第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

以下の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等には将来に関する記述が含まれています。こうした記述は現時点で当社が入手している情報を踏まえた仮定に基づくものであり、2「事業等のリスク」などに記載された事項等によって、当社グループの実際の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況がこうした将来の記述と異なる可能性があります。

 

(1) 会社の経営方針、経営環境及び優先的に対処すべき課題等

当社グループはグローバル自動車市場の成長とともに歩んできました。しかし、半世紀以上に渡って成長してきた世界の自動車市場は、2018年頃から調整局面に入り、停滞の兆しを見せています。更に、全産業を横断しての環境負荷低減は近年グローバル・イシューとなり、それに伴って自動車市場にもCASE※1革命の波が押し寄せています。日本の自動車メーカーの世界進出に乗じて、自動車内燃機関の部品加工・組み立てにより規模を拡大してきたわれわれ自動車部品メーカーも、方針を見直す必要に迫られています。計画的な需要と供給の見通しが立てやすい世の中は、先行き不透明なVUCA (Volatility, Uncertainty, Complexity, and Ambiguity)※2 な社会に移行しています。一方で不確定性とリスクの高いウィズ・コロナ、アフター・コロナの世界では、新たな機会、社会のニーズが生まれ始めています。

このような経営環境の中、当社グループは、2021年5月に2021年度から2030年度にかけて以下を骨子とする中期経営方針を策定し、公表いたしました。

 

① 既存事業の深化

存続する自動車市場において、圧倒的な高収益・高品質基盤を確立する

② サーマル・ソリューション事業の拡大

サーマル・マネジメントのソリューションにおいて世界のトップ・プレーヤーとなり環境負荷低減に貢献する

③ 次世代コア事業の創出

自動車事業に囚われない新事業を創出する、地域経済に貢献する新たな事業を創出する

 

1939年の創業以来、安全要求の厳しい重要保安製品を、技術力と品質保証力、リーダーシップとチームワークを持って、お客様に提供し続けてきました。マーケット・インの問題解決能力、ステークホルダーに寄り添った安心の創出こそが、当社の強みです。われわれは次の30年間もこの強みを活かし、“第3の創業”とも言える大きな事業変革に果敢にチャレンジし、コロナ・ショックの後に来たるべき新しい世界において、さらなる成長を実現させていきます。

 

※1: CASE = Connected (つながる), Autonomous (自律走行), Shared (共有), Electric (電動) の略語

※2: VUCA = Volatility (変動性), Uncertainty (不確実性), Complexity (複雑性), Ambiguity (曖昧性) の略語

 

(2) 経営戦略等

 上述した中期経営方針のもと経営戦略を以下の3つの施策にまとめ、実行スピードを上げて取り組みます
 

① 既存事業の深化

 自動車用ブレーキ配管、燃料や冷却の配管、シートベルトなどの安全製品は次の10年間も存続します。コロナ・ショックの対策で実行した構造改革により手に入れた収益体質を、更にレベルアップさせていきます。鍵となるのはDX、信頼性工学です。自社生産工程とサプライチェーンの状況をリアルタイムで完全に『視える化』し、一段上の高収益体質、高品質生産体制を確立します。

 

② サーマル・ソリューション事業

 当社は数十年に渡って、自動車用の熱交換器、冷媒配管を開発・販売・生産してきました。その実績を評価され、われわれの冷却配管システムはスーパー・コンピュータ『富岳』にも採用されました。自動車の電動化に伴い、モーターやバッテリー、インバーターやPCUの市場が拡大します。これらのEVコンポーネントは、どれも高性能な冷却機能を必要とします。また、今後更に市場が拡大すると見込まれるデータセンターや通信機器にも、最適な冷却効率が求められます。われわれは配管から熱交換器まで一括して最適設計・生産ができる強みを活かし、サーマル・ソリューションの事業の拡大を狙います。

③ 新事業の創出

 当社グループは、コロナ・ショックの次に生まれる新たな社会的課題とニーズを見据えています。そのために過去10年間、研究開発活動とCVC投資を続けてきました。キーワードは地域経済の復興、環境低負荷社会の実現、そして生きがい・働きがいの創造です。

1)生産ソリューション事業について

 度重なる自然災害やコロナ・ショックのために、グローバル・サプライ・チェーンは分断されてしまっています。世界各地における中小の下請けメーカーは財務が悪化し、日々変動するオーダーや要求に苦しんでいます。しかしサプライチェーン全体で見ると、まだまだ在庫やスクラップの無駄が存在しています。どの会社も財務的な余裕はないのに、市場全体ではつくりすぎ、買いすぎ、捨てすぎ、というムダが発生しているのです。当社では加工設備や組み立て設備、検査装置を内製化しています。上流の製品、工程、設備から、下流の最終検査まで、一貫した設計を行っています。こういった生産ソリューションを社外に向けても提供し始めています。われわれの力で、世界の製造業がムダを削減し、リードタイムを短縮し、財務の健全性と活力を取り戻す。そのような、中小企業に生産のソリューションを提供する事業を発展させていきます。

2)研究開発とCVCについて

 当社では20名以上のPh.D.人財が、世界各国の大学や研究機関と提携して、全固体電池や熱電発電、レーザーや先進医療などの次世代技術の研究を日々行っています。先進的な技術を持つスタートアップ企業にも日頃から積極的に投資しています。来たるべき市場の変化に備え、われわれは事業領域を問わず、地域貢献・環境負荷低減に貢献するテクノロジーに対しては継続して基礎研究・投資を続けていきます。

 

(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、安定的な収益力の確保とグループ全体の業績向上のため、連結ベースの売上高、営業利益、経常利益、売上営業利益率及び自己資本利益率等の経営指標の拡充を目標としております。

 

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2【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
 なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2021年6月23日)現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経済的状況

当社グループは 日本、北南米、欧州、中国、アジアと事業をグローバルに展開しております。そのため、当社グループが製品を販売している国または地域の経済状況の変動により業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 為替レートの変動

当社グループの連結売上高に対する海外売上高の割合は、2020年3月期で76.1%、2021年3月期で76.0%を占めており、売上高、営業利益、資産等の中には、現地通貨建ての項目が含まれており、連結財務諸表作成時に円換算しております。従って通期の見通しにおいて想定した為替レートに対し、実際の決算換算時の為替レートに乖離が生じた場合、主に円高局面ではマイナスに、円安局面ではプラスに当社グループの業績および財務状況に影響を与える可能性があります。

こうした為替リスクを最小限に軽減すべく、当社では状況に応じ為替予約等のヘッジオペレーションを行っております。ただし、期末日の極端な為替変動によりデリバティブ評価損等に影響を及ぼし、営業外損益が変動する可能性があります。

 

(3) 退職給付債務

当社グループの退職給付債務は、数理計算上で設定される割引率や年金資産の期待収益率等に基づいて算出されており、実際の結果に基づいて変更される可能性および年金資産の運用環境悪化等により数理計算上の差異が発生する可能性があります。これらの割引率、長期期待運用収益率等の低下および運用環境などの悪化は、当社グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 製品の欠陥

当社グループは、国内および海外各地域の工場で、世界的に認められた品質管理基準に従って製造を行っておりますが、将来に渡り全ての製品において欠陥やリコールが発生しないという保証はありません。製造物責任賠償については保険を付保しておりますが、大規模なリコール等につながる製品の欠陥によっては多額の追加コストが発生する可能性があり、製造物責任賠償保険が最終的に負担する賠償額を充分カバーできるという保証はなく、当社グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

当社のメキシコ子会社が過去に製造した自動車用部品に関連し、当該部品を組み込んだ自動車の品質問題が発生しており、当社のメキシコ子会社が得意先から費用の負担を求められております。これらについて、合理的に見積りが可能な費用負担見込額を製品保証引当金として計上しておりますが、今後の交渉状況等によっては当社の連結業績に影響が生じる可能性があります。当社の製品は重要保安部品に位置付けられ、リスクが顕在化した場合には重要な影響が発生しうることを強く認識し、APQPの仕組みの大幅な見直し・改善等を通じて上記含む重要な品質問題の再発防止を図るための仕組みの整備及び運用を図っております。

 

(5) 原材料の市況

当社グループは、グループ外から原材料を調達しておりますが、原材料価格の変動等により当社グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは原材料価格の変動については、得意先及び調達先と極力同期化を図ることで、その変動リスクを最小化するよう努めております。

 

(6) 地震等の自然災害及び事故災害

地震や気候変動の進行による大規模な台風、集中豪雨の発生等の自然災害及び想定外の事故のリスクが顕在化した場合、従業員、生産設備等の資産、サプライチェーンにおいて被害が発生する恐れがあり、当社グループの調達、生産、製品販売に支障が生じ、当社グループの経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。

当社グループでは、定期的にBCP等の対策の有効性を検討し、適宜見直すといったBCM活動を推進し、大規模自然災害及び想定外の事故に係るリスクの低減を図っております。また当社グループはこれらのリスクが顕在化した際には、人命の保護を最優先に、BCP等を実施し、資産を守りサプライチェーンを維持し、操業の早期復旧と継続を図ります。

 

(7) 国際的活動

当社グループは北南米、欧州、中国及びアジアにおいて、グローバルな生産、販売活動を展開しており、日本国外の占める割合は、年々、高まる傾向にあります。これらの海外市場への事業進出には以下に掲げるようないくつかのリスクが内在しており、これらの事態が発生した場合には、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

・予期しない制度、法制又は規制の変更

・不利な政治的又は経済的要因の発生

・移転価格税制等の国際税務リスク

・ストライキ等の労働争議

・社会的共通資本(インフラ)が未整備なことによる事業活動への悪影響

・テロ、戦争、疾病、その他の要因による社会的又は経済的混乱

 

なお新型コロナウイルス感染症拡大による影響により、2020年4月から6月にかけて日本、米州、欧州、中国、アジアの各地域における工場操業停止に伴い一時的に生産台数が低下したものの、2020年7月以降は生産台数の回復が継続している状況にあります。しかしながら、新型コロナウイルスによる影響は不確定要素が多く、経済環境への影響が変化した場合には、当社グループが販売活動を行っている顧客およびその地域の感染状況により当社の販売は大きな影響を受ける可能性があります。また当社グループ従業員の感染や生産地域の感染状況により、従業員の自宅待機などに必要な期間が発生し、材料等調達先や物流面の問題により生産継続が出来なくなる可能性があります。当社グループでは、経営トップが定期的にWeb会議による工場及び地域の状況確認・情報収集、事業及び生産継続のための要員・設備・資金の維持管理等を行っております。また感染拡大防止と事業継続の体制維持の観点から、従業員等の健康・安全確保のため、対応要領を作成・周知し、部門によっては原則在宅勤務を積極的に推奨し、出社が必要な際もオフピーク出勤や車通勤を推奨し、感染リスクの低減に向けた諸施策を実施しております。

 

(8) 訴訟のリスク

当社グループは、事業を遂行するうえで、訴訟、規制当局による措置その他の法的手続に関するリスクを有しております。訴訟、規制当局による措置その他の法的手続により、当社グループに対して損害賠償請求や規制当局による金銭的な賦課を課され、または事業の遂行に関する制約が加えられる可能性があり、かかる訴訟、規制当局による措置その他の法的手段は、当社グループの事業、経営成績及び財政状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。

当社及び当社の米国子会社は、自動車部品に関する競争法違反行為により損害を蒙ったとして、カナダにおいて損害賠償等を求める集団訴訟等を提起されており、当該事項に関連して、罰金・損害賠償等の金銭的負担が生じる可能性があります。

 

(9) 事業投資のリスク

当社グループは、投資判断時に想定していなかった水準で、市場環境や経営環境が悪化し、事業計画との乖離等により期待されるキャッシュ・フローが創出できない場合、有形固定資産の減損処理などにより、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。また、当社が保有する関係会社株式や当社連結子会社への貸付金の評価などに影響を及ぼす可能性があり、当社の財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、地域別に設置したR.O.C(Regiolnal Operation Committee)が各現法の業績管理状況をモニタリングし、経営会議等で当社グループ各社の投資等の意思決定含む、今後の方向性や業績改善のための対策を検討しています。また中長期目線の事業の方向性については、取締役会運用基準に則り、取締役会にて審議・決議を行っています。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当社グループに関する財政状態及び経営成績の分析、検討内容は原則として連結財務諸表に基づいて分析した内容であります。

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態及び経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①経営成績及び財政状態の状況

当期の当社グループを取り巻く我が国の経済環境は、新型コロナウイルスの感染症拡大により個人消費や企業活動が制限され大幅な落ち込みを見せた後、一部の経済活動は徐々に回復に向かい復調の兆しも見られました。しかしながら、本格的な回復には及ばず、感染の再拡大に伴い回復は一服し、2021年1月及び4月には再び一部の都府県において緊急事態宣言が発出されるなど先行き不透明な状況下にあります。また、世界的な物流網の混乱、車載半導体や原材料不足などサプライチェーン全体では不安定な状況も発生し、当社グループの業績・パフォーマンスにも影響を及ぼしております。

米国では外出制限により消費の記録的な落ち込みが上半期に見られましたが、その後、消費や生産に持ち直しの動きが見られました。中国では、世界に先駆け経済活動を再開した結果、内需や輸出を中心に景気の回復が進みました。欧州は2020年3月から各国で実施された大規模なロックダウンや夜間外出禁止令がその後緩和され、経済活動が回復に向かったものの英国型の変異株を中心に感染が再拡大した結果、ロックダウンを再導入する国もあり経済活動の制限が長期化し予断を許さない状況が続いております。アジアについても感染症拡大が続く中で経済活動再開が徐々に進み、持ち直しの動きが見られたものの感染症の再拡大が発生しており、依然として世界各国で先行き不透明な状況が続いております。

これらへの対応として、キャッシュ管理、調達、製造、品質、在庫、人件費、社員の健康・安全衛生面等の全ての側面を正しくモニタリングし、コントロールするための新たな経営ガイドラインの作成及び運用を図るなど新型コロナウイルスの感染症拡大に伴う外部環境の変化への対応を最優先課題とし、事業の継続及び推進に努めました。なお、当連結会計年度の経営成績及び財政状態は以下のとおりとなりました。

 

a.経営成績

当連結会計年度の売上高は1,136億57百万円(前年同期比20.4%減)、営業利益は34億86百万円(前年同期比36.1%減)となりました。新型コロナウイルスの感染症拡大の影響等による売上減少を受け、前年同期比では減収及び減益となりましたが、2020年7月以降は各地域の売上が回復したことに加え、不採算拠点の整理や構造改革を通じた固定費削減の効果、全社一丸となった固定費削減活動により、全地域において営業黒字への転換を達成するなど持ち直すことができました。経常利益については、為替差損の減少、雇用調整助成金を計上したことにより、37億66百万円(前年同期比20.3%減)と営業利益と比較して、減益額は抑制され、親会社株主に帰属する当期純利益は、投資有価証券売却益や受取保険金の計上もあり、36億30百万円(前年同期比66.7%増)と前年同期比で増益となりました。

 

セグメントの業績は、以下のとおりであります。

(a) 日本

売上高は新型コロナウイルスの感染症拡大に伴う顧客の操業停止の影響により、273億32百万円前年同期21.9%減)と減収となりました。営業利益については、3億64百万円前年同期86.8%減)と前年同期比では減益となりましたが、固定費削減、人員配置の転換等施策効果が寄与したことにより、第3四半期連結累計期間の営業損失から黒字転換を達成しました。

 

(b) 北南米

売上高は314億92百万円前年同期23.8%減)と主に新型コロナウイルスの感染症拡大による2020年4月から6月にかけての生産停止の影響で大幅減収となりました。また売上減少の影響により営業利益は2億51百万円前年同期74.6%減)と減益となりましたが、2020年7月以降の売上回復に加え、固定費削減の施策効果もあり、第3四半期連結累計期間の営業損失から営業黒字への転換を達成しました。

 

(c) 欧州

新型コロナウイルスの感染症拡大による経済縮小の影響を受け、売上高は204億28百万円前年同期21.9%減)となりました。2020年7月以降ロックダウンの段階的な解除後生産は回復傾向にあり、前年より実施している構造改革の効果、時短勤務等の活用を含めた固定費削減が寄与し、営業利益は7億72百万円となり、前期の営業損失7億39百万円より大幅に業績は回復しました

 

(d) 中国

新型コロナウイルスの感染症拡大に伴い、春節休暇後は一時的に操業を停止したものの、2020年4月以降は持ち直し、売上高は194億91百万円(前年同期比3.1%増)となり他地域に先んじて力強い回復が継続しています。固定費削減策、政府補助制度の申請等を含めた施策も貢献し、営業利益は14億60百万円(前年同期比80.6%増)と増益となりました

 

(e) アジア

新型コロナウイルスの感染症拡大による客先減産の影響等を受け、売上高は149億14百万円(前年同期比30.0%減)と大幅減収となりました。当第4四半期連結会計期間までに売上は前年水準まで回復し、固定費削減、構造改革効果もあり、営業利益は7億40百万円(前年同期比60.5%減)となり、第2四半期連結累計期間の営業損失から営業黒字への転換を達成しました。

 

b.財政状態

当連結会計年度末の総資産は868億60百万円となり、前連結会計年度末に比べて77億38百万円減少しました。主な要因は現金及び預金の減少14億99百万円、受取手形及び売掛金の減少7億18百万円、仕掛品の減少6億98百万円、有形固定資産の減少31億87百万円、投資有価証券の減少6億70百万円及び繰延税金資産の減少7億99百万円等であります。

負債合計は513億81百万円となり、前連結会計年度末に比べて92億44百万円減少しました。主な要因は支払手形及び買掛金の減少12億79百万円、短期借入金の減少50億46百万円、未払消費税等の減少3億1百万円、長期借入金の減少16億96百万円等であります。

純資産は354億78百万円となり、前連結会計年度末に比べて15億6百万円増加しました。主な要因はその他有価証券評価差額金の増加6億84百万円、為替換算調整勘定の減少12億66百万円、利益剰余金の増加31億75百万円、非支配株主持分の減少9億16百万円等であります。

 

キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、営業活動により78億87百万円増加、投資活動により2億60百万円減少、財務活動により87億89百万円減少などの結果、当連結会計年度末には144億18百万円(前連結会計年度末比14億99百万円の減少)となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動により得られたキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益56億75百万円(前年同期は53億72百万円)、減価償却費53億40百万円(前年同期は52億96百万円)、売上債権の減少3億53百万円(前年同期は8億59百万円の減少)、たな卸資産の増加1億42百万円(前年同期は43億14百万円の減少)、仕入債務の減少8億74百万円(前年同期は18億86百万円の減少)、投資有価証券売却益12億42百万円(前年同期は発生なし)、法人税等の支払額13億円(前年同期は15億55百万円の支払)により、前年同期と比較して9億80百万円減少して、78億87百万円となりました。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動に使用されたキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出34億52百万円(前年同期は74億62百万円の支出)、投資有価証券の売却による収入29億57百万円(前年同期は0百万円の収入)などにより、2億60百万円の支出(前年同期は43億60百万円の支出)となりました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動により使用されたキャッシュ・フローは、短期借入金の減少による支出52億89百万円(前年同期は89億63百万円の支出)、長期借入れによる収入31億73百万円(前年同期は91億87百万円の収入)、長期借入金の返済による支出47億26百万円(前年同期は25億31百万円の支出)、配当金の支払による支出4億55百万円(前年同期は7億28百万円の支出)、非支配株主への配当金の支払による支出10億12百万円(前年同期は9億8百万円の支出)などにより、87億89百万円の支出(前年同期は42億46百万円の支出)となりました。

 

 

③生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

自 2020年4月1日

至 2021年3月31日

前年同期比(%)

日本(百万円)

27,338

77.5

北南米(百万円)

31,989

74.3

欧州(百万円)

17,977

77.2

中国(百万円)

19,160

102.0

アジア(百万円)

14,671

68.6

合計(百万円)

111,135

78.4

 (注)1.金額は販売金額によっており、セグメント間の内部振替後の数値によっております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

b.受注実績

 当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高(百万円)

前年同期比(%)

日本

26,986

78.7

1,754

83.5

北南米

32,478

75.0

3,593

99.4

欧州

18,190

77.5

2,244

50.9

中国

19,312

98.5

5,168

98.2

アジア

14,634

69.5

2,651

101.6

合計

111,600

78.8

15,409

85.6

 (注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 

c.販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

自 2020年4月1日

至 2021年3月31日

前年同期比(%)

日本(百万円)

27,332

78.1

北南米(百万円)

31,492

76.2

欧州(百万円)

20,428

78.1

中国(百万円)

19,491

103.1

アジア(百万円)

14,914

70.0

合計(百万円)

113,657

79.6

 (注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

    2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

自 2019年4月1日

至 2020年3月31日

当連結会計年度

自 2020年4月1日

至 2021年3月31日

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

本田技研工業株式会社

35,508

24.9

29,868

26.3

日産自動車株式会社

18,631

13.1

12,643

11.1

トヨタ自動車株式会社

16,176

11.3

13,663

12.0

(注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.経営成績の分析

 当連結会計年度においては、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、2020年4月から6月にかけて日本、米州、欧州、中国、アジアの各地域における工場の操業停止に伴い一時的に生産台数が大幅に低下したことにより、売上及び利益共にこれまでに経験したことのない落ち込みを見せました。当社グループとしては、これらの新型コロナウイルス感染症拡大に伴う自動車事業の落ち込みへの対応を最優先課題として、キャッシュ管理、調達、製造、品質、在庫、人件費、社員の健康・安全衛生面等の全ての側面を正しくモニタリングし、コントロールするための新たな経営ガイドラインを策定し、運用を行いました。2020年7月以降は生産台数の回復に伴う売上の回復、各地域における固定費削減の創出効果、中国における不採算拠点の撤退による採算性向上、欧州については前期取り組んだ構造改革の効果の創出も相まって利益水準は大幅に回復し、売上高は1,136億57百万円(前年同期比20.4%減)、営業利益は34億86百万円(前年同期比36.1%減)と前期水準を下回るものの、新型コロナウイルスの感染拡大という困難な状況下において各全地域において通期で営業黒字を達成することができました。なおセグメント別売上高及び営業利益の詳細については、「(1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績及び財政状態の状況 a.経営成績」に記載しております。

 営業外収益においては、前連結会計年度と比べ、3億98百万円増加し、12億51百万円となりました。

 営業外費用においては、前連結会計年度と比べ、6億8百万円減少し、9億72百万円となりました。

 この結果、経常利益は前連結会計年度と比べて9億60百万円減少し、37億66百万円となりました。

 特別損益においては、投資有価証券売却益12億47百万円及び受取保険金7億95百万円を計上し、減損損失等の特別損失が大幅に減少したことにより、親会社株主に帰属する当期純利益は、36億30百万円となりました。

 

 

b.財政状態の分析

財政状態の分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績及び財政状態の状況 b.財政状態」に記載しております。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

a.キャッシュ・フロー

キャッシュ・フローの分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

b.資金需要及び財務政策

 当社グループの資金需要の主なものは、運転資金、設備投資、法人税等の支払い、借入金の返済、配当金の支払い等であります。また当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針とし、その資金の原資といたしましては、営業活動によるキャッシュ・フロー、金融機関からの借入等により必要とする資金を調達しております。

 当連結会計年度末現在、借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は260億16百万円となっております。また当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、144億18百万円となっております。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積に用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。

 

④経営目標の達成・進捗状況について

経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標の進捗状況は、次のとおりです。

 

指標

2022年3月期

(業績予想)

当連結会計年度

(実績)

実績比

売上高(百万円)

118,000

113,657

+3.8%

営業利益(百万円)

7,300

3,486

+109.4%

経常利益(百万円)

6,900

3,766

+83.2%

親会社株主に帰属する当期純利益(百万円)

4,200

3,630

+15.7%

売上高営業利益率

6.2%

3.1%

+3.1%

 

2022年3月期の連結業績見通しにつきましては、世界的な物流網の混乱、車載半導体や原材料不足などサプライチェーン全体が不安定な状況による減産影響を受けるも、年度末に向け自動車生産台数は回復するという前提のもと、昨年度実施した構造改革、諸経費や要員の削減等の固定費削減による継続的な効果により、2022年3月期の売上は1,180億円(前期比3.8%増加)、営業利益は73億円(前期比109.4%増加)、経常利益は69億円(前期比83.2%増加)、 親会社株主に帰属する当期純利益は42億円(前期比15.7%増加)と2021年3月期を上回る水準を達成できる見通しであります。

 

 

4【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

5【研究開発活動】

当社ではステークホルダーの「安心と安全」、「環境保全」のために尽くすという企業理念、ミッション(使命)に基づき研究開発活動を行うことを主要方針とし、これに加えて2021年5月に発表した「中期経営方針」を実現する新技術開発を推進しております。

「サーマル・ソリューション」においては、2021年2月に発表したスーパーコンピュータ「富岳」に搭載された冷却配管技術を応用し、幅広い用途に向けての配管製品開発に取り組んでいます。自動車用途に向けては「熱を受け取る、運ぶ、有効利用する」を目標とし、熱交換器、配管、熱電発電などの開発に取り組んでいます。

「次世代コア事業」の創出においては、生産ソリューション事業を拡大すべくデジタル技術を使った「データの取得、可視化、分析して活用する」技術の開発に取り組んでおり、製造設備においては自動組み立てや自動検査など制御技術やセンシング技術の高度化に取り組んでいます。

また2018年度に出資した全固体電池メーカー米Solid Power Inc.、2017年度から熱電発電素子の共同開発を進めている東京工業大学を始めとする世界の先端技術を取り入れた研究開発、スタートアップ企業への投資も継続しております。環境負荷低減に向けた開発も続けており、製造時のみならずLCA(※1)視点でのCO2排出量削減にも目を向け、部品のさらなる軽量化、低環境負荷材料への置き換えなどにも取り組んでいます。

 

※1 Life Cycle Assessment: 資源の採掘から製品が廃棄・リサイクルされるまでの評価

 

当連結会計年度の研究開発費の総額は12億82百万円であり、セグメント別の研究開発費は以下のとおりであります。

セグメントの名称

研究開発費(百万円)

日本

1,282

1,282