第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経営方針

当社グループは、「Smart Solutions & Services for Your Manufacturing」をコーポレートスローガンとし、「優れた技術・サービスを提供することで、人々の豊かな暮らしの実現に貢献します」を経営理念としております。このコーポレートスローガン、経営理念のもと、半導体、FPD(Flat Panel Display)、電子部品、光学薄膜などの用途向けに製造装置の開発からサービスまでトータルソリューションを提供し、持続可能な社会並びに人々の豊かな暮らしの実現に貢献できるようESG(環境、社会、ガバナンス)を重視した経営を行い、企業価値を高めることでステークホルダーの皆様の期待に応えてまいります。

長期ビジョン「芝浦ビジョン2033」では、2033年のありたい姿を「社会やお客様の将来課題とそこにある潜在的ニーズを把捉して能動的に提案・解決し、お客様と共に成長する企業」と定めました。また、この目指す方向性を表現したブランドメッセージとして、「この先もずっと、人と技術で社会を支える。」を掲げています。ブランドメッセージは、強みである「技術力」「人」を活かし「社会に貢献する」という思いを込めて制定したものです。引き続きグループ一丸となって「芝浦ビジョン2033」のありたい姿を目指して経営、事業に取り組み、次の成長へと繋げてまいります。

(2)経営戦略等

当社グループは、上記の経営方針並びに長期ビジョンのもと、社会のデジタル化が一層進む中で半導体・FPD製造装置とそのサービスを通じた先端技術で社会に貢献できるよう取り組んでおります。SPE(Semiconductor Production Equipment)分野は引き続き、実績と強みのある次世代・先端半導体に対応した装置開発・販売を推進し、グローバルニッチトップ製品を核に更なる拡大を図ります。FPD分野は主要サプライヤとしてのポジションを堅持し、新型・次世代向け製品の開発・拡販に注力します。

(3)経営環境

当社グループの2025年度(2026年3月期)の事業環境は、半導体業界においては、引き続きAI向けの需要が市場を牽引すると想定され、AI用途を中心としたロジック/ファウンドリ向けやメモリ向けの設備投資の継続、拡大が見込まれます。中長期的には今後もあらゆる産業や製品における半導体の需要を受け、ロジック/ファウンドリ向け、メモリ向けのほか、パワーデバイス向け、及びウェーハ向けとも設備投資が順調に推移すると期待されます。FPD業界においては、設備投資の落ち込みが長期化する中、ITパネル用大型サイズOLED向けの需要に対する設備投資が期待されます。

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当社グループを取り巻く事業環境は、半導体輸出規制、関税などの影響について引き続き注視をする必要がありますが、長期ビジョン「芝浦ビジョン2033」及びその達成に向けたPhase1と位置付ける現中期経営計画(2023-2025年度)のもとで様々な取組を進めております。

また、現中期経営計画期間では「持続的成長に向けた投資」による土台強化を積極的に進めておりますが、引き続き利益率の向上を図り、次の成長へとつなげてまいります。

(5)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループでは、収益力、資産効率、株主価値の向上を重視しております。

経営指標としては、ROS(売上高営業利益率)、ROE(自己資本当期純利益率)の向上を目指してまいります。

 

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)サステナビリティ全般

当社では、サステナビリティを巡る課題への対応を当社の経営課題及び経営戦略の一つとして捉え、当社グループにおけるサステナビリティ基本方針を策定し、この方針に基づく活動を行っております。

この活動に当たっては、当社グループが取り組むべきマテリアリティ(重点課題)を特定した上、具体的な達成目標や施策を定めております。

 

<基本方針>

芝浦メカトロニクスグループは、事業を通じて、コーポレートスローガン、経営理念の考えを実践していくこと、ESGを重視した事業プロセスで、社会やステークホルダーの信頼に応えていくことが、わたしたちのサステナビリティの取組だと考えます。

わたしたちは、ものづくりを支える存在として、技術革新、社会の発展に貢献します。

そのために、わたしたちは常に考え、進化し続け、お客様に優れた技術・サービスを提供する企業であり続けます。また、わたしたちは、社会・ステークホルダーから信頼される企業であり続けます。

そのために、ESGを重視した事業活動を推進し、誠実で透明性の高い経営を続けます。

芝浦メカトロニクスグループは、このサステナビリティの取組により、人々の豊かな暮らしの実現を目指します。

 

<マテリアリティ>

・最先端技術の開発・提供でデジタル社会に貢献

・研究開発・製造プロセスで産業競争力の維持・向上に貢献

・環境調和型製品の開発・提供でグリーン社会に貢献

・品質・サービスで顧客の安定稼働・生産性に貢献

・気候変動への対応

・環境負荷の低減

・多様な人財が活躍できる環境づくり

・サプライチェーンマネジメントの強化

・ガバナンスの強化

 

①指標及び目標並びに戦略

各マテリアリティに関する指標及び目標並びに戦略は次のとおりであります。

 

イ.最先端技術の開発・提供でデジタル社会に貢献

本マテリアリティについては、事業を通じて展開するマテリアリティとして、当社グループにおける2033年に向けた長期的経営ビジョンである「芝浦ビジョン2033」及び中期経営計画と連動した取組により、達成を目指してまいります。

具体的には、長期目標を「社会変化を見据えた最先端技術の開発・提供により、デジタルを活用したより豊かで創造的な社会を創出」とし、戦略として、当社の強みであるコア技術(精密メカトロニクス、洗浄、ボンディング、エッチング、真空、成膜等)を活用したグローバルニッチトップ製品を半導体分野を中心に供給していくことなどに取り組んでおります。

この取組により、当連結会計年度における目標である連結売上高700億円、連結営業利益100億円、ROS14.3%、ROE17.6%(2024年5月9日公表の当連結会計年度業績予想値)に対し、連結売上高809億円、連結営業利益141億円、ROS17.5%、ROE24.0%を達成いたしました。

 

 

ロ.研究開発・製造プロセスで産業競争力の維持・向上に貢献

本マテリアリティについては、事業を通じて展開するマテリアリティとして、「芝浦ビジョン2033」及び中期経営計画と連動した取組により、達成を目指してまいります。

具体的には、長期目標を「ものづくり人財の育成強化や知的財産の創出とマネジメントの深化により、グローバル展開する企業として産業競争力の維持・向上を実現」とし、戦略として、2023年度から2025年度までの中期経営計画期間においては、知的財産創出の基となる研究開発体制の整備に向け、主に半導体分野での研究開発や関連設備への投資に取り組んでおります。

研究開発関連投資は、当該中期経営計画において総額200億円を目標としており、これらの取組により、当連結会計年度においては65億円を実施し、前連結会計年度と合わせて143億円となりました。また、これらの取組に加え、今後ますます需要が高まる半導体製造装置分野における研究開発促進のため、横浜事業所には研究開発新棟を建設しており、2025年8月に竣工予定です。

 

ハ.環境調和型製品の開発・提供でグリーン社会に貢献

本マテリアリティについては、事業を通じて展開するマテリアリティとして、「芝浦ビジョン2033」及び中期経営計画と連動した取組により、達成を目指してまいります。

具体的には、長期目標を「エネルギー使用量、原材料使用量を削減する技術・プロセスの開発を進め、当社製品ライフサイクルにおいて環境負荷を低減する製品の開発・提供を推進」とし、戦略として、開発・設計段階での環境影響の定量評価や前機種からの改善を進め、当社基準に適合する環境調和型製品「SM-ECP(Shibaura Mechatronics Environmentally Conscious Product)」の創出に取り組んでおります。

この取組により、当連結会計年度においては、高温リン酸エッチング装置、超高精度ハイブリッドボンディング装置等の特定の機種をSM-ECPに認定し、当連結会計年度における目標である売上高に占める環境調和型製品比率85%以上に対し、96.3%を達成いたしました。

 

ニ.品質・サービスで顧客の安定稼働・生産性に貢献

本マテリアリティについては、事業を通じて展開するマテリアリティとして、「芝浦ビジョン2033」及び中期経営計画と連動した取組により、達成を目指してまいります。

具体的には、長期目標を「製造装置について、グローバルでレジリエントな供給・稼働を実現し続け、顧客の継続的発展が維持されている」とし、戦略として、国内外の販売・サービス子会社が、当社製品のユーザの所在国・地域内又はその近隣に拠点を置き、迅速に保守、メンテナンスのサービスを提供しているほか、一部の子会社では当社製品以外の設備についても保守、メンテナンスのサービスを請け負うなどして取り組んでおります。

この取組により、当連結会計年度における目標である連結売上高に占めるサービス事業による売上高比率20%以上に対し、20.5%を達成いたしました。

 

ホ.気候変動への対応

本マテリアリティについては、価値創出の基盤となるマテリアリティとして、達成を目指してまいります。

具体的には、長期目標を、当社グループにおける二酸化炭素排出量(2019年度Scope1及び2基準)を2030年度までに50%削減することなどとし、戦略として、環境方針を定め、この方針の下、発電事業者との間で締結したCPPA(Corporate Power Purchase Agreement)に基づく再生可能エネルギー電力の導入、空調設備をはじめとする省エネ設備への更新等に取り組んでおります。

なお、当連結会計年度における国内グループの二酸化炭素排出量(Scope1及び2)は、前年度比で約14.5%の減少、2019年度比で約21.4%の減少となる見込みです。

 

 

ヘ.環境負荷の低減

本マテリアリティについては、価値創出の基盤となるマテリアリティとして、達成を目指してまいります。

具体的には、長期目標を、当社グループにおける廃棄物再資源化率99%以上を継続することなどとし、戦略として、廃棄物の分別、発生抑制、再使用、再生利用等の徹底のほか、地球環境に配慮した部材製品の調達を基本方針とするグリーン調達の推進等に取り組んでおります。

なお、当連結会計年度における廃棄物再資源化率は99.9%となりました。

 

ト.多様な人財が活躍できる環境づくり

本マテリアリティについては、価値創出の基盤となるマテリアリティとして、達成を目指してまいります。

具体的には、長期目標を、当社グループにおける女性管理職比率を2033年度までに10%以上とすることなどとし、戦略として、求める人財像及び人財マネジメントポリシー、人材育成方針、社内環境整備方針を定め、これらの方針等の下、女性や障がい者の採用のほか、年代別キャリア研修をはじめとする教育による人材育成とともに、フレックスタイム制、短時間勤務制、在宅勤務制、育児休職制度、定年再雇用制度等の社内環境整備に取り組んでおります。

なお、当連結会計年度における人的資本及び多様性に関するその他の取組状況については、「(3)人的資本・多様性に関する取組」に記載のとおりです。

 

チ.サプライチェーンマネジメントの強化

本マテリアリティについては、価値創出の基盤となるマテリアリティとして、達成を目指してまいります。

具体的には、長期目標を「信頼関係に根付いたパートナーシップと開かれた機会の提供」とし、戦略として、主要サプライヤーを対象とした法令・社会規範、人権、労働安全衛生等に関する取組状況のアンケート調査、当社と主要サプライヤーとの間の情報共有を目的としたビジネスパートナーズミーティングの開催等に取り組んでおります。

なお、当連結会計年度においては、ビジネスパートナーズミーティングを1回開催し、出席した約100社のサプライヤーに対し、「芝浦ビジョン2033」の方針、取り巻く事業環境等を共有いたしました。また、下請代金の現金での支払を開始するなど、サプライチェーン全体の付加価値向上、共存共栄を目指して行ったパートナーシップ構築宣言に従った取組を推進いたしました。

リ.ガバナンスの強化

本マテリアリティについては、価値創出の基盤となるマテリアリティとして、達成を目指してまいります。

具体的には、長期目標を「柔軟性と強靭性をもったリスク・コンプライアンス体制の構築」、「取締役会の実効性の向上」、「積極的且つ能動的なサステナビリティ経営の推進」等とし、戦略として、サステナビリティ委員会の下部機関であり、CRO(Chief Risk-Compliance Management Officer)を委員長とするリスク・コンプライアンス委員会を通じた重要なリスクと機会の把握及び対策の実施、取締役会実効性評価を通じた課題の抽出と改善の推進、サステナビリティ委員会を主体とする活動の具体的目標の策定と目標達成に向けた活動状況の監督等に取り組んでおります。

なお、当連結会計年度においては、リスク・コンプライアンス委員会を3回開催し、半期の活動報告のほか、税務方針の策定、自然災害対策と事業継続計画(BCP:Business Continuity Plan)の再整備の方向性等について審議いたしました。また、当連結会計年度における取締役会実効性評価の結果は、取締役会における中長期的な経営課題や成長戦略に関する議論の充実、活性化に関して、向上のために継続して取り組む必要性はあるものの、経営上重要な事項の承認と業務執行の監督を適切に行うための実効性が総じて確保されているものと評価いたしました。

加えて、当連結会計年度においては、サステナビリティ委員会を3回開催し、下部組織であるリスク・コンプライアンス委員会、社会・ES(従業員満足:Employee Satisfaction)活動委員会及び地球環境会議の半期ごとの活動報告を行い、各マテリアリティの目標達成に向けた進捗状況を確認いたしました。

 

 

 

②リスク管理

サステナビリティに関するリスクと機会については、サステナビリティ委員会の下部機関であり、CROを委員長とするリスク・コンプライアンス委員会を通じた管理を行っております。

具体的には、マテリアリティの特定に係る次のプロセスを経ております。

イ.世界共通及び日本特有の社会課題、国際的な規格(ISO26000、GRIスタンダード)及びガイドライン(FTSE、MSCI、SASB)に加え、事業業界特有の課題を加味した上で、マテリアリティの候補を抽出する。

ロ.抽出した候補について、各候補のリスクと機会に着目し、重要度を評価する。

ハ.当社グループ及びステークホルダーのそれぞれの視点で、重要度に応じて各候補をマッピングし、優先順位付けを行って当社グループが取り組むべきマテリアリティを特定する。

ニ.リスク・コンプライアンス委員会は、上記過程で着目したリスクと機会から各マテリアリティに関するリスクと機会を識別、分析及び評価し、特に重要なものに関しては、その対策を立案する。

ホ.リスク・コンプライアンス委員会は、「③ガバナンス」に記載のサステナビリティ委員会及び取締役会によるガバナンスのプロセスを経たリスク管理の対策を推進する。

 

<各マテリアリティに関するリスクと機会>

マテリアリティ

リスク

機会

最先端技術の開発・提供でデジタル社会に貢献

・半導体製造装置市場でのシェアの喪失

・経済安全保障上の規制強化

・通商問題による投資の停滞

・半導体需要の増加

・技術力の向上

研究開発・製造プロセスで産業競争力の維持・向上に貢献

・育成不足による人財力の低下、人財の流出

・設備・施設の老朽化による研究開発の停滞

・技術、知的財産の陳腐化

・研究開発基盤の強化

・オープンイノベーションの推進

環境調和型製品の開発・提供でグリーン社会に貢献

・気候変動の助長

・顧客離れ、競争力の低下

・炭素税、原材料のカーボンフリー化による負担費用増加

・環境負荷が小さく、効率的な生産プロセスの確立

・競争力、顧客への製品訴求力の向上

品質・サービスで顧客の安定稼働・生産性に貢献

・顧客における半導体開発・製造の停滞、中止

・製品事故の発生

・顧客の信頼獲得、ブランド価値の向上

・リカーリングビジネス(保守・メンテナンスサービス等)の発展

気候変動への対応

(移行リスク)

・各国の炭素排出目標、政策による規制強化

・社会・投資家による関心向上、規制へ対応できないことによる売上高の減少

・信用評価・ブランド価値の低下

(物理リスク)

・異常気象によるサプライチェーンの寸断、操業停止、生産・出荷の遅延等の発生

・酷暑、極寒等によるエネルギー消費量増加

・多様なエネルギー源の普及、半導体需要の増加

・環境負荷低減技術を付加した製品需要の増加

・自然災害に備える事業継続計画(BCP)

環境負荷の低減

・環境負荷低減部材への切替えによる調達価格上昇

・評価・ブランド価値低下

・地域コミュニティへの環境汚染被害の発生

・環境関連法令違反に伴うサンクション

・廃棄物の発生抑制、再使用、再資源化によるコストの削減

・地域コミュニティとの良好な関係の維持・向上

 

 

マテリアリティ

リスク

機会

多様な人財が活躍できる環境づくり

・イノベーションの不活性化、企業及び個人の成長の鈍化

・求人における訴求力の低下

・労働災害の発生

・ハラスメントの発生

・離職者の増加

・関連法令違反によるサンクション

・イノベーションの活性化、企業及び個人の成長の促進

・求人の訴求力の向上

・従業員のパフォーマンスの最大化

サプライチェーンマネジメントの強化

・サプライチェーン上で発生した環境汚染、人権侵害等に対する加担、助長とのネガティブ評価

・サプライチェーン上で発生した大規模災害、パンデミック、戦争・政変等による資材供給網の寸断

・競争法、下請法違反の発生

・自社を含むサプライチェーン全体の経営基盤強化の促進

ガバナンスの強化

・サステナビリティリスクの発生による企業価値喪失

・取締役会の形骸化による経営危機の発生、役員に対する訴訟の提起

・経営人材不足、経営人材採用に当たっての訴求力低下

・サステナビリティ課題解決に向けた実効性ある取組

・プライム上場企業としての社会的役割の実践

・適時的確な意思決定、経営者による適正なリスクテイク

 

 

③ガバナンス

当社では、当社グループにおけるサステナビリティ経営推進の最高責任者を社長執行役員である代表取締役とし、サステナビリティ経営推進のための主体となる機関として、社長執行役員である代表取締役を委員長とするサステナビリティ委員会を設置しております。

また、サステナビリティ経営の推進に向けた具体的な活動に取り組むため、サステナビリティ委員会の下部組織として、リスク・コンプライアンス委員会、社会・ES活動委員会及び地球環境会議を、それぞれ設置しております。

サステナビリティに関するガバナンスについては、次のプロセスを原則として半期ごとに1回(年度2回)経ることとしております。

イ.サステナビリティ委員会の下部組織であるリスク・コンプライアンス委員会は、リスクと機会の識別、分析及び評価を行い、特に重要なものに関しては対策を立案した上で、これをサステナビリティ委員会に提案する。

ロ.サステナビリティ委員会は、リスク・コンプライアンス委員会の提案内容を審議又は決定した上、これを取締役会へ提案又は報告する。これに加え、サステナビリティ委員会は、サプライチェーンを含む人権、地域社会とのかかわり、従業員満足その他の社会貢献活動に関する取組方針の策定等を担う下部組織である社会・ES活動委員会、サプライチェーン、気候変動の観点も踏まえて、環境課題に対する活動の方針の策定等を担う下部組織である地球環境会議の提案内容についても審議又は決定した上で、これを取締役会へ提案又は報告する。なお、サステナビリティ委員会は、同委員会での審議又は決定に先立ち、審議事項又は決定事項について社外取締役へ諮問して意見又は助言を求める。

ハ.リスク・コンプライアンス委員会、社会・ES活動委員会及び地球環境会議は、サステナビリティ委員会又は取締役会の決定に従ってそれぞれの活動を推進し、サステナビリティ委員会は、これら活動状況の報告を各委員会等から受け、これによりリスク管理のほか、各マテリアリティに関する目標達成に向けた進捗等を確認する。

ニ.取締役会は、その結果報告をサステナビリティ委員会から受け、これによりリスク管理のほか、各マテリアリティに関する目標達成に向けた進捗等の状況を監督する。

ホ.監査役は、リスク・コンプライアンス委員会(常勤監査役のみ)、サステナビリティ委員会(常勤監査役のみ)及び取締役会に出席し、各組織の活動状況、上部組織への報告を確認し、ガバナンスの状況を監視する。

<サステナビリティ経営の推進及びガバナンスの体制>

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(2)気候変動

気候変動への対応については、マテリアリティの一つとして特定し、取り組んでおります。

指標及び目標並びに戦略については、「(1)サステナビリティ全般 ①指標及び目標並びに戦略 ホ.気候変動への対応」に記載のとおり、長期目標を、当社グループにおける二酸化炭素排出量(2019年度Scope1及び2基準)を2030年度までに50%削減することなどとし、戦略として様々な取組を行っております。

また、リスク管理については、「(1)サステナビリティ全般 ②リスク管理」に記載のとおり、マテリアリティ(気候変動への対応)に関するリスクと機会を分析、評価しております。具体的には、気候変動による温暖化について、いわゆる1.5℃シナリオと4.0℃シナリオに基づき、事業活動、収益等に与える影響及びこれらがもたらす財務的影響をリスク及び機会の両面から分析しました。

さらに、ガバナンスについては、「(1)サステナビリティ全般 ③ガバナンス」に記載のとおり、リスク・コンプライアンス委員会を通じたリスク管理の状況に加え、地球環境会議を通じた気候変動への対応を含む環境活動状況を、サステナビリティ委員会及び取締役会が連携して監督し、監査役がこのガバナンスの状況を監視しております。

当社では、目標達成に向けた活動状況とともに、これらをTCFD(Task Force on Climate-related Financial Disclosures:気候関連財務情報開示タスクフォース)の枠組に従って公表していけるよう、取り組んでおります。

 

<気候シナリオと事業環境>

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(3)人的資本・多様性に関する取組

当社グループは、企業行動理念において「人間性の尊重」を掲げており、お客様、株主・投資家、従業員、お取引先、地域社会の方々とのコミュニケーションを通して、幸せな社会を築いていきたいと考えております。この理念を実践するためには、会社の事業活動を推進する基盤であり財産である従業員一人ひとりが自己を高め、責任のある行動を実行することが必要不可欠であることから、「当社が求める人財像」を定めるとともに、「人材育成方針」及び「社内環境整備方針」を掲げ、具体的な取組を行ってまいります。

なお、人的資本に関するガバナンスについては、「多様な人財が活躍できる環境づくり」をマテリアリティの1つとして特定し、経営戦略会議において審議・検討を行っております。

 

①求める人財像

当社は、長期的な経営戦略ビジョン「芝浦ビジョン2033」を達成するため、人的戦略の基盤となる「当社が求める人財像」を定義しました。

当社が求める人財像は『変化を創り、「時代」「お客様」「仲間」と共に成長する人財』としております。

この求める人財像は、4つの要素から成り立っております。

イ.当事者としての覚悟   :目的を達成することに強い意志を持ち、困難な場面に直面しても逃げず、自分の使命として気概とプライドをもって取り組む。

ロ.技術の未来を描く    :技術No.1の高い理想をもって、自分たちで実現する技術を描いて形にして発信する。

ハ.建設的に議論し共創する :異なる意見、顧客からの批判、嫌なことからも目を背けず受け入れ、真剣な意見のぶつけ合いを通じて、本当にやるべきこと、やりたいことを明らかにする。

ニ.常識(前例)を捨て挑戦する:前例をよしとせず、良くないことは発信し、自らの考えで挑戦するタフさをもつ。

 

当社は、求める人財像と4つの要素を定め、その方向性に沿って具体的な各種人事施策を策定・展開してまいります。

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②人財マネジメントポリシー

当社は、「求める人財像」を具現化する「道しるべ」として人財マネジメントポリシーを制定しました。

「芝浦ビジョン2033」達成を目的とする人事施策を立案・推進するためのポリシーを明示することで、従業員エンゲージメント、及び企業価値向上を図ります。

この人財マネジメントポリシーは、基本方針及び4つの要素から成り立っています。

 

イ.基本方針       :当社は「人財」こそが競争力の源泉であり、価値創造の基盤であると考えています。多様な価値観とバックグラウンドをもつ従業員一人ひとりがその能力を最大限発揮できる人事施策を行います。

ロ.採用         :当社の「求める人財像」に定めるポテンシャルを有し、多様なバックグラウンドやスキルを持つ人材を積極的に採用します。

ハ.育成         :当社は、社内教育体系を充実するほか、従業員一人ひとりが自律的にキャリア形成をすることを積極的に支援し「人財力強化」を図ります。

ニ.配置         :当社は、ビジョン達成に繋がり、また個人の成長を促す観点から、適材適所の人材配置を行います。

ホ.評価・処遇      :当社は、成果評価のほか、発揮される能力や「求める人財像」を体現する行動を公正に評価し、処遇へ適切に反映します。

 

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当社が実施している具体的施策の一例

 

「採用」

 「求める人財像」に定めるポテンシャルを有し、多様なバックグラウンドやスキルを持つ人材を積極的に採用します。

 

 ・キャリア採用プロセスの短縮

  採用プロセスを短縮することで、選考スピードを高め、候補者の負担軽減、入社意欲向上を図りました。

 

 ・外部福利厚生サービスの導入

  人材の獲得競争が激しい採用市場において、優れた福利厚生制度は企業の競争力を高める重要な要素であり、従業員にとって魅力的な福利厚生制度を整備し、優秀な人材の確保を図りました。

 

「配置」「育成」

 ビジョン達成に繋がり、また個人の成長を促す観点から、適材適所の人材配置を行います。

 また社内教育体系を充実するほか、従業員一人ひとりが自律的にキャリア形成をすることを積極的に支援し「人財力強化」を図ります。

 

 ・教育体系の再整備

  「求める人財像の4つの要素を踏まえて」下記のとおり教育体系を再整備しました。

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「評価・処遇」

成果評価のほか、発揮される能力や「求める人財像」を体現する行動を公正に評価し、処遇へ適切に

反映します。

 

 ・成果評価と能力評価に加え、行動評価を新たに加えた評価制度としました。

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③人材育成方針

当社では「芝浦ビジョン2033」において、長期ビジョン達成を担う「人財力強化」を重点テーマとして掲げ、採用・育成の両面から取組を進めてまいります。具体的には、新卒・キャリア採用による多様性の確保、個々のスキルを高める教育、人材の適正な配置、積極的な評価制度の導入など、さまざまな観点から取組を進めてまいります。

 

<具体的な取組>

イ.教育による人材育成

当社グループでは、個々人の日常業務習得と同時に組織全体の職場開発につなげるOJTと、社内教育カリキュラムのほか、従業員それぞれが行う自己啓発を並行して行うことを人材育成、人材開発の基本としております。社内教育カリキュラムは階層別教育、基礎教育、課題対応教育及び職種・部門別教育の4つの柱で構成しております。対象範囲は提出会社及び国内連結子会社(海外連結子会社は対象外)となります。また、従業員が自身の将来を描き、自律的な成長を会社が支援することを目的とした「年代別(30代、40代、50代、58歳)キャリア研修」も実施しております。

 

(教育受講状況)

提出会社及び国内連結子会社

指標

2024年度目標

2024年度実績

2025年度目標

従業員一人当たりの

研修時間

前年実績(10.45時間)を上回る研修時間

12.39時間

13時間以上

(注)教育カリキュラム制度は提出会社及び国内連結子会社を対象範囲としているため、海外連結子会社は含んでおりません。

 

(年代別キャリア研修受講状況)

提出会社

指標

2023年度~2026年度

累計目標

2023年度~2024年度

累計実績

2023年度~2025年度

累計目標

対象者受講率

(30歳以上)

100%

53.2%

75%

(注)1.本研修は、提出会社を対象範囲としているため、連結子会社は含んでおりません。

2.本研修は、2023年4月より開始し、2026年度までに受講率100%を目指してまいります。

 

ロ.女性活躍の推進

当社グループは女性の活躍推進に関して、2033年度に管理職に占める女性の割合を10%以上にすることを目指してまいります。近年、女性の管理職登用は増加傾向にあり、2033年度目標達成に向けて優秀な人材を積極的に登用してまいります。また、育児休職期間を最大で子が3歳に到達する年度末まで取得可能とするほか、短時間勤務制度の運用など、仕事と家庭の両立も支援しております。2024年度の育児休職からの復職率は、90.9%となります。

 

(管理職の定義について)

当社グループにおける管理職とは、当社社内規程における管理職及び専任・専門職のうち、主査以上の職位を対象としております。主査は職務内容及び責任範囲を踏まえ、女性活躍推進法における「課長」相当と判断しております。

 

(女性活躍推進法に基づく行動計画)

連結会社

指標

2033年度目標

2024年度実績

管理職に占める

女性の割合

10

6.37

 

 

ハ.採用

「求める人財像」にふさわしい資質を備えた、新卒・キャリア採用を強化してまいります。さらに人材の多様性と包括性を確保するため、積極的な女性の採用と障がい者採用についても取り組んでおります。

 

(採用者数における女性の割合)

連結会社

指標

2024年度目標

2024年度実績

2025年度目標

採用に占める

女性の割合

10%

27.0

15

 

(障がい者雇用率)

提出会社及び国内連結子会社

指標

2024年度目標

2024年度実績

2025年度目標

障がい者雇用率

法定雇用率(2.5%)

を上回る雇用確保

2.25%

法定雇用率(2.7%)

を上回る雇用確保

(注)本取組は国内法を基本としたものであり、提出会社及び国内連結子会社が国内法対象範囲のため、海外連結子会社は含んでおりません。

 

④社内環境整備方針

当社は「人財」こそが競争力の源泉であり、価値創造の基盤であると考えております。多様な価値観とバックグラウンドを持つ従業員一人ひとりがその能力を最大限発揮し、生き生きと働くことのできる職場環境や人事制度の整備を進めてまいります。

 

<具体的な取組>

イ.多様な働き方の推進

従業員が生き生きと働ける「働きがい」のある職場を目指し、従業員のワークライフバランスを推進するための取組を多面的に行っております。具体的にはフレックスタイム制度や在宅勤務制度などの柔軟な勤務制度を整備しております。また、定年後のセカンドキャリア選択の拡充を図るために、定年再雇用制度について選択できる業務レベル別の処遇コースを拡大し、当社で培った知識・経験を長く当社で発揮できる制度のほか、社外への転職希望者に対する再就職支援プログラムを導入するなど、個々人のキャリアプランにも寄り添うようにしております。

 

(「定年再雇用制度」又は「再就職支援プログラム」利用者)

提出会社

指標

2024年度目標

2024年度実績

2025年度目標

定年退職者における

制度利用割合

100%

96%

100%

(注)本制度は提出会社を対象範囲としているため、連結子会社は含んでおりません。

 

ロ.男性の育児休業取得促進

男性が育児休業を取得することは、家庭内の責任を共有し、育児に対して父親の関与を促進するだけでなく、働く親が仕事と家庭の両立をより円滑に行える環境を構築し離職を防止することにもつながり、また、女性のキャリアや職場での活躍にも好影響を与えます。そのため、男性従業員に育児休業を取得することの重要性を周知し、より持続可能な職場風土の醸成を促進してまいります。

 

(男性の育児休業取得状況)

提出会社及び国内連結子会社

指標

2024年度目標

2024年度実績

2025年度目標

配偶者が出産した

男性従業員における

育児休業制度利用割合

50%

87.5%

100%

(注)本取組は国内法を基本としたものであり、提出会社及び国内連結子会社が国内法対象範囲のため、海外連結子会社は含んでおりません。

 

 

ハ.育児休業者の復職支援

職場環境の整備や、従業員へのサポート体制の充実により、育児休業からの復職を支援し、従業員のワークライフバランスの向上並びに人材の定着と離職リスクの低減を図ってまいります。

 

(育児休業者の復職率)

提出会社及び国内連結子会社

指標

2024年度目標

2024年度実績

2025年度目標

育児休業者の

復職率

100%

90.9%

100%

(注)本取組は国内法を基本としたものであり、提出会社及び国内連結子会社が国内法対象範囲のため、海外連結子会社は含んでおりません。

 

ニ.健康経営

従業員・家族の健康経営・健康促進により、全従業員が生き生きと働ける会社風土を構築し、職場の環境整備や制度改革を通じて、従業員の健康基盤づくり、生活習慣病の予防、健康保持増進を進め、従業員の活力と生産性の向上につなげてまいります。

 

(健康診断受診率)

提出会社及び国内連結子会社

指標

2024年度目標

2024年度実績

2025年度目標

定期健康診断

受診率

100%

100%

100%

海外赴任者

健康診断受診率

100%

100%

100%

有所見者

受診勧奨実施率

100%

100%

100%

(注)本取組は国内法を基本としたものであり、提出会社及び国内連結子会社が国内法対象範囲のため、海外連結子会社は含んでおりません。

3【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、その発生の予防と発生時の対策に努力する所存であります。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経済状況、市況による影響

当社グループが販売する製造装置の需要は、その製造装置で生産される半導体・FPD等のエレクトロニクス製品の需給状況に影響を受け、特にエレクトロニクス製品が消費されている国・地域の経済状況の影響を受けております。したがって、北米、欧州、アジア、日本等の国・地域の景気後退と需要の縮小により、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(2)海外販売に潜在するリスク

当社グループの海外売上高比率は約67%となっており、その大部分は引き続き中国、台湾でありますが、欧米や東南アジアなどの比率も高まっております。

したがって、当社グループが海外市場で行う全ての販売活動に関連し、各国・地域の政治状況の急変、法律・規制や税制の変更、経済状況の急変、急激な為替変動・インフレーション等の価格変動、雇用の困難と人件費の急騰、地震・台風・洪水・感染症といった自然災害やテロ・戦争等の社会的混乱等のリスクが顕在化した場合、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

(3)価格競争による影響

当社グループの主要顧客であるエレクトロニクス業界は、各製品の価格競争も激しく製造装置への投資コストも抑制される傾向にあります。当社グループでは、SPE分野のグローバルニッチトップ製品や、FPD分野の新しいディスプレイ対応製品を中心に、技術的に進化した高精度、高品質の高付加価値製品をいち早く開発し市場に送り出すべく活動を実施しておりますが、今後競合メーカーや新規メーカーの参入状況によっては、競争が激化し当社グループの計画に相違が生じることが考えられます。さらに、部品や部材その他購入品の価格高騰による製品の原価上昇という結果をもたらす可能性があります。価格面での過度の競争は、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

(4)他社との提携によるリスク

当社グループでは、新規事業、事業拡大の一環として、経営資源を最適化し、相乗効果を引き出すため、他社とのコラボレーション、技術提携、合弁を実施していきます。当社グループでは、引き続きこのような活動を続けてまいりますが、当事者間で不一致が発生した場合、当初の計画どおりに業績を上げられず、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

(5)品質に関するリスク

当社グループでは、ISO9001に基づいた品質保証体制のもと、最先端技術を新製品に搭載し、いち早く市場に投入することで、当社製品を多くの顧客に提供しております。しかしながら、当社製品が最先端技術を活用したものであることから未知の分野での技術が多く存在し、予期せぬ不具合が発生し事故につながることも考えられます。そのために当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

(6)経営戦略遂行に関するリスク

当社グループでは、当社の製造装置の最終製品となるエレクトロニクス製品の市場の拡大と新技術の進歩に遅れることなく新製品を市場に投入し、安定した収益を上げることが最も重要と考えております。そのため、市場動向、技術動向等の調査を随時実施しますが、リスクがある事業でも先の成長性を見込んで事業遂行していくことがあり、競合の存在、開発投資額の増加、開発の遅れ、市場の急激な変化等により、その事業の経営計画に相違が生じることがあります。

(7)知的所有権に関するリスク

当社グループでは、当社製造装置について特許となりうるものに関しては、積極的に権利の獲得を目指すとともに、その製品に関する特許レビューを実施しております。しかしながら、第三者から思わぬ特許権侵害訴訟を提訴され損害を被るリスクがあります。

(8)サプライチェーンに関するリスク

当社グループでは、製品を製造するための部品や部材のほか、保守サービスに必要な部品、部材の調達を行っております。需給の逼迫や供給遅延・停止、価格高騰、その他当社を取り巻くサプライチェーンに生じた障害により、製造活動又は保守サービス事業が停滞した場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9)情報管理に関するリスク

当社グループは、事業遂行にあたり各種技術情報、顧客情報、個人情報を有しております。当社グループではこれらの情報についての全社管理体制として、情報セキュリティポリシーの制定と情報セキュリティ委員会にて情報管理強化に努めております。しかしながら、IT化の進展により膨大な情報が行き交う中、コンピュータウイルスの感染・サイバー攻撃等による不正アクセスや従業員の過誤等の不測の事態により、これらの情報が流出するリスクが存在します。流出した場合には、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

(10)人財確保に関するリスク

当社グループが事業の成長を持続するためには、市場の拡大と新技術の進歩に遅れることなく競争力のある新製品を市場に継続的に投入することが重要であり、そのための人財の確保や育成の継続が困難となる場合、開発力の低下や、技術・保守サポート力の低下など、競争力の低下を招くリスクがあります。競争力が低下した場合には、当社グループの業績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。

(11)環境保全に関するリスク

当社グループでは、全事業所・工場で環境マネジメントシステム(ISO14001)の認証を取得し、環境に配慮した活動を行っております。しかしながら、事業活動を行う上では環境負荷の高い物質を使用する場合もあり、昨今の環境法規制の新規規制及び法改正等により規制されることがあります。

また、地球温暖化防止を目的とした環境税の導入・CO2の排出規制等新たな法規制が発効され、経済的負担が増えることもあります。さらに、現在は使用していないものの過去に使用した事実がある有機溶剤等が土壌中に残留していることがあり、土地を有効活用する場合、これらを適切に処理するための処分費用負担が生ずることがあります。

(12)大規模災害、感染症蔓延の影響

当社グループの国内製造拠点は神奈川県下と福井県小浜地区に所在しております。これらの地区において大規模災害が発生した場合には、設備の破損、物流機能の麻痺等が生じ、製造拠点の操業停止等により製造能力に重大な影響を被る可能性があります。また、今後何らかの感染症の蔓延により、製品の製造のほか、部品、部材の調達、営業を始めとする事業活動が停滞した場合、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(13)減損会計適用による影響

固定資産の減損会計適用に伴い、当社グループの業績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。

(14)退職給付債務について

当社グループの退職給付費用及び債務は、割引率等数理計算上で設定される前提条件や年金資産の期待運用収益に基づき算出されております。実際の結果が前提条件と異なる場合、前提条件が変更された場合、又は年金資産の運用利回りが低下した場合、その影響は累積され将来にわたって規則的に認識されるため、一般的には将来期間において認識される費用及び計上される債務に影響を及ぼします。割引率や運用利回りに変動が生じた場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(15)貸倒引当金の計上について

当社グループは、債権の貸倒に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を勘案し、回収不能見込額を計上しております。前受金の受領及び信用状の利用等により信用リスクの管理を行っていますが、顧客の財政状態が悪化し、支払能力が低下した場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(16)顧客との契約に基づき行う工事の総原価の見積りについて

当社グループは、顧客の契約に基づき他の用途に転用できない機械装置の製造及び据付工事契約について、一定の期間にわたり収益を認識しております。将来の状況の変化によって総原価の見積りと実績が乖離した場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(17)繰延税金資産の回収可能性について

当社グループは、繰延税金資産の回収可能性について、課税所得の額を合理的に見積ることにより判断しております。将来の不確実な経済条件の変動等により見積りの見直しが必要となった場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(18)財務制限条項について

当社の借入金に係る契約のうち一部の契約には財務制限条項が付されており、特定の条項に抵触した場合には、借入先金融機関の請求により当該借入金について期限の利益を喪失する可能性があります。当社が借入金について期限の利益を喪失した場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。なお、当連結会計年度末現在において、財務制限条項が付されている契約に基づく借入金の残高はありません。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

①財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度における当社グループの事業環境は、半導体業界においてはIoT、5G、AIなどの需要が引き続き底堅く、ロジック/ファウンドリ向け、メモリ向けなどの設備投資が堅調に推移しました。一方、パワーデバイス向けは市場が減速し、低調に推移しました。FPD(Flat Panel Display)業界においては全般的に設備投資が低調な状況が継続しました。また、流通機器業界においては新紙幣発行に伴う機器更新の需要が高まりました。

このような環境の中、当連結会計年度の業績は以下のとおりです。

売上高は、半導体分野では前工程は減少したものの後工程の先端パッケージ向け装置が好調であり前年度に比べ増加、FPD分野では前年度に比べ微増、流通機器分野の売上増加も寄与し、全体では80,915百万円(前年同期比19.8%増)となりました。

利益面では、半導体後工程や流通機器分野の売上増加により営業利益が14,135百万円(前年同期比20.9%増)、経常利益が13,977百万円(前年同期比20.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益が10,328百万円(前年同期比17.5%増)となりました。

なお、受注高は、半導体分野では前工程のロジック/ファウンドリ向け装置、後工程の生成AI用GPU用途を含む先端パッケージ向け装置がそれぞれ好調に推移し、真空応用装置の半導体分野向けが低調に推移したものの、半導体分野全体では前年度に比べ増加しました。FPD分野は低調に推移し前年度に比べ減少しました。また、流通機器分野は前年度と同等となりました。この結果、当連結会計年度における受注高は69,751百万円(前年同期比12.8%増)となりました。

 

セグメントの業績は、次のとおりであります。

(ファインメカトロニクス部門)

売上高は、半導体前工程ではロジック/ファウンドリ向け装置、マスク向け装置が順調に推移したものの、シリコンウェーハ向け装置が前年度受注減少の影響を受け低調となったことから、前年度に比べ減少しました。FPD前工程は低調でしたが、前年度に比べ微増となりました。この結果、部門全体では前年度と同等の50,370百万円(前年同期比0.6%増)となりました。

セグメント利益は、半導体前工程での売上減少に加え、販売費及び一般管理費が増加したことなどから、8,893百万円(前年同期比16.1%減)となりました。

なお、受注高は、半導体前工程ではロジック/ファウンドリ向け装置が好調に推移しました。FPD前工程では市況の影響を受け低調に推移しました。この結果、部門全体では前年度に比べ受注高が増加し、45,308百万円(前年同期比21.7%増)となりました。

(メカトロニクスシステム部門)

売上高は、半導体後工程では生成AI用GPUの需要増に伴い先端パッケージ向け装置が好調に推移し、前年度に比べ大幅に増加しました。FPD後工程は低調で、前年度と同等となりました。真空応用装置は、半導体分野向けが堅調に推移し前年度に比べ増加しました。この結果、部門全体では前年度に比べ大幅な増収となり、22,765百万円(前年同期比83.6%増)となりました。

セグメント利益は、半導体後工程及び真空応用装置の売上増加により大幅な増益となり、4,649百万円(前年同期比219.8%増)となりました。

なお、受注高は、半導体後工程では生成AI用GPUの需要増に伴い、先端パッケージ向け装置が好調に推移しました。FPD後工程及び真空応用装置の半導体分野向けでは、市況の影響を受け低調に推移しました。この結果、部門全体では前年度と同等の17,665百万円(前年同期比0.2%増)となりました。

(流通機器システム部門)

新紙幣発行に伴い、紙幣識別機器の更新のほか、券売機、汎用自販機の売上が好調に推移しました。この結果、売上高は5,969百万円(前年同期比81.9%増)、セグメント利益は1,490百万円(前年同期比257.7%増)となりました。

(不動産賃貸部門)

不動産賃貸収入は計画どおり推移し、売上高は1,809百万円(前年同期比1.1%増)、セグメント利益は392百万円(前年同期比2.8%増)となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末に比べ1,264百万円増加し28,464百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動による資金の増加は6,988百万円(前年同期は5,987百万円の増加)となりました。これは主に、前受金の減少、棚卸資産の増加、仕入債務の減少により資金が減少した一方で、税金等調整前当期純利益の計上、減価償却費の計上、売上債権の減少により資金が増加したことによるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動による資金の減少は3,216百万円(前年同期は2,308百万円の減少)となりました。これは主に、固定資産の取得により資金が減少したことによるものです。

なお、営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローを合わせたフリー・キャッシュ・フローは、3,771百万円の増加(前年同期は3,678百万円の増加)となりました。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動による資金の減少は2,666百万円(前年同期は3,748百万円の減少)となりました。これは主に、配当金の支払により資金が減少したことによるものです。

 

③生産、受注及び販売の実績

イ.生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 セグメントの名称

 当連結会計年度

(自 2024年4月1日

  至 2025年3月31日)

 前年同期比(%)

ファインメカトロニクス(百万円)

31,812

102.0

メカトロニクスシステム(百万円)

22,648

153.8

流通機器システム(百万円)

5,009

176.4

合計(百万円)

59,469

122.0

 (注)1.金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の金額によります。

2.不動産賃貸の生産高計上はありません。

 

ロ.受注実績

当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高

(百万円)

前年同期比(%)

受注残高

(百万円)

前年同期比(%)

ファインメカトロニクス

45,308

121.7

38,186

88.3

メカトロニクスシステム

17,665

100.2

8,744

63.2

流通機器システム

4,967

96.2

1,695

62.8

不動産賃貸

1,809

101.1

合計

69,751

112.8

48,626

81.3

 

ハ.販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 セグメントの名称

 当連結会計年度

(自 2024年4月1日

  至 2025年3月31日)

 前年同期比(%)

ファインメカトロニクス(百万円)

50,370

100.6

メカトロニクスシステム(百万円)

22,765

183.6

流通機器システム(百万円)

5,969

181.9

不動産賃貸(百万円)

1,809

101.1

合計(百万円)

80,915

119.8

 (注)1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。

2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

 前連結会計年度

(自 2023年4月1日

  至 2024年3月31日)

 当連結会計年度

(自 2024年4月1日

  至 2025年3月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

Taiwan Semiconductor Manufacturing

Company,Ltd.

7,903

11.7

18,391

22.7

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

イ.経営成績等

a 財政状態

当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ3,990百万円増加し95,244百万円となりました。これは主に、売掛金が1,934百万円、契約資産が2,355百万円減少した一方で、現金及び預金が1,264百万円、仕掛品が2,441百万円、建設仮勘定が3,740百万円増加したことによるものです。

負債は、前連結会計年度末に比べ4,592百万円減少し47,926百万円となりました。これは主に、支払手形及び買掛金が2,444百万円、前受金が3,677百万円減少したことによるものです。

純資産は、前連結会計年度末に比べ8,582百万円増加し47,317百万円となりました。これは主に、配当金の支払により2,629百万円減少した一方で、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により10,328百万円増加したことによるものです。

b 経営成績

(売上高及び営業利益)

売上高は、前連結会計年度に比べ19.8%増収の80,915百万円となりました。国内向け売上高は、前連結会計年度に比べ9.0%増収の27,104百万円となり、国内売上高比率は33.5%となりました。一方、海外向け売上高は26.0%増収の53,810百万円となり、海外売上高比率は66.5%となりました。

なお、セグメント別売上高の概況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。

売上原価は、売上高の増加に伴い、前連結会計年度に比べ22.3%増加の49,451百万円となりました。売上原価率は、一部部品や部材の価格上昇等により、前連結会計年度に比べ1.3ポイント増加の61.1%となりました。

販売費及び一般管理費は、現在の中期経営計画の柱の一つである「持続的成長に向けた投資」を進め、前連結会計年度に比べ12.2%増加の17,327百万円となりました。

以上の結果、当連結会計年度は14,135百万円の営業利益(前年同期比20.9%増)となりました。

(営業外損益及び経常利益)

営業外収益は、主に為替差益の減少により前連結会計年度に比べ471百万円減少の214百万円となりました。

営業外費用は、主にデリバティブ評価損の減少により前連結会計年度に比べ388百万円減少の373百万円となりました。

以上の結果、当連結会計年度は13,977百万円の経常利益(前年同期比20.4%増)となりました。

(親会社株主に帰属する当期純利益)

当連結会計年度は、売上高の増加により10,328百万円の親会社株主に帰属する当期純利益(前年同期比17.5%増)となりました。

また、1株当たり当期純利益は787.76円となりました。

ロ.経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、経営指標としてROS(売上高営業利益率)、ROE(自己資本当期純利益率)の向上を目指しております。当連結会計年度の数値目標及び経営成績、達成状況は下記のとおりです。

指標

前連結会計年度

(2024年3月期)

実績

当連結会計年度(2025年3月期)

目標

実績

差異

(実績-目標)

売上高

67,556

百万円

70,000

百万円

80,915

百万円

10,915

百万円

営業利益

11,687

百万円

10,000

百万円

14,135

百万円

4,135

百万円

親会社株主

に帰属する

当期純利益

8,793

百万円

7,200

百万円

10,328

百万円

3,128

百万円

ROS

(売上高

営業利益率)

17.3%

14.3%

17.5%

3.2ポイント

ROE

(自己資本

当期純利益率)

24.5%

17.6%

24.0%

6.4ポイント

(注)当連結会計年度の数値目標は、2024年5月9日開示の2024年3月期決算短信及び2024年3月期決算説明資料に記載している2024年度業績予想であります。

ROS(売上高営業利益率)は、主に生成AI用GPUの需要増に伴い半導体後工程の先端パッケージ向け装置が想定より好調に推移したことにより、3.2ポイント増となりました。

ROE(自己資本当期純利益率)は、主に当期純利益の増加などにより、6.4ポイント増となりました。

ハ.セグメント別の経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

(ファインメカトロニクス部門)

当連結会計年度における当セグメントの売上高は、前連結会計年度比0.6%増の50,370百万円となりました。半導体前工程ではロジック/ファウンドリ向け装置及びマスク向け装置がいずれも順調に推移した一方、ウェーハ向け装置が低調となり前年度に比べ減少したこと、FPD前工程では前年度に比べ微増となったことが主な背景であります。

セグメント利益は、前連結会計年度比16.1%減の8,893百万円となりました。減少の主な要因は、半導体前工程での売上高の減少並びに販売費及び一般管理費の増加であります。

2025年度(2026年3月期)は、半導体前工程では2024年度に上市した3つの新製品の拡販に注力するとともに、既存のグローバルニッチトップ製品群の更なる拡大、新機種の上市に向けた開発も加速してまいります。

FPD前工程では新型・次世代向け製品の開発・拡販のほか、FPD前工程のコア技術を活かした半導体分野向け製品への展開を図ってまいります。

 

(メカトロニクスシステム部門)

当連結会計年度における当セグメントの売上高は、前連結会計年度比83.6%増の22,765百万円となりました。半導体後工程では、生成AI用GPUの需要増に伴い先端パッケージ向け装置が堅調に推移し、前年度に比べ売上高が大幅に増加したこと、FPD後工程は低調ながら前年度と同等となったこと、また、真空応用装置では、半導体分野向けが堅調に推移し前年度に比べ増加したことが主な背景であります。

セグメント利益は、前連結会計年度比219.8%増の4,649百万円となりました。増加の主な要因は、半導体後工程及び真空応用装置の売上高の増加であります。

2025年度(2026年3月期)は、半導体後工程では引き続きモジュールプロセスの先端パッケージ向けボンダの更なるシェア拡大を図ってまいります。FPD後工程では、FPD前工程同様、新型・次世代向け製品の開発・拡販のほか、FPD後工程の技術を活かした半導体分野向け製品への展開を進めてまいります。

 

(流通機器システム部門)

当連結会計年度における当セグメントの売上高は、前連結会計年度比81.9%増の5,969百万円となりました。2024年7月に発行された新紙幣に対応する紙幣識別機器への更新のほか、券売機、汎用自販機の売上が好調に推移したことが主な要因であります。

セグメント利益は、前連結会計年度比257.7%増の1,490百万円となりました。売上高の増加や、販売機種構成の変化が主な要因であります。

2025年度(2026年3月期)は、新紙幣未対応機器の更新、入替を促進するほか、顧客拡大や新製品の開発にも注力してまいります。

また、部品や部材の価格上昇による影響の抑制、生産性向上などにより、利益率の改善を図ってまいります。

 

(不動産賃貸部門)

当連結会計年度における当セグメントの売上高は、前連結会計年度比1.1%増の1,809百万円、セグメント利益は、前連結会計年度比2.8%増の392百万円となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローは、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、当社グループの運転資金需要のうち主なものは、製品製造のための材料、部品の購入のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資等であります。

当社グループは、事業活動に必要な資金を安定的に確保するため、内部資金の活用及び金融機関からの借入により資金を調達しております。

金融機関からの借入のうち、短期借入は主に営業取引に係る資金調達であり、長期借入は主に資金の長期的な安定化を確保することを目的とした資金調達であります。

なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は8,737百万円となっております。

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。

この連結財務諸表の作成にあたっては、当連結会計年度における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような見積り、予測を必要としております。

当社グループは、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、継続的に見積り、予測を行っております。そのため実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

当社グループの連結財務諸表の作成のための重要な会計方針等は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載及び以下のとおりであります。

 

イ.貸倒引当金の計上基準

当社グループは、債権の貸倒に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を勘案し、回収不能見込額を計上しております。

前受金の受領及び信用状の利用等により信用リスクの管理を行っていますが、顧客の財政状態が悪化し、支払能力が低下した場合には、引当金の追加計上又は貸倒損失が発生する可能性があります。

ロ.棚卸資産の評価基準

当社グループは、製品、商品及び原材料は主として移動平均法による原価法(貸借対照表価額は収益性の低下による簿価切下げの方法により算定)、仕掛品は主として個別法による原価法(貸借対照表価額は収益性の低下による簿価切下げの方法により算定)を採用しております。

将来における実際の需要又は市況が見積りより悪化した場合には、評価損の追加計上が必要となる可能性があります。

ハ.繰延税金資産の回収可能性

当社グループは、繰延税金資産の回収可能性について、課税所得の額を合理的に見積ることにより判断しております。

将来の不確実な経済条件の変動等により見積りの見直しが必要となった場合、繰延税金資産及び法人税等調整額の金額に影響を与える可能性があります。

ニ.固定資産の減損処理

当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、固定資産の帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。

将来の不確実な経済条件の変動等により見積りの見直しが必要となった場合、減損損失が発生する可能性があります。

ホ.退職給付債務の算定

当社グループの退職給付費用及び債務は、割引率等数理計算上で設定される前提条件や年金資産の期待運用収益率等に基づき算定されております。

将来の不確実な経済条件の変動等により割引率及び期待運用収益率等の見直しが必要となった場合、退職給付に係る負債及び退職給付費用の金額に影響を与える可能性があります。

へ.顧客との契約に基づき行う工事の総原価の見積り

当社グループは、顧客の契約に基づき他の用途に転用できない機械装置の製造及び据付工事契約について、一定の期間にわたり収益を認識しております。

将来の状況の変化によって総原価の見積りと実績が乖離した場合、損益に影響を与える可能性があります。

 

 

5【重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

当社グループは、要素技術から製品の開発まで、積極的な研究開発活動を行っております。

現在、研究開発は当社の研究開発部門と事業部の開発・設計部門及び連結子会社の技術部門が推進しております。当社グループの研究開発スタッフは約310名であります。

また、東芝グループ及びビジネスパートナーとの連携・協力関係を保ち、先進技術の研究開発と商品化を効率的に進めております。

当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は3,835百万円であります。この中には、各セグメントに配分できない全社共通の要素技術開発費1,162百万円が含まれております。

各セグメント別の研究成果、研究開発費は次のとおりであります。

(1)ファインメカトロニクス

半導体製造装置では、枚葉式窒化膜ウェットエッチング装置、ウェーハ洗浄装置、ケミカルドライエッチング装置、マスク用ウェット洗浄装置及びマスク用ドライエッチング装置の開発等をあげることができます。フラットパネル製造装置では、高精細・中小型パネル対応のウェットプロセス装置の開発等をあげることができます。

研究開発費は1,496百万円であります。

(2)メカトロニクスシステム

半導体組立装置ではFO-WLP/PLP用、2.5Dパッケージ用次世代高精度ボンディング装置の開発等を、液晶・OLEDモジュール組立装置では次世代ディスプレイ用OLB装置の開発をあげることができます。電子・真空機器分野では、電子部品向け対応スパッタリング装置の開発等をあげることができます。

研究開発費は905百万円であります。

(3)流通機器システム

券売機分野では、キャッシュレス決済手段・ブランドの増加に対応した機種構成拡充の開発をあげることができます。

 研究開発費は270百万円であります。