以下の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等には将来に関する記述が含まれています。こうした記述は現時点で当社が入手している情報を踏まえた仮定に基づくものであり、2「事業等のリスク」などに記載された事項等によって、当社グループの実際の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況がこうした将来の記述と異なる可能性があります。
(1) 会社の経営方針、経営環境及び優先的に対処すべき課題等
当社グループはグローバル自動車市場の成長とともに歩んできました。しかし、半世紀以上に渡って成長してきた世界の自動車市場は、2018年頃から調整局面に入り、停滞の兆しを見せています。更に、全産業を横断しての環境負荷低減は近年グローバル・イシューとなり、それに伴って自動車市場にもCASE※1革命の波が押し寄せています。日本の自動車メーカーの世界進出に乗じて、自動車内燃機関の部品加工・組み立てにより規模を拡大してきたわれわれ自動車部品メーカーも、方針を見直す必要に迫られています。計画的な需要と供給の見通しが立てやすい世の中は、先行き不透明なVUCA (Volatility, Uncertainty, Complexity, and Ambiguity)※2 な社会に移行しています。一方で不確定性とリスクの高いウィズ・コロナ、アフター・コロナの世界では、新たな機会、社会のニーズが生まれ始めています。
このような経営環境の中、当社グループは、2021年5月に2021年度から2030年度にかけて以下を骨子とする中期経営方針を策定し、公表いたしました。
① 既存事業の深化
存続する自動車市場において、圧倒的な高収益・高品質基盤を確立する
② サーマル・ソリューション事業の拡大
サーマル・マネジメントのソリューションにおいて世界のトップ・プレーヤーとなり環境負荷低減に貢献する
③ 次世代コア事業の創出
自動車事業に囚われない新事業を創出する、地域経済に貢献する新たな事業を創出する
1939年の創業以来、安全要求の厳しい重要保安製品を、技術力と品質保証力、リーダーシップとチームワークを持って、お客様に提供し続けてきました。マーケット・インの問題解決能力、ステークホルダーに寄り添った安心の創出こそが、当社の強みです。われわれは次の30年間もこの強みを活かし、“第3の創業”とも言える大きな事業変革に果敢にチャレンジし、コロナ・ショックの後に来たるべき新しい世界において、さらなる成長を実現させていきます。
※1: CASE = Connected (つながる), Autonomous (自律走行), Shared (共有), Electric (電動) の略語
※2: VUCA = Volatility (変動性), Uncertainty (不確実性), Complexity (複雑性), Ambiguity (曖昧性) の略語
(2) 経営戦略等
上述した中期経営方針のもと経営戦略を以下の3つの施策にまとめ、実行スピードを上げて取り組みます。
① 既存事業の深化
新型コロナウイルス感染症の拡大と半導体不足の問題に伴う影響が懸念されますが、中長期的には世界の新車販売は中国及びアジアの成長によって増加基調を辿り、電動化の進展の拡大など変革期にありますが、当社の自動車用ブレーキ配管、燃料や冷却の配管、シートベルトなどの安全製品は次の10年間も一定の市場規模が存続すると見込んでおります。コロナ・ショックの対策で実行した構造改革により手に入れた収益体質を、更にレベルアップさせていきます。鍵となるのはDX、信頼性工学です。自社生産工程とサプライチェーンの状況をリアルタイムで完全に『視える化』し、一段上の高収益体質、高品質生産体制を確立します。
② サーマル・ソリューション事業
当社は数十年に渡って、自動車用の熱交換器、冷媒配管を開発・販売・生産し、その実績が評価され、当社の冷却水用樹脂配管製品が、国内自動車メーカーの最新型BEVに採用されました。またBEV向け製品の他にも当社の冷却配管システムがスーパー・コンピュータ『富岳』にも採用されたことを機に自動車分野の枠を超えて注目を集めており、高い冷却性能を必要とし水冷下が進むハイ・パフォーマンス・コンピューター向けに、問い合わせや受注実績が増えてきています。
自動車の電動化に伴い、モーターやバッテリー、インバーターやPCUの市場が拡大します。これらのEVコンポーネントは、どれも高性能な冷却機能を必要とします。また、今後更に市場が拡大すると見込まれるデータセンターや通信機器にも、最適な冷却効率が求められます。われわれは配管から熱交換器まで一括して最適設計・生産ができる強みを活かし、新たな成長の柱として優先的に投資活動を進め、サーマル・ソリューション事業の拡大を狙います。
③ 新事業の創出
当社グループは、コロナ・ショックの次に生まれる新たな社会的課題とニーズを見据えています。そのために過去10年間、研究開発活動とCVC投資を続けて参りました。バッテリー開発プロジェクトへの参画や熱エネルギー変換材料の開発、地域創生につながるモビリティーサービスなどにも着手しています。また先進的な技術を持つスタートアップ企業にも日頃から積極的に投資し、コロナ渦においても手は緩めず、2022年3月には独自のサービスと意匠性の高いデザインを強みとするEV用充電機器及びIoTサービスの企画・開発・販売を行うスタートアップ企業の㈱プラゴ社への投資を行いました。
テクノロジーで社会の課題を解決する事業展開として多様な領域で研究開発活動を推進し、将来の成長への布石を打っていく方針です。事業領域を問わず、地域貢献・環境負荷低減に貢献するテクノロジーに対しては継続して基礎研究・投資を続けていきます。
(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、安定的な収益力の確保とグループ全体の業績向上のため、連結ベースの売上高、営業利益、経常利益、売上営業利益率及び自己資本利益率等の経営指標の拡充を目標としております。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2022年6月22日)現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 経済的状況
当社グループは 日本、北南米、欧州、中国、アジアと事業をグローバルに展開しております。そのため、当社グループが製品を販売している国または地域の経済状況の変動により業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 為替レートの変動
当社グループの連結売上高に対する海外売上高の割合は、2021年3月期で76.0%、2022年3月期で78.5%を占めており、売上高、営業利益、資産等の中には、現地通貨建ての項目が含まれており、連結財務諸表作成時に円換算しております。従って通期の見通しにおいて想定した為替レートに対し、実際の決算換算時の為替レートに乖離が生じた場合、主に円高局面ではマイナスに、円安局面ではプラスに当社グループの業績および財務状況に影響を与える可能性があります。
こうした為替リスクを最小限に軽減すべく、当社では状況に応じ為替予約等のヘッジオペレーションを行っております。ただし、期末日の極端な為替変動によりデリバティブ評価損等に影響を及ぼし、営業外損益が変動する可能性があります。
(3) 退職給付債務
当社グループの退職給付債務は、数理計算上で設定される割引率や年金資産の期待収益率等に基づいて算出されており、実際の結果に基づいて変更される可能性および年金資産の運用環境悪化等により数理計算上の差異が発生する可能性があります。これらの割引率、長期期待運用収益率等の低下および運用環境などの悪化は、当社グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(4) 製品の欠陥
当社グループは、国内および海外各地域の工場で、世界的に認められた品質管理基準に従って製造を行っておりますが、将来に渡り全ての製品において欠陥やリコールが発生しないという保証はありません。製造物責任賠償については保険を付保しておりますが、大規模なリコール等につながる製品の欠陥によっては多額の追加コストが発生する可能性があり、製造物責任賠償保険が最終的に負担する賠償額を充分カバーできるという保証はなく、当社グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社の製品は重要保安部品に位置付けられ、リスクが顕在化した場合には重要な影響が発生しうることを強く認識し、APQPの仕組みの大幅な見直し・改善等を通じて上記含む重要な品質問題の再発防止を図るための仕組みの整備及び運用を図っております。
(5) 原材料の市況
当社グループは、グループ外から原材料を調達しておりますが、原材料価格の変動等により当社グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは原材料価格の変動については、得意先及び調達先と極力同期化を図ることで、その変動リスクを最小化するよう努めております。
(6) 地震等の自然災害及び事故災害
地震や気候変動の進行による大規模な台風、集中豪雨の発生等の自然災害及び想定外の事故のリスクが顕在化した場合、従業員、生産設備等の資産、サプライチェーンにおいて被害が発生する恐れがあり、当社グループの調達、生産、製品販売に支障が生じ、当社グループの経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。
当社グループでは、定期的にBCP等の対策の有効性を検討し、適宜見直すといったBCM活動を推進し、大規模自然災害及び想定外の事故に係るリスクの低減を図っております。また当社グループはこれらのリスクが顕在化した際には、人命の保護を最優先に、BCP等を実施し、資産を守りサプライチェーンを維持し、操業の早期復旧と継続を図ります。
(7) ITセキュリティ及び情報管理に関するリスク
当社グループは、事業遂行に当たり、多数の技術及び製造に関する情報、顧客の営業情報及び従業員等の個人情報を含む機密情報について情報システム上で管理を行っております。しかしながら従業員またはアウトソーシング企業の不注意または故意の行為、あるいは悪意をもった第三者による攻撃(サイバーアタック)により、システムの停止やセキュリティ上の問題が発生し、当社グループの製品の製造及び販売活動といった事業活への悪影響、社会的信用の失墜及び業績及び財務状況の悪化を招く可能性があります。
2022年に当社米国子会社においてランサムウェアによる不正アクセスが発生し、当該会社のメールシステム、ファイルサーバーの障害が発生しましたが、事象判明後に直ちに徹底した事実調査・原因究明を実施するとともに被害拡散防止を図ることで、その影響を最小限にとどめ、暫定復旧措置を経て、すぐに生産を再開しております。
当社グループでは、これらの情報の外部への流出、データの改竄や消失・損壊を防ぐため、情報リテラシー向上のための社員教育・啓蒙を実施するとともに、外部専門家の活用を通じて社内情報システムの適切な運用・管理等に努めております。また、サイバーリスク保険に加入することで、サイバーアタックにより生じる費用負担や機会損失を最少化できるよう備えております。
(8) 国際的活動
当社グループは北南米、欧州、中国及びアジアにおいて、グローバルな生産、販売活動を展開しており、日本国外の占める割合は、年々、高まる傾向にあります。これらの海外市場への事業進出には以下に掲げるようないくつかのリスクが内在しており、これらの事態が発生した場合には、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
・予期しない制度、法制又は規制の変更
・不利な政治的又は経済的要因の発生
・移転価格税制等の国際税務リスク
・ストライキ等の労働争議
・社会的共通資本(インフラ)が未整備なことによる事業活動への悪影響
・テロ、戦争、疾病、その他の要因による社会的又は経済的混乱
なお新型コロナウイルス感染症拡大による影響により、2020年4月から6月にかけて日本、米州、欧州、中国、アジアの各地域における工場操業停止に伴い一時的に生産台数が低下したものの、2020年7月以降は生産台数の回復が継続している状況にあります。しかしながら、新型コロナウイルスによる影響は不確定要素が多く、経済環境への影響が変化した場合には、当社グループが販売活動を行っている顧客およびその地域の感染状況により当社の販売は大きな影響を受ける可能性があります。また当社グループ従業員の感染や生産地域の感染状況により、従業員の自宅待機などに必要な期間が発生し、材料等調達先や物流面の問題により生産継続が出来なくなる可能性があります。当社グループでは、経営トップが定期的にWeb会議による工場及び地域の状況確認・情報収集、事業及び生産継続のための要員・設備・資金の維持管理等を行っております。また感染拡大防止と事業継続の体制維持の観点から、従業員等の健康・安全確保のため、対応要領を作成・周知し、部門によっては在宅勤務を推奨し、出社が必要な際もオフピーク出勤や車通勤を推奨し、感染リスクの低減に向けた諸施策を実施しております。
(9)ロシア・ウクライナ情勢の影響
当社グループは、ロシア国内に販売及び製造拠点を所有しております。対ロシア経済制裁措置に伴う材料供給停止に伴う製品の生産及び販売停止等の状況には至っておりませんが、ロシア・ウクライナ情勢について、世界的かつ政治的な不確実性があり、現時点で同拠点に対する影響を完全に予測することは困難な状況です。
またロシア・ウクライナをめぐる国際情勢の変化が、特に当社グループの欧州のロシア以外の他拠点のエネルギー・原材料価格の高騰を引き起こすことにより当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
今回のロシアによるウクライナ侵攻に関しては、地域別に設置したR.O.C(Regiolnal Operation Committee)を中心とする欧州地域の子会社を管理する枠組みの中で、取引先及び従業員の状況を含め最新情報の入手を行い、迅速かつ適切な対策の実施に取り組んでおります。なお当連結会計年度のロシア子会社の売上及び純資産に占める割合はいずれも約0.7%です。
(10) 訴訟のリスク
当社グループは、事業を遂行するうえで、訴訟、規制当局による措置その他の法的手続に関するリスクを有しております。訴訟、規制当局による措置その他の法的手続により、当社グループに対して損害賠償請求や規制当局による金銭的な賦課を課され、または事業の遂行に関する制約が加えられる可能性があり、かかる訴訟、規制当局による措置その他の法的手段は、当社グループの事業、経営成績及び財政状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社及び当社の米国子会社は、自動車部品に関する競争法違反行為により損害を蒙ったとして、カナダにおいて損害賠償等を求める集団訴訟等を提起されており、当該事項に関連して、罰金・損害賠償等の金銭的負担が生じる可能性があります。
(11) 事業投資のリスク
当社グループは、投資判断時に想定していなかった水準で、市場環境や経営環境が悪化し、事業計画との乖離等により期待されるキャッシュ・フローが創出できない場合、有形固定資産の減損処理などにより、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。また、当社が保有する関係会社株式や当社連結子会社への貸付金の評価などに影響を及ぼす可能性があり、当社の財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、地域別に設置したR.O.C(Regiolnal Operation Committee)が各現法の業績管理状況をモニタリングし、経営会議等で当社グループ各社の投資等の意思決定含む、今後の方向性や業績改善のための対策を検討しています。また中長期目線の事業の方向性については、取締役会運用基準に則り、取締役会にて審議・決議を行っています。
当社グループに関する財政状態及び経営成績の分析、検討内容は原則として連結財務諸表に基づいて分析した内容であります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態及び経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①経営成績及び財政状態の状況
当連結会計年度の当社グループを取り巻く経済環境について、国内は新型コロナウイルス感染症の拡大の影響が上期にかけ継続し、ワクチン接種が進み、一旦は緊急事態宣言が解除されるも、新たな変異株を含む感染が再拡大するなど先行きは依然として不透明な状況です。海外につきましては、米国はワクチン接種の効果が発現し、記録的な落ち込みから回復の兆しを見せるも、変異株の感染の再拡大に伴い個人消費が低迷するなど景気回復は鈍化しました。中国は感染症の拡大抑制により経済活動がいち早く再開されるも、一部地域の感染再拡大の影響を受けた活動の制限及び電力不足の問題が景気減速をもたらしました。欧州は、ワクチン接種の進展とともに個人消費や設備投資に持ち直しの動きが見られましたが、ウクライナ情勢の緊張が激化し、先行きの不透明感が強まっている状況となっております。アジアについては感染症拡大が続く中で経済活動再開が徐々に進み、持ち直しの動きが見られたものの、インドを中心にタイ及びインドネシアにおいても新型コロナウイルスの変異株の感染が拡大するなど厳しい状況が続きました。
当社グループが属する自動車業界につきましては、世界的な新型コロナウイルス感染症の影響に加え、半導体 不足等サプライチェーンの混乱に伴う調達部品不足による各自動車メーカーの減産影響が継続しました。先行きにつきましても、資源・エネルギー・原材料価格の高騰に加えロシア・ウクライナ問題、上海におけるロックダウンの長期化という新たな要素が加わり、さらに予断を許さない状況が続いています。
このような環境下において、当連結会計年度の経営成績及び財政状態は以下のとおりとなりました。
a.経営成績
当連結会計年度の売上高については、前期の新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う大幅な生産減の影響からは回復するも半導体不足による生産減の影響が継続した結果、概ね前期と同水準の1,159億40百万円(前期比2.0%増)となりました。利益については、サプライチェーンの混乱に伴う運送費の高騰や原材料価格の高騰の影響に加え、主に米国を中心とする人件費高騰による固定費の増加により営業利益は21億83百万円(前期比37.4%減)、経常利益は25億84百万円(前期比31.4%減)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益も、経常利益の減少により、10億9百万円(前期比72.2%減)と減益となりました。
なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、当連結会計年度の売上高は21億91百万円減少し、営業利益、経常利益及び税金等調整前当期純利益への影響はありません。詳細については、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)をご参照ください。
セグメントの業績は、以下のとおりであります。
(a) 日本
売上高は248億97百万円(前期比8.9%減)と半導体・樹脂材料などの供給問題を起因とする減産影響が継続したことにより、減収となりました。利益面は材料価格及び電力費等の生産費の高騰の影響を受けるも前期からの固定費抑制効果を継続させて減収影響を補ったことで営業利益は12億30百万円(前期比238.2%増)と増益となりました。
(b) 北南米
売上高は316億21百万円(前期比0.4%増)と増加しましたが、為替換算の影響によるもので、半導体不足やサプライチェーン全体の混乱による生産減が影響し、現地通貨ベースでは減収となりました。
利益面は、実質的な減収に加え物流網の混乱、輸送費の高騰、材料費を含むインフレ、人手不足を背景とする人件費の上昇等により17億29百万円の営業損失(前年は2億51百万円の営業利益)となりました。
(c) 欧州
売上高は209億31百万円(前期比2.5%増)と増加しましたが、半導体不足等に起因する生産台数の減少影響が下期において拡大し、現地通貨ベースでは減収となりました。利益面は各自動車メーカーの生産台数の急変及び原材料価格の高騰の影響を受け、営業利益は25百万円(前期比96.8%減)と減益となりました。
(d) 中国
売上高は192億81百万円(前期比1.1%減)と新型コロナウイルス感染拡大の影響から回復するも、半導体等部品供給問題による生産減の影響を受けたことで前年水準となりました。また継続したコスト削減効果も寄与し、営業利益は14億99百万円(前期比2.7%増)と増益となりました。
(e) アジア
売上高は192億9百万円(前期比28.8%増)と新型コロナウイルス感染症の影響、半導体供給不足を起因とする取引先の生産台数減の影響を受けるも、前年に生じた大幅減産からは回復し、地域全体で増加しました。また人件費等の固定費削減活動の継続効果により、営業利益は18億51百万円(前期比150.2%増)と回復いたしました。
b.財政状態
当連結会計年度末の総資産は964億37百万円となり、前連結会計年度末に比べて95億77百万円増加しました。主な要因は現金及び預金の減少10億13百万円、受取手形、売掛金及び契約資産の減少8億51百万円、製品の増加10億82百万円、仕掛品の増加10億23百万円、原材料及び貯蔵品の増加25億10百万円、機械装置及び運搬具等の有形固定資産の増加14億18百万円、投資有価証券の増加49億80百万円等であります。
負債合計は547億54百万円となり、前連結会計年度末に比べて33億73百万円増加しました。主な要因は支払手形及び買掛金の増加10億66百万円、短期借入金の増加37億25百万円、未払金の減少10億7百万円、長期借入金の減少8億96百万円、繰延税金負債の増加16億69百万円等であります。
純資産は416億82百万円となり、前連結会計年度末に比べて62億4百万円増加しました。主な要因はその他有価証券評価差額金の増加34億90百万円、為替換算調整勘定の増加20億67百万円、利益剰余金の増加1億17百万円等であります。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、営業活動により33億40百万円増加、投資活動により56億52百万円減少、財務活動により8億13百万円増加などの結果、当連結会計年度末には134億4百万円(前連結会計年度末比10億13百万円の減少)となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により得られたキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益31億91百万円(前期は56億75百万円)、減価償却費52億45百万円(前期は53億40百万円)、売上債権の減少22億91百万円(前期は3億53百万円の減少)、棚卸資産の増加31億51百万円(前期は1億42百万円の増加)、仕入債務の増加44百万円(前期は8億74百万円の減少)、未払金の減少13億8百万円(前期は4億75百万円の増加)、製品保証引当金の減少7億9百万円(前期はなし)、法人税等の支払額19億69百万円(前期は13億円の支払)により、前期と比較して45億47百万円減少して、33億40百万円となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動に使用されたキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出55億68百万円(前期は34億52百万円の支出)、投資有価証券の取得による支出1億67百万円(前期は71百万円の支出)、投資有価証券の売却による収入1億62百万円(前期は29億57百万円の収入)などにより、56億52百万円の支出(前期は2億60百万円の支出)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により得られたキャッシュ・フローは、短期借入金の増加による収入28億10百万円(前期は52億89百万円の支出)、長期借入れによる収入42億60百万円(前期は31億73百万円の収入)、長期借入金の返済による支出47億56百万円(前期は47億26百万円の支出)、配当金の支払による支出8億92百万円(前期は4億55百万円の支出)、非支配株主への配当金の支払による支出2億93百万円(前期は10億12百万円の支出)などにより、8億13百万円の収入(前期は87億89百万円の支出)となりました。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 自 2021年4月1日 至 2022年3月31日 |
前年同期比(%) |
|
日本(百万円) |
25,222 |
92.3 |
|
北南米(百万円) |
31,404 |
98.2 |
|
欧州(百万円) |
19,852 |
110.4 |
|
中国(百万円) |
18,273 |
95.4 |
|
アジア(百万円) |
19,278 |
131.4 |
|
合計(百万円) |
114,028 |
102.6 |
(注)1.金額は販売金額によっており、セグメント間の内部振替後の数値によっております。
b.受注実績
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
受注高(百万円) |
前年同期比(%) |
受注残高(百万円) |
前年同期比(%) |
|
日本 |
24,657 |
91.4 |
1,497 |
85.3 |
|
北南米 |
31,679 |
97.5 |
2,785 |
77.5 |
|
欧州 |
19,962 |
109.7 |
1,350 |
60.2 |
|
中国 |
18,001 |
93.2 |
4,446 |
86.0 |
|
アジア |
19,232 |
131.4 |
2,690 |
101.5 |
|
合計 |
113,531 |
101.7 |
12,768 |
82.9 |
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 自 2021年4月1日 至 2022年3月31日 |
前年同期比(%) |
|
日本(百万円) |
24,897 |
91.1 |
|
北南米(百万円) |
31,621 |
100.4 |
|
欧州(百万円) |
20,931 |
102.5 |
|
中国(百万円) |
19,281 |
98.9 |
|
アジア(百万円) |
19,209 |
128.8 |
|
合計(百万円) |
115,940 |
102.0 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
|
相手先 |
前連結会計年度 自 2020年4月1日 至 2021年3月31日 |
当連結会計年度 自 2021年4月1日 至 2022年3月31日 |
||
|
金額(百万円) |
割合(%) |
金額(百万円) |
割合(%) |
|
|
本田技研工業株式会社 |
29,868 |
26.3 |
28,647 |
24.7 |
|
トヨタ自動車株式会社 |
13,663 |
12.0 |
14,486 |
12.5 |
|
日産自動車株式会社 |
12,643 |
11.1 |
12,776 |
11.0 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績の分析
当連結会計年度においては、昨年度から続く新型コロナウイルスの感染拡大に伴う影響は落ち着きを見せるも、半導体不足及び海上輸送網混乱等によるサプライチェーンの問題による各自動車メーカーの減産影響が下期より顕著に表明化しました。またそれに併せ原材料・資材価格の高騰、輸送費の高騰など世界的なインフレのインパクトを受け、昨年来の構造改革で得られた成果にもマイナスの影響を及ぼす結果となりました。このような環境のなか、売上高は1,159億40百万円(前年同期比2.0%増)、営業利益は21億83百万円(前年同期比37.4%減)と好調であった上期から一転、前期水準を下回る結果となりました。なおセグメント別売上高及び営業利益の詳細については、「(1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績及び財政状態の状況 a.経営成績」に記載しております。
営業外収益においては、前連結会計年度と比べ、1億74百万円減少し、10億78百万円となりました。
営業外費用においては、前連結会計年度と比べ、2億96百万円減少し、6億76百万円となりました。
この結果、経常利益は前連結会計年度と比べて11億82百万円減少し、25億84百万円となりました。
特別損益においては、前期計上した投資有価証券売却益及び受取保険金等の特別利益が大幅に減少したことにより、親会社株主に帰属する当期純利益は、10億9百万円となりました。
b.財政状態の分析
財政状態の分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績及び財政状態の状況 b.財政状態」に記載しております。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a.キャッシュ・フロー
キャッシュ・フローの分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
b.資金需要及び財務政策
当社グループの資金需要の主なものは、運転資金、設備投資、法人税等の支払い、借入金の返済、配当金の支払い等であります。また当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針とし、その資金の原資といたしましては、営業活動によるキャッシュ・フロー、金融機関からの借入等により必要とする資金を調達しております。
当連結会計年度末現在、借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は286億77百万円となっております。また当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、134億4百万円となっております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積に用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。
④経営目標の達成・進捗状況について
当社グループは2021年5月に中期事業方針を策定し、2030年度の売上高2,000億円以上、ROE(自己資本利益率)15%以上を長期的な経営指標の定量目標とし、現在の主力事業であるブレーキ配管事業、燃料配管に加え、従来のコア技術を活かしたサーマル・ソリューション事業、更にアフター・コロナの社会に貢献できるようなMaasやエネルギーマネジメント関連の非自動車関連の次世代コア事業を拡大していくことを目指しております。これらの指標の進捗状況は、次のとおりです。
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指標 |
2021年3月期 (前連結会計年度) |
2022年3月 (当連結会計年度) |
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売上高(百万円) |
113,657 |
115,940 |
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自己資本利益率(ROE) |
11.5% |
2.8% |
該当事項はありません。
当社ではステークホルダーの「安心と安全」、「環境保全」のために尽くすという企業理念、ミッション(使命)に基づき研究開発活動を行うことを主要方針とし、これに加えて2021年5月に発表した「中期経営方針」を実現する新技術開発を推進しております。
「サーマル・ソリューション」においては、2021年2月に発表したスーパーコンピュータ「富岳」に搭載された冷却配管技術を応用し、幅広い用途に向けての配管製品開発に取り組んでいます。この製品は、2022年4月に富士通株式会社より発表された「Fujitsu クラウドサービス HPC」を支える「PRIMEHPC FX1000」の冷却システムにも採用されています。
自動車用途に向けては「熱を受け取る、運ぶ、有効利用する」を目標とし、熱交換器、配管、熱電発電などの開発に取り組んでいます。この用途では、2022年5月にトヨタ自動車株式会社から発表されたSUV型BEV「bZ4X」に当社の冷却水用樹脂配管製品が採用されています。
「次世代コア事業」の創出においては、生産ソリューション事業を拡大すべくデジタル技術を使った「データの取得、可視化、分析して活用する」技術の開発に取り組んでおり、製造設備においては自動組み立てや自動検査など制御技術やセンシング技術の高度化に取り組んでいます。
また2018年度に出資した全固体電池メーカー米Solid Power Inc.、2017年度から熱電発電素子の共同開発を進めている東京工業大学を始めとする世界の先端技術を取り入れた研究開発、スタートアップ企業への投資も継続しております。環境負荷低減に向けた開発も続けており、製造時のみならずLCA(※1)視点でのCO2排出量削減にも目を向け、部品のさらなる軽量化、低環境負荷材料への置き換えなどにも取り組んでいます。
2021年7月からは、「窒化ガリウム(GaN)半導体基板の加工サービス」の事業を開始しております。この加工技術はGaNだけでなく窒化アルミニウム(AlN)や炭化ケイ素(SiC)などの難加工材料にも応用が可能です。省エネルギー半導体デバイスの普及、ひいては低炭素社会実現への貢献にも目を向けながら、次世代のコアとなるような大きな事業に発展させるべく取組んでいます。
※1 Life Cycle Assessment: 資源の採掘から製品が廃棄・リサイクルされるまでの評価
当連結会計年度の研究開発費の総額は17億36百万円であり、セグメント別の研究開発費は以下のとおりであります。
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セグメントの名称 |
研究開発費(百万円) |
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日本 |
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計 |
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