第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

(1)業績

 当期(平成27年4月1日~平成28年3月31日)における世界経済は、米国経済の緩やかな成長が続く一方で、中国を始めとする新興国の需要鈍化や急速な円高の影響から、先行きの不透明感が増しております。

 わが国経済では、企業業績の改善に支えられて設備投資は堅調ですが、マイナス金利の導入など従来の経験則から予想できない変化が起こっており、景気の先行きへの警戒感が高まっております。

 このような状況のもと当社グループは、長期経営計画に掲げる「グローバル社会に適応したサスティナブル成長企業」となるべく、成長・投資戦略、人材戦略、ものづくり戦略に取り組んでまいりました。

 しかしながら、当期の経営成績といたしましては、過去最高を達成した前期に比べて、受注高は83,258百万円(前期比16.5%減)、売上高は90,593百万円(前期比9.8%減)となりました。損益面につきましては、営業利益は7,162百万円(前期比14.5%減)、経常利益は7,969百万円(前期比12.4%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は4,994百万円(前期比7.7%減)となりました。

 

事業別の状況につきましては、以下のとおりであります。 

 〔交通運輸インフラ事業〕

 「鉄道信号」では、国内市場においては、JR、私鉄各社向けに信号保安装置をはじめとした各種機器や、従来よりも薄型・省電力の自動旅客案内装置などの受注・売上がありました。海外市場においては、無線式信号保安システム“SPARCS”を戦略商品として営業活動に取り組み、インドネシア・ジャカルタ都市高速鉄道(MRT)南北線において信号システムを受注しております。また、海外事業を更に拡大すべく、10月にインド現地法人を設立したほか、11月には新型電子連動装置について鉄道分野安全規格の適合性認証(SIL4)を取得いたしました。

 「交通情報システム」では、前期好調だった非常用電源装置の需要が低迷したことから、受注・売上とも減少いたしました。

 結果といたしましては、受注高は43,940百万円(前期比18.8%減)となり、売上高につきましても48,392百万円(前期比10.8%減)となりました。また、損益面では6,025百万円のセグメント利益(前期比2.7%減)となりました。

 

 〔ICTソリューション事業〕

 「駅務自動化装置を中心とするAFC」では、関東圏を中心に自動改札機・自動券売機などの各種機器の受注・売上があったほか、ホームドアをはじめとした駅ホームの安全を守る製品の販売活動に取り組みました。また、インドネシア・ジャカルタ都市高速鉄道(MRT)南北線において、前述の信号システムに加え、AFCシステムも受注しております。

 「駐車場システムを中心とする制御機器」では、ネットワークに対応した駐車管制システムをはじめとする各種駐車場管理機器・システムの受注拡大に継続して取り組みましたが、駐車場の新規開設数が伸び悩み、受注・売上とも減少いたしました。

 結果といたしましては、受注高は39,317百万円(前期比13.7%減)となり、売上高につきましても42,201百万円(前期比8.5%減)となりました。また、損益面では4,175百万円のセグメント利益(前期比18.5%減)となりました。

 

(2)キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度におけるキャッシュ・フローは、営業活動による収入4,152百万円、投資活動による支出5,963百万円、財務活動による支出1,412百万円となり、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前期比3,305百万円減少し、13,678百万円となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)
 営業活動によるキャッシュ・フローは、仕入債務、及び未払消費税等の減少等があったものの、税金等調整前当期純利益8,038百万円の計上、及び売上債権の減少1,532百万円等により、4,152百万円の資金の増加となりました。
 
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
 投資活動によるキャッシュ・フローは、主に有価証券、及び有形固定資産の取得により、5,963百万円の資金の減少となりました。
 
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
 財務活動によるキャッシュ・フローは、主に配当金の支払により1,412百万円の資金の減少となりました。
 
 以上の結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は13,678百万円となり、前連結会計年度末に比べ3,305百万円減少いたしました。

 

2【生産、受注及び販売の状況】

(1)生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

交通運輸インフラ事業

49,396

93.6

ICTソリューション事業

42,165

94.2

合計

91,561

93.9

 

(注) 上記金額は販売価格によっており、消費税等は含まれておりません。

 

(2)受注実績

当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高

受注残高

金額(百万円)

前年同期比
(%)

金額(百万円)

前年同期比
(%)

交通運輸インフラ事業

43,940

81.2

22,418

83.4

ICTソリューション事業

39,317

86.3

8,518

74.7

合計

83,258

83.5

30,936

80.8

 

(注) 上記金額は販売価格によっており、消費税等は含まれておりません。

 

(3)販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

交通運輸インフラ事業

48,392

89.2

ICTソリューション事業

42,201

91.5

合計

90,593

90.2

 

(注) 上記金額は販売価格によっており、消費税等は含まれておりません。

 

 

3【対処すべき課題】

当社は、2020年(平成32年)に「グローバル社会に適応したサスティナブル成長企業」へと飛躍するため、長期経営計画「Vision-2020 3E」(平成21年度~平成32年度)を策定しております。第134期(平成28年度)は、第3期の中期経営計画(平成27年度~平成29年度)の2年目にあたり、事業構造を転換し成長への礎を確固たるものにするための重要な年になります。

本中期経営計画は「時代変化への適応」と「事業成長の加速」を二大テーマとして掲げ、成長・投資戦略、人材戦略、ものづくり戦略の3つを基軸として活動しております。

成長・投資戦略としては、国際事業の拡大及び周辺市場など新事業領域の拡大を目的とし、外部との共創(オープンイノベーション)と成長投資を着実に実行してまいります。

人材戦略としては、グローバル視点で事業成長に貢献する人材の育成、女性の活躍推進、外国人の採用強化等の各種施策を積極的に展開し、多様なスペシャリストを擁する価値創造集団への進化を図ってまいります。

ものづくり戦略としては、世界で戦えるコスト競争力と生産体制確立のため、開発・設計プロセス改革、マザープラント構想推進とグローバルなサプライチェーン確立などを実行してまいります。

また、平成28年4月1日より、新たな企業理念である「日本信号グループ理念」をスタートさせました。“私たちは、「安全と信頼」の優れたテクノロジーを通じて、より安心、快適な社会の実現に貢献します”という社会貢献への変わらぬ想いを込めた理念のもと、グループ一丸となって更なる成長ステージに挑戦してまいります。

 

(当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針)

(1)基本方針の内容

当社は、当社の支配権の移転を伴う買収提案についての判断は、最終的には株主の皆様の自由な意思に基づき行われるべきものと考えております。また、当社は、当社株式について大量買付がなされる場合、これが当社の企業価値ひいては株主共同の利益に資するものであれば、一概にこれを否定するものではありません。

しかしながら、わが国の資本市場においては近年、対象となる企業の経営陣との協議や合意等のプロセスを経ることなく、一方的に大量買付行為又はこれに類似する行為を強行する動きが見られ、こうした大量買付行為の中には、その目的等から見て企業価値ひいては株主共同の利益に対する明白な侵害をもたらすもの、株主に株式の売却を事実上強要するおそれがあるもの、対象会社の取締役会や株主が株式の大量買付の内容等について検討し、あるいは対象会社の取締役会が代替案を提案するための十分な時間や情報を提供しないもの、対象会社が買収者の提示した条件よりも有利な条件をもたらすために買収者との協議・交渉を必要とするもの等、対象会社の企業価値ひいては株主共同の利益に資さないものも少なくありません。

これに対し当社は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者は、“私たちは「安全と信頼」の優れたテクノロジーを通じて、より安心、快適な社会の実現に貢献します”という日本信号グループ理念や、後述(2)②に示す当社の企業価値ひいては株主共同の利益の源泉を十分に理解し、ステークホルダーであるお客様、株主の皆様、協力企業の皆様、地域社会の皆様、従業員との信頼関係を維持し、こうしたステークホルダーの方々の期待に応えていきながら、中・長期的な視点に立って当社の企業価値ひいては株主共同の利益を維持、向上させるものでなければならないと考えております。

したがって、当社といたしましては、このような当社の企業価値ひいては株主共同の利益に資さない大量買付を行う者は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者として不適切であり、このような者による大量買付に対しては、必要かつ相当な対抗手段を講じることにより、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を確保することを基本方針としております。

 

(2)基本方針の実現に資する特別な取組み

①当社グループの経営理念及び基本的な事業運営の考え方

当社は、昭和4年2月に営業を開始して以来、一貫して交通インフラの分野に携わり、“私たちは、「安全と信頼」の優れたテクノロジーを通じて、より安心、快適な社会の実現に貢献します”という日本信号グループ理念のもと、平成28年2月には創業87周年を迎えました。

このように、公共性の高い事業分野において、永年に亘り社会に製品を提供し続けてきた企業として、当社は常に重い社会的責任と公共的使命を担っております。そのため、高い専門的技能と厳格な倫理教育を背景とした製品品質の管理、より安全・快適な交通インフラを支える新製品開発はもちろんのこと、人命にかかわる製品を製造していることに十分留意した長期的な視点に立脚した事業運営が不可欠であると考えます。

 

一方、鉄道信号・道路交通信号システムの専門メーカーとして蓄積したコア技術、ノウハウを応用した新事業の創造に果敢に挑戦し、企業の持続的な成長に常に取り組まねばならないと考えております。特に、駅務自動化装置と駐車場管理システムは現在の当社の業績を支える柱のひとつになるまでに成長した新事業の好例であります。

現在では、「ビジョナリービジネスセンター(VBC)事業」として、微細加工技術により実現した共振ミラー「ECO SCAN」を取り扱うMEMS事業、遠隔・非接触による不明物検出ソリューションを提供するEMS事業等を成長・発展させる方向で取り組んでおります。

 

②当社の企業価値ひいては株主共同の利益の源泉について

当社は、当社の企業価値ひいては株主共同の利益の源泉は、ⅰ)安全・快適な交通運輸インフラを永年に亘り支えてきた「技術・品質力」、ⅱ)公共性の高い仕事に携わる者として強い誇りと使命感を持った「人材力」、ⅲ)鉄道信号・道路交通信号システムで培ったコア技術・ノウハウを応用した新製品の「開発力」にあると考えます。

 

③経営計画に基づく具体的施策による企業価値・株主共同の利益の向上のための取組み

当社は、今後も「安全と信頼」を社会に提供する企業として存続し、全てのステークホルダーの皆様の満足度をより向上させていかねばならないと考えております。その具体的な取組みとして、企業理念に基づく明確なビジョンと将来像及び実現計画の立案が必須と考え、平成21年度(2009年度)から平成32年度(2020年度)までの12年間の指針として長期経営計画「Vision-2020 3E」を策定し、遂行中であります。

本計画は、

(a)品質向上・高付加価値製品の開発に継続的に取り組むことによって国内既存事業により得られた利益を、成長事業領域である海外市場ならびに新規事業に投資し、事業拡大サイクルを構築する「事業成長」

(b)環境変化に迅速に対応できる事業体制の構築、グループ企業の自立化、意思決定の迅速化、管理精度の向上等の構造改革により実現する「品質第一」

を主な柱として、企業価値の高いサスティナブル成長企業となることを最終目標としております。

 

(3)基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組み

当社は、平成28年6月24日開催の当社第133回定時株主総会において、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を維持し、向上させることを目的として、当社株式の大量取得行為に関する対応策(買収防衛策)(以下「本プラン」といいます。)の導入(更新)を決議いたしました。本プランは、特定株主グループの議決権割合が20%以上となる又は20%以上とすることを目的とする、当社が発行者である株券等の買付行為もしくはこれに類似する行為又はこれらの提案(当社取締役会が友好的と認めるものを除き、市場内外取引、公開買付け等の買付方法の如何を問いません。本プランにおいて「買付等」といい、当該買付等を行う者を「買付者」といいます。)を適用対象とし、買付者に対し、事前に当該買付等に関する情報の提供を求め、当該買付等についての情報収集・検討等を行う時間を確保したうえで、株主の皆様に当社経営陣の計画や代替案等を提示したり、買付者との交渉等を行っていくための手続を定めています。なお、買付者には、本プランに係る手続を遵守いただき、本プランに係る手続の開始後、当社取締役会が本新株予約権の無償割当ての実施又は不実施に関する決議を行うまでの間、買付等を進めてはならないものとしております。

買付者が本プランにおいて定められた手続に従うことなく買付等を行う等、当社の企業価値ひいては株主共同の利益が毀損されるおそれがあると認められる場合には、当社は当該買付者及び買付者の特定株主グループ(以下「買付者等」といいます。)による権利行使は認められないとの行使条件及び当社が当該買付者等以外の者から当社株式と引き換えに新株予約権を取得する旨の取得条項が付された新株予約権(以下「本新株予約権」といいます。)をその時点の全ての株主に対して新株予約権無償割当ての方法により割り当てます。

本プランにおいては、原則として、本新株予約権の無償割当ての実施、不実施または取得等の判断について、取締役の恣意的判断を排するため、独立委員会規則に従い勧告される、当社経営陣から独立した企業経営等に関する専門的知識を有する者のみから構成される独立委員会の判断を尊重するとともに、株主の皆様に適時に情報開示を行うことにより透明性を確保することとしています。現在の独立委員会は、独立性の高い社外の有識者3名により構成されています。

 

本プランの有効期間は、平成31年3月末日に終了する事業年度に関する定時株主総会終結の時までであります。但し、有効期間の満了前であっても、当社株主総会において本プランを廃止する旨の決議が行われた場合、または、当社取締役会により本プランを廃止する旨の決議が行われた場合には、本プラン及び本プランに基づく委任はその時点で廃止・撤回されます。

なお、上記の内容は概要を記載したものであり、本プランの詳細については、以下の当社ウェブサイトに掲載しております平成28年5月10日付当社プレスリリース「当社株式の大量取得行為に関する対応策(買収防衛策)の更新について」をご参照ください。

(当社ウェブサイト http://www.signal.co.jp/ir/index.html)

 

(4)上記の各取組みに対する当社取締役会の判断及び理由

前記(2)の取り組みは、当社の企業価値・株主共同の利益を確保し、向上させるための具体的施策であって基本方針の実現に資するものです。したがって、これらの取り組みは、前記(1)の基本方針に沿い、株主共同の利益を損なうものではなく、また、当社役員の地位の維持を目的とするものでもありません。

また、本プランは前記(3)記載のとおり、当社の企業価値・株主共同の利益を確保し、向上させる目的をもって導入されたものであり、前記(1)の基本方針に沿うものです。さらに、本プランは経済産業省及び法務省の「企業価値・株主共同の利益の確保又は向上のための買収防衛策に関する指針」(平成17年5月27日公表)の定める三原則を完全に充足し、また、経済産業省企業価値研究会の報告書「近時の諸環境の変化を踏まえた買収防衛策の在り方」(平成20年6月30日公表)の提言内容にも合致しており、その内容においても当社取締役会の判断の客観性・合理性が確保されるように設計されています。したがって、当該取り組みは株主共同の利益を損なうものではなく、また、当社役員の地位の維持を目的とするものではありません。

 

 

4【事業等のリスク】

本有価証券報告書に記載した事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項には、以下のようなものがあります。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項についても、投資判断、あるいは当社の事業活動を理解するうえで重要と考えられる事項については、投資者に対する情報開示の観点から記載をしております。

なお、企業経営において、より確実かつ継続的に企業価値を向上させるために、当社グループでは定期的なリスクの洗出しに努め、企業活動におけるさまざまなリスクを統合的に把握し、より的確な経営判断を実現したいと存じますが、当社株式に関する投資判断は、本項及び本書中の本項以外の記載内容もあわせて、慎重に検討したうえで行われる必要があると考えております。また、以下の記載は当社株式への投資に関連するリスクをすべて網羅するものではありませんので、この点にご留意下さい。

文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)会社の主要な生産品

当社グループの販売している主要な製品は、顧客からの個別受注生産品であり、顧客の設備投資の抑制や、更新需要の先送り等によっては、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。

また、主要顧客である国内鉄道各事業者や、警察等の官公庁からの発注は一般競争入札にもとづいており、近年の参入業者の増加による価格競争の激化は、当社グループの経営成績に悪影響を与える場合があります。

 

(2)業界の特性に基づくリスク

当社グループの主要事業のうち、「鉄道信号」、「交通情報システム」及び「駅務自動化装置を中心とするAFC」につきましては、主要顧客である国内鉄道各事業者の設備投資や、警察等の公共投資の影響を強く受ける分野であります。

そのため、国内鉄道路線の新設計画及び設備更新動向並びに公共投資動向等により、市場規模の変動を招き、当社グループの経営成績に重大な影響を与える場合があります。

また、主要顧客の設備投資及び公共投資が当社の需要の中心となっているため、当社グループの売上の比重は期末に高くなる傾向があります。

 

(3)当社の製品の特性に基づくリスク

当社グループで製造・販売しております「鉄道信号」「交通情報システム」「駅務自動化装置を中心とするAFC」等の製品は、鉄道・道路等社会基盤のひとつである「交通」を支える極めて公共性の高い製品であります。そのため、故障・誤動作等の障害が発生した場合、深刻な公共交通のマヒあるいは利用者の人命に関わる事態を招く恐れがあり、各関係者よりそれぞれの被害に関する損害の賠償請求を受ける可能性があります。

 

(4)海外展開、新事業等に関する課題

当社グループは、前述のような既存事業特有のリスク低減を目指し、より安定した強固な企業基盤を確立すべく、既存事業の海外展開や、MEMS、地中埋設物探知システムといった新分野の技術開発に積極的に取り組み、新市場の開拓を目指しております。

しかしながら、海外展開の不首尾、技術開発の遅れによる新事業よりの撤退等の事態に陥った場合、依然としてこれらのリスクが残存することになります。

 

(5)災害等による影響

当社グループは、主力生産事業所を埼玉・栃木の二県に集中して展開しております。

従いまして、関東地方北部において大規模地震災害等、操業停止を余儀なくされる事象が発生した場合、当社グループの生産能力が著しく低下する可能性があります。

 

 

5【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

当連結会計年度の研究開発活動については、主に当社研究開発センターにおいて、産学連携を含め中長期的な視点に立った事業拡大および基盤技術強化のための研究開発と各事業分野にまたがる技術プラットフォームの構築を行っております。また、各事業分野の事業拡大のための次世代商品開発を行っております。

研究開発センターでは、自然災害/インフラ劣化モニター、準ミリ波応用商品の研究開発を行っております。

 

セグメント別の主な研究開発活動は次のとおりであります。

[交通運輸インフラ事業]

   ・車上連動装置

   ・地震計

   ・次世代無線式列車制御システム

・安全運転支援システム

・車両追突警告システム

・逆走車両警告システム

研究開発費の金額は1,671百万円であります。

 

[ICTソリューション事業]

・清掃ロボット

・軽量型ホームドア

・ハンズフリー人体通信システム

・駐車場ネットワークシステム

・3次元距離画像センサ活用車種判別装置

・ロボット用3次元距離画像センサ

・表示器用MEMS光スキャナ

研究開発費の金額は1,747百万円であります。

 

 

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。

この連結財務諸表の作成にあたり、決算日における資産・負債の計上や偶発債務の開示、並びに期中の収益・費用の適正な計上を行うため、経営陣による見積りや仮定設定が必要とされますが、経営陣は、過去の実績、または、各状況下で最も合理的と判断される前提に基づき、一貫した見積りを実施しております。

なお、採用した会計方針及び見積りの方法については、「第5 経理の状況 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載の通りであります。

 

(2)当連結会計年度の経営成績の分析

①売上高

当連結会計年度の売上高は90,593百万円となり、前連結会計年度の100,416百万円に比べ9,822百万円(9.8%)減少しました。交通運輸インフラ事業の売上高は前連結会計年度に比べ5,881百万円(10.8%)減少し、ICTソリューション事業の売上高は前連結会計年度に比べ3,940百万円(8.5%)減少いたしました。

これは以下の要因によります。交通運輸インフラ事業において、「鉄道信号」では、国内市場においては、JR、私鉄各社向けに信号保安装置をはじめとした各種機器や、従来よりも薄型・省電力の自動旅客案内装置などの受注・売上がありました。海外市場においては、無線式信号保安システム“SPARCS”を戦略商品として営業活動に取り組み、インドネシア・ジャカルタ都市高速鉄道(MRT)南北線において信号システムを受注しております。「交通情報システム」では、前期好調だった非常用電源装置の需要が低迷したことから、受注・売上とも減少いたしました。
 一方、ICTソリューション事業において「駅務自動化装置を中心とするAFC」では、関東圏を中心に自動改札機・自動券売機などの各種機器の受注・売上があったほか、ホームドアをはじめとした駅ホームの安全を守る製品の販売活動に取り組みました。また、インドネシア・ジャカルタ都市高速鉄道(MRT)南北線において、前述の信号システムに加え、AFCシステムも受注しております。「駐車場システムを中心とする制御機器」では、ネットワークに対応した駐車管制システムをはじめとする各種駐車場管理機器・システムの受注拡大に継続して取り組みましたが、駐車場の新規開設数が伸び悩み、受注・売上とも減少いたしました。

 

②営業利益

売上総利益は、当連結会計年度は22,153百万円となり、前連結会計年度の23,256百万円から1,103百万円(4.7%)減少しました。

販売費及び一般管理費は、当連結会計年度は14,990百万円となり、前連結会計年度の14,879百万円から111百万円(0.7%)増加しました。

この結果、営業利益は前連結会計年度に比べ1,214百万円(14.5%)減益の7,162百万円となりました。

 

③経常利益

営業外収益は、当連結会計年度は1,000百万円となり、前連結会計年度の818百万円から182百万円(22.3%)の増加となりました。

営業外費用は、当連結会計年度は194百万円となり、前連結会計年度の98百万円に比べ95百万円(96.3%)の増加となりました。金融収支は、前連結会計年度に比べ103百万円改善いたしました。

経常利益につきましては、営業利益の減少が影響し、7,969百万円となり前連結会計年度に比べ1,127百万円(12.4%)の減益となりました。

 

④税金等調整前当期純利益

特別利益は、当連結会計年度は79百万円となり、前連結会計年度の114百万円から34百万円(30.5%)減少いたしました。また、特別損失は当連結会計年度は10百万円となり、前連結会計年度の99百万円から89百万円(89.8%)減少いたしました。

この結果、経常利益の減少が影響し、当連結会計年度の税金等調整前当期純利益は、前連結会計年度の9,111百万円から1,072百万円(11.8%)減少し、8,038百万円となりました。

 

⑤法人税等

法人税、住民税及び事業税は、当連結会計年度は2,163百万円となり、前連結会計年度の3,250百万円から1,086百万円(33.4%)減少しました。

法人税等調整額は、前連結会計年度の419百万円から446百万円増加し、866百万円となりました。

 

⑥非支配株主に帰属する当期純利益

非支配株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度の27百万円から13百万円(51.3%)減少し、13百万円となりました。

 

⑦親会社株主に帰属する当期純利益

当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、税金等調整前当期純利益の減少により4,994百万円となり、前連結会計年度の5,413百万円から418百万円(7.7%)減少しました。

 

(3)経営成績に重要な影響を与える要因について

当社グループは、社会のインフラを支える極めて公共性の高い仕事に従事しております。当社グループを取り巻く事業環境につきましては、ここ数年来引き続く公共投資の減少、参入企業の増加に伴う競争の激化等、依然として厳しい状況で推移しており、これらのことが当社グループの経営成績に重要な影響を与えることにもなりうると考えております。

 

(4)経営戦略の現状と見通し

今後の取り組みといたしましては、「鉄道信号」では、信号保安装置をはじめとした各種機器の確実な受注に努めるとともに、ICTを活用したインフラの変状・異常の検知、予兆検知を行うシステムであるインフラドクターなど、新分野開拓を進めてまいります。また各国における“SPARCS”の受注実績を足掛かりに、インフラ整備が急ピッチで進むアジアなど新興国市場の販路拡大を一層進めてまいります。「交通情報システム」では、主力である交通安全施設市場に引き続き取り組むとともに、交通・道路管理市場における事業領域拡大を図ってまいります。また、非常用電源装置など、新分野での提案・販売活動を強化いたします。

「駅務自動化装置を中心とするAFC」では、駅務機器の更新のほか、ホームドアや駅案内ロボット・清掃ロボットや、海外でのAFCシステム受注の拡大に努めてまいります。また、オフィスビルを中心に設置しているセキュリティゲートにつきましては、電界通信技術を使用した“elefin”の拡販を進めてまいります。  「駐車場システムを中心とする制御機器」では、大型商業施設などに設置される大規模駐車場に注力するとともに、ネットワークを使いポイントカード等と連携した駐車場システムの普及を推進いたします。

 

(5)資本の財源及び資金の流動性についての分析

営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度の14,917百万円の収入から4,152百万円の収入となり10,765百万円の収入減となりました。これは主にたな卸資産の減少縮小、及び仕入債務が減少に転じたことによるものであります。

投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度の2,774百万円の支出から5,963百万円の支出となり3,188百万円の支出増となりました。これは主に有価証券、及び投資有価証券の取得による支出の増加によるものであります。

財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度6,502百万円の支出から1,412百万円の支出となり5,090百万円の支出減となりました。これは主に短期借入金が前連結会計年度では純減(返済)であったのに対し、当連結会計年度では純増(借入)に転じたことによるものであります。

これらの活動の結果、現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度の16,984百万円から、3,305百万円減少し、13,678百万円となりました。

当社グループは現在、運転資金及び設備投資資金につきましては、内部資金又は借入により資金を調達しております。このうち借入による資金調達に関しましては、運転資金については期限が1年以内の短期借入金により調達しております。

当社グループは、その健全な財政状態、営業活動によりキャッシュ・フローを生み出す能力により、当社グループの成長を維持するために将来必要な運転資金及び設備資金を調達することが可能であると考えております。

 

(6)経営者の問題認識と今後の方針について

当社グループは、全てのステークホルダーの満足度を向上させるために、事業構造の改革・再編を促進し、収益構造の転換を図ることによって、21世紀の勝ち組たるべく知識創造型企業への変革を目指しております。

そのために、優れた人材を確保し育成することによって技術力の向上を図るとともに、品質向上・コスト削減に継続的に取り組むことによって既存事業から生み出した利益を成長事業領域である新事業開発・海外事業展開に投資し、更なる事業の拡大、収益性・安定性の向上に努めてまいります。