第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

(1)業績

 当期(平成28年4月1日~平成29年3月31日)における世界経済は、米国経済の成長が続く一方、中国を始めとする新興国経済の減速や英国のEU離脱問題・米国大統領選等の影響で不確実性が高まりましたが、全体としては緩やかな成長が続きました。
 わが国経済では、企業業績が改善し、雇用・所得の着実な改善を背景として個人消費も底堅く推移しており、緩やかな回復基調にあります。
 このような状況のもと当社グループは、長期経営計画に掲げる「グローバル社会に適応したサスティナブル成長企業」となるべく、成長・投資戦略、人材戦略、ものづくり戦略に取り組んでまいりました。
 当期の経営成績といたしましては、案件の立ち上がりの遅れなどにより、受注高は88,659百万円(前期比6.5%増)、売上高は82,134百万円(前期比9.3%減)となりました。また、損益面につきましては、営業利益は4,269百万円(前期比40.4%減)、経常利益は5,228百万円(前期比34.4%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は3,500百万円(前期比29.9%減)となりました。

 

事業別の状況につきましては、以下のとおりであります。 

 〔交通運輸インフラ事業〕

 「鉄道信号」では、国内市場においては、JR・私鉄各社向けに、信号保安装置をはじめとした各種機器のほか、訪日外国人へのサービス向上に資する多言語に対応した自動旅客案内装置の受注・売上がありました。また、踏切保安対策として、踏切内の障害物を線で検知する「光式」、広範囲な面で検知する「ミリ波式」に加え、新型「2次元走査型レーザスキャナ式」の障害物検知装置の開発に取り組みました。海外市場においては、アジア新興国を中心に無線式信号保安システム“SPARCS”を戦略商品として営業活動に取り組みました。
 「交通情報システム」では、交通安全施設市場でのシェア拡大に努めるとともに、自動起動式の非常用電源付加装置や画像処理を活用した逆走防止対策設備システム、名古屋電機工業株式会社との協業による道路管理者向けの道路情報板など、新分野における営業展開を進めてまいりました。
 結果といたしましては、受注高は47,171百万円(前期比7.4%増)となり、売上高につきましては44,313百万円(前期比8.4%減)となりました。また、損益面では3,856百万円のセグメント利益(前期比36.0%減)となりました。

 

 〔ICTソリューション事業〕

 「駅務自動化装置を中心とするAFC」では、従来型の自動改札機・自動券売機に加え、ユーザーインターフェイスを刷新し、デザイン性、操作性を向上させ、多言語に対応した訪日外国人向け次世代券売機など新製品の拡販に努めました。また、駅利用者の安全を守るホームドアの普及を進めるべく、ドア位置や数の異なる複数の車両に対応した「昇降式」、軽量で設置が容易な「軽量型」など、お客様の多様なニーズに応じた製品ラインナップ強化に取り組みました。
 「駐車場システムを中心とする制御機器」では、法人カードに対応した駐車場管理機器・システムや、駐輪場管理機器・システムの受注・売上拡大に継続して取り組みました。
 結果といたしましては、受注高は41,487百万円(前期比5.5%増)となり、売上高につきましては37,821百万円(前期比10.4%減)となりました。また、損益面では3,584百万円のセグメント利益(前期比14.2%減)となりました。

 

(2)キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は12,538百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,139百万円減少いたしました。
 各キャッシュ・フローの状況につきましては、次のとおりであります。
 
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
 営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益5,315百万円の計上があったものの、売上債権の増加△4,262百万円やたな卸資産の増加△1,070百万円の結果、369百万円の資金の増加となりました。
 
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
 投資活動によるキャッシュ・フローは、有価証券の減少2,500百万円があったものの、有形・無形固定資産の取得による支出△3,231百万円、投資有価証券の取得による支出△888百万円により、1,013百万円の資金の減少となりました。
 
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
 財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入れによる資金の増加3,200百万円があったものの、自己株式の取得による支出△1,954百万円、及び配当金の支払による支出△1,498百万円により、492百万円の資金の減少となりました。

 

2【生産、受注及び販売の状況】

(1)生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

交通運輸インフラ事業

42,831

86.7

ICTソリューション事業

38,640

91.6

合計

81,471

89.0

 

(注) 上記金額は販売価格によっており、消費税等は含まれておりません。

 

(2)受注実績

当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高

受注残高

金額(百万円)

前年同期比
(%)

金額(百万円)

前年同期比
(%)

交通運輸インフラ事業

47,171

107.4

25,276

112.7

ICTソリューション事業

41,487

105.5

12,184

143.0

合計

88,659

106.5

37,461

121.1

 

(注) 上記金額は販売価格によっており、消費税等は含まれておりません。

 

(3)販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

交通運輸インフラ事業

44,313

91.6

ICTソリューション事業

37,821

89.6

合計

82,134

90.7

 

(注) 上記金額は販売価格によっており、消費税等は含まれておりません。

 

 

3【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1)会社の経営の基本方針

当社グループは、世界中の人々がより安心、快適に暮らせる社会の実現を願い、1928年の設立以来、鉄道や道路交通など、社会インフラの発展と維持に貢献する事業を展開しています。2016年4月には、近年のグローバル化や企業の合従連衡の加速、産業技術の急速な進歩、ダイバーシティの進展など事業環境の変化を勘案し、創業60周年を機に制定された企業理念を「日本信号グループ理念」に改定いたしました。

「私たちの使命」である“「安全と信頼」の優れたテクノロジーを通じて、より安心、快適な社会の実現に貢献します”という想いのもと、一丸となり企業活動に取り組みます。

 

(2)目標とする経営指標

当社は、グローバル社会に適応したサスティナブル成長企業を目指し、2020年度を最終年度とする長期経営計画「Vision-2020 3E」を2009年に策定し、現在推進しております。その中で、2021年3月期に、連結売上高2,000億円億円、営業利益率10%以上、ROE(自己資本当期純利益率)15%以上を経営目標として設定しています。

 

(3)中長期的な経営戦略

長期経営計画「Vision-2020 3Eでは、その達成のために4段階の戦略シナリオを描き、中期経営計画で具体的な施策として展開しています。2015年4月には、第3期(2015年度~2017年度)の中期経営計画(14中計)をスタートさせています。

14中計のポイントは、二点あります。

一点目は「時代変化への適応」です。環境の変化を先取りして、グローバル市場で戦える生産体制を確立し、顧客・地域・社会の成長や発展に貢献する、価値のある商品・サービスの提供を通じて、「世界のお客様から必要とされる企業」になることを目指します。

二点目は「事業成長の加速」です。国内市場が成熟するなか、新たなイノベーションの創出によって国内外の交通インフラニーズに応えるリーディングカンパニーへと成長を遂げていきます。

そのために14中計では、M&Aを含む大型成長投資の実行や国内周辺市場など新分野開拓による事業領域の拡大を積極的に進めるとともに、海外市場におけるビジネスモデルの確立に向けた動きを加速していきます。

また、事業成長を担う人材育成の仕組みづくりやマザープラントの構築、グローバルなインフラ整備などを実行し、持続的な成長を確かなものにしていきます。

 

(4)対処すべき課題

第135期(2017年度)は、14中計の最終年にあたり、長期経営計画の「完遂」に向けて力を蓄える最後の年となります。

当社は事業成長に向けた再加速を図るため、顧客ニーズを先取りした製品開発を行うとともに、既存製品に新たな価値を付与してソリューション力を高め、既存・新市場におけるシェアアップを目指します。設計・ものづくりの標準化・自動化及びマザープラント構想の具現化を行うとともに組織力を強化し、業務プロセスの見直しによる生産性向上と社員一人ひとりの挑戦意識の醸成を図ります。

当社グループは“「安全と信頼」の優れたテクノロジーを通じて、より安心、快適な社会の実現に貢献します”という「日本信号グループ理念」のもと、人や物の移動に関わるすべての社会インフラを担うワンストップソリューションプロバイダを目指してまいります。

 

(当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針)

(1)基本方針の内容

当社は、当社の支配権の移転を伴う買収提案についての判断は、最終的には株主の皆様の自由な意思に基づき行われるべきものと考えております。また、当社は、当社株式について大量買付がなされる場合、これが当社の企業価値ひいては株主共同の利益に資するものであれば、一概にこれを否定するものではありません。

しかしながら、わが国の資本市場においては近年、対象となる企業の経営陣との協議や合意等のプロセスを経ることなく、一方的に大量買付行為又はこれに類似する行為を強行する動きが見られ、こうした大量買付行為の中には、その目的等から見て企業価値ひいては株主共同の利益に対する明白な侵害をもたらすもの、株主に株式の売却を事実上強要するおそれがあるもの、対象会社の取締役会や株主が株式の大量買付の内容等について検討し、あるいは対象会社の取締役会が代替案を提案するための十分な時間や情報を提供しないもの、対象会社が買収者の提示した条件よりも有利な条件をもたらすために買収者との協議・交渉を必要とするもの等、対象会社の企業価値ひいては株主共同の利益に資さないものも少なくありません。

これに対し当社は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者は、“私たちは「安全と信頼」の優れたテクノロジーを通じて、より安心、快適な社会の実現に貢献します”という日本信号グループ理念や、後述(2)②に示す当社の企業価値ひいては株主共同の利益の源泉を十分に理解し、ステークホルダーであるお客様、株主の皆様、協力企業の皆様、地域社会の皆様、従業員との信頼関係を維持し、こうしたステークホルダーの方々の期待に応えていきながら、中・長期的な視点に立って当社の企業価値ひいては株主共同の利益を維持、向上させるものでなければならないと考えております。

したがって、当社といたしましては、このような当社の企業価値ひいては株主共同の利益に資さない大量買付を行う者は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者として不適切であり、このような者による大量買付に対しては、必要かつ相当な対抗手段を講じることにより、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を確保することを基本方針としております。

 

(2)基本方針の実現に資する特別な取組み

①当社グループの経営理念及び基本的な事業運営の考え方

当社は、昭和4年2月に営業を開始して以来、一貫して交通インフラの分野に携わり、“私たちは、「安全と信頼」の優れたテクノロジーを通じて、より安心、快適な社会の実現に貢献します”という日本信号グループ理念のもと、平成28年2月には創業87周年を迎えました。

このように、公共性の高い事業分野において、永年に亘り社会に製品を提供し続けてきた企業として、当社は常に重い社会的責任と公共的使命を担っております。そのため、高い専門的技能と厳格な倫理教育を背景とした製品品質の管理、より安全・快適な交通インフラを支える新製品開発はもちろんのこと、人命にかかわる製品を製造していることに十分留意した長期的な視点に立脚した事業運営が不可欠であると考えます。

一方、鉄道信号・道路交通信号システムの専門メーカーとして蓄積したコア技術、ノウハウを応用した新事業の創造に果敢に挑戦し、企業の持続的な成長に常に取り組まねばならないと考えております。特に、駅務自動化装置と駐車場管理システムは現在の当社の業績を支える柱のひとつになるまでに成長した新事業の好例であります。

現在では、「ビジョナリービジネスセンター(VBC)事業」として、微細加工技術により実現した共振ミラー「ECO SCAN」を取り扱うMEMS事業、遠隔・非接触による不明物検出ソリューションを提供するEMS事業等を成長・発展させる方向で取り組んでおります。

 

②当社の企業価値ひいては株主共同の利益の源泉について

当社は、当社の企業価値ひいては株主共同の利益の源泉は、ⅰ)安全・快適な交通運輸インフラを永年に亘り支えてきた「技術・品質力」、ⅱ)公共性の高い仕事に携わる者として強い誇りと使命感を持った「人材力」、ⅲ)鉄道信号・道路交通信号システムで培ったコア技術・ノウハウを応用した新製品の「開発力」にあると考えます。

 

③経営計画に基づく具体的施策による企業価値・株主共同の利益の向上のための取組み

当社は、今後も「安全と信頼」を社会に提供する企業として存続し、全てのステークホルダーの皆様の満足度をより向上させていかねばならないと考えております。その具体的な取組みとして、企業理念に基づく明確なビジョンと将来像及び実現計画の立案が必須と考え、平成21年度(2009年度)から平成32年度(2020年度)までの12年間の指針として長期経営計画「Vision-2020 3E」を策定し、遂行中であります。

本計画は、

(a)品質向上・高付加価値製品の開発に継続的に取り組むことによって国内既存事業により得られた利益を、成長事業領域である海外市場ならびに新規事業に投資し、事業拡大サイクルを構築する「事業成長」

(b)環境変化に迅速に対応できる事業体制の構築、グループ企業の自立化、意思決定の迅速化、管理精度の向上等の構造改革により実現する「品質第一」

を主な柱として、企業価値の高いサスティナブル成長企業となることを最終目標としております。

 

 

(3)基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組み

当社は、平成28年6月24日開催の当社第133回定時株主総会において、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を維持し、向上させることを目的として、当社株式の大量取得行為に関する対応策(買収防衛策)(以下「本プラン」といいます。)の導入(更新)を決議いたしました。本プランは、特定株主グループの議決権割合が20%以上となる又は20%以上とすることを目的とする、当社が発行者である株券等の買付行為もしくはこれに類似する行為又はこれらの提案(当社取締役会が友好的と認めるものを除き、市場内外取引、公開買付け等の買付方法の如何を問いません。本プランにおいて「買付等」といい、当該買付等を行う者を「買付者」といいます。)を適用対象とし、買付者に対し、事前に当該買付等に関する情報の提供を求め、当該買付等についての情報収集・検討等を行う時間を確保したうえで、株主の皆様に当社経営陣の計画や代替案等を提示したり、買付者との交渉等を行っていくための手続を定めています。なお、買付者には、本プランに係る手続を遵守いただき、本プランに係る手続の開始後、当社取締役会が本新株予約権の無償割当ての実施又は不実施に関する決議を行うまでの間、買付等を進めてはならないものとしております。

買付者が本プランにおいて定められた手続に従うことなく買付等を行う等、当社の企業価値ひいては株主共同の利益が毀損されるおそれがあると認められる場合には、当社は当該買付者及び買付者の特定株主グループ(以下「買付者等」といいます。)による権利行使は認められないとの行使条件及び当社が当該買付者等以外の者から当社株式と引き換えに新株予約権を取得する旨の取得条項が付された新株予約権(以下「本新株予約権」といいます。)をその時点の全ての株主に対して新株予約権無償割当ての方法により割り当てます。

本プランにおいては、原則として、本新株予約権の無償割当ての実施、不実施または取得等の判断について、取締役の恣意的判断を排するため、独立委員会規則に従い勧告される、当社経営陣から独立した企業経営等に関する専門的知識を有する者のみから構成される独立委員会の判断を尊重するとともに、株主の皆様に適時に情報開示を行うことにより透明性を確保することとしています。現在の独立委員会は、独立性の高い社外の有識者3名により構成されています。

本プランの有効期間は、平成31年3月末日に終了する事業年度に関する定時株主総会終結の時までであります。但し、有効期間の満了前であっても、当社株主総会において本プランを廃止する旨の決議が行われた場合、または、当社取締役会により本プランを廃止する旨の決議が行われた場合には、本プラン及び本プランに基づく委任はその時点で廃止・撤回されます。

なお、上記の内容は概要を記載したものであり、本プランの詳細については、以下の当社ウェブサイトに掲載しております平成28年5月10日付当社プレスリリース「当社株式の大量取得行為に関する対応策(買収防衛策)の更新について」をご参照ください。

(当社ウェブサイト http://www.signal.co.jp/ir/index.html)

 

(4)上記の各取組みに対する当社取締役会の判断及び理由

前記(2)の取り組みは、当社の企業価値・株主共同の利益を確保し、向上させるための具体的施策であって基本方針の実現に資するものです。したがって、これらの取り組みは、前記(1)の基本方針に沿い、株主共同の利益を損なうものではなく、また、当社役員の地位の維持を目的とするものでもありません。

また、本プランは前記(3)記載のとおり、当社の企業価値・株主共同の利益を確保し、向上させる目的をもって導入されたものであり、前記(1)の基本方針に沿うものです。さらに、本プランは経済産業省及び法務省の「企業価値・株主共同の利益の確保又は向上のための買収防衛策に関する指針」(平成17年5月27日公表)の定める三原則を完全に充足し、また、経済産業省企業価値研究会の報告書「近時の諸環境の変化を踏まえた買収防衛策の在り方」(平成20年6月30日公表)の提言内容にも合致しており、その内容においても当社取締役会の判断の客観性・合理性が確保されるように設計されています。したがって、当該取り組みは株主共同の利益を損なうものではなく、また、当社役員の地位の維持を目的とするものではありません。

 

 

4【事業等のリスク】

本有価証券報告書に記載した事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項には、以下のようなものがあります。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項についても、投資判断、あるいは当社の事業活動を理解するうえで重要と考えられる事項については、投資者に対する情報開示の観点から記載をしております。

なお、企業経営において、より確実かつ継続的に企業価値を向上させるために、当社グループでは定期的なリスクの洗出しに努め、企業活動におけるさまざまなリスクを統合的に把握し、より的確な経営判断を実現したいと存じますが、当社株式に関する投資判断は、本項及び本書中の本項以外の記載内容もあわせて、慎重に検討したうえで行われる必要があると考えております。また、以下の記載は当社株式への投資に関連するリスクをすべて網羅するものではありませんので、この点にご留意下さい。

文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)会社の主要な生産品

当社グループの販売している主要な製品は、顧客からの個別受注生産品であり、顧客の設備投資の抑制や、更新需要の先送り等によっては、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。

また、主要顧客である国内鉄道各事業者や、警察等の官公庁からの発注は一般競争入札にもとづいており、近年の参入業者の増加による価格競争の激化は、当社グループの経営成績に悪影響を与える場合があります。

 

(2)業界の特性に基づくリスク

当社グループの主要事業のうち、「鉄道信号」、「交通情報システム」及び「駅務自動化装置を中心とするAFC」につきましては、主要顧客である国内鉄道各事業者の設備投資や、警察等の公共投資の影響を強く受ける分野であります。

そのため、国内鉄道路線の新設計画及び設備更新動向並びに公共投資動向等により、市場規模の変動を招き、当社グループの経営成績に重大な影響を与える場合があります。

また、主要顧客の設備投資及び公共投資が当社の需要の中心となっているため、当社グループの売上の比重は期末に高くなる傾向があります。

 

(3)当社の製品の特性に基づくリスク

当社グループで製造・販売しております「鉄道信号」「交通情報システム」「駅務自動化装置を中心とするAFC」等の製品は、鉄道・道路等社会基盤のひとつである「交通」を支える極めて公共性の高い製品であります。そのため、故障・誤動作等の障害が発生した場合、深刻な公共交通のマヒあるいは利用者の人命に関わる事態を招く恐れがあり、各関係者よりそれぞれの被害に関する損害の賠償請求を受ける可能性があります。

 

(4)海外展開、新事業等に関する課題

当社グループは、前述のような既存事業特有のリスク低減を目指し、より安定した強固な企業基盤を確立すべく、既存事業の海外展開や、MEMS、地中埋設物探知システムといった新分野の技術開発に積極的に取り組み、新市場の開拓を目指しております。

しかしながら、海外展開の不首尾、技術開発の遅れによる新事業よりの撤退等の事態に陥った場合、依然としてこれらのリスクが残存することになります。

 

(5)災害等による影響

当社グループは、主力生産事業所を埼玉・栃木の二県に集中して展開しております。

従いまして、関東地方北部において大規模地震災害等、操業停止を余儀なくされる事象が発生した場合、当社グループの生産能力が著しく低下する可能性があります。

 

 

5【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

当連結会計年度の研究開発活動については、主に当社研究開発センターにおいて、産学連携を含め中長期的な視点に立った事業拡大および基盤技術強化のための研究開発と各事業分野にまたがる技術プラットフォームの構築を行っております。また、各事業分野の事業拡大のための次世代商品開発を行っております。

研究開発センターでは、自然災害/インフラモニター、ミリ波応用製品、IoT活用の研究開発を行っております。

 

セグメント別の主な研究開発活動は次のとおりであります。

[交通運輸インフラ事業]

   ・次世代無線式列車制御システム

   ・フェールセーフPLC

   ・センサーメンテナンスネットワーク

   ・次世代踏切システム

・普及型DSSS制御機

・自動起動式発動発電機

 ・車載型危険走行車両検出装置

・高度化逆走車両検出装置

研究開発費の金額は1,497百万円であります。

 

[ICTソリューション事業]

・大画面券売機

・軽量型ホームドア

・マルチユース端末

・電界通信用RFチップ

・ネットワークを活用した次世代駐車場システム

・3次元距離画像センサ式車種判別装置

・表示器用MEMS光スキャナ

研究開発費の金額は1,581百万円であります。

 

 

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。

この連結財務諸表の作成にあたり、決算日における資産・負債の計上や偶発債務の開示、並びに期中の収益・費用の適正な計上を行うため、経営陣による見積りや仮定設定が必要とされますが、経営陣は、過去の実績、または、各状況下で最も合理的と判断される前提に基づき、一貫した見積りを実施しております。

なお、採用した会計方針及び見積りの方法については、「第5 経理の状況 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載の通りであります。

 

(2)当連結会計年度の経営成績の分析

①売上高

当連結会計年度の売上高は82,134百万円となり、前連結会計年度の90,593百万円に比べ8,459百万円(9.3%)減少しました。交通運輸インフラ事業の売上高は前連結会計年度に比べ4,078百万円(8.4%)減少し、ICTソリューション事業の売上高は前連結会計年度に比べ4,380百万円(10.4%)減少いたしました。

これは以下の要因によります。交通運輸インフラ事業において、「鉄道信号」では、国内市場においては、JR・私鉄各社向けに、信号保安装置をはじめとした各種機器のほか、訪日外国人へのサービス向上に資する多言語に対応した自動旅客案内装置の受注・売上がありました。また、踏切保安対策として、踏切内の障害物を線で検知する「光式」、広範囲な面で検知する「ミリ波式」に加え、新型「2次元走査型レーザスキャナ式」の障害物検知装置の開発に取り組みました。海外市場においては、アジア新興国を中心に無線式信号保安システム“SPARCS”を戦略商品として営業活動に取り組みました。

一方、ICTソリューション事業において、「駅務自動化装置を中心とするAFC」では、従来型の自動改札機・自動券売機に加え、ユーザーインターフェイスを刷新し、デザイン性、操作性を向上させ、多言語に対応した訪日外国人向け次世代券売機など新製品の拡販に努めました。また、駅利用者の安全を守るホームドアの普及を進めるべく、ドア位置や数の異なる複数の車両に対応した「昇降式」、軽量で設置が容易な「軽量型」など、お客様の多様なニーズに応じた製品ラインナップ強化に取り組みました。「駐車場システムを中心とする制御機器」では、法人カードに対応した駐車場管理機器・システムや、駐輪場管理機器・システムの受注・売上拡大に継続して取り組みました。

 

②営業利益

売上総利益は、当連結会計年度は19,074百万円となり、前連結会計年度の22,153百万円から3,078百万円(13.9%)減少しました。

販売費及び一般管理費は、当連結会計年度は14,804百万円となり、前連結会計年度の14,990百万円から185百万円(1.2%)減少しました。

この結果、営業利益は前連結会計年度に比べ2,892百万円(40.4%)減益の4,269百万円となりました。

 

③経常利益

営業外収益は、当連結会計年度は1,146百万円となり、前連結会計年度の1,000百万円から145百万円(14.6%)の増加となりました。

営業外費用は、当連結会計年度は188百万円となり、前連結会計年度の194百万円に比べ6百万円(3.1%)の減少となりました。金融収支は、前連結会計年度に比べ40百万円改善いたしました。

経常利益につきましては、営業利益の減少が影響し、5,228百万円となり前連結会計年度に比べ2,740百万円(34.4%)の減益となりました。

 

 

④税金等調整前当期純利益

特別利益は、当連結会計年度は170百万円となり、前連結会計年度の79百万円から90百万円(114.4%)増加いたしました。また、特別損失は当連結会計年度は83百万円となり、前連結会計年度の10百万円から73百万円(717.2%)増加いたしました。

この結果、経常利益の減少が影響し、当連結会計年度の税金等調整前当期純利益は、前連結会計年度の8,038百万円から2,722百万円(33.9%)減少し、5,315百万円となりました。

 

⑤法人税等

法人税、住民税及び事業税は、当連結会計年度は2,000百万円となり、前連結会計年度の2,163百万円から163百万円(7.5%)減少しました。

法人税等調整額は、前連結会計年度の866百万円から1,053百万円減少し、△187百万円となりました。

 

⑥非支配株主に帰属する当期純利益

非支配株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度の13百万円から12百万円(90.9%)減少し、1百万円となりました。

 

⑦親会社株主に帰属する当期純利益

当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、税金等調整前当期純利益の減少により3,500百万円となり、前連結会計年度の4,994百万円から1,494百万円(29.9%)減少しました。

 

(3)経営成績に重要な影響を与える要因について

当社グループは、社会のインフラを支える極めて公共性の高い仕事に従事しております。当社グループを取り巻く事業環境につきましては、ここ数年来引き続く公共投資の減少、参入企業の増加に伴う競争の激化等、依然として厳しい状況で推移しており、これらのことが当社グループの経営成績に重要な影響を与えることにもなりうると考えております。

 

(4)経営戦略の現状と見通し

今後の取り組みといたしましては、「鉄道信号」では、信号保安装置をはじめとした各種機器の確実な受注に努めるとともに、ICTを活用したインフラの変状・異常の検知、予兆検知を行うシステムであるインフラドクターなど、新分野開拓を進めてまいります。また各国における“SPARCS”の受注実績を足掛かりに、インフラ整備が急ピッチで進むアジアなど新興国市場の販路拡大を一層進めてまいります。「交通情報システム」では、主力である交通安全施設市場に引き続き取り組むとともに、交通・道路管理市場における事業領域拡大を図ってまいります。また、非常用電源装置など、新分野での提案・販売活動を強化いたします。

「駅務自動化装置を中心とするAFC」では、ホームドアの拡販に引き続き注力するとともに、自動走行可能で誰にでも使いやすい清掃ロボットや、訪日外国人向けの駅案内支援機「マルチユース端末」など、新商品を積極的に市場投入し、事業領域の拡大に努めてまいります。
 「駐車場システムを中心とする制御機器」では、大型商業施設などに設置される大規模駐車場に注力するとともに、ネットワークを使いポイントカード等と連携した駐車場システムの普及を推進いたします。また、体制を強化した「スマートモビリティ事業部」の下、自動運転時代を見据えた次世代のスマートな移動に資する新しい交通インフラの創造に向けて邁進してまいります。

 

 

(5)資本の財源及び資金の流動性についての分析

営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度の4,152百万円の収入から369百万円の収入となり3,782百万円の収入減となりました。これは主に売上債権の増加、たな卸資産の増加によるものであります。

投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度の5,963百万円の支出から1,013百万円の支出となり4,949百万円の支出減となりました。これは主に有価証券の減少によるものであります。

財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度1,412百万円の支出から492百万円の支出となり920百万円の支出減となりました。これは主に短期借入金の増加によるものであります。

これらの活動の結果、現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度の13,678百万円から、1,139百万円減少し、12,538百万円となりました。

当社グループは現在、運転資金及び設備投資資金につきましては、内部資金又は借入により資金を調達しております。このうち借入による資金調達に関しましては、運転資金については期限が1年以内の短期借入金により調達しております。

当社グループは、その健全な財政状態、営業活動によりキャッシュ・フローを生み出す能力により、当社グループの成長を維持するために将来必要な運転資金及び設備資金を調達することが可能であると考えております。

 

(6)経営者の問題認識と今後の方針について

当社グループは、全てのステークホルダーの満足度を向上させるために、事業構造の改革・再編を促進し、収益構造の転換を図ることによって、21世紀の勝ち組たるべく知識創造型企業への変革を目指しております。

そのために、優れた人材を確保し育成することによって技術力の向上を図るとともに、品質向上・コスト削減に継続的に取り組むことによって既存事業から生み出した利益を成長事業領域である新事業開発・海外事業展開に投資し、更なる事業の拡大、収益性・安定性の向上に努めてまいります。