(1)業績
①業績全般について
当連結会計年度における当社グループの事業環境は、海外では中国経済の減速や欧州や中東の地政学的リスクの高まりなどがあり、国内では、平成28年初からは急速に円高や株安が進むなど懸念が強まり、総じて先行き不透明な状況が続きました。
こうしたリスクはあるものの、当社グループでは、FPD(Flat Panel Display)製造装置の受注、売上は堅調に推移しました。半導体製造装置の受注・売上は、後工程向けは増加、前工程向けは上半期低調だったものの年明けから回復しました。全体として、受注は前年並み、売上は増加となりました。
当連結会計年度の業績は、受注高は45,077百万円(前年同期比0.5%減)、売上高は45,549百万円(前年同期比4.0%増)となりました。営業利益は、売上の増加に加え、海外グループ会社の収益が改善したことなどにより1,291百万円(前年同期比26.4%増)、経常利益は、前年同期と比較して営業外収益の為替差益の発生が減少したため1,173百万円(前年同期比3.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は743百万円(前年同期比6.6%増)となりました。
なお、当連結会計年度より、「連結財務諸表に関する会計基準」(企業会計基準第22号 平成25年9月13日)を適用し、「当期純利益」を「親会社株主に帰属する当期純利益」としております。
②セグメントの業績について
セグメントの業績は、次のとおりであります。
(ファインメカトロニクス部門)
FPD前工程では、中小型パネル向け装置の受注は増加、大型パネル向け装置の受注も増加し、全体として受注は増加しました。売上は、中小型パネル向け装置は増加、大型パネル向け装置は減少し、全体として増加しました。
半導体前工程では、半導体WET装置は下期から受注が回復したものの受注、売上ともに減少し、半導体マスク関連装置は受注、売上ともに増加しました。
部門全体では受注、売上ともに増加しました。一方、将来に向けた研究開発投資や棚卸資産評価減を行ったことなどによりセグメント損失となりましたが、260百万円の改善となりました。
この結果、当セグメントの売上高は26,536百万円(前年同期比14.7%増)、セグメント損失は220百万円(前年同期はセグメント損失480百万円)となりました。
(メカトロニクスシステム部門)
FPD後工程向け装置は、受注、売上ともに減少しました。
半導体後工程向け装置は、モバイル機器用半導体の需要増を受け、受注、売上ともに増加しました。
また、太陽電池用製造装置の大型受注がありました。真空応用装置は、受注、売上ともに減少しました。
部門全体では受注、売上ともに減少しました。当セグメントにおいても将来に向けた研究開発投資や棚卸資産評価減を行いましたが、収益性の高い装置の売上に占める割合が増加したことなどによりセグメント利益が増加しました。
この結果、当セグメントの売上高は15,335百万円(前年同期比9.3%減)、セグメント利益は1,423百万円(前年同期比7.8%増)となりました。
(流通機器システム部門)
券売機を中心に売上が減少し、また棚卸資産評価減を行ったことなどによりセグメント損失が増加しました。
この結果、当セグメントの売上高は1,645百万円(前年同期比7.9%減)、セグメント損失は55百万円(前年同期はセグメント利益29百万円)となりました。
(不動産賃貸部門)
不動産賃貸収入は計画通り推移し、売上高は2,032百万円(前年同期比3.4%増)、セグメント利益は503百万円(前年同期比11.8%増)となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末に比べ2,816百万円増加し、7,012百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動による資金の増加は3,645百万円(前期は750百万円の減少)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益の計上、売上債権の減少及び前受金の増加により資金が増加したことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動による資金の減少は394百万円(前期は278百万円の減少)となりました。これは主に、固定資産の取得等により資金が減少したことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動による資金の減少は368百万円(前期は1,245百万円の増加)となりました。これは主に、借入金の返済及び配当金の支払いにより資金が減少したことによるものです。
(1)生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 平成27年4月1日 至 平成28年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
ファインメカトロニクス(百万円) |
19,389 |
149.2 |
|
メカトロニクスシステム(百万円) |
13,549 |
82.3 |
|
流通機器システム(百万円) |
1,332 |
74.4 |
|
合計(百万円) |
34,271 |
109.7 |
(注)1.金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の金額によります。
2.不動産賃貸の生産高計上はありません。
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)受注状況
当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
受注高 (百万円) |
前年同期比(%) |
受注残高 (百万円) |
前年同期比(%) |
|
ファインメカトロニクス |
27,103 |
107.3 |
18,745 |
103.1 |
|
メカトロニクスシステム |
14,296 |
87.8 |
8,818 |
89.5 |
|
流通機器システム |
1,645 |
92.1 |
- |
- |
|
不動産賃貸 |
2,032 |
103.4 |
- |
- |
|
合計 |
45,077 |
99.5 |
27,563 |
98.3 |
(注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(3)販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 平成27年4月1日 至 平成28年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
ファインメカトロニクス(百万円) |
26,536 |
114.7 |
|
メカトロニクスシステム(百万円) |
15,335 |
90.7 |
|
流通機器システム(百万円) |
1,645 |
92.1 |
|
不動産賃貸(百万円) |
2,032 |
103.4 |
|
合計(百万円) |
45,549 |
104.0 |
(注)1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
|
相手先 |
前連結会計年度 (自 平成26年4月1日 至 平成27年3月31日) |
当連結会計年度 (自 平成27年4月1日 至 平成28年3月31日) |
||
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金額(百万円) |
割合(%) |
金額(百万円) |
割合(%) |
|
|
(株)東芝 |
4,691 |
10.7 |
4,628 |
10.2 |
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
当社グループはこれまでも進めてきました事業構造改革の取り組みを一層加速させるとともに、経営体質強化も進めていきます。
変化の大きいエレクトロニクス業界で、顧客の設備投資の増減にも対応出来る体質強化を図り、利益確保に努めてまいります。
当社グループの業績は、今後発生しうるさまざまなリスク要因により影響を受ける可能性があります。以下に事業を推進していく上でリスク要因となる可能性のある主な事項を記載してあります。当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、その発生の予防と発生時の対策に努力する所存であります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経済状況による影響
当社グループが販売する製造装置の需要は、その製造装置で生産されるFPD・半導体等のエレクトロニクス部品の需給状況に影響を受け、特にエレクトロニクス部品が消費されている国の経済状況の影響を受けております。従って北米、欧州、アジア、日本等の国の景気後退と需要の縮小により、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(2)海外販売に潜在するリスク
当社グループの海外売上高比率は約56%となっており、その大部分は台湾、韓国、中国に集中しております。
従って、台湾、韓国、中国等の海外市場への販売活動において、各国の政治状況の急変、法律・税制の予期しない変更、経済状況の急変、急激な通貨変動・インフレーション等の価格変動、雇用の困難と人件費の急騰、地震・台風・洪水・感染症の自然災害及びテロ・戦争等の社会的混乱等のリスクが顕在化した場合、当社グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(3)価格競争による影響
当社グループの主要顧客であるエレクトロニクス業界は、各製品の価格競争も激しく製造装置への投資コストも抑制される傾向にあります。当社グループでは、大型液晶パネル対応装置、半導体の微細化対応装置と新技術対応装置等をいち早く市場に投入し、技術的に進化した高精度、高品質の高付加価値製品を市場に送り出すべく活動を実施しておりますが、今後競合メーカや新規メーカが参入した場合、競争が激化し当社グループの計画に相違が生じることが考えられます。さらに、素材や購入品の価格高騰による製品の原価上昇という結果をもたらす可能性があります。価格面での過度の競争は、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(4)他社との提携によるリスク
当社グループでは、新規事業、事業拡大の一環として、経営資源を最適化し、相乗効果を引き出すため、他社とのコラボレーション、技術提携、合弁を実施していきます。当社グループでは、引き続きこのような活動を続けていきますが、当事者間で不一致が発生した場合、当初の計画どおりに業績を上げられず、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(5)品質に関するリスク
当社グループでは、ISO9001に基づいた品質保証体制のもと、最先端技術を新製品に搭載し、当社製品をいち早く市場に投入することで、当社製品を多くの顧客に提供しております。しかし、当社製品が最先端技術を活用したものであることにより、未知の分野での技術が多く存在し、予期せぬ不具合が発生し事故につながることも考えられます。そのために当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(6)経営戦略遂行に関するリスク
当社グループでは、当社の製造装置の最終製品となるエレクトロニクス製品の市場の拡大と新技術の進歩に遅れることなく、安定した収益を上げることが最重要課題と考えております。そのため、市場動向、技術動向等の調査を随時実施しますが、リスクのある事業でも先の成長性を見込んで事業遂行していくことがあります。競合の存在、開発投資額の増加、開発の遅れ、市場の急激な変化等により、その事業の経営計画に相違が生じることがあります。
(7)知的所有権に関するリスク
当社グループでは、当社製造装置について特許となりうるものに関しては、積極的に権利の獲得を目指すとともに、その製品に関する特許レビューを実施しております。しかしながら第三者から思わぬ特許侵害訴訟を提訴され損害を被るリスクがあります。
(8)環境保全に関するリスク
当社グループでは、全事業所・工場で環境マネジメントシステム(ISO14001)の認証を取得し、環境に配慮した活動を行っております。しかし、事業活動を行う上では環境負荷の高い物質も使用する場合もあり、昨今の環境法規制の新規規制および法改正等により規制されることがあります。
また、地球温暖化防止を目的とした環境税の導入・CO2の排出規制等新たな法規制が発効され、経済的負担が増えることもあります。さらに現在は使用しておりませんが過去に使用した実績のある有機溶剤等が土壌中に残留していることがあり、土地を有効活用する場合、これらを適切に処理するための処分費用負担が生ずることがあります。
(9)大規模災害の影響
当社グループの国内生産拠点は神奈川県下と福井県小浜地区に所在しております。これらの地区において大規模災害が発生した場合には、生産設備の破損、物流機能の麻痺等が生じ、生産拠点の操業停止等により生産能力に重大な影響を被る可能性があります。
(10)減損会計適用による影響
固定資産の減損会計適用に伴い、当社グループの業績及び財務状況に影響を受ける可能性があります。
(11)退職給付債務について
当社グループの退職給付費用および債務は、割引率等数理計算上で設定される前提条件や年金資産の期待運用収益に基づき算出されております。実際の結果が前提条件と異なる場合、前提条件が変更された場合、または年金資産の運用利回りが低下した場合、その影響は累積され将来にわたって規則的に認識されるため、一般的には将来期間において認識される費用および計上される債務に影響を及ぼします。割引率や運用利回りに変動が生じた場合、当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(12)情報管理について
当社グループは、事業遂行にあたり、各種技術情報、顧客情報、個人情報を有しております。これらの情報について、当社グループでは全社管理体制として、情報セキュリティ基本規程の制定と情報セキュリティ委員会にて情報管理強化に努めております。しかしながら、IT化の進展により、膨大な情報が行き交う中、これら情報が流出するリスクが存在します。流出した場合には、当社グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(13)財務制限条項について
当社の借入金に係る契約のうち一部の契約には財務制限条項が付されており、特定の条項に抵触した場合には、借入先金融機関の請求により、当該借入金について期限の利益を喪失する可能性があります。当社が借入金について期限の利益を喪失した場合には、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
該当事項はありません。
当社グループは、要素技術から製品の開発まで、積極的な研究開発活動を行なっております。
現在、研究開発は当社の研究開発部門と事業部の開発・設計部門及び連結子会社の技術部門が推進しております。当社グループの研究開発スタッフは約290名であります。
また、株式会社東芝の研究開発センター、生産技術センター及びストレージ&デバイスソリューション社と連携・協力関係を強化の上、先進技術の研究開発と商品化を効率的に進めております。
当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は2,064百万円であります。この中には、各セグメントに配分できない全社共通の要素技術開発費423百万円が含まれております。
各セグメント別の研究成果、研究開発費は次のとおりであります。
(1)ファインメカトロニクス
液晶パネル製造装置では、高精細・中小型パネル対応のウェットプロセス装置及び配向膜とオーバーコート用インクジェット塗布装置の開発を、半導体製造装置では、次世代デバイス対応洗浄装置、枚葉式窒化膜ウェットエッチング装置、マスク用洗浄装置及びマスク用ドライエッチング装置の開発等をあげることができます。
研究開発費は900百万円であります。
(2)メカトロニクスシステム
液晶モジュール組立装置では、中小型パネル用COG装置、タッチパネル用真空貼り合せ装置の開発を、半導体組立装置では高速高精度ボンディング装置の開発等をあげることができます。電子・真空機器分野では、光学系薄膜スパッタリング装置、半導体用裏面スパッタリング装置の開発等をあげることができます。
研究開発費は647百万円であります。
(3)流通機器システム
券売機分野では、カード対応機の開発を、汎用機分野では高額紙幣対応スリム機の開発等をあげることができます。また、新分野への進出として電子マネーチャージ機の開発をあげることができます。
研究開発費は93百万円であります。
(1)財政状態の分析
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ1,533百万円増加し56,253百万円となりました。
流動資産においては、前連結会計年度末に比べ1,580百万円増加し43,797百万円となりました。これは主に、現金及び預金が増加したことによるものです。
また、固定資産においては、前連結会計年度末に比べ47百万円減少し12,455百万円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ1,915百万円増加し40,578百万円となりました。これは主に、退職給付に係る負債及び前受金が増加したことによるものです。
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ382百万円減少し15,675百万円となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により利益剰余金が増加しましたが、未認識債務の増加に伴って退職給付に係る調整累計額が減少したことによるものです。
なお、キャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 1 業績等の概要(2)キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
(2)経営成績の分析
① 売上高及び営業利益
売上高は、前連結会計年度に比べ4.0%増収の45,549百万円となりました。国内向け売上高は、前連結会計年度に比べ9.0%増収の20,200百万円となり、国内売上高比率は44.3%となりました。一方、海外向け売上高は0.3%増収の25,348百万円となり、海外売上高比率は55.7%となりました。
なお、部門別連結売上高の概況につきましては、前掲の「第2 事業の状況 1 業績等の概要(1)業績」に記載のとおりであります。
売上原価は、売上高の増加にともない、前連結会計年度に比べ2.6%増加の35,292百万円となりました。コストリダクション、標準化・リードタイム短縮などのコスト構造改革を実行したことにより売上原価率は、前連結会計年度に比べ1.0ポイント低下し77.5%となりました。
販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ6.9%増加の8,965百万円となりました。これは主に、従業員給与及び手当、減価償却費、研究開発費等の増加によります。
以上の結果、当連結会計年度は1,291百万円の営業利益(前年同期比26.4%増)となりました。
② 営業外損益及び経常利益
営業外収益は、前連結会計年度に比べ195百万円減少の298百万円となりました。これは主に、為替差益の減少によります。
営業外費用は、前連結会計年度に比べ39百万円増加の416百万円となりました。
以上の結果、当連結会計年度は1,173百万円の経常利益(前年同期比3.0%増)となりました。
③ 親会社株主に帰属する当期純利益
当連結会計年度は、売上高の増加及び売上原価率の改善等により743百万円の親会社株主に帰属する当期純利益(前年同期比6.6%増)となりました。
また、1株当たり当期純利益は15.04円となりました。
なお、当連結会計年度より、「連結財務諸表に関する会計基準」(企業会計基準第22号 平成25年9月13日)を適用し、「当期純利益」を「親会社株主に帰属する当期純利益」としております。