文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1) 会社の経営の基本方針
当社は、経営理念を以下のとおり定め、お客様にご満足いただける新たな価値を提供していきます。
① お客様にご満足いただける新たな価値を創造し続けます。
日東工業グループは、お客様にとっての価値を理解し、満足いただける製品やサービスを提供していきます。
われわれは価値創造を継続的に行うことにより、お客様との信頼関係を築き、強化していくことを大切にします。
② 人間尊重の精神に基づいた企業活動を進めます。
従業員一人ひとりの個性を尊重し、能力を生かし、育てることにより、新しい価値を創造する組織への更なる進化を図ります。
公正公平な人事評価と適材適所の人材配置により、従業員が職務を通じて自己実現を果せる会社であることを誓います。
③ 高い倫理観、道徳観に根ざしたコンプライアンス経営を実践します。
日東工業グループは、社会規範に則った公明正大な経営を常に行います。
誠実な行動と日々のたゆまぬ努力の積み重ねによって、安全・安心な、より高い品質の製品・サービスを提供します。
④ 美しい地球を次世代へつなぐことに貢献します。
電気と情報を主な事業領域とする日東工業グループは、企業市民として環境保護に努めていきます。
また同時に、再生可能エネルギーの活用を促進する技術等を通じ、持続可能性を高めることに貢献する価値を創造します。
⑤ 株主価値を高める経営を常に行います。
過去の成功を守ることや目先の利益を追うことを優先し、未来への投資を後回しにするようなことはしません。
株主価値を最大化する中長期的な成長と持続的な利益の創出を経営目標として、変わらず良い会社であり続けるために改善・改革を日々積み重ねます。
(2) 当社グループの経営環境
① 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標
2023年度を最終年度とする「2023中期経営計画」では、定量目標として連結売上高1,500億円、連結営業利益130億円、ROE7.0%以上を設定していましたが、最終期である2024年3月期のROE目標を8.5%以上に引き上げました。

② 中長期的な会社の経営戦略および対処すべき課題
当社グループは2021年度より、以下の長期ビジョンのもと「2023中期経営計画」を推進し、経済的価値と社会的価値を両立させ、企業価値の向上に取り組んでいます。
<長期ビジョン>

<2023中期経営計画>
「2023中期経営計画」に「基本方針を支える基盤」として資本効率経営を追加しました。

「2023中期経営計画」の取り組みは以下のとおりです。
(イ) 電気・情報インフラ関連 製造・工事・サービス事業(日東工業㈱、㈱新愛知電機製作所、南海電設㈱、㈱大洋電機製作所、㈱ECADソリューションズ、Gathergates Group Pte Ltd、NITTO KOGYO BM (THAILAND)CO.,LTD、ELETTO(THAILAND)CO.,LTD、日東工業(中国)有限公司)
(a) コア事業競争力の追求
[配電盤事業戦略]
配電盤事業では、労働人口減少による人手不足や設備の老朽化による電気事故の発生など、配電盤業界の抱える課題に取り組むことで、業界の発展に貢献します。
2021年度は、省施工化や製品の省資源、長寿命化をコンセプトとした新規製品を市場に投入しました。
今後も、お客様の使いやすさを追求した製品開発や既存製品の改良、当社グループのアフターサービス機能の強化を行い、ユーザーが気付いていない隠れた価値を創出することで、お客様に信頼される存在となることを目指します。
[キャビネット事業戦略]
キャビネット事業では、市場の変化とニーズを敏感に捉え、新製品や新たな価値を投入することで社会インフラの構築に貢献します。
2021年度は、Web上で図面作成から発注までをワンストップで対応する「キャビスタ」の機能強化に向けて取り組みを開始しました。CADデータ連携などシステムを絶えず進化させることでさらなる顧客利便性の向上を図っていきます。
今後も、様々な案件の受注を通して技術力を高めるとともに、2024年4月に稼働予定の瀬戸工場ではDXの推進により独自の生産システムを構築し、事業基盤を進化させていきます。
[情報通信関連事業戦略]
情報通信関連事業では、情報通信インフラに関わる幅広い製品群と長年にわたり培ってきた高い技術力で、超スマート社会(Society5.0)の実現に貢献します。
2021年度は「5G」を中心に今後成長が見込まれる情報通信インフラ関連市場において、マーケティング活動を展開し、新製品開発につながる情報収集に努めました。
今後も、同市場向け製品の主力工場である栃木野木工場の生産能力拡充やWeb販売支援ツール機能の強化などにより、拡大する需要に対応できる体制を構築します。
(b) グローバル化
[海外事業戦略]
海外事業では、海外拠点に強固な事業体制を構築し、優良な製品とサービスで社会インフラ構築に貢献します。
2021年度は、タイの現地合弁会社NITTO KOGYO BM(THAILAND)CO.,LTDの新工場が本格稼働しました。また、海外ローカル企業向けの営業活動を強化したほか、現地のニーズに対応した新製品を投入しました。
今後も、安定した事業運営と利益を生み出せる体制作り、事業の選択と集中・不採算事業の縮小などにより強固な事業体制の構築に努めます。さらに、販売手法・販売体制・物流網の構築や生産体制の整備などによる海外事業の拡大を目指します。
(c) 新規ビジネスの展開
[事業領域拡大戦略]
事業領域拡大では、新しい技術や視点の製品・サービスを提供することにより、脱炭素社会、安全で強靭な社会、ニューノーマルな社会の実現に貢献します。
2021年度は、EV充電インフラ事業において、新製品の開発・投入や他企業との業務提携など、様々な施策を行いました。また、ニューノーマル時代の働き方に対応した製品として、多様化するお客様のニーズに対応した現地組立てタイプと2人用タイプの「プライベートボックス」を発売しました。
今後も、脱炭素社会等の実現に向けて、適切なニーズを捉えた製品開発および提案力の強化に努めます。
(ロ) 電気・情報インフラ関連 流通事業(サンテレホン㈱およびその子会社)
電気・情報インフラ関連 流通事業では、超スマート社会(Society5.0)の実現に向け、市場のニーズに的確に対応するなど、情報通信関連のリーディングカンパニーとして次世代ICTインフラ構築の中核を担うソリューションパートナーを目指します。
2021年度は、プラットフォームであるECサイト「GOYOU」の浸透活動を推進しました。
今後も、ソリューション力を強化することで、DX、5G、カーボンニュートラルなどの分野における課題解決に貢献していきます。
(ハ) 電子部品関連 製造事業(北川工業㈱およびその子会社)
電子部品関連 製造事業では、コア技術を深耕・進化させグローバルにソリューションを展開することで売上拡大を目指します。
2021年度は、EVに搭載されるモーターを実負荷状態でEMC試験が可能なEV-Chamberを導入し、対応力を強化しました。
今後も、電動化社会の実現に向けたニーズをキャッチアップし、EMC対策支援を強化していきます。
(ニ) グループ経営基盤
当社グループのDXを推進するため、クラウド基盤・次世代ネットワーク技術を活用したグループICTインフラ基盤を構築します。
2021年度は、グループ全体のセキュリティレベル統一や高可用性基盤の構築による広域災害対策の強化などによりグループ全体の事業継続性を確保することを目的に、組織体制の検討を行い、2022年4月にDX統括部を新設しました。
今後も、グループ各社との迅速で安全な情報連携のほか、人財プラットフォーム構築によるタレントマネジメントに取り組みます。
当社グループはこうした施策により、地球の未来に「信頼と安心」を届ける企業グループとして、より多くのお客様のニーズにお応えし、企業価値の向上に努めていきます。
当社グループは、「内部統制委員会」を設置し、取締役社長の下にリスク管理体制を構築しています。平時においては、各委員会および各本部において「経営リスク管理規程」に従いリスクの軽減等に取り組むとともに、有事においては「緊急時対応要領」に基づき対応する体制を整備し、リスク管理体制の推進を図っています。また主要な各グループ会社からもリスク管理活動に係る報告を受けています。
当社グループの財政状態および経営成績等に影響を及ぼす可能性のある主なリスクは以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(2022年3月31日)時点において当社グループが判断したものです。当社グループは、これらのリスクを認識したうえで、発生の回避および発生したときの対応に万全を尽くす所存です。
(1) 事業活動に係るリスク
① 事業環境について
当社グループの製品需要は、国内の民間非居住建築物棟数や機械受注に関連するものが多く最終的には国内の景気動向の影響を大きく受けます。また、情報通信分野および電子部品分野の製品においては技術革新が急速に進んでおり、保有する在庫の陳腐化や案件の失注等により当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの事業環境では、当該リスクが顕在化する可能性は常にあると認識していますが、コア事業競争力を高めるとともに、事業領域の拡大、東南アジア地域を中心とした海外事業基盤の確立や新規ビジネスの確立などの諸施策を推し進めています。
② 品質について
当社グループが提供している製品は、厳重な品質管理体制のもと製造・出荷されています。不具合等が発生した場合には迅速な対応を行う管理体制を構築していますが、消費生活用製品安全法および製造物責任法に関連した問題が発生した場合には、社会的評価、企業イメージ低下のリスクがあり、当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループが提供している製品は多品種であり個別仕様に基づくものも多くあるなど、当該リスクを完全に排除することは困難であると認識していますが、設計品質の向上、生産工程の改善、検査体制の拡充や品質教育の充実など品質保証体制の強化を着実に進めています。
③ 情報システム、情報セキュリティについて
当社グループは、販売や生産等の事業活動において情報システムに依存しており、また顧客、仕入先、従業員等に関する機密情報や個人情報を扱うことがあります。不測の事態により情報システムの長期間停止、個人情報の流出などが発生した場合、当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
高度化するサイバー攻撃などにより当該リスクを完全に排除することは困難であると認識していますが、情報システムに対する外部攻撃対策、コンピュータウイルス対策、セキュリティ遵守に関する従業員教育等の実施により当該リスクの低減に努めるとともに、積極的に新しい情報システムの活用を継続しています。
④ 労働環境について
当社グループの事業活動は、多くの役職員が携わることにより成立しています。人員の恒久的な不足、労働環境等の悪化による労災事故、労務コンプライアンス問題など、それらにともなう役職員のモラル低下などは当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
労働に対する価値観の多様化が進むなか、当該リスクが常に存在するものであることを認識していますが、グループとして「働きがい改革」を掲げ、安全対策、労働時間管理、相談窓口設置やモチベーション向上施策の実施などにより、健康的でやりがいのある職場環境を実現することで当該リスクの低減に努めています。
⑤ 原材料等の調達について
当社グループは鋼材、ステンレス材、樹脂材、伸銅材などの原材料ならびに購入機器等を使用した製品の製造や情報通信機器等の仕入、販売をしています。国際的な政治・経済情勢や商品市況の動向により調達価格の高騰や供給がひっ迫した場合、当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクは、世界的な半導体不足や上海におけるロックダウンなどにより当社グループのサプライチェーンの一部に影響を及ぼしています。供給が市況等に左右される原材料等を多く使用しているため当該リスクを完全に排除することは困難であると認識していますが、海外調達を含めた購買先の分散、機動的な在庫確保や使用部材の仕様変更などの施策を進めるとともに、共同購買などグループでの購買力を高めることで当該リスクの低減に努めています。
(2) 経営戦略や中長期に顕在化する可能性のあるリスク
① 人財確保、人財育成について
当社グループの持続的な成長には、優秀な人財の確保や育成促進が前提となります。積極的な採用活動、外部専門知識の活用や社内教育制度の充実などを進めていますが、事業展開に必要な人財の確保が困難となった場合、当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
引き続き採用手法の多様化、柔軟な人事制度、多様な人財の登用や教育制度の充実を図ることなどにより、持続的な成長に必要な人財の確保に努めていきます。
② デジタル技術の進化について
デジタル革命の流れは、経営スピード、顧客との関係性や競争力などへ、より一層の影響を及ぼすものと予想されます。現在の競争優位の維持が困難となった場合、当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
引き続きデジタル技術の活用を推進し、優位性のある販売システムやコスト競争力を高めることなどにより事業の競争優位性の維持に努めるとともに、ICTインフラ基盤の構築を通じてグループ経営基盤の強化を進めていきます。
③ 事業ポートフォリオについて
当社グループは主に配・分電盤ならびにコンポーネントの製造、販売等を行う電気・情報インフラ関連 製造・工事・サービス事業をコア事業として、ネットワーク商材を扱う電気・情報インフラ関連 流通事業、電磁波環境コンポーネント等の製造、販売を行う電子部品関連 製造事業により構成されています。当社グループの業績はコア事業を主に担う日東工業株式会社の業績に連動性が高く、コア事業の低迷は当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
引き続きコア事業の一層の強化、各セグメント事業の成長、グローバル化の推進に加えて、EVインフラ、エネルギーマネジメント、防災・減災、働き方改革などに関連した事業領域の拡大、新規ビジネスへのチャレンジなどを通じてグループとしての成長に努めていきます。
④ 海外事業展開について
当社グループは海外でも事業を展開しており、当社グループの成長の重要なキーとなっていますが、事業の低迷、国際的な政治・経済動向あるいは戦争、テロ、大規模自然災害、感染症の発生等により当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
引き続き成長を続ける海外市場において強固な事業体制を構築し、東南アジア地域を中心としたビジネス展開に注力するとともに、グループガバナンス体制の強化を図ることによりグループとしての成長に努めていきます。
⑤ 知的財産について
当社グループは多くの知的財産権を保有し、権利保護のため適切に維持、管理しています。また、第三者の知的財産権についても侵害することのないよう適時適切に調査検討をしています。しかし、第三者との間で、無効、模倣、侵害等の知的財産権の問題が生じた場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
海外市場展開においては知的財産権の管理、とりわけ第三者の知的財産権への侵害等を回避することは事業活動に不可欠なものと認識しており、特許公報、海外規格の調査などを強化することにより当該リスクの低減に努めていきます。
⑥ 環境問題について
地球環境に対する問題意識の高まりは、事業活動におけるエネルギー使用の合理化、環境負荷物質の規制強化による製品対応のみならず、当社グループの環境問題、特に気候変動リスクの取り組み姿勢への評価などは当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、新たに設立した「サステナビリティ委員会」のもと、既設の専門委員会等と連携をとり気候変動に関するリスクと機会のモニタリングを行うとともに、環境課題に対して戦略を策定し取り組みを進めます。また、グループとしてのCО2排出削減目標を設定し、持続可能な社会の実現と企業価値向上に向けて、サプライチェーン排出量削減の取り組みを推進します。
引き続き製造工程における廃棄物の抑制、エネルギー使用の合理化、地球環境に配慮した製品開発、グリーンエネルギーへの切り替え、サプライチェーンや配送を含めたグループの事業活動全般にわたる環境課題に対する取り組みなどを強化することにより当該リスクの低減に努めていきます。
(3) その他
① 大規模災害等について
当社グループの中核企業である日東工業株式会社の本社および主要工場は、今後発生が予想される南海トラフ地震による被災の可能性が高い地域にあります。こうした大規模自然災害等が発生した場合、工場建屋や生産設備の被災、サプライチェーンの復旧遅れ、電力供給不足等により、生産能力および物流機能等に大きな影響が生じ、当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
近い将来、南海トラフ地震による被災の確率は高いと認識しています。当社では人命を最優先に、大規模災害時の生産および販売への影響を最小限に抑えるため、防災訓練、安否確認訓練、各種耐震対策、データ管理の二重化等、事業継続計画の整備を積極的に進めています。
② 新型コロナウイルス感染症について
新型コロナウイルス感染拡大防止による経済活動の停滞がより一層長期にわたった場合、民間設備投資の腰折れ、電気・通信インフラ工事の中止や遅延による需要の減少などが想定され、当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、一部在宅勤務によるテレワーク実施や事業所内の飛沫対策、出勤者への検温実施の徹底などの対策を講じてきました。また、一部の海外調達品の在庫確保や国内調達への代替などに取り組んできました。提出日現在(2022年6月30日)全事業所において概ね通常通りの稼働をしており、事業活動への影響は緩和されつつありますが変異株による感染再拡大への懸念は継続しています。引き続き感染症拡大防止対策を継続して安全確保に努めたうえで事業継続を進めています。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。
当連結会計年度におけるわが国経済は、コロナ禍の影響が徐々に緩和される中、景気は緩やかに持ち直しの動きが見られました。しかし、原材料価格高騰や材料調達難、新たな変異株の感染拡大懸念、ウクライナ情勢の緊迫化など、先行きは不透明な状況で推移しました。
当業界におきましては、新設住宅着工戸数に持ち直しの動きが見られたほか、機械受注や民間非居住建築物棟数は緩やかな回復基調で推移するなど、明るい兆しが見えつつある事業環境となりました。
このような情勢下にあって当社グループは、当期よりスタートした「2023中期経営計画」に基づき、コア事業である配・分電盤ならびにその部材の製造・販売強化に加え、海外事業拡大や新規事業創出に向け、各種施策に取り組みました。
当連結会計年度においては、低迷していた国内外における自動車関連市場等の需要回復を背景に、電子部品関連 製造事業の売上が増加しました。一方、前期計上のGIGAスクール構想案件の売上剥落やコロナ禍の影響等によるキャビネットやネットワーク機器等の売上減少などにより、売上高は132,735百万円と前期比3.7%の減収となりました。上記に加え、原材料価格高騰の影響を受けたことから、営業利益は8,637百万円と同30.0%の減益、経常利益は9,412百万円と同25.7%の減益、親会社株主に帰属する当期純利益は6,607百万円と同25.1%の減益となりました。
セグメント別の業績は次のとおりです。
当連結会計年度より、報告セグメントを「電気・情報インフラ関連 製造・工事・サービス事業」「電気・情報インフラ関連 流通事業」「電子部品関連 製造事業」に変更しています。以下の前期比については、前期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しています。
(電気・情報インフラ関連 製造・工事・サービス事業)
(イ)配電盤部門
配電盤部門につきましては、商用電源と非常用電源を切り替える開閉器を搭載した住宅用分電盤の売上が増加したほか、海外子会社であるGathergates Group Pte Ltdの売上が増加した結果、売上高は40,364百万円と前期比3.2%の増収となりました。
(ロ)キャビネット部門
キャビネット部門につきましては、前期計上のGIGAスクール構想に関連した製品の売上が剥落したほか、データセンター向けのシステムラック等の売上が減少したことなどにより、売上高は21,386百万円と前期比5.9%の減収となりました。
(ハ)遮断器・開閉器・パーツ・その他部門
遮断器・開閉器・パーツ・その他部門につきましては、当業界においてブレーカの供給体制がひっ迫していたものの、当社は安定した供給体制を確保できたことによりブレーカの売上が増加したほか、熱関連機器の売上が堅調に推移した結果、売上高は11,986百万円と前期比7.9%の増収となりました。
(ニ)工事・サービス部門
工事・サービス部門につきましては、前期計上のコロナ対策のためのオフィスレイアウト変更やテレワーク対応の工事案件の売上が減少したほか、各種機器の供給遅れによる工事遅延が発生した結果、売上高は3,775百万円と前期比2.5%の減収となりました。
以上の結果、電気・情報インフラ関連 製造・工事・サービス事業の売上高は77,513百万円と前期比0.9%の増収となりました。一方、鉄鋼や伸銅等の大幅な価格高騰や販管費等の増加などによりセグメント利益(営業利益)は6,485百万円と前期比33.1%の減益となりました。
(電気・情報インフラ関連 流通事業)
電気・情報インフラ関連 流通事業につきましては、前期計上のGIGAスクール構想案件の売上が剥落したほか、オフィス関連の受注減少や半導体不足に起因する各種機器の供給遅れなどによりネットワーク機器やその部材の売上が減少しました。その結果、売上高は41,192百万円と前期比17.4%の減収、セグメント利益(営業利益)は1,078百万円と同44.5%の減益となりました。
(電子部品関連 製造事業)
電子部品関連 製造事業につきましては、低迷していた自動車関連市場の需要回復や業務用エアコンの生産増加などを背景に、各種製品の売上が増加しました。また、原材料の需給ひっ迫の影響から、在庫積み増しを目的とした先行的な受注が増加した結果、売上高は14,029百万円と前期比25.3%の増収となりました。下期以降は、物流費上昇や原材料価格高騰、人件費増加などの影響を受けたものの、セグメント利益(営業利益)は1,039百万円と同50.7%の増益となりました。
当期の財政状態の概況は、次のとおりです。
(資産)
流動資産は、前連結会計年度末に比べて4.2%減少し、78,373百万円となりました。これは棚卸資産の増加3,265百万円などによる増加の一方で、現金及び預金の減少6,141百万円などによる減少がこれらを上回ったことによるものです。
固定資産は、前連結会計年度末に比べて0.2%減少し、45,943百万円となりました。これは有形固定資産が820百万円増加した一方で、のれんの減少730百万円などによる減少がこれらを上回ったことによるものです。
この結果、総資産は前連結会計年度末に比べて2.7%減少し、124,316百万円となりました。
(負債)
流動負債は、前連結会計年度末に比べて15.5%減少し、22,431百万円となりました。これは主に短期借入金の減少3,048百万円などによるものです。
固定負債は、前連結会計年度末に比べて5.9%増加し、2,663百万円となりました。これは主に退職給付に係る負債の増加246百万円などによるものです。
この結果、負債合計は前連結会計年度末に比べて13.7%減少し、25,095百万円となりました。
(純資産)
純資産合計は、剰余金の配当2,878百万円や自己株式の取得4,082百万円などによる減少がある一方、親会社株主に帰属する当期純利益の計上6,607百万円や為替換算調整勘定の増加600百万円などにより、前連結会計年度末に比べて0.5%増加し、99,221百万円となりました。
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ5,982百万円減少の28,319百万円となりました。
なお、当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況とそれらの主な要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において、営業活動によるキャッシュ・フローは8,471百万円(前連結会計年度12,250百万円)となりました。これは、税金等調整前当期純利益9,418百万円の計上に対し、減価償却費の計上4,283百万円などによる資金の増加があった一方で、法人税等の支払額3,855百万円や棚卸資産の増加額3,187百万円などによる資金の減少があったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において、投資活動によるキャッシュ・フローは△4,966百万円(前連結会計年度△3,857百万円)となりました。これは、定期預金の払戻による収入278百万円などによる資金の増加があった一方で、固定資産の取得による支出5,471百万円などによる資金の減少があったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において、財務活動によるキャッシュ・フローは△10,022百万円(前連結会計年度△3,880百万円)となりました。これは、配当金の支払額2,873百万円に加え、自己株式の取得による支出4,082百万円や短期借入金の純減少額3,060百万円などによる資金の減少があったことによるものです。
当社グループは「電気・情報インフラ関連 製造・工事・サービス事業」「電気・情報インフラ関連 流通事業」「電子部品関連 製造事業」の事業活動を展開しています。
当連結会計年度の「生産、受注及び販売の実績」をセグメント別に示すと以下のとおりです。なお、「電気・情報インフラ関連 製造・工事・サービス事業」については部門別の実績を記載していますが、「工事・サービス」部門については、生産実績及び商品仕入実績を定義することが困難であるため記載していません。
当連結会計年度の生産実績をセグメント別に示すと、次のとおりです。
(注) 金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっています。
当連結会計年度の商品仕入実績をセグメント別に示すと、次のとおりです。
(注) 金額は仕入価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっています。
当社グループは製品の性質上、原則として需要予測による見込生産方式をとっているため、記載を省略しています。
当連結会計年度の販売実績をセグメント別に示すと、次のとおりです。
(注) セグメント間の取引については相殺消去しています。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
(イ) 財政状態
当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べて2.7%減少し、124,316百万円となりました。これは、当社の銀行借入返済による流動資産と流動負債の圧縮のほか、資本効率の向上及び経営環境の変化に応じた機動的な資本政策の遂行を図るために実施した自己株式の取得により純資産の積み増しを抑制したことなどによるものです。
(ロ) 経営成績
(売上高)
当連結会計年度においては、低迷していた国内外における自動車関連市場等の需要回復を背景に、電子部品関連 製造事業の売上が増加しました。一方、前期計上のGIGAスクール構想案件の売上剥落やコロナ禍の影響等によるキャビネットやネットワーク機器等の売上減少などにより、売上高は132,735百万円と前期比3.7%の減収となりました。
セグメント別の売上高及び営業利益は以下のとおりです。
(単位:百万円)
(注) 1 売上高におけるセグメント間の取引については相殺消去しています。
2 営業利益の各セグメントの金額は、セグメント間の内部振替前の数値によっています。
3 セグメント別業績についての分析は「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりです。
(営業利益)
営業利益は8,637百万円と同30.0%の減益となりました。これは日東工業単体における限界利益の減少や原材料価格高騰、品群構成の変化などの減益要因のほか、グループ要因として北川工業が増益に寄与したものの、サンテレホンの減益影響が大きかったことによるものです。
なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」という。)等の適用により、当連結会計年度の売上高及び営業利益は481百万円減少しています。
(経常利益)
経常利益は9,412百万円と前期比25.7%の減益となりました。主な要因は、営業利益の減少によるものです。
なお、収益認識会計基準等の適用により売上割引は顧客に支払われる対価として、売上高より減額する方法に変更しています。
(税金等調整前当期純利益)
税金等調整前当期純利益は9,418百万円と前期比25.4%の減益となりました。主な要因は、経常利益の減少によるものです。
なお、当連結会計年度において当社の連結子会社であるSAO NAM AN TRADING SERVICE CORPORATIONにおけるのれんの減損損失283百万円を計上していますが、国庫補助金などの特別利益の計上もあり、税金等調整前当期純利益に与える影響は軽微です。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
親会社株主に帰属する当期純利益は6,607百万円と前期比25.1%の減益となりました。1株当たり当期純利益は、前連結会計年度の218円16銭から164円75銭に減少しました。
2021年度から2023年度の3年間を対象とする「2023中期経営計画」の実績と計画は以下のとおりです。
(単位:億円)
(注) 1 計画については2021年5月13日、実績については2022年5月13日に公表したものです。
2 2022年5月13日に公表したものです。
3 連結売上高及び連結営業利益については2021年5月13日、連結ROEについては2022年5月13日に公表したものです。
当社グループは、2021年度から2023年度までの3ヵ年を対象とする「2023中期経営計画」を策定(2021年5月13日公表)しました。定量目標は、連結売上高1,500億円、連結営業利益130億円、連結ROE7.0%以上を設定し、基本方針としては『足場固めと攻めの経営』を掲げました。足場固めでは、既存事業の体制を強化し収益性を高め、グループ内の事業シナジーを生み出せる体制を整備することで盤石な事業基盤を構築します。攻めの経営では、既存市場・業界を超えた新たな事業の創出や、グローバル展開・新技術の獲得に向けた取り組みの推進など事業拡大にも挑戦し、R&Dや新たな事業への戦略投資、成長に繋がる資本提携、M&Aなどを必要に応じて実行します。
各事業戦略の進捗については、現状順調に推移していますが、2022年4月の新市場区分への移行を契機として、資本効率の向上を重視した経営を推進するため、『2023中期経営計画 追補版』を策定(2022年5月13日公表)し、資本政策の見直しを行いました。それに伴い、中期経営方針は、基本方針『足場固めと攻めの経営』を支える基盤として『資本効率経営』を追加し、2023年度を最終年度とする連結ROE目標は7.0%以上から8.5%以上に引き上げることとしました。配当につきましては、2023中期経営計画の残り2期(2022-2023年度)は配当性向を100%とし、自己資本の積み増しを抑制することで、資本効率(ROE)の向上をはかります。また、3ヵ年資金配分計画(キャッシュアロケーション)の見直しも同時に実施しています。M&A投資・新工場投資・定常の設備投資の総額については変更ありませんが、有利子負債の活用などにより資本構成の最適化を図ります。
「2023中期経営計画」の中間年度となる2023年3月期の計画につきましては、売上高145,000百万円(前期比9.2%の増収)、営業利益は9,600百万円(前期比11.1%の増益)を見込んでいます。コロナ禍の影響や材料調達難は徐々に緩和されると判断していますが、ウクライナ情勢等により引き続き材料調達難や原材料価格高騰は懸念材料となっています。原材料価格高騰に対しては、業務改善や生産性向上によるコストの吸収に努めていますが、自助努力では吸収は困難な状況であり、価格改定等の実施を予定しています。
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローは、営業活動によるキャッシュ・フローが8,471百万円、投資活動によるキャッシュ・フローが△4,966百万円、財務活動によるキャッシュ・フローが△10,022百万円となりました。当連結会計年度末の現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末の34,301百万円から5,982百万円減少し、28,319百万円となりました。
当連結会計年度における借入金残高は84百万円となっていますが、本借入金額は当社グループの資産額を鑑みるに十分返済可能な額であり、当社グループの資本の財源及び資金の流動性に与える影響は軽微であると考えています。
当社グループの資金需要のうち主なものは、部材購入費、人件費及び新製品並びに合理化・省力化用の設備投資にかかるものです。また、市場優位性確保のための研究開発投資についても積極的に行っています。
当社グループの運転資金及び設備資金については、主に自己資金を充当しています。当連結会計年度においては、生産設備の取得・更新のほか、瀬戸工場関連や基幹システムの再構築などによる支出があり、キャッシュ・フローが減少する主な要因となっていますが、投資活動による支出は、営業活動によるキャッシュ・フローの範囲内に収まっています。また、今後の運転資金、設備資金及び研究開発投資資金については、従来と同様に財務内容及び営業キャッシュ・フロー等による自己資金を主に充当することとしていますが、大型投資となる瀬戸工場の建設やグループ各社における成長投資、2022年5月13日に公表した配当方針の変更などにより今後資金需要が増加する予定であり、現在銀行借入等も含め最適な資金調達方法を検討しています。
新型コロナウイルス感染症の影響については、当該影響による経済活動への制約は徐々に緩和されるという前提で2023年3月期の経営計画を策定しており、提出日現在において当該事象が当社グループのキャッシュ・フローや資金の流動性に与える影響は限定的であると考えています。しかしながら、新型コロナウイルス感染症の収束時期は未だ不透明であることから、想定以上に事態が悪化した場合に備え、グループ資金の効率化の推進や新たな資金調達方法の検討など、資金の流動性を確保するための取り組みを進めています。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しています。この連結財務諸表の作成にあたり、棚卸資産、有価証券、有形・無形固定資産、各引当金等の計上に関しては、一般に公正妥当と認められている会計基準に準拠した当社グループ会計方針及び見積り基準に基づき計上しています。上記の会計上の見積りは、期末日現在の資産・負債の金額、偶発的な資産・負債の開示及び報告対象期間の収益・費用の金額に影響を与える様々な見積りや仮定を用いており、実際の結果は、これらの見積りと異なる場合があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しています。
(吸収合併契約)
当社は、2021年8月30日開催の取締役会において、2022年4月1日を効力発生日として、当社の完全子会社である東北日東工業株式会社を吸収合併することを決議し、本合併に係る合併契約を締結しました。
詳細は「第5 経理の状況 2 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 (重要な後発事象)」に記載しています。
当社グループは、「電気・情報インフラ関連 製造・工事・サービス事業」及び「電子部品関連 製造事業」において各分野の商品を研究開発し、幅広く市場に展開しています。
当連結会計年度の研究開発費は
(1) 電気・情報インフラ関連 製造・工事・サービス事業
当連結会計年度の研究開発活動については、顕在化されているもののみではなく、潜在的な課題やニーズを発掘し、「日東工業の商品を使って良かった。」とお客様にご満足いただけるよう、社会の持続的発展へ貢献、チャレンジする活動を行いました。
当セグメントにおける当連結会計年度の研究開発費は
配電盤は、『仮設盤』のラインナップ充実を図りました。『仮設盤』は、建設現場などで工事用に電力を供給するための分電盤であり、建設現場などにおける高頻度の電線着脱や端子台保守の作業負担などの課題がありました。この課題解決のため、『仮設盤』のブレーカ用端子台に『リペア端子形』を搭載しました。リペア機能により端子台を盤から取り外すことなく端子ユニットが交換可能なため、メンテナンスなど作業時間の削減や廃棄部品の削減に貢献します。
住宅用分電盤は、需要が拡大する家庭用蓄電システム向けの『電源切替機能付ホーム分電盤』として、蓄電池メーカー向けに機種設定を増加し、カーボンニュートラルの実現に貢献します。
また、海外開発部門ではNITTO KOGYO BM(THAILAND)CO.,LTDの新工場立ち上げに合わせ、ローカル市場向け分電盤シリーズの拡充を行いました。ターゲット市場の多角化により売上拡大を図ります。
光接続箱関連製品は、5GやIoTの普及により携帯基地局や監視カメラ、構内ネットワーク構築などにおいて、小心数光ファイバーとネットワーク機器をキャビネット内に同時収納可能でコンパクトな製品の需要が増加しています。このネットワーク構築に最適な『光接続箱 小心数樹脂タイプ』を機種追加し、製品の小型・軽量化や施工・配線の作業性向上により、社会インフラ構築に貢献します。
ワークスタイルの変革に伴うテレワークやWeb会議個室スペースの市場拡大を背景に、需要が増加している『プライベートボックス』をモデルチェンジし、使い易さの向上や現地組立に対応しました。また、2人用タイプを機種追加し、2人でのWEB会議や面談にも対応しました。更に、空間をデザインする株式会社サンゲツとのコラボレーションにより、お客様の様々なニーズにお応えし快適なプライベート空間を実現します。
キャビネットは、近年の地球温暖化によるゲリラ豪雨や大型台風に伴う暴風雨など異常気象を背景に、『耐風雨キャビネット タフテクト』に続き、風雨対策キャビネットシリーズとしてプラボックスの風雨等級性能表示及び関連オプションの充実を図りました。防災・減災に関する製品ラインナップを充実し、安全・安心にご使用いただく環境づくりに貢献します。
システムラックは、データセンター向けラックのドアにエキスパンドメタル材を採用し、使用材料削減による環境に配慮した製品を開発しました。また、従来品より開口面積を拡大したことにより排熱性能が向上し、データセンター空調の省エネ化に貢献します。
ブレーカへの接続に適した『ブレーカ用端子台シリーズ』に『リペア端子形』及び『スプリング端子形』をラインナップしました。『リペア端子形』は、工事現場の仮設盤での使用を想定し、破損した端子ユニットのみを交換可能としたことにより、従来比90%の交換作業時間短縮を実現しました。
また、現場で廃棄となっていた端子台が再利用できるため廃棄物の削減へと繋がる環境に配慮した製品となります。『スプリング端子形』は、端子台の二次側を速結端子とすることにより、工具レスで簡単な電線接続を可能としました。これにより作業時間を削減し、作業者不足の解消に貢献します。
EV普通充電器は、従来の倍速で充電可能な6kW高出力タイプをラインナップに加えた普通充電器『Pit-2Gシリーズ』を発売しました。主力の4G通信モデルは、遠隔での制御・監視が可能で、Webアプリを使って充電スケジュール設定や充電出力の調整などが可能です。このエネルギーマネジメント機能により、業務車両のEV化を進める企業に採用が広がっています。また、複数のEV充電サービス事業者とのサービス連携(サーバ間によるAPI連携)を実現しました。これにより、課金決済や予約の仕組み、スマート充電とも連携ができ、マンションから商業施設などのパブリック向けまで様々なシチュエーションで使える充電器となっています。さらにEV充電器の世界標準プロトコルOCPPにも対応しました。普通充電器のリーディングカンパニーとして、急速に進むEV化及び脱炭素社会の実現に貢献します。
その他、電気火災の主な原因となる火花放電を検出し、電気火災の未然防止に貢献する放電検出ユニット『スパーテクト』の普及拡大を図るとともに、シリーズ強化に取組んでいます。
当社製品は、情報化社会の発展に伴い、屋外に設置される監視カメラ、携帯基地局など情報通信インフラの重要度が増す中、ゲリラ豪雨、強風、地震などの過酷な自然環境にも耐えられる性能が要求されています。当社は、業界に先駆け暴風雨を模擬できる「風雨試験設備」及び実際の地震の揺れを再現可能な「3軸耐震試験設備」を導入し、新たな市場開拓や顧客要求を満たす製品の研究開発を行っています。従来、キャビネットに対する保護性能は、IP性能(防塵・防水性能)で評価していますが、これに加え、実際の自然環境を模擬し、風と雨が同時に屋外キャビネットに与える影響を評価するため、一般財団法人建材試験センターと国立研究開発法人防災科学技術研究所のご協力をいただき、風雨等級(WP)で性能表示される風雨性能評価基準を制定しました。風雨性能評価基準に基づき風雨等級を性能表示した商品『耐風雨キャビネット タフテクト』が、各種インフラ関連機器を収納するキャビネットとして、沿岸部や高所などの環境で採用いただいています。
なお、一連の取り組みが一般社団法人レジリエンスジャパン推進協議会主催の第8回「ジャパン・レジリエンス・アワード(強靭化大賞)」にて評価いただき、優良賞を受賞しました(2022年4月27日)。
また、今後成長が見込まれる分野に向けた研究も進めています。次世代技術を構築するため、データセンター関連では熱対策技術、屋外用設備については騒音対策や屋外設置環境技術、省エネルギー及び安全性に関する研究や防災関連では放電検出技術、また、環境にやさしい新技術、新工法や新素材の研究を行っています。
(2) 電子部品関連 製造事業
当連結会計年度の研究開発活動については、自動車の電動化、各種機器の省力化及び5G通信に付随する電磁波障害問題や熱問題を中心として、振動衝撃問題や音問題などの対策製品開発に取り組んできました。また薄膜技術を応用した機能性部品や産学連携によるSDGsへ貢献するオリジナル素材の研究開発にも取り組んできました。
当セグメントにおける当連結会計年度の研究開発費は
① 電磁波環境コンポーネント部品
CО2削減に向けて自動車の電動化が加速する中で、HEV・EV・PHEV等の環境自動車(もしくは「新エネルギー自動車」)向けノイズフィルターの高性能化(高インピーダンス化、省スペース化、耐飽和対応)やユニット化の取り組みを強化しました。また基板上でのグランド強化部材として省スペース対応や接点用途に向けた自動実装グランド部品の取り組みを進めました。
② 精密エンジニアリングコンポーネント部品
多機能化の要求に対応すべく、グランド機能を付与した樹脂部品やアプライアンス市場に向けたスペーサー部品の開発に注力しました。
③ 熱対策部品
自動車市場において自動運転技術に必要な高速画像処理や各種センサーの搭載増加や、環境自動車に搭載されるバッテリーの容量拡大や小型化に対する温度管理の重要性から熱対策製品の需要が拡大しており、これらに向けた高熱伝導性能、低反発性及び絶縁性を向上させた熱伝導シートの開発に強化しました。また、5G時代を迎えた通信機器市場においては、SоCやDDRなど高密度高実装デバイス向けにディスペンサーによる自動実装塗布が可能で、グリスの様な液だれがせず、さらに高熱伝導化させた液状熱伝導材を新たに開発しました。
④ 振動・衝撃・音対策部品
車載市場において高電圧ハーネスやHMI機器の振動対策部材の開発に注力し、開発を進めました。素材開発のみならず実機評価からの最適な振動対策支援も積極的に進め、ソフトサービスにも注力しています。
⑤ 薄膜技術応用開発製品
車載市場や建材市場を狙った機能性フィルムの開発や社会インフラ関係を狙った環境検知センサーのモジュール開発を進めました。
⑥ 環境対応素材
カーボンニュートラルへ貢献する環境対応材料の開発及びウォーターポジティブへ貢献する造水モジュールに用いる素材を産学連携にて開発を進め、社会実装での検証をスタートしました。社会実装が出来るように評価の標準化や改良を進めていきます。