織としてコンプライアンス委員会(委員長:取締役会長CEO)を設置しており、リスクマネジメントに関する推進全体の方針・計画の検討、協議、承認を行っております。コンプライアンス委員会の活動内容は定期的に取締役会に報告しております。

 

リスクの分類

想定されるリスク

1.コンプライアンス

① 遵守性リスク

  ・ 法令違反

  ・ 社会通念・企業倫理逸脱 等

  ・ レピュテーションリスク

2.人材・労務

① 労務管理

  ・ 長時間労働

  ・ ハラスメント(人間関係)

  ・ メンタルヘルス疾患

  ・ 感染症拡大 等

② 安全管理

  ・ 労災(業務上災害)

  ・ 社用車運転時の事故 等

③ 人材関係

  ・ 採用(人材が採用できない等)

  ・ 育成(年齢層の偏り等)

  ・ 人材流出 等

3.システム障害、情報漏洩

① システム障害

  ・ 機器(ハードウェア)の故障

  ・ データの消失

  ・ 各業務(決算等)の中断 等

② 情報セキュリティリスク

  ・ 情報漏洩

  ・ マルウェア感染(金銭被害)

  ・ 不正アクセス

  ・ 不正操作、過失操作

  ・ データの改ざん 等

4.気候変動・異常災害・感染症等

① 気候変動、異常災害、感染症等

  ・ 地震

  ・ 自然災害、異常気象

  ・ 感染症 等

② 事業継続(インフラ、生産関係)

  ・ 上記にともなう事業活動の中断 等

 

 

 

⑤指標及び目標

持続可能な社会の実現と当社の持続可能性の両立を目指すためのマテリアリティならびにその取り組みに関する指標及び目標については、「(1) サステナビリティ共通 ③ 戦略 (a)マテリアリティ」に記載のとおりです。

 

(2)気候変動

①気候変動に関する考え方

当社グループは気候変動課題への対応を、企業の持続可能性を揺るがすリスクのみならず、収益機会の拡大につながる重要な経営課題と認識しております。

当社は、「計測制御及び情報通信に関する技術と製品、並びにシステムによるエネルギーマネジメントを通して、エネルギー・ソリューションを追求し、新たな価値を創造することで社会への貢献を果たすとともに、従業員の一人ひとりが環境保全への貢献、地域社会への貢献を図るという環境理念のもとに、地域及び地球の環境保全に寄与します。」を環境憲章として定めております。この憲章に基づき、「大崎電気グループ 環境方針」を定め、気候変動対策を含む地域環境の保全への取り組みを進めております。

また、当社は、2021年11月に気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言への賛同を表明し、TCFDが推奨するフレームワーク(「ガバナンス」「戦略」「リスク管理体制」「指標と目標」)にもとづき、複数のシナリオ分析をふまえたリスク・機会の分析を行い、対応策・適応策を推進するとともに、当社の財務に与える影響などの情報開示に取り組んでおります。

 

②ガバナンス

詳細につきましては、「(1) サステナビリティ共通 ②ガバナンス」に記載のとおりです。

 

③戦略

当社グループにおける、気候変動課題に対する戦略は以下のとおりです。

 

(a) シナリオ分析

当社では、IEA(国際エネルギー機関)による「World Energy Outlook」等のシナリオを用いて、気候変動が事業にどのような影響を及ぼすかについて、移行リスクが最大化する「2℃シナリオ」、物理リスクが最大化する「4℃シナリオ」それぞれについて分析を行いました。この分析をふまえ、当社の事業に与える影響が大きいと思われるリスクと機会を、短期・中期・長期の時間軸で想定し、それぞれの対応策を策定しました。想定したリスク・機会のうち、主なものについては、下表のとおりです。
 

 

<リスク>

分類

項目

主なリスク

対応策/適応策

移行

リスク

(2℃シナ

リオ)

政策・

規制

炭素税・排出権取引・GHG排出規制等の再エネ・省エネ政策の強化により、事業コストの負担が増加する[中期]

温室効果ガス排出量削減目標(*)を設定し、左記によるコスト上昇リスクを低減

*2030年度に2013年度比46%削減

気候変動に関する情報開示が不十分な場合、金融機関・投資家からの投融資が回避される[短期]

・TCFDに基づく気候変動に関する情報開示の充実化

・SBT(Science Based Targets)の認証取得

 

評判

気候変動に関する情報開示が不十分な場合、既存顧客からの受注が減少するとともに、新規顧客獲得が困難となる[中期]

物理

リスク

(4℃シナ

リオ)

急性

・自然災害の激甚化により、製造・サプライチェーンに影響を及ぼす可能性[短期]

・災害対策費用や保険料等のコストが増加する[中期][長期]

外注を含めた生産拠点の分散化など、BCPの推進による左記リスクの低減

 

 

 

<機会>

分類

項目

主な機会

対応策/適応策

移行

リスク

(2℃シナ

リオ)

政策・

規制

炭素税・排出権取引・GHG排出規制等の再エネ・省エネ政策の強化により:

1)排出権取引制度の強化や対象地域の拡大により、海外において電力計測ニーズが高まり、スマートメーター及び上位系システムの需要が高まる[短期][中期]

2)省エネ機運が高まり、当社の脱炭素ソリューションの需要が高まる[短期][中期]

1)新たな付加価値を創出するスマートメーター・上位系システム等の開発・提供

2)環境負荷低減へ貢献する施設(ビル・工場等)における脱炭素ソリューションサービスの開発・提供

物理

リスク

(4℃シナ

リオ)

急性

自然災害の激甚化により、BCP対策への社会的要請が高まり、送配電網のレジリエンス強化機能を持ったスマートメーターの需要が高まる[中期]

新たな付加価値を創出するスマートメーター・上位系システム等の開発・提供

 

期間の定義:[短期]~2026年頃、[中期]~2030年頃、[長期]2030年~

 

(b) 財務影響評価

上記分析を踏まえ、リスク・機会それぞれにおいて具体的な対応策・適応策を講じることにより、気候変動による当社グループの長期的な成長への財務的な負の影響を低減してまいります。

 

④リスク管理

詳細につきましては、「(1) サステナビリティ共通 ④リスク管理」に記載のとおりです。

 

⑤指標及び目標

当社グループは、気候関連問題が経営に及ぼす影響を評価・管理するため、GHGプロトコルの基準に基づき温室効果ガス排出量(Scope1-3)の算定を実施しております。温室効果ガス排出量の削減目標については、これまで2030年度に2013年度比46%削減を目指す目標をかかげておりましたが、2024年度より、当社グループを対象に2030年度に2023年度の基準排出量からScope1,2は42%以上、Scope3は排出量の総量のうち「購入した製品・サービス」、「販売した製品の使用」による排出量について、25%以上の削減水準を設定しております。本目標は、2025年3月に、国際的イニシアチブ SBTi(Science Based Targets initiative)の認定を取得しました。

 

(3)人的資本

①人的資本に関する考え方

当社グループは、社会における当社の存在意義であるパーパスを「見えないものを見える化し、社会に新たな価値を生み出す」と定義し、これを経営理念として掲げております。

あわせて、このパーパス・経営理念に基づく経営の実践を通じて当社が目指す中長期視点での「ありたい姿」(ビジョン)を「Global Energy Solution Leader」と定義しております。

このビジョンには、①製品単体の販売からシステム販売への転換。さらには、お客様への課題解決(ソリューション)の提供、②温室効果ガス排出削減など地球規模の課題に向き合うエネルギーソリューションの提供、③世界中のお客様に新たな価値を提供し、世界市場で確固たる地位を築くなどの思いが込められておりますが、その実現に向けては、従来の延長線上にはない新たな価値の創造が不可欠です。

その価値創造を担う「人材」はまさに「人的資本」であり、人的資本が創出する企業価値の最大化に向けては、経営戦略と連動した人的資本戦略の立案・実行が求められます。

 

当社ではこうした基本的な考えにもとづき人材獲得、人材育成・能力開発、個が輝く職場環境づくりに取り組んでおります。

 

②ガバナンス

詳細につきましては、「(1) サステナビリティ共通 ②ガバナンス」に記載のとおりです。

 

 

③戦略

当社における、人材育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針は、以下のとおりです。

(a)人材獲得

2017年からの5年間の新卒入社者について、「仕事を進めるうえで重視する価値観」を分析したところ、傾向として「調和・秩序」を挙げる人材の割合が非常に高いことが明らかになりました。事業の安定的な運営にあたってはこうした特徴を尊重する一方、「Global Energy Solution Leader」を目指す当社にとっては、社会への新たな価値の提供に向けて価値創出に果敢に挑戦する人材の増加が不可欠であり、「価値創出や結果」を重視する人材の獲得拡大が喫緊の課題と認識しております。

こうした考えのもと、2022年度より採用戦略を抜本的に見直し、当社の経営理念体系(経営理念・パーパス、ビジョン、当社が重視する4つの「価値観」等)への理解を採用前段階から醸成するとともに、価値創出に向けて自らの価値観に基づいて判断・考動できる人材(自律型人材)の獲得に向けた取り組みを行っております。

人材獲得を取り巻く外部環境は年々変化しており、そうした変化を的確に把握しながら、毎年度の採用戦略を立案・実行しております。

 

(b)人材育成

当社では、2024年5月に当グループの新たな企業理念として「見えないものを見える化し、社会に新たな価値を生み出す」を制定しました。あわせて、大切にする価値観として「挑戦」「迅速」「革新」「社会貢献」を定めました。

社会に対する新たな価値の創出に向け、「挑戦」「迅速」「革新」を体現し得る人材の育成を図るため、「仕事という経験の場、学びの機会の付与を通じて主体性を培い、自律型人材を育成する」ことを人材育成方針として掲げております。

こうした方針の下、2025年4月より、価値観に紐づく職種別スキルセットを導入し、従業員の能力開発→行動力発揮→業績向上→適切な評価→処遇反映のグッドスパイラルを継続して回すことに取り組んでおります。

また、職種別階層別のスキルセットを定義・明確化し、現在のスキル保有状況と、次の階層にステップアップするための必要スキルが可視化されることで、OJT,Off-JTを通じたキャリアアップに取り組んでおります。

仕事の場を通じた育成(OJT)を図るとともに、スキルセットに関連する学習メニューを整備・提供することで、育成の仕組みをトータルパッケージとして従業員に提供し、自律的な成長を支援しております。

また、2025年2月にDX推進部を設置し、DX推進人材の育成にも注力しております(2025年5月1日「DX認定事業者」認定)。2025年度からはデジタル技術を活用して課題を解決できる人材の育成を目的として、①DXリテラシーの基礎を構築する研修(全階層対象)、②DXエキスパート人材の育成を図る研修の実施を計画しております。

こうした取り組みを通じて従業員の成長を支援し、お客様への提供価値を高め、企業価値の向上を図ってまいります。

 

(c)個が輝く職場環境づくり

当社グループは、当社で働く多様な人材が会社からの必要なサポートを受けながら、個人が持つ強みや特性を活かして活躍できる職場環境・制度の整備を推進しております。

具体的には、人権尊重を事業活動の根幹と位置づけ、「大崎電気グループ企業行動憲章」において「グローバル社会におけるすべての人々の人権を尊重し、いかなる差別も行わない」ことを宣言しております。その確実な実践を期すため、2025年2月に「大崎電気グループ人権方針」を制定し、社内浸透と実践を図っております。また、「健康経営優良法人2025(大規模法人部門)」に認定されるなど、所定外労働時間の削減やフレックスタイム制や在宅勤務の活用、また、オフィスカジュアルの定着や埼玉事業所におけるフリースペース化等による働き方改革の推進に加え、育児の短時間勤務におけるフレキシブル活用化や男性の育児休業取得率向上等のワークライフバランスの取り組みも推進しております。

 

④リスク管理

詳細につきましては、「(1) サステナビリティ共通 ④リスク管理」に記載のとおりです。

 

⑤指標及び目標

上記「③戦略」において記載した、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針に係る主な指標については、下表のとおりです。なお、当社においては、関連する指標のデータ管理とともに具体的な取組みが行われているものの、連結グループに属する全ての会社では行われてはいないため、提出会社のものを記載しております。

 

(a)人材獲得

指標

実績(当事業年度)

新卒求職者に占める女性の割合

39.6%

(2025年4月定期入社者)

入社者に占める女性の割合

25.0%

(2025年4月定期入社者)

経験者採用における女性の人数

2

経験者採用者に占める女性の割合

18.2%

 

 

(b)人材育成

指標

実績(当事業年度)

Off-JTで提供される研修メニュー数

1,263メニュー

指名型研修受講率

97.1%

Off-JT 研修時間

20.8時間(1人当たり)

Off-JT 研修費用

25,562円(1人当たり)

 

 

 

(c)個が輝く職場環境づくり 

指標

2027年3月末

目標

2031年3月末

目標

実績(当事業年度)

社員に占める女性の割合

25.0%

30.0%

22.5%

管理職に占める女性の割合

6.0%

10.0%

5.8%

役員に占める女性の割合

-

-

27.2%

男女の賃金差異

70%

75%

66.7%

男性の育休取得率

80.0%

100.0%

85.0%

女性の育休取得率

-

-

100.0%

離職率

-

-

2.6%(3年以内)

 

 

 

 

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

   なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)需要変動のリスク

当社グループの製品需要は、地域の政治・経済状況や政策の影響により変動する可能性があります。また、当社グループの売上高の過半を主要顧客が占めているため、顧客の業績、戦略及び設備投資計画などにより需要が変動するリスクがあります。

当社グループの主力製品であるスマートメーターは、国内では計量法で検定有効期間(使用可能期間)が10年と定められており、海外においても一定の使用期間後に取替えが必要となっております。そのため、一時的に需要が増大した場合、その後一定期間は需要が減少する可能性があります。

当社グループは国内全域に加えてオセアニア、欧州、その他新興国などで事業拡大を進めているほか、新製品投入や機能追加などによる需要喚起や新規顧客の開拓にも取り組み、需要変動影響の分散を図っておりますが、需要が著しく変動した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)価格競争のリスク

当社グループの主力製品であるスマートメーターは、国内外で有力企業と競合しており、価格は重要な競争要因となっております。当社グループは価格競争に陥らないように品質、安全性、付加価値などが評価される市場を選択すると共に、製品・サービスの継続的改良に努めておりますが、価格競争を完全に回避することは困難であるため、価格が大幅に下落した場合、又は想定を下回る価格で大量に販売した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)サプライチェーンに関するリスク

 a   部材の調達リスク

当社グループは、主力製品であるスマートメーターの機能・品質の向上や原価低減を目的に仕様変更を継続的に行っているため、部材調達においては顧客からの発注予測、調達のリードタイムに加えて、製品の仕様変更時期も考慮しながら、タイムリーな発注と適正な在庫水準の維持に努めております。

 しかしながら、需給逼迫などにより必要な部材をタイムリーに調達できない場合、当社グループの生産活動に支障をきたす可能性があります。また、顧客の方針変更に伴う需要の減少などにより、不用になった部材が滞留する可能性があります。

さらに、米国による追加関税措置の対象国のうち関税率が高い国においては経済への負の影響もしくは混乱が予想されます。当社が部材などを調達する国において、そうした事態が生じた場合、必要な部材をタイムリーに調達できないなど、当社サプライチェーンへの影響が想定されます。

これらにより、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 b   コスト上昇リスク

当社グループは適切な価格での部材購入に努めておりますが、需給状況や為替の変動、インフレの影響などにより半導体や金属など調達部材価格が上昇するリスクがあります。また、世界的な原油価格の変動による燃料価格の上昇などにより、物流コストが上昇するリスクがあります。これらのコスト上昇を製品価格に十分に転嫁できない場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(4)海外事業のリスク

当社グループはオセアニア、欧州、その他新興国などを中心に海外事業を展開しており、2025年3月期の連結売上高に占める海外比率は約40%となっております。海外事業を中長期的な成長の柱と位置付け、利益を重視したビジネスの拡大に注力するとともに、最新のリスク情報によるマーケットや販売先の見直しを随時行っております。また、外注を含めた生産拠点を複数国へ分散することによるリスクの低減に取り組んでおります。

しかしながら、海外においては政治・経済情勢や紛争・テロ等の地政学的リスク、法令・制度に関する不確実性が国内に比して高いことから、市場の急激な変化やプロジェクトの遅延などによって事業が想定通りに進展しない場合、生産・出荷面で遅延が生じた場合など、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

なお、子会社製を含む当社製品は対米輸出を行っておらず、今回の米国による追加関税措置の直接的な影響は軽微と判断いたします。

 

(5)為替レートの変動によるリスク

当社グループの海外事業においては、為替レートの変動により在外子会社の収益や資産等が変動する可能性があります。為替変動の影響を軽減するために先物為替予約を行っておりますが、急激な為替レートの変動は当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(6)製品・サービスの品質に関するリスク

当社グループは所定の品質管理水準に基づいて製品を自社生産又は外注しており、瑕疵・欠陥のある製品が市場に流出することのないように厳格な品質管理体制を構築しております。しかし、将来に渡って品質問題が発生しない保証はなく、製品の回収、交換、損害賠償などの事態が発生した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)研究開発のリスク

当社グループは、製品・サービスの競争力を一層高めるべく研究開発を強化しております。技術変化に対する迅速な情報収集や予測、変化に応じた技術開発への適切な投資などに取り組んでおりますが、開発の遅延や技術者の不足などにより対応に遅れが生じる可能性があります。また、当社グループの知的財産権が侵害されるリスク、または当社グループが意図せず第三者の知的財産権を侵害し、賠償金の請求や訴訟提起されるリスクがあります。これらにより、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)サステナビリティに係るリスク

当社グループは、サステナビリティを巡る課題への対応はリスクの減少や収益機会につながる重要な経営課題であると認識しており、サステナビリティ推進委員会のもと、各課題へ取り組んでおります。

しかしながら、これらの課題への対応が遅れる場合は、当社グループの中長期的な業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9)人材に関するリスク

当社グループは中長期的な事業戦略を実現するためには、人材の確保・育成が重要であると認識しており、新卒採用や経験者採用を継続的に行うとともに、さまざまな研修制度や、公正な評価・処遇の制度、働きやすい職場環境の提供に取り組んでおります。

 しかしながら、採用競争の激化や労働人口の減少などにより、経営計画の推進に必要な人材の確保ができない場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10)災害等によるリスク

当社グループは国内外で事業展開しておりますが、各国における大規模な地震や台風等の自然災害、火災等の事故災害、疫病の発生・蔓延等により、顧客からの注文の遅延や、生産・出荷を長期間停止せざるを得ないような事態が発生した場合、当社グループの事業活動に支障をきたし、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績の状況

 

 ①経営成績

 

中期経営計画(2024年度~2026年度)の初年度となる当期の各セグメントの経営成績は以下のとおりです。

 

〔国内計測制御事業〕

当セグメントの売上高は前期比1.5%増の56,084百万円、営業利益は前期比10.9%減の3,965百万円となりました。

売上高は、スマートメーター事業において、第2世代スマートメーター導入に向けて現行スマートメーターに対するゆるやかな需要減少がある一方、その他の電力会社向け製品・サービスが堅調であったことから、微減となりましたが、ソリューション事業において、電力会社以外へのメーター販売が好調で増収となったこと等から、事業全体では前期比で増収となりました。営業利益は、製品構成の変動や販売管理費の増加等により、前期比で減益となりました。

 

〔海外計測制御事業〕

当セグメントの売上高は前期比2.5%増の41,719百万円、営業利益は前期比28.0%増の1,477百万円となりました。

売上高は、英国向けで第1・2四半期に発生した顧客の在庫調整の影響、アジアでの低収益ビジネスからの撤退、中東・アフリカ向けにおける与信リスクなどを踏まえた選択受注等により減少した一方、オセアニア向けの新規・更新需要増による出荷増等により、事業全体では前期比で増収となりました。営業利益も、オセアニアでの売上増や英国での為替の好転(英ポンド/米ドル相場における英ポンド高)による利益率の改善等により、前期比で増益となりました。

 

〔不動産事業〕

当セグメントは、経営資源の有効活用と資産効率の向上を図るため一部の不動産を売却したことにより、売上高は前期比1.9%減の561百万円、営業利益は前期比2.7%減の270百万円となりました。

 

これらの結果、当期の売上高は97,102百万円と前期比1,955百万円(2.1%)の増収、営業利益は5,701百万円と前期比173百万円(3.0%)の減益、経常利益は5,386百万円と前期比101百万円(1.9%)の減益、親会社株主に帰属する当期純利益は、資本効率化を目的とした政策保有株式や不動産の売却に伴い売却益を特別利益として計上したこと、海外子会社で実施した事業構造改革費用を特別損失として計上したこと等により3,504百万円と前期比1,096百万円(45.6%)の増益となりました。

 

 

<連結業績>

                                      (単位:百万円)

 

2024年3月期

実績

2025年3月期

実績

年度

期初計画

期初計画比

金額

比率

金額

比率

売上高

95,147

97,102

1,955

+2.1

90,000

7,102

+7.9%

 

国内計測制御事業

55,266

56,084

818

+1.5

 

 

 

 

海外計測制御事業

40,693

41,719

1,026

+2.5

 

 

 

 

不動産事業

572

561

△10

△1.9

 

 

 

 

調整額

△1,384

△1,263

121

 

 

 

 

営業利益

5,874

5,701

△173

△3.0

4,700

1,001

+21.3%

 

国内計測制御事業

4,451

3,965

△486

△10.9

 

 

 

 

海外計測制御事業

1,155

1,477

322

+28.0

 

 

 

 

不動産事業

277

270

△7

△2.7

 

 

 

 

調整額

△9

△12

△2

 

 

 

 

経常利益

5,488

5,386

△101

△1.9

3,900

1,486

+38.1%

親会社株主に帰属

する当期純利益

2,407

3,504

1,096

+45.6

2,000

1,504

+75.2%

 

 

 

当連結会計年度における生産実績、受注状況(見込み生産を行っているものを除く)及び販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 a生産実績

セグメントの名称

生産高(百万円)

前年同期比(%)

国内計測制御事業

56,818

+1.1

海外計測制御事業

42,136

+2.8

合計

98,954

+1.8

 

(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。

2 金額は、販売価格によっております。

 

 b受注状況

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高(百万円)

前年同期比(%)

国内計測制御事業

14,286

△6.9

9,948

+0.8

 

(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。

2 海外計測制御事業については見込生産を主体としているため、記載を省略しております。

 

 

 c販売実績

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年同期比(%)

国内計測制御事業

56,061

+1.5

海外計測制御事業

40,584

+2.9

不動産事業

456

△2.3

合計

97,102

+2.1

 

(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。

   2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

販売高(百万円)

割合(%)

販売高(百万円)

割合(%)

関西電力送配電株式会社

16,646

17.5

17,133

17.6

 

 

 

 

  ②財政状態

 

項目

前連結会計年度
(2024年3月31日)

当連結会計年度
(2025年3月31日)

増 減

総資産額(百万円)

95,641

100,513

4,872

負債合計額(百万円)

33,108

37,170

4,061

純資産額(百万円)

62,532

63,343

810

自己資本比率(%)

51.9

51.9

0.0

 

当連結会計年度末における総資産は、受取手形、売掛金及び契約資産が1,280百万円減少しましたが、現金及び預金が4,417百万円、棚卸資産が2,579百万円それぞれ増加したこと等により、前年度末と比較して4,872百万円増加し、100,513百万円となりました。

負債は、リース債務が377百万円減少しましたが、長・短期借入金が2,228百万円、流動負債のその他が967百万円それぞれ増加したこと等により、前年度末と比較して4,061百万円増加し、37,170百万円となりました。

純資産は、非支配株主持分が1,731百万円減少しましたが、利益剰余金が2,071百万円、為替換算調整勘定が1,051百万円それぞれ増加したこと等により、前年度末と比較して810百万円増加し、63,343百万円となりました。

 

  ③キャッシュ・フロー                                (単位:百万円)

 

分類

前連結会計年度
 

当連結会計年度
 

増 減
 

営業活動によるキャッシュ・フロー

4,187

6,889

2,702

投資活動によるキャッシュ・フロー

△2,895

△1,229

1,665

財務活動によるキャッシュ・フロー

△2,990

△3,028

△37

現金及び現金同等物の期末残高

10,843

13,085

2,241

 

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)の期末残高は、前年度末に比べ2,241百万円増加して13,085百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益6,389百万円、減価償却費2,215百万円、売上債権の減少額1,985百万円等の資金増加要因が、棚卸資産の増加額1,289百万円、法人税等の支払額1,566百万円等の資金減少要因を上回ったことにより6,889百万円の資金増加となりました。

投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出2,459百万円、無形固定資産の取得による支出383百万円等の資金減少要因が、有形固定資産の売却による収入1,150百万円等の資金増加要因を上回ったことにより1,229百万円の資金減少となりました。

財務活動によるキャッシュ・フローは、自己株式の取得による支出1,223百万円、非支配株主も含めた配当金の支払額3,476百万円等の資金減少要因が、短期借入金の純増加額1,898百万円等の資金増加要因を上回ったことにより3,028百万円の資金減少となりました。

 

 

 

 

 

 

 

 

キャッシュ・フロー関連指標の推移

 

2023年3月期

2024年3月期

2025年3月期

自己資本比率(%)

49.2

51.9

51.9

時価ベースの自己資本比率(%)

26.7

33.5

36.3

キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)

29.4

1.7

1.3

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

1.8

24.0

19.6

 

(注)自己資本比率:自己資本/総資産
   時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
   キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
   インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
*各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しております。
*株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。

*営業キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
 

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

①重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表の作成にあたっては、過去の実績や状況に応じ合理的だと考えられる様々な要因に基づき、見積り及び判断を行っておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるために、これらの見積りと異なる場合があります。

 なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」の「4 会計方針に関する事項」に記載しております。

 また、連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

②経営成績の分析

 2025年3月期は期初計画に対して、国内計測制御事業において、スマートメーター事業での需要変動に対する製販一体となった対応による受注獲得により、売上高は期初計画を上回りました。利益面についても、スマートメーター事業の増収や販売管理費の縮減により、期初計画を上回りました。

 海外計測制御事業においては、オセアニア向けの追加受注の獲得や、為替が前提レートより円安になったことにより、売上高は期初計画を上回りました。利益面については、中東・アフリカ地域において与信リスクを踏まえた選択受注を行ったことにより、期初計画を下回りました。

 不動産事業においては、経営資源の有効活用と資産効率の向上を図るため一部の不動産を売却したことにより、売上高、営業利益ともに期初の計画を下回りました。

 

 

これらの結果、下表のとおりの連結経営成績となりました。

                                       (単位:百万円) 

 

2025年3月期

実績

前年度比

期初計画比

金額

比率

金額

比率

売上高

97,102

1,955

+2.1

7,102

+7.9%

営業利益

5,701

△173

△3.0

1,001

+21.3%

経常利益

5,386

△101

△1.9

1,486

+38.1%

親会社株主に帰属する

当期純利益

3,504

1,096

+45.6

1,504

+75.2%

 

 

以上のように、当連結会計年度において、国内計測制御事業において、スマートメーター事業が堅調に推移したことにより、売上高、営業利益ともに期初計画を上回りました。このような状況下、経営資源の有効活用と資産効率の向上を図るため、不動産および政策保有株式の縮減を推進しました。これにより、親会社株主に帰属する当期純利益も期初計画を大きく上回りました。なお、2026年3月期以降は、国内での2026年3月期から導入が始まる第2世代スマートメーターにおける収益確保や、顧客のDXや脱炭素化を支援するソリューションビジネスへの注力、海外での次世代メーターや次世代産業用メーターの投入や、スマートメーターと上位系システムを組み合わせたソリューション事業の拡大による収益性向上など、中期的な成長へ向けて取り組みます。

 

③資本の財源及び資金の流動性

 

当社グループの事業活動に必要な資金について、営業キャッシュ・フローで獲得した資金を主な財源としつつ、債権回収までに資金が必要な時は銀行借入等による資金調達によって流動性を保持しています。当社グループは中期的な企業価値向上へ向けて、スマートメーター事業や、ソリューション事業の付加価値向上を目的とした設備投資、開発投資、人的投資に資金を投じてまいります。

 

当社と連結グループ会社間は、グループファイナンスにより資金融通を行うことで、グループ内資金の有効活用を図り、資金効率の向上に努めております。一方で、資金調達を行う際は、期間や国内外の市場金利動向等、また自己資本比率やROEへの影響度等、総合的に勘案しながら、最適な調達を実施します。

経営資源については、成長へ向けた投資や株主還元の強化に適正に分配してまいります。

 

④経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 

 当社は株主資本の効率化を重視しており、ROE(自己資本当期純利益率)の持続的な向上を目指しています。2025年3月期から2027年3月期の中期経営計画期間の実績・目標は、下表のとおりです。

 

 

2025年3月期

実績

2026年3月期

計画

2027年3月期

計画

ROE

6.9%

7.0%

10.0%

 

 

 

5 【重要な契約等】

 特に記載すべき事項はありません。

 

 

 

6 【研究開発活動】

 当社グループは、事業環境や顧客需要の変化に迅速に対応すべく、フレキシブルな人材活用、研究開発投資を行い、新製品・サービスの開発・改良を進めています。当連結会計年度に当社グループが支出した研究開発費の総額は3,575百万円であります。

 

研究開発活動は主に国内計測制御事業及び海外計測制御事業セグメントにおいて行っております。

国内計測制御事業においては、スマートメーター事業では、ニーズに対応した各種製品の研究・開発をグループ会社と連携して進めており、製品ラインアップを広げつつ、第2世代スマートメーターを含む新技術対応等、競争力向上に向けた研究開発に取り組みました。また、ソリューション事業では、エネルギー需給の効率化や省人化に貢献するため、ビル・商業施設を対象としたエネルギーマネジメントサービスおよび各種機器の開発に加え、スマートロックに関するシステムの開発に取り組んでおります。また、従来の交流計測技術に加え、新製品創出に必要な関連技術として直流計測技術などの「計測技術」、省エネ等の「監視制御技術」「送蓄電応用技術」、「AIoT利用・活用技術」、に重点を置いて研究開発を推進しております。

海外計測制御事業においては、シンガポールを中心に開発拠点を設けており、主にスマートメーター、上位系システムを含むソフトウェア等の開発を行いました。

セグメントごとの研究開発費の金額は以下のとおりであります。

 

国内計測制御事業  1,231百万円

海外計測制御事業  2,344百万円

不動産事業       百万円

 合計        3,575百万円