文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1) 経営方針
①当社グループの企業理念
当社グループでは、1959年に創業者・立石一真が、社憲「われわれの働きで われわれの生活を向上し よりよい社会をつくりましょう」を制定しました。その後、社憲の精神を企業理念へと進化させ、時代にあわせて改定しながら、事業発展の原動力また求心力として数々のイノベーションを生み出し、社会の発展と人々の生活の向上に貢献してきました。
当社グループでは、この企業理念を社員一人ひとりが実践することで、事業を通じた社会的課題の解決を目指しています。このためには、世界中の社員の誰もが企業理念の考え方を理解し、行動することが重要であり、現在、グローバルレベルで企業理念の実践を強化しています。
当社グループは、これからも企業理念の実践を通じて、企業の社会的責任を果たすとともに、持続的な企業価値の向上を目指します。
なお、今後も企業理念を実践し、社会の発展と企業価値の向上に努めていく当社の経営の根幹は普遍であることを明確にするために、第85期定時株主総会に同企業理念を定款に記載する旨の議案を上程し、株主様の賛成を得て定款の一部を変更しました。
②当社グループの企業理念に基づく経営の構造
当社グループでは、すべてのステークホルダーに対して、事業を通じて企業理念を実践していくための経営の姿勢や考え方を示すものとして、「経営のスタンス」を宣言し、「長期ビジョン」「オムロングループ マネジメントポリシー」「ステークホルダーエンゲージメント」の各方針に体系化し、実践しています。
(2) 長期ビジョン「Value Generation 2020」の総括(2011年度~2020年度)
当社グループは、2011年度から2020年度まで、10ヶ年の長期ビジョン「Value Generation 2020」(以下、VG2020)を掲げ、「①収益力の向上」、「②自走的成長の実現」、「③変化対応力の発揮」、「④サステナビリティ経営の実践」を行いました。また、2020年度に発生した新型コロナウィルスの感染拡大を踏まえ次期長期ビジョンの開始を遅らせ、2020年度と2021年度の2年間は、ニューノーマル時代における持続的な成長を実現するための事業変革を加速させる、次の長期ビジョン(2022~2030年度)に向けての期間としました。
<2020~2021年度の位置づけ>
2011年度から2021年度までの期間の成果は次の通りです。
①収益力の向上
ROICを基準としたポートフォリオマネジメントを徹底し、車載事業の売却や低収益事業の収束を実行し、事業ポートフォリオを利益率とシェアが高い制御機器事業とヘルスケア事業に絞り込み経営資源を集中させてきました。その結果、全売上高に占める両事業の構成比を2011年度の54%から2021年度は74%と大きく引き上げました。稼ぐ力の向上を表す指標としてこだわってきた売上総利益率は、2021年度36.8%から2021年度45.5%へと、8.7ポイント向上させました。また、ROICは、2011年度の4.8%から2021年度は9.6%と、4.8ポイント向上させました。営業利益は、2011年度の401億円から2021年度は893億円と、年率8.3%伸ばし、過去最高を達成しました。営業利益率は、2011年度の6.5%から2021年度は11.7%と、5.2ポイント向上させました。オムロンの収益力は、この11年間で着実に高まりました。
<セグメント別売上構成比率の変化・収益関連指標の推移>
②自走的成長の実現
VG2020のゴールとして掲げた「売上高1兆円」に向けて、2017年度まではほぼ計画通りに成長を続けてきました。しかし、2018年度の後半以降、米中貿易摩擦やコロナショックによる経済環境の変化などの影響を受け、売上減少に転じました。また、事業ポートフォリオの最適化のために行った、車載部品事業の売却やバックライト事業の収束も売上減少の要因となりました。
2021年度は前年から売上が大きく回復したものの、1兆円の目標は未達に終わりました。事業環境の変化など、逆風を跳ね返す「自走的成長の実現」はまだ道半ばです。
<売上高の推移>
③変化対応力の発揮
VG2020期間および2021年度では、グローバルな事業拡大を支える統合リスクマネジメントに取り組み、変化対応力を向上させてきました。また、生産性の更なる向上と変化に強いレジリエントな体質の構築を目的に、生産拠点やサプライチェーンの最適化に取り組んできました。制御機器事業ではM&Aによる新規事業の獲得に加え、顧客のグローバル展開への対応を目的に、2011年度は4カ所だった生産拠点を2021年度8カ所へ増加させました。ヘルスケア事業でも、M&Aを活用して生産拠点を2011年度の3カ所から2021年度5カ所に増加させました。これにより主要市場である米州と欧州の需要変動に迅速に対応することができるようになりました。一方、電子部品事業においては、小規模な生産拠点を統廃合することで、生産性を向上させました。
2021年度にはサプライチェーンの混乱が顕在化しましたが、VG2020期間で再編した生産拠点で増産対応を行うとともに、機動的な設計変更や代替部材の調達により部材の確保を行いました。これらの変化対応力を発揮した結果、コロナ禍においても、2年連続で営業利益成長を実現いたしました。
④サステナビリティ経営の実践
サステナビリティ課題への取組みも大きく進化させてきました。
VG2020では、事業戦略とサステナビリティ重要課題の双方を同様に重要と位置付けて企業価値向上に取り組みました。2017年度にスタートした中期経営計画においてはサステナビリティ目標を組み込み、取締役の中期業績連動報酬に、第三者機関の調査に基づくサステナビリティ評価の採用などを実施してきました。また、全社でのサステナビリティマネジメント構造を構築し、取締役会の監視・監督の下、執行部門においてサステナビリティ課題への取組みを推進しました。具体的には、制御機器事業において、モノづくり現場のデジタルトランスフォーメーション(DX)化を加速するソフトウェア拡充するなど革新アプリ累計247件の創出、ヘルスケア事業においては、血圧計の累計販売台数3億台の実現やグローバルでの遠隔診療サービス拡充など、事業を通じて社会的課題の解決を行ってきました。
また、VG2020期間および2021年度を通じて海外重要ポジション現地化比率は2011年度の31%から2021年度は80%へ、障がい者雇用率は2014年度の2.4%から2021年度は3.1%となり、2022年3月の国内の法定雇用率2.3%を大きく上回る水準での障がい者雇用を実現しております。温室効果ガス排出量削減への取組みにおいては、オムロンの省エネ技術を自社のサイトに徹底的に取り入れ2016年度比で排出量を当初目標の4%削減を上回る50%削減を実現するなど、サステナビリティ課題への対応を確実に進化させることができました。
<VG2020期間および2021年度での主なサステナビリティ課題への取組み成果>
(注)1 RBA:Responsible Business Allianceの略。電子業界を中心とするグローバルなCSRアライアンス。
RBAに準拠したセルフチェックを実施。
2 Boost5:心身の健康状態を把握するための重点テーマ5項目(運動・睡眠・メンタルヘルス・食事・タバコ)を選定し、
指標化したもの。
なお、2021年度に設定した注力ドメインのサステナビリティ目標、およびその他のサステナビリティ目標は以下のとおりです。
<事業を通じて解決するサステナビリティ課題の目標と実績(2021年度)>
<ステークホルダーの期待に応えるサステナビリティ課題の目標と実績(2021年度)>
(注)1 TOGA :the OMRON Global Awardsの略で、2012年にスタートした、企業理念実践の物語をグローバル全社で
共有しオムロンの強みの源泉である企業理念を全社員に実践させ、共感と共鳴の輪の拡大を促す取組み。
TOGAについての詳細や事例については弊社HPをご参照ください。
https://www.omron.com/jp/ja/about/corporate/vision/initiative/#fourth
2 VOICE:社員エンゲージメントサーベイ
3 OMCX :エリア本社
4 当社グループの生産高80%以上を占める生産拠点(軽微な生産は除く)
5 OCR:オムロングループルール
6 以下のサステナビリティ目標に対する2021年度の実績は、第三者機関による限定的保証業務を受け、
今年度発行の統合レポートに掲載する予定です。
・海外重要ポジションに占める現地化比率
・女性管理職比率
・障がい者雇用率
7 以下のサステナビリティ目標に対する2021年度の実績は、オムロンコーポレートサイトに掲載し、ビューローベリタスジャパン
株式会社による限定的保証業務により第三者保証等を実施中であり、2022年6月中に完了する見込みです。
・温室効果ガス排出量(Scope1・2、およびScope3カテゴリ1,2,3,6,7)
・環境貢献量
8 上記限定的保証業務は、いずれも国際監査・保証基準審議会の国際保証業務基準(ISAE)3000
「過去財務情報の監査又はレビュー以外の保証業務」に準拠した業務です。
これらの取組みの結果、オムロンは社外から高い評価を得ています。VG2020期間および2021年度を通じ、財務価値に加え、サステナビリティ課題への取組みを強化することで、オムロンは、DJSIワールドをはじめ世界標準のさまざまなインデックスへ組み入れや表彰を受けています。
<第三者評価の推移>
⑤2011年度から2021年度における企業価値向上
以上のVG2020期間および事業変革期と位置付けた2021年度の11年間を通じた取組みにより、オムロンの企業価値は、企業価値の創造を表す指標の一つである「株主総利回り(TSR)」が約4倍となるなど、大幅に向上しました。
<TSRの推移>
⑥次期長期ビジョンに向けた課題
①から⑤で述べたように、2011年度から2021年度においては、企業価値を向上させる大きな成果を上げましたが、同時に課題も出てきています。それは、「変化対応力のさらなる向上」、「自走的成長の実現」、そして「企業運営の進化」です。
特に、部材調達に関しては大きな課題が残ったと認識しています。また、直近においては、ロシアによるウクライナへの侵攻など国際情勢がさらに不透明なものになっており、これまで以上に変化を察知する力の向上や、供給力の向上を含むバリューチェーンの再構築が重要になってきています。
また、不確実性の高い事業環境下でも自走的な成長を実現するためには、今後拡大する事業機会において、新たな価値創造による成長とM&Aによる非連続な成長がともに必要となります。
加えて、その成長を支える企業運営も同時に進化させなければなりません。DX基盤の構築やダイバーシティ&インクルージョンの推進などをさらに進化させる事が重要です。このような振り返りを踏まえ、長期ビジョンを作成しました。
(3) 長期ビジョン「Shaping The Future 2030」(2022~2030年度)
VG2020期間および2021年度での成果と課題を踏まえ、2022年度から2030年度までの新たな長期ビジョン(呼称:「Shaping The Future 2030」、略称:「SF2030」)を策定し、スタートさせました。当ビジョンにおいては、社会が変革期を迎える中、オムロンがその存在意義を発揮し、より多くの社会的課題の解決を通じて社会の発展に貢献し続けるため、自らの変革と新たな価値創造のストーリーを定めました。この長期ビジョン「SF2030」のもと、事業の成長とサステナビリティ課題への取組みを一体化して進化させ、企業価値を向上させていきます。
①SF2030ビジョンステートメント
長期ビジョン「SF2030」には、「オムロングループ全社員が企業理念を実践し、センシング&コントロール+Think技術で、持続可能な社会をステークホルダーとともにつくっていく」という思いを込めています。
②オムロンの存在意義
オムロンの存在意義は、「事業を通じて社会価値を創出し、社会の発展に貢献し続けること」です。これは、これからも決して変わることはありません。
(注)正しく利益を得るとは、自社の利益のみを優先するのではなく、社会的責任(安心安全な製品・サービスの品質確保、
カーボンニュートラルの実現、人権尊重など)を果たすことを前提とした企業活動により適切な利益を得ること。
③オムロンが想定する2030年の社会
私たちは、効率や生産性を追求する「工業社会」を経て、物質的な豊かさを手に入れました。しかし人々の価値観はモノの豊かさから心の豊かさに大きく変化しています。例えば、人々の環境問題に対する意識、仕事に対する価値観は大きく変わってきています。サステナブルな製品や生活を選択することはもちろん、仕事においても、自分の能力を発揮できる仕事を通じ、ワークライフバランスを見つめなおす動きが加速しています。新たな社会・経済システムへの移行期である現在、そして次の10年は、新旧の価値観がぶつかりあい、社会・経済システムへのひずみが生じることにより社会的課題が次々に発生する時代の転換期にあると考えています。オムロンはこれらの社会的課題を解決することで社会価値を創出し、社会全体の豊かさと自分らしさの追求が両立する社会の実現に貢献し続けます。
④オムロンが創出する社会価値
社会価値の創出に向けて、オムロンは、社会に与えるインパクトが大きく、オムロンの強みであるオートメーションと顧客資産や事業資産を活かす観点から、3つの社会的課題「カーボンニュートラルの実現への貢献」、「デジタル化社会の実現への貢献」、「健康寿命の延伸への貢献」を設定しました。
カーボンニュートラルの実現を通じて地球温暖化問題へ取り組み、安心・安全・便利な暮らしと自然環境の両立を実現するエネルギーシステム作りに貢献します。
デジタル化社会の実現においては、年齢や貧富の差に関わらず、必要な情報を必要な人が得ることができる状態を作ることが求められています。オムロンは、誰もがその恩恵にあずかることができるデジタル化社会の実現を通じて格差社会から生まれる問題の解決に取り組み、人々があらゆる制約から解放され、楽しく創造的でかつ、持続可能な社会を実現するものづくりやインフラ作りに貢献します。
また、高齢化が進む社会において、健康寿命を延ばすことは、個人はもちろん、家族が幸せな生活を送るためにとても重要なことです。加えて、医療費の抑制といった観点からも重要です。オムロンは健康寿命の延伸のためにあらゆる人が健康で豊かな自立した人生を送るためのヘルスケアシステムを構築することで高齢化社会における問題の解決に真正面から取り組んでいきます。
<オムロンが捉える社会的課題と創出する社会価値>
これらの3つの社会的課題の解決による社会インパクトを最大化するために、長期ビジョン「SF2030」より、グループのドメインを見直し、改めて4つのドメインを設定するとともに同領域での社会価値を定めました。インダストリアルオートメーションでは、「持続可能な社会を支えるモノづくりの高度化」への貢献を目指します。ヘルスケアソリューションでは、「循環器疾患の“ゼロイベント”」への貢献を目指します。ソーシャルソリューションでは、「再生可能エネルギーの普及・効率的利用とデジタル社会のインフラ持続性」への貢献を目指します。デバイス&モジュールソリューションでは、「新エネルギーと高速通信の普及」への貢献を目指します。
<4つのドメインが創出する社会価値>
インダストリアルオートメーション
インダストリアルオートメーションでは「持続可能な社会を支えるモノづくりの高度化」へ貢献します。これまでオムロンは、i-Automation!で、お客様との共創を通じてアプリケーションを創出し、様々な業界のモノづくりの技術革新や人手不足の解消、生産性の向上を実現させてきました。これからは、i-Automation!をさらに進化させ、生産性とエネルギー効率の最大化による地球環境との共存や、人の可能性を最大発揮できる製造現場の構築や業務プロセスの改善やエンジニアリング領域の業務効率向上を通じて作業者の働きがいも両立させるサステナブルな未来を支える製造現場を構築していきます。
ヘルスケアソリューション
ヘルスケアソリューションでは、「循環器疾患の“ゼロイベント”」へ貢献します。これまでオムロンは、医療品質の家庭用デバイスをグローバルに普及させ、家庭で計測した血圧データを用いた診断・治療プロセスをつくり、脳・心血管イベント発症の予防に貢献してきました。これからは、イベント発症を未然に防ぐ、新しい予防医療の仕組みを構築することで、誰もが自然と健康に暮らすことのできる社会、質の高い医療を誰もがどこでも受けられる社会の実現を目指していきます。その社会に向けて、日常生活下でバイタルデータが測定できるデバイスの創出、医師の診断・治療の意思決定を支援するアルゴリズムを用いた遠隔診療サービスの導入や、新しい予防医療サービスの開発を実現します。
ソーシャルソリューション
ソーシャルソリューションでは、「再生可能エネルギーの普及・効率的利用とデジタル社会のインフラ持続性」への貢献を目指します。オムロンはこれまで、太陽光発電や蓄電池の普及に貢献してきました。これからは、進化したエネルギー制御技術で発電の不安定さを解消し、再生可能エネルギーのさらなる普及に貢献します。また、社会インフラ領域においては、様々な機器、施設の運用現場を熟知し、日本全国を網羅するサービス網を通じ、運用・保守を支えてきました。これからは、現場システムの効率的な運用を支援するマネジメント&サービスで、運用・保守プロセスを革新していきます。
デバイス&モジュールソリューション
デバイス&モジュールソリューションでは、「新エネルギーと高速通信の普及」に貢献します。オムロンはこれまで、電気を繋ぐ・切る技術で、高い性能と品質を持つリレーやスイッチを顧客の製品に組み込み、グローバルに広く提供してきました。これからは、環境負荷の低いエネルギーの導入によりあらゆる機器が直流化します。この変化を踏まえて、オムロンは、放電を安全に制御する技術や故障タイミングを事前に検知する技術で、火災や感電を防ぎ、機器の安全性を高めるデバイスを創出します。また、高速通信の普及では、耐ノイズ性能を高める技術と、これまで培った微細加工技術を用いた量産化により、「途切れない接続」を可能とする高周波対応デバイスを創出します。
⑤オムロンの進化の方向性
・ビジネスモデルの進化
これらの社会価値の創出に向けて、私たちは価値のつくり方そのものも進化させていきます。それは、コンポを中心としたモノだけなく、モノと社会が抱える本質的価値を解決するサービスの組み合わせによる新たな価値の実現です。社会や市場の転換期において、本質価値を捉え直した場合、価値の実装形態はモノだけに留まりません。例えば、制御機器事業のi-BELTにおけるコンサルティングサービス、運用支援サービス、改善サービスなどです。
<“モノ”から“モノ+サービス”へ>
また、自社のリソースにこだわらずパートナーとの共創により、実行スピードと実現可能性を高めていきます。この、モノ+サービスでの価値の実現、また、パートナーとの共創には、そのベースとなるデータプラットフォームの構築が重要になると考えています。自社のデバイスやサービスから生成されるデータとパートナーのデータとの連携によるデータプラットフォームを構築し、そのデータの利活用により、モノ+サービスによる新たなソリューションを開発していきます。本コンセプトのもと、中長期でグループ全体の事業構造を転換し、モノだけでなく、リカーリング型サービスモデルも加えた収益構造に転換していきます。
<データを基軸としたパートナーとの共創による価値創造>
(参考)JMDC社との資本業務提携
データを基軸としたパートナーとの共創による価値創造に向けた取組みの先駆けとして、2022年2月にJMDC社との資本業務提携を行いました。この資本業務提携により、オムロンとJMDC社の両グループは、JMDC社が有するレセプト、健診などの医療データに、オムロンが血圧計や心電計など家庭用ヘルスケアデバイスから収集・蓄積してきたバイタルデータを加えた、強固なヘルスデータプラットフォームの構築を進めます。
そして、そのデータベース基盤に立脚した「健康増進・重症化予防ソリューション」のビジネスを展開していきます。多くのパートナーを引き寄せ、これまで誰も出来なかったソリューションを創出することで、まずは日本の医療の課題を解決しその進歩を支援する計画です。
オムロンは、さらに本資本業務提携を通じて、JMDC社から、データを基軸としたサービスビジネスの事業構想・価値開発・事業運営を学び、それを制御機器事業、社会システム事業も含めて、データドリブンのビジネスへと転換していきます。
・人が活きるオートメーション
オムロンは、人と機械の関係性によって、オートメーションを代替、協働、融和の3種類に分類しています。
「代替」は、機械が人の作業を担うオートメーションであり、いわゆる機械による自動化というレベルです。その次の段階の「協働」は、機械が人と共に働くオートメーションです。人と一緒に作業ができる協調ロボットの出現により、この協働のオートメーションが、今後進化していきます。そして、「融和」では機械が人の可能性や人間らしさを引き出し、機械が人に合わせ、自律化を促します。オムロンは、これら様々なオートメーションを最適に組み合わせる事で人の能力を最大限発揮させるオートメーションを、「人が活きるオートメーション」と定義し、その活用によって社会的課題を解決していきます。
<人が活きるオートメーションとオートメーションの拡張>
⑥長期ビジョン「SF2030」の前提となるサステナビリティ重要課題
長期ビジョン「SF2030」およびSF 1st Stageは、サステナビリティ重要課題との完全統合を図って設定しました。サステナビリティ重要課題の特定に向けた検討においては、長期ビジョン「SF2030」の方向性を検討した段階で、企業理念と存在意義、2030年とさらにその先の社会からのバックキャスティング、環境や社会の持続可能性に貢献するための企業への要請の3つの観点から抽出した課題に対して、社内での議論および外部有識者との対話による示唆を踏まえて、経営レベルで議論を重ねた結果、最終的に長期ビジョン「SF2030」においては以下の5つのサステナビリティ重要課題を決定しました。
(ⅰ)事業を通じた社会的課題の解決
事業を通じた社会的課題の解決により、社会価値を創出するとともにオムロンの持続的な成長を牽引する
(ⅱ)ソーシャルニーズ創造力の最大化
オムロンの持続的成長のために競争力となるビジネスモデルの進化と新たな事業創出の取組みの拡大
(ⅲ)価値創造にチャレンジする多様な人財づくり
オムロンの持続的成長の源泉となるオムロンで働く多様な人財の能力やスキルを引き出す人財マネジメントの進化
(ⅳ)脱炭素・環境負荷低減の実現
気候変動を「機会」と「リスク」の二側面で捉えた企業としての社会的責任の実践と更なる競争優位性の構築
(ⅴ)バリューチェーンにおける人権の尊重
企業の社会的責任として、自社のみならずバリューチェーンで働く人々の人権の尊重に対する影響力の発揮
(4) 中期経営計画「SF 1st Stage」(2022年度~2024年度)
2022年度から2024年度までの中期経営計画 (以下、SF 1st Stage)では、この3年間を社会的課題を捉えた価値創造と持続的成長への能力転換を加速する“トランスフォーメーション加速期”と位置づけました。社会構造の変化に伴い生じる成長機会を掴み、これまで培った競争力を発揮することで力強い成長を実現します。それと同時に、変化する社会に適応するため組織能力の転換を推進し、成長の持続性を高めてまいります。
<長期ビジョン「SF2030」における1st Stageの位置づけ>
①SF 1st Stage方針
SF 1st Stageの全社方針は、「トランスフォーメーションの加速による価値創造への挑戦」です。この実現に向けて、3つのグループ戦略を設定しました。1つ目は、事業のトランスフォーメーションです。具体的には、4コア事業(制御機器事業・ヘルスケア事業・社会システム事業・電子部品事業)の進化、顧客資産型サービス事業の拡大、社会的課題起点での新規事業の創出に取り組みます。4コア事業の進化については、それぞれが成長領域を見直し注力事業を設定し、新たな価値創造を実現することで売上成長を牽引していきます。2つ目は、企業運営・組織能力のトランスフォーメーションです。事業環境の変化に適応しながら価値創造し続けるために、ダイバーシティ&インクルージョンの加速、DXによるデータドリブンの企業運営、サプライチェーンのレジリエンス向上に取り組みます。そして、3つ目は環境と人権への取組み強化です。脱炭素・環境負荷低減に向けたGHG排出量の削減、バリューチェーンにおける人権尊重の徹底に取り組んでいきます。
<SF 1st Stageの全社方針>
(ⅰ)事業のトランスフォーメーション
・4コア事業の進化
長期ビジョン「SF2030」で掲げている4つのドメインで、3つの社会的課題の解決に向けて、事業の進化と成長を通じて社会価値を創出していきます。4つのドメインを担う4コア事業では、それぞれ以下の取組みを行います。
IAB(制御機器事業)
制御機器事業は、SF 1st Stageも引き続き、グループの成長をリードするコア事業です。持続可能な社会への移行に伴い、モノづくりが変化するデジタルや環境モビリティ、食品・日用品に加え医療、物流業界といった成長業界を注力事業と設定し、フォーカスしていきます。主な取組みは、オムロンの強みであるi-Automation!を進化させ、社内のリソースを増強しパートナーとの共創も強化することです。
注力事業を中心に年率7%の売上成長を実現します。具体的には、3年間で売上を2021年度の4,181億円から2024年度5,150億円へと1,000億円拡大させます。さらにKPIとして、i-Automation!採用顧客数を新たに設定しました。2024年度は、2021年度比2倍の5,000社を目指します。
(注)売上成長(CAGR)の2021年度累積は、制御機器事業の一部商品を電子部品事業に組み替えて表示しています。
HCB(ヘルスケア事業)
ヘルスケア事業においては、循環器、呼吸器、ペインマネジメント、そして遠隔診療サービスを注力事業に設定しました。まず、成長ポテンシャルの高い中国やインドのマーケティングを強化します。そして、血圧計を循環器計測デバイスへ進化させます。さらに、革新デバイスの創出による、呼吸器事業の価値拡大にも取り組んでまいります。そして、遠隔診療サービスのさらなる拡大に向けて、グローバルの有力なサービスプロバイダーとのアライアンスなど、パートナーとの共創を加速してまいります。
注力事業を中心に年率10%の売上成長を実現し、3年間で売上を2021年度の1,329億円から2024年度1,800億円へと拡大させます。血圧計の販売台数も今後3年で累計9,400万台と大幅拡大を見込んでいます。遠隔診療サービスも、2024年度までに60万人の利用者獲得を目指します。
SSB(社会システム事業)
社会システム事業においては、注力事業を、「再生可能エネルギー制御」、そして保守や運営支援などを行うマネジメント&サービスとしました。主な取組みは、まず、遠隔制御可能な蓄電システムの導入拡大を進めます。そして、顧客資産を活かしたリカーリング型サービス事業の創出・拡大に取り組みます。なお、基盤事業である鉄道関連事業のビジネスモデルの変革を進めてまいります。
パートナーとの共創においては、電力小売事業者とのアライアンスによる蓄電システムのビジネス展開を加速してまいります。売上は2024年度1,000億円を目指します。さらに、エネルギーマネジメント機器接続台数3年累計で5万台の達成を目指します。
(注)Power Purchase Agreement(電力販売契約)の略称
DMB(電子部品事業)
電子部品事業では、社会のデジタル化に伴いあらゆる機器が直流化する流れを先取りして対応していきます。さらに、5G・6Gに対応できる高周波機器に経営資源を集中投下していきます。これまで培ってきた高い技術力を活かし、高機能・高品質な新商品を創出し、中長期の成長を実現していきます。また、リーディングカンパニーへのデザイン・インや研究機関・技術ベンチャーとのアライアンスなど、パートナーとの共創を進めていきます。
売上成長に加えて、新エネルギー・高速通信の普及に貢献する製品販売数として、3年累計でDC機器向け製品6千万個、高周波機器向け製品1億7千万個を計画しています。
(注)売上成長(CAGR)の2021年度累積は、制御機器事業の一部商品を電子部品事業に組み替えて表示しています
以上のように、これらの4コア事業で注力事業を定め、売上成長を牽引していきます。全社の注力事業の売上は、2021年度から2024年度には35%程度の増加となる、1200億円超増加の大幅成長を計画、制御機器事業を中心に注力事業の成長がグループの成長をリードします。
これらの成長の実現にむけて、4コア事業の中でも、事業成長のポテンシャルが大きい制御機器事業に対しては、新たなアプリケーションやロボットをはじめとする製品の開発、アプリケーションエンジニアの採用と能力強化への人財投資、サービス事業拡大に向けた基盤構築に向けた投資に積極的に投資を行います。
・顧客資産型サービス事業の拡大
これまで、モノのインストールを通じて培った顧客資産(現場知見や現場データ)を活かし、顧客の本質的課題を解決する多様なサービスにより顧客への提供価値を拡大し、サービス事業の売上高を当社グループの売上比で2024年度までに10%以上に上げることを目指します。
例えば、制御機器事業において、磨き上げた革新FAアプリで獲得した累計20万社の顧客や、ヘルスケア事業のオムロンコネクトのマンスリーアクティブユーザー、システム導入・運用を通じてつながる鉄道会社顧客等の顧客資産を活用し、コンサルティングや、アフターサービス等、顧客の本質的課題を解決する多様なサービスにより、顧客への提供価値を拡大します。
・社会的課題起点での新規事業の創出
社会的課題を起点に事業テーマを設定し、事業構想・事業開発とオートメーション技術開発を一体化して進めることで新事業の創出確度を高め、2024年度までに3つの新たな事業を創出します。
事業アーキテクチャ(ビジネスモデル)と技術アーキテクチャを相互に連携させたアーキテクチャの策定を行い、さらに、製品・サービス・ビジネスモデル開発と技術開発を連携させた事業開発を行うことで、より戦略的な新事業の創出を各事業およびイノベーション推進本部にて実行します。
特にイノベーション推進本部では、社会的課題を解決するために近未来をデザインし、その実現に必要な戦略を明確に描き実行することで新規事業の創出を目指します。全社のイノベーションプラットフォームとして新たな事業機会の発掘に挑戦し、ビジネスモデルを変革しながら新事業を生み出していくことでソーシャルニーズを創造し、よりよい社会の実現に貢献していきます。
(ⅱ)企業運営・組織能力のトランスフォーメーション
グループ戦略の二つ目である企業運営・組織能力のトランスフォーメーションでは、事業環境の変化に適応しながら価値創造し続けるために、企業運営と組織能力を進化させていきます。そのために、自社、社会、事業環境の観点から、トランスフォーメーションに取り組むべき3つの領域を掲げました。
<企業経営・組織能力のトランスフォーメーション>
①ダイバーシティ&インクルージョンの加速
ダイバーシティ&インクルージョンの加速では、成長意欲ある人財への積極的な投資を従来比3倍強の3年累計60億円まで拡大することや、すでに管理職には導入されているジョブ型人事制度を順次一般社員まで拡大することに加え、社会的課題解決の成果を分かちあうための取組み・制度として、企業理念実践の場であり、社会課題解決事例への共感の場であるTOGAのさらなる進化や、新たにグローバルの全ての管理職を対象にした業績連動株式報酬制度を導入により強化するなどの人事施策を加速いたします。
これらの施策の推進により、付加価値額を人件費で割って算出する人的創造性を、2024年度では2021年度比で7%向上させます。この指標は一人ひとりの能力発揮による価値創造の成果指標であり、重要な戦略目標と位置付けています。
その他のダイバーシティ&インクルージョンの取組みは以下の通りです。
<ダイバーシティ&インクルージョン加速に向けた人財施策の進化>
(注)VOICE SEI:社員エンゲージメントサーベイにおけるSustainable Engagement Index
②DXによるデータドリブンの企業運営
DXによる企業運営の進化では、付加価値拡大と業務の効率化を目的に、バリューチェーン情報の連結による事業スピードの向上とコスト改善力の獲得、成長ドライバと事業リスクのタイムリーなマネジメントによる企業価値の向上、グローバル全社員の見える化を通じた適所適材による組織能力の最大化、グローバルエクセレントカンパニー水準のガバナンスと生産性の両立の4つの領域でデジタルトランスフォーメーションを推進します。SF 1st Stage各領域で業務プロセスの標準化を推進し、DX基盤の初期モデル構築を実現いたします。
③サプライチェーンのレジリエンス向上
サプライチェーンを取り巻く環境は、地政学リスクの高まりや物流価格高騰の長期化、カーボンニュートラルや人権尊重への対応等、大きく変化しています。この事業環境の変化により、これまでのサプライチェーンマネジメントの前提も大きく変化しています。よりレジリエントなサプライチェーンマネジメントの構築を進め、変化対応力をさらに高めてまいります。
(ⅲ)サステナビリティへの取組み強化
<環境>
オムロン環境方針
長期ビジョン「SF2030」のサステナビリティ重要課題「事業を通じた社会的課題の解決」、「脱炭素・環境負荷低減の実現」を推進し、目標達成するための重要な指針として、2022年3月1日に「オムロン環境方針」を改定しました。この方針で、取り組むべき重要な環境課題と行動指針を定めたうえで、脱炭素と環境負荷の低減に取り組みます。
今後、オムロンは、本方針に基づき、バリューチェーン全体での環境課題解決に取り組み、ステークホルダーの期待に応えることで企業価値の向上につなげていきます。
※オムロン環境方針
https://sustainability.omron.com/jp/environ/management/vision/
脱炭素・環境負荷低減の実現
当社は、2018年7月に、2050年にスコープ1・2について温室効果ガス排出量ゼロを目指す「オムロン カーボンゼロ」を設定し、着実に温室効果ガス排出量の削減を行っています。長期ビジョン「SF2030」では、カーボンゼロ社会の実現、また循環経済への移行に向けて、バリューチェーン全体での温室効果ガス排出量の削減、資源循環モデルの構築についてスピードを上げて実現していきます。
SF 1st Stageでの主な取組みは、以下の通りです。
A.温室効果ガス排出量の削減(スコープ1・2:自社領域からの排出量)
スコープ1・2については、徹底した省エネの推進と再生可能エネルギーを活用した使用電力のクリーン化を実施し、SF 1st Stage期間中に2016年度比53%削減します。目標達成に向けては、スコープ2の電力について国内全76拠点でカーボンゼロを実施します。
B.温室効果ガス排出量の削減(スコープ3カテゴリー11:製造・販売した製品・サービス等の使用に伴う排出量)
スコープ3については、当社の温室効果ガス排出量の約8割を占めるスコープ3カテゴリー11において、各事業で新商品の省エネ設計などを実施し、2030年度に2016年度比18%削減します。
C.循環経済への移行
資源枯渇や環境破壊の問題を解決するため、「ビジネスモデルの変革」、「製品寿命の延長」、「回収・リサイクルの拡大」、「循環型の原材料調達」、「再資源化率の最大化」などにより循環経済への移行に取り組みます。
<SF 1st Stage「脱炭素・環境負荷低減の実現」に向けた取組み>
(注)1 GHG=Greenhouse Gas(温室効果ガス)。
2 生産13拠点、非生産(本社・研究開発・販売)63拠点における自社の電力使用により排出されるGHGが対象。
3 Scope3の2050年目標は現時点では未定。今後の検証・検討を経て策定予定。
<人権>
オムロン人権方針
2011年に国連で「ビジネスと人権に関する指導原則(UNGP)」が採択され、企業の人権尊重責任が明確化されました。以降、グローバルで企業を対象とする人権関連の法規制やルールづくりが進み、UNGPに沿った人権取組みが企業に義務化される動きが高まってきており、事業継続の観点からも益々重要性を増しています。また、持続的な企業価値向上の観点からも、バリューチェーン全体を俯瞰した人権取組みが不可欠な要素になってくると捉え、長期ビジョン「SF2030」のサステナビリティ重要課題の一つとして「バリューチェーンにおける人権の尊重」を特定しました。
これらの背景を踏まえて、2022年3月1日にUNGPの考え方に基づいた「オムロン人権方針」を新たに制定しました。
※オムロン人権方針
https://sustainability.omron.com/jp/rights/human_rights/
バリューチェーンにおける人権の尊重
これまでオムロンでは、自社生産拠点および重要仕入先を対象にしたサステナビリティセルフアセスメントなどを活用して人権リスク調査や対策を行ってきました。これらの取組みに加えて、SF 1st Stageでは、対象をバリューチェーン全体に拡大し、オムロン人権方針に従い、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則(UNGP)」に沿った取組みを強化し、グローバルにおける人権ガバナンス体制の確立を目指します。
SF 1st Stageでの主な取組みは、以下の通りです。
A.UNGPに沿った人権デューディリジェンスの実施
バリューチェーン全体を俯瞰した人権影響評価を実施することにより、「顕著な人権課題」を特定し、人権デューディリジェンスのサイクルを回せる状態を作り込んでいきます。
B.各国・地域に適した人権救済メカニズムの構築
オムロンが人権に対して悪影響を引き起こしたり、または助長を確認した場合、正当な手続きを通じた救済を実行できるよう、各国・地域に適した人権救済メカニズムを構築していきます。
オムロンのバリューチェーンに関わる人々が人権リスクにさらされずに働き、生活できることは、持続可能なビジネスの基盤であり、よりよい社会へと繋がると考えています。これらの取組みを通じて、オムロンの成長力へと変えていきます。
(5) 経営目標
SF 1st Stageでは、事業成長とサステナビリティ課題への取組みを今まで以上に融合させた価値創造に取り組むことから、経営目標に、財務目標に加え、非財務目標を設定しました。財務目標では、2024年度に、売上高:9,300億円、営業利益:1,200億円、ROIC/ROE:10%超を目指します。非財務目標では、グループで創出する社会価値と将来にわたる競争能力の獲得を示す、10+1の目標を掲げます。これら非財務目標のうち3つは、グローバルの社員投票により決定しています。全社員がこれらの達成に取り組み、グループの価値創造のエンジンを力強く加速していきます。さらに、+1の目標として、各リージョンのトップマネジメントが、オムロンのサステナビリティ方針に則り、地域社会に対するコミットメントを宣言し目標達成に向け取り組んでいきます。
財務および非財務の目標は次の通りです。
<SF 1st Stage財務目標>
(注)制御機器事業の一部商品を電子部品事業に組み替えて表示しています。
<SF 1st Stage非財務目標>
(注)1「カーボンニュートラルの実現」、「デジタル化社会の実現」、「健康寿命の延伸」に繋がる注力事業の売上高
2 ⑧から⑩は、当社グループ社員投票で決定した目標
<長期ビジョン「SF2030」およびSF 1st Stageのサステナビリティ重要課題・目標一覧>
サステナビリティ重要課題の長期ビジョン「SF2030」の目標におけるSF 1st Stage目標とSF 1st Stage戦略との関係は、以下の通りです。
(注)1「カーボンニュートラルの実現」、「デジタル化社会の実現」、「健康寿命の延伸」に繋がる注力事業の売上高
2 生産13拠点、非生産(本社・研究開発・販売)63拠点
3 国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」
サステナビリティマネジメントについては、当社のウェブサイトに詳しく記述しておりますので合わせてご参照ください。
https://sustainability.omron.com/jp/omron_csr/sustainability_management/
(1) グローバルな事業活動を支える統合リスクマネジメント
当社グループでは統合リスクマネジメントというグループ共通のフレームワークでリスクマネジメントを行っています。経営・事業を取り巻く環境変化のスピードが上がり、不確実性が高くなる中で変化に迅速に対応するためには、リスクへの感度を上げ、リスクが顕在化する前に察知し、打ち手を講じていく必要があるためです。
現場だけでは対処できない環境変化から生じる問題を、現場と経営が力を合わせて解決する活きたリスクマネジメントを目指し、グローバルでPDCAサイクルを回しながら、当活動の質の向上を図っています。
長期ビジョン「SF2030」を実現していくため、企業理念やルールを守りつつ、いかに効率的、効果的で迅速なリスク判断を現場ができる仕組みを構築するかという点も重要なテーマとして、取組みを進めています。
(2) 統合リスクマネジメントの仕組みと体制
統合リスクマネジメントの枠組みは、グローバルリスクマネジメント・法務本部が主管する社内規定(オムロン統合リスクマネジメントルール)にまとめ、グループ経営におけるリスクマネジメントの位置づけを明確にしています。経営と現場が一体となってグローバルの活動を推進するため、リスクマネージャを本社部門、各事業部門、海外の地域統括本社、国内外の各グループ会社で任命(約160名)しています。
リスクマネージャを構成員とする企業倫理・リスクマネジメント委員会(原則年4回開催)や、危機発生時に設定する緊急対策本部を通じて以下の対応を実行しています。また、その実行状況は定期的に執行会議や取締役会に報告を行っています。
主な活動は次の3点です。
・環境変化をタイムリーに把握して、関係者で共有し、適時に影響評価を行うこと
・定期的に、グローバルにリスクを分析して重要リスクを洗い出し、対策をとること
・リスクが顕在化し、危機が発生した場合は、即時に報告し危機対策を講じること
<統合リスクマネジメントの活動サイクル>
(3) 経営、事業を取り巻くリスクとその分析
当社グループでは、長期ビジョン「SF2030」において、「新たな社会・経済システムへの移行」に伴い生じる社会的課題を解決するため、社会的課題に影響を与える因子を踏まえ、「事業のトランスフォーメーション」と「企業運営・組織能力のトランスフォーメーション」に取り組んでおり、これらを遂行する中で対処すべき重要な要素を、リスクと捉えています。
当社グループは、主要なリスクに対して年1回以上定期的に、リスクへの対策の妥当性・十分性および顕在化しているリスク事案の内容を総合的に分析して、リスクのランクを設定しています。リスクのうち、当社グループを運営する上で、グループの存続を危うくするか、重大な社会的責任が生じうるリスクおよび重要なグループ目標の実現を阻害するリスクを「グループ重要リスク」に位置付け、そのうち最重要であるリスクをSランク、重要であるリスクをAランクと設定し、対策の実行状況やリスク状況の変化をモニタリングしています。
現時点で当社グループが設定するS・Aランクは以下のとおりで、以下の「グループ重要リスク」に対して適切な対策が講じられない場合、重大な社会的責任が生じたり、事業戦略の失敗につながり、結果的に企業価値が喪失する可能性があります。
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<Sランク> 製品の安定供給 * 事業継続(新型コロナウイルス感染症、自然災害) 地政学 * サステナビリティ課題(気候変動) * サステナビリティ課題(人権) * ITシステム・情報セキュリティ 品質 グロ―バルコンプライアンス |
<Aランク> 会計・税務 人財・労務 M&A・投資 知的財産 新興国における事業展開 *
*…昨年度と比較して重要性が上がったテーマ |
<事業等のリスクの全体像>
(4) グループ重要リスクへの対応
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① S 製品の安定供給 |
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外部環境とリスクシナリオ DX機器の普及、生産地分散の進行、地球環境保護に対する社会的な要請の高まりなどにより、グローバルで消費や投資の拡大が継続しています。 一方で、半導体等の部材不足や、コンテナ不足・通関の遅延等によるサプライチェーンの混乱は長期化しています。また、ロシア・ウクライナ情勢の悪化や中国ゼロコロナ政策による都市封鎖の影響も懸念されます。不足している部材の範囲が拡大し、調達量が必要量に届かない場合や、製品の物流リードタイムが大幅に長くなった場合、製品供給力が低下する可能性があります。
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当社グループの事業と対策 当社グループは、半導体製造、電気自動車、脱プラスチック対応、再生可能エネルギー関連などでの設備投資需要への拡大、また、高齢化の進行や健康意識の高まりにより血圧計などの健康機器への堅調な需要に応えることで、力強い成長を実現します。 その中で、上記リスクシナリオに対して適切かつ充分な対策が取られなかった場合、長期ビジョン「SF2030」目標の実現、当社グループの経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。 2021年度においては、部材が不足する中でも、機動的な設計変更や代替部材の調達、顧客への供給責任を果たすための航空便の拡大などにより、影響低減に努めました。 さらに、長期ビジョン「SF2030」では、半導体を中心とする調達先の拡大、設計変更による調達リスクの低い部材への切り替えを継続強化すると同時に、中長期的視点に立ち、よりレジリエンスを高めるためのサプライチェーン戦略の策定を進めます。
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② S 事業継続(新型コロナウイルス感染症、自然災害) |
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外部環境とリスクシナリオ 事業継続リスクとして、新型コロナウイルス感染症を始めとした感染症が長期に渡って蔓延することによる集団感染の発生や、各国で感染症に対する厳格な防疫措置政策としての都市封鎖等は、事業活動へも大きく影響します。具体的には、自社工場の生産停止や、重要サプライヤーからの部品供給停止に関する情報の早期把握の遅れ等により顧客への長期にわたる製品供給が停滞する可能性があります。 また、近年の気候変動に伴う大規模な自然災害や巨大地震、取引先の大規模火災など予期できない災害等が発生した場合、社会インフラ・経済活動の大規模停止や、重要サプライヤーからの長期にわたる部品供給停止等により、事業活動の一部停止や縮小等が生じる可能性があります。
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当社グループの事業と対策 当社グループは、中国・アジアをはじめとして海外に生産拠点を持ち、各国の営業拠点等を通じて製品をグローバルの顧客に供給しています。また、当社グループの部品等のサプライチェーンは材料調達から生産組立て工程までグローバルに展開しています。 その中で、上記リスクシナリオに対して適切かつ充分な対策が取られなかった場合、長期ビジョン「SF2030」目標の実現、当社グループの経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。 新型コロナウイルス感染症については、2019年度から引き続き、社長を対策本部長とする対策本部を設置し、社員の健康と安全の確保、該当拠点地域への感染拡大防止を最優先とし、対応を行っています。また、新型感染症事業継続計画をもとに、各国政府・地域の法令・指導も踏まえて、感染防止措置等を継続しています。当社グループは、新型コロナウイルス感染症と共存する「ウィズ・コロナ」を前提に、オフィスワークとリモートワークを最適・柔軟に組み合わせた勤務形態に移行し、業務に応じて最も効果的・効率的な働き方の実践を進めています。 また、自然災害などに備え、必要とされる安全対策や事業継続・早期復旧のため、生産はもとより、購買調達、物流、ITを含めた事業継続計画を策定し、対策を整備、強化しています。さらに、災害に備えた社員の安否確認システムの運用、事業所での非常食や飲料水の備蓄や有事を想定したシミュレーション・訓練などにより、その実効性を高めています。サプライチェーンでの有事に対しては、発災後速やかに部品供給リスクを把握する仕組みの構築や、重要度に応じた戦略的部品在庫の確保などの手立てを講じています。 [主な取組み] ・新型感染症事業継続計画に基づく対策の施行 ・新型感染症発生状況・出社率等のモニタリング ・事業継続計画の策定と更新/シミュレーション・訓練の実施 ・サプライヤーの生産地情報の一元管理、代替え生産拠点の評価体制整備 ・第三者情報を活用した市場・部材情報の把握と分析 ・重要度に応じた部品在庫の確保 ・緊急時のエスカレーションルートの整備
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③ S 地政学リスク |
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外部環境とリスクシナリオ 地政学リスクとして、米中をはじめとする二国間関係やロシア・ウクライナ情勢を巡る多国間関係など、国際関係は変化が増しています。 そのような中、各国の経済安全保障政策が強化され、最先端技術の国外への流出を阻止するための法規制や制裁・法規制の対象となった企業との輸出入取引や資金決済が停止となる可能性があります。また、各国で保護主義的な関税政策が行われた場合、価格競争力が低下する可能性があります。 また、戦争・紛争が発生した場合には、該当地域における長期事業停止や事業撤退等、その他、企業活動を行う上で予期しない政策および法規制等の変更に直面するリスクがあります。 これらの情勢変化や政策に適切に対応できない場合、法的紛争や行政罰、さらにブランドに対する社会的信頼の喪失につながる可能性があります。
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当社グループの事業と対策 当社グループは、中国・アジアをはじめとして海外にも生産拠点を持ち、各国の営業拠点等を通じて製品をグローバルの顧客に供給しています。 長期ビジョン「SF2030」においても、中国やインド市場への強化など、更なるグローバル展開を加速します。 また、AI・IoT・ロボット等の最先端技術による新規事業の創造や社会システム事業における公共輸送や交通安全といった社会インフラに関する事業を進めています。 その中で、上記リスクシナリオに対して適切かつ充分な対策が取られなかった場合、長期ビジョン「SF2030」目標の実現、当社グループの経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。 地政学リスクに対しては、グローバルで政治・経済情勢や法規制の動向を定期的にモニタリングし、エリア毎の事業環境の変化や業績影響を定期的に把握しています。また最適な生産、研究開発、知的財産管理の在り方や、法規制の変化を捉えて各事業への影響を早期に分析・洞察する体制等の検討を行っています。近年影響が高まっている各国の輸出規制については、グローバルリスクマネジメント・法務本部が輸出管理全社委員会を運営し、適正な安全保障取引管理を実行しています。 2021年度においては、外部の専門家による政策動向や法規制調査の実施、ロシア・ウクライナ情勢への対応、執行会議への定期的な議論・報告や取締役会においても重点テーマとして取り上げ議論を行いました。 長期ビジョン「SF2030」においては、不確実性の高い地政学リスクに先行して対応するため、各国の情勢分析の強化等の取組みを進めます。 [主な取組み] ・主要国の関税引上げや安全保障貿易管理に基づく輸出規制、新興技術等に対する取引制限等の政策に対する分析と評価 ・取引形態やサプライチェーンの見直し ・製品を複数拠点で並行して生産する体制の構築
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④-1 S サステナビリティ課題(気候変動) |
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外部環境とリスクシナリオ 年々激甚化する自然災害や生物種の喪失などを受けて、気候変動への取組みは地球レベルでの社会課題となっており、企業に対しても脱炭素社会に向けたバリューチェーンにおける温室効果ガス排出量の削減や、製品・サービスの環境配慮につながる取組みが求められています。 一方で、欧米をはじめとして気候変動対応や環境政策に関する法規制やそれらへの取組みの開示が強化されるとともに顧客やサプライヤーを含め社会全体から脱炭素への取組みに対する要求が加速しています。 そのような中、各国の法規制強化に伴うエネルギー価格の上昇や省エネ・再エネ対応の追加設備投資、炭素税導入の影響により事業コストが増加する可能性があります。また、自社やサプライヤーにおいて顧客からの要求や法規制への適切な対応が取れない場合、顧客取引の停止や行政罰、事業機会の損失が生じる可能性があります。さらに、気候関連情報の開示への対応体制が不十分であることにより、ステークホルダーが求める要求水準を満たせず、ブランドに対する社会的信頼の喪失につながる可能性があります。
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当社グループの事業と対策 当社グループは、グローバルに事業拠点を持ち、取引するサプライヤーも多国にわたっています。長期ビジョン「SF2030」においては、「カーボンニュートラル社会の実現」を目指し、脱炭素・環境負荷低減に向けて温室効果ガスの排出量削減に取り組んでいきます。また、資源枯渇や環境破壊の問題を解決するため「製品寿命の延長」「回収・リサイクルの拡大」などによる「循環経済への移行」や、将来世代を含めた人類の健康で文化的な活動機会を守っていくため「適正な化学物質の管理」「生物多様性の保全」などによる「自然との共生」にも取り組んでいきます。 その中で、上記リスクシナリオに対して適切かつ充分な対策が取られなかった場合、長期ビジョン「SF2030」目標の実現、当社グループの経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。 気候変動リスクに対して、2021年度にオムロンが取り組むべき重要な環境課題と行動指針を明示した「オムロン環境方針」を改定しました。バリューチェーンを俯瞰した責任体制としては、社長から権限委譲されたグローバル人財総務本部長、グローバル購買・品質・物流本部長、各事業部門長がそれぞれ責任を持って環境への対応を推進します。環境に関する重要な事項については、取締役会で決定します。決定された事項の執行状況を社長が取締役会に報告し、取締役会が監視・監督します。 当社グループは、2019年度に「オムロンカーボンゼロ」を宣言し、2050年に自社からの温室効果ガス排出量ゼロを目指しており、その目標達成に向けて毎年、着実に排出量を削減してきました。長期ビジョン「SF2030」においてもスコープ1・2・3(注1)ごとに数値目標を設定し、温室効果ガスの排出量削減の動きを加速させていきます。具体的には、オムロンの事業活動により排出される温室効果ガスを対象としたスコープ1・2では「省エネ・創エネの拡大」と「国内全拠点のカーボンゼロの実現」を通じて、削減に取り組んでいきます。お客様がオムロン製品を使う事で排出される温室効果ガスを対象としたスコープ3カテゴリー11(注2)では、脱炭素化に向けた製品設計の見直しや、新製品の省エネ化に各事業部門で取り組んでいきます。 なお、当社グループは、2019年にTCFD(注3)への賛同を示しており、2021年度に各事業におけるシナリオ分析を行い、「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標と目標」の4つの項目に沿った当社グループの取組みを開示しております(TCFDの取組みについては(5)TCFD提言に沿った情報開示参照)。 [主な取組み] ・「オムロン環境方針」の改定 ・脱炭素・環境負荷低減の実現 -「オムロンカーボンゼロ宣言」 -スコープ1・2・3ごとの温室効果ガス排出量の削減 ・TCFDへの賛同と枠組みに沿ったシナリオ分析および情報開示 (注1)スコープ1・2: 自社領域から直接的・間接的に排出される温室効果ガス スコープ3: 自社のバリューチェーンからの温室効果ガスの排出 (注2) スコープ3カテゴリー11:スコープ3のうち製造・販売した製品・サービス等の使用に伴う排出 (注3)TCFD:Task-force on Climate-Related Financial Disclosures
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④-2 S サステナビリティ課題(人権) |
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外部環境とリスクシナリオ SDGsへの関心の高まりから、人権に対して十分配慮された商品やサービスを選択・購入する消費行動が広がっています。また、生命の安全や健康配慮など人権に配慮した活動は、働く人々のパフォーマンス向上にもつながります。 一方で、主に開発途上国での強制労働、児童労働、低賃金や未払い、長時間労働、安全や衛生が不十分な労働環境などの問題に対し、自社だけではなくバリューチェーンを通じて企業が一定の責任を果たすことが社会全体から求められており、人権関連法規制の制定が各国で加速しています。また、AIなど新興技術の普及が進む中、新興技術にかかる倫理的問題が社会課題となっています。 このような人権課題への対応はグローバルで社会課題を解決する企業にとって、ビジネスライセンスとなっています。 バリューチェーン上の人権課題に対し、適切な対応が取られていない場合、顧客との取引の停止や行政罰、また、ブランドに対する社会的信頼の喪失につながる可能性があります。また、AI等の新興技術を活用する上で法規制への対応が不十分であることなどにより、開発テーマの停止や、レピュテーションリスクが発生する可能性があります。
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当社グループの事業と対策 当社グループは、グローバルに事業拠点を持ち、取引するサプライヤーも多国にわたっています。また、長期ビジョン「SF2030」では、AI・IoT・ロボット等の最先端技術を活用した事業に積極的に取り組んでいくため、AI倫理等の人権課題が発生する可能性があります。 その中で、上記リスクシナリオに対して適切かつ充分な対策が取られなかった場合、長期ビジョン「SF2030」目標の実現、当社グループの経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。 人権リスクに対して、2021年度において、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則(UNGP)」の内容に沿った「オムロン人権方針」を制定しました。バリューチェーンを俯瞰した責任体制としては、社長から権限委譲されたグローバル人財総務本部長、グローバル購買・品質・物流本部長、各事業部門長がそれぞれ責任を持って人権尊重への対応を推進します。人権尊重へのコミットメントを果たす上で重要な事項については、取締役会で決定し、決定された事項の執行状況を社長が取締役会に報告し、取締役会が監視・監督します。 また、人権関連法規制の対応としては、「英国現代奴隷法への声明」を表明しており、当社グループの人権取組みの公表を行っております。 なお、これまでも自社生産拠点および重要サプライヤーを対象にしたRBAリスク評価の実施、サプライヤーへのサステナブル調達ガイドラインに基づく適切な管理を求めること等により人権リスクへの対応を行ってきましたが、長期ビジョン「SF2030」では、対象をバリューチェーン全体に拡げ、人権デューディリジェンスの実施やグローバルにおけるバリューチェーンの人権救済メカニズムの構築に向けて、サステナビリティ推進室を中心とした全社横断プロジェクトを組成し、グローバルでの人権ガバナンス体制の確立を目指していきます。(取組の詳細は「第2事業の状況1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4)SF 1st Stage中期経営計画(ⅲ)サステナビリティへの取組み強化参照) また、「テクノロジーの倫理的な活用」を重要な人権課題と設定し、AI・ロボティクス・IoTなどのテクノロジーが人権に与える影響を理解し、テクノロジーの適切な活用を推進していきます。 [主な取組み] ・「オムロン人権方針」の策定 ・英国現代奴隷法対応公表 ・内部通報制度をグローバルで運用 ・RBAアセスメントツールを活用したリスク評価 ・サプライヤーに対するサステナブル調達ガイドラインの提示、遵守状況確認
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⑤ S ITシステム・情報セキュリティ |
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外部環境とリスクシナリオ 社会のデジタル化が進む中、企業においてもDXとデータの利活用による生産性の向上や社会課題の解決が期待されています。 一方で、サイバー攻撃の脅威が急速に高まっており、その対策が脆弱であった場合、個人情報・秘密情報の漏えいや、サーバダウンなどによる事業停止を引き起こす可能性があります。 また、プライバシー保護の要請や各国の政策により、グローバルで個人情報・データ保護法規制の制改定や運用の強化が行われる中、事業運営において違反が発生した場合には、社会からの信頼を喪失し、事業が行えなくなったり、多額の罰金が課されたりする可能性があります。 共創等による技術開発において情報管理が不十分であった場合、不正な持ち出しや漏えいにより事業競争力が失われる可能性があります。
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当社グループの事業と対策 当社グループでは、グローバルで様々なシステムを構築・運用しております。現在はオムロン全社の最重要プロジェクトの一つとしてデータドリブンな企業運営への進化を可能とする経営システムの構築を目的とした「コーポレートシステムプロジェクト(以下 CSPJ)」を推進しています。CSPJは、IT基盤の刷新のみならず、業務プロセスの標準化や将来的なデータ活用までも視野に入れた取組みです。 また、当社グループでは、事業上重要な情報および、事業の過程で入手した個人情報や、取引先の秘密情報などを保有しています。長期ビジョン「SF2030」においては、例えば、ヘルスケア事業におけるグローバルの遠隔診療サービス展開でのデータの活用をはじめとして、「モノとサービス」を組み合わせたビジネスモデルを進化する中で、データプラットフォームの構築を推進していきます。 その中で、上記リスクシナリオに対して適切かつ充分な対策が取られなかった場合、長期ビジョン「SF2030」目標の実現、当社グループの経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。 ITシステム・情報セキュリティリスクに対しては、CFOを統括役員とするサイバーセキュリティ統合会議を開催し、グローバル標準のサイバーセキュリティフレームワークに基づき、セキュリティレベルを評価し、課題に対応しています。また、情報セキュリティおよび個人情報保護に関するグループルールを整備し、情報の重要度ランクに応じた取得から利用、廃棄に至る管理策を定めるとともに、インシデント発生時の円滑かつ迅速に対応可能な体制を構築し、運用しています。 2021年度においては、PCの不審な挙動を監視する対策を強化するなど、ゼロトラストモデル(注1)への移行を進めました。また、2022年4月1日に施行された改正個人情報保護法への対応として、プライバシーポリシーやルール・各種手順の見直し、および全社員教育を実施しました。 引続き、サイバー攻撃に対する危機管理体制の強化や各国個人情報・データ保護規制の変化に迅速に対応するグローバル体制の再構築を進めます。 [主な取組み] ・NIST-CSF(注2)に基づく対策の評価とゼロトラストモデルへの移行 (社内アプリ認証強化・異常の検知・分析運用の開始・インターネット通信の制限強化) ・情報セキュリティルールに基づく情報の取扱の徹底 (利用、保管、廃棄、事故発生時の対処の運用など) ・個人情報・データ保護法規制の把握と情報セキュリティルールの改正を含む個人の権利を保護するための対応実施 ・情報リテラシー向上のための社員教育 ・サイバーアタック訓練の実施 ・Webサイトの脆弱性診断 (注1)ゼロトラストモデル:人もネットワークもデバイスも信用しない「決して信頼せず、必ず確認せよ」というコンセプトを基本としたセキュリティ・モデル。 (注2)NIST-CSF:米国国立標準研究所(NIST)が2014年に発行したサイバーセキュリティフレームワーク(CSF)。汎用的かつ体系的なフレームワークで、米国だけでなく世界各国が準拠を進めている。
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⑥ S 品質 |
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外部環境とリスクシナリオ 社会課題の解決の手段として、企業の新規性の高い製品やサービスの提供への期待が高まっています。 一方で、製品の安全性・正確性の確保に対しても高い基準が求められます。製品の不具合発生時の報告や対策、欧州のRoHS指令(注1)や米国のTSCA(注2)をはじめとする製品に含有する化学物質規制や、米国のUL認証(注3)等の製品安全関連の法規制・規格等はグローバルで厳格化しています。また、製品のネットワーク化の拡大やサイバー攻撃の脅威も高まっています。そのような中で、製品の設計・検査の不備、不適切な顧客対応や報告が行われた場合や、法規制・規格等の遵守不備があった場合、大規模リコール、ブランドに対する社会的信頼の喪失や、製品の生産・流通の停止等が生じる可能性があります。
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当社グループの事業と対策 当社グループは、センシング&コントロール+Thinkをコア技術として事業に取り組んできました。 長期ビジョン「SF2030」においても、このセンシング&コントロール+Thinkを進化させ、「モノ」だけではなく、「モノ」と「サービス」の組合せによる新たな価値の実現に取り組みます。例えば、制御機器事業における製造現場のデータ活用サービスi-BELTやヘルスケア事業におけるグローバルの遠隔診療サービスの展開などです。 その中で、上記リスクシナリオに対して適切かつ充分な対策が取られなかった場合、長期ビジョン「SF2030」目標の実現、当社グループの経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。 品質リスクに対しては、顧客満足の最大化を実現するため「品質第一」を基本に「品質基本方針」を定め、国際規格の要求事項をベースとした品質マネジメントシステムを確立しています。また、品質ガバナンスを推進するため、全社品質を主管するグローバル購買・品質・物流本部は全社品質長会議を運営しています。さらに、品質保証体制や品質保証活動および重大な品質問題が発生した際の管理に関するグループルールを整備し、運用しています。品質コンプライアンスに関しては、グローバルで変化する製品等に係る環境や安全関連の法規制、規格の動向を把握し、管理体制の強化を進めています。製品セキュリティに関しては、製品およびサービスについて外部からの脆弱性情報を受け付けた際の対応体制を整備してきました。 長期ビジョン「SF2030」においては、上記に加え、各事業において使用しているリチウムイオン電池、パワーデバイス等の品質リスクが高い技術について、それぞれのリスクに応じた未然防止のための品質技術の確立を目指します。また、製品セキュリティに関しては、外部コンサルティング会社を活用しながら、サプライチェーンを含む製品およびサービスのライフサイクルにおける体制の強化に取り組んでいきます。さらに、「モノ」から「モノとサービス」へのシフトも踏まえたサービス事業に適合した品質マネジメントシステムを確立し、品質感度や価値観を整合するためのナレッジ(サービス事業でのリスクマネジメントや品質取組み)の蓄積や活用のしくみ構築を目指します。 [主な取組み] ・ISO9001/ISO13485/IATF16949(注4)の取得・ビジネスカンパニーQMS(注5)監査(社内監査)と製品設計プロセスの課題解決活動 ・製品等に係る環境や安全関連の法規制・規格の動向の把握、影響評価を行う管理体制の強化 ・製品セキュリティの脆弱性情報管理体制 (PSIRT)の運用 (注1)RoHS指令:電子・電気機器における特定有害物質の使用制限についての欧州連合(EU)による指令 (注2)TSCA:有害物質の製造や輸入を規制する米国の法律 (注3)UL認証:有害米国の第三者安全科学機関であるUnderwriters Laboratoriesによる原材料や製品の信頼性・安全性に関する認証 (注4)ISO9001 :品質マネジメントシステム国際規格 ISO13485 :医療機器産業に特化した品質マネジメントシステム国際規格 IATF16949:自動車産業に特化した品質マネジメントシステム国際規格 (注5)QMS:品質マネジメントシステム
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⑦ S グロ―バルコンプライアンス |
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外部環境とリスクシナリオ 企業の社会的影響力が強まる中、公正な取引に対する社会的要請が益々高まっています。独占禁止法令や贈収賄防止等のグローバルの法規制は厳格化するとともに、ITやAI等の進化や気候変動などの社会的課題への対応を踏まえた新たな法規制や運用の検討がされています。 これらの法規制等に違反したものと当局が発見または判断した場合には、課徴金等の行政処分、刑事処分または損害賠償訴訟の対象となり、また企業の社会的評価が悪影響を受ける可能性があります。
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当社グループの事業と対策 当社グループは、各国政府の許認可を含む製品・サービスをグローバルで展開しています。長期ビジョン「SF2030」においては、様々なビジネスパートナーとの共創によるイノベーティブな製品や、新たなビジネスモデルの開発を推進していきます。また、新興国を含むグローバルな社会課題の解決に積極的に取り組んでいきます。 その中で、上記リスクシナリオに対して適切かつ充分な対策が取られなかった場合、長期ビジョン「SF2030」目標の実現、当社グループの経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。 当社では、「社会的責任を果たす企業経営」において、企業倫理・コンプライアンスをその活動の重要課題の一つとして位置付けています。特にカルテル等の反競争的行為、贈賄その他重要なリスクについては、その発生を未然に防ぐための対応を重点的に実施しています。具体的には、経営の方針として「オムロングループマネジメントポリシー」を定め、さらに当社グループの役員・従業員の具体的行動指針を示したものとして「オムロングループ倫理行動ルール」を制定のうえ周知し、法令遵守の徹底を図っています。さらに企業倫理・コンプライアンスに関する推進責任者を任命し、企業倫理・コンプライアンスの推進を行うため、企業倫理リスクマネジメント委員会を設置しています。また、社長自ら企業倫理・コンプライアンスの徹底に関する指示を定期的に発信し周知徹底の機会を設けると共に、カルテル等の反競争的行為や贈賄をはじめ、企業倫理・コンプライアンスに関して、役員および従業員への定期的な研修等を行っています。 加えて、社内外に内部通報窓口を設置し、「オムロングループ倫理行動ルール」・就業規則・法令に違反する行為、またはそのおそれのある行為について、通報を受け付けています。法令・社内規定に従って通報内容を秘密として保持し、通報者に対する不利益な取扱いを行いません。 [主な取組み] ・「オムロングループ倫理行動ルール」の制定 ・毎年10月のグローバル企業倫理月間等によるトップメッセージ発信と定期的なコンプライアンス教育 ・グローバル内部通報制度の運用
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⑧ A 会計・税務 |
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外部環境とリスクシナリオ 社会課題の解決の手段としてのデジタル化の実現や企業の経済活動のグローバル化に伴い、今までにない財・サービスの提供や取引のボーダーレス化が加速する中、企業の税の透明性の確保や経済実態を財務諸表に正しく表すことが引続きステークホルダーから求められています。 そのような中、各国の租税法や移転価格税制、関税法、およびその他関連諸規定等の改正や当局の執行動向に適切な対応が行えなかった場合、もしくは、当局との法令等の解釈に相違が生じた場合、当局から多額の追徴や和解金の支払いが必要となる可能性があります。また、今までにないサービスや事業等を行うに際して、会計処理が適切に行われなかった場合、行政罰やブランドに対する社会的信頼の喪失につながる可能性があります。
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当社グループの事業と対策 当社グループは、グローバルに存在する顧客に対して取引を行っており、また国内外に子会社を119社(2022年3月末時点)有しており、グループ内でも相互に取引を行っております。さらに、長期ビジョン「SF2030」においては、成長戦略の一つに「モノ」だけではなく、「モノ」と「サービス」の組合せによる新たな価値の実現を目指し、コンサルティング、アフターサービス、オペレーションサービス等の多様なサービス展開を行います。 その中で、上記リスクシナリオに対して適切かつ充分な対策が取られなかった場合、長期ビジョン「SF2030」目標の実現、当社グループの経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。 会計・税務リスクに対しては、グローバル理財本部を中心に、グローバルで、財務報告の信頼性の確保のための内部統制システムを含む会計・税務の適正性を担保するための体制・オムロングループルールを整備、運用し、外部専門家も活用しながら、各地域統括会社とも連携し対策を進めています。 税務については、「オムロングループサステナブル行動ポリシー・オムロングループ倫理行動ルール」において、税法などの法令を遵守し、適正な納税を行うことを定めています。2021年度には、「基本方針」、「適正な納税」、「移転価格税制への対応」、「タックスヘイブン対策税制」、「税務コンプライアンスの取組み」、および「税務当局との関係」について具体化した「税務方針」を取締役会で承認し、運用を行っております。 [主な取組み] ・現地法人と共に各国・地域における税制や当局の執行状況の変化への対応 ・OECDの各種報告書や新しい国際課税ルールの整備状況などを踏まえた国際税務に係る方針の見直しを適宜実施 ・関税コンプライアンス体制およびモニタリングの強化 ・外部専門家等を活用した会計基準の定期的な情報収集と影響等の調査・対応
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⑨ A 人財・労務 |
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外部環境とリスクシナリオ 社会課題を解決するため企業が多様な人財の活躍によりイノベーションを創出することで、持続的な企業価値の向上につながることが期待されています。 一方で、高齢化に伴う労働人口の減少や、人財の獲得に向けた企業間の競争激化による専門人財の供給不足、さらには、個人のキャリアや働き方に対する価値観の多様化がより一層進み、人財の流動化が加速することが見込まれています。 そのような中、人財施策や人事制度の設計・運用が不十分である場合、適所適財で必要な人財を確保することが困難となることや、従業員のエンゲージメントの低下、更には労務トラブルの発生といったリスクが生じる可能性があります。
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当社グループの事業と対策 当社グループは、グローバルでの事業展開の加速、新事業・新技術におけるイノベーション創出のために、変化を先導するリーダーの獲得と育成、並びに各分野で必要とする高度な専門人財の獲得を行っています。長期ビジョン「SF2030」においては、人財戦略を策定し、DX等の重点分野や新規事業創造における専門人財獲得など、優秀な人財の獲得を強化し、人的創造性の向上を進めます。 その中で、上記リスクシナリオに対して適切かつ充分な対策が取られなかった場合、長期ビジョン「SF2030」目標の実現、当社グループの経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。 人財・労務リスクに対しては、グローバル人財総務本部が中心となり、「VOICE」(注)を通じて、グループ全体でのエンゲージメント調査を実施し、従業員の声に耳を傾け、組織課題を把握・特定し、課題解決のためのアクションを起こす取組みを実施しております。また、グローバルレベルで適所適財の配置を実施し、現場での意思決定を迅速に行うため、海外における重要ポジションの現地化推進などに取り組んできました。さらに、当社グループでは、企業倫理の浸透をモニタリングする仕組みの一つとして、内部通報制度を整備し運用しております。 長期ビジョン「SF2030」においては、事業戦略を実現するため、適正なポジションに適正な能力を持った人財を必要な人数配置する状態を目指す「人財ポートフォリオマネジメント」の導入や成長意欲ある人財への積極的な投資、市場競争力あるフェアな報酬を目指し、中期業績連動株式報酬のグローバル全マネジャーへの導入等を進めていきます。 [主な取組み] ・「VOICE」によるグループ全体でのエンゲージメント調査の実施と改善 ・グローバルレベルで適所適財の配置 ・海外における重要ポジションの現地化推進 ・内部通報制度の運用
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⑩ A M&A・投資 |
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外部環境とリスクシナリオ 社会課題を解決する手段として、IoT、ビッグデータ、ロボット、AI等のテクノロジーの進化が求められる中、スタートアップ企業を始めとする技術力のある企業とのアライアンス、M&A、出資を通じたイノベーションの加速が期待されています。 一方で、デューディリジェンスが不十分であったり、想定した十分なシナジー効果や資本業務提携の取組が計画通り進まない場合や、PMI(Post Merger Integration)やガバナンスが適切に行われなかった場合に多額ののれんや投資の減損が発生する可能性があります。また、経済安全保障政策による投資規制やIT分野における独占禁止法の運用が強化される中、M&A、出資実行の長期化や計画の大幅な見直しが必要となる可能性もあります。
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当社グループの事業と対策 当社グループでは、M&A・投資を将来の成長に必要な戦略と考えており、ポートフォリオマネジメント(注)のもとアライアンスや事業売却も進めながら、当社グループの企業価値向上を推進しています。 長期ビジョン「SF2030」においても、新規事業の創出等を行っていくため、オムロンが捉える社会的課題に共感・共鳴しあえるパートナーとの共創を重視し、積極的に実行して参ります。 なお、2021年度においては、“人と機械が協調するモノづくり現場”を創造し、製造現場における人手不足を解決するため、協調ロボットメーカーのテックマン・ロボット社への出資を実行しました。 また、ヘルスデータプラットフォームをコアに、イベントゼロをはじめとする健康増進・重症化予防ソリューションを社会実装するため、レセプト・健診などの医療データを保有するJMDC社との資本業務提携契約を締結しております。 その中で、上記リスクシナリオに対して適切かつ充分な対策が取られなかった場合、長期ビジョン「SF2030」目標の実現、当社グループの経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。 M&A・投資リスクに対しては、事業部門と本社部門および外部専門家から構成されるプロジェクトチームを組成し、対象企業の財務内容や契約内容の確認、経営陣との面談を通した詳細な事前審査等をもとに、当社グループとの協業によるシナジー効果とリスクを考慮した投資判断を行っています。また、買収や出資後も事業部門と本社部門が連携し、事業戦略とリスクを踏まえた計画を策定、実行しています。加えて、対象事業の業績、事業戦略の進捗、事業価値評価を取締役会において定期的にレビューしています。 [主な取組み] ・事業戦略に基づいたM&A・投資候補の探索、評価 ・M&A・投資案件に応じた、デューデリジェンスや事業計画の策定 ・取締役会における、買収や出資後の経済効果の具体的目標進捗のレビュー (少なくとも年に1回) (注)ポートフォリオマネジメント:現在約60ある事業ユニットに対して、経済価値の評価と市場価値の評価に基づいて事業を評価する取組み
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⑪ A 知的財産 |
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外部環境とリスクシナリオ 社会課題を解決する手段として、カーボンニュートラルやデジタル社会の実現が求められる中、オープンイノベーションを推進し、国際競争力の源泉となる知的財産・無形資産の活用が期待されています。 一方で、AI・IoT・ロボットなどの開発競争が激しい分野の研究を進める中で、第三者から知的財産権の侵害に対する主張を受け、事業の停止や巨額の損害賠償請求、和解のための解決金、知的財産権を使用するためのロイヤリティの支払が発生する可能性があります。 さらに、アライアンス先を含む第三者による当社の知的財産権の不正使用や侵害、またノウハウの流出を適切に防ぐことが出来なかった場合、競争力を喪失する可能性があります。 その他、ブランド管理については、第三者が当社グループのブランド名を不当に使用し、当社商品と類似した商品を製造・販売することにより損害を受ける可能性があります。
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当社グループの事業と対策 当社グループは、近未来デザインを起点としたソーシャルニーズの創造のため、知財ポリシーを定め、知財戦略を実行しています。長期ビジョン「SF2030」において、「慢性疾患の予防医療支援」、「1次・3次産業の自動化」、「カーボンニュートラルを実現するエネルギーソリューション」、「製造現場の高度化」といった新規事業創造を目指しており、その中で、他社と差異化できる技術について戦略的に特許化を行います。 また、モノ視点からコト視点への事業変化によって発明者の裾野が拡大していることから、技術者のみならず企画部門やプロダクトマネージャも対象に、顧客課題・社会課題を解決するコトビジネスの発明創出も推進しています。 その中で、上記リスクシナリオに対して適切かつ充分な対策が取られなかった場合、長期ビジョン「SF2030」目標の実現、当社グループの経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。 知的財産リスクに対しては、知財センタが中心となり、社内の全技術者向けの知財教育の実施や、研究開発および設計にあたって第三者の知的財産権の調査を実施しています。また、既存製品に関しても、当社グループ製品と第三者が保有する知的財産権、および第三者の製品と当社グループが保有する知的財産権との関係について分析・評価を実施しています。 一方、近年海外にて増加している、第三者による当社グループのブランド名の不当使用に対しては、定期的に模倣品摘発活動を市場やECサイトなどで実施しています。さらに、悪意を持った当社グループのブランド名と類似した商標権の取得を阻止する対応も行っています。 [主な取組み] ・第三者が保有する知的財産権への侵害調査 ・当社グループ製品への第三者による知的財産権侵害の分析・評価 ・模倣品のモニタリング ・類似した商標権の取得の阻止
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⑫ A 新興国における事業展開 |
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外部環境とリスクシナリオ インド等の新興国市場においては、人口増加によって消費拡大が見込まれ、各種産業が成長している中、様々な社会課題も顕在化しています。 一方で、一部の新興国、地域においては法による統治機能が脆弱であったり、政情が不安定であることから、汚職や腐敗等が社会問題化する場合があります。これらの国、地域における事業運営において、ガバナンス不全や社内管理の不備により、法規制・コンプライアンス違反、不法行為、不正会計などが発生する可能性があります。
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当社グループの事業と対策 当社グループは、グローバルに事業展開をしており、各国・地域にグループ会社を有しています。長期ビジョン「SF2030」においては、例えばヘルスケア事業において成長ポテンシャルの高いインドでの販売力強化等さらに需要の高い地域に密着した事業の拡大を推進します。 その中で、上記リスクシナリオに対して適切かつ充分な対策が取られなかった場合、長期ビジョン「SF2030」目標の実現、当社グループの経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループでは、オムロングループ共通の法人運営、会計、IT統制等のルール(「オムロングループルール」)に基づくグループ会社におけるガバナンス体制の構築と運用を行っています。また、各機能主管部門におけるグローバルでの牽制とモニタリング、内部監査における改善指導等により、実効性の向上に努めております。さらに、地域統括会社毎のリスクマネジメントにより、エリア特性に応じた重要リスクへの対応を行っています。
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これらのリスクは、経営・事業環境の変化が大きく、現在当社グループとして重点的に取り組んでいるテーマであり、投資家の皆様の判断にも重要な影響を及ぼす可能性がある事項と考えています。ただし、すべてのリスクを網羅したものではなく、現時点では予見出来ない又は重要とみなされていないリスクの影響を将来的に受ける可能性があります。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2022年6月24日)現在において当社グループが判断したものです。
(5)TCFD提言に沿った情報開示
気候変動への対応
世界各地で異常気象による大規模な自然災害が多発する中、気候変動は当社が取り組むべき最重要課題であると捉え、2022年度からスタートした長期ビジョン「SF2030」において、「Shaping The Future 2030」というビジョンのもと、社会的課題「カーボンニュートラル社会の実現」に挑みます。
2019年2月に、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言への賛同を表明以降、株主・投資家などのステークホルダーと当社の気候変動取組みについてのエンゲージメントを強化するため、TCFDのフレームワークに基づいた情報開示を進めています。
TCFD提言が推奨する4つの開示項目に沿った情報開示
TCFD提言は、すべての企業に対し、「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標と目標」の4つの項目に基づいて開示することを推奨しています。当社グループは、TCFD提言の4つの開示項目に沿って、当社の気候関連への取組みを開示します。
①気候変動に関するガバナンス
・取締役会の役割・監視体制
当社グループでは、「オムロン コーポレート・ガバナンス ポリシー」において、TCFD等の枠組みに基づく気候変動リスクへの取組みを含むサステナビリティ方針・重要課題および目標について、取締役会が決定・開示することを明確に定めています。
気候変動に関するリスクや事業機会、目標や具体的な取組み施策については、執行会議およびサステナビリティ委員会で協議・決定・進捗管理・モニタリングを定期的に実施し、必要に応じて是正策を検討します。取締役会は、執行会議で協議・決定された内容の報告を定期的に受け、論議・監督を行っています。
また、2021年度から2024年度を対象とする社内取締役および執行役員の中長期業績連動報酬(株式報酬)(注)の評価指標の一部として、温室効果ガス排出量の削減目標、気候変動対応を含む第三者機関によるサステナビリティ指標(気候変動対応への評価含む)に基づく評価を組み込んでいます。
(注)詳細は「第4提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等」参照
②気候変動に関する戦略
・短期・中期・長期の気候関連リスク・機会および対応
長期ビジョン「SF2030」および中期経営計画では、サステナビリティ重要課題「脱炭素・環境負荷低減の実現」を設定し、気候変動を「機会」と「リスク」の二側面で捉え、企業としての社会的責任の実践と更なる競争優位性の構築を図ります。
そして、気候変動による生態系および人間社会に対する深刻な影響の拡大を抑止するため、当社は「脱炭素に向けた製品・サービスの提供」、「モノとサービスを組み合わせたビジネスモデルの進化」、「パートナーとの共創」、「エネルギー効率の改善」、「再生可能エネルギーの使用拡大」などによりバリューチェーン全体の温室効果ガス排出量削減に取り組んでいきます。
その中で、当社グループは、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)やIEA(国際エネルギー機関)などが発表する「世界の平均気温が4℃以上上昇する」「世界の平均気温がパリ協定で合意した2℃未満の上昇に抑えられる(一部1.5℃以内)」の2つのシナリオで、リスクと機会を分析し、気候変動問題解決にはオムロンの対応が必要であると再確認しました。具体的には、インダストリアルオートメーションの分野において、i-Automation!を進化させ、地球環境との共存と、働く人々の働きがいも両立させるサステナブルな未来を支える製造現場を構築し、生産性とエネルギー効率を高めるオートメーションの実現を行います。また、ソーシャルソリューションの分野において、これまで太陽光発電や蓄電池の普及に貢献してきましたが、今後は、進化したエネルギー制御技術で発電の不安定さを解消し、再生可能エネルギーのさらなる普及に貢献します。またデバイス&モジュールソリューション分野では、製品の環境性能向上、およびカーボンフットプリント削減に係る関心の高まりによる電子部品事業部品の開発・提供も加速させます。その他にも社会と様々な接点を持つ当社グループは、社会の多くの場面でカーボンニュートラル社会の実現に貢献していきます。シナリオ分析結果については、長期ビジョン「SF2030」および中期経営計画の戦略に反映し、対応を具体的に計画しています。
・想定期間 :SF2030期間(2030年度まで)
・採用シナリオ :・4℃シナリオ :IPCC/RCP8.5, IEA/STEPS
・1.5/2℃シナリオ:IPCC/RCP2.6, IEA/SDS(一部IEA/NZE)
・時間軸の定義 :短期:3年未満、中期:3年~10年未満、長期:10年~30年
・シナリオ分析対象:既存事業
<当社グループの気候変動のリスク・機会の概要と対応>
③気候変動に関するリスク管理
・リスクを評価・識別・管理するプロセス
当社グループは、当事業年度に各事業のシナリオ分析を実施し、気候変動影響による「移行リスク」「物理リスク」を網羅的に抽出しました。そして、抽出した気候変動に伴うリスクについて、採用シナリオごとに「顕在時期」「事業および財務への影響額」を可視化し、事業および財務への影響度を評価しました。評価を基に当社にとって重要な気候変動に伴うリスクを特定し、対応策を立案しました。リスクの特定、対応策の立案にあたっての重要事項は、取締役会へ報告しています。
また、2022年度以降も定期的にシナリオ分析を行い、リスク・対応策を更新していくとともに対応策の進捗状況のモニタリングを実施していきます。
・全社リスクマネジメントへの統合状況
当社グループは、リスクを全社的に管理する体制を構築することが重要であることを踏まえ、グループ共通のフレームワークで統合リスクマネジメントの取組みを行っています。気候変動リスクをグループ重要リスクと識別・評価し、シナリオ分析によるリスクと整合させ、取組みのモニタリングを行っています。
④気候変動に関する指標と目標
・気候変動のリスク・機会に関する指標
当社グループは、気候関連リスク・機会を管理するための指標として、Scope1・2・3(注1)の温室効果ガス排出量、および事業活動で使用する電力に占める再生可能エネルギーに関する指標を定めています。
・温室効果ガス排出量に関する目標及び実績(Scope1・2・3)
当社グループは、環境分野において、持続可能な社会をつくることが企業理念にある「よりよい社会をつくる」ことと捉え、2018年7月に、2050年にScope1・2について温室効果ガス排出量ゼロを目指す「オムロン カーボンゼロ」を設定しました。
そして2022年3月、オムロンはカーボンニュートラル社会の実現に向けて取組みを進化させ、Scope1・2については、削減シナリオを2℃シナリオからより積極的な1.5℃シナリオに変更しました 。また、Scope3カテゴリー11について、2030年に18%削減(2016年度比)という目標を新たに設定しました。これらの目標はSBTイニシアチブ(注2)の認定を受けています。
また、目標達成に向けて、オムロンは、引き続きエネルギー効率の改善を進めるとともに、自社のエネルギーソリューション事業が提供する再エネ由来のJ-クレジット(注3)や自己託送(注4)などを活用することで、2024年度にScope2についてオムロンの国内拠点のカーボンゼロ(注5)の実現を目指します。
(注)1 Scope1・2:自社領域から直接的・間接的に排出される温室効果ガス
Scope3カテゴリー11:Scope3は自社のバリューチェーンからの温室効果ガスの排出。
そのうち、カテゴリー11は製造・販売した製品・サービス等の使用に伴う排出。
2 SBTイニシアチブ:Science Based Targets イニシアチブ:科学的根拠に基づいた温室効果ガス削減の
中長期目標設定を推奨している国際的イニシアチブ
3 J-クレジット:環境価値 (CO2を排出しない効果)を国が認証する制度
4 自己託送:自家発電設備を保有する事業者が当該設備を用いて発電した電力を、一般送配電事業者の
送電網を介して遠隔地にある自社工場や事業所などに送電・供給し、電力を使用することが
可能となる電力供給制度
5 生産13拠点、非生産(本社・研究開発・販売)63拠点における自社の電力使用により排出される
GHG(Scope2)が対象
6 温室効果ガス排出量(Scope1・2)の2021年度の実績は、オムロンコーポレートサイトに掲載し、
ビューローベリタスジャパン株式会社による限定的保証業務により第三者保証を受ける予定です。
当該限定的保証業務は、いずれも国際監査・保証基準審議会の国際保証業務基準(ISAE)3000「過去
財務情報の監査又はレビュー以外の保証業務」に準拠した業務です。
(1) 事業環境、経営成績等の状況・分析・検討
①当社グループの経営成績の実績及び見通し
2021年度実績
2021年度は、「変化対応力の最大発揮」と「変革の加速」を方針に掲げ、事業運営をスタートしました。当社グループを取り巻く事業環境は、中華圏・アジア・米州を中心としたデジタル業界の旺盛な需要が継続したことに加えて、地球環境保護への社会的な要請を背景としたカーボンニュートラルや脱プラスチック関連投資も拡大し、総じて好調に推移しました。また、コロナ禍により、慢性疾患の重症化予防の重要性が消費者に再認識されて、家庭用医療機器の需要が拡大しました。一方で、第2四半期以降に顕在化したサプライチェーンの混乱が継続する中で、第4四半期でのロシア・ウクライナ情勢の悪化や上海ロックダウンなど、当社グループを取り巻く事業環境は、さまざまな要因により不確実性が継続する1年となりました。
このような事業環境の中で、制御機器事業では、拡大する半導体、電気自動車、二次電池、食品包装機械などの設備投資需要に応えるため、ソリューション提案力の強化を継続し、部材確保や増産にも取り組みました。ヘルスケア事業では、グローバルで血圧計需要が拡大する中、薬局チャネルやオンラインチャネルでのプロモーションを強化するとともに、部材確保や物流改善に取り組みました。
これらの結果、売上高は7,629億円(前期比16.4%増)、営業利益は893億円(同43.0%増)、売上総利益率は前期比でほぼ横ばいの45.5%(同0.1ポイント減)となりました。これまで培ってきた強い収益構造に、売上高の伸びが掛け算で効いてきた結果、営業利益は前期比で大きく増加し、過去最高となりました。
2022年度見通し
SF 1st Stageの1年目である2022年度は、「新たな価値創造へのギアチェンジ」を方針に掲げました。これまで培ってきた資産を活用し、成長を加速するとともに、将来の成長に向けた投資を着実に実行していきます。製品供給制約の継続、インフレの進行、世界秩序が混乱する中でも、変化対応力を発揮し、グローバルで総じて旺盛な需要を捉えることで注力事業を中心に成長を目指します。また、長期ビジョン「SF2030」・中期経営計画を成功に導くために、価値創造のあり方を、もう一段高いステージへとギアチェンジし、進化させていきます。2022年2月に発表したJMDC社との資本業務提携は、ヘルスケア事業においてデータベース基盤に立脚した「健康増進・重症化予防ソリューション」のビジネスを展開していくことを狙いとしています。今後は、データを基軸としたサービスビジネスの事業構想・価値開発・事業運営をJMDC社と進めるとともに、得たナレッジを制御機器事業、社会システム事業へ展開することで、当社グループのデータドリブンのビジネスを加速させていきます。
当社グループは、2022年度から長期ビジョン「SF2030」および最初の中期経営計画(SF 1st Stage)をスタートしています。これまでに培ってきた顧客資産をベースに、新たに表出する事業機会を捉えてソリューションを提供するとともに、将来の成長に向けた投資を着実に実行します。アフターコロナに向けて社会・経済システムへの転換が加速する中、中長期的視点でビジネスモデル変革と新事業創出に取り組み、持続的な成長を実現します。
2022年度の事業環境は、地政学リスクの拡大、サプライチェーン混乱、インフレ加速、コロナ禍再拡大に伴う都市ロックダウンの影響など、不確実性が継続する一方で、当社グループがアドレスする領域では、グローバルで総じて、好調な需要が継続すると見ています。具体的には、DX機器の普及、生産地分散の進行、地球環境保護に対する社会的な要請の高まりなどにより、半導体製造、電気自動車、脱プラスチック対応、再生可能エネルギー関連などでの設備投資需要が拡大し、また、高齢化の進行や健康意識の高まりにより血圧計などの健康機器への需要が引き続き堅調に推移すると見ています。
当社グループは、このような不確実性が高い事業環境を踏まえ、全社業績変動リスク(売上高100億円減・営業利益40億円減)を織り込みながらも、培ってきた変化対応力を発揮し続け、社会の変化がもたらす事業機会を着実に捉えた力強い成長を実現します。また、長期ビジョン「SF2030」の新たな価値創造に向けて、制御機器事業やヘルスケア事業を中心とした成長投資を積極的に実行します。
これらの結果、2022年度は、売上高は8,500億円(当期比11.4%増)、営業利益930億円(同4.1%増)、売上総利益率は過去最高の45.6%(同0.1ポイント増)を計画しています。2期連続で増収増益となり、営業利益は過去最高を更新する見通しです。
<売上高・営業利益・売上総利益率の推移>
(注)2019年度に車載事業を非継続事業に分類したことに伴い、2017年度および2018年度の売上高、営業利益は非継続
事業を除いた継続事業の数値に組み替えて表示しています。
②各事業セグメントの実績及び見通し
a.インダストリアルオートメーションビジネス(制御機器事業、IAB)
2021年度における事業環境認識と価値創造の取組み
製造業を取り巻く環境は、大きな変革期の真只中にあります。それは、製品の高度化や地産地消、個作りなどに代表される「作るモノ」「作り方」「作る場所」「作るヒト」の変化と、AI、IoTやロボティクスに代表される技術革新、シーズの変化です。オムロンは、この変化をいち早く捉え、製造現場が直面する課題をイノベーションで解決するべく「i-Automation!」を提唱し、近未来のモノづくりを目指してきました。
i-Automation!は、「integrated(制御進化)」、「intelligent(知能化)」、「interactive(ヒトと機械の新しい協調)」という3つのイノベーション(innovation)により構成されています。この3つの“i”をキーワードに、20万点以上に及ぶ商品ラインナップと、ソフトウェアやサービスを擦り合わせて200を超える革新的な制御アプリケーション(以下、アプリケーション)を創出し、多くのお客様の製造現場のイノベーションに貢献してきました。「制御進化」では、熟練技能者の高齢化や後継者不足といった課題に着目し、“匠の技”を再現するアプリケーションを生み出してきました。例えば、二次電池の製造工程では、フィルム状製品の高速・高精度の巻き取りやシート状製品の超高精度の積層を可能にしました。「知能化」では、AI・画像処理技術を活用し、自らが学習しヒトの五感を超える機械や不良品を作らないモノづくりを実現しています。「ヒトと機械の新しい協調」では、自律型モバイルロボットや協調ロボットでヒトと機械の持ち味を引き出し、相互に協力し合う新しいオートメーションを実現しました。
お客様の課題解決を促進するインフラや人財も拡充してきました。最新のアプリケーションを使って製造現場の装置や生産ラインを実機モデルにより再現する「オートメーションセンタ(ATC)」は、37拠点にまで拡充しました。ATCは、お客様とともにモノづくり課題の解決策を検証・実証する共創拠点として年間何千人ものお客様に来場いただいています。また、オムロンの制御技術・商品に精通し生産現場を熟知するセールスエンジニア(SE)も増強し、お客様固有の課題に応じたアプリケーションや新たな解決策を提案する技術コンサルテーション力を強化してきました。現在、1,000名を超えるSEがお客様の製造現場で新たなモノづくり課題の解決にチャレンジしています。
2021年度業績と2022年度見通し
2021年度は、製造業の設備投資需要はグローバル全エリアにおいて拡大しました。デジタル業界においては、中華圏・アジア・米州を中心に半導体や二次電池の設備投資需要が好調に推移し、日本の装置メーカーにおける需要も増加しました。また、自動車業界では、電気自動車に関連する設備投資需要が引き続き増加しました。さらに、食品・日用品業界においても、包装機械などの需要が堅調に推移しました。これまで強化してきたソリューション提案型営業で、これらの需要の高まりを的確に捉える一方で、増産対応などに取り組んだ結果、売上高は前期比で大きく増加し、過去最高となりました。売上高の大幅な増加などにより、営業利益は前期比で大きく増加し、過去最高となりました。この結果、2021年度の売上高は、4,326億円(前期比24.9%増)、営業利益は、781億円(前期比32.8%増)となりました。
2022年度は、半導体・電子部品の設備投資需要は、DXの進行によって堅調が継続すると見ています。食品や医療関連の設備投資需要は、脱プラスチックや安全・安心・省人化の取組みによって、拡大が継続すると見ています。また、カーボンニュートラルに対応した設備投資も進むことから、製造業全般に、グローバルで旺盛な需要が継続すると見ています。現地営業・SE人財の活用強化と革新的な制御アプリケーションの創出・提供の加速によって、これらの需要を的確に捉え、売上高は当期比で大幅な増加を見込みます。売上高の増加や生産性の向上により、営業利益は当期比で大幅な増加を見込みます。この結果、2022年度の売上高は、4,830億円(当期比15.5%増)、営業利益は、900億円(当期比18.0%増)となる見通しです。
<制御機器事業の売上高・営業利益・売上総利益率の推移>
(注)経営管理区分の見直しにより、2022年度より、IABの一部をDMBに含めて開示しています。
これに伴い2021年度を新管理区分に組み替えて表示しています。
b.ヘルスケアビジネス(ヘルスケア事業、HCB)
2021年度における事業環境認識と価値創造の取組み
コロナ禍の世界的な広がりにより、人々の意識や生活様式、社会インフラなど、大きな変化がグローバルに起こり、今ではそれらが「ニューノーマル」として人々の日常生活の中に浸透してきています。オムロンは、ニューノーマルの1つである「検温ニーズ」の高まりに応えるため、各地の生産工場で増産体制を強化し、商品供給量の拡大や安定供給に努めました。
一方、コロナ禍は、通院による感染リスクの拡大やコロナ患者の増加による医療関係者の負荷増大など、新たな課題を生み出しました。特に、継続的な治療が必要な高血圧や糖尿病など慢性疾患患者は、新型コロナウイルスの罹患による重症化リスクが高いと言われており、通院控えによる重症化が新たな課題として顕著になりました。
これらの新たな社会変化は、オムロンが2015年より循環器疾患事業の事業ビジョンに掲げ、取り組んでいる「脳卒中や心不全などの脳・心血管疾患の発症ゼロ(ゼロイベント)」の実現の重要性をさらに高めています。ゼロイベント実現には、脳・心血管疾患の主な要因である高血圧等の早期発見・早期治療により、適切な血圧コントロールが必要です。この事業ビジョンの実現に向け、医療認証を取得した腕時計サイズのウェアラブル血圧計を北米・日本・欧州で発売しました。また、血圧測定と同時に家庭で心電図を記録できる心電計付き上腕血圧計を北米でリリースしました。オムロンのチャレンジは、グローバルに遠隔診療サービスへの取組みへとその領域を広げています。2020年9月に北米で遠隔患者モニタリングサービス「バイタルサイト(VitalSight)」をスタートし、2021年4月に英国で高血圧患者向け遠隔診療サービス「ハイパーテンション プラス(Hypertension Plus)」の提供を開始しています。
SDGsや環境対応などサステナビリティへの関心がグローバルで高まっています。オムロンは、事業を通じて世界中の人々の健康に貢献するとともに、紙パッケージ導入によるプラスチック削減、パッケージ小型化による紙資源保護、カーボンニュートラルの製造ライン導入検討など環境に優しいものづくりに取り組んでいます。また、太陽光発電の利用など環境に優しいオフィスづくりも積極的におこない、サステナビリティの取組みを推進しています。
オムロンは、これからも革新的デバイスを世界中の人たちに届け、また、個人に最適な遠隔診療サービスの創出やAIを活用した血圧管理方法の技術確立、脳・心血管疾病予兆解析アルゴリズムの開発など、新しい分野にもチャレンジしていきます。
2021年度業績と2022年度見通し
2021年度は、血圧計の需要は、コロナ禍による慢性疾患の重症化予防に対する意識の高まりを背景に、グローバルで拡大が継続しました。ネブライザーの需要は、患者の通院機会の増加に伴って回復基調で推移しました。前期において急増した体温計の需要は、反動で減少しました。上期にはコロナ禍影響による工場操業制限や、第3四半期以降にはサプライチェーン混乱があったものの、製品の設計変更や輸送ルートの切り替えなどを迅速に実施し、旺盛な需要を着実に捉えた結果、売上高は前期比で増加しました。固定費抑制や付加価値向上に取り組みましたが、部材価格や物流費の高騰により、営業利益は前期比で減少しました。この結果、2021年度の売上高は、1,329億円(前期比7.9%増)、営業利益は、185億円(前期比9.9%減)となりました。
2022年度は、慢性疾患の重症化予防に対する意識が高まり、血圧計の旺盛な需要が継続すると見ています。また、外出移動規制の緩和に伴って患者の通院機会が増加し、ネブライザーの需要が拡大すると見ています。伸長するオンラインチャネルでの販売強化などによって、これらの需要に的確に捉え、売上高は当期比で増加を見込みます。部材価格や物流費の高騰の影響が継続するものの、売上高の増加に加え、付加価値向上の取組みなどにより、営業利益は当期比で増加を見込みます。この結果、2022年度の売上高は、1,540億円(当期比15.9%増)、営業利益は、200億円(当期比7.9%増)となる見通しです。
<ヘルスケア事業の売上高・営業利益・売上総利益率の推移>
c.ソーシアルシステムズ・ソリューション&サービス・ビジネス(社会システム事業、SSB)
2021年度における事業環境認識と価値創造の取組み
社会システム事業では、労働力不足を解決すべき社会的課題と捉え、さまざまなソリューションで暮らしの不都合の解消に取り組みました。また、さらなる社会的課題の解決と持続的成長に向けて、2018年にUPS事業、2020年に環境事業を統合し、住宅や流通、情報インフラ、自治体、製造業など新たな市場へのアクセスと提供価値を備えてきました。
次の10年を見据え、私たちが捉えた解決すべき社会的課題は「環境(カーボンニュートラル)」、「レジリエント」、「省力化」の3つです。CO2総排出量の増加や気候変動の加速、少子高齢化の加速による労働力不足といった社会的課題は深刻化し、私たちの生活にもさまざまな不都合や不安が生じます。企業各社では事業運営の効率化や省力化が進められると同時に、事業継続や環境配慮への対応が求められるなど経営課題は複雑化していきます。オムロンは、顧客のニーズに応えることに加え、プロアクティブに社会の変化を捉えて、これからの安心・安全・快適な社会の将来像を描き、これまでに培ってきたノウハウを活かしたソーシャルオートメーションで次世代の社会システムの実現を目指します。
エネルギー領域においては、カーボンニュートラルの達成に向けて、従来からの再生可能エネルギー普及の取組みはもちろんのこと、今後は各家庭・施設単位から地域(エリア)単位でエネルギー需給の最適制御を行う「エリアエネルギーマネジメント」の実現に取り組んでいきます。それぞれのエネルギーをつなぎ電力を融通し合うことで、災害時の電力確保といった地域単位のエネルギー利用最大化とカーボンニュートラルの達成に貢献します。
また、生活に必要なインフラを支えるさまざまな業種において、労働力不足が深刻化し、サービスを維持しながら運営を効率化することが課題となっています。従来、オムロンは、機器・システムの導入やシステムの安定稼働のための保守サービスを提供し、お客様の現場課題の解決と社会システムの維持に貢献してきました。今後は、システム導入や保守業務を通じて蓄積してきた現場知見を集約し、機器・システムの遠隔監視・運用や業務プロセス最適化にいたる包括的なサポート「マネジメントサービス」を提供することで、業務の省力化と運用の強靭化に貢献します。
2021年度業績と2022年度見通し
2021年度は、エネルギーソリューション事業では、カーボンニュートラルや防災・減災の需要の高まりに対して、部品の確保に取り組み、蓄電システムの売上高は大きく拡大しました。駅務システム事業では、長引くコロナ禍の影響を受けて、主要顧客の投資抑制が継続しました。これらの結果、売上高は前期比で減少しました。売上高減少の影響を受けましたが、固定費抑制や付加価値向上に取り組み、営業利益は前期比で大きく増加しました。この結果、2021年度の売上高は、877億円(前期比8.3%減)、営業利益は、65億円(前期比14.3%増)となりました。
2022年度は、駅務システム事業では、長引くコロナ禍の影響を受けて、主要顧客の投資抑制が継続すると見ています。エネルギーソリューション事業では、カーボンニュートラルや防災・減災ニーズの高まりによって、蓄電システムなどの需要の拡大が継続すると見ています。これらの需要に迅速に対応して、製品とサービスを組み合わせたソリューションを提供することによって、売上高は当期比で増加を見込みます。仕入製品コスト高騰の影響が継続するものの、売上高の増加や収益構造強化の取組みにより、営業利益は当期比で増加を見込みます。この結果、2022年度の売上高は、920億円(当期比4.9%増)、営業利益は、65億円(当期比0.0%増)となる見通しです。
<社会システム事業の売上高・営業利益・売上総利益率の推移>
(注)環境事業のSSBへの移管により、2020年度より「その他」の事業セグメントを「SSB」の事業セグメントに含めて開示しています。
これに伴い、2018年度および2019年度を新管理区分に組み替えて表示しています。
d.デバイス&モジュールソリューションズビジネス(電子部品事業、DMB)
2021年度における事業環境認識と価値創造の取組み
近年、社会・顧客・競合は大きく変化しています。顧客は、社会の変化と技術革新に対応できるパートナーを求めるようになっています。部品のコモディティ化が進み、新興国を中心とした競合も増えつつあります。このような市場環境の中で、オムロンは顧客のレイヤーで起きている課題を、高い品質と技術対応力で解決し続けていきます。
電子部品事業では、自らの力で持続的な成長を続けていくための土台作りとして、構造改革と品質強化、顧客のニーズに合わせた高付加価値のモジュール開発など価値提供に取り組んできました。構造改革では、生産の最適化を軸に生産拠点を11拠点から7拠点に見直し、グローバルで部品を安定して供給できる体制を整えました。部品の需要に合わせた生産体制の構築により、設備稼働率を向上させ、生産の効率化を実現しました。品質強化においては、ものづくりにおける開発・設計段階から生産・完成に至るまでのすべてのプロセスにおいて、「検証(ベリフィケーション)」と「妥当性確認(バリデーション)」の視点からの評価を徹底しました。品質基盤を進化させ、顧客製品の安全性を担保する部品の品質レベルをより高めてきました。また、自走的な成長エンジンを土台に、技術革新や環境対応で急速に進む「製品のスマート化」や「電源のバッテリー化や直流化」といったトレンド、変化する顧客のニーズを捉え、デバイスとモジュールを創出してきました。コロナ禍においては、パソコン周辺機器や電動工具の需要増加、高まる非接触のニーズをいち早く捉えて、関連機器向けの増産や顧客ニーズに応える新商品を創出しました。
現在、社会全体のデジタル化が加速し、電源のバッテリー化、5Gインフラ普及に向けた半導体や電子部品の需要は一段と高まっています。電子部品に求められる機能はライフスタイルの多様化や環境変化により変わっていく中で、オムロンが顧客製品の価値を高める機会は大きく増えていきます。変化の兆しを確実に捉え、開発スピードを加速し、新商品をタイムリーに生み出します。事業の基盤を支えるリレー、成長を牽引するスイッチやセンサーをグローバルに提供することで、人々の暮らしと社会の発展にこれからも貢献していきます。
少子高齢化による人手不足や、地球温暖化をはじめとして解決すべき社会的課題は深刻化しています。脱炭素社会の実現につながるEV化や地球上のすべての人が安心・安全に暮らせる通信インフラ、それらを実現する部品に求められる機能は高まっています。電子部品事業では、コアとなる「微細加工技術」と「組み合わせ技術」で、課題を解決するソリューションを確かなカタチにして、顧客にとって必要不可欠なキーデバイスを提供し続けていきます。
2021年度業績と2022年度見通し
2021年度は、民生業界向け部品は、家電や住宅設備、電動工具などの注力業界を中心に需要が堅調に増加しました。自動車向け部品は、コロナ禍の影響や顧客での半導体不足による生産調整の影響を受けたものの、需要が緩やかに回復しました。これらの需要を的確に捉え、増産などの製品供給量確保にも着実に対応した結果、売上高は前期比で大きく増加しました。原材料価格や物流費の高騰の影響を受けたものの、売上高の大幅な増加に加えて、付加価値向上の取組みや構造改革の成果により、営業利益は前期比で大きく増加しました。この結果、2021年度の売上高は、1,064億円(前期比23.7%増)、営業利益は、82億円(前期比178.2%増)となりました。
2022年度は、民生向けの需要は、コロナ禍からの回復に伴い、拡大が継続すると見ています。自動車向けの需要は、電動化ニーズの高まりにより、好調に推移すると見ています。高周波リレーの業界展開の加速や、DC機器向けリレーの顧客基盤の拡大と新アプリケーションの創出などによって、これらの拡大する需要を着実に取り込み、売上高は当期比で増加を見込みます。原材料価格や物流費の高騰の影響が継続するものの、付加価値向上の取組みの成果などにより、営業利益は当期比で増加を見込みます。この結果、2022年度の売上高は、1,280億円(当期比5.8%増)、営業利益は、105億円(当期比4.1%増)となる見通しです。
<電子部品事業の売上高・営業利益・売上総利益率の推移>
(注)経営管理区分の見直しにより、2022年度より、IABの一部をDMBに含めて開示しています。
これに伴い2021年度を新管理区分に組み替えて表示しています。
(2) 財政状態、キャッシュ・フローの状況・分析・検討
①財政状態
当年度末の資産の部は、好調な売上による営業債権の増加や部材確保による在庫の増加により前年度末に比べ1,103億円増加したことにより9,306億円となりました。また、負債の部は、外部借入を実施したことや、仕入債務、未払費用が増加したことにより、前年度末に比べ516億円増加の、2,627億円となりました。
純資産の部は当社株主に帰属する当期純利益を計上する一方、自己株式の取得の実行などにより、前年度末に比べ 586億円増加して、6,680億円となりました。
以上により、株主資本比率は71.5%となり、強固な財務基盤が維持されています。当年度末現在の手元現預金は1,555億円を保有しており、加えて金融機関との間で 300億円のコミットメントライン契約を締結しています。また、格付け機関から長期発行体格付けとして「安定的」の高格付けを獲得しており、高い資金調達力を維持しています。グローバルで金融機関との良好な関係を維持しながら、資金流動性と調達力を確保しています。
なお、重要な財務指標であるROE(株主資本利益率)、ROIC(投下資本利益率)は当社グループの想定資本コストを上回る水準を維持しています。当年度末は当社グループが目標とするROIC水準10%を下回る9.6%となりましたが、一方で当年度末の手元現預金の対月商月数は、金融機関からの一時借入の影響もあり、2.5ヶ月と平時の目安としている1ヶ月~2ヶ月を上回っています。さらなる企業価値向上のためには、蓄積されたキャッシュと今後生み出すキャッシュを既存事業の強化と新たな成長機会に再投資し、成長を加速することが必要と認識しています。引き続き、経営資本の適正配分により、将来キャッシュ・フローの創出能力と資本効率を高めて企業価値向上を実現し、株主の皆さまの期待に応えてまいります。
当社グループでは、VG2020期間を通じて実行した変化対応力の強化や事業ポートフォリオの組み替え、さらにはサステナビリティ課題への取組みなどにより、株価の安定や資本コストの低減が見られます。これらを考慮し、2021年度以降の想定資本コストは、5.5%と設定しました。引き続きROICの改善と資本コストの低減により企業価値の向上につとめます。
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2021年3月末 |
2022年3月末 |
増減 |
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資産合計(資産の部合計) |
8,204 億円 |
9,306 億円 |
+1,103 億円 |
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負債の部合計 |
2,110 億円 |
2,627 億円 |
+516 億円 |
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株主資本 |
6,069 億円 |
6,652 億円 |
+584 億円 |
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非支配持分 |
25 億円 |
27 億円 |
+2 億円 |
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純資産の部合計 |
6,094 億円 |
6,680 億円 |
+586 億円 |
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負債及び純資産合計 |
8,204 億円 |
9,306 億円 |
+1,103 億円 |
<ROIC> <ROE>
(注)車載事業売却影響除くROIC、ROEは、当期純利益から車載事業売却益を控除して計算したものです。
<株主資本、株主資本比率>
②キャッシュ・フローの状況
キャッシュアロケーションの方針と状況
当社グループでは、SF 1st Stageにおけるキャッシュアロケーションポリシーと株主還元方針について、以下のとおりとしました。
<キャッシュアロケーションポリシー>
(ⅰ)長期ビジョン「SF2030」の実現による企業価値の最大化を目指し、中長期視点で新たな価値を創造するための投資を優先します。SF 1st Stageにおいては、社会的課題の解決やソーシャルニーズ創造のための人財や研究開発などへの投資、増産やDXなどの設備投資、M&A&A(買収・合併・提携)などの成長投資に加えて、脱炭素・環境負荷低減やバリューチェーンにおける人権尊重などのサステナビリティへの取組みに対する投資を優先します。その上で、安定的・継続的な株主還元を実行していきます。
(ⅱ)これら価値創造のための投資や株主還元の原資は内部留保や持続的に創出する営業キャッシュ・フローを基本とし、必要に応じて適切な資金調達手段を講じて充当します。なお、金融情勢によらず資金調達を可能とするため、引き続き財務健全性の維持に努めます。
<株主還元方針>
(ⅰ)中長期視点での価値創造に必要な投資を優先した上で、毎年の配当金については、「株主資本配当率(DOE)3%程度」を基準とします。そのうえで、過去の配当実績も勘案して、安定的、継続的な株主還元に努めます。
(ⅱ)上記の投資と利益配分を実施したうえで、さらに長期にわたり留保された余剰資金については、機動的に自己株式の買入れなどを行い、株主の皆さまに還元していきます。
VG2020の最終中期経営計画期間(2017年度~2020年度)および2021年度の営業キャッシュ・フローは、稼ぐ力の強化と運転資金の効率的な運営により、着実に増加しました。さらに、車載事業の事業譲渡収入もあり、営業キャッシュ・フローと合わせて、大幅なキャッシュ・インとなりました。一方で、注力するIAB(制御機器事業)、HCB(ヘルスケア事業)を中心に、将来の成長に向けた設備投資やM&A投資などの戦略的な投資を実行しています。特に2021年度は、JMDC社との資本業務提携を行い同社の株式の33.0%を1,119億円で取得しました。また、株主還元については、安定的な配当を継続するとともに資本効率を考慮した機動的な自己株式取得を実施しました。引き続き、将来の成長のための投資を実行して、資本コストを上回るリターンに結びつけることで企業価値を高め、株主の皆さまの期待に応えてまいります。
<キャッシュ・フローの推移>
(注)1 為替レートの影響は除いて表示しています。
2 投資キャッシュ・フローについては、事業売却・買収等による影響を分けて表示しています。
事業売却・買収等による収入・支出には、連結キャッシュ・フロー計算書の「事業売却(現金流出額との純額)」
「事業買収(現金取得額との純額)」および 「関連会社に対する投資の減少(△増加)」が含まれています。
2021年度のキャッシュ・フローの状況
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度は前年度のウィズ・コロナの環境からの事業環境改善による売上回復により、売上債権や棚卸資産等の運転資金が増加し、当期純利益の計上はあるものの674億円の収入(前期比264億円の収入減)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
将来の成長に向け生産能力の増強などの設備投資を実行しました。また、医療統計データサービスの分野でJMDC社との資本業務提携を行い同社の株式の33.0%を1,119億円で取得しました。以上により、投資活動によるキャッシュ・フローは、1,502億円の支出(前期比1,354億円の支出増)となりました。
なお、当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローから投資活動によるキャッシュ・フローを控除したフリーキャッシュ・フローは827億円の支出(前期比1,618億円の収入減)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
配当金の支払いや自己株式の取得の一方でサプライチェーンの更なる混乱や地政学リスクの顕在化等、不測の事態への備えとして金融機関からの一時借入を実施したことなどにより、296億円の支出(前期比93億円の支出増)となりました。
以上の他、為替による増減の結果、当期末における現金及び現金同等物残高は、前年度末から953億円減少し、1,555億円となりました。
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2021年3月期 |
2022年3月期 |
増減 |
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営業活動によるキャッシュ・フロー |
938 億円 |
674 億円 |
△264 億円 |
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投資活動によるキャッシュ・フロー |
△148 億円 |
△1,502 億円 |
△1,354 億円 |
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フリーキャッシュ・フロー |
790 億円 |
△827 億円 |
△1,618 億円 |
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財務活動によるキャッシュ・フロー |
△204 億円 |
△296 億円 |
△93 億円 |
2022年度の財政、キャッシュ・フローの見通し
次年度(2022年度)においては、長期ビジョン「SF2030」の成長につながる設備投資・投融資を積極的に実施します。特に設備投資は全社グループのITシステム刷新を行うなど、当期比191億円の増加を見込んでいます。
財務活動では、金融情勢を鑑みながらグループ全体の効率的な資金配置を行い、柔軟な調達・運用を実施してまいります。
なお、重要な財務指標であるROE(株主資本利益率)、ROIC(投下資本利益率)は当社株主に帰属する当期純利益の増加などによりいずれも当期比で改善を見込んでいます。
<次期の財政状態に関連する指標>
<次期のキャッシュ・フロー関連項目>
(注)資本的支出は、連結キャッシュ・フロー計算書記載の金額
資金調達、資本政策の方針
当社グループは、成長投資の実行と安定的な事業運営を行うため、資本効率を高めつつ、事業運営に必要な流動性と多様な調達手段を確保することを基本方針としています。そのための資金調達を含む資本政策については、以下の基本方針としています。
(ⅰ)株主価値を維持向上するために、投下資本利益率(ROIC)、株主資本利益率(ROE)および1株当たり利益(EPS)の目標水準を考慮した経営を行います。また、経済環境等の急激な変化に備え、金融情勢によらず資金調達が可能な高格付けを維持できる自己資本比率を目標とします。
(ⅱ)支配権の変動や大規模な希釈化をもたらす資本政策については、取締役会において、上記の目標とする投下資本利益率(ROIC)、株主資本利益率(ROE)および1株当たり利益(EPS)等への影響を十分に考慮した上で合理的な判断を行います。
(ⅲ)大規模な希釈化をもたらす資本調達を実施する場合には、資金使途の内容と回収計画を取締役会において十分に審議のうえ決議するとともに、投資家・株主への説明を行います。
<格付情報>
<社債情報>
現在発行している社債はありません。
(参考)ROIC経営への取組み
当社グループはROICを重要な経営指標としています。全社一丸となってこの指標を持続的に向上させるため、「ROIC経営」を社内に広く浸透させています。2022年度からスタートする長期ビジョン「SF2030」においても、ROIC経営を推進し、今後も飛躍的な成長を実現していきます。
事業特性が異なる複数の事業部門を持つ当社グループにとって、ROICは各事業部門を公平に評価できる最適な指標です。営業利益の額や率などを指標とした場合、事業特性の違いや事業規模の大小で評価に差が出ますが、投下資本に対する利益を測るROICであれば、公平に評価することができます。独自の事業ポートフォリオを展開していく当社グループにとって、ROICは欠かすことができない指標です。当社グループのROIC経営は、「ROIC逆ツリー展開」、「ポートフォリオマネジメント」の2つで構成しています。
<ROIC逆ツリー展開>
ROIC逆ツリー展開により、事業戦略を起点にROICを各部門のKPIに分解して落とし込むことで、現場レベルでのROIC向上を可能にしています。ROICを単純に分解した「ROS」、「投下資本回転率」といった指標では、現場レベルの業務に直接関係しないことから、部門の担当者はROICを向上させるための取組みをイメージすることができません。例えば、ROICを自動化率や設備回転率といった製造部門のKPIにまで分解していくことで、初めて部門の担当者の目標とROIC向上の取組みが直接つながります。現場レベルで全社一丸となりROICを向上させているのが、当社グループの強みです。
<ポートフォリオマネジメント>
全社を約60の事業ユニットに分解し、ROICと売上高成長率の2軸で経済価値を評価するポートフォリオマネジメントを行っています。これにより新規参入、成長加速、構造改革、事業撤退などの経営判断を適切かつ迅速に行い、全社の価値向上をドライブしています。
また、限られた資源を最適に配分するために、「経済価値評価」だけではなく、「市場価値評価」も行っています。それにより、各事業ユニットの成長ポテンシャルを見極められ、より最適な資源配分を可能にしています。
(3) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当連結財務諸表は米国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しています。連結財務諸表の作成にあたり、期末日現在の資産・負債の金額、偶発的な資産・負債の開示および報告対象期間の収益・費用の金額に影響を与える様々な見積もりや仮定を用いており、実際の結果はこれらの見積もりと異なる場合があります。長期性資産の減損、のれんおよび非償却性の無形資産の減損、および繰延税金資産の回収可能性等については、コロナ禍が及ぼす影響等を考慮して見積もりおよび判断を行っています。
詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 連結財務諸表注記事項 Ⅰ 重要な会計方針の概要 F 会計処理基準」に記載していますが、当社の経営戦略および連結財務諸表に与える影響から重要性があると考えられるものは以下のとおりです。
戦略投資等にかかるのれん等の評価
当社は将来に向けた成長力強化の一環として積極的な戦略投資を行っています。
IABにおいては、モノ作り現場の課題に対して、“i-Automation!”で革新を起こすアプリケーションを強化することを目的として、2015年にモーションコントローラーメーカーであるDelta Tau Systems, Inc. およびロボットメーカーであるAdept Technology, Inc.を、2017年にコードリーダーメーカーであるMicroscan Systems, Inc.をいずれも米国にて取得しました。
当期末連結貸借対照表において、IABについて、主にこれら一連の戦略投資に起因して株式取得時に識別したのれん37,459百万円を計上しています。
HCBにおいては、ブラジルにおける事業拡大を目的として、ブラジルのネブライザーメーカーであるNS Industria de Aparelhos Medicos LTDA.社株式の取得時に識別したのれんについて前期末時点において3,143百万円計上しておりましたが、ブラジル国内の事業環境の変化を受け、当期に減損損失を計上しました。HCBについて、当期末連結貸借対照表において、その他の株式取得時に識別したのれんを2,144 百万円計上しています。また脳・心血管疾患の重症化を防ぎ、治療をサポートする事業での協業を目的として、米国を中心に心疾患の診断と治療の支援サービスおよび商品を提供するAliveCor,Inc.へ2020年2月に出資を行いました。
長期ビジョン「SF2030」ではデータを基軸とした価値創造への収益構造転換が重要になると考えており、その先駆けとして、2022年2月に医療データサービス会社であるJMDC社との資本業務提携のために同社株式の取得を行いました。
当社では、投資管理プロセスを策定しており、買収案件の投資回収状況やのれん減損テストの結果、買収事業の進捗と今後の計画については年に1回、取締役会へ報告しています。
①のれん評価
当社は、のれんの評価について、のれんの償却は行わず、少なくとも年に1回又は減損の兆候が識別された場合に減損テストを実施しています。
IABにおいて取得した事業ののれんについては取得した事業が“i-Automation!”戦略と一体となってシナジー効果が創出されることから、シナジー効果の享受が期待される、検査装置事業を除いたIABをのれんの報告単位として決定しています。
HCBにおいて、NS Industria de Aparelhos Medicos LTDA.社の株式取得により識別したのれんについては、事業買収によるシナジー効果の享受が期待されるHCBの南米地域事業を報告単位として決定しています。
減損テストの実施に当たっては、当該報告単位の公正価値をディスカウント・キャッシュ・フロー法により算出し、対応する帳簿価額と比較して評価を行っています。公正価値は経営者により承認された事業計画を基礎とした将来キャッシュ・フローの見積額を、加重平均資本コストをもとに算定した割引率で現在価値に割り引いて算定しています。事業計画は、マクロ経済状況、市場成長率、利益率、設備計画等の仮定を用いて策定し、事業計画予測期間以後のキャッシュ・フローは、各事業の所在国のインフレ率で永続的に成長するものと仮定して算出しています。
加重平均資本コストは、リスクフリーレート、所在国の経済や市場の状況を反映させるためのリスクプレミアム、インフレ率、負債コスト、類似企業の決定、類似企業に対してプレミアムもしくはディスカウントが適用されるべきかの決定等、多くの見積りを使用して算出しています。当年度の減損判定で使用した割引率は8.9%から12.0%の範囲です。
当年度の減損判定においては、HCBの南米事業においてブラジル国内の急速なインフレ進行を踏まえた事業環境、およびブラジルレアル安の影響等を勘案した今後の事業計画に基づいた公正価値再評価の結果、公正価値が帳簿価額を下回ったため、のれんの減損損失を認識しました。それ以外の報告単位については、公正価値が帳簿価額を超過していたため、のれんの減損損失は認識しておりません。
②関連会社に対する投資の評価
当年度末連結貸借対照表に計上されている関連会社に対する投資及び貸付金124,691百万円には、ヘルスケア事業のAliveCor,Inc.社に対する持分法による投資9,642百万円が含まれており、純資産に対する当社の持分相当額を上回る8,172百万円は、主に持分法適用開始時に識別したのれん相当額によるものです。
当社は、関連会社に対する投資について、投資先の超過収益力に基づく公正価値評価を行い、その価値の下落が一時的とは認められない場合には、持分の簿価が当該関連会社の公正価値の当社持分を超過した分について持分法損失を認識しています。同社についてはスタートアップ企業であるため将来事業計画の達成可能性の不確実性やのれん相当額の重要性を鑑み当該公正価値をのれんの評価と同じ方法で算出した結果、公正価値が投資簿価を上回ることから、評価損失の計上は不要と判断しています。当年度の公正価値の算出にあたっては将来事業計画の期間ごとの達成可能性の評価に応じ、割引率を12.5%から22.5%の範囲で使用しています。
また、関連会社に対する投資及び貸付金にはJMDC社に対する当社持分1,122億円が含まれております。当該投資には取得時に認識するべきのれんが含まれておりますが、取得原価配分の手続きは2022年度中に完了する見込みです。同社株式については、当年度末での市場価格による公正価値評価において持分法損失を認識するべき一時的でない価値の下落は発生しておりません。
(4) 生産、受注及び販売の実績
当年度におけるセグメントごとの販売実績は、「(1) 事業環境、経営成績等の状況・分析・検討」に記載のとおりです。なお、当社グループの生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その容量、構造、形式等は必ずしも一様ではなく、また受注生産形態をとらない製品も多く、セグメントごとに生産規模および受注規模を金額で示すことはしていません。
(5) 経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載しています。
当社は、2022年2月22日開催の取締役会において、JMDC社との間で資本業務提携を行うことを決議し、同日付けで同社の親会社であったノーリツ鋼機株式会社と株式譲渡契約を締結いたしました。この結果、2022年2月25日に同社の株式18,644,100株を取得しております。
当社グループは、技術の育成・強化を目的に中長期的視野に立った技術戦略を定め、研究開発を実行しています。自社の強み、コア技術として進化させ続けている「センシング&コントロール+Think」技術を技術戦略の核として、全社的視点から当社のコーポレート研究所である技術・知財本部が基盤的な技術開発を担い、各事業部門がその応用技術開発や商品開発を実施しています。主力事業である制御機器事業をはじめ、ヘルスケア事業、社会システム事業に重点的に研究開発費を割当て、製品開発およびものづくり技術の強化を実施しています。
当期の取組みとしては、ロボット技術、AI技術、センシング技術、パワーエレクトロニクス技術などの自社コア技術の継続的な高度化に加えて、学会等での社外発信を積極的に行い、「2021年度 システム制御情報学会 産業技術賞」を受賞いたしました。また、研究子会社であるオムロン サイニックエックスでは、世界最先端のロボット技術、AI技術の研究開発に取り組み、主要な国際会議でも論文が採択されています。
知的財産活動においては、技術者の特許に対するスキル向上のための社内研修を、コロナ禍においてもオンラインを活用して全技術者向けに実施すると共に、発明褒賞制度や知財表彰制度を活用することで、技術者の知財活動に対するモチベーションを向上させ、全社的に知財活動の底上げを図っています。また、モノ視点からコト視点への事業変化によって発明者の裾野が拡大していることから、技術者のみならず企画部門やプロダクトマネージャーも対象に、顧客課題・社会課題を解決するコトビジネスの発明創出も推進しています。併せて、知財を経営・事業へ積極的に生かすべく、事業や研究開発と連動させた知財戦略を策定・実行し、質・量の両側面で特許創出力を向上してきました。これらの活動の成果により、クラリベイト・アナリティクス社が知財動向の分析をもとに世界の革新企業/機関トップ100を選定する「Clarivate Top 100グローバル・イノベーター」に2017年から6年連続で選出されました。
グループ全体の研究開発に関する費用の総額は、前連結会計年度は431億84百万円、当連結会計年度は442億77百万円です。なお、研究開発費については、技術・知財本部で行っている技術開発費用52億24百万円が含まれています。
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セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
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金額(百万円) |
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インダストリアルオートメーションビジネス |
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ヘルスケアビジネス |
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ソーシアルシステムズ・ソリューション&サービス・ビジネス |
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デバイス&モジュールソリューションズビジネス |
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本社他 |
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合計 |
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(1) インダストリアルオートメーションビジネス(制御機器事業)
当セグメントは、製造業における省人化、安全性の向上、新工法による歩留りの改善に関して、様々な要素技術や生産技術を開発し、新商品や、商品を組合せた制御アプリケーションを通じて価値提供をおこなっています。
省人化については、制御コントローラーとロボットコントローラーを一体化した統合コントローラーを活用し、生産設備の全ての動作を再現できる統合シミュレータを開発し、遠隔地からロボットを含む生産設備全体を監視することを可能としました。これによりWith/Postコロナにおいて技術者が国や地域を超えて移動することなく、生産設備の調整、立上げを行うことが可能となりました。加えて、ロボットとロボットハンド、周辺機器を同時にOne Controllerで制御することで、人にしかできなかったフレキシブルケーブル挿入等の複雑な組立作業の自働化を実現しました。
安全性の向上では、国際規格に定められた8種の安全機能に対応したサーボモーターを開発し、生産現場における安全性と生産性の両立を実現可能としました。
新工法による歩留りの改善では、自由度ステージ制御により微細なマイクロLEDチップの超高精度の貼り合わせの新工法の技術を創出し、デジタルデバイス業界をはじめとする製造現場で歩留り向上を実現しました。
(2) ヘルスケアビジネス(ヘルスケア事業)
当セグメントは、マーケティング部門と研究開発部門が一体となり、パーソナライズ医療の実現に向けて、真のユーザーニーズの把握・創出に努め、一層の開発スピードアップを目指しています。また研究開発部門は、一人ひとりの健康ですこやかな生活の実現に向け、脳・心血管疾患の発症ゼロを目指す「循環器事業」、喘息・COPD患者の重症化ゼロを目指す「呼吸器事業」、慢性痛による日常の活動制限ゼロを目指す「ペインマネジメント事業」の3事業領域において新しい価値を提供できる新商品の創出を目指しています。
当期の主な開発テーマとして、循環器事業においては、血圧、脈拍、心電計測技術を搭載した心機能低下を捉える新たな血圧計の開発を進め、遠隔診療サービスに向けたシステムの開発にも取り組んでいます。
呼吸器事業においては、喘息やCOPDの患者を対象に、発作の予兆や症状を計測する機器の開発に取り組んでいます。ペインマネジメント事業においては、新たな鎮痛技術を搭載した低周波治療器の開発に取り組んでいます。
(3) ソーシアルシステムズ・ソリューション&サービス・ビジネス(社会システム事業)
当セグメントは、太陽光発電用パワーコンディショナー、蓄電システム、自動改札機や券売機などの駅務システム、交通管制システム、決済システム、UPSなどのネットワーク保護といった、多岐にわたる端末・システムに対するお客様のニーズに応える商品開発に取り組んでいます。
エネルギーソリューション事業では、再生可能エネルギーへの一層の関心の高まりに応えるため、蓄電システムおよび太陽光発電用パワーコンディショナーを中心に高効率化や小型軽量化などの技術開発並びに発電した電力の自家消費ニーズに応える商品創出などに継続して取り組んでいます。
駅務システム事業、交通管制システム事業においては駅や道路など、公共の場における利用者の安心・安全・快適に貢献する商品として、AI技術・IoT技術を組み込んだ人や車の動きを検知するセンサー・システムの開発に取り組んでいます。
また、近年、社会課題となっている労働人口減少に対し、社会インフラにおける労働生産性を向上させる技術が求められる中、データサイエンス分野の技術力強化を進めています。
(4) デバイス&モジュールソリューションズビジネス(電子部品事業)
当セグメントは、エレクトロメカニカルコンポ商品(リレー、スイッチ、コネクタ)および顔認証等の組込画像ソフト技術、光技術、MEMS技術などを用いたセンシングコンポ商品、更にはモジュール化技術による高機能化を強みにお客様のニーズに応える新製品開発に取り組んでいます。
リレー技術において、従来の発熱対策であったヒートシンクなど放熱機構の簡素化による小型化軽量化や基盤の温度上昇を抑制し、機器の長寿命化に寄与すべく、業界トップクラスの超低接触抵抗値を実現し、従来の一般的な高容量リレーに比べ通電時の温度上昇を低くしました。また同程度の電流容量のコンタクタと比べ本体を低背化した高容量リレーを発売しました。
太陽光など再生可能エネルギーによる発電設備ではエネルギー変換の高効率化と共に更なる高容量化大電流化が進むことで機器の発熱によるエネルギーロス対策が社会的課題であり、機器が発熱する要因のひとつである機器内部の基板に搭載されているリレーの低接触抵抗による低発熱化の研究を進めており、太陽光発電システムのパワーコンディショナーや電源設備、関連機器の発熱課題を解決し、再生可能エネルギーの普及を促進し、脱炭素社会の実現に貢献します。