第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

 NECグループの連結財務諸表は、当連結会計年度から国際財務報告基準(以下「IFRS」という。)を適用しています。また、前連結会計年度の連結財務諸表につきましても、IFRSに準拠して表示しています。

 

(1)業績

当連結会計年度の世界経済は、英国の欧州連合離脱の決定等の政治的不確実性の拡大により、先進国では米国や欧州の成長率がやや鈍化し、新興国も資源安の影響等から成長率が横ばいとなったことから、全体の成長率はやや減速しました。

日本経済は、公共投資が減少したものの、企業業績が堅調に推移したことによる設備投資の増加や住宅投資の増加などにより、プラス成長となりました。

このような事業環境のもと、NECグループでは、2016年4月に発表した「2018中期経営計画」の二つの経営方針である「収益構造の立て直し」および「成長軌道への回帰」に基づき、前期までの課題を踏まえた変革に取り組み、社会ソリューション事業への注力を継続しました。

まず、「収益構造の立て直し」では、①課題事業・不採算案件への対応、②業務改革推進プロジェクト、③開発・生産機能の最適化に取り組みました。

課題事業・不採算案件への対応では、課題事業であるスマートエネルギー事業において、リソースを最適化すべく人員の配置転換を進めました。また、同事業における国内電力会社向け事業をパブリック事業における電力会社向け事業と統合し、営業体制を強化しました。さらに、小型蓄電については、ハードウェアの自主開発体制の見直しを推進しました。しかしながら、電力会社の投資抑制や競争激化などの影響により、スマートエネルギー事業の損益は、当期初に策定した改善計画を達成することができませんでした。また、不採算案件の抑制のためプロジェクトのリスク管理体制を強化しましたが、その結果、パブリック事業のIT領域案件やテレコムキャリア事業の海外案件に係る損失は減少したものの、パブリック事業の社会インフラ領域やその他事業の海外案件で新たな損失が発生しました。

業務改革推進プロジェクトでは、NECマネジメントパートナー㈱を軸として、スタフ業務効率化および経費・IT費用効率化を推進し、前期比でほぼ計画どおりの約140億円の費用を削減しました。

開発・生産機能の最適化では、2017年4月1日付で、国内におけるハードウェア開発・生産子会社およびソフトウェア開発子会社をそれぞれ再編・統合しました。

続いて、「成長軌道への回帰」では、社会ソリューション事業のグローバル化を推進するため、①セーフティ事業(サーベイランス、サイバーセキュリティ)、②グローバルキャリア向けネットワーク事業(TOMS(通信運用管理ソリューション)、SDN/NFV(Software-Defined Networking / Network Functions Virtualization))、③リテール向けITサービス事業の拡大に取り組みました。

セーフティ事業では、当社の強みである認証技術や、セキュリティオペレーションセンターの運用ノウハウを活用したリアルタイムでの事象把握により、さらなる安全・安心の確保に貢献する取り組みを進めました。具体的には、米国ニューヨークのジョン・F・ケネディ国際空港に入国審査用の顔認証システムを納入し、オーストラリアでは連邦政府機関や州警察などで当社の生体認証システムの採用が拡大しました。また、当社は、世界的権威のある米国国立標準技術研究所が実施した2017年の動画顔認証技術のベンチマークテストにおいて、照合精度99.2%と他社を大きく引き離して第1位の性能評価を獲得し、これまでの静止画顔認証技術のベンチマークテストを含め、4回連続で第1位となりました。さらに、当社の子会社であるNECラテン・アメリカ社は、政府機関等の大手顧客を有するITセキュリティ事業者であるブラジルのアルコン・インフォルマチカ社を買収し、ブラジルにおいて、セーフティ事業を含めたITサービス事業の拡大をはかっています。

グローバルキャリア向けネットワーク事業では、TOMSの提供力および顧客基盤ならびにSDN/NFVの商用実績を強みとして、通信事業者による高度な通信サービスの迅速な実現に向けて取り組みました。具体的には、SDN/NFVシステムの新規導入や既存システムとの統合などを支援するソリューション「AVP(Agile Virtualization Platform and Practice)」の提供を開始し、欧州、中近東、北米などにおいて、大手通信事業者からSDN/NFVの商用案件を10件獲得しました。

リテール向けITサービス事業では、大手コンビニエンスストア向けのサービス提供実績を強みとして、24時間365日の安全・安心・効率的な店舗経営の実現やさらなる消費者利便性の向上に向けた取り組みを進めました。具体的には、システムの企画から開発・導入・保守までの全般にわたるITサービスのライフサイクル・マネジメントの強化に加えて、販売・流通チャネルを問わず商品を購入できる環境を実現するオムニチャネル、流通・サービス業におけるオペレーションの効率化や施設・設備管理などの新たな価値を提供するソリューションの強化に取り組みました。また、米国セブン-イレブンから、米国、カナダにある約8,600店舗向けのPOSシステムとその保守サービスを受注しました。

当社は、これらに加えて、当社の社会ソリューション事業の差異化の鍵となるAI(人工知能)やIoT(Internet of Things)の領域において、技術ブランド「NEC the WISE」を立ち上げ、関連技術の開発・活用を推進しました。また、国立研究開発法人産業技術総合研究所、国立大学法人大阪大学、国立大学法人東京大学、国立研究開発法人理化学研究所などとAIを活用した将来の社会価値創出に向けた共創に取り組むとともに、米国ゼネラル・エレクトリック社とのIoT分野における包括的な提携、㈱デンソーとのAIやIoTを活用した高度運転支援・自動運転およびモノづくりの分野での協業などを開始しました。さらに、当社は、IoTや自動運転などの成長領域における連携強化などを目的として、日本航空電子工業㈱の普通株式に対する公開買付けを実施し、同社を連結子会社化しました。

これらの取り組みにもかかわらず、当社は、当期において、2017年1月30日に業績予想を下方修正いたしました。このような状況を踏まえ、市場環境や顧客動向の変化に迅速に対応すべく、経営スピードのさらなる向上をはかり、変革を実行していきます。

 

 このような経営環境のもと、当連結会計年度の売上収益は2兆6,650億円(前連結会計年度比5.7%減)、営業損益は418億円の利益(同496億円悪化)、税引前損益は681億円の利益(同185億円悪化)、親会社の所有者に帰属する当期損益は273億円の利益(同486億円悪化)となりました。また、当連結会計年度のフリー・キャッシュ・フロー(「営業活動によるキャッシュ・フロー」と「投資活動によるキャッシュ・フロー」の合計額)は、990億円の収入となりました。当連結会計年度末の有利子負債(短期借入金、コマーシャル・ペーパー、1年内返済予定の長期借入金、1年内償還予定の社債、社債、長期借入金およびその他(リース債務)を合計したもの)残高は、前連結会計年度末に比べ126億円減少し、4,669億円となり、デット・エクイティ・レシオ(D/Eレシオ、自己資本(「資本合計」から「非支配持分」を控除したもの)に対する有利子負債の割合)は、0.55倍(前連結会計年度末比0.07ポイント改善)となりました。

 各セグメント別の業績は、以下のとおりです。なお、各セグメント別の売上収益については、外部顧客に対する売上収益を記載しています。

 

a. パブリック事業

 

 パブリック事業の売上収益は、当第4四半期連結会計期間から日本航空電子工業㈱を連結子会社化したものの、公共向けが消防・救急無線のデジタル化需要の一巡で減少したことなどにより、前連結会計年度に比べ356億円(4.6%)減少し、7,360億円となりました。

 

 営業損益は、売上の減少に加え、宇宙事業の採算性悪化などにより、前連結会計年度に比べ113億円悪化し、460億円の利益となりました。

b. エンタープライズ事業

 

 エンタープライズ事業の売上収益は、製造業向けが堅調に推移したことなどにより、前連結会計年度に比べ59億円(2.0%)増加し、3,063億円となりました。

 

 営業損益は、前連結会計年度並みの239億円の利益となりました。

 

c. テレコムキャリア事業

 

 テレコムキャリア事業の売上収益は、国内外の通信事業者の設備投資が低調に推移したことや、円高の影響を受けたことなどにより、前連結会計年度に比べ859億円(12.3%)減少し、6,116億円となりました。

 

 営業損益は、売上の減少に加え、円高の影響を受けたことなどにより、前連結会計年度に比べ271億円悪化し、195億円の利益となりました。

 

d. システムプラットフォーム事業

 

 システムプラットフォーム事業の売上収益は、ハードウェアや企業ネットワークが減少したことなどにより、前連結会計年度に比べ88億円(1.2%)減少し、7,198億円となりました。

 

 営業損益は、売上の減少などにより、前連結会計年度に比べ23億円悪化し、294億円の利益となりました。

 

e. その他

 

 その他の売上収益は、スマートエネルギー事業が減少したことなどにより、前連結会計年度に比べ355億円(10.9%)減少し、2,913億円となりました。

 

 営業損益は、海外事業の採算性が悪化したものの、スマートエネルギー事業の損益改善などにより、前連結会計年度に比べ40億円改善し、142億円の損失となりました。

 

(2)キャッシュ・フロー

当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、925億円の収入で、前連結会計年度に比べ53億円悪化しました。

投資活動によるキャッシュ・フローは、64億円の収入で、前連結会計年度に比べ386億円収入額が増加しました。これは、関連会社株式の売却による収入や子会社の取得による収入が増加したことなどによるものです。

この結果、営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローを合算したフリー・キャッシュ・フローは990億円の収入となり、前連結会計年度に比べ333億円改善しました。

財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の返済などを行ったことなどにより、489億円の支出となりました。

 上記の結果、現金及び現金同等物は、2,400億円となり、前連結会計年度末に比べ476億円増加しました。

 

 

 (3)並行開示情報

 連結財務諸表規則(第7章及び第8章を除く。以下「日本基準」という。)により作成した要約連結財務諸表及びIFRSにより作成した連結財務諸表における主要な項目と日本基準により作成した場合の連結財務諸表におけるこれらに相当する項目との差異に関する事項は、以下のとおりです。

 なお、日本基準により作成した当連結会計年度の要約連結財務諸表については、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査を受けていません。

 

① 要約連結貸借対照表(日本基準)

(単位:百万円)

 

 

前連結会計年度

(2016年3月31日)

当連結会計年度

(2017年3月31日)

資産の部

 

 

流動資産

1,527,259

1,581,578

固定資産

 

 

有形固定資産

331,794

406,816

無形固定資産

157,671

177,469

投資その他の資産

476,717

511,372

固定資産合計

966,182

1,095,657

資産合計

2,493,441

2,677,235

 

 

 

負債の部

 

 

流動負債

1,012,042

990,706

固定負債

628,906

670,950

負債合計

1,640,948

1,661,656

 

 

 

純資産の部

 

 

株主資本

808,560

825,496

その他の包括利益累計額

△16,468

57,061

新株予約権

126

非支配株主持分

60,401

132,896

純資産合計

852,493

1,015,579

負債純資産合計

2,493,441

2,677,235

 

② 要約連結損益計算書及び要約連結包括利益計算書(日本基準)

要約連結損益計算書

(単位:百万円)

 

 

前連結会計年度

(自 2015年4月 1日

至 2016年3月31日)

当連結会計年度

(自 2016年4月 1日

至 2017年3月31日)

売上高

2,821,181

2,669,616

売上原価

1,978,757

1,912,800

売上総利益

842,424

756,816

販売費及び一般管理費

735,118

703,980

営業利益

107,306

52,836

営業外収益

17,976

29,434

営業外費用

42,547

43,855

経常利益

82,735

38,415

特別利益

6,095

34,684

特別損失

10,908

10,670

税金等調整前当期純利益

77,922

62,429

法人税等合計

3,883

21,781

当期純利益

74,039

40,648

非支配株主に帰属する当期純利益

5,290

8,094

親会社株主に帰属する当期純利益

68,749

32,554

 

 

要約連結包括利益計算書

(単位:百万円)

 

 

前連結会計年度

(自 2015年4月 1日

至 2016年3月31日)

当連結会計年度

(自 2016年4月 1日

至 2017年3月31日)

当期純利益

74,039

40,648

その他の包括利益合計

△92,040

72,468

包括利益

△18,001

113,116

(内訳)

 

 

親会社株主に係る包括利益

△21,480

106,083

非支配株主に係る包括利益

3,479

7,033

 

③ 要約連結株主資本等変動計算書(日本基準)

前連結会計年度(自 2015年4月1日 至 2016年3月31日)

(単位:百万円)

 

 

株主資本

その他の

包括利益累計額

非支配株主持分

純資産合計

当期首残高

749,889

73,761

60,542

884,192

当期変動額合計

58,671

△90,229

△141

△31,699

当期末残高

808,560

△16,468

60,401

852,493

 

当連結会計年度(自 2016年4月1日 至 2017年3月31日)

(単位:百万円)

 

 

株主資本

その他の

包括利益累計額

新株予約権

非支配株主持分

純資産合計

当期首残高

808,560

△16,468

60,401

852,493

当期変動額合計

16,936

73,529

126

72,495

163,086

当期末残高

825,496

57,061

126

132,896

1,015,579

 

 

④ 要約連結キャッシュ・フロー計算書(日本基準)

(単位:百万円)

 

 

前連結会計年度

(自 2015年4月 1日

至 2016年3月31日)

当連結会計年度

(自 2016年4月 1日

至 2017年3月31日)

営業活動によるキャッシュ・フロー

97,829

92,525

投資活動によるキャッシュ・フロー

△32,202

6,425

財務活動によるキャッシュ・フロー

△50,082

△48,881

現金及び現金同等物に係る換算差額

△4,354

△2,422

現金及び現金同等物の増減額(△は減少)

11,191

47,647

現金及び現金同等物の期首残高

181,132

192,323

現金及び現金同等物の期末残高

192,323

239,970

 

⑤ 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項の変更(日本基準)

 

前連結会計年度(自 2015年4月1日 至 2016年3月31日)

(企業結合に関する会計基準等の適用)

 「企業結合に関する会計基準」(企業会計基準第21号 平成25年9月13日。以下「企業結合会計基準」という。)、「連結財務諸表に関する会計基準」(企業会計基準第22号 平成25年9月13日。以下「連結会計基準」という。)および「事業分離等に関する会計基準」(企業会計基準第7号 平成25年9月13日。以下「事業分離等会計基準」という。)等を当連結会計年度から適用し、支配が継続している場合の子会社に対する当社の持分変動による差額を資本剰余金として計上するとともに、取得関連費用を発生した連結会計年度の費用として計上する方法に変更しています。また、当連結会計年度の期首以後実施される企業結合については、暫定的な会計処理の確定による取得原価の配分額の見直しを企業結合日の属する連結会計年度の連結財務諸表に反映させる方法に変更しています。加えて、当期純利益等の表示の変更および少数株主持分から非支配株主持分への表示の変更を行っています。当該表示の変更を反映させるため、前連結会計年度については連結財務諸表の組替を行っています。

 企業結合会計基準等の適用については、企業結合会計基準第58-2項(4)、連結会計基準第44-5項(4)および事業分離等会計基準第57-4項(4)に定める経過的な取扱いに従い、当連結会計年度の期首時点から将来にわたって適用しています。

 この結果、当連結会計年度の営業損益、経常損益および税金等調整前当期純損益に与える影響は、軽微です。また、当連結会計年度末の資本剰余金に与える影響は、軽微です。

 当連結会計年度の連結キャッシュ・フロー計算書においては、連結範囲の変動を伴わない子会社株式の取得または売却に係るキャッシュ・フローについては、「財務活動によるキャッシュ・フロー」の区分に記載し、連結範囲の変動を伴う子会社株式の取得関連費用もしくは連結範囲の変動を伴わない子会社株式の取得または売却に関連して生じた費用に係るキャッシュ・フローは、「営業活動によるキャッシュ・フロー」の区分に記載しています。

 

当連結会計年度(自 2016年4月1日 至 2017年3月31日)

 該当事項はありません。

 

⑥ IFRSにより作成した連結財務諸表における主要な項目と日本基準により作成した場合の連結財務諸表におけるこれらに相当する項目との差異に関する事項

 

前連結会計年度(自 2015年4月1日 至 2016年3月31日)

 「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 39.初度適用」に記載のとおりです。

 

当連結会計年度(自 2016年4月1日 至 2017年3月31日)

 [従業員給付費用]

 日本基準では数理計算上の差異を、その発生時の従業員の平均残存勤務期間以内の一定の年数による定額法により翌年度から純損益として処理していましたが、IFRSではすべての数理計算上の差異を発生時点でその他の包括利益として処理し、定額法による純損益への振替は行っていません。

 また、日本基準では過去勤務費用を、その発生時の従業員の平均残存勤務期間以内の一定の年数による定額法により純損益として処理していましたが、IFRSでは当該費用を即時に純損益として処理しています。

 さらに日本基準では利息費用及び制度資産に係る期待運用収益を使用していましたが、IFRSでは確定給付負債(資産)の純額に係る利息純額を使用しています。

この結果、販売費及び一般管理費が2,619百万円増加しています。

 

 [のれんの償却]

 日本基準ではのれんを20年以内のその効果の及ぶ期間で規則的に償却を行っていましたが、IFRSでは償却を行いません。この結果、販売費及び一般管理費が9,633百万円減少しています。

 

2【生産、受注及び販売の状況】

 NECグループの生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その容量、構造、形式等は必ずしも一様ではなく、また受注生産形態をとらない製品も多いため、セグメントごとに生産規模、受注規模を金額あるいは数量で示すことはしていません。

 このため、生産、受注および販売の状況については、「1 業績等の概要」におけるセグメントの業績に関連づけて示しています。

 なお、外部顧客への売上収益のうち、連結損益計算書の売上収益の10%以上を占める相手先がないため、主要な販売先に関する記載を省略しています。

 

3【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において、NECグループが判断したものです。

(1)会社の経営の基本方針

NECグループは、企業理念およびグループビジョンを次のとおり掲げています。

 

NECグループ企業理念: ”NECはC&Cをとおして、世界の人々が相互に理解を深め、人間性を十分に発揮する豊かな社会の実現に貢献します。”

NECグループビジョン: ”人と地球にやさしい情報社会をイノベーションで実現するグローバルリーディングカンパニー”

 

NECグループは、企業理念とビジョンに基づき、ネットワーク技術とコンピューティング技術をあわせ持つ類のない企業として、社会に不可欠なインフラシステム・サービスを高度化する「社会ソリューション事業」に注力しています。この事業活動を通じ、人が豊かに生きるための「安全」、「安心」、「効率」そして「公平」という社会価値を創造し、「人と地球にやさしい情報社会」を全てのステークホルダーと協奏し作り上げていきます。

これらを実現していくために、NECグループ社員が大切にする価値観・行動原理を“NECグループバリュー”としてまとめ、実践に努めています。

 

NECグループバリュー: “イノベーションへの情熱”“自助”“共創”“ベタープロダクツ・ベターサービス”

 

イノベーションへの情熱を原動力として、個人一人ひとりが自ら動くと同時に、チームの一員として価値を共に創造する、そして創業以来共有してきた「ベタープロダクツ・ベターサービス」の価値観をもって、常により良い製品・サービスを提供することで、お客様の満足と喜びを創造する。NECグループにおいて100年を超える歴史の中で培われ、受け継がれてきたこれらのバリューを実践していくことで、グループ企業理念、グループビジョンを実現していきます。

 

NECグループは、企業理念、ビジョン、バリュー、企業行動憲章、行動規範を含むNECグループの経営活動の仕組みを体系化した「NEC Way」の実践を通して企業価値の最大化をはかり、社会と企業の持続的な成長を目指していきたいと考えています。そして、お客さま、株主・投資家の皆さま、取引先、地域社会、従業員をはじめとするステークホルダーの満足を追求していきます。

 

(2)目標とする経営指標

NECグループでは、グローバルリーディングカンパニーとしての業績水準の実現を目指し、収益性の向上に軸足を置いた経営指標として、自己資本利益率(ROE)を最重要視していますが、2017年3月期のROEは3.4%となりました。

 

(3)中長期的な会社の経営戦略および対処すべき課題

NECグループは、「人と地球にやさしい情報社会をイノベーションで実現するグローバルリーディングカンパニー」を目指しています。

 

NECグループは、2016年4月に発表した「2018中期経営計画」において、①収益構造の立て直し、②成長軌道への回帰を経営方針として掲げ、以下のとおり取り組んでいます。

 

① 収益構造の立て直し

営業利益率5%を実現する収益構造を確立します。具体的には、スマートエネルギー事業の構造改革や新たな不採算案件の発生を防ぐためのプロジェクト・マネジメント力の強化に取り組みます。さらに、業務改革推進プロジェクトを加速させ、NECグループの競争力をグローバルに支える経営基盤の強化に努めます。

 

② 成長軌道への回帰

社会ソリューション事業のグローバル化を推進します。具体的には、(i)セーフティ事業(サーベイランス、サイバーセキュリティ)、(ii)グローバルキャリア向けネットワーク事業(TOMS、SDN/NFV)、(iii)リテール向けITサービス事業を注力事業と定義し、市場成長が見込める領域にリソースを集中することにより事業拡大をはかります。

 

2017年3月期は、「2018中期経営計画」の初年度でしたが、2017年1月30日に業績予想を下方修正いたしました。このような状況を踏まえ、市場環境や顧客動向の変化へ迅速に対応していくため、経営スピードのさらなる向上をはかり、一層の変革を実行していきます。

 

具体的には、中期経営計画・年度予算の策定プロセスを見直し、戦略策定から実行への落し込みを迅速化します。また、全社横断的な戦略に基づき事業をさらに推進していくため、チーフオフィサーへの権限委譲を進め、その役割・権限・責任を拡大し、明確化することで意思決定スピードの加速を推進します。

 

国内事業においては、課題事業の変革を実行し、事業の収益性を改善することで強固な国内収益基盤を構築します。また、海外事業においては、グローバル競争力の獲得に向けた投資の継続や、M&Aを活用した事業の規模拡大および収益性の向上をはかることにより、注力3事業をより一層推進していきます。これに加えて、当社のコアアセットを活用した海外の成長領域への事業拡大を見据えて新たな戦略を策定します。これらの対策を実行していくにあたっては、事業ポートフォリオの継続的な見直しを行い、収益性の高い事業への選択と集中を進めていきます。

 

当社は、2016年7月に、東京電力㈱(現東京電力ホールディングス㈱)との電力保安通信用機器の取引について公正取引委員会から独占禁止法違反行為があった旨の認定を受け、また2017年2月に、消防救急デジタル無線機器の取引ならびに中部電力㈱とのハイブリッド光通信装置および伝送路用装置の取引について公正取引委員会から独占禁止法違反行為があったとして、排除措置命令および課徴金納付命令を受けました。

 

NECグループは、コンプライアンスを経営上の重要課題の一つと捉え、その徹底と内部統制システムの整備・運用に継続して取り組んでいますが、上記事案を踏まえ、あらためて経営トップからコンプライアンスに関するメッセージを繰り返し発信するとともに、公正取引教育の内容・方法の見直しと公正取引に関する社内審査・モニタリング制度の強化を行い、従業員の意識改革をはかりました。今後も、コンプライアンス体制の不断の見直しを行うことにより再発防止を徹底し、信頼回復に向け一層の努力をしてまいります。

 

NECグループは、人が豊かに生きるための安全・安心・効率的・公平な社会の実現に、グローバルで貢献するとともに、自らも成長していく「社会価値創造型企業」への変革に全力で取り組んでまいります。

 

(4)株式会社の支配に関する基本方針

当社は、当社の財務および事業の方針の決定を支配する者のありかたは、株主が最終的に決定するものと考えています。一方、経営支配権の取得を目的とする当社株式の大量買付行為や買収提案があった場合には、買収提案に応じるか否かについての株主の判断のため、買収提案者に対して対価等の条件の妥当性や買付行為がNECグループの経営方針や事業計画等に与える影響などに関する適切な情報の提供を求めるとともに、それが当社の企業価値および株主共同の利益の向上に寄与するものであるかどうかについて評価、検討し、速やかに当社の見解を示すことが取締役会の責任であると考えています。また、状況に応じて、買収提案者との交渉や株主への代替案の提示を行うことも必要であると考えます。

当社は、現在、買収提案者が出現した場合の対応方針としての買収防衛策をあらかじめ定めていませんが、買収提案があった場合に、買収提案者から適切な情報が得られなかったとき、株主が買収提案について判断をするための十分な時間が与えられていないとき、または買付行為が当社の企業価値および株主共同の利益の向上に反すると判断したときには、その時点において実行可能で、かつ株主に受け入れられる合理的な対抗策を直ちに決定し、実施する予定です。また、今後の事業環境、市場動向、関係法令等の動向により適当と認めるときは、当社の企業価値および株主共同の利益の向上を目的として、買収提案に対抗するための買収防衛策をあらかじめ導入することも検討します。

4【事業等のリスク】

 本有価証券報告書に記載した事業の状況、経理、財務の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、NECグループが判断したものです。

(1)経済環境や金融市場の動向に関するリスク

① 経済動向による影響

   NECグループの事業は、国内市場に大きく依存しています。NECグループの売上収益のうち国内顧客に対する売上収益の構成比は、2017年3月期において連結売上収益の78.6%を占めています。今後の日本における経済情勢の悪化は、NECグループの業績および財政状態に重大な悪影響を与える可能性があります。

   また、NECグループの事業は、アジア、欧州、米国を含むNECグループが事業を行う国や地域の経済動向によっても影響を受けます。

   NECグループの事業計画および業績予想は、NECグループが属する市場における経済活動の予測に基づき作成していますが、上記のような一般的な経済の不透明さによって市場における経済活動の予測も困難となっており、NECグループの将来の収益および必要経費についても、その予測が困難となっています。計画編成または業績予想を行う際に予測を見誤った場合、NECグループは変化する市場環境に適切に対応できない可能性があります。

 

② 市況変動

   NECグループの製品の中には、その市況変動が大きいものがあります。これら製品の市場低迷時は、製品需要の縮小、製品の陳腐化、過剰在庫、販売価格の急速な下落および過剰生産をもたらします。また、これらの市場は不安定な性質を有しており、回復したとしても将来再び低迷する可能性があり、その結果、NECグループの将来の業績に悪影響を与える可能性があります。

 

③ 為替相場および金利の変動

   NECグループは、外国為替相場変動のリスクにさらされています。円建てで表示されている当社の連結財務諸表は、外国為替相場変動の影響を受けます。為替変動は、外貨建取引から発生する株式投資、資産および負債の日本円換算額ならびに外貨建てで取引されている製品・サービスの原価および売上収益に影響を与えます。NECグループは、為替リスクを軽減し、またこれを回避するために様々な手段を講じていますが、為替相場の変動は事業、業績および財政状態に悪影響を与える可能性があります。特定の外国為替の変動は、競合会社に有利に影響する一方で、NECグループには悪影響を与える場合もあります。

   また、NECグループは、金利変動リスクにもさらされており、かかるリスクは、NECグループの事業運営に係る経費全体ならびに資産および負債の価値、特に長期借入金の価値に影響を与える可能性があります。NECグループは、このような金利変動リスクを回避するために様々な手段を講じていますが、かかる金利変動リスクは、NECグループの事業運営に係る経費の増加、金融資産の価値の下落または負債の増大を招く可能性があります。

 

(2) NECグループの経営方針に関するリスク

① 財務および収益の変動

   NECグループの各四半期または各年度の経営成績は、必ずしも将来において期待される業績の指標とはなりません。NECグループの業績は、新技術・新製品・新サービスの導入や市場での受容、製品原価の変動とプロダクト・ミックス、顧客の事業が成功するか否かにより影響を受け、また製品・サービスごとに異なる顧客の注文の規模や時期、買収した事業や獲得した技術の影響、生産能力やリードタイム、固定費等を含む種々の要因により四半期毎、年度毎に変動しており、今後も変動します。

   NECグループの業績に影響を与え、特定の期間の業績予想を困難にする、NECグループがコントロールできない動向や外部要因には、次のようなものがあります。

   (a) 提供する製品・サービスを取り巻く事業環境の悪化

   (b) 財政支出の規模、時期を含む政府のIT・通信インフラの開発、展開に関する決定

   (c) 顧客による設備投資の規模や時期

   (d) 顧客の在庫管理方針

   (e) IT・通信市場一般の状況ならびに日本経済および世界経済の全般的な状況

   (f) IT・通信業界に影響を与える政府規制や政策の変更

   (g) 資本市場の状況および顧客や取引先による資金調達力または設備投資能力の悪化

   (h) 顧客や取引先の信用状態の悪化等

   これらの動向や要因は、NECグループの事業、業績および財政状態に重大な悪影響を与える可能性があります。

 

② 企業買収等

   NECグループは、事業拡大や競争力強化などを目的として、企業買収、事業統合および事業再編を実施しており、今後もその適切な機会を追求していきますが、これらは、次のような要因により、NECグループの戦略上の目標達成能力に悪影響を与える可能性があります。

   (a) かかる企業買収、事業統合および事業再編による成長機会の確保、財務体質の改善、投資効果や期待されるその他の利益が、期待していた期間中に実現されないかまたは全く達成されない可能性

   (b) かかる企業買収、事業統合および事業再編に適用される規制・関係法令や契約上またはその他の条件により、計画された企業買収、事業統合および事業再編が予定どおりに完了しないかまたは全く実行されない可能性

   (c) かかる企業買収、事業統合および事業再編の過程において、人事・情報システム、経営管理システム、および顧客向け製品・サービスの整理または統合の遅れや、想定外の費用および負担が発生するなど、予期せぬ問題が発生する可能性

   (d) 顧客が、費用やリスク管理等のために仕入先の分散を望む場合に、合併または再編後の会社が既存の顧客および戦略的パートナーを維持できない可能性

   (e) 合併または再編後の会社がNECグループの追加の財務支援を必要とする可能性

   (f) 経営陣および主要な従業員等が、企業買収、事業統合または事業再編に必要な業務に割かれることにより、NECグループの収益の増加およびコスト削減に必要な能力が損なわれる可能性

   (g) かかる企業買収や事業再編から発生するのれんおよびその他の無形資産が減損および償却の対象となる可能性

   (h) 合併または再編後の会社への出資について、評価損が発生する可能性

   (i) その他、かかる企業買収、事業統合および事業再編が予期せぬ負の結果をもたらす可能性

   これらを含むいずれのリスクも、NECグループの事業、業績、財政状態および株価に悪影響を与える可能性があります。

 

③ 戦略的パートナーとの提携関係

   NECグループは、新技術および新製品の開発ならびに既存製品および新製品の製造に関して、業界の先進企業と長期的な戦略的提携関係を構築していますが、これらの戦略的パートナーに財務上その他事業上の問題が発生した場合や、戦略的パートナーが戦略上の目標変更や提携相手の見直し等を行った場合、NECグループとの提携関係を維持しようとしなくなるか、維持することができなくなる可能性があります。これらの提携関係を維持できない場合には、NECグループの事業活動に支障が生じる可能性があります。NECグループは、大規模プロジェクトに他の企業とともに参加し、NECグループと他の企業の製品またはサービスを統合して顧客の要求に合致するシステムとして提供することがあります。NECグループ以外の企業が提供する製品またはサービスのいずれかに起因する当該統合システムの誤作動または顧客の要求事項との相違その他の欠陥や問題が生じた場合、NECグループの評価および事業に悪影響を与える可能性があります。

 

④ 海外事業の拡大

   NECグループは、海外市場での事業拡大に向けて種々の施策を実行していますが、海外の潜在的な顧客と現地供給業者との間の長期的な提携関係の存在や国内事業者保護のための規制等の種々の障壁に直面しています。また、海外市場での成長機会を捉えるために、収益の計上が見込まれる時期より相当前から多額の投資を行う必要がNECグループに生じる可能性がありますが、このような投資額の増大によって、利益の増加を上回るペースで費用が増加する可能性があります。さらに、海外におけるNECグループの事業および投資は、為替管理、外資による投資または利益もしくは投資資本の本国送金に対する諸規制、現地産業の国有化、輸出入規制の変更、税制・税率の変更、経済的・社会的・政治的リスク等により悪影響を受ける可能性があります。

   さらに、海外(特に新興市場)の金融市場および経済に問題が発生した場合には、当該市場の顧客からの需要が悪影響を受ける可能性もあります。

   これらの要因により、NECグループは、海外市場における事業拡大に成功せず、その結果、NECグループの事業成長および業績が悪影響を受ける可能性があります。

 

(3)NECグループの事業活動に関するリスク

① 技術革新および顧客ニーズへの対応

   NECグループが事業を展開する市場は、急速な技術変化と技術標準の進展、顧客の嗜好の変化および新製品・新サービスの頻繁な導入を特徴としており、これらにより既存の製品・サービスは急速に陳腐化し、または市場性を失う傾向があります。NECグループの将来における競争力は、次のような技術革新への対応能力の有無に左右されます。

   (a) 急速な技術革新に対応して、技術面でのリーダーシップを維持する能力

   (b) 既存の製品・サービスを向上させる能力

   (c) 革新的な製品をタイムリーにかつコスト効率よく開発し生産する能力

   (d) 新たな製品・サービスおよび技術を使用し、またはこれらに適応する能力

   (e) 優秀な技術者や理工学分野の人材を採用し雇用する能力

   (f) 開発する新製品・新サービスに対する需要およびこれらの商品性を正確に予測する能力

   (g) 新製品の開発または出荷の遅延を回避する能力

   (h) 高度化する顧客の要求に対応する能力

   (i) 顧客の製品およびシステムにNECグループの製品が組み込まれるようにする能力

   NECグループは、技術革新および顧客嗜好の急速な変化に対応する、製品・サービスの改良や新製品・新サービスの開発を行い、市場投入することができない可能性があります。NECグループがこれらの技術革新および顧客嗜好の変化に適切に対応できなかった場合、NECグループの事業、業績および財政状態は著しく損なわれる可能性があります。さらに、NECグループの技術を顧客の期待に沿ったかたちで製品に組み込むことができなかった場合、NECグループの顧客との関係、評価および収益に悪影響を与える可能性があります。

   NECグループは、現在販売している製品や将来販売しようとしている製品について、業界の標準規格となる技術を開発し製品化するために、他の企業との提携およびパートナーシップの形成・強化に努めています。また、NECグループは、かかる技術の開発および製品化に多大な資金、人材およびその他の資源を投じています。しかし、競合会社の技術が業界の標準規格として採用された場合、かかる規格技術の開発や製品化を行うことができない可能性があります。そのような場合、NECグループの競争上のポジション、評価および業績に悪影響を与える可能性があります。

   さらに、新製品の開発においては、長い時間や多額の費用を要することがあり、実際に販売される相当前から多くのリソースを投入することを約束させられる等、多くのリスクを伴います。新製品の開発中に新たな技術が導入され、または標準規格が変更されること等により、NECグループが開発した製品を市場に投入する前に、当該製品が陳腐化し競争力を失う可能性があります。新製品には想定外の欠陥が含まれている可能性があり、新製品を市場に投入または出荷した後にこれらが発見された場合、これらにより顧客に生じた損失に対する責任を追及される可能性があります。

 

② 製造工程

   NECグループが事業を展開する市場では、急速な技術変化と技術革新のもと、顧客ニーズの変化に応じ頻繁な新製品・新サービスの導入が必要とされています。

   これらの製品の製造工程は非常に複雑であるため、高性能かつ高額な製造設備が必要であり、その効率および性能を改善するためには継続的な改良が必要です。生産上の困難さや非効率さにより、収益性に影響が生じたり、生産が中断する可能性があり、製品を納期どおりにコスト効率よくかつ競争力あるかたちで提供できない可能性があります。また、製造設備の故障、異常等により生産が中断し、迅速に代替製造設備への移管ができない場合には、顧客がNECグループの競合会社の製品を購入する可能性があり、さらに、生産能力不足により、NECグループの競争力が低下する可能性があります。その結果、大幅な減収をもたらす可能性があります。

   また、需要の低迷期には、NECグループが需要縮小に対応するために生産量およびコストを削減しようとしても、従業員の解雇に対する法令上および実務上の制約、労使協定その他の要因による制限を受け、製造コストを十分に下げることができない可能性があります。反対に、需要の増大期は、NECグループが顧客の注文を満たすのに十分な生産能力を備えておらず、その結果、顧客が需要の増加に対応できるNECグループの競合会社に発注先を変更することにより、NECグループの売上が減少する可能性があります。

 

③ 製品およびサービスの欠陥

   NECグループが提供する製品およびサービスは、その欠陥により顧客に深刻な損失をもたらす可能性があります。顧客の基幹業務等高い信頼性が求められる、いわゆるミッションクリティカルな状況において使用されている製品またはサービスに欠陥が生じた場合、NECグループは、顧客等に生じた損失に対する責任を追及される可能性があります。また、製品またはサービスの欠陥により社会的評価が低下した場合は、NECグループの製品およびサービスに対する顧客の購買意欲が低下する可能性があります。

   NECグループでは、製品またはサービスの欠陥や不採算プロジェクトの発生を防ぐため、システム開発などのプロジェクトを遂行するにあたっては、システム要件の確定状況や技術的難易度の把握、システムを構成するハードウェアやソフトウェアの品質管理など、商談開始時からプロジェクトのリスク管理を徹底していますが、これらの発生を完全に防ぐことは困難です。NECグループが提供する製品もしくはサービスに欠陥が生じた場合または不採算プロジェクトが発生した場合には、NECグループの事業、業績および財政状態に悪影響を与える可能性があります。

 

④ 資材等の調達

   NECグループの生産活動には、資材、部品、製造装置その他の調達物品がタイムリーに納入されることが必要であり、中にはジャスト・イン・タイムの条件で購入しているものもあります。これらの資材等には、その複雑さや特殊性から仕入先が少数に限定されているものおよび仕入先または調達物品の切り替えが困難なものがあります。NECグループは、使用する資材、部品、製造装置その他の調達物品を現在十分確保しているものと認識していますが、NECグループに対する調達物品の供給に遅延もしくは中断が生じた場合または業界内の需要が増加した場合には、必要不可欠な資材が不足する可能性があります。さらに、金融市場の混乱によりNECグループの仕入先の資金繰りや支払能力に問題が生じた場合には、NECグループの調達物品の調達元が減少したり、そのサプライチェーンに混乱が生じる可能性があります。NECグループがこれらの調達物品を機動的に調達できない場合、またはその調達のために極めて多額の代金の支払いが必要となる場合には、NECグループの業績が悪化する可能性があります。なお、仕入先への依存および物品の調達には、一般に次のようなリスクを伴います。

   (a) 主要な仕入先の支払不能等

   (b) NECグループ製品の信頼性および評価に悪影響を与えるような欠陥が資材、部品、製造装置その他の調達物品に含まれている可能性

   (c) 資材、部品、製造装置またはその他の調達物品が十分に確保できない可能性および調達物品の調達スケジュールを十分に管理できず、NECグループの生産能力および生産効率に悪影響を与える可能性

   (d) 資材、部品、製造装置またはその他の調達物品の価格上昇によりNECグループの収益性に悪影響を与える可能性

 

⑤ 知的財産権等

   NECグループの事業は、NECグループが独自に開発した技術ならびにNECグループの製品、サービス、事業モデルならびにデザインおよび製造プロセスに必要な特許権その他の知的財産権を取得できるか否かにより大きな影響を受けます。

   特許権等の登録・維持には、長い時間と多額の費用を要します。これらの特許は、異議申立てを受け、無効とされ、または回避される可能性があります。また、NECグループが数多くの特許権その他の知的財産権を保有していたとしても、これらの権利によりNECグループの競争上の優位性が常に保証されているわけではありません。

   NECグループが事業を展開する領域での技術革新は非常に速いため、知的財産権による保護には陳腐化のリスクがあります。また、NECグループが将来取得する特許権の請求範囲がNECグループの技術を保護するために十分広範囲であるという保証もありません。さらに、国によっては、特許権、著作権、トレードシークレット等の知的財産権による効果的な保護が与えられず、または制限を受ける場合があります。NECグループの企業秘密は、従業員、契約の相手方その他の者によって不正に開示または流用される可能性があります。また、NECグループの知的財産権を侵害した品質の劣る模倣品により、NECグループのブランドイメージが損なわれ、NECグループの製品の売上に悪影響を与える可能性もあります。さらに、NECグループが特許権その他の知的財産権を行使するために訴訟を提起する必要がある場合、当該訴訟に多額の費用および多くの経営資源が必要となる可能性があります。

 

⑥ 第三者からのライセンス

   NECグループの製品には、第三者からソフトウェアライセンスやその他の知的財産権のライセンスを受けて製造・販売しているものがあり、今後もNECグループの製品に関連して第三者から必要なライセンスを受け、またはこれを更新する必要があります。NECグループは、経験および業界の一般的な慣行を踏まえ、原則としてこれらのライセンスを商業的に合理的な条件で取得することができると考えています。しかし、将来NECグループが必要とするライセンスを、第三者から商業的に合理的な条件で取得できる保証はなく、また、全く取得できない可能性もあります。

 

⑦ 競争の激化

   NECグループは、事業を展開する多くの市場において激しい競争にさらされているため、NECグループにとって適正な価格設定をすることが困難な状況に置かれています。かかる競争状態は、NECグループの利益の維持に対する深刻な圧力となっており、当該圧力は特に市場が低迷した場合に顕著となります。また、競合会社の市場参入に伴い、NECグループの製品・サービスが厳しい価格競争にさらされるリスクが増大しています。主にアジア諸国における競合会社の中には、生産コストの面でNECグループよりも有利であり、顧客に対する販売価格面で競争力を有している会社が存在する可能性があります。また、近年、NECグループが開発した新製品の市場投入から競合会社による同一または同種の製品の市場投入までの間隔が短くなっており、NECグループの製品が従来より早く激しい競争にさらされる可能性があります。

   NECグループは、大規模な多国籍企業から比較的小規模で急成長中の高度に専門化した企業まで、国内外を問わず多くの会社と競合しています。特定分野に特化している多くの競合会社とは異なり、NECグループは多角的に事業を展開しているために、それぞれの特定事業分野に関しては、競合会社ほどの資金を投入できない場合があり、また、そのような競合会社と同程度の迅速さや柔軟性をもって変化に対応することや、市場機会を捉えることができない可能性があります。

   NECグループは、現在の競合会社や潜在的な競合会社の一部に対し、製品やサービスを販売することがあります。例えば、大規模なプロジェクトで競合会社が主契約者となり、NECグループのソリューションを組み込みまたは利用して、ソリューションを提供する場合において、NECグループは、競合会社から注文を受けて、競合会社に対しNECグループのソリューションを提供する場合があります。この場合、かかる競合会社が、競合またはその他の理由により、かかる大規模なプロジェクトにおいてNECグループのソリューションを利用しないこととした場合、NECグループの事業に悪影響を与える可能性があります。

 

⑧ 特定の主要顧客への依存

   NECグループの売上収益において一定割合を占める、NTTグループをはじめとした特定の主要顧客が事業上もしくは財務上の重大な問題その他何らかの理由により設備投資額もしくはNECグループとの取引額を削減する場合または投資対象を変更する場合には、NECグループの事業、業績および財政状態に悪影響を与える可能性があります。

⑨ 顧客に対する信用リスク

   NECグループは、顧客に対してベンダーファイナンス(NECグループの製品・サービスの購入資金の供与)を提供することがあり、また、支払期間の延長や、NECグループの製品・サービスの購入を援助するためその他の方法による財務支援を行うことがあります。NECグループが財務上またはその他の事情により、顧客が受入れ可能な条件での支払条件の設定もしくはその他の方法による財務支援ができない場合、または条件にかかわらずかかる行為を一切行うことができない場合は、NECグループの業績に悪影響を与える可能性があります。さらに、NECグループの顧客の多くは、代金後払いの方法によりNECグループから製品・サービスを購入していますが、NECグループが支払期限の延長またはその他の支払条件の提案を行った顧客やNECグループが多額の売掛金を有する顧客に財務上の問題が発生した場合には、NECグループの事業、業績および財政状態に悪影響を与える可能性があります。

 

⑩ 人材の確保

   NECグループは、製品・サービスおよびソリューションを開発するため、優秀な従業員を獲得し維持する必要があります。NECグループの人事部門は、重要な技術部門に配属可能な人材を採用し、その雇用の継続に努めていますが、優秀な従業員が多数離職した場合または優秀な人材を新規に採用することができなかった場合は、NECグループの事業目的の達成が困難になる可能性があります。

 

⑪ 資金調達

   NECグループは、営業活動によるキャッシュ・フローや銀行その他の金融機関からの借入金による資金調達に加え、コマーシャル・ペーパーその他の債券の募集等により資本市場から資金を調達しています。NECグループの格付けが引き下げられた場合、NECグループの金利負担が増加し、NECグループのコマーシャル・ペーパー市場または債券市場における資金調達能力が悪影響を受ける可能性があり、その結果、NECグループの財政状態および手許流動性にも悪影響を与える可能性があります。

   NECグループの資金調達は、NECグループの主要な貸手の倒産やNECグループに対する融資停止の決定、または資本市場の不安定さにより、悪影響を受ける可能性があります。NECグループが満足できる条件で外部から資金を調達することができない場合もしくは全く資金を調達することができない場合、または営業活動や必要に応じた資産の売却によって十分なキャッシュ・フローを生み出すことができない場合、NECグループは債務を履行することができなくなり、NECグループの事業は重大な悪影響を受ける可能性があります。また、NECグループの事業のために必要な資金調達を追加的な借入れで行う場合、NECグループの成長戦略を実行する能力に制約を与えるような財務的その他の制限的義務が課される可能性があります。

 

(4)内部統制・法的手続・法的規制等に関するリスク

① 内部統制

   NECグループは、財務報告の正確性を確保するために、業務プロセスの文書化やより厳密な内部監査の実施により内部統制システムの強化に努めていますが、その内部統制システムが有効なものであっても、財務諸表の作成およびその適正な表示について合理的な保証を与えることができるにすぎず、従業員等の人為的なミスや不正、複数の従業員等による共謀等によって機能しなくなる場合があります。また、内部統制システムの構築当時に想定していなかった事業環境の変化や非定型な取引に対応できず、構築された業務プロセスが十分に機能しない可能性もあり、虚偽の財務報告、横領等の不正および不注意による誤謬が発生する可能性を完全には否定することはできません。このような事態が生じた場合には、財務情報を修正する必要が生じ、NECグループの財政状態および業績に悪影響を与える可能性があります。また、NECグループの内部統制システムに開示すべき重要な不備が発見された場合、金融市場におけるNECグループの評価に悪影響を与える可能性があり、かかる不備を是正するために多額の追加費用が発生する可能性もあります。さらに、内部統制システムの開示すべき重要な不備に起因して、行政処分または司法処分を受けた場合には、NECグループは、事業機会を失う可能性があります。

   NECグループは、業務の適正化および効率化の観点から業務プロセスの継続的な改善・標準化に努めていますが、様々な国や地域で事業活動を行っており、また業務プロセスも多岐にわたっているため、共通の業務プロセスの設計およびその定着化は必ずしも容易ではなく、結果として業務プロセスの改善・標準化に多くの経営資源・人的資源と長期間にわたる対応の継続を要し、多額の費用が発生する可能性があります。

 

② 法的手続

   NECグループは、特許権その他の知的財産権に係る侵害その他の主張に基づく訴訟または法的手続を申し立てられることがあります。NECグループの事業分野には多くの特許権その他の知的財産権が存在し、また、新たな特許権その他の知的財産権が次々と生じているため、ある製品または部品について第三者の特許権その他の知的財産権を侵害する可能性の有無を事前に完全に評価することは困難です。特許権その他の知的財産権侵害の主張が正当であるか否かにかかわらず、かかる主張に対してNECグループを防御するためには、多額の費用および多くの経営資源が必要となる可能性があります。特許権その他の知的財産権侵害の主張が認められ、NECグループが侵害したとされる技術またはそれに代わる技術についてのライセンスを取得できなかった場合には、NECグループの事業に重大な悪影響を与える可能性があります。

   NECグループは、商取引法、独占禁止法、製造物責任法、環境保護法などに関する様々な訴訟および法的手続の対象となる可能性があります。

   NECグループが当事者となっているかまたは今後当事者となる可能性のある訴訟および法的手続の結果を予測することは困難ですが、かかる手続においてNECグループにとって不利な結果が生じた場合、NECグループの事業、業績または財政状態に重大な悪影響を与える可能性があります。さらに、NECグループが関係する法的手続に関して、経営陣が深く関わることが求められる可能性があり、その場合、経営陣の本来の業務であるNECグループの事業運営に支障が生じる可能性があります。

③ 法的規制等

   NECグループは、事業を展開する多くの国や地域において、予想外の規制の変更、法令適用や政府の政策の運用の不確実性およびその法的責任が不透明であることに関連する多様なリスクにさらされています。日本およびその他の国や地域の政府の経済、租税、労働、国防、財政支出等に関する政策を含め、NECグループが事業を展開する国や地域における規制環境の重要な変更は、NECグループの事業、業績および財政状態に悪影響を与える可能性があります。

   通信(インターネット関連の事業および技術に関するものを含む。)に関する国内または国際規制および通信料金の変更は、NECグループの製品・サービスの売上に影響し、かつNECグループの事業、業績および財政状態に悪影響を与える可能性があります。

 

④ 環境規制等

   NECグループの事業は、大気汚染、水質汚濁、有害物質の使用および取り扱い、廃棄物処理、製品含有化学物質、製品リサイクルならびに土壌・地下水汚染の規制や地球温暖化防止などを目的とした様々な環境法令の適用を受けています。また、NECグループは、過去、現在および将来の製造活動に関し、環境責任を負うリスクを抱えています。NECグループは、自主管理基準を設定し、NECグループの環境方針に従って日常的な点検や環境監査を実施するなど、法令および政府当局の指針の遵守に努めていますが、将来、新たなまたはより厳格化する環境規制の遵守や、有害物質等を除去する義務に関する費用が発生する場合、NECグループの事業、業績および財政状態に悪影響を与える可能性があります。

 

⑤ 税務

   NECグループの実効税率は、税率の低い国や地域での収益が予想よりも少なく、税率の高い国や地域での収益が予想よりも多い場合や、NECグループの繰延税金資産および繰延税金負債の評価の変更、移転価格の調整、損金算入されない報酬の税効果、またはNECグループが事業を展開する多くの国や地域における租税法令、会計基準もしくはそれらの解釈の変更が行われた場合、悪影響を受ける可能性があります。今後、実効税率が大幅に上昇した場合には、NECグループの将来の利益が減少する可能性があります。現在、NECグループは、繰越欠損金および将来減算一時差異により繰延税金資産を計上していますが、これらはいずれも将来の課税所得を減額する効果があります。繰延税金資産は課税所得によってのみ回収されます。市況やその他の環境のさらなる悪化により、繰越期間中のNECグループの事業およびタックス・プランニングによる将来の課税所得が予想よりも低いと見込まれる場合には、回収可能と考えられるNECグループの繰延税金資産の額が減額される可能性があります。また、法人税率の引下げ等の租税法令の改正や会計基準の変更がなされた場合においても、NECグループの繰延税金資産の額が減額される可能性があります。かかる減額は、その調整が行われた期間におけるNECグループの利益に悪影響を与えます。

   また、NECグループは、税務申告について様々な国や地域の税務当局により継続的な監査および調査を受けています。NECグループでは、未払法人所得税等の妥当性を判断するため、これらの監査および調査の結果生じる悪影響の可能性について定期的に評価していますが、これらの監査や調査の結果は、NECグループの業績および財政状態に悪影響を与える可能性があります。

 

⑥ 情報管理

   NECグループは、通常の事業遂行に関連して、個人番号(マイナンバー)を含む多数の個人情報や機密情報を保有しています。近年、企業や機関が保有する情報や記録が流出し、または不正なアクセスやサイバー攻撃を受けるといった事件が多発しています。NECグループが保有する顧客または従業員に関する個人情報や機密情報が流出し、または不正なアクセスやサイバー攻撃を受け、それが不正に使用された場合には、NECグループは法的な責任を負い、規制当局による処分を受ける可能性があり、NECグループの評価およびブランド価値が損なわれる可能性があります。

   NECグループは、個人情報を個人情報保護法等の関係法令に従い取り扱わなければなりません。NECグループが、かかる情報を保護できなかった場合、これにより生じた経済的損失または精神的苦痛に対し、賠償しなければならない場合があります。また、情報保護対策を実施するために、多額の費用が発生し、または通常業務に支障が生じる可能性があります。加えて、情報漏えい事故が発生した場合には、NECグループの業務、システムまたはブランドに対する社会的信用が低下し、NECグループに対する顧客および市場からの信頼を失い、NECグループの事業、業績および財政状態に重大な悪影響を与える可能性があります。

 

⑦ 人権・労働環境等

   NECグループが事業を展開する国や地域では、人権や労働安全衛生等に係る問題への企業の対応に関心が高まっています。NECグループの事業拠点やサプライチェーンにおいて、これらの問題に適切に対応できなかった場合、地域住民、顧客・消費者、株主・投資家、人権保護団体などの様々なステークホルダーからの批判にさらされ、NECグループの評価およびブランド価値が損なわれる可能性があります。

 

(5)その他のリスク

① 自然災害や火災等の災害

   国内外を問わず、NECグループが事業を展開する国や地域において、自然災害や火災、気候変動に起因する異常気象(集中豪雨、洪水、水不足等)、致死率の高い強毒性の感染症の世界的な蔓延(パンデミック)、戦争、テロリストによる攻撃等が発生した場合、NECグループ、NECグループの仕入先および顧客に損害、混乱が生じる可能性があります。また、これらの災害等が国内外の経済活動の停滞、為替相場・金利変動、政治不安・経済不安、治安および世情の悪化を引き起こし、NECグループの事業を阻害する可能性があります。NECグループでは事前の減災対策を行なうとともに緊急時の復旧手順や行動要領等をまとめた事業継続計画(BCP)を策定していますが、自然災害が発生すると被災地域における電気・ガス・水道・通信・交通などの社会インフラが破壊され、人的被害や製造停止、資材調達困難、物流困難、環境・品質リスクの発生など、事業に多大な影響を与える可能性があります。また、新型インフルエンザ等、人類が免疫を持たない未知の感染症が蔓延すると、人材の確保ならびに労働環境のリスクが高まるほか、感染症蔓延地域における顧客の需要低下、仕入先の操業中断など、事業運営に悪影響を与える可能性があります。

 

 

② 会計方針の適用

   NECグループが会計方針を適用する際に用いる方法、見積りおよび判断は、NECグループの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。かかる方法、見積りおよび判断は、その性質上、重要なリスク、不確実性および仮定を伴うものであり、今後かかる方法、見積りおよび判断の変更を必要とする要因が発生する可能性もあります。かかる方法、見積りおよび判断が変更された場合、NECグループの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。また、金融市場の不安定さおよび経済全体の不透明さにより、債券および株式投資について将来実現される実際の金額が現時点で計上されている公正価値と大きく異なる可能性があります。会計基準の新たな適用や変更も、NECグループの財政状態および業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 確定給付制度債務

   確定給付制度債務の見込額を算出する基礎となる割引率等の数理計算上の仮定に変動が生じた場合、NECグループの財政状態および業績に悪影響を与える可能性があります。例えば、将来、割引率が低下した場合や、制度の変更により過去勤務費用が発生した場合には、確定給付制度債務および確定給付費用が増加する可能性があります。

 

④ 当社普通株式の米国での売却

   当社は、2005年度以降の決算期に係る年次報告書を米国証券取引委員会(SEC)に提出できなかったため、2007年10月、米国ナスダック・ストック・マーケットは、当社の米国預託証券の上場を廃止しました。さらに、2005年度以降の決算期に係る年次報告書を提出できなかったこと等に関し、SECより非公式の調査を受け、2008年6月、当社は、本件に関してSECとの間で和解し、この和解の一部として、SECから米国1934年証券取引所法(米国証券取引所法)第12条(j)項に基づき、(a)SECの調査の結果、当社が違反したとSECが判断する米国証券取引所法に違反する行為を当社が今後行わないことおよび(b)当社普通株式および米国預託証券の米国証券取引所法に基づく登録を廃止することを内容とする命令を受けました。当社は、SECの命令に記載されたSEC調査の内容に関して、認諾または否認のいずれも行っておらず、また、SECから課徴金その他の金銭の支払いを求められていません。しかしながら、登録が廃止された結果、各国の証券業者および米国の証券取引所の会員は、当社普通株式もしくは米国預託証券の取引の実行、または当社普通株式もしくは米国預託証券の購入・売却の勧誘に、郵便その他の方法または米国における州際通商の手段を利用できないため、当社株主は当社普通株式を米国で売却することが困難であり、この状況は今後も継続する可能性があります。

 

5【経営上の重要な契約等】

(1) 重要な技術導入、提供契約

 2017年3月31日現在における重要な技術導入、技術提供等の契約は、次のとおりです。

当 事 者

契約の内容

契約期間

当社および

インターナショナル・ビジネス・

マシーンズ社(米国)

情報取扱装置に関する特許の相互実施許諾

自:2006年9月28日

至:対象特許の終了日

当社およびインテル社(米国)

情報取扱装置に関する特許の相互実施許諾

自:2005年2月5日

至:対象特許の終了日

当社およびマイクロソフト社(米国)

情報取扱装置に関する特許の相互実施許諾

自:2006年1月1日

至:対象特許の終了日

 

 

6【研究開発活動】

 NECグループは、ICTを活用して社会インフラを高度化する「社会ソリューション事業」に注力することにより、人が豊かに生きる安全・安心・効率的・公平な社会の実現を目指しています。その実現に向けて中央研究所は、社会ソリューション事業の軸となる既存事業を発展させる技術成果や、社会に新たな価値を提供しうる将来事業向けの先進的な技術成果を創出し、かかる技術成果の事業化を加速することで、NECグループの持続的な発展を支えていきます。

 具体的には、ビッグデータの解析により新たな価値を創造する「データサイエンス」の技術領域と、これを効率的かつセキュアに支える「ICTプラットフォーム」の技術領域を中心に研究開発を推進しています。

 「データサイエンス」の技術領域では、長年にわたる技術の蓄積と事業実績、世界トップレベルの性能を持つ人工知能(AI)の技術群や、IoT(Internet of Things)基盤技術を活用し、実世界の見える化によって従来よりも広く深い情報を入手・分析し、また、複雑化・不確実化する社会システムの将来を予測することによって、社会システム全体のダイナミックな最適制御の実現に貢献していきます。「ICTプラットフォーム」の技術領域では、コンピューティングやネットワーキング、セキュリティの分野において、AIの進化に対応するユニークな技術を発展させることにより、即時性・遠隔

性・堅牢性を実現するための研究開発を進めています。

 また、グローバルに研究成果を創出するため、北米、欧州、中国、シンガポール、日本に研究開発拠点を設置し、それぞれの地の利を生かした研究開発を推進するとともに、顧客や世界最先端の技術を有する研究パートナーとのオープンイノベーションを通じて、より大きな社会価値を創出することに挑戦しています。

 

 NECグループのセグメント別の主な研究開発の内容は、次のとおりです。

 

(パブリック事業)

官公、公共、医療、金融およびメディア向けの事業領域における、システムやソリューションの研究開発を行っています。

 

(エンタープライズ事業)

製造業および流通・サービス業向けの事業領域における、システムやソリューションの研究開発を行っています。

 

(テレコムキャリア事業)

通信キャリア向けの事業領域における、ネットワークシステムやソリューションの研究開発を行っています。

 

(システムプラットフォーム事業)

ハードウェア、ソフトウェア、企業ネットワークおよびサービス事業領域における、システム基盤の研究開発を行っています。

 

(その他)

環境・エネルギー事業領域におけるエネルギー・マネジメント・システムやIoT用デバイス・システムの研究開発を行っています。

 

 

 NECグループの当連結会計年度における主な研究開発活動の成果は、次のとおりです。

 

(エンタープライズ事業)

顧客一人ひとりのプロフィールを、マーケティングの専門家の関与なしに、高精度に自動推定するAI技術を開発

 マーケティング分野では、消費者全体を対象とするマスマーケティングに加え、個々の顧客のプロフィールに基づき、顧客の興味・関心や購買意向、価値観に合った商品の開発や販売戦略の立案を行う“個”のマーケティングが注目されています。“個”のマーケティングを行うためには、顧客の職業、嗜好、年収など、入手が困難な詳細プロフィール情報(詳細プロフィール)が必要です。従来は、詳細プロフィールを年齢、性別といった比較的収集が容易な情報(基本プロフィール)や購買履歴から推定していましたが、精度や所要時間の面で課題がありました。

 当社は、当社独自の関係性発見技術により、顧客の基本プロフィールと購買履歴から、顧客一人ひとりの詳細プロフィールを自動推定するAI技術「顧客プロフィール推定技術」を開発しました。これにより、従来はマーケティングの専門家が例えば3ヵ月を要して行っていた分析を3日間で、かつ専門家の分析を上回る精度で実施できるようになります。

 当社は、百貨店、スーパーマーケット、コンビニエンスストア、ECサイト、ポイントカードシステム事業者などの小売・流通分野への適用を視野に入れて、本技術の研究開発を進めていきます。

 

(エンタープライズ事業、パブリック事業)

離れた場所から視線の方向をリアルタイムかつ高精度に検知できる技術を開発

 昨今、人の視線の方向をリアルタイムに検出する技術を様々な分野で活用しようとする動きがあります。従来、視線の検知は、赤外線ライトとカメラが一体となった専用装置を用いなければならず、しかも近距離からしか検知できないという課題がありました。

 当社は、街中や店舗に設置された通常のカメラのみで、離れた場所からでも複数人の視線の方向をリアルタイムかつ高精度に検知できる「遠隔視線推定技術」を開発しました。

 当社は、本技術を、通行人の視線の動きから街中における避難・誘導標識の最適な配置を検討したり不審者を監視する安全・安心に関わる用途や、店舗にいる顧客やデジタルサイネージに注目している顧客の視線の動きから人気商品や人気コンテンツを推定するなどのマーケティング用途への応用を進めます。

 

 当連結会計年度におけるNECグループ全体の研究開発費は、109,319百万円であり、セグメントごとの内訳は、次のとおりです。

 

パブリック事業             11,924百万円

エンタープライズ事業           3,277百万円

テレコムキャリア事業          36,474百万円

システムプラットフォーム事業      36,363百万円

その他                 21,281百万円

 

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析における将来に関する事項は、当連結会計年度末(2017年3月31日)においてNECグループが判断したものです。連結財務諸表の作成には、期末日における資産、負債、偶発資産および偶発債務ならびに会計期間における収益および費用に影響を与えるような見積りや仮定を必要とします。結果として、このような見積りと実績が異なる場合があります。

 

(1)当社の概要(主な事業内容)および経営成績に重要な影響を与える要因

 NECグループは、「NECグループビジョン」を掲げ、「人と地球にやさしい情報社会をイノベーションで実現するグローバルリーディングカンパニー」を目指しています。当連結会計年度は、2016年4月に発表した「2018中期経営計画」の二つの経営方針である「収益構造の立て直し」および「成長軌道への回帰」に基づき、前期までの課題を踏まえた変革に取り組み、社会ソリューション事業への注力を継続しました。

 NECグループの売上は、4つの主要なセグメントであるパブリック事業、エンタープライズ事業、テレコムキャリア事業およびシステムプラットフォーム事業から生じます。当連結会計年度において、NECグループの売上収益の27.6%がパブリック事業、11.5%がエンタープライズ事業、23.0%がテレコムキャリア事業、27.0%がシステムプラットフォーム事業によるものです。(各セグメントの売上収益比率は、各セグメントの外部顧客に対する売上収益に基づき算出しています。)

 

 各セグメントの製品およびサービス等の概要は次のとおりです。

 

 パブリック事業の売上は、主に官公、公共、医療、金融およびメディア向けに、システム・インテグレーション(システム構築、コンサルティング)、サポート(保守)、アウトソーシング・クラウドサービスおよびシステム機器などの提供によるものです。

 

 エンタープライズ事業の売上は、主に製造業および流通・サービス業向けに、システム・インテグレーション(システム構築、コンサルティング)、サポート(保守)およびアウトソーシング・クラウドサービスなどの提供によるものです。

 

 テレコムキャリア事業の売上は、主に通信事業者向けに、ネットワークインフラ(コアネットワーク、携帯電話基地局、海洋システム(海底ケーブル、海洋観測システム)、光伝送システム、ルータ・スイッチ、モバイルバックホール(パソリンク))およびサービス&マネジメント(TOMS(通信運用管理ソリューション)、サービスソリューション)などの提供によるものです。

 

 システムプラットフォーム事業の売上は、ハードウェア(サーバ、メインフレーム、スーパーコンピュータ、ストレージ、企業向けパソコン、タブレット端末、POS、ATM、制御機器、無線LANルータ、ディスプレイ、プロジェクタ)、ソフトウェア(統合運用管理、アプリケーションサーバ、セキュリティ、データベース)、企業ネットワーク(IPテレフォニーシステム、WAN・無線アクセス装置、LAN製品)およびサービス(データセンター基盤、サポート(保守))などの提供によるものです。

 

 NECグループの各セグメントの業績は、景気動向およびIT投資の動向や通信事業者の投資動向等に左右されます。

 

 経営成績に重要な影響を与えるその他の要因につきましては、「第一部 企業情報 第2 事業の状況 4 事業等のリスク」に記載のとおりです。

 

 

(2)重要な会計方針および見積り

 経営陣は、次の重要な会計方針の適用における見積りや仮定が連結財務諸表に重要な影響を与えると考えています。

 

 重要な会計方針および見積りにつきましては、「第一部 企業情報 第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針」と「第一部 企業情報 第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載のとおりです。

 

(3)当連結会計年度の経営成績の分析

 当連結会計年度の売上収益は、2兆6,650億円と前連結会計年度に比べ1,598億円(5.7%)減少しました。これは、テレコムキャリア事業やパブリック事業が減収となったことなどによるものです。

収益面につきましては、連結営業損益は、前連結会計年度に比べ496億円悪化し、418億円の利益となりました。これは、販売費及び一般管理費の削減に取り組んだものの、売上の減少により売上総利益が減少したことなどによるものです。

税引前損益は、関連会社株式売却益が増加したものの、連結営業損益が悪化したことなどにより、前連結会計年度に比べ185億円悪化し、681億円の利益となりました。

親会社の所有者に帰属する当期損益は、税引前損益の悪化に加え、法人所得税費用が増加したことなどにより、前連結会計年度に比べ486億円悪化し、273億円の利益となりました。

 

 セグメント別実績については次のとおりです。なお、各セグメント別の売上収益については、外部顧客に対する売上収益を記載しています。

 

a.パブリック事業

売上収益

7,360億円

(前連結会計年度比   4.6%減)

営業損益

460億円

(    同   113億円悪化)

 

 パブリック事業の売上収益は、当第4四半期連結会計期間から日本航空電子工業㈱を連結子会社化したものの、公共向けが消防・救急無線のデジタル化需要の一巡で減少したことなどにより、前連結会計年度に比べ356億円(4.6%)減少し、7,360億円となりました。

 営業損益は、売上の減少に加え、宇宙事業の採算性悪化などにより、前連結会計年度に比べ113億円悪化し、460億円の利益となりました。

 

b.エンタープライズ事業

売上収益

3,063億円

(前連結会計年度比    2.0%増)

営業損益

239億円

(    同      0億円悪化)

 

 エンタープライズ事業の売上収益は、製造業向けが堅調に推移したことなどにより、前連結会計年度に比べ59億円(2.0%)増加し、3,063億円となりました。

営業損益は、前連結会計年度並みの239億円の利益となりました。

 

c.テレコムキャリア事業

売上収益

6,116億円

(前連結会計年度比   12.3%減)

営業損益

195億円

(    同    271億円悪化)

 

 テレコムキャリア事業の売上収益は、国内外の通信事業者の設備投資が低調に推移したことや、円高の影響を受けたことなどにより、前連結会計年度に比べ859億円(12.3%)減少し、6,116億円となりました。

 営業損益は、売上の減少に加え、円高の影響を受けたことなどにより、前連結会計年度に比べ271億円悪化し、195億円の利益となりました。

 

d.システムプラットフォーム事業

売上収益

7,198億円

(前連結会計年度比   1.2%減)

営業損益

294億円

(    同     23億円悪化)

 

 システムプラットフォーム事業の売上収益は、ハードウェアや企業ネットワークが減少したことなどにより、前連結会計年度に比べ88億円(1.2%)減少し、7,198億円となりました。

 営業損益は、売上の減少などにより、前連結会計年度に比べ23億円悪化し、294億円の利益となりました。

 

e.その他

売上収益

2,913億円

(前連結会計年度比  10.9%減)

営業損益

△142億円

(    同    40億円改善)

 

 その他の売上収益は、スマートエネルギー事業が減少したことなどにより、前連結会計年度に比べ355億円(10.9%)減少し、2,913億円となりました。

 営業損益は、海外事業の採算性が悪化したものの、スマートエネルギー事業の損益改善などにより、前連結会計年度に比べ40億円改善し、142億円の損失となりました。

(4)流動性と資金の源泉

 NECグループは、手許流動性、すなわち、現金及び現金同等物と複数の金融機関との間で締結したコミットメントライン契約の未使用額との合計額を今後の事業活動のための適切な水準に維持することを財務活動の重要な方針としています。当連結会計年度末は、現金及び現金同等物2,400億円、コミットメントライン未使用枠3,280億円、合計5,680億円の手許流動性を確保し、必要な流動性水準を維持しました。なお、現金及び現金同等物は主に円貨であり、その他は米ドルやユーロなどの外国通貨です。

 また、NECグループは、短期・長期の資金需要を満たすのに十分な調達の枠を維持しています。まず短期資金調達では、その多くを国内コマーシャル・ペーパーの機動的な発行で賄っており、5,000億円の発行枠を維持しています。さらに、不測の短期資金需要の発生やコマーシャル・ペーパーによる調達が不安定になった場合の備えとして、コミットメントライン枠計3,300億円を維持し、常時金融機関からの借入れが可能な体制を敷いています。このうち800億円については、2020年3月までの契約期間において、短期借入を実行できるコミットメントラインとなります。一方、長期資金調達では、国内普通社債の発行枠3,000億円を維持しています。

 負債構成の考え方に関しては、必要資金の安定的な確保の観点から、十分な長期資金の確保、およびバランスのとれた直接・間接調達比率の維持を当面の基本方針としており、その状況を示すと次のとおりです。

 

 

前連結会計年度末

当連結会計年度末

長期資金調達比率 *1

67.2%

74.2%

直接調達比率 *2

20.8%

21.4%

*1 長期資金調達比率は、社債、長期借入金およびその他(1年超のリース債務)の合計を有利子負債で除して計算したものです。

*2 直接調達比率は、社債(1年以内償還予定を含む)およびコマーシャル・ペーパーの合計を有利子負債で除して計算したものです。

 当連結会計年度末の長期資金調達比率は74.2%、直接調達比率は21.4%となりました。

 

(5)キャッシュ・フローの状況について

 キャッシュ・フローの状況につきましては、「第一部 企業情報 第2 事業の状況 1 業績等の概要」に記載のとおりです。

 

(6)経営戦略と今後の方針について

 経営戦略と今後の方針につきましては、「第一部 企業情報 第2 事業の状況 3 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりです。